説明

穀物吸引搬送装置

【課題】本発明は、穀物を綺麗に洗浄しながら搬送すると共に、搬送中に生じる穀物の欠けを防ぐことができる穀物吸引搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る穀物吸引搬送装置は、搬送物となる穀物aを収容する穀物供給部1と、同穀物供給部1から供給された穀物aをエア搬送するエア搬送管路2と、同エア搬送管路2からエア搬送された穀物aを受けて回収する穀物回収部4と、前記エア搬送管路2の終端部2bを連通した前記穀物回収部4に連通連結し、吸気により前記エア搬送管路2内に気流を生じさせる吸引機構5と、を備え、前記エア搬送管路2内に水分を加える加湿手段を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物吸引搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯留した米などの穀物を搬送物として供給する搬送物供給部と、供給された穀物を気流と共に通過させてエア搬送するエア搬送路と、このエア搬送路内に、前記気流を吸気により生じさせる吸引機構と、前記エア搬送路を通ってエア搬送された搬送物を受ける搬送物受部とからなる穀物吸引搬送装置があった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−160228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の穀物吸引搬送装置は、単に搬送物供給部に貯留した穀物をエア搬送路を通過して搬送物受部に搬送して穀物に付着している塵等を除去する装置でしかない。また、長期に亘り保存した穀物は水分が抜けて乾燥してしまうため、保水量が十分でなく、穀物吸引搬送装置でエア搬送すると穀物が欠けてしまうおそれがあった。
【0005】
さらに、搬送された穀物は、別途、調湿装置などを用いて適正な含水量に調整する必要があるが、かかる調湿装置はかなり高価なものである。また、汚れた穀物が混在している場合には、穀物を洗浄する洗浄装置を別途準備する必要があった。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、穀物を綺麗に洗浄しながら搬送すると共に加湿を可能として、搬送中に生じる穀物の欠けを防ぐことができ、かつ穀物の調湿効果が期待できる穀物吸引搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、搬送物となる穀物を収容する穀物供給部と、同穀物供給部から供給された穀物をエア搬送するエア搬送管路と、同エア搬送管路からエア搬送された穀物を受けて回収する穀物回収部と、前記エア搬送管路の終端部を連通した前記穀物回収部に連通連結し、吸気により前記エア搬送管路内に吸引気流を生じさせる吸引機構と、を備えた穀物吸引搬送装置において、前記エア搬送路内に水分を供給し、供給した水分を前記穀物と共に前記吸引気流により吸引させながら当該穀物を加湿可能とした加湿手段を具備することとした。
【0008】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1記載の穀物吸引搬送装置において、前記加湿手段は、前記エア搬送路の上手側に形成した給水部を介して前記エア搬送路内に水分を供給することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の穀物吸引搬送装置において、前記加湿手段から前記エア搬送路内に供給される水分は、水滴状若しくは霧状であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の穀物吸引搬送装置において、前記穀物供給部には、収容した穀物の水分量を計測するための水分計が設けられ、前記穀物回収部には、回収した穀物の水分量を計測するための水分計が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の穀物吸引搬送装置によれば、エア搬送路内に水分を供給し、供給した水分を前記穀物と共に前記吸引気流により吸引させながら当該穀物を加湿可能としているため、穀物を洗浄しながら搬送しながら穀物を加湿することができる。したがって、搬送前は過度に乾燥している穀物であっても搬送中に欠けなどが生じることを防ぐ効果と、搬送後の穀物の表面を美麗にする効果とが同時に生起される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係る穀物吸引搬送装置を示す模式的な全体説明図である。
【図2】穀物吸引搬送装置の変形例1を示す模式的な全体説明図である。
【図3】図2に示す穀物吸引搬送装置の要部拡大図である。
【図4】穀物吸引搬送装置の変形例2を示す模式的な全体説明図である。
【図5】穀物吸引搬送装置の変形例3を示す模式的な全体説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る穀物吸引搬送装置の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る穀物吸引搬送装置Aを示す模式的な全体説明図である。
【0014】
穀物吸引搬送装置Aは、搬送物となる穀物を収容する穀物供給部1と、同穀物供給部1から供給された米などの穀物aをエア搬送するエア搬送管路2と、エア搬送管路2内に水分を供給し、供給した水分を前記穀物aと共に吸引気流により吸引させながら当該穀物aを加湿可能とした加湿手段としての加湿装置3と、エア搬送管路2からエア搬送された穀物aを受けて回収する穀物回収部4と、エア搬送管路2の終端部を連通した穀物回収部4に連通連結し、エア搬送管路2内に前記吸引気流を生じさせる吸引機構5を備えている。
【0015】
穀物供給部1は、収容した穀物aをエア搬送管路2に供給するホッパー部11を備えており、このホッパー部11の底部は漏斗状に形成されている。かかる漏斗状底部の中央には、穀物供給口12を有する短尺の穀物供給筒13を下方に向けて突設している。
【0016】
穀物供給筒13には、スライド自在な平板をシャッター本体としたシャッター14を開閉自在に取り付けており、このシャッター14のスライド量によって穀物供給口12の開口幅を調整し、穀物aのエア搬送管路2への時間当たりの供給量を調整可能としている。なお、本実施形態では、シャッター14の構造を手動式としているが、例えば、モータなどの駆動手段を備え、自動的にバルブの開口量を調整するような構造であってもよい。また、シャッター本体には必ずしも平板を用いる必要もなく、シャッター14の構造は何ら限定されるものではない。
【0017】
エア搬送管路2は、穀物供給筒13に接続した始端部2a側から終端部2bに向って略L字形状に形成される。具体的には、エア搬送管路2は、始端部2aから垂直方向に延伸した縦置部2dと、略直角に湾曲した湾曲部分2cと、同湾曲部分2cから終端部2bまで水平方向に延伸した横置部2eとを備えている。そして、エア搬送管路2の終端部2bは穀物回収部4の受容ホッパー41の側壁40上部に連通連結されている。
【0018】
ところで、エア搬送管路2の縦置部2dには、外気を供給する外気連通口と水分を供給する水分供給口とを兼用する導入管15が連通連結されている。具体的には、導入管15はエア搬送管路2の縦置部2dに鋭角をなすように連結される。本実施形態では、導入管15を、エア搬送管路2の縦置部2dに略45度の角度で連結している。
【0019】
加湿装置3は、エア搬送管路2内に供給する水分を貯留する給水部7と、導入管15に臨設したノズル8と、水分を供給する給水部7とを備えている。そして、給水部7から水供給管6を介して供給された水分は、ノズル8により霧状にして噴射するようにししている。なお、穀物aを加湿するための水分は、必ずしもノズル8から霧状に噴射されなければならないわけではない。単に、水滴状に導入管15に滴下される構成であってもよい。なお、給水部7には、噴霧する水分量を調節するための電磁弁を備えるようにしている。この電磁弁は、後述する制御部18からの電気信号に基づいて開閉量を制御される。
【0020】
このように、本実施形態では、エア搬送管路2の始端部2a側となる縦置部2dであって、湾曲部分2cの直上流位置に導入管15を鋭角となるように突設し、この導入管15の開口部15aに加湿装置3の一部を構成するノズル8を臨ませている。そして、水供給管6を介して給水部7から供給される水分をノズル8により霧状にして導入管15内に噴霧するようにしている。したがって、導入管15内に噴霧された水は、縦置部2dを垂直方向に通過している穀物aに、略45度の角度で合流することになり、円滑に混ざっていき、エア搬送管路2内を通過している穀物aに付着する。すなわち、角度45度の方向から噴霧された霧状の水分は、吸引気流によってエア搬送管路2の縦置部2d内に一気に拡散され、この拡散された水分を含む吸引気流が穀物aを包むように湾曲部分2c方向に進行し、この湾曲部分2cにおいて、やや減速して進行方向を変える穀物aにより確実に付着する。
【0021】
こうして、水分が付着した穀物aは、エア搬送管路2の湾曲部分2cから横置部2eを通過して穀物回収部4に搬送される。このとき、水分が表面に付着した穀物a同士は互いに接触しあいながら搬送されている。したがって、本実施形態では、エア搬送管路2の縦置部2d内を搬送中の穀物aに外気及び水分を供給する導入管15を介してノズル8から水分を噴霧するため、穀物aに対してむらなく水分を供給して加湿可能となり、穀物a自体の保水量を増加して搬送中に生じる穀物aの欠けを防ぐ効果があると共に、付着した水分が穀物aを綺麗に洗浄する効果も生じる。さらに、加湿装置3により水分が付着した穀物aが、例えば玄米の場合には、精米する作業をし易くする効果がある。すなわち、加湿していない過乾燥した玄米(水分量:12%)の場合には、精米作業での糠の除去率が悪くなり、炊飯した白米の食味が悪くなるが、乾燥玄米を加湿装置で加湿することで、精米し易くなり、炊飯した白米の食味が良好となる効果がある。さらに、加湿装置で加湿する穀物が白米の場合には、白米の表面に付着している遊離糠を従来の方法に比べて約1/3程度にまで減らすことができ、後工程の無洗米加工工程での糠や遊離糠を除くために必要な負荷を軽減することができる。
【0022】
上述した穀物吸引搬送装置Aにおいて、エア搬送管路2内の穀物aに加湿装置3を用いて水分を加湿するようにしたが、さらに、加湿された穀物aの水分量を計測して加湿装置3から噴霧する水分量を自動調節するフィードバック制御するようにしている。
【0023】
先ず、穀物吸引搬送装置Aにおけるホッパー部11内に第1水分計16を設けて、後述するロータリーバルブ43の排出部に第2水分計17を設けるようにしている。一方の第1水分計16からは、ホッパー部11内の穀物aの水分量を計測して第1の値を得られるようにし、他方の第2水分計17からは、加湿装置3で加湿された後の穀物aの水分量を計測して第2の値を得られるようにする。これらの値は、制御部18に送信され、制御部18は、所定の演算を行って、演算結果に基いて、加湿装置3の給水部7の電磁弁を制御して、加湿装置3からの水分量を最適となるようにフィードバック制御を行うようにしている。図中、19aは、第1水分計16と制御部18とを電気的に接続する配線であり、19bは、第2水分計17と制御部18とを電気的に接続する配線であり、19cは制御部18と加湿装置3とを電気的に接続する配線である。
【0024】
例えば、加湿装置3で加湿された後の穀物aの水分量が不足している場合には、これら水分計16,17で計測した水分量の値から求めた差分の値に基づき、加湿装置3で噴霧する水分量を制御部18で算出する。その算出した値に基づいて、加湿装置3の給水部7の電磁弁を調節して所定の水分量を噴霧するようにフィードバック制御を行う。このように加湿装置3からの水分量を常に最適な状態とするフィードバック制御を行うことで、季節や室温等の環境変化や穀物aの種類や穀物aの管理状態等により、穀物aの水分量が異なった際にも、加湿装置3で加湿した後の穀物aの水分量を最適な状態に維持することが可能となる。
【0025】
穀物回収部4は、エア搬送管路2の終端部2bと連通連設した受容ホッパー41を備えており、受容ホッパー41内には、回収ガイド9を配設すると共に回収ガイド9基端側をエア搬送管路2の終端部2bに連通連結している。
【0026】
また、受容ホッパー41の下端部には、当該受容ホッパー41から外部への穀物取出口42を設け、この穀物取出口42のさらに下方位置にロータリーバルブ43を配設している。受容ホッパー41の上端をなす天井部44には、排気管31を突設し、さらにこの排気管31に吸気ダクト32を介して吸引機構5を連通連結している。
【0027】
吸引機構5は、エア搬送管路2や受容ホッパー41の内部の空気を吸引する。このエア吸引力により、穀物供給部1から穀物aがエア搬送管路2内を搬送されつつエア搬送管路2に連通連結した導入管15からノズル8から噴霧された水分が吸引されて効率的に穀物aに付着する。水分が付着した穀物aは洗浄されると共に保湿量を増加して受容ホッパー41に搬送される。33は排気管31と連通する排気口である。
【0028】
なお、受容ホッパー41の内部におけるエア搬送管路2の連通個所より上方には、図示しない穀物流出防止フィルタを設け、排気口33から搬送物aが流出するのを防止するようにしてもよい。
【0029】
また、前記受容ホッパー41は、その側壁40において、エア搬送管路2と連通する箇所から下方部分を前記ロータリーバルブ43に向けて傾斜させて傾斜壁45を形成する一方、この傾斜壁45に対向する面を垂直壁46としている。
【0030】
ところで、回収ガイド9は、穀物aの搬送方向を水平方向から垂直方向に変更する断面視略湾状のガイド壁90と、同ガイド壁90の両端から弧状に延設され、搬送方向に沿って伸延する所定高さを有する一対の側壁91,91とから断面視円弧状の略樋状に形成されている。
【0031】
回収ガイド9では、エア搬送管路2の横置部2eから流入する穀物aの搬送方向を略直角に変更しつつ搬送速度を減速するので、穀物aは緩やかに下降することができ、穀物aの損傷を防止するとともに、穀物aが受容ホッパー41上部の排気口33に吸引されることがなくなり、よって吸引機構5への混入も可及的に防止することができる。
【0032】
回収ガイド9の基端部は、搬送方向に向かって断面積を漸次拡大させて形成しているので、拡大部92によって穀物aの搬送速度を一旦減速させることができ、この減速後に回収ガイド9に沿って穀物aを縦方向に旋回移動させながらさらに減速するようにしている。したがって、かかる構成からも、回収ガイド9から放出する穀物aが勢い良く受容ホッパー41の内壁面などに衝突して損傷することを防止することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、回収ガイド9の基端部だけでなく、同回収ガイド9を連設するエア搬送管路2の終端部2bも前記拡大部92と同径となるように断面積を拡大させて、エア搬送管路2と回収ガイド9とを緊密な状態で接続している。
【0034】
なお、回収ガイド9は、ガイド壁90の幅が一定で、同ガイド壁90の両端部に連設される側壁91,91も互いに略平行としたが、これに限らず、ガイド壁90の幅を搬送方向に向かって漸次広げ、両側壁91,91が搬送方向に向かって次第に離れる構造としたり、逆に、ガイド壁90の幅を搬送方向に向かって狭めていって、両側壁91,91が搬送方向に向かって次第に近づく構造としたりすることもできる。例えば、ガイド壁90の基端部の断面積を搬送方向へ向けて拡大すると、この拡大部で穀物aの搬送速度をさらに減速させて回収ガイド9から放出させることができるので、穀物aの損傷をより効果的に防止することが可能となる。
【0035】
[変形例1]
次に、外気と水分を供給する導入管15のエア搬送管路2に対する取り付け構造の変形例について、図2及び図3を参照しながら説明する。なお、以下の変形例において、上述した図1中の同一構成については同一符号を付して重複説明を省略し、また、効果についても同様に省略する。
【0036】
この例では、エア搬送路2cの横置部2eに対して水平に導入管25を連通連結し、穀物供給部1のホッパー部11に接続した穀物供給筒13から湾曲させ、先端部に穀物導入部27を形成した接続筒2fを横置部2eに接続した構成としている。すなわち、換言すれば、エア搬送管路2の湾曲部分2cと横置部2eとの境部分に、ホッパー部11に連通し、エア搬送管路2の縦置部2dとなる接続筒2fと、水平方向に伸延させた導入管25を連通連結している。
【0037】
かかる構成としても、先の実施形態同様に、導入管25の始端開口部26からは必要量の外気や水分を十分に供給することができるとともに、穀物供給口12からの自然落下により、穀物aを簡単かつ確実にエア搬送管路2内に供給して円滑なエア搬送が行える。
【0038】
すなわち、導入管25の始端開口部26には、加湿装置3の一部を構成するノズル8が臨設されている。ノズル8は水供給管6を介して給水部7から供給される水を霧状にして導入管25内に噴霧する。導入管25内に噴霧された水分は、エア搬送管路2の湾曲部分2cを通過して横置部2eに至る穀物aに付着することとなる。この導入管25は、始端開口部26の開口径に比べて、その終端部分、すなわち、エア搬送管路2における穀物導入部27下の通路29が狭められており、始端開口部26から導入された外気と水分は、狭く形成された通路29で加速されて通路29端部から横置部2e内に一気に拡散され、湾曲部分2cから横置部2eを進行中の穀物aに噴霧される。したがって、横置部2eを進行中の穀物aが拡散された水分で包まれながら吸引気流と共にエア搬送管路2の湾曲部分2cから横置部2eを通過して穀物回収部4に搬送される。
【0039】
このように、エア搬送管路2の湾曲部分2c内を搬送中の穀物aに導入管25を介してノズル8で水分を噴霧するため、付着した水分が穀物aを綺麗に洗浄すると共に穀物a自体の保水量を増加して搬送中に生じる穀物aの欠けを防ぐ効果がある。
【0040】
また、エア搬送管路2内の穀物導入部27は、図3に示すように、エア搬送管路2の内部の搬送方向に向かって穀物受板28を適宜長さで伸延させて形成している。
【0041】
すなわち、エア搬送管路2の縦置部2d内における略中心部分に位置する穀物導入部端部27aから、エア搬送管路2を上下に仕切るように穀物受板28を延設している。この穀物受板28によって、穀物供給部1から落下する穀物aを一旦受け止めた後にエアにより吸引搬送するようにしている。かかる構成とすることで、大量の穀物aが一度に落下してエア搬送管路2内に堆積して詰まったりするおそれがなく、穀物aのエアによる吸引搬送を円滑に行うことができる。
【0042】
[変形例2]
次に、エア搬送管路2の外気や水分を供給する導入管25の変形例2について、図4を参照しながら説明する。
【0043】
この例では、図2及び図3中の導入管25に外気のみを導入する構造としたものであり、加湿装置30の一部を構成する水分供給管63をエア搬送管路2の横置部2eの中途部に連通連結した構成としている。具体的には、穀物aの搬送方向の横置部2eに垂直方向から水分供給管63を連通連結している。なお、より好ましくは、水分供給管63を搬送方向に対して後方へ傾倒させて、水分を水分供給管63に対して鋭角に供給できるように接続することが好ましい。
【0044】
加湿装置30は、水分供給管63と給水部7と水供給管60とからなり、給水部7から供給される水滴状の水分が水分供給管63を介してエア搬送管路2の横置部2e内に供給される。
【0045】
吸引機構5が作動すると、穀物供給部1から穀物aがエア搬送管路2内に引き込まれて、導入管25から供給される外気と共に搬送され、さらに搬送中の穀物aがエア搬送管路2の横置部2eに連通連結した水分供給管63から供給された水滴状の水分を付着した状態で穀物回収部4に搬送されることとなる。
【0046】
このように、本実施形態では、エア搬送管路2の横置部2e内を搬送中の穀物aに水分供給管63から水滴状の水分を供給するため、穀物aを綺麗に洗浄すると共に穀物a自体の保水量が増加して穀物aの欠けを防ぐ効果がある。
【0047】
[変形例3]
次に、エア搬送管路2に外気や水分を供給する構造の変形例3について、図5を参照しながら説明する。
【0048】
また、図5に示すように、エア搬送管路2の始端部2aに形成された穀物導入部77は、穀物供給部1から供給される穀物aと外気を搬送・供給する構造となっている。そして、穀物供給部1の穀物供給筒13は、エア搬送管路2の穀物導入部77(外気連通口)から所定距離だけ離隔した状態で臨設される。
【0049】
穀物導入部77は、エア搬送管路2の他の部分の直径よりも大径の拡径部21に形成されており、穀物供給筒13の開口部よりも大口径となるように構成している。
【0050】
エア搬送管路2の横置部2eの中途部には、加湿装置80の一部を構成する水分供給管83が連通連結されている。具体的には、水分供給管83は、基端側を湾曲させて横置部2eに連通連結される。本実施形態では、水分供給管83の基端の導入板83aを、エア搬送管路2の横置部2eに略30度の角度で連結している。
【0051】
加湿装置80は、水分供給管83と加湿部87とを備えている。水分供給管83には、給水部(図示しない)から供給される水分を霧状にする超音波式(ネビライザー方式)の加湿部87が接続される。
【0052】
エア搬送管路2の始端部2aは、エア搬送管路2内に引き込む外気の取込口である外気連通口と、エア搬送管路2内にエア搬送対象となる米などの穀物aを取り込む穀物導入口とを兼用する穀物導入部77を備えている。
【0053】
穀物導入部77には、ホッパー部11から供給される穀物aが自然落下によってエア搬送管路2内に簡単に供給されると共に、穀物供給筒13の開口径より大径に形成されるために、外気連通口として機能して外気が吸引される。穀物aは穀物導入部77から散逸することなく効果的にエア搬送管路2内に供給され、吸引気流に乗ってそのままエア搬送管路2内の始端部2a→縦置部2d→湾曲部分2c→横置部2e→終端部2bの順に円滑に流れて搬送されていく。加湿部87で発生させた霧状の水分は、水分供給管83内に噴霧される。水分供給管83内に噴霧された霧状の水分は、横置部2eを水平方向に通過している穀物aに、略30度の角度で合流することになり、円滑に混ざっていき、穀物aに付着する。水分が付着した穀物aはエア搬送管路2の横置部2eを洗浄されながら搬送されて穀物回収部4内に効果的に収容される。
【0054】
なお、加湿装置80には、穀物aへの水分量を調節するための制御部18が接続されており、上記穀物吸引搬送装置Aと同様に、第1水分計16と第2水分計17とで計測した値に基づいて、水分量のフィードバック制御を行うようにしている。
【0055】
なお、変形例3において、エア搬送管路2の横置部2eに水分供給管83を連通連結して加湿するようにしたが、外気連通口としての穀物導入部77から加湿装置で発生させた霧状の水分を供給するようにしてもよい。
【0056】
なお、本発明を各実施形態を通して説明したが、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の主旨を逸脱することのない限り、各構成要素の形状や装置のレイアウトなどは適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0057】
A 穀物吸引搬送装置
1 穀物供給部
2 エア搬送管路
3 加湿装置
4 穀物回収部
5 吸引機構
6 水供給管
7 給水部
9 回収ガイド
11 ホッパー部
12 穀物供給口
13 穀物供給筒
14 シャッター
15 導入管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物となる穀物を収容する穀物供給部と、
同穀物供給部から供給された穀物をエア搬送するエア搬送管路と、
同エア搬送管路からエア搬送された穀物を受けて回収する穀物回収部と、
前記エア搬送管路の終端部を連通した前記穀物回収部に連通連結し、吸気により前記エア搬送管路内に吸引気流を生じさせる吸引機構と、
を備えた穀物吸引搬送装置において、
前記エア搬送路内に水分を供給し、供給した水分を前記穀物と共に前記吸引気流により吸引させながら当該穀物を加湿可能とした加湿手段を具備することを特徴とする穀物吸引搬送装置。
【請求項2】
前記加湿手段は、
前記エア搬送路の上手側に形成した給水部を介して前記エア搬送路内に水分を供給することを特徴とする請求項1記載の穀物吸引搬送装置。
【請求項3】
前記加湿手段から前記エア搬送路内に供給される水分は、水滴状若しくは霧状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の穀物吸引搬送装置。
【請求項4】
前記穀物供給部には、収容した穀物の水分量を計測するための水分計が設けられ、前記穀物回収部には、回収した穀物の水分量を計測するための水分計が設けられることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の穀物吸引搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−120972(P2011−120972A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278689(P2009−278689)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(502197275)福岡精米機器株式会社 (11)
【Fターム(参考)】