説明

穀粒処理機のホッパー

【課題】穀粒処理機のホッパーにおいて、部品置き場所管理や取り外し作業、作業者の動線確保等の問題を解消し、スペースの効率化及び作業性の向上を図ること。
【解決手段】穀粒処理機の下部に近接して配設したホッパー4は、後板22と、各側板24と、前板26とにより、上部に張り込み口28を形成し、ホッパー4に連結された架台46から延びる支柱48に支持されて張り込まれる穀粒を支持する張り込み台34を設け、この張り込み台34は張り込まれる穀粒を支持する開位置と張り込み口28を覆う閉位置との間で回動可能なようにこの張り込み台34の基端側を前記架台46の上端に軸支し、支柱48は張り込み台34の開位置と閉位置とに連動して回動可能なように下端を架台46に軸支するとともに上端を連絡材の一端に軸支し且つこの連絡材の他端を張り込み台34の基端側から離間する中間部位に軸支した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は穀粒処理機のホッパーに係り、特に、スペースの効率化及び作業性の向上を図ることができる穀粒処理機のホッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
米等の穀粒は、収穫後において、穀粒処理機により乾燥処理や選別処理を行っている。穀粒処理機には、穀粒に熱風を作用させて乾燥処理する穀物乾燥機や、穀粒に照射した光の反射などによって色彩が変化する特性を利用して、良品と不良品とに選別する色彩選別機などがある。
【特許文献1】実公昭59−12549号公報
【特許文献2】特開昭55−165176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、穀物乾燥機や色彩選別機などの穀粒処理機においては、下部に処理用の穀粒を張り込むためのホッパーを配設し、このホッパーに張り込まれた穀粒を昇降機により穀粒処理機の上部に搬入し、この搬入された穀粒が流下する間に乾燥処理や選別処理を行っている。
【0004】
この穀粒処理機は、昇降機により上部に搬入される穀粒を張り込むためのホッパーを下部に近接して配設している。この穀粒処理機のホッパーには、ゴミが入らないように蓋を設け、また、ホッパーから張り込まれる穀粒の重量を支持する張り込み台を設けている。
【0005】
ところが、ホッパーに別体の蓋を設けた場合は、穀粒の張り込み時にホッパーから外した蓋の置き場所を確保しなければならない問題があり、外した蓋が紛失する等の問題がある。
また、ホッパーに張り込み台を別置きした場合は、張り込み台が穀粒処理機から突出されるため、設置スペースを必要とし、張り込み後の不使用時に作業者の動線に干渉する問題がある。
さらに、ホッパーが穀粒処理機の下部に近接して配設された場合は、ホッパーが点検孔等のメンテナンス場所への接近を妨げる問題があり、ホッパーを取り外さなければメンテナンスを実施できない問題がある。
【0006】
このため、従来の穀粒処理機のホッパーにおいては、部品置き場所管理や取り外し作業、作業者の動線確保等の問題があり、スペースの有効利用を妨げて作業性を低下させる不都合があった。
【0007】
この発明は、穀粒処理機のホッパーにおいて、部品置き場所管理や取り外し作業、作業者の動線確保等の問題を解消し、スペースの効率化及び作業性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、昇降機により穀粒処理機の上部に搬入される穀粒を張り込むためのホッパーを前記穀粒処理機の下部に近接して配設した穀粒処理機のホッパーにおいて、このホッパーは、前記昇降機に連絡する穀粒の連絡孔が形成された後板と、この後板の幅方向両側からそれぞれ突出される各側板と、各側板の下側の前端から後端まで連結されて前記連絡孔に向かい下降傾斜されるとともに前記後板に連結される前板とにより、上部に張り込み口を形成し、前記ホッパーに連結された架台から延びる支柱に支持されて張り込まれる穀粒を支持する張り込み台を設け、この張り込み台は張り込まれる穀粒を支持する開位置と前記張り込み口を覆う閉位置との間で回動可能なようにこの張り込み台の基端側を前記架台の上端に軸支し、前記支柱は前記張り込み台の開位置と閉位置とに連動して回動可能なように下端を前記架台に軸支するとともに上端を連絡材の一端に軸支し且つこの連絡材の他端を前記張り込み台の基端側から離間する中間部位に軸支したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の穀粒処理機のホッパーは、張り込み台を開位置にすることにより、張り込まれる穀粒を載せることができるとともに張り込み台に連動する支柱によって張り込まれる穀粒を載せた張り込み台を架台に支持することができ、また、張り込み台を閉位置にすることにより、不使用時の張り込み台が穀粒処理機から突出されることがなく、ホッパーの張り込み口を覆うことができる。
これにより、この発明の穀粒処理機のホッパーは、蓋の置き場所の確保を必要とせず、蓋の紛失等を招くことがなく、張り込み台の設置スペースを必要とせず、不使用時に作業者の動線に干渉することがないため、部品置き場所管理や取り外し作業、作業者の動線確保等の問題を解消し、スペースの効率化及び作業性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の穀粒処理機のホッパーは、張り込み台を開位置と閉位置との間で回動可能とし、スペースの効率化及び作業性の向上を図るものである。
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1〜図5は、この発明の実施例を示すものである。図5において、2は穀粒処理機である色彩選別機、4はホッパー、6は昇降機である。色彩選別機2は、本体8を基台10の一側に寄せて搭載され、本体8の正面側に操作パネル12を設け、本体8の基台10に対して他側の側面の下部に点検口14を設け、この点検口14に点検蓋16を着脱可能に設けている。基台10の他側には、前側に寄せてホッパー4が搭載され、後側に寄せて昇降機6が搭載されている。
【0012】
前記ホッパー4は、色彩選別機2の本体8の他側の下部の点検口14に近接して配設され、昇降機6の下部に連絡筒18により連絡されている。前記昇降機6は、ホッパー4の後側であって本体8の他側の点検孔14を避けて配設され、上部を搬入筒20により色彩選別機2の上部に連絡されている。
【0013】
前記ホッパー4に張り込まれた穀粒は、連絡筒18により昇降機6の下部に送られ、昇降機6により持ち上げられて、搬入筒20により色彩選別機2の上部に搬入される。色彩選別機2は、例えば、搬入された穀粒を供給装置により下部の光学検出装置に供給して色彩を検出し、検出された色彩に基づいて穀粒を選別装置により良品と不良品とに選別する。
【0014】
この色彩選別機2は、昇降機6により上部に搬入される穀粒を張り込むためのホッパー4を、下部に近接して配設している。このホッパー4は、図1・図2に示すように、後板22と2枚の側板24と前板26とにより上部に張り込み口28を形成している。
【0015】
後板22は、昇降機6の前側に近接配設され、昇降機6に連絡する穀粒の連絡孔30を形成し、連絡孔30を開閉するシャッター32を設けている。連絡孔30は、図5に示すように、前記連絡筒18により昇降機6の下部に連絡されている。前記各側板24は、後板22の幅方向両側からそれぞれ基台10の前側に向かい平行に突出され、側面から視た場合に下側が前端から後端に向かい下降傾斜され、下部を連絡孔30に向かい窄まるように折曲されている。前記前板26は、各側板24の下側の前端から後端まで連結されて連絡孔30に向かい下降傾斜されるとともに後板22の下部に連結されている。
【0016】
前記ホッパー4には、張り込まれる穀粒を支持する張り込み台34を設けている。張り込み台34は、四角形状の天板36と、天板36の前後から垂下される前板38及び後板40と、天板36の両側から垂下されて前板38及び後板40に連結される2枚の側板42とにより、四角蓋形状に形成される。張り込み台34は、天板36の裏面の前板38近傍に、把手44を取り付けている。把手44は、両端を各側板42に連結されている。
【0017】
前記張り込み台34は、ホッパー4に連結された架台46から延びる2本の支柱48に支持されて、張り込まれる穀粒の荷重を支持する。架台46は、ホッパー4の前板26の上端に取り付けられる上部材50と、上部材50の両端に上端を連結された2本の脚部材52と、脚部材52の下端を連結する下部材54とにより、四角枠形状に形成される。脚部材52の下部は、ホッパー4側に延びる2枚の三角形状の補強材56により基台10に取り付けられている。ホッパー4の後板22には、閉位置の張り込み台34を支持するストッパー58を設けている。
【0018】
前記張り込み台34は、図3に示すように、張り込まれる穀粒を支持する開位置(A)と、張り込み口28を覆う閉位置(B)との間で回動可能なように、張り込み台34の基端側を架台46の脚部材52の上端に支軸60により軸支されている。前記支柱48は、張り込み台34の開位置と閉位置とに連動して回動可能なように、下端を架台46の脚部材52の下端に支軸62により軸支するとともに、上端を連絡材64の一端に支軸66により軸支し、且つこの連絡材64の他端を張り込み台34の基端側の支軸60から離間する中間部位に支軸68により軸支している。
【0019】
これにより、ホッパー4は、図4に示すように、脚部材52と支柱48と連絡材64と張り込み台34の基端側及び中間部位間の部分70とを、支軸60と支軸62と支軸66と支軸68とによって連絡してリンク機構72を形成し、張り込み台34を開位置と閉位置との間で回動可能に設けている。
【0020】
また、ホッパー4は、図1に示すように、各側板24を後板22及び前板26に対して着脱可能に設けている。各側板24は、後板22及び前板26に沿う略U字形状の縁部74とこの縁部74以外の着脱部76とに区画形成され、着脱部76の前側・後側・下側の各周縁に縁部74に係合・離脱可能なレール部78を設け、着脱部76の上部に把手80を設けている。各側板24は、レール部78を縁部74に係合・離脱することにより、後板22及び前板26に対して着脱部76を着脱可能に設けている。
【0021】
次に、この実施例の作用を説明する。
色彩選別機2のホッパー4は、穀粒を張り込む際に、張り込み台34の天板36の裏面に設けた把手44をつかんで、図4(A)に示すように、張り込み台34を開位置に回動させる。
これにより、張り込み台34は、図1に示すように、ホッパー4の張り込み口28を開放し、天板36の表面を上に向けた状態で張り込み台34に連動して回動する支柱48により支持され、張り込まれる穀粒を詰めた袋を載せて重量を支持することができる。
【0022】
張り込み台34からホッパー4の張り込み口28に張り込まれた穀粒は、連絡孔30から連絡筒18により昇降機6の下部に送られ、昇降機6により持ち上げられて搬入筒20により色彩選別機2の上部に搬入される。色彩選別機2は、搬入された穀粒を色彩に基づいて良品と不良品とに選別する。
【0023】
ホッパー4は、張り込み台34の不使用時に、天板36の裏面に設けた把手44をつかんで、張り込み台34を図4(A)の開位置から図4(B)、図4(C)の順に回動させ、図4(D)に示す閉位置に回動させる。
これにより、張り込み台34は、色彩選別機2の前側に突出された状態から基台10上に引き込まれ、図2に示すように、天板36の裏面を上に向けた状態でホッパー4の後板22に設けたストッパー58に支持され、ホッパー4の張り込み口28を覆うことができ、蓋として機能させることができる。このとき、架台46の支柱48は、張り込み台34に連動して回動し、架台46の脚部材52に沿うように位置される。
【0024】
このように、この色彩選別機2のホッパー4は、張り込み台34を開位置にすることにより、張り込まれる穀粒を載せることができるとともに張り込み台34に連動する支柱48によって張り込まれる穀粒を載せた張り込み台34を架台46に支持することができ、また、張り込み台34を閉位置にすることにより、不使用時の張り込み台34が色彩選別機2から突出されることがなく、ホッパー4の張り込み口28を覆うことができ、支柱46も突出されることがない。
【0025】
これにより、このホッパー4は、蓋の置き場所の確保を必要とせず、蓋の紛失等を招くことがなく、張り込み台34の設置スペースを必要とせず、不使用時に作業者の動線に干渉することがないため、部品置き場所管理や取り外し作業、作業者の動線確保等の問題を解消し、スペースの効率化及び作業性の向上を図ることができる。
【0026】
また、このホッパー4は、張り込み台34の天板36の裏面に把手44を設けたことにより、把手44をつかんで張り込み台34を1操作で開位置と閉位置とに回動させることができ、作業性の向上に寄与できる。
【0027】
さらに、色彩選別機2の下部の点検口14に近接して配設されたホッパー4は、後板22及び前板26に対して各側板24を着脱可能に設け、図1に示すように、メンテナンスの際に把手80をつかんで各側板24の縁部74からレール部78を離脱させて着脱部76を外すことにより、ホッパー4を外すことなく色彩選別機2の点検孔14に接近することができ、容易にメンテナンスを実施することができる。
なお、この実施例においては、色彩選別機2のホッパー4を例示したが、穀物乾燥機、精米機などの他の穀粒処理機のホッパーにも実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明の穀粒処理機のホッパーは、張り込み台を開位置と閉位置との間で回動可能とし、スペースの効率化及び作業性の向上を図るものであり、色彩選別機、穀物乾燥機、精米機などのホッパーに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例を示す張り込み台を開位置に回動したホッパーの斜視図である。
【図2】張り込み台を閉位置に回動したホッパーの斜視図である。
【図3】架台及び張り込み台を示し、(A)は開位置の側面図、(B)は開位置の側面図である。
【図4】張り込み台の回動状態を示し、(A)は開位置の状態の説明図、(B)は開位置から閉位置側に回動した状態の説明図、(C)はさらに閉位置側に回動した状態の説明図、(D)は閉位置の状態の説明図である。
【図5】色彩選別機を示し、(A)は側面図、(B)は正面図である。
【符号の説明】
【0030】
2 色彩選別機
4 ホッパー
6 昇降機
10 基台
14 点検口
22 後板
24 側板
26 前板
28 張り込み口
34 張り込み台
46 架台
48 支柱
52 脚部材
60 支軸
62 支軸
64 連絡材
66 支軸
68 支軸
70 張り込み台34の基端側及び中間部位間の部分
72 リンク機構
74 縁部
76 着脱部
78 レール部
80 把手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機により穀粒処理機の上部に搬入される穀粒を張り込むためのホッパーを前記穀粒処理機の下部に近接して配設した穀粒処理機のホッパーにおいて、このホッパーは、前記昇降機に連絡する穀粒の連絡孔が形成された後板と、この後板の幅方向両側からそれぞれ突出される各側板と、各側板の下側の前端から後端まで連結されて前記連絡孔に向かい下降傾斜されるとともに前記後板に連結される前板とにより、上部に張り込み口を形成し、前記ホッパーに連結された架台から延びる支柱に支持されて張り込まれる穀粒を支持する張り込み台を設け、この張り込み台は張り込まれる穀粒を支持する開位置と前記張り込み口を覆う閉位置との間で回動可能なようにこの張り込み台の基端側を前記架台の上端に軸支し、前記支柱は前記張り込み台の開位置と閉位置とに連動して回動可能なように下端を前記架台に軸支するとともに上端を連絡材の一端に軸支し且つこの連絡材の他端を前記張り込み台の基端側から離間する中間部位に軸支したことを特徴とする穀粒処理機のホッパー。
【請求項2】
前記ホッパーは、前記各側板を前記後板及び前板に対して着脱可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の穀粒処理機のホッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−230611(P2007−230611A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54746(P2006−54746)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000197344)静岡製機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】