説明

積層フィルムおよび離型フィルム付き積層フィルム

【課題】本発明の課題は、電子機器等のディスプレイやタッチパネル等に対して有効に防汚機能を付与することができると共に、ユーザの意思によって自由に再剥離、再付着を行うことができるディスプレイ/タッチパネル用保護フィルムを提供することにある。
【解決手段】本発明に係る積層フィルム100は、基層120、防汚層110および粘着層130を備える。防汚層は、基層の片側に形成される。粘着層は、基層の防汚層形成側の反対側に形成される。この粘着層は、JIS Z0237規格に規定される「テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法(方法1)」にて剥離速度を5mm/秒に設定して測定されるガラス板に対する粘着力が4cN/25mm以上25cN/25mm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等のディスプレイに対して防汚機能を付与することができる積層フィルムおよび離型フィルム付き積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「ハードコート層を備えるディスプレイ/タッチパネル保護フィルム」が提案されている(例えば、特開平11−029720号公報や、特開2004−114355号公報、特開2006−282711号公報等参照)。このような保護フィルムは、指紋等の汚れが付着しにくく、汚れが付着としても簡便にその汚れを拭き取ることができる性質を有している。
【0003】
そして、このような保護フィルムでは、通常、基材フィルム上にハードコート層が形成され、基材フィルムのハードコート層形成側の反対側に粘着層が形成されている。そして、このような保護フィルムは、通常、この粘着層によりディスプレイやタッチパネルに付着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−029720号公報
【特許文献2】特開2004−114355号公報
【特許文献3】特開2006−282711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザがたった一度で所望の通りに上述の保護フィルムをディスプレイやタッチパネルに付着させることができるのは稀である。このため、ユーザは、ディスプレイやタッチパネル等に対して十分な力で付着して有効に防汚機能を付与することができると共に、自由に再剥離、再付着を行うことができるディスプレイ/タッチパネル用保護フィルムの登場を待ち望んでいる。
【0006】
本発明の課題は、電子機器等のディスプレイやタッチパネル等に対して有効に防汚機能を付与することができると共に、ユーザの意思によって自由に再剥離、再付着を行うことができるディスプレイ/タッチパネル用保護フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)
本発明の一局面に係る積層フィルムは、基層、防汚層および粘着層を備える。防汚層は、基層の片側に形成される。なお、この防汚層とは、例えば、耐指紋性を有するハードコート層などである。粘着層は、基層の防汚層形成側の反対側に形成される。この粘着層は、JIS Z0237規格に規定される「テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法(方法1)」にて剥離速度を5mm/秒に設定して測定されるガラス板に対する粘着力が4cN/25mm以上25cN/25mm以下である。なお、この粘着力の数値範囲は、6cN/25mm以上20cN/25mm以下であるのが好ましく、8cN/25mm以上15cN/25mm以下であるのがより好ましい。この粘着層は、ガラスに対する粘着力よりも基層に対する粘着力が高い。
【0008】
本願発明者らの鋭意検討の結果、粘着層の粘着力が上記の範囲内である場合、人の指等により積層フィルムに外力が負荷されても積層フィルムがガラス板に良好に貼り付いたままとなると共に、その積層フィルムをガラス板から簡便に剥離することができることが明らかとなった。一度、積層フィルムがガラス板から剥離された後であってもその積層フィルムを再び良好にガラス板に貼り付けられることができることも明らかとなっている。
【0009】
このため、この積層フィルムは、人の指等による外力が負荷されてもガラス板に良好に貼り付いたままとなると共に、ガラス板から簡便に剥離することができる。この積層フィルムは、一度、剥離された後であっても再び良好にガラス板に貼り付けられることができる。したがって、この積層フィルムは、電子機器のディスプレイやタッチパネル等に対して有効に防汚効果を付与することができると共に、ユーザの意思によって自由に再剥離、再付着を行うことができる。
【0010】
(2)
なお、本発明の一局面に係る積層フィルムにおいて、粘着層は、アクリル単位を主成分とする粘着剤(以下「アクリル樹脂系粘着剤」という)もしくはスチレン単位を主成分とするエラストマー(以下「スチレン系エラストマー」という)と、パラフィンオイルもしくは可塑剤との混合物、またはシリコーン樹脂系粘着剤から形成されるのが好ましい。このような粘着層は、厚みが20μm以上40μm以下であるのが好ましい。
【0011】
本願発明者らの鋭意検討の結果、上記のような混合物から形成される粘着層の厚みが上記の通りであると、自己粘着性(ガラス板に載置しただけでガラス板に均一に粘着する性質)が良好に発現すると共に、人の指等により外力が負荷されても積層フィルムのズレが極めて小さいことが明らかとなった。
【0012】
このため、この積層フィルムは、ディスプレイやタッチパネル等に対して簡便な方法で均一に貼り付けることができると共に、良好に電子機器等を操作することができる。
【0013】
(3)
本発明の一局面に係る積層フィルムにおいて、上述の混合物では、アクリル樹脂系粘着剤またはスチレン系エラストマー100重量部に対して、10重量部以上150重量部以下のパラフィンオイルまたは可塑剤が添加されるのが好ましい。
【0014】
本願発明者らの鋭意検討の結果、混合物の配合比が上記の通りであると、自己粘着性がさらに良好に発現することが明らかとなった。
このため、この積層フィルムは、ディスプレイやタッチパネル等に対して簡便な方法で良好に貼り付けることができる。
【0015】
(4)
本発明の他の局面に係る離型フィルム付き積層フィルムは、積層フィルムおよび離型フィルムを備える。積層フィルムは、上述の積層フィルムである。離型フィルムは、積層フィルムの粘着層に付着される。
【0016】
このため、この離型フィルム付き積層フィルムでは、各種電子機器のディスプレイやタッチパネル等への貼り付け前において、積層フィルムの粘着層が汚れて粘着力を失うことを防止することができる。
【0017】
(5)
なお、本発明の他の局面に係る離型フィルム付き積層フィルムにおいて、粘着層は、JIS Z0237規格に規定される「テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法(方法1)」にて剥離速度を5mm/秒に設定して測定される離型フィルムに対する粘着力が2cN/25mm以上4cN/25mm以下であり、基層に対する粘着力が離型フィルムに対する粘着力よりも大きいのが好ましい。
【0018】
本願発明者らの鋭意検討の結果、上記のような粘着層であれば、積層フィルムから離型フィルムを剥離するときに、積層フィルムから粘着層を脱離させることなく(つまり、粘着層が離型フィルムに転写することなく)、離型フィルムを簡便に粘着層から剥離することができることが明らかとなった。
【0019】
このため、この離型フィルム付き積層フィルムは、積層フィルムから離型フィルムを剥離するときに、積層フィルムから粘着層を脱離させることなく、離型フィルムを簡便に粘着層から剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る積層フィルムの縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る積層フィルムの粘着層に離型フィルムを貼着したときの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る積層フィルム100は、図1に示されるように、主に、耐指紋性ハードコート層110、基層120および粘着層130から構成される。以下、これらの層それぞれについて詳述する。
【0022】
<積層フィルムの構成層の詳細>
【0023】
1.基層
基層120としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系重合体フィルム、環状オレフィン系重合体フィルム、環状共役ジエン系重合体フィルム、ビニル脂環式炭化水素重合体フィルム等の一般的な透明樹脂フィルムが採用される。なお、これらの透明樹脂フィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系重合体フィルム等が特に好ましい。
【0024】
なお、この基層120の厚さは、特に限定されることはないが、通常20〜300μm、好ましくは50〜250μmである。
【0025】
基層120を耐指紋性ハードコート層110および粘着層130と良好に接着させるために、基層120を構成する透明樹脂フィルムには、片面又は両面に、プライマー処理、酸化法や凹凸化法などによる表面処理が施されるのが好ましい。酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理などが挙げられる。凹凸化法としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。
【0026】
2.耐指紋性ハードコート層
耐指紋性ハードコート層110は、主に、多官能オリゴマーと、多官能モノマーおよび単官能モノマーの少なくとも一方のモノマーと、耐指紋性付与剤とから形成される。
【0027】
なお、この耐指紋性ハードコート層110は上述の成分を有する組成物を、ロールーコーター、フローコーター、スプレーコーター、カーテンフローコーター、ディップコーター、スリットダイコーターなど公知の方法を用いて基層120上に塗布した後に、紫外線等の光が照射されることによって形成されるが、この際、その組成物には光重合開始剤や有機溶剤(希釈液)などが添加され、塗料組成物とされる。なお、このとき、その塗料組成物の粘度や樹脂分濃度などは、状況、目的、塗布方法に応じて適宜選択される。
【0028】
なお、この耐指紋性ハードコート層110の厚さは、特に限定されることはないが、通常2〜20μm、好ましくは2〜15μm、より好ましくは2〜10μmである。
以下、上記組成物の成分それぞれについて詳述する。
【0029】
(1)多官能オリゴマー
多官能オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ウレタンアクリレートオリゴマー等が挙げられる。なお、これらの多官能オリゴマーの中でもウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。ウレタンアクリレートオリゴマーは、耐指紋性ハードコート層110に必要な硬度を付与することができるとともに、より優れた耐摩耗性や耐擦傷性を付与することができるからである。以下、これらの多官能オリゴマーそれぞれについて詳述する。
【0030】
(1−1)エポキシアクリレートオリゴマー
エポキシアクリレートオリゴマーは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得ることができる。
【0031】
(1−2)ポリエステルアクリレートオリゴマー
ポリエステルアクリレートオリゴマーは、例えば、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。なお、両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーは、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる。ポリエステルアクリレートオリゴマーは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することによっても得られる。
【0032】
(1−3)ウレタンアクリレートオリゴマー
ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーとの反応生成物である。なお、ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0033】
なお、ウレタンアクリレートオリゴマーの中でも、6つ以上の官能基を有するものが特に好ましい。このようなウレタンアクリレートが採用されると、耐指紋性ハードコート層110に十分な硬度や耐摩耗性を付与しつつも、高架橋度が達成され、高架橋時の硬化収縮の度合いが他の多官能オリゴマーと比べ小さいからである。
【0034】
ウレタンアクリレートオリゴマーの調製に用いられるポリエステルポリオールの製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法が適用され得る。例えば、ジオールとジカルボン酸もしくはジカルボン酸クロライドとを重縮合反応させてポリエステルポリオールを製造してもよいし、ジオールまたはジカルボン酸をエステル化して、エステル交換反応させることによりポリエステルポリオールを製造してもよい。なお、ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸等が挙げられる。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等が挙げられる。
【0035】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシドランダム共重合体で、数平均分子量が600未満のものが好ましい。数平均分子量が600以上であると、耐指紋性ハードコート層110に十分な硬度や耐摩耗性を付与することができないおそれがあるからである。
【0036】
ポリカーボネートジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−へキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール等が挙げられる。なお、これらのポリカーボネートジオールは、1種のみ用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0037】
ジイソシアネートとしては、直鎖式あるいは環式の脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートが挙げられる。ただし、芳香族ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートよりも容易に耐指紋性ハードコート層110に対して硬度や耐擦傷性等を付与することができるが、耐指紋性ハードコート層110の主成分として用いられると、耐指紋性ハードコート層110の耐光性を低下させるおそれがある。芳香族ジイソシアネートが耐指紋性ハードコート層110の主成分として用いられると、耐指紋性ハードコード層110が光により黄変しやすくなってしまう。このため、芳香族ジイソシアネートは、副成分として利用されるのが好ましい。直鎖式あるいは環式の脂肪族ジイソシアネートの代表的なものとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0038】
水酸基を有するアクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレートが挙げられる。
【0039】
(2)多官能モノマー
多官能モノマーとしては、例えば、多官能アクリレートモノマー等が挙げられる。なお、多官能アクリレートモノマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートが挙げられる。
【0040】
なお、これらの多官能モノマーのうち、環状構造を有する2官能アクリレートが採用されることが好ましい。環状構造を有する2官能アクリレートは、耐指紋性ハードコート層110に硬度や、耐摩耗性、耐擦傷性などを付与すると共に、基層120に対する密着性を向上させるからである。この環状構造を有する2官能アクリレートとしては、例えば、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化シクロヘサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートが挙げられる。
【0041】
(3)単官能モノマー
単官能モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、イソボロニルアクリレートなどが挙げられる。
【0042】
(4)光重合開始剤
光重合開始剤は、公知のものを単独で若しくは組み合わせて使用することができる。なお、このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン又はベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等の芳香族ケトン類;ベンジル等のアルファ−ジカルボニル類;ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類;アセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のフォスヒンオキサイド類;1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアルファ−アシルオキシム類;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン類等が挙げられる。
【0043】
(5)耐指紋性付与剤
耐指紋性付与剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸エステルおよびその誘導体等が挙げられる。
【0044】
なお、脂肪酸としては、例えば、プロピレングリコールモノステアリン酸、プロピレングリコールモノラウリン酸、ジエチレングリコールモノステアリン酸、ジエチレングリコールモノラウリン酸、グリセロールモノステアリン酸、ソルビタンセスキオレイン酸、ソルビタンモノオレイン酸、ソルビタンモノステアリン酸、ソルビタンモノパルミチン酸、ソルビタンモノラウリン酸等が挙げられる。
【0045】
脂肪酸エステルとしては、例えば、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリン酸エステル、ジエチレングリコールモノラウリン酸エステル、グリセロールモノステアリン酸エステル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
【0046】
その誘導体としては、例えば、ポリオキシアルキレン付加脂肪酸エステル等が挙げられる。なお、ポリオキシアルキレン付加脂肪酸エステルとしては、例えば、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(4)ソルビタントリステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレイン酸エステル、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレングリコール400モノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレングリコール400モノモノステアリン酸エステル、ポリエチレングリコール400モノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウリン酸エステル等が挙げられる。
【0047】
(6)有機溶剤
有機溶剤としては、市販のものを使用することができる。なお、具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール;メチルエチルケトン、2−ぺンタノン、イソホロンなどのケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル;エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤;メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤を単独又は混合して使用できる。
【0048】
(7)その他
耐指紋性ハードコート層形成用組成物中には、本発明の趣旨を損なわない範囲で、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤、抗菌剤、防カビ剤等が添加されてもかまわない。
【0049】
3.粘着層
粘着層130は、主に、粘着剤および自己粘着性付与剤から形成される。
【0050】
なお、本発明の実施の形態において、粘着層130は、ガラス板に対する粘着力が4cN/25mm以上25cN/25mm以下となるように調製される。なお、この粘着力は、JIS Z0237規格に規定される「テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法(方法1)」にて剥離速度を5mm/秒に設定して測定される。なお、当然ながら、このとき、ステンレス試験板は、ガラス板に置き換えられる。
【0051】
この粘着層130は上述の粘着剤や、粘着剤および自己粘着性付与剤等を含有する組成物を、ロールーコーター、フローコーター、スプレーコーター、カーテンフローコーター、ディップコーター、スリットダイコーターなど公知の方法を用いて基層120に塗布することによって形成されるが、この際、粘着剤や組成物には有機溶剤(希釈剤)などが添加される。なお、このとき、その粘着剤や組成物の粘度や樹脂分濃度などは、状況、目的、塗布方法に応じて適宜選択される。
【0052】
この粘着層130の厚さは、特に限定されることはないが、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜40μmである。
【0053】
図2に示されるように、粘着層130の粘着力保護のため、粘着層130には、離型フィルム140が貼着されるのが好ましい。なお、このとき、粘着層130は、離型フィルム140に対する粘着力が2cN/25mm以上4cN/25mm以下となるように調製される。なお、この粘着力は、JIS Z0237規格に規定される「テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法(方法1)」にて剥離速度を5mm/秒に設定して測定される。なお、当然ながら、このとき、ステンレス試験板は、離型フィルムに置き換えられる。離型フィルム140としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムにシリコーン樹脂またはフッ素樹脂をコーティングしたもの等が挙げられる。
以下、粘着剤および自己粘着性付与剤について詳述する。
【0054】
(1)粘着剤
粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等が挙げられる。
【0055】
なお、合成ゴム系粘着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0056】
アクリル樹脂系粘着剤としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル等の単独重合体若しくは共重合体等が挙げられる。
【0057】
ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤としては、例えば、ポリビニルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0058】
シリコーン樹脂系粘着剤としては、付加重合型シリコーン粘着剤、過酸化物架橋型シリコーン粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、特に耐熱性、密着性に優れることから、付加重合型シリコーン粘着剤が好適である。このようなシリコーン樹脂系粘着剤の具体的な例としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、あるいは置換基としてポリエーテル、エポキシ、アミン、カルボキシル基を導入したものが挙げられる。
【0059】
なお、これら粘着剤は、1種単独で、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
(2)自己粘着性付与剤
本実施の形態において、自己粘着性付与剤とは、粘着層130が被着対象に貼着するときに意図的に荷重を負荷しなくとも粘着層130が自然に被着対象に貼着する性質を付与するものを意味する。なお、このような自己粘着性付与剤の添加量は、特に限定されることはないが、粘着剤100重量部に対して10〜150重量部の範囲内であるのが好ましい。
【0061】
なお、自己粘着性付与剤としては、例えば、パラフィンオイル(流動パラフィン)、ロジン系樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0062】
(3)有機溶剤
有機溶剤としては、市販のものを使用することができる。なお、具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール;メチルエチルケトン、2−ぺンタノン、イソホロンなどのケトン;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル;エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤;メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤を単独又は混合して使用できる。
【0063】
(4)その他
粘着剤または上述の組成物中には、本発明の趣旨を損なわない範囲で、充填剤、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、架橋剤等が添加されてもかまわない。
【0064】
なお、充填剤としては、亜鉛華、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0065】
軟化剤としては、プロセスオイル、液状ゴム、可塑剤等が挙げられる。
【0066】
酸化防止剤としては、アニリド系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエステル系酸化防止剤等が挙げられる。
【0067】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0068】
架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアナート系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
【0069】
<変形例>
先の実施の形態に係る積層フィルムには、耐指紋性ハードコート層110が形成されたが、この耐指紋性ハードコート層110に代えて、防汚性ハードコード層が形成されてもかまわない。なお、ここにいう防汚性ハードコード層とは、マジックのような油性インキに対しても防汚効果があるようなものを意味する。
【0070】
<実施例>
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0071】
<積層フィルムの作製>
【0072】
1.基層フィルムの準備
基層フィルムとして厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET 東洋紡績(株)製のA4300)を準備した。
【0073】
2.耐指紋性ハードコート層の作製
【0074】
(1)塗料組成物の調製
先ず、90重量部の6官能のウレタンアクリレートと、10重量部の2官能のアクリルモノマーとを混合してベース化合物を調製した。次に、ベース化合物100重量部に対して5重量部のイルガキュア(登録商標)184(長瀬産業(株)製のラジカル系光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン))を添加すると共に、ベース化合物100重量部に対して2重量部のイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWIS−10)を添加し、さらに、ベース化合物100重量部に対して100重量部の酢酸エチルを添加した。そして、このようにして配合された塗料組成物を十分に攪拌した後、密閉容器に封入した。
【0075】
(2)耐指紋性ハードコート層の作製
先ず、塗料組成物の膜厚(ウエット膜厚)が15μmとなるように、バーコータを用いて上述の塗料組成物を基層フィルム上に塗布した。次に、その基層フィルムを50℃の熱風循環型オーブン内に10分間、静置させ、基層フィルム上の塗料組成物を乾燥させた。なお、この乾燥後、基層フィルム上には未硬化コート層が形成された。続いて、この未硬化コート層に対して紫外線(照度:65mW/cm,積算光量:350mJ/cm)を照射して、基層フィルム上に膜厚5μmの耐指紋性ハードコート層を形成した。なお、紫外線の照射には、メタルハライドランプ(ウシオ電機(株)製)が用いられた。
【0076】
3.粘着層の作製
【0077】
(1)粘着剤の調製
【0078】
100重量部のアクリル樹脂系粘着剤(日本カーバイド工業(株)製KP−2104)と、25重量部のハイコール(登録商標)(カネダ(株)製の流動パラフィン)と、3重量部の架橋剤とを混合して粘着剤組成物を調製した。
【0079】
(2)粘着層の作製
先ず、基層フィルムの耐指紋性ハードコート層形成側と反対側に、乾燥後の膜厚が35μmとなるように、上述の粘着剤組成物をバーコード塗布した。そして、この基層フィルムを80℃の熱風循環型オーブン内に2分間、静置させ、粘着剤組成物を乾燥させ、基層フィルム上に所望の粘着層を形成した。
【0080】
<粘着層の評価>
【0081】
1.粘着層のガラス板に対する粘着力の測定
上述のようにして得られた積層フィルムを25mm幅に切断した後、その積層フィルム片をフォロストスライドガラスS2112(MATSUNAMI社製)(以下、単に「スライドガラス」と称する)に貼着して試験サンプルを作製し、その試験サンプルを20分間放置した。その後、その試験サンプルの粘着層のスライドガラスに対する粘着力を、JIS Z0237規格に規定される「テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法(方法1)」にて剥離速度を5mm/秒に設定して測定した。その結果、その粘着力は15cN/25mmであった(下記表1参照)。
【0082】
なお、本測定に際し、180°剥離試験機としてエー・アンド・デイ製のテンシロンが用いられた。本測定は、環境温度:23℃、環境圧力:常圧の条件下で行われた。
粘着力は、測定により得られた粘着力チャートの平均値とした。
【0083】
2.粘着層の離型フィルムに対する粘着力の測定
スライドガラスをシリコーン樹脂コーティング離型フィルムに置き換えた以外は、上記と同様にして粘着層のシリコーン樹脂コーティング離型フィルムに対する粘着力を測定した。その結果、その粘着力は、3cN/25mmであった(下記表1参照)。
【0084】
3.粘着層の自己粘着性の評価
上述のようにして得られた積層フィルムをスライドガラスに乗せ、粘着層の濡れ広がり方を観察した。なお、本実施例において全く濡れ広がなかったものを×(不合格)とし、ムラが発生したがスライドガラスに貼り付いたものを○(合格)とし、ムラなく広がったものを◎(合格)とした。なお、本実施例に係る積層フィルムは、ムラなく広がり、合格基準を満たしていた(下記表1参照)。
【0085】
4.粘着層の官能試験
上述のようにして得られた積層フィルムをスライドガラスに乗せた後、その積層フィルムを手でスライドガラスに押圧した。そして、指により積層フィルムに外力を負荷したときに積層フィルムがずれるか否かを確認した。
その後、その積層フィルムをスライドガラスから容易に剥離することができるか否かを確認した。
なお、本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例2】
【0086】
ハイコールの添加量を80重量部とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0087】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は12cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例3】
【0088】
25重量部のハイコールを10重量部のフタル酸ジ−2−エチルへキシルに代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0089】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は20cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例4】
【0090】
25重量部のハイコールを50重量部のフタル酸ジ−2−エチルへキシルに代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0091】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は15cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例5】
【0092】
アクリル樹脂系粘着剤をハイブラー(登録商標)7125((株)クラレ製のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体)に代え、ハイコールの添加量を50重量部とし、粘着剤組成物に架橋剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0093】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は10cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例6】
【0094】
アクリル樹脂系粘着剤をハイブラー7125((株)クラレ製のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体)に代え、ハイコールの添加量を100重量部とし、粘着剤組成物に架橋剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0095】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は8cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例7】
【0096】
アクリル樹脂系粘着剤をハイブラー7125((株)クラレ製のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体)に代えると共に、25重量部のハイコールを10重量部のフタル酸ジ−2−エチルへキシル(新日本理化(株)製 R−8000)に代え、粘着剤組成物に架橋剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0097】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は12cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例8】
【0098】
アクリル樹脂系粘着剤をハイブラー7125((株)クラレ製のスチレン−イソプレン−スチレン共重合体)に代えると共に、25重量部のハイコールを50重量部のフタル酸ジ−2−エチルへキシルに代え、粘着剤組成物に架橋剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0099】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は10cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例9】
【0100】
乾燥後の膜厚が25μmとなるように粘着剤組成物をバーコード塗布した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0101】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は10cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表1参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例10】
【0102】
乾燥後の膜厚が30μmとなるように粘着剤組成物をバーコード塗布した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0103】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は12cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例11】
【0104】
ハイコールの添加量を5重量部とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0105】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は15cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、ムラが発生したもののスライドガラスに貼り付き、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例12】
【0106】
25重量部のハイコールを2重量部のフタル酸ジ−2−エチルへキシルに代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0107】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は20cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例13】
【0108】
25重量部のハイコールを200重量部のフタル酸ジ−2−エチルへキシルに代えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0109】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は12cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例14】
【0110】
乾燥後の膜厚が15μmとなるように粘着剤組成物をバーコード塗布した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0111】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は6cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、ムラが発生したもののスライドガラスに貼り付き、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
【実施例15】
【0112】
アクリル樹脂系粘着剤をシリコーン樹脂系粘着剤((株)信越化学製のX−40−3306)に代えると共に、25重量部のハイコールを0.2重量部の白金触媒(PL−50T)に代え、さらに、粘着剤組成物に架橋剤を添加しなかった以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0113】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は10cN/25mmであり、粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、スライドガラスに対してムラなく広がり、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表2参照)。本実施例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときでもずれず、その後に容易に剥離することができた。
(比較例1)
【0114】
ハイコールの添加量を200重量部とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0115】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は2cN/25mmであった。粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本比較例に係る積層フィルムの自己粘着性は、スライドガラスに対して全く濡れ広がらず、自己粘着性の合格基準を満たしていなかった(下記表2参照)。本比較例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されたときにずれが生じたが、容易に剥離することはできた。
(比較例2)
【0116】
乾燥後の膜厚が100μmとなるように粘着剤組成物をバーコード塗布した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0117】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は35cN/25mmであった。粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本比較例に係る積層フィルムは、ムラが発生したもののスライドガラスに貼り付き、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表2参照)。本比較例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されてもずれなかったが、その後に容易に剥離することができず、粘着層の一部がスライドガラスに残存していた。
(比較例3)
【0118】
乾燥後の膜厚が50μmとなるように粘着剤組成物をバーコード塗布した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、粘着層の評価を行った。
【0119】
その結果、粘着層のスライドガラスに対する粘着力は30cN/25mmであった。粘着層の離型フィルムに対する粘着力は3cN/25mmであった(下記表2参照)。本比較例に係る積層フィルムは、ムラが発生したもののスライドガラスに貼り付き、自己粘着性の合格基準を満たしていた(下記表2参照)。本比較例に係る積層フィルムは、指により外力が負荷されてもずれなかったが、その後に容易に剥離することができず、粘着層の一部がスライドガラスに残存していた。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
なお、表1および表2中、「6UA」は6官能のウレタンアクリレートを示し、「2AM」は2官能のアクリル系モノマーを示し、「IC」はイルガキュア(登録商標)184を示し、「PEGI」はイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルを示し、「EA」は酢酸エチルを示し、「AA」はアクリル樹脂系粘着剤を示し、「SIS」はスチレン−イソプレン−スチレン共重合体(ハイブラー(登録商標)7125)を示し、「SI」はシリコーン樹脂系粘着剤((株)信越化学製のX−40−3306)を示し、「PF」は流動パラフィン(ハイコール(登録商標))を示し、「DOP」はフタル酸ジ−2−エチルへキシルを示し、「CL」は架橋剤を示し、「Pt」は白金触媒を示す。
【符号の説明】
【0123】
100 積層フィルム
110 耐指紋性ハードコート層(防汚層)
120 基層
130 粘着層
140 離型フィルム
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明に係る積層フィルムは、ディスプレイやタッチパネル等に対して有効に防汚効果を付与することができると共に、ユーザの意思によって自由に再剥離、再付着を行うことができるという特徴を有し、携帯機器、家庭用電気製品、産業用電子機器、自動車用電子機器などの外装部、特にモニターなど情報表示部の保護フィルムとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層と、
前記基層の片側に形成される防汚層と、
前記基層の防汚層形成側の反対側に形成され、JIS Z0237規格に規定される「テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法(方法1)」にて剥離速度を5mm/秒に設定して測定されるガラス板に対する粘着力が4cN/25mm以上25cN/25mm以下である粘着層と
を備える、積層フィルム。
【請求項2】
前記粘着層は、アクリル単位を主成分とする粘着剤(以下「アクリル樹脂系粘着剤」という)もしくはスチレン単位を主成分とするエラストマー(以下「スチレン系エラストマー」という)と、パラフィンオイルもしくは可塑剤との混合物、またはシリコーン樹脂系粘着剤から形成されており、厚みが20μm以上40μm以下である
請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記混合物では、前記アクリル樹脂系粘着剤または前記スチレン系エラストマー100重量部に対して、10重量部以上150重量部以下の前記パラフィンオイルまたは前記可塑剤が添加される
請求項2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルムと、
前記粘着層に付着される離型フィルムと
を備える、離型フィルム付き積層フィルム。
【請求項5】
前記粘着層は、前記JIS Z0237規格に規定される「テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法(方法1)」にて剥離速度を5mm/秒に設定して測定される前記離型フィルムに対する粘着力が2cN/25mm以上4cN/25mm以下であり、前記基層に対する粘着力が前記離型フィルムに対する粘着力よりも大きい
請求項4に記載の離型フィルム付き積層フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−156792(P2011−156792A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21435(P2010−21435)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】