積層シートの製造装置および製造方法
【課題】多層フィードブロックの製作誤差や製造プロセスで発生するムラなどがあった場合でも光学性能に優れた積層シートの製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】間隔をおいて配列された多数のスリットを有し、隣り合うスリットから異なる溶融材料を流出させることにより、異なる溶融材料が交互に積層された積層シートを製造する装置において、前記多数のスリットが複数のスリット群からなり、各スリット群のスリット長が異なるスリットを含んでいる装置。
【解決手段】間隔をおいて配列された多数のスリットを有し、隣り合うスリットから異なる溶融材料を流出させることにより、異なる溶融材料が交互に積層された積層シートを製造する装置において、前記多数のスリットが複数のスリット群からなり、各スリット群のスリット長が異なるスリットを含んでいる装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シートの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2種類の溶融材料(例えば、溶融樹脂あるいは溶融ポリマー)を、それぞれの溶融樹脂を受け入れるそれぞれのマニホールドに供給し、各マニホールドから溶融樹脂を、複数の細孔や複数のスリットを通して流出させ、複数の溶融樹脂の層状の流れを形成し、複数の溶融樹脂の層状の流れを合流させて多層の溶融樹脂シートを形成し、このシートを、溶融樹脂の各層の積層方向と直交する方向(シートの幅方向)に延びるスリット状の口金から吐出させ、積層シートを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1)。口金から吐出された積層シートは、そのまま、あるいは、その後、延伸等の後処理が施され、多層フィルムとして用いられる。
【0003】
この積層シートの製造装置の典型的な例が、図1に示される。図1において、積層シートの製造装置は、一方の溶融樹脂Aが供給される溶融樹脂導入管1、他方の溶融樹脂Bが供給される溶融樹脂導入管2、溶融樹脂導入管1により供給された溶融樹脂Aと溶融樹脂導入管2により供給された溶融樹脂Bからなる積層流を形成する多層フィードブロック3、形成された積層流が流れる導管4、導管4により供給された積層流の幅と厚みを所定の値に調整し、調整された積層流を吐出し、溶融樹脂Aと溶融樹脂Bとが交互に積層された積層シートを形成する口金5、および、口金5から吐出された積層シート6を冷却し固化させるキャスティングドラム7からなる。キャスティングドラム7で固化した積層シートは、通常、未延伸フィルム8と呼称される。未延伸フィルム8は、通常、矢印NSで示すように、延伸工程(図示せず)に送られ、一方向あるいは二方向に延伸され、多層フィルムとされる。
【0004】
多層フィードブロック3は、その内部に、溶融樹脂導入管1に結合されるマニホールド、溶融樹脂導入管2に結合されるマニホールド、および、所定の間隔をもって配列された複数のスリット、各スリットを通過した各溶融樹脂の流れを合流させる合流部を有する。複数のスリットは、2つの群に分けられ、一方の群の複数のスリットは、溶融樹脂導入管1に結合されたマニホールドの出口に対し開口し、他方の群の複数のスリットは、溶融樹脂導入管2に結合されたマニホールドの出口に対し開口している。合流部の出口は、導管4に連通されている。
【0005】
一般に、溶融樹脂導入管1と溶融樹脂導入管2とにそれぞれ屈折率の高い樹脂と屈折率の低い樹脂とを供給し、交互にそれぞれ一定の割合でフィルムの厚み方向に、一組の層の厚みを順次減少または増加させて積層することによりある波長範囲の全ての光を透過、もしくは反射させる機能を持つ広帯域干渉反射フィルムが得られることが知られている。
【0006】
特許文献2には、上述のようにフィルム厚み方向に最表層を除く一端から他端へ向かって順次層の厚みが減少または増加する多層フィルムの製造装置および製造方法が提案されている。このように、フィルムの一端から他端に向かって層厚みを少しずつ変え積層したフィルムは、各層の厚みが目標どおりに出来た場合は広い波長域において高い反射率を得ることができる。
【0007】
しかし、本発明者らの知見によれば、多層フィードブロックの一部のスリットで、製作誤差等で目標のスリット間隙やスリット長に製作できなかった場合や、製造プロセスにおいて装置または溶融樹脂の温度ムラや流動ムラにより、一部の層において厚みが目標の厚みにならず、その目標厚みに対応する波長の光が反射できず、反射させたい波長帯域において部分的に低反射部が存在するフィルムとなり、光学性能が低いフィルムとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−112355号公報
【特許文献2】特開2006−130910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、多層フィードブロックの製作誤差や製造プロセスで発生するムラなどがあった場合でも光学性能に優れた積層シートの製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の積層シートの製造装置は下記の構成を有する。
【0011】
すなわち、2種類の溶融材料が前記種類の数よりも多い数の複数の層に積層された積層シートの製造装置であって、前記各溶融材料を前記各層に対応して通過させるように所定の間隔をもって配列された複数のスリットと、前記各スリットを通過した前記各溶融材料を前記積層を形成するように合流させる合流部とを備えた積層シートの製造装置において、前記複数のスリットは少なくとも2つの第1のスリット群からなり、該各第1のスリット群は少なくとも2つの第2のスリット群からなり、該各第2のスリット群は、該各第2のスリット群内において前記各溶融材料に対応したスリットのスリット間隙が実質的に同一である複数のスリットを有し、かつ、前記第2のスリット群同士は前記各第1のスリット群において互いに異なるスリット間隙となる複数のスリットを有しているとともに、前記各第2のスリット群におけるスリットにおいて、少なくとも1つのスリットのスリット長と他のスリットのスリット長が異なっていることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。
【0012】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1のスリット群における前記第2のスリット群のスリット群ごとのスリット間隙が、前記第1のスリット群における前記第2のスリット群の配列方向に増加または減少するように構成されている積層シートの製造装置が提供される。
【0013】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第2のスリット群において、スリットのスリット長が、前記スリットの配列方向に沿って一端から他端に向かって、単調に変化するように構成されている積層シートの製造装置が提供される。
【0014】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1のスリット群におけるスリットの数が200以上500以下である上記の積層シートの製造装置が提供される。
【0015】
また、本発明の別の形態によれば、2種類の溶融材料が前記種類の数よりも多い数の複数の層に積層された積層シートの製造方法であって、前記各溶融材料を前記各層に対応して通過させるように所定の間隔をもって配列された複数のスリットに供給し、前記各スリットを通過した前記各溶融材料を前記積層を形成するように合流させるに際し、前記複数のスリットを少なくとも2つの第1のスリット群とし、該各第1のスリット群は少なくとも2つの第2のスリット群からなり、該各第2のスリット群は、該各第2のスリット群内において前記各溶融材料に対応した隣り合うスリットのスリット間隙が実質的に同一である複数のスリットを有し、かつ、前記第2のスリット群同士は前記各第1のスリット群において互いに異なるスリット間隙となる複数のスリットを有しているとともに、前記各第2のスリット群におけるスリットにおいて、少なくとも1つのスリットのスリット長と他のスリットのスリット長が異なっている前記スリットを用いることを特徴とする積層シートの製造方法が提供される。
【0016】
本発明において、「溶融材料」とは、たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
【0017】
本発明において、「各溶融材料に対応したスリットのスリット間隙が実質的に同一」とは、一つの溶融材料が通過する複数のスリットのスリット間隙が実質的に同じであり、他の一つの溶融材料が通過する複数のスリットのスリット間隙が実質的に同じであることを含む。すなわち、例えば、溶融材料Aが通過する複数のスリットの各スリット間隙が0.7mmであり、溶融材料Bが通過する複数のスリットの各スリット間隙が0.5mmであることを含む。また、「実質的に同一」とは、それぞれのスリットのスリット間隙が、目標値の−5%乃至+5%の範囲にあることをいう。
【0018】
本発明において、「単調に変化する」とは、例えば、直線状の変化でも良く、あるいは、曲線状の変化でも良い。また、2〜3個のスリットごとに段階的に変化しても良いし、それ以上のスリットごとに段階的に変化しても良い。
【0019】
本発明において、第1のスリット群のスリット数が200以下だと1層毎の層厚みの変化が大きくなり、積層フィルムにしたとき十分な反射率が得られない。第1のスリット群のスリット数が500以上の場合、積層フィルムにしたとき層数が過大となり積層フィルムの厚みが大きくなり取り扱いし難いフィルムとなる他、積層装置が大きくなり製作費用や設置スペースの増大を招く。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る積層シートの製造装置によれば、多層フィードブロックの製作誤差や製造プロセスで発生するムラなどが発生した場合でも光学性能に優れた積層シートを容易に製造することが出来る。
【0021】
また、目的とする厚みの層を複数存在させることができ、1つのスリット群で1部の層が目標厚みにならなかった場合でも他のスリット群の層で補うことができるので、目標とする光学性能を有する積層シートを容易に製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一般的に用いられており、かつ、本発明の実施形態にも用いられる積層シートの製造装置および製造工程を説明するための斜視図。
【図2】本発明の積層シートの製造装置において用いられる多層フィードブロックの一例の分解斜視図。
【図3】本発明のスリット板の一例の正面図。
【図4a】スリット群の正面図。
【図4b】スリット群の正面図。
【図5】図3におけるS1−S1断面矢視図。
【図6】図3におけるS2−S2断面矢視図。
【図7】多層フィードブロックの他の例
【図8】合流装置の模式図
【図9】図3の本発明の多層フィードブロックを用いて製造された積層シートの横断面図。
【図10】図3の本発明の多層フィードブロックを用いて製造された積層シートの各層の厚みをしめす図。
【図11】本発明の他の実施形態による多層フィードブロックを用いて製造された積層シートの各層の厚みをしめす図。
【図12】比較例に使用した従来のスリット板の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図2乃至図6は、本発明の積層シートの製造装置の一実施形態において用いられる多層フィードブロック11に関する図である。図2は、多層フィードブロック11を分解した状態の斜視図、図3は、図2のスリット板20および合流部/排出路形成部材20aの正面図である。
【0024】
図2および図3において、多層フィードブロック11は、側板21、側板22、および、側板21と側板22とに挟まれたスリット板20からなる。スリット板20は、その下部に結合された合流部/排出路形成部材20aを有する。
【0025】
側板21には、長手方向(図2に示すX軸方向)に延びる樹脂A側のマニホールド14が設けられ、マニホールド14には、溶融状態の樹脂A(溶融樹脂A)をマニホールド14内に供給する樹脂導入路12が結合されている。側板22には、長手方向(図2に示すX軸方向)に延びる樹脂B側のマニホールド15が設けられ、マニホールド15には、溶融状態の樹脂B(溶融樹脂B)をマニホールド15内に供給する樹脂導入路13が結合されている。
【0026】
スリット板20には、その長手方向(図3に示すX軸方向)に多数のスリット16aと多数のスリット16bとが、隔壁20bを介して、設けられている。スリット16aとスリット16bとは、隔壁20bを介して、交互に位置する。各スリット16a、16bは、スリット板20の底面から上面方向(図3に示すZ軸方向)に、所定の長さで、スリット板20に刻まれている。各スリット16a、
16bの両側面は、スリット板20の両側面に開口している。
【0027】
側板21、スリット板20および側板22が組み立てられた状態において、各スリット16aの入口は、マニホールド14の出口に直接開口し、各スリット16bの入口は、マニホールド15の出口に直接開口した状態が形成される。また、各スリット16aの入口以外の側面の開口は、側板21、22の壁面により閉鎖状態となり、各スリット16bの入口以外の側面の開口は、側板21、22の壁面により閉鎖状態とされる。
【0028】
樹脂導入路12は、図1に示す樹脂導入管1に結合され、樹脂導入管1から溶融樹脂Aの供給を受ける。樹脂導入路12からマニホールド14内に供給された溶融樹脂Aは、マニホールド14内において、マニホールド14の長手方向(図2に示すX軸方向)に流動し、マニホールド14内に充満する。マニホールド14内の溶融樹脂Aは、マニホールド14に開口している各スリット16aの入り口から各スリット16a内へと流入し、各スリット16a内を流下し、各スリット16aの出口から合流部18に流出する。
【0029】
樹脂導入路13は、図1に示す樹脂導入管2に結合され、樹脂導入管2から溶融樹脂Bの供給を受ける。樹脂導入路13からマニホールド15内に供給された溶融樹脂Bは、マニホールド15内において、マニホールド15の長手方向(図2に示すX軸方向)に流動し、マニホールド15内に充満する。マニホールド15内の溶融樹脂Bは、マニホールド15に開口している各スリット16bの入り口から各スリット16b内へと流入し、各スリット16b内を流下し、各スリット16bの出口から合流部18に流出する。
【0030】
合流部18に流出した各スリット16a、16bの横断面(図2に示すX軸とY軸を含む面)の形状に追従した横断面形状を有する溶融樹脂Aの各シート状の流れと溶融樹脂Bの各シート状の流れとは、合流部18において、交互に積層され、積層流となる。この積層流は、排出路19を流下する。排出路19を流下する積層流における溶融樹脂Aと溶融樹脂Bとの積層方向は、製造される積層シートの厚み方向に一致する。
【0031】
排出路19を流下した積層流は、図1に示す導管4を介して、口金5内に導入される。積層流は、口金5内で所定の方向(溶融樹脂Aと溶融樹脂Bとの積層方向に直交する方向)に拡幅され、口金5から積層シート6として吐出され、吐出された積層シート6は、キャスティングドラム7の表面上で冷却固化され、未延伸フィルム8として次工程(例えば、延伸工程)に送られ、多層フィルム(図示略)に形成される。
【0032】
図5および図6に、隔壁20bを介して、スリット板20の長手方向に隣り合って位置するスリット16aとスリット16bとの関係が、拡大して示される。
【0033】
各スリット16a、16bの上部側、つまり、後述する流路部の上流部には、対応するマニホールド14、15から離れるに従って溶融樹脂の流れの下流に向かう方向に傾斜した傾斜部26、27がそれぞれ形成されている。傾斜部26、27は、この実施形態では、直線状に延びる傾斜部として形成されている。傾斜部26、27は、図5および図6に示すように、互いに反対方向に傾斜している。
【0034】
多層フィードブロック11内では、溶融樹脂Aは、図5に矢印14aで示すように、マニホールド14から傾斜部26を有する各スリット16a内へと流入する。また、溶融樹脂Bは、図6に矢印15aで示すように、マニホールド15から傾斜部27を有する各スリット16b内へと流入する。
【0035】
傾斜部26を利用することにより、スリット16aの上部がマニホールド14にのみ連通して形成される溶融樹脂Aの流路が構築され、また、傾斜部27を利用することにより、スリット16bの上部がマニホールド15にのみ連通して形成される溶融樹脂Bの流路が構築されている。
【0036】
図3の多層フィードブロック11の特徴は、配列されているスリット16a、16bが複数(図3では3つ)の本発明の第1のスリット群に相当するスリット群17に分割され、それぞれのスリット群17においてスリット16a、16bのスリット長が単調に変化している点にある。なお、このスリット長が単調に変化しているスリット板は、図5および図6に示す傾斜部26、27を有していなくても良い。しかし、ここでは、図3に示される通り、傾斜部を有している多層フィードブロックを用いて説明する。
【0037】
図4(a)は図3中の1つのスリット群17を示すもので、隔壁20bを介して交互に設けられた多数のスリット16a、16bのスリット長SLは、スリット16a、16bの配列方向(図4(a)に示すX軸方向)において、一端から他端に向かって、単調にかつ直線状に変化するように設定されている。すなわち、一端のスリットが最短のスリット長SLminを有し、他端のスリットが最長のスリット長SLmaxを有するように設定されている。スリット長SLは、スリットの上下方向(図4(a)に示すZ軸方向)の長さである。スリットの頂部が傾斜している場合は、スリット幅の中央位置におけるスリットの上下方向(図4に示すZ軸方向)の長さである。図4(a)では、スリット間隙は、全てのスリットについて実質的に同一とされている。このように、スリット間隙を実質的に同一とし、スリット長さを単調にかつ直線状に変化するように設定することにより、積層する層厚みに連続性を持たせることができるようになるのである。
【0038】
一方、図4(a)のスリット群の形態で得られる連続性を持たせた層厚みと同じように、層厚みに連続性を持たせる他の実施形態を次に示す。図4(b)はスリット群17の他の実施形態を示すもので、スリット群17に配列されているスリット16a、16bが複数(図4(b)では3つ)の本発明の第2のスリット群に相当する複数のスリット群25で構成されている。各スリット群25のスリット間隙は、スリット群25の配列方向(図4(b)に示すX軸方向)に、段階的(図4(b)ではT1、T2、T3の3段階)にスリット間隙が設定されていると共に、各スリット群25内のスリットにおいて、スリット長SLがスリット16a、16bの配列方向にスリット長SLが変化するように設定されている。また、スリット間隙が段階的に変化する前後のスリットのスリット間隙とスリット長は、積層する層厚みに連続性が保たれるよう下記式(式(1))より決定する。
【0039】
スリット内を通過する樹脂は、一般的に下記式で表される。
Q=Wt3×ΔP/12μL ・・・ 式 (1)
ここで
Q:樹脂流量
t:スリットの間隙
W:スリットの幅
μ:樹脂粘度
L:スリット長
ΔP:圧力降下
すなわち、スリット出口での圧力降下が一定であると考えると、1つのスリットに対する流量Qは、スリット間隙tやスリット長Lを変えることにより容易に調整することができる。具体的には、スリット間隙がT1からT2に変化する場合、上式のt3/Lがスリット間隙T1のときの値と同じになるようスリット間隙T2の場合のスリット長Lを計算し、その値に層厚み変化率を掛けることでスリット間隙がT2に変化した直後のスリット長さSLを設定することで積層厚みの変化の連続性を維持できる。
【0040】
上述のようにスリット間隙を段階的に変化させると共に、スリット長さを調整することで、スリット長の最大スリット長さを大きくすることなく層厚みの調整が可能となり、使用中の隔壁の曲がりや多層フィードブロック製作に係る加工時間の短縮および装置寸法(図4(b)のZ方向)を小さく出来るなどのメリットがある。
【0041】
また、上述のようにスリット間隙を段階的に変化させると共に、スリット長さを調整する方法は、従来のフィルム厚み方向に表層部を除く一端から他端へ向かって順次層の厚みが減少または増加する多層フィルムの製造装置(図12に示す)にも適応可能で、その場合スリットのスリット長さを短くすることができ、装置のコンパクト化が可能となる。
【0042】
図7はスリット16a、16bを第1のスリット群17ごとに複数のスリット板に分割した場合の1例をしめすもので、部材板101〜109がこの順に重ねられ、多層フィードブロック110を形成する。 図7の多層フィードブロック110は、溶融樹脂導入板102,104,106,108に由来して4つの溶融樹脂導入口を有するが、例えば溶融樹脂Aを溶融樹脂導入板102,106の導入口111から供給し、溶融樹脂Bを溶融樹脂導入板104,108の導入口111から供給する。すると、スリット板103は、溶融樹脂導入板102から溶融樹脂A、溶融樹脂導入板104から溶融樹脂Bの供給を受け、スリット板105は、溶融樹脂導入板106から溶融樹脂A、溶融樹脂導入板104から溶融樹脂Bの供給を受け、スリット板107は、溶融樹脂導入板106から溶融樹脂A、溶融樹脂導入板108から溶融樹脂Bの供給を受けることになる。
【0043】
図7に示すようにスリット板103,105,107の下方の排出口113は、3つの溶融樹脂流れの積層構造が並列となる位置関係で配置され、また、溶融樹脂導入板104,106によって互いに隔てられている。図7の多層フィードブロック110の真下(Z方向)には図8(a)に示すような合流装置118を配置し、スリット板103、105、107の排出口113から流出する樹脂流を合流させる。図8(a)のL−L’、M−M’、N−N’におけるXY断面図を、それぞれ、図8(b)、(c)、(d)に示す。スリット板103、105、107の排出口113から流出した樹脂流は合流装置118により、L−L’からM−M’に流れに従い、図8(b)、(c)に示すように、流路の配置転換が行われ3つの樹脂流が積層方向に直列に並ぶ。さらに、当該の樹脂流は図8(a)のM−M’からN−N’に移動するに従い、それぞれの樹脂流が合流し1つの樹脂流となり、図8のN−N’より下流にある口金へ流出される。
【0044】
上記のように、複数のスリットを第1のスリット群毎に分割し並列に並べて構成した装置では、製造しようとする積層シートの積層数が多い場合でも、多層フィードブロックのスリットを構成する部材のスリット配列方向の大きさを小さくすることが出来るため、装置を設置するのに大きなスペースが不要であり、分解組立等の取り扱いが容易となる他、スリットを加工時に汎用性の高い小型の加工機で加工できる等のメリットがある。
【0045】
各スリット群17においてスリット16a、16bのスリット長または/およびスリット間隙が、図4(a)または図4(b)に示したように、一端から他端に向かって単調に変化するまたは、スリット間隙が段階的に変化しながらスリット長が単調に変化するように設定されたスリット板20を有する多層フィードブロック11を、図1に示される積層シートの製造装置の多層フィードブロック11として用いる。この積層シートの製造装置を用いて製造した積層シート(多層フィルム)の一例の横断面を図9に、また、各層の厚みを図10にしめす。
【0046】
図9および図10において、積層シート31は、樹脂Aからなる層32と樹脂Bからなる層33とが交互に積層された構造を有する。その特徴的な点は、層32および層33の厚みが、積層シート31の一方の表面から他方の表面に向かい、すなわち、積層シートの厚み方向(図9に示す矢印30)に、順次減少あるいは増加し、その変化が積層シート31の厚み方向(図9に示す矢印30)に複数繰り返ししている点で、図10の各層の厚みに示すように同じ厚みの層が積層シート31に複数存在することである。
【0047】
以下の実施例に登場する測定値の測定法は、次の通りである。
【0048】
(a)積層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型、((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kvでフィルム断面を3,000乃至40,000倍に拡大観察し、断面写真を撮影し、層構成および各層厚みを測定した。なお、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いても良い。
【0049】
(b)反射率
分光光度計(U−3410, Spectrophotometer :(株)日立製作所製)に、直径60mmの積分球(130−0632、(株)日立製作所製)および角度10°傾斜スペーサーを取り付けて反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、250nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として装置附属の酸化アルミニウム板を用い、サンプル測定時は、裏面からの反射による干渉をなくすために、“マジックインキ(登録商標)”で黒塗りした。
【0050】
(c)溶融粘度
島津社製フローテスター(CFT−500)を用いて、剪断速度100(s-1)の時の溶融粘度を測定した。このとき使用したダイは直径1mm、測定ストロークは10乃至13とした。なお、n数(測定回数)は3とし、その平均値を採用した。
【実施例】
【0051】
[実施例1]
2種類の熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、280℃における溶融粘度が180Pa・sのポリエチレンテレフタレート(PET)(東レ(株)製、F20S)を用いた。熱可塑性樹脂Bとして、280℃における溶融粘度が180Pa・sのポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール成分15mol%およびシクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート)を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0052】
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて温度280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、それぞれの導入管より多層フィードブロックに導入した。多層フィードブロックとしては、スリット数が801個の装置を用いた。スリット板の形状は図3および図4(a)に示したものとし、各スリットの形状は、図5、図6に示したような上部傾斜部を有するものとした。
【0053】
スリット板のディメンションは、前記の熱可塑性樹脂を総供給量として200kg/hで供給した際、圧力損失差が1.5MPaであり、積層シート(多層フィルム)の表面側の層から裏面側の層に向かうにつれ徐々に層厚みが薄くなる積層を3回繰り返すよう267個のスリットでスリット群を構成し、その層厚みの最大/最小の比率が3.0になるように、最短のスリット長さSLmin(25mm)/最長のスリット長さSLmax(75mm)の比を3.0とし、図4(a)に示すように直線的にスリット長が変化するものとした。
【0054】
熱可塑性樹脂Aは、図5に示したマニホールド14に供給し、熱可塑性樹脂Bは図6に示したマニホールド15に供給し、対応する各スリット16a、16bを通過した熱可塑性樹脂Aの層と熱可塑性樹脂Bの層を交互に積層して、両表層が熱可塑性樹脂Aの層からなり、各層の厚みが一方の表面側から反対側の表面側に向かうにつれ徐々に薄くなる構成が3回繰り返すようにした積層シートを得た。
【0055】
ここで、互いに隣接する熱可塑性樹脂Aの層と熱可塑性樹脂Bの層の厚み比が0.95となるように、各樹脂の供給量をギヤポンプで調整した。また、樹脂Aが通過するスリット16aおよび、樹脂Bが通過するスリット16b共にスリット間隙は、0.6mmとした。
【0056】
このようにして得られた801層からなる積層流を、Tダイ5に供給し、シート状に成形した後、静電印加されかつ表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム7上で急冷固化した。
【0057】
得られたキャストフィルム8を、温度90℃に設定したロール群で加熱し、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラディエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向(フィルム長手方向)に3.4倍延伸した。
【0058】
その後、この一軸延伸フィルムの両面に、空気中でコロナ放電処理を施し、このフィルム(基材フィルム)の表面の濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に、(ガラス転移温度Tgが18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度Tgが82℃のポリエステル樹脂)/(平均粒径100nmのシリカ粒子)からなる積層形成膜塗液を塗布し、基材フィルムの表面に、透明で易滑性および易接着性を有する表面層を形成した。
【0059】
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、温度110℃の熱風で予熱後、横方向(フィルム幅方向)に3.7倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で温度230℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて、幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。
【0060】
得られた二軸延伸積層フィルムは、全厚みが110μmであった。得られた積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、各層の厚みを求めた。得られた溶融樹脂A、溶融樹脂Bの薄膜層の厚みは、全て60nm〜180nmの範囲にあり、表層から徐々に薄くなる層構造を3回繰り返す構造を実現していた。また、このフィルムの分光反射スペクトルは、波長400nm〜1100nmに渡り70%以上の高い反射率を有する金属光沢感のある積層フィルムであった。
[実施例2]
実施例1の多層フィードブロックを図4(b)に示すようなスリット群で構成したスリット板を用いた以外は実施例1と同様とした。
【0061】
スリットの総数は801個で1つのスリット群を267個のスリットで構成した、スリット群はスリット間隙0.5mmのスリットを70個、スリット間隙0.55mmのスリットを62個、0.6mmのスリットを59個、0.65mmのスリットを76個とした。スリット長さは各層の層厚みに連続性が保たれるよう式(1)により0.5mmのスリット間隙のスリットはスリット長さSLが30mmから40mm、0.55mmのスリットは30mmから39mm、0.6mmのスリットは30mmから38mm、0.65mmのスリットは30mmから41mmへと、図4(b)に示すように直線的にスリット長SLが変化するものとした。
【0062】
得られた二軸延伸積層フィルムは、全厚みが110μmであった。得られた積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、各層の厚みを求めた。得られた溶融樹脂A、溶融樹脂Bの薄膜層の厚みは、全て60nm〜180nmの範囲にあり、表層から徐々に薄くなる層構造を3回繰り返す構造を実現していた。また、このフィルムの分光反射スペクトルは、波長400nm〜1100nmに渡り70%以上の高い反射率を有する金属光沢感のある積層フィルムであった。
[実施例3]
多層フィードブロックを図7に示すよう1つのスリット群を1枚のスリット板に構成、スリット数267個のスリット板を3枚用い、図8に示すような合流装置で合流させ801層とした。
【0063】
スリット群のスリットの構成は実施例2と同様にした。
【0064】
得られた二軸延伸積層フィルムは、実施例1および2と同様全厚みが110μmであった。得られた積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、各層の厚みを求めた。得られた溶融樹脂A、溶融樹脂Bの薄膜層の厚みは、全て60nm〜180nmの範囲にあり、表層から徐々に薄くなる層構造を3回繰り返す構造を実現していた。また、このフィルムの分光反射スペクトルは、波長400nm〜1100nmに渡り70%以上の高い反射率を有する金属光沢感のある積層フィルムであった。
【0065】
なお、上記実施例においては、スリット群で積層する層の厚みの変化が、積層シートの表層から他の表層に向かって同じであるように各スリット群を構成したが、多層フィードブロック以降の導管および口金の壁面抵抗等の影響により積層フィルムの表層部が薄膜化する場合、表層部分に厚膜を構成すると、厚膜層が薄膜化し目的の層厚みに達せず分光反射スペクトルを乱すことがある。この場合、
図11に示すように、表層側が薄膜層で構成されるようスリット群の方向を変えると良い。
【0066】
また、条件によっては、スリット群の外側に最表層を形成するスリットを設け、そのスリットで厚膜層を形成することで壁面の影響を防止しても良い。
[比較例1]
多層フィードブロックを図12に示すようなスリットで構成した従来のスリット板を用いた以外は実施例1と同様とした。
【0067】
スリットの総数は801個でスリット間隙は樹脂Aが通過するスリット16aおよび、樹脂Bが通過するスリット16b共に0.6mmとした。スリット長は積層シート(多層フィルム)の表面側から裏面側に向けへ徐々に層厚みが薄くなるように構成し、その層厚みの最大/最小の比率が3.0になるように、最短のスリット長さSLmin(25mm)/最長のスリット長さSLmax(75mm)の比を3.0とし図12に示すように直線的にスリット長が変化するものとした。
【0068】
得られた二軸延伸フィルムは、全厚みが110μmであった。得られた積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、各層の厚みを求めた。得られた溶融樹脂A、溶融樹脂Bの薄膜層の厚みは、全て60nm〜180nmの範囲内であったが、分光反射スペクトルは、波長400nm〜1100nmの範囲で部分的に70%以下の反射率を示す部分があり色ムラのある積層フィルムであった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明により製造される積層シートは、複数種類の溶融材料が、この種類の数よりも多い数の複数の層に積層された後、溶融材料が固化して形成されたものである。本発明によれば、積層シートの厚み方向に同じ層厚みが複数存在するので、ムラが生じた場合でも目標の波長帯域において高い反射率を示す積層シートが、容易に製造出来る。本発明により製造された積層シートは、優れた光学特性を有し、携帯電話、家電製品、建材、包装、自動車の内外装などに用いられる意匠性材料、有価証券に用いられるホログラムなどの偽造防止用材料、液晶ディプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機エレクトロニクスディスプレイなどの各種ディスプレイや、光学印刷機器、カメラ、ライトガイド、光通信など種々の光学機器の反射材料もしくは光学フィルタ、車載用、建材用の熱線遮断ウィンドウフィルム、太陽電池用反射体などとして好適な積層フィルムとして好ましく用いられる。
【符号の説明】
【0070】
1:溶融樹脂Aが供給される溶融樹脂導入管
2:溶融樹脂Bが供給される溶融樹脂導入管
3:多層フィードブロック
4:積層流が流れる導管
5:口金(Tダイ)
6:積層シート
7:キャスティングドラム
8:未延伸フィルム
11:多層フィードブロック
12、13:樹脂導入路
14:樹脂A側のマニホールド
15:樹脂B側のマニホールド
16a、16b:スリット
17:スリット群
18:合流部
19:排出路
20:スリット板
20a:合流部/排出路形成部材
20b:隔壁
21、22:側板
26、27:傾斜部
30:フィルムの厚み方向
31:積層シート(多層フィルム)
32:樹脂Aからなる層
33:樹脂Bからなる層
102、104、106、108:溶融樹脂導入板
103、105、107:スリット板
111:導入口
112:マニホールド
113:排出路
118:合流装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シートの製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2種類の溶融材料(例えば、溶融樹脂あるいは溶融ポリマー)を、それぞれの溶融樹脂を受け入れるそれぞれのマニホールドに供給し、各マニホールドから溶融樹脂を、複数の細孔や複数のスリットを通して流出させ、複数の溶融樹脂の層状の流れを形成し、複数の溶融樹脂の層状の流れを合流させて多層の溶融樹脂シートを形成し、このシートを、溶融樹脂の各層の積層方向と直交する方向(シートの幅方向)に延びるスリット状の口金から吐出させ、積層シートを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1)。口金から吐出された積層シートは、そのまま、あるいは、その後、延伸等の後処理が施され、多層フィルムとして用いられる。
【0003】
この積層シートの製造装置の典型的な例が、図1に示される。図1において、積層シートの製造装置は、一方の溶融樹脂Aが供給される溶融樹脂導入管1、他方の溶融樹脂Bが供給される溶融樹脂導入管2、溶融樹脂導入管1により供給された溶融樹脂Aと溶融樹脂導入管2により供給された溶融樹脂Bからなる積層流を形成する多層フィードブロック3、形成された積層流が流れる導管4、導管4により供給された積層流の幅と厚みを所定の値に調整し、調整された積層流を吐出し、溶融樹脂Aと溶融樹脂Bとが交互に積層された積層シートを形成する口金5、および、口金5から吐出された積層シート6を冷却し固化させるキャスティングドラム7からなる。キャスティングドラム7で固化した積層シートは、通常、未延伸フィルム8と呼称される。未延伸フィルム8は、通常、矢印NSで示すように、延伸工程(図示せず)に送られ、一方向あるいは二方向に延伸され、多層フィルムとされる。
【0004】
多層フィードブロック3は、その内部に、溶融樹脂導入管1に結合されるマニホールド、溶融樹脂導入管2に結合されるマニホールド、および、所定の間隔をもって配列された複数のスリット、各スリットを通過した各溶融樹脂の流れを合流させる合流部を有する。複数のスリットは、2つの群に分けられ、一方の群の複数のスリットは、溶融樹脂導入管1に結合されたマニホールドの出口に対し開口し、他方の群の複数のスリットは、溶融樹脂導入管2に結合されたマニホールドの出口に対し開口している。合流部の出口は、導管4に連通されている。
【0005】
一般に、溶融樹脂導入管1と溶融樹脂導入管2とにそれぞれ屈折率の高い樹脂と屈折率の低い樹脂とを供給し、交互にそれぞれ一定の割合でフィルムの厚み方向に、一組の層の厚みを順次減少または増加させて積層することによりある波長範囲の全ての光を透過、もしくは反射させる機能を持つ広帯域干渉反射フィルムが得られることが知られている。
【0006】
特許文献2には、上述のようにフィルム厚み方向に最表層を除く一端から他端へ向かって順次層の厚みが減少または増加する多層フィルムの製造装置および製造方法が提案されている。このように、フィルムの一端から他端に向かって層厚みを少しずつ変え積層したフィルムは、各層の厚みが目標どおりに出来た場合は広い波長域において高い反射率を得ることができる。
【0007】
しかし、本発明者らの知見によれば、多層フィードブロックの一部のスリットで、製作誤差等で目標のスリット間隙やスリット長に製作できなかった場合や、製造プロセスにおいて装置または溶融樹脂の温度ムラや流動ムラにより、一部の層において厚みが目標の厚みにならず、その目標厚みに対応する波長の光が反射できず、反射させたい波長帯域において部分的に低反射部が存在するフィルムとなり、光学性能が低いフィルムとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−112355号公報
【特許文献2】特開2006−130910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、多層フィードブロックの製作誤差や製造プロセスで発生するムラなどがあった場合でも光学性能に優れた積層シートの製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の積層シートの製造装置は下記の構成を有する。
【0011】
すなわち、2種類の溶融材料が前記種類の数よりも多い数の複数の層に積層された積層シートの製造装置であって、前記各溶融材料を前記各層に対応して通過させるように所定の間隔をもって配列された複数のスリットと、前記各スリットを通過した前記各溶融材料を前記積層を形成するように合流させる合流部とを備えた積層シートの製造装置において、前記複数のスリットは少なくとも2つの第1のスリット群からなり、該各第1のスリット群は少なくとも2つの第2のスリット群からなり、該各第2のスリット群は、該各第2のスリット群内において前記各溶融材料に対応したスリットのスリット間隙が実質的に同一である複数のスリットを有し、かつ、前記第2のスリット群同士は前記各第1のスリット群において互いに異なるスリット間隙となる複数のスリットを有しているとともに、前記各第2のスリット群におけるスリットにおいて、少なくとも1つのスリットのスリット長と他のスリットのスリット長が異なっていることを特徴とする積層シートの製造装置が提供される。
【0012】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1のスリット群における前記第2のスリット群のスリット群ごとのスリット間隙が、前記第1のスリット群における前記第2のスリット群の配列方向に増加または減少するように構成されている積層シートの製造装置が提供される。
【0013】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第2のスリット群において、スリットのスリット長が、前記スリットの配列方向に沿って一端から他端に向かって、単調に変化するように構成されている積層シートの製造装置が提供される。
【0014】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記第1のスリット群におけるスリットの数が200以上500以下である上記の積層シートの製造装置が提供される。
【0015】
また、本発明の別の形態によれば、2種類の溶融材料が前記種類の数よりも多い数の複数の層に積層された積層シートの製造方法であって、前記各溶融材料を前記各層に対応して通過させるように所定の間隔をもって配列された複数のスリットに供給し、前記各スリットを通過した前記各溶融材料を前記積層を形成するように合流させるに際し、前記複数のスリットを少なくとも2つの第1のスリット群とし、該各第1のスリット群は少なくとも2つの第2のスリット群からなり、該各第2のスリット群は、該各第2のスリット群内において前記各溶融材料に対応した隣り合うスリットのスリット間隙が実質的に同一である複数のスリットを有し、かつ、前記第2のスリット群同士は前記各第1のスリット群において互いに異なるスリット間隙となる複数のスリットを有しているとともに、前記各第2のスリット群におけるスリットにおいて、少なくとも1つのスリットのスリット長と他のスリットのスリット長が異なっている前記スリットを用いることを特徴とする積層シートの製造方法が提供される。
【0016】
本発明において、「溶融材料」とは、たとえば、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、脂環族ポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチルサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、4フッ化エチレン樹脂・3フッ化エチレン樹脂・3フッ化塩化エチレン樹脂・4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体・フッ化ビニリデン樹脂などのフッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂、などを用いることができる。またこれらの熱可塑性樹脂としてはホモ樹脂であってもよく、共重合または2種類以上のブレンドであってもよい。また、各熱可塑性樹脂中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤などが添加されていてもよい。
【0017】
本発明において、「各溶融材料に対応したスリットのスリット間隙が実質的に同一」とは、一つの溶融材料が通過する複数のスリットのスリット間隙が実質的に同じであり、他の一つの溶融材料が通過する複数のスリットのスリット間隙が実質的に同じであることを含む。すなわち、例えば、溶融材料Aが通過する複数のスリットの各スリット間隙が0.7mmであり、溶融材料Bが通過する複数のスリットの各スリット間隙が0.5mmであることを含む。また、「実質的に同一」とは、それぞれのスリットのスリット間隙が、目標値の−5%乃至+5%の範囲にあることをいう。
【0018】
本発明において、「単調に変化する」とは、例えば、直線状の変化でも良く、あるいは、曲線状の変化でも良い。また、2〜3個のスリットごとに段階的に変化しても良いし、それ以上のスリットごとに段階的に変化しても良い。
【0019】
本発明において、第1のスリット群のスリット数が200以下だと1層毎の層厚みの変化が大きくなり、積層フィルムにしたとき十分な反射率が得られない。第1のスリット群のスリット数が500以上の場合、積層フィルムにしたとき層数が過大となり積層フィルムの厚みが大きくなり取り扱いし難いフィルムとなる他、積層装置が大きくなり製作費用や設置スペースの増大を招く。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る積層シートの製造装置によれば、多層フィードブロックの製作誤差や製造プロセスで発生するムラなどが発生した場合でも光学性能に優れた積層シートを容易に製造することが出来る。
【0021】
また、目的とする厚みの層を複数存在させることができ、1つのスリット群で1部の層が目標厚みにならなかった場合でも他のスリット群の層で補うことができるので、目標とする光学性能を有する積層シートを容易に製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一般的に用いられており、かつ、本発明の実施形態にも用いられる積層シートの製造装置および製造工程を説明するための斜視図。
【図2】本発明の積層シートの製造装置において用いられる多層フィードブロックの一例の分解斜視図。
【図3】本発明のスリット板の一例の正面図。
【図4a】スリット群の正面図。
【図4b】スリット群の正面図。
【図5】図3におけるS1−S1断面矢視図。
【図6】図3におけるS2−S2断面矢視図。
【図7】多層フィードブロックの他の例
【図8】合流装置の模式図
【図9】図3の本発明の多層フィードブロックを用いて製造された積層シートの横断面図。
【図10】図3の本発明の多層フィードブロックを用いて製造された積層シートの各層の厚みをしめす図。
【図11】本発明の他の実施形態による多層フィードブロックを用いて製造された積層シートの各層の厚みをしめす図。
【図12】比較例に使用した従来のスリット板の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図2乃至図6は、本発明の積層シートの製造装置の一実施形態において用いられる多層フィードブロック11に関する図である。図2は、多層フィードブロック11を分解した状態の斜視図、図3は、図2のスリット板20および合流部/排出路形成部材20aの正面図である。
【0024】
図2および図3において、多層フィードブロック11は、側板21、側板22、および、側板21と側板22とに挟まれたスリット板20からなる。スリット板20は、その下部に結合された合流部/排出路形成部材20aを有する。
【0025】
側板21には、長手方向(図2に示すX軸方向)に延びる樹脂A側のマニホールド14が設けられ、マニホールド14には、溶融状態の樹脂A(溶融樹脂A)をマニホールド14内に供給する樹脂導入路12が結合されている。側板22には、長手方向(図2に示すX軸方向)に延びる樹脂B側のマニホールド15が設けられ、マニホールド15には、溶融状態の樹脂B(溶融樹脂B)をマニホールド15内に供給する樹脂導入路13が結合されている。
【0026】
スリット板20には、その長手方向(図3に示すX軸方向)に多数のスリット16aと多数のスリット16bとが、隔壁20bを介して、設けられている。スリット16aとスリット16bとは、隔壁20bを介して、交互に位置する。各スリット16a、16bは、スリット板20の底面から上面方向(図3に示すZ軸方向)に、所定の長さで、スリット板20に刻まれている。各スリット16a、
16bの両側面は、スリット板20の両側面に開口している。
【0027】
側板21、スリット板20および側板22が組み立てられた状態において、各スリット16aの入口は、マニホールド14の出口に直接開口し、各スリット16bの入口は、マニホールド15の出口に直接開口した状態が形成される。また、各スリット16aの入口以外の側面の開口は、側板21、22の壁面により閉鎖状態となり、各スリット16bの入口以外の側面の開口は、側板21、22の壁面により閉鎖状態とされる。
【0028】
樹脂導入路12は、図1に示す樹脂導入管1に結合され、樹脂導入管1から溶融樹脂Aの供給を受ける。樹脂導入路12からマニホールド14内に供給された溶融樹脂Aは、マニホールド14内において、マニホールド14の長手方向(図2に示すX軸方向)に流動し、マニホールド14内に充満する。マニホールド14内の溶融樹脂Aは、マニホールド14に開口している各スリット16aの入り口から各スリット16a内へと流入し、各スリット16a内を流下し、各スリット16aの出口から合流部18に流出する。
【0029】
樹脂導入路13は、図1に示す樹脂導入管2に結合され、樹脂導入管2から溶融樹脂Bの供給を受ける。樹脂導入路13からマニホールド15内に供給された溶融樹脂Bは、マニホールド15内において、マニホールド15の長手方向(図2に示すX軸方向)に流動し、マニホールド15内に充満する。マニホールド15内の溶融樹脂Bは、マニホールド15に開口している各スリット16bの入り口から各スリット16b内へと流入し、各スリット16b内を流下し、各スリット16bの出口から合流部18に流出する。
【0030】
合流部18に流出した各スリット16a、16bの横断面(図2に示すX軸とY軸を含む面)の形状に追従した横断面形状を有する溶融樹脂Aの各シート状の流れと溶融樹脂Bの各シート状の流れとは、合流部18において、交互に積層され、積層流となる。この積層流は、排出路19を流下する。排出路19を流下する積層流における溶融樹脂Aと溶融樹脂Bとの積層方向は、製造される積層シートの厚み方向に一致する。
【0031】
排出路19を流下した積層流は、図1に示す導管4を介して、口金5内に導入される。積層流は、口金5内で所定の方向(溶融樹脂Aと溶融樹脂Bとの積層方向に直交する方向)に拡幅され、口金5から積層シート6として吐出され、吐出された積層シート6は、キャスティングドラム7の表面上で冷却固化され、未延伸フィルム8として次工程(例えば、延伸工程)に送られ、多層フィルム(図示略)に形成される。
【0032】
図5および図6に、隔壁20bを介して、スリット板20の長手方向に隣り合って位置するスリット16aとスリット16bとの関係が、拡大して示される。
【0033】
各スリット16a、16bの上部側、つまり、後述する流路部の上流部には、対応するマニホールド14、15から離れるに従って溶融樹脂の流れの下流に向かう方向に傾斜した傾斜部26、27がそれぞれ形成されている。傾斜部26、27は、この実施形態では、直線状に延びる傾斜部として形成されている。傾斜部26、27は、図5および図6に示すように、互いに反対方向に傾斜している。
【0034】
多層フィードブロック11内では、溶融樹脂Aは、図5に矢印14aで示すように、マニホールド14から傾斜部26を有する各スリット16a内へと流入する。また、溶融樹脂Bは、図6に矢印15aで示すように、マニホールド15から傾斜部27を有する各スリット16b内へと流入する。
【0035】
傾斜部26を利用することにより、スリット16aの上部がマニホールド14にのみ連通して形成される溶融樹脂Aの流路が構築され、また、傾斜部27を利用することにより、スリット16bの上部がマニホールド15にのみ連通して形成される溶融樹脂Bの流路が構築されている。
【0036】
図3の多層フィードブロック11の特徴は、配列されているスリット16a、16bが複数(図3では3つ)の本発明の第1のスリット群に相当するスリット群17に分割され、それぞれのスリット群17においてスリット16a、16bのスリット長が単調に変化している点にある。なお、このスリット長が単調に変化しているスリット板は、図5および図6に示す傾斜部26、27を有していなくても良い。しかし、ここでは、図3に示される通り、傾斜部を有している多層フィードブロックを用いて説明する。
【0037】
図4(a)は図3中の1つのスリット群17を示すもので、隔壁20bを介して交互に設けられた多数のスリット16a、16bのスリット長SLは、スリット16a、16bの配列方向(図4(a)に示すX軸方向)において、一端から他端に向かって、単調にかつ直線状に変化するように設定されている。すなわち、一端のスリットが最短のスリット長SLminを有し、他端のスリットが最長のスリット長SLmaxを有するように設定されている。スリット長SLは、スリットの上下方向(図4(a)に示すZ軸方向)の長さである。スリットの頂部が傾斜している場合は、スリット幅の中央位置におけるスリットの上下方向(図4に示すZ軸方向)の長さである。図4(a)では、スリット間隙は、全てのスリットについて実質的に同一とされている。このように、スリット間隙を実質的に同一とし、スリット長さを単調にかつ直線状に変化するように設定することにより、積層する層厚みに連続性を持たせることができるようになるのである。
【0038】
一方、図4(a)のスリット群の形態で得られる連続性を持たせた層厚みと同じように、層厚みに連続性を持たせる他の実施形態を次に示す。図4(b)はスリット群17の他の実施形態を示すもので、スリット群17に配列されているスリット16a、16bが複数(図4(b)では3つ)の本発明の第2のスリット群に相当する複数のスリット群25で構成されている。各スリット群25のスリット間隙は、スリット群25の配列方向(図4(b)に示すX軸方向)に、段階的(図4(b)ではT1、T2、T3の3段階)にスリット間隙が設定されていると共に、各スリット群25内のスリットにおいて、スリット長SLがスリット16a、16bの配列方向にスリット長SLが変化するように設定されている。また、スリット間隙が段階的に変化する前後のスリットのスリット間隙とスリット長は、積層する層厚みに連続性が保たれるよう下記式(式(1))より決定する。
【0039】
スリット内を通過する樹脂は、一般的に下記式で表される。
Q=Wt3×ΔP/12μL ・・・ 式 (1)
ここで
Q:樹脂流量
t:スリットの間隙
W:スリットの幅
μ:樹脂粘度
L:スリット長
ΔP:圧力降下
すなわち、スリット出口での圧力降下が一定であると考えると、1つのスリットに対する流量Qは、スリット間隙tやスリット長Lを変えることにより容易に調整することができる。具体的には、スリット間隙がT1からT2に変化する場合、上式のt3/Lがスリット間隙T1のときの値と同じになるようスリット間隙T2の場合のスリット長Lを計算し、その値に層厚み変化率を掛けることでスリット間隙がT2に変化した直後のスリット長さSLを設定することで積層厚みの変化の連続性を維持できる。
【0040】
上述のようにスリット間隙を段階的に変化させると共に、スリット長さを調整することで、スリット長の最大スリット長さを大きくすることなく層厚みの調整が可能となり、使用中の隔壁の曲がりや多層フィードブロック製作に係る加工時間の短縮および装置寸法(図4(b)のZ方向)を小さく出来るなどのメリットがある。
【0041】
また、上述のようにスリット間隙を段階的に変化させると共に、スリット長さを調整する方法は、従来のフィルム厚み方向に表層部を除く一端から他端へ向かって順次層の厚みが減少または増加する多層フィルムの製造装置(図12に示す)にも適応可能で、その場合スリットのスリット長さを短くすることができ、装置のコンパクト化が可能となる。
【0042】
図7はスリット16a、16bを第1のスリット群17ごとに複数のスリット板に分割した場合の1例をしめすもので、部材板101〜109がこの順に重ねられ、多層フィードブロック110を形成する。 図7の多層フィードブロック110は、溶融樹脂導入板102,104,106,108に由来して4つの溶融樹脂導入口を有するが、例えば溶融樹脂Aを溶融樹脂導入板102,106の導入口111から供給し、溶融樹脂Bを溶融樹脂導入板104,108の導入口111から供給する。すると、スリット板103は、溶融樹脂導入板102から溶融樹脂A、溶融樹脂導入板104から溶融樹脂Bの供給を受け、スリット板105は、溶融樹脂導入板106から溶融樹脂A、溶融樹脂導入板104から溶融樹脂Bの供給を受け、スリット板107は、溶融樹脂導入板106から溶融樹脂A、溶融樹脂導入板108から溶融樹脂Bの供給を受けることになる。
【0043】
図7に示すようにスリット板103,105,107の下方の排出口113は、3つの溶融樹脂流れの積層構造が並列となる位置関係で配置され、また、溶融樹脂導入板104,106によって互いに隔てられている。図7の多層フィードブロック110の真下(Z方向)には図8(a)に示すような合流装置118を配置し、スリット板103、105、107の排出口113から流出する樹脂流を合流させる。図8(a)のL−L’、M−M’、N−N’におけるXY断面図を、それぞれ、図8(b)、(c)、(d)に示す。スリット板103、105、107の排出口113から流出した樹脂流は合流装置118により、L−L’からM−M’に流れに従い、図8(b)、(c)に示すように、流路の配置転換が行われ3つの樹脂流が積層方向に直列に並ぶ。さらに、当該の樹脂流は図8(a)のM−M’からN−N’に移動するに従い、それぞれの樹脂流が合流し1つの樹脂流となり、図8のN−N’より下流にある口金へ流出される。
【0044】
上記のように、複数のスリットを第1のスリット群毎に分割し並列に並べて構成した装置では、製造しようとする積層シートの積層数が多い場合でも、多層フィードブロックのスリットを構成する部材のスリット配列方向の大きさを小さくすることが出来るため、装置を設置するのに大きなスペースが不要であり、分解組立等の取り扱いが容易となる他、スリットを加工時に汎用性の高い小型の加工機で加工できる等のメリットがある。
【0045】
各スリット群17においてスリット16a、16bのスリット長または/およびスリット間隙が、図4(a)または図4(b)に示したように、一端から他端に向かって単調に変化するまたは、スリット間隙が段階的に変化しながらスリット長が単調に変化するように設定されたスリット板20を有する多層フィードブロック11を、図1に示される積層シートの製造装置の多層フィードブロック11として用いる。この積層シートの製造装置を用いて製造した積層シート(多層フィルム)の一例の横断面を図9に、また、各層の厚みを図10にしめす。
【0046】
図9および図10において、積層シート31は、樹脂Aからなる層32と樹脂Bからなる層33とが交互に積層された構造を有する。その特徴的な点は、層32および層33の厚みが、積層シート31の一方の表面から他方の表面に向かい、すなわち、積層シートの厚み方向(図9に示す矢印30)に、順次減少あるいは増加し、その変化が積層シート31の厚み方向(図9に示す矢印30)に複数繰り返ししている点で、図10の各層の厚みに示すように同じ厚みの層が積層シート31に複数存在することである。
【0047】
以下の実施例に登場する測定値の測定法は、次の通りである。
【0048】
(a)積層厚み、積層数
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、電子顕微鏡観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型、((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kvでフィルム断面を3,000乃至40,000倍に拡大観察し、断面写真を撮影し、層構成および各層厚みを測定した。なお、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuO4やOsO4などを使用した染色技術を用いても良い。
【0049】
(b)反射率
分光光度計(U−3410, Spectrophotometer :(株)日立製作所製)に、直径60mmの積分球(130−0632、(株)日立製作所製)および角度10°傾斜スペーサーを取り付けて反射率を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、250nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として装置附属の酸化アルミニウム板を用い、サンプル測定時は、裏面からの反射による干渉をなくすために、“マジックインキ(登録商標)”で黒塗りした。
【0050】
(c)溶融粘度
島津社製フローテスター(CFT−500)を用いて、剪断速度100(s-1)の時の溶融粘度を測定した。このとき使用したダイは直径1mm、測定ストロークは10乃至13とした。なお、n数(測定回数)は3とし、その平均値を採用した。
【実施例】
【0051】
[実施例1]
2種類の熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを準備した。熱可塑性樹脂Aとして、280℃における溶融粘度が180Pa・sのポリエチレンテレフタレート(PET)(東レ(株)製、F20S)を用いた。熱可塑性樹脂Bとして、280℃における溶融粘度が180Pa・sのポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール成分15mol%およびシクロヘキサンジカルボン酸成分20mol%を共重合したポリエチレンテレフタレート)を用いた。これら熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ乾燥した後、押出機に供給した。
【0052】
熱可塑性樹脂AおよびBは、それぞれ、押出機にて温度280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、それぞれの導入管より多層フィードブロックに導入した。多層フィードブロックとしては、スリット数が801個の装置を用いた。スリット板の形状は図3および図4(a)に示したものとし、各スリットの形状は、図5、図6に示したような上部傾斜部を有するものとした。
【0053】
スリット板のディメンションは、前記の熱可塑性樹脂を総供給量として200kg/hで供給した際、圧力損失差が1.5MPaであり、積層シート(多層フィルム)の表面側の層から裏面側の層に向かうにつれ徐々に層厚みが薄くなる積層を3回繰り返すよう267個のスリットでスリット群を構成し、その層厚みの最大/最小の比率が3.0になるように、最短のスリット長さSLmin(25mm)/最長のスリット長さSLmax(75mm)の比を3.0とし、図4(a)に示すように直線的にスリット長が変化するものとした。
【0054】
熱可塑性樹脂Aは、図5に示したマニホールド14に供給し、熱可塑性樹脂Bは図6に示したマニホールド15に供給し、対応する各スリット16a、16bを通過した熱可塑性樹脂Aの層と熱可塑性樹脂Bの層を交互に積層して、両表層が熱可塑性樹脂Aの層からなり、各層の厚みが一方の表面側から反対側の表面側に向かうにつれ徐々に薄くなる構成が3回繰り返すようにした積層シートを得た。
【0055】
ここで、互いに隣接する熱可塑性樹脂Aの層と熱可塑性樹脂Bの層の厚み比が0.95となるように、各樹脂の供給量をギヤポンプで調整した。また、樹脂Aが通過するスリット16aおよび、樹脂Bが通過するスリット16b共にスリット間隙は、0.6mmとした。
【0056】
このようにして得られた801層からなる積層流を、Tダイ5に供給し、シート状に成形した後、静電印加されかつ表面温度が25℃に保たれたキャスティングドラム7上で急冷固化した。
【0057】
得られたキャストフィルム8を、温度90℃に設定したロール群で加熱し、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラディエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向(フィルム長手方向)に3.4倍延伸した。
【0058】
その後、この一軸延伸フィルムの両面に、空気中でコロナ放電処理を施し、このフィルム(基材フィルム)の表面の濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に、(ガラス転移温度Tgが18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度Tgが82℃のポリエステル樹脂)/(平均粒径100nmのシリカ粒子)からなる積層形成膜塗液を塗布し、基材フィルムの表面に、透明で易滑性および易接着性を有する表面層を形成した。
【0059】
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、温度110℃の熱風で予熱後、横方向(フィルム幅方向)に3.7倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で温度230℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて、幅方向に5%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。
【0060】
得られた二軸延伸積層フィルムは、全厚みが110μmであった。得られた積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、各層の厚みを求めた。得られた溶融樹脂A、溶融樹脂Bの薄膜層の厚みは、全て60nm〜180nmの範囲にあり、表層から徐々に薄くなる層構造を3回繰り返す構造を実現していた。また、このフィルムの分光反射スペクトルは、波長400nm〜1100nmに渡り70%以上の高い反射率を有する金属光沢感のある積層フィルムであった。
[実施例2]
実施例1の多層フィードブロックを図4(b)に示すようなスリット群で構成したスリット板を用いた以外は実施例1と同様とした。
【0061】
スリットの総数は801個で1つのスリット群を267個のスリットで構成した、スリット群はスリット間隙0.5mmのスリットを70個、スリット間隙0.55mmのスリットを62個、0.6mmのスリットを59個、0.65mmのスリットを76個とした。スリット長さは各層の層厚みに連続性が保たれるよう式(1)により0.5mmのスリット間隙のスリットはスリット長さSLが30mmから40mm、0.55mmのスリットは30mmから39mm、0.6mmのスリットは30mmから38mm、0.65mmのスリットは30mmから41mmへと、図4(b)に示すように直線的にスリット長SLが変化するものとした。
【0062】
得られた二軸延伸積層フィルムは、全厚みが110μmであった。得られた積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、各層の厚みを求めた。得られた溶融樹脂A、溶融樹脂Bの薄膜層の厚みは、全て60nm〜180nmの範囲にあり、表層から徐々に薄くなる層構造を3回繰り返す構造を実現していた。また、このフィルムの分光反射スペクトルは、波長400nm〜1100nmに渡り70%以上の高い反射率を有する金属光沢感のある積層フィルムであった。
[実施例3]
多層フィードブロックを図7に示すよう1つのスリット群を1枚のスリット板に構成、スリット数267個のスリット板を3枚用い、図8に示すような合流装置で合流させ801層とした。
【0063】
スリット群のスリットの構成は実施例2と同様にした。
【0064】
得られた二軸延伸積層フィルムは、実施例1および2と同様全厚みが110μmであった。得られた積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、各層の厚みを求めた。得られた溶融樹脂A、溶融樹脂Bの薄膜層の厚みは、全て60nm〜180nmの範囲にあり、表層から徐々に薄くなる層構造を3回繰り返す構造を実現していた。また、このフィルムの分光反射スペクトルは、波長400nm〜1100nmに渡り70%以上の高い反射率を有する金属光沢感のある積層フィルムであった。
【0065】
なお、上記実施例においては、スリット群で積層する層の厚みの変化が、積層シートの表層から他の表層に向かって同じであるように各スリット群を構成したが、多層フィードブロック以降の導管および口金の壁面抵抗等の影響により積層フィルムの表層部が薄膜化する場合、表層部分に厚膜を構成すると、厚膜層が薄膜化し目的の層厚みに達せず分光反射スペクトルを乱すことがある。この場合、
図11に示すように、表層側が薄膜層で構成されるようスリット群の方向を変えると良い。
【0066】
また、条件によっては、スリット群の外側に最表層を形成するスリットを設け、そのスリットで厚膜層を形成することで壁面の影響を防止しても良い。
[比較例1]
多層フィードブロックを図12に示すようなスリットで構成した従来のスリット板を用いた以外は実施例1と同様とした。
【0067】
スリットの総数は801個でスリット間隙は樹脂Aが通過するスリット16aおよび、樹脂Bが通過するスリット16b共に0.6mmとした。スリット長は積層シート(多層フィルム)の表面側から裏面側に向けへ徐々に層厚みが薄くなるように構成し、その層厚みの最大/最小の比率が3.0になるように、最短のスリット長さSLmin(25mm)/最長のスリット長さSLmax(75mm)の比を3.0とし図12に示すように直線的にスリット長が変化するものとした。
【0068】
得られた二軸延伸フィルムは、全厚みが110μmであった。得られた積層フィルムの厚み方向の断面をTEM観察し、各層の厚みを求めた。得られた溶融樹脂A、溶融樹脂Bの薄膜層の厚みは、全て60nm〜180nmの範囲内であったが、分光反射スペクトルは、波長400nm〜1100nmの範囲で部分的に70%以下の反射率を示す部分があり色ムラのある積層フィルムであった。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明により製造される積層シートは、複数種類の溶融材料が、この種類の数よりも多い数の複数の層に積層された後、溶融材料が固化して形成されたものである。本発明によれば、積層シートの厚み方向に同じ層厚みが複数存在するので、ムラが生じた場合でも目標の波長帯域において高い反射率を示す積層シートが、容易に製造出来る。本発明により製造された積層シートは、優れた光学特性を有し、携帯電話、家電製品、建材、包装、自動車の内外装などに用いられる意匠性材料、有価証券に用いられるホログラムなどの偽造防止用材料、液晶ディプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機エレクトロニクスディスプレイなどの各種ディスプレイや、光学印刷機器、カメラ、ライトガイド、光通信など種々の光学機器の反射材料もしくは光学フィルタ、車載用、建材用の熱線遮断ウィンドウフィルム、太陽電池用反射体などとして好適な積層フィルムとして好ましく用いられる。
【符号の説明】
【0070】
1:溶融樹脂Aが供給される溶融樹脂導入管
2:溶融樹脂Bが供給される溶融樹脂導入管
3:多層フィードブロック
4:積層流が流れる導管
5:口金(Tダイ)
6:積層シート
7:キャスティングドラム
8:未延伸フィルム
11:多層フィードブロック
12、13:樹脂導入路
14:樹脂A側のマニホールド
15:樹脂B側のマニホールド
16a、16b:スリット
17:スリット群
18:合流部
19:排出路
20:スリット板
20a:合流部/排出路形成部材
20b:隔壁
21、22:側板
26、27:傾斜部
30:フィルムの厚み方向
31:積層シート(多層フィルム)
32:樹脂Aからなる層
33:樹脂Bからなる層
102、104、106、108:溶融樹脂導入板
103、105、107:スリット板
111:導入口
112:マニホールド
113:排出路
118:合流装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2種類の溶融材料が前記種類の数よりも多い数の複数の層に積層された積層シートの製造装置であって、前記各溶融材料を前記各層に対応して通過させるように所定の間隔をもって配列された複数のスリットと、前記各スリットを通過した前記各溶融材料を前記積層を形成するように合流させる合流部とを備えた積層シートの製造装置において、前記複数のスリットは少なくとも2つの第1のスリット群からなり、該各第1のスリット群は少なくとも2つの第2のスリット群からなり、該各第2のスリット群は、該各第2のスリット群内において前記各溶融材料に対応したスリットのスリット間隙が実質的に同一である複数のスリットを有し、かつ、前記第2のスリット群同士は前記各第1のスリット群において互いに異なるスリット間隙となる複数のスリットを有しているとともに、前記各第2のスリット群におけるスリットにおいて、少なくとも1つのスリットのスリット長と他のスリットのスリット長が異なっていることを特徴とする積層シートの製造装置。
【請求項2】
前記第1のスリット群における前記第2のスリット群のスリット群ごとのスリット間隙が、前記第1のスリット群における前記第2のスリット群の配列方向に増加または減少するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造装置。
【請求項3】
前記第2のスリット群において、スリットのスリット長が、前記スリットの配列方向に沿って一端から他端に向かって、単調に変化するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シートの製造装置。
【請求項4】
前記第1のスリット群におけるスリットの数が200以上500以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シートの製造装置。
【請求項5】
2種類の溶融材料が前記種類の数よりも多い数の複数の層に積層された積層シートの製造方法であって、前記各溶融材料を前記各層に対応して通過させるように所定の間隔をもって配列された複数のスリットに供給し、前記各スリットを通過した前記各溶融材料を前記積層を形成するように合流させるに際し、前記複数のスリットを少なくとも2つの第1のスリット群とし、該各第1のスリット群は少なくとも2つの第2のスリット群からなり、該各第2のスリット群は、該各第2のスリット群内において前記各溶融材料に対応した隣り合うスリットのスリット間隙が実質的に同一である複数のスリットを有し、かつ、前記第2のスリット群同士は前記各第1のスリット群において互いに異なるスリット間隙となる複数のスリットを有しているとともに、前記各第2のスリット群におけるスリットにおいて、少なくとも1つのスリットのスリット長と他のスリットのスリット長が異なっている前記スリットを用いることを特徴とする積層シートの製造方法。
【請求項1】
2種類の溶融材料が前記種類の数よりも多い数の複数の層に積層された積層シートの製造装置であって、前記各溶融材料を前記各層に対応して通過させるように所定の間隔をもって配列された複数のスリットと、前記各スリットを通過した前記各溶融材料を前記積層を形成するように合流させる合流部とを備えた積層シートの製造装置において、前記複数のスリットは少なくとも2つの第1のスリット群からなり、該各第1のスリット群は少なくとも2つの第2のスリット群からなり、該各第2のスリット群は、該各第2のスリット群内において前記各溶融材料に対応したスリットのスリット間隙が実質的に同一である複数のスリットを有し、かつ、前記第2のスリット群同士は前記各第1のスリット群において互いに異なるスリット間隙となる複数のスリットを有しているとともに、前記各第2のスリット群におけるスリットにおいて、少なくとも1つのスリットのスリット長と他のスリットのスリット長が異なっていることを特徴とする積層シートの製造装置。
【請求項2】
前記第1のスリット群における前記第2のスリット群のスリット群ごとのスリット間隙が、前記第1のスリット群における前記第2のスリット群の配列方向に増加または減少するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層シートの製造装置。
【請求項3】
前記第2のスリット群において、スリットのスリット長が、前記スリットの配列方向に沿って一端から他端に向かって、単調に変化するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シートの製造装置。
【請求項4】
前記第1のスリット群におけるスリットの数が200以上500以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層シートの製造装置。
【請求項5】
2種類の溶融材料が前記種類の数よりも多い数の複数の層に積層された積層シートの製造方法であって、前記各溶融材料を前記各層に対応して通過させるように所定の間隔をもって配列された複数のスリットに供給し、前記各スリットを通過した前記各溶融材料を前記積層を形成するように合流させるに際し、前記複数のスリットを少なくとも2つの第1のスリット群とし、該各第1のスリット群は少なくとも2つの第2のスリット群からなり、該各第2のスリット群は、該各第2のスリット群内において前記各溶融材料に対応した隣り合うスリットのスリット間隙が実質的に同一である複数のスリットを有し、かつ、前記第2のスリット群同士は前記各第1のスリット群において互いに異なるスリット間隙となる複数のスリットを有しているとともに、前記各第2のスリット群におけるスリットにおいて、少なくとも1つのスリットのスリット長と他のスリットのスリット長が異なっている前記スリットを用いることを特徴とする積層シートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−52687(P2013−52687A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274382(P2012−274382)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2008−85849(P2008−85849)の分割
【原出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2008−85849(P2008−85849)の分割
【原出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】
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