説明

穀粒処理施設の荷受車両洗浄装置。

【課題】 共同利用される穀粒処理施設物では、荷受ホッパ内に異品種の穀粒が混入したり、夾雑物が入り易い。荷受ホッパが荷受室床面近くの低位置に設けられて、トラック等の車両によって穀粒を直接搬入供給されるため、特に車両の車輪に、穀粒が泥土等と共に付着したままの状態で持込まれることが多い。
【解決手段】 車両により搬入される穀粒を荷受揚床1面下に形成の荷受ホッパ2で受けて穀粒調整処理する穀粒処理施設において、車両の入口床1部に、車輪を踏圧支持する格子3を有した床溝4を設け、この床溝4部には、車両の通過を検出する車両センサ5の検出によって、この車両の底下面、乃至車輪部に噴風して洗浄する噴風ノズル6を設けたことを特徴とする荷受車両洗浄装置の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、米、麦、トウモロコシ、大豆等の穀豆粒を乾燥等調整処理する穀粒処理施設において、この処理施設内に荷受するために出入する荷受車両を洗浄する荷受車両洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒処理施設は、多数農家が各々異品種の穀粒を持込んで乾燥等の調整を行う共同処理形態が一般的である。このため、処理施設の床面に穀粒の荷受けを行う荷受ホッパを設け、各農家から車両で搬入させて供給させる。この荷受ホッパでは搬入毎の品種が異なることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003ー284427号公報(第2頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
共同利用される穀粒処理施設物では、荷受ホッパ内に異品種の穀粒が混入したり、夾雑物が入り易い。荷受ホッパが荷受場床面近くの低位置に設けられて、トラック等の車両によって直接搬入供給されるため、特に車両の車輪に泥土等と共に付着したままの状態で持込まれることが多い。又、この荷受ホッパ部の荷受室では、荷受時の穀粒から発生ずる塵埃や、車輪に付着して持込まれる泥土等から生ずる塵埃等が浮遊して非衛生的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、車両により搬入される穀粒を荷受場床(1)面下に形成の荷受ホッパ(2)で受けて穀粒調整処理する穀粒処理施設において、車両の出入りする入口床(1)部に、車輪を踏圧支持する格子(3)を有した床溝(4)を設け、この床溝(4)部には、車両の通過を検出する車両センサ(5)の検出によって、この車両の底下面、乃至車輪部に噴風して洗浄する噴風ノズル(6)を設けたことを特徴とする荷受車両洗浄装置の構成とする。車両が、穀粒処理施設の荷受ホッパ(2)に穀粒を搬入供給するために、入口床(1)部の床溝(4)上格子(3)上面を通ると、車両センサ(5)による検出によって噴風ノズル(6)から噴風されて、この車両の底下面、乃至車輪部が噴風圧で洗浄される。この風圧洗浄によって車両底面や、又は車輪に付着する泥土やわら屑、乃至穀粒等が落される。このようにして洗浄された状態の車両が荷受ホッパ(2)部に接近して、積載していた穀粒を荷受ホッパ(2)へ供給する。車両が噴風ノズル(6)からの噴風洗浄を受けて、格子(3)上面を通過した後は、車両センサ(5)によって噴風洗浄作用は停止される。又、このようにして洗浄により落された異物や、付着穀粒等は格子(3)から床溝(4)に落下されて、荷受ホッパ(2)側への持込を阻止される。
【0005】
請求項2に記載の発明は、車両により搬入される穀粒を荷受場床(1)面下に形成の荷受ホッパ(2)で受けて穀粒調整処理する穀粒処理施設において、該荷受ホッパ(2)の荷受床(1)面に、車両を定位置に停止させる車止め(7)を突出形成し、この車止め(7)に床1面に沿って噴風する噴風ノズル(8)を設けたことを特徴とする荷受車両洗浄装置の構成とする。車両が、荷受ホッパ(2)に穀粒を搬入供給するときは、この荷受ホッパ(2)の手前に接近して、車輪を車止め(7)に接近、乃至当接させて定位置に停止させて、ダンプや、袋移し等によって車両に積載穀粒を荷受ホッパ(2)へ供給する。このとき車止め(7)によって床(1)面上の穀物が荷受ホッパ(2)側へ入らないように阻止され、この車止め(7)の噴風ノズル(8)から噴風されて、車両の車輪部や、この車輪の位置する床1面に沿って噴風されて、これらに付着していた穀粒や、異物等が床(1)面に落されても、荷受ホッパ(2)へ入らないように噴き飛ばされて、これら車輪部や、荷受けホッパ(2)近くの床(1)面が洗浄される。
【0006】
請求項3に記載の発明は、前記荷受ホッパ(2)を複数車両の搬入幅にわたって幅広く形成し、各荷受ホッパ(2)間には、吸塵口(9)を形成した仕切壁(10)を設けたことを特徴とするものである。荷受ホッパ(2)は複数の車両が並んで同時に荷受作業を行うことが可能に幅広い形態に構成されるが、各荷受ホッパ(2)間に形成される仕切壁(10)によって、相隣接相互間の荷受ホッパ(2)への穀粒や塵埃等の飛散を防止し、各荷受ホッパ(2)毎にこの仕切壁(10)の吸塵口(9)から吸塵させて、衛生的な作業環境状態を維持する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、車両が、荷受ホッパ(2)へ穀物搬入する前の入口床(1)部の格子(3)上を通るとき、噴風ノズル(6)からの噴風を受けて、この車両底下面、又は車輪に付着して持込まれようとする異物が除去されて、格子(3)下の床溝(4)に落下されるため、荷受作業を衛生的に行うことができ、異種穀粒等の混入を有効に防止することができる。又、噴風ノズル(6)からの噴風作用が車両センサ(5)によって車両の通るときにのみおこなわれて効率的、及び衛生的である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、荷受ホッパ(2)の位置する荷受床(1)面には車止め(7)が突出形成するため、この車両の車輪が車止め(7)に当接するとき等に付着異物が落ち易い状態にあるが、この車止め(7)部の噴風ノズル(6)からの噴風によって、これら車輪に付着している穀粒や、床(1)面に落下している穀粒等が車止め(7)から遠ざかるように噴掃されて、車止め(7)による仕切作用と伴って、荷受ホッパ(2)手前近くの床(1)面を清掃して、このに受ホッパ(2)への飛込混入を有効に防止することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、荷受ホッパ(2)は横方向に複数車両が出入りして並んだ状態で同時荷受作業可能で、効率良い作業を行うことができると共に、仕切壁(10)によって隣接相互の荷受ホッパ(2)間における異種類穀粒の混入を防止することができ、この仕切壁(10)の吸塵口(9)によって飛散して舞い上がる塵埃を吸引除去することができ、衛生的な荷受作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図面に基づいて、穀粒としての籾を乾燥、籾摺、精米する籾乾燥処理施設は、籾を車両で搬入させる荷受室15と、籾摺機16や精米機17を設置した籾摺精米室18を正面入口部の建屋に配置し、この奥側に荷受けした籾を一時貯留する一時貯留タンク19や、籾を乾燥する乾燥機20等を設置する乾燥室21を配置し、更に、湿式集塵装置22、送風室23から各部へ送風、吸引する送風筒24、籾を収容する貯留槽25等を配置している。
【0011】
ここにおいて、この発明の荷受車両洗浄装置は、車両により搬入される穀粒を荷受場床1面下に形成の荷受ホッパ2で受けて穀粒調整処理する穀粒処理施設において、車両の出入りする入口床1部に、車輪を踏圧支持する格子3を有した床溝4を設け、この床溝4部には、車両の通過を検出する車両センサ5の検出によって、この車両の底下面、乃至車輪部に噴風して洗浄する噴風ノズル6を設けた構成とする。車両が、穀粒処理施設の荷受ホッパ2に穀粒を搬入供給するために、入口床1部の床溝4上格子3上面を通ると、車両センサ5による検出によって噴風ノズル6から噴風されて、この車両の底下面、乃至車輪部が噴風圧で洗浄される。この風圧洗浄によって車両底面や、又は車輪に付着する泥土やわら屑、乃至穀粒等が落される。このようにして洗浄された状態の車両が荷受ホッパ2部に接近して、積載していた穀粒を荷受ホッパ2へ供給する。車両が噴風ノズル6からの噴風洗浄を受けて、格子3上面を通過した後は、車両センサ5によって噴風洗浄作用は停止される。又、このようにして洗浄により落された異物や、付着穀粒等は格子3から床溝4に落下されて、荷受ホッパ2側への持込を阻止される。
【0012】
又、車両により搬入される穀粒を荷受場床1面下に形成の荷受ホッパ2で受けて穀粒調整処理する穀粒処理施設において、該荷受ホッパ2の荷受床1面に、車両を定位置に停止させる車止め7を突出形成し、この車止め7に床1面に沿って噴風する噴風ノズル8を設けた構成とする。車両が、荷受ホッパ2に穀粒を搬入供給するときは、この荷受ホッパ2の手前に接近して、車輪を車止め7に接近、乃至当接させて定位置に停止させて、ダンプや、袋移し等によって車両に積載穀粒を荷受ホッパ2へ供給する。このとき車止め7によって床1面上の穀物が荷受ホッパ2側へ入らないように阻止され、この車止め7の噴風ノズル8から噴風されて、車両の車輪部や、この車輪の位置する床1面に沿って噴風されて、これらに付着していた穀粒や、異物等が床1面に落されても、荷受ホッパ2へ入らないように噴き飛ばされて、これら車輪部や、荷受けホッパ2近くの床1面が洗浄される。
【0013】
更には、前記荷受ホッパ2を複数車両の搬入幅にわたって幅広く形成し、各荷受ホッパ2間には、吸塵口9を形成した仕切壁10を設けたものである。荷受ホッパ2は複数の車両が並んで同時に荷受作業を行うことが可能に幅広い形態に構成されるが、各荷受ホッパ2間に形成される仕切壁10によって、相隣接相互間の荷受ホッパ2への穀粒や塵埃等の飛散を防止し、各荷受ホッパ2毎にこの仕切壁10の吸塵口9から吸塵させて、衛生的な作業環境状態を維持する。
【0014】
前記荷受室15は、穀粒運搬用車両の出入りし易い箇所に設けられ、複数台の車両が同時に出入りして籾入荷を行うことが可能に、入口幅を広く構成している。荷受室15の床1の出入口26部に沿って床溝4を形成して、この床溝4の上面に格子3を敷設して、車両が踏んで出入りできる形態にしている。この荷受床1の奥側に荷受ホッパ2が配置される。各荷ホッパ2は、床1面下に形成されて、床1面と略同位置に沿ってホッパ格子27が敷設されて、籾の供給を行わせることができる。この荷受ホッパ2は各車両毎に荷受作業が可能の幅に構成されて、各々左右方向に並列する形態に配置される。各荷受ホッパ2部の間には適宜高さの仕切壁10が設けられる。荷受室15の建屋の奥側には、この仕切壁10を含む平面視凹字状形態の周壁28が構成されて、各荷受ホッパ2の上側部を一定高さに囲んで荷受する籾や塵埃等が隣接の荷受ホッパ2部に飛散しないように構成している。各荷受ホッパ2の底部にはコンベア32を敷設して、荷受籾を後側に一時貯留タンク19へ搬送することができる。又、前記各仕切壁10や、周壁28部には、集塵ダクト30を配置して、適宜位置に吸塵口9を配置している。これら荷受ホッパ2や、吸引筒29、及びコンベア32等は、床1面下に形成のピット31内に構成している。
【0015】
前記車両センサ5は、光電管形態等から構成されおり、荷受室15の出入口26部に設けられて、車両がこの出入口26に入ったことを検出し、この検出によって、この出入口26部に設けられる床溝4から格子3上面へ向けて噴風ノズル6から噴風作用を行わせる。この噴風ノズル6のエアダクト回路に設けられる開閉弁を開いて噴風ノズル6から噴風させて、格子3上面を通る車両の底下面や、車輪等に噴風してこれらに付着する泥土や、わら屑、籾等を噴掃落下する。この床溝4に沿って送風筒24の支流の風管33を敷設していて、該車両の特に車輪の通る位置に上方格子3上に向けて噴風するように噴風ノズル6を配置する。この送風管33は、図4のように単一管形態Aの構成とすることも可能であるが、複数並設の複数管形態Bの構成とすることもできる。又、前記格子3を振動可能の構成として、この格子3の上面を車輪が踏むことによって、この車輪が振動されて、車輪に付着する異物を落ち易くするものである。前記車両センサ5の検出によって、格子3を振動するための格子振動モータ34を電動するように構成することができる。このように車両センサ5による出入口26の噴風ノズル6は、この送風管33の開閉バルブが電磁ソレノイド35によって開閉されて、噴風することができる。これら車両センサ5やソレノイド35がコントローラ36の入力側と出力側に配置される。又、この車両センサ5の検出によって該格子振動モータ34の駆動、停止を行わせる構成としている。このようにして、荷受車両が出入口26を通って、荷受室15へ入り、荷受ホッパ2へ通るときは、車両センサ5の検出によって出入口26の噴風ノズル6からの噴風を受けて、車両底下面、乃至車輪が噴風洗浄されて、異物や異種品の籾等の付着物が格子3下の床溝4部
に落下される。このとき、該格子3を振動可能の構成としている形態では、車両センサ5の検出によってモータ34を電動して、この格子3上面を踏む車輪を振動させることができ、付着異物の落下を促進することができる。
【0016】
又、車両が荷受室15の荷受床1面を通って荷受ホッパ2に接近して、車両の後輪を車止め7に接当させて停止させる。この状態で車両の荷台をダンプさせたり、又は、この荷台に積載していた籾袋をホッパ格子27上面に移して、収容籾を荷受ホッパ2内へ供給する。このとき、車両が車止め7に接近して停止したことを車両センサ37で検出することによって、前記送風管33の開閉バルブの電磁ソレノイドバルブ38を開いて、噴風させることができる。この車止め7の近くには車両が停止して床1面に異物や、異種籾等が落下することが多いが、この車止め7の噴風ノズル8がホッパ2とは反対側の出入口26側へ向けて床1面上に沿って噴風されるため、床溝4側へ吹き飛ばされて、噴風清掃される。又、この噴風ノズル8から噴風を、この車止め7内に形成のダクト38に連通の電動送風機39を設ける形態にあっては、前記車両センサ37の検出によってコントローラ36を介してこの送風機39の送風モータ40を駆動するように構成することができる。
【0017】
このような、荷受室15内における車両による籾搬入、乃至荷受ホッパ2へ籾供給作業においては、多量の塵埃を発生するが、各荷受ホッパ2の左右両側の仕切壁10と、奥側の周壁28と等で包囲されて、これら仕切壁10や周壁28等に配置する吸塵口9に吸塵させて、塵埃の飛散を防止することができる。又、左右両ホッパ2間の仕切壁10は各々供給中の籾が隣のホッパ2内に直接飛込まれないように遮断する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】穀粒処理施設の平面配置図。
【図2】その一部荷受室部の拡大平面図。
【図3】その正断面図。
【図4】その床溝部の側断面図。
【図5】車止め部の平面図。
【図6】車止め部の平面図。
【符号の説明】
【0019】
1 荷受室部の床
2 荷受ホッパ
3 格子
4 床溝
5 車両センサ
6 噴風ノズル
7 車止め
8 噴風ノズル
9 吸塵口
10 仕切壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両により搬入される穀粒を荷受場床(1)面下に形成の荷受ホッパ(2)で受けて穀粒調整処理する穀粒処理施設において、車両の出入りする入口床(1)部に、車輪を踏圧支持する格子(3)を有した床溝(4)を設け、この床溝(4)部には、車両の通過を検出する車両センサ(5)の検出によって、この車両の底下面、乃至車輪部に噴風して洗浄する噴風ノズル(6)を設けたことを特徴とする荷受車両洗浄装置。
【請求項2】
車両により搬入される穀粒を荷受場床(1)面下に形成の荷受ホッパ(2)で受けて穀粒調整処理する穀粒処理施設において、該荷受ホッパ(2)の荷受床(1)面に、車両を定位置に停止させる車止め(7)を突出形成し、この車止め(7)に床(1)面に沿って噴風する噴風ノズル(8)を設けたことを特徴とする荷受車両洗浄装置。
【請求項3】
前記荷受ホッパ(2)を複数車両幅にわたって幅広く形成し、各荷受ホッパ(2)間には、吸塵口(9)を形成した仕切壁(10)を設けたことを特徴とする請求項1、又は2に記載の穀粒処理施設の車両洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−230658(P2007−230658A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50519(P2006−50519)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】