説明

稼動回数表示器搭載油圧シリンダ

【課題】 本発明は、金型等の移動対象物の駆動に使用する油圧シリンダの稼動回数を表示する稼動回数表示器の信頼性を高めるために機械式カウンタを用い、かつ設定油圧の大小に応じてコイルばねの弾性力を調節可能としたものである。
【解決手段】 軸が所定角度往復運動することにより数字が1進する機械的機構と軸に直交して設けたカウンタレバーとを有する機械式カウンタと、油圧シリンダに付設するとともに油圧シリンダの油圧によりカウンタレバーを往き運動させるロッドを有するカウンタレバー駆動手段と、ロッドの往き運動時に弾性抵抗となるとともにロッドの還り運動をさせるコイルばねとを備え、コイルばねの弾性力を調節可能として、信頼性の高い機械式カウンタを用いながら、油圧シリンダの稼動油圧に応じてコイルばねの弾性力を調節することができるので、油圧シリンダの稼動回数を確実に表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型等の移動対象物の駆動に使用する油圧シリンダに係り、特に油圧シリンダの稼動回数を表示する稼動回数表示器搭載の油圧シリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図14から図16に示すカウンタ付き油圧式圧縮装置が知られている。図14及び図15において、送電用の線径の太い電線をスリーブを介して圧潰して接続するために使用する油圧式圧縮装置のシリンダキャップ54に、油圧感知器59と圧縮回数表示器60とからなるカウンタ61を一式として取り付けている。油圧感知器59は一対のダイスによって被圧縮材であるスリーブを圧縮毎にその作動油の所定油圧力を感知して信号を発するスイッチ装置であり、圧縮回数表示器60はその信号を受けてその計数を累積表示する液晶表示器であって、その外郭を抑える取付金具62の部分で、凹部に形成したシリンダキャップ54の底面の略中央部にボルト止めしてある。この圧縮回数表示器60とリード線63で電気接続された油圧感知器59はシリンダキャップ54の同じ底面の端部寄り位置に貫通状態で取り付けられ、一端のナット72の締め付けで固定されている。
【0003】
この油圧感知器59は、図17に示すように、感知器本体64内の基部(図示上部)にインナーシリンダ65を螺入し、このインナーシリンダ65内に摺動可能にピストン66を嵌挿させてある。ピストン66は基端側に開口するバネホルダ67に内装されたスプリング68に当接させ、基端側に付勢させてある。ピストン66の両端はロッドに形成し、基端側のロッド66aの端面はインナーシリンダ65と感知器本体64の細孔を通して下部油室の作動油に接触しており、先端側のロッド66bはその先端がバネホルダ67を貫いて僅かに外部に突出するようにしてある。
【0004】
そして、ピストン66の先端側には、そのロッド66bに近接してネジ蓋69で抑えているスペーサ70を介してマイクロスイッチ71を保持してあり、下部油室の油圧力が、所定の圧力に達した時にピストン66がスプリング68の付勢力に抗して前進し、マイクロスイッチ71を押して信号を発するように設定してある。この信号を伝えるマイクロスイッチ71からのリード線63は感知器本体64に穿設した壁孔から外部に引き出すようにしてある。
【0005】
圧縮回数表示器60は、図14及び図15のように、ケース73とこのケース73に内装された液晶ユニット74とからなり、液晶ユニット74の表示窓75に表示される数字を読み取れるようになっている。そして、この液晶ユニット74は液晶板と共に半導体素子と電源としてリチウム電池とを内蔵している。なお、図15において52は油圧式圧縮装置のシリンダ、図16において53はラムである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−137985号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のカウンタ付き油圧式圧縮装置のカウンタは、油圧感知器59、マイクロスイッチ71、リード線63、液晶ユニット74、電池などを用いた電気式であるため、信頼性に欠けるという問題がある。
すなわち、油圧シリンダの稼動回数を累積カウントして所定稼動回数に達したとき、油圧シリンダの保守点検を行う必要があるが、従来の電気式カウンタでは電池の消耗状態を確実に把握することができず、電池切れでカウントができなくなり、保守点検の時期が分からなくなるという問題があった。また、電気式では、接点の接触不良などのトラブルも起こり易いという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、軸が所定角度往復運動することにより数字が一進する機械的機構と軸に直交して設けたカウンタレバーとを有する機械式カウンタを用いて信頼性の高い稼動回数の表示ができる油圧シリンダを実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、負荷に連結する油圧シリンダと、軸が所定角度往復運動することにより数字が1進する機械的機構と軸に直交して設けたカウンタレバーとを有する機械式カウンタと、油圧シリンダに付設するとともに油圧シリンダの油圧によりカウンタレバーを往き運動させるロッドとハウジングとを有するカウンタレバー駆動手段と、ロッドの往き運動時に弾性抵抗となるとともにロッドの還り運動をさせるコイルばねとを備え、ロッドに油圧が作用しない状態でのコイルばねの弾性力を調節可能な弾性力調節手段を備えた稼動回数表示器搭載油圧シリンダである。
【0009】
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る本発明の構成に加え、さらに、ハウジング内にロッドを囲むように圧縮コイルばねを設け、コイルばねの一端をロッドに当接させ、コイルばねの他端の位置を調節可能な取付け手段を介してハウジングに固定することにより弾性力調節手段とした稼動回数表示器搭載油圧シリンダである。
【0010】
請求項3に係る本発明は、請求項1に係る本発明の構成に加え、さらに、一端をカウンタレバーに固定し他端をハウジングに固定した引張コイルばねをハウジング外に設け、コイルばねの一端および他端の少なくとも一方の位置を調節可能な取付け手段を介して固定することにより弾性力調節手段とした稼動回数表示器搭載油圧シリンダである。
【0011】
請求項4に係る本発明は、請求項1から3のいずれかに係る本発明の構成に加え、さらに、ロッドにかかる油圧の受圧面積がロッドの往き運動の位置に応じて大となる受圧面積増大手段を設けた稼動回数表示器搭載油圧シリンダである。
【0012】
請求項1に係る本発明による作用は、軸が所定角度往復運動することにより数字が1進する機械的機構と軸に直交して設けたカウンタレバーとを有する機械式カウンタと、油圧シリンダに付設するとともに油圧シリンダの油圧によりカウンタレバーを往き運動させるロッドとハウジングとを有するカウンタレバー駆動手段と、ロッドの往き運動時に弾性抵抗となるとともにロッドの還り運動をさせるコイルばねとを備え、ロッドに油圧が作用しない状態でのコイルばねの弾性力を調節可能な弾性力調節手段としているから、信頼性の高い機械式カウンタを用いながら、油圧シリンダの稼動油圧に応じてコイルばねの弾性力を調節することができるので、油圧シリンダの稼動回数を確実に表示することができる。
【0013】
請求項2に係る本発明の作用は、請求項1に係る本発明による作用に加え、ハウジング内にロッドを囲むように圧縮コイルばねを設け、コイルばねの一端をロッドに当接させ、コイルばねの他端の位置を調節可能な取付け手段を介してハウジングに固定することにより弾性力調節手段としたから、コイルばねを内蔵式にできる。
【0014】
請求項3に係る本発明の作用は、請求項1に係る本発明による作用に加え、一端をカウンタレバーに固定し他端をハウジングに固定した引張コイルばねをハウジング外に設け、コイルばねの一端および他端の少なくとも一方の位置を調節可能な取付け手段を介して固定することにより弾性力調節手段としたから、コイルばねを外装式にできる。
【0015】
請求項4に係る本発明の作用は、請求項1から3のいずれかに係る本発明による作用に加え、ロッドにかかる油圧の受圧面積がロッドの往き運動の位置に応じて大となる受圧面積増大手段を設けたから、油圧シリンダの設定油圧が高いとき、ロッドの動きを緩衝することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明は、機械式カウンタを用い、ロッドの往き運動時に弾性抵抗となるとともにロッドの還り運動をさせるコイルばねとを備え、ロッドに油圧が作用しない状態でのコイルばねの弾性力を調節可能な弾性力調節手段を備えているから、電気式のように電池切れのない信頼性の高い機械式カウンタを用いながら、油圧シリンダの広範囲の油圧に対して、油圧シリンダの稼動回数を確実に表示することができる。
【0017】
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る本発明の効果に加え、コイルばねを内蔵式にして、コイルばねの設置スペースを確保し易く、かつコイルばねの破損を防止することができる。
【0018】
請求項3に係る本発明は、請求項1に係る本発明の効果に加え、コイルばねを外装式にしたから、コイルばねの弾性力調節手段の調節を簡単に行うことができるとともにカウンタレバー駆動手段の構造を簡単にできる。
【0019】
請求項4に係る本発明は、請求項1から3のいずれかに係る本発明の効果に加え、受圧面積増大手段を設けたから、油圧シリンダの設定油圧が高いとき、ロッドの動きを緩衝して、機械式カウンタのカウンタレバーに衝撃的な力がかかることを防止し、機械式カウンタの耐久性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付した図面により詳細に説明する。
図1から図13は、本発明の実施の形態を示す図であり、図1は以下の本発明の第一から第四の実施の形態に係る稼動回数表示器搭載油圧シリンダが用いられる油圧回路の概略図である。図2から図6は第一の実施の形態を示す図面、図7は第二の実施の形態を示す図面、図8から図10は第三の実施の形態を示す図面、図11及び図12は第四の実施の形態を示す図面、図13は油圧シリンダに作用する時間と油圧を示す図面である。
【0021】
図1に基づいて、本発明に係る稼動回数表示器搭載油圧シリンダが用いられる概略の油圧回路を説明する。1は稼動回数表示器搭載油圧シリンダであり、金型などの負荷2を連結している。3は電動機4によって駆動される油ポンプである。5はリリーフ弁であり、油圧が設定圧力を超えると弁が開いて油タンク8に油を逃がすことにより負荷2にかかる力の上限を設定している。6は流量弁であり、油圧シリンダに1に供給する油量を設定している。7は方向切換弁であり、油ポンプ3による油圧シリンダ1への油の供給と油圧シリンダ1から油タンク8への油の還りとを切り替えて負荷2を稼動するのであり、油圧シリンダのピシトンを挟んでシリンダの両端部に接続した油配管9,9を油ポンプ3の出口と油タンク8とに交互に切り替えるようにしている。
【0022】
図2から図6は本発明の第一の実施の形態を示す図面であり、図2は油圧ピストンに油圧が作用していない停止時の断面図、図3は図2のカウンタ周りの拡大断面図、図4は図2の側面図、図5は図4の平面図、図6は油圧ピストンに油圧が作用して油圧ピストンが作動途中の断面図で図2に対応する図面である。
これら図2から図6において、1は稼動回数表示器搭載油圧シリンダで、シリンダチューブ11、その内面を摺動するピストン12、ピストンロッド13、ブッシュ14、ロッドカバー15、押え板16、フロントカバー17を備えている。18はフロントカバー17に設けた油入口、19はロッドカバー15に設けた油出口、20はピストン12及びブッシュ14に設けたパッキンである。
【0023】
フロントカバー17には、機械式カウンタ21のカウンタレバー22を油圧シリンダ1の油圧により往き運動させるカウンタレバー駆動用のロッド32とハウジング33とを有するカウンタレバー駆動手段31を設けている。カウンタレバー駆動手段31及び機械式カウンタ21の詳細を図3に示している。
【0024】
カウンタレバー駆動手段31は、フロントカバー17の一部に設けたハウジング33内にロッド32を囲むように圧縮コイルばね34を設け、ロッド32の下端に形成したピストン部35に油圧シリンダ1のピストン12に作用させる油圧を作用させて、圧縮コイルばね34の弾性力に抗してロッド32を往き運動させるのである。
【0025】
圧縮コイルばね34の下端はロッド32に形成した膨出段部36の上面に当接させ、圧縮コイルばね34の上端はばね押えプレート37に設けた孔の内周に螺合するばね調整ねじ38の下端のフランジ及びばね押えプレート37の孔の内周により位置を規制している。ばね押えプレート37はばね調整ねじ38を螺合した状態で4本の六角穴付きボルト39でハウジング33に固定し、ばね調整ねじ38の上端の四角部をスパナ等で廻すことによりばね調整ねじ38の上下方向の位置を調整でき、この調整により圧縮コイルばね34の上端の位置を調節可能としている。
【0026】
ばね調整ねじ38の中心部にはロッド32を貫通させる孔40を有している。41はばね調整ねじ38の上下方向の位置を調整した後、固定するロックナットである。ばね押えプレート37、六角穴付きボルト39、ばね調整ねじ38及びロックナット41により圧縮コイルばね34の他端の位置を調節可能な取付け手段としており、この調節可能な取付け手段を介して圧縮コイルばね34の他端をハウジング33に固定することにより圧縮コイルばね34の弾性力調節手段としている。なお、42はロッド32のピストン部35に設けたOリングである。
【0027】
機械式カウンタ21は、カウンタレバー駆動手段31のばね押えプレート37の上面に固定したカウンタ取付板23に4本のビス24で取り付けている。カウンタ取付板23はカウンタレバー駆動手段31のロッド32の位置とずらせて、図5及び図6に示すようにビス25で固定して、カウンタレバー22をロッド32の先端に当接させている。
【0028】
機械式カウンタ21は、市販品であって、カウント数を視認するための透明窓26を設けたケーシング27内に、軸28にそれぞれ回転自在に軸支されその外周面に数字が表示されている5つの数字歯車29、桁上げ歯車、ゼロ復帰摘み30に連結された5つの数字歯車をゼロ復帰させる機構、ラチェット機構、軸復帰機構などを備えており、軸28が所定角度(この実施形態では45度)往復運動することにより、数字が一進する機械的機構を構成している。
【0029】
機械式カウンタ21の軸28に直交して設けたカウンタレバー22をロッド32の先端で図3の状態から図6の状態に押上げて軸28を所定角度(45度)往き運動させ、図1に示す方向切替弁7の切替により、ロッド32のピストン部35にかかる油圧が油タンク8の大気圧に戻ると圧縮コイルばね34の弾性力によりロッド32が還り運動を行い、カウンタレバー22は機械式カウンタ21の内部に設けられたばねによる軸復帰機構により、図3の状態となり、カウント数を一進するのである。このようにして、機械式カウンタ21により油圧シリンダ1の稼動回数を機械的にカウントするのである。
【0030】
カウンタレバー22を押上げるロッド32を上方に動かすピストン部35に作用する油圧は油圧シリンダ1に作用する油圧と同じ圧力であり、油圧シリンダ1の仕様として許容使用範囲が定められており、負荷2の特性に基づくリリーフ弁5の設定によって実際に使用する油圧は負荷2により異なる。そして、図13に示すように、油圧シリンダ1に作用する油圧は方向切替弁7が負荷2を駆動する方向に切替えられてからの経過時間T1で油圧シリンダ1のピストン12が動き始める初動油圧P1となり、経過時間T2でピストン12が定常移動する移動油圧P2となり、経過時間T3でピストン12が停止し、経過時間T4でリリーフ弁5が開き、設定油圧P3となる。
【0031】
これらの初動油圧P1、移動油圧P2及び設定油圧P3は、負荷2の特性によって決まり、ロッド32のピストン部35に作用してカウンタレバー22をロッド32で押上げるのであり、この押上げ力に対抗するように圧縮コイルばね34が作用している。圧縮コイルばね34の対抗力(弾性力)は、負荷2の特性により定まる例えば初動油圧P1の大きさ及び設定油圧P3の大きさに応じて変えることが、工程中の圧力変化でロッド32が上昇下降運動して誤カウントしたり設定油圧P3によりカウンタレバー22に過大な力が作用したりしないようにするために望ましい。
特に、工程中に圧力変化が生ずると、初動油圧P1でロッド32が上昇運動し移動油圧P2でロッド32が下降して、カウンタレバー22により軸28が所定角度往復運動して機械式カウンタ21がカウントすることが生ずることがあるが、このような誤カウントが生じないように、圧縮コイルばね34の対抗力は初動油圧P1でロッド32が上昇運動しないように設定して、機械式カウンタ21の誤作動を防止することが望ましい。
【0032】
そこで、本発明の第一の実施の形態では、ばね押えプレート37、六角穴付きボルト39、ばね調整ねじ38及びロックナット41により、コイルばね34の他端の位置を調節可能な取付け手段としており、この取付け手段により圧縮コイルばね34の弾性力調節手段を構成して圧縮コイルばね34の他端の位置を調節することにより、ロッド32のピストン部35に油圧が作用しない状態での圧縮コイルばね34の弾性力を調節するのである。例えば、初動油圧P1でロッド32が上昇運動して誤カウントしないように、圧縮コイルばね34の他端が下方に位置するようにばね調整ねじ38を調整して圧縮コイルばね34の弾性力を大きく調整し、設定油圧P3が小さい場合は、設定油圧P3で確実にロッド32が上昇運動してカウントできるよう圧縮コイルばね34の他端が上方に位置するようにばね調整ねじ38を調整して圧縮コイルばね34の弾性力を小さく調整するのである。
【0033】
圧縮コイルばね34の弾性力及びロッド32の押上げ力は、油圧シリンダ1の許容使用範囲の下限における油圧で圧縮コイルばね34の弾性力に抗してロッド32によりカウンタレバー22を押上げることができ、かつ圧縮コイルばね34の弾性力でロッド32を還り運動させる大きさにするのであり、圧縮コイルばね34のばね定数とロッド32のピストン部35の受圧面積を適宜設計すればよい。また、油圧シリンダ1の許容使用範囲の上限における初動油圧P1でロッド32が上昇運動しないように、圧縮コイルばね34の弾性力の調節範囲を決定するのである。
【0034】
次に、本発明の第二の実施の形態を図7に基づいて説明する。図7は油圧ピストンに油圧が作用していない停止時のカウンタ周りの拡大断面図である。この第二の実施の形態は、第一の実施の形態における圧縮コイルばね34の他端の位置を調節可能な取付け手段として、ばね押えプレート37、六角穴付きボルト39、ばね調整ねじ38及びロックナット41により構成したが、ばね調整ねじ38及びロックナット41を省略して、これに代わりばね調整シム43を用いるのである。
【0035】
圧縮コイルばね34の他端(上端)の位置はばね押えプレート37に形成した凹部により規制しており、ばね押えプレート37にはロッド32の先端部が貫通する孔を備えている。そして、圧縮コイルばね34の他端の位置の調整は、ばね調整シム43の枚数、厚みを適宜組合せて行うのである。なお、この第二の実施の形態は、上記以外については第一の実施の形態で説明したとおりであるから、説明を省略する。
【0036】
図8から図10は本発明の第三の実施の形態を示す図面であり、図8は油圧ピストンに油圧が作用していない停止時の断面図、図9は図8のカウンタ周りの拡大断面図、図10は油圧ピストンに油圧が作用して油圧ピストンが作動途中の断面図で図8に対応する図面である。図8から図10に基づいて第三の実施の形態を説明する。
【0037】
第三の実施の形態は、引張コイルばね44を用い、引張コイルばね44をカウンタレバー駆動手段31のハウジング33の外側に設けた点で、第一及び第二の実施の形態と異なっており、この相違点について説明し、それ以外については説明を省略する。
ロッド32はハウジング33に設けたブッシュ45を介して設けており、ロッド32の中間部分及びブッシュ45の外周面にはそれぞれOリング46,47を設けている。この実施の形態ではロッド32のピストン部35にはOリングを設けていない。
【0038】
引張コイルばね44の一端はカウンタレバー22の端部に固定し、引張コイルばね44の他端はハウジング33にねじにより埋め込み深さを調節可能としたばね調整フック48に固定している。そして、ばね調整フック48の埋め込み深さを調節して、ロックナット49でその位置に固定するのである。
【0039】
ばね調整フック48及びロックナット49が引張コイルばね44の他端の位置を調節可能な取付け手段としており、この調節可能な取付け手段を介して引張コイルばね44の他端をハウジング33に固定することにより引張コイルばね44の弾性力調節手段としている。ロッド32に油圧が作用しない状態での引張コイルばね44の弾性力を調節可能とする技術的意義は第一の実施の形態で説明したと同様であるので説明を省略する。
【0040】
上記の実施の形態では、引張コイルばね44の他端の位置を調節可能としたが、引張コイルばね44の一端の位置を調節可能としてもよく、両端を調節可能としてもよい。
【0041】
次に、第四の実施の形態を図11及び図12に基づいて説明する。この第四の実施の形態は第一の実施の形態におけるロッド32のピストン部35の受圧面積がロッド32の上昇位置に応じて段階的に大きくなるようにしている。
ロッド32のピストン部35は下方から一段目が径D1、受圧面A1、2段目が径D2、受圧面A2、3段目が径D3、受圧面A3とし、受圧面A2に連通する2段目連通路50と受圧面A3に連通する3段目連通路51とをロッド32の上昇位置に対応させて設けている。
【0042】
図11は油圧がロッド32のピストン部35の受圧面A1にのみ作用可能な状態を示しており、ロッド32が下限位置にある状態を示している。図12はロッド32が上昇途中でピストン部35の受圧面A2にも油圧が作用している状態を示しており、受圧面A1及び受圧面A2の両方に油圧が作用している。図示を省略するが、ロッド32がさらに上昇すると受圧面A3にも油圧が作用する。
【0043】
このように、第四の実施の形態は、ロッド32の上昇位置に対応させて、ピストン部35の受圧面積を段階的に大きくなるようにして、油圧が衝撃的にピストン部35及びカウンタレバー22に作用しないようにしている。第四の実施の形態では、ピストン部35の段階的な径D2,D3、受圧面A2,A3の増大と2段目及び3段目の連通路50,51により受圧面積増大手段を構成している。
この第四の実施の形態は、第一の実施の形態に対して、受圧面積増大手段を設けた場合について説明したが、第二の実施の形態及び第三の実施の形態に同様に受圧面積増大手段を設けることができる。
【0044】
以上説明した第一から第四の実施の形態では、ロッド32の軸心が上下方向に動くように設けたが、ロッド32の軸心が左右方向に動くように設けてもよい。また、カウンタレバー駆動手段31をフロントカバー17に内蔵させたが、フロントカバー17とは別に油圧シリンダ1にハウジングを付設するとともに油圧シリンダ1に作用する油圧を導くようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る概略油圧回路図。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係る断面図。
【図3】図2のカウンタ周りの拡大断面図。
【図4】図2の側面図。
【図5】図4の平面図。
【図6】油圧ピストンが作動途中の断面図で図2に対応する図面。
【図7】本発明の第二の実施の形態に係るカウンタ回りの拡大断面図。
【図8】本発明の第三の実施の形態に係る断面図。
【図9】図8のカウンタ周りの拡大断面図。
【図10】油圧ピストンが作動途中の断面図で図8に対応する図面。
【図11】本発明の第四の実施の形態に係る断面図。
【図12】ロッドが上昇途中の断面図で図11に対応する図面。
【図13】経過時間と油圧とを示す説明図。
【図14】従来例に係る油圧式圧縮装置の底面図。
【図15】従来例に係る油圧式圧縮装置におけるシリンダキャップの側面断面図。
【図16】従来例に係る油圧式圧縮装置における油圧式感知器の側面断面図。
【符号の説明】
【0046】
1 油圧シリンダ
2 負荷
21 機械式カウンタ
22 カウンタレバー
28 軸
32 ロッド
33 ハウジング
34 圧縮コイルばね
44 引張コイルばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に連結する油圧シリンダと、軸が所定角度往復運動することにより数字が1進する機械的機構と軸に直交して設けたカウンタレバーとを有する機械式カウンタと、油圧シリンダに付設するとともに油圧シリンダの油圧によりカウンタレバーを往き運動させるロッドとハウジングとを有するカウンタレバー駆動手段と、ロッドの往き運動時に弾性抵抗となるとともにロッドの還り運動をさせるコイルばねとを備え、ロッドに油圧が作用しない状態でのコイルばねの弾性力を調節可能な弾性力調節手段を備えたことを特徴とする稼動回数表示器搭載油圧シリンダ。
【請求項2】
ハウジング内にロッドを囲むように圧縮コイルばねを設け、コイルばねの一端をロッドに当接させ、コイルばねの他端の位置を調節可能な取付け手段を介してハウジングに固定することにより弾性力調節手段としたことを特徴とする請求項1に記載の稼動回数表示器搭載油圧シリンダ。
【請求項3】
一端をカウンタレバーに固定し他端をハウジングに固定した引張コイルばねをハウジング外に設け、コイルばねの一端および他端の少なくとも一方の位置を調節可能な取付け手段を介して固定することにより弾性力調節手段としたことを特徴とする請求項1に記載の稼動回数表示器搭載油圧シリンダ。
【請求項4】
ロッドにかかる油圧の受圧面積がロッドの往き運動の位置に応じて大となる受圧面積増大手段を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の稼動回数表示器搭載油圧シリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−40364(P2007−40364A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223776(P2005−223776)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(394007849)株式会社堀内機械 (7)
【Fターム(参考)】