説明

積層フィルム及び表示装置

【課題】プリズム層などの上層との接着性に優れ、且つ、熱水処理下など悪条件下においても耐水性などの耐久性を備える。
【解決手段】積層フィルム10は、ポリエステルからなる支持体11と、支持体11の少なくとも一方の面に設けられる塗布層14を備える。塗布層14は、支持体11に一番近い位置に設けられ、ポリエステルバインダー、カルボジイミド構造を有する化合物、及びオキサゾリン基を有する化合物を含有する第1層12と、第1層12の上に設けられ、ポリウレタン樹脂を含む第2層13からなる。カルボジイミド構造を有する化合物はポリエステルバインダーに対して15質量%〜100質量%である。オキサゾリン基を有する化合物はポリエステルバインダーに対して10質量%〜65質量%である。第1層12は100mg/m〜250mg/mの塗布量で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性及び耐久性に優れる積層フィルム及びその積層フィルムを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルム、特に2軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルからなる支持体(以下単に「ポリエステル支持体」という)を有し、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性、低吸湿性を示すことから、各種の光学フィルムとして多く利用されている。例えば、液晶ディスプレイに用いられるプリズムシート、反射防止シート、光拡散シート、ハードコートシート等のベースフィルム、さらにプラズマディスプレイに用いられるIR吸収シート、電磁波シールドシート、調色シート、反射防止シート、防眩シート、ハードコートシート等のベースフィルムとして利用されている。
【0003】
以上のような光学フィルムに用いられるベースフィルムには、優れた透明性が要求されると共に、この上に積層されるプリズム層を始めとする層(以下、上層と言う場合もある)に対して優れた接着性(易接着性)が必要となる。しかし、ポリエステル支持体と上層とを直接的に充分な強度で接着することは困難である。そこで、一般的には、ポリエステル支持体の上に、接着性の高い素材を含有する易接着層と呼ばれる塗布層を設けることが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1では、ポリエステル樹脂とカルボジイミド化合物とを塗布層に含有させている。また、特許文献2では、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂とを塗布層に含有させている。
【特許文献1】特開2007−190817号公報
【特許文献2】特許3737738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献のような塗布層を設けた積層フィルムは、通常の環境下では上層との接着性を発揮するものの、高熱下、熱水処理下などの悪条件の下では接着性が弱くなることがある。
【0006】
本発明は、上層との接着性に優れ、且つ、高熱下、熱水処理下などの悪条件の下においても耐水性、耐熱性などの耐久性を備えた積層フィルム及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の積層フィルムは、ポリエステルからなる支持体の少なくとも一方の面には、ポリエステルバインダー、カルボジイミド構造を有する化合物、及びオキサゾリン基を有する化合物を含有する塗布層が設けられ、前記カルボジイミド構造を有する化合物は前記ポリエステルバインダーに対して15質量%〜100質量%であり、前記オキサゾリン基を有する化合物は前記ポリエステルバインダーに対して10質量%〜65質量%であることを特徴とする。
【0008】
前記塗布層は、前記支持体に一番近い第1層に設けられ、前記ポリエステルバインダー、前記カルボジイミド構造を有する化合物、及び前記オキサゾリン基を有する化合物を含有する第1層と、前記第1層の上に設けられ、ポリウレタン樹脂を含有する第2層とからなることが好ましい。前記第1層は100mg/m〜250mg/mの塗布量で形成されることが好ましい。
【0009】
本発明の表示装置には、上記本発明の積層フィルムが用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポリエステルからなる支持体の少なくとも一方の面に、ポリエステルバインダー、カルボジイミド構造を有する化合物、及びオキサゾリン基を有する化合物を含有する塗布層を設けるとともに、前記カルボジイミド構造を有する化合物を前記ポリエステルバインダーに対して15質量%〜100質量%にし、且つ、前記オキサゾリン基を有する化合物を前記ポリエステルバインダーに対して10質量%〜65質量%にすることで、上層との接着性に優れ、且つ、高熱下、熱水処理下などの悪条件の下においても耐水性、耐熱性などの耐久性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示すように、本発明の積層フィルム10は、ポリエステルからなる支持体11と、ポリエステル支持体の一方の面に形成される塗布層14を備えている。塗布層14は、支持体11に一番近い第1層と、第1層の上に設けられる第2層とからなる。第1層12及び第2層13は、いずれも樹脂からなりバインダを含む層である。なお、本発明では、第1層12に含まれるバインダを第1バインダとし、第2層13に含まれるバインダを第2バインダと称する。
【0012】
〔ポリエステル支持体〕
本発明の支持体11は、ポリエステルからなるポリエステル系基材フィルムである。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等を用いることができ、中でも、コストや機械的強度の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。ただし、本発明で用いることができるポリエステルは、特に制限されるものではない。
【0013】
支持体11は機械的強度を向上させるため、延伸を行ったものであることが好ましく、特に2軸延伸したものは好ましい。延伸倍率には特に制限はないが、1.5〜7倍が好ましく、より好ましくは2〜5倍程度である。特に縦横方向にそれぞれ2〜5倍程度延伸した2軸延伸品が好ましい。延伸倍率が1.5倍よりも小さいと充分な機械的強度が得られなくなり、逆に7倍を超えると均一な厚みを得ることが難しくなる。
【0014】
支持体11の厚みは、30μm以上500μm以下とする。より好ましくは100μm以上300μm以下である。厚みが30μm未満の場合には、腰がなくなり取り扱いにくくなるため好ましくない。一方で、厚みが500μmを超えて厚すぎるものは、表示装置の小型化や軽量化が図りづらくなる他、コスト的にも不利となる。
【0015】
〔第1層〕
本発明の第1層12は、支持体11の上に直接的に積層される層である。この層はポリエステルバインダー、カルボジイミド構造を複数個有する化合物、及びオキサゾリン基を有する化合物を含有することが必須である。この層はさらに、必要に応じて他のバインダー、微粒子、界面活性剤、帯電防止剤等を含有してもよい。
【0016】
本発明の第1バインダは、ポリエステルバインダーを主として、(a)アクリル樹脂、(b)ポリウレタン樹脂、(c)ゴム系樹脂等のポリマーを好ましく用いることができる。なお、第1バインダーとして用いるポリマーとしては、分子内にカルボキシル基を有するものが好ましい。
【0017】
ポリエステルバインダーとは、主鎖にエステル結合を有するポリマーの総称であるポリエステル樹脂のバインダーであり、通常、ポリカルボン酸とポリオールとの反応で得られる。ポリカルボン酸としては、例えばフマル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等があり、ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等がある。ポリエステル樹脂およびその原料については、例えば、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(滝山栄一郎著、日刊工業新聞社、昭和63年発行)において記載されている。
【0018】
(a)アクリル樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を成分とするポリマーである。具体的例示としては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシルアクリレート等を主成分として、これらと共重合可能なモノマー(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン等)を共重合したポリマー等が挙げられる。
【0019】
上記のうち、(b)ポリウレタン樹脂とは、主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、通常ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ポリイソシアネートとしては、TDI、MDI、NDI、TODI、HDI、IPDI等があり、ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等がある。また、本発明のイソシアネートとしては、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用することができる。以上に述べたポリイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長処理については、例えば「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)において記載されている。
【0020】
本発明における(c)ゴム系樹脂とは、合成ゴムのうちジエン系合成ゴムを言う。具体例としてはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン等がある。ゴム系樹脂については、例えば、「合成ゴムハンドブック」(神原周ら編集、(株)朝倉書店、昭和42年発行)において記載されている。
【0021】
また、第1バインダとしては、上記のポリマーを有機溶剤に溶解して用いてもよいし、水分散物を用いてもよい。しかし、環境負荷が小さいことから、水分散物を用いて水系塗布することが好ましい。水分散物としては市販ポリマーを用いれば良く、例えば、スーパーフレックス830、460、870、420、420NS(商品名:第一工業製薬(株)製ポリウレタン)、ボンディック1370NS、1320NS(商品名:大日本インキ化学工業(株)製ポリウレタン)、ジュリマーET325、ET410、SEK301(商品名:日本純薬(株)製アクリル)、ボンコートAN117、AN226(商品名:大日本インキ化学工業(株)製アクリル)、ラックスターDS616、DS807(商品名:大日本インキ化学工業(株)製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX110、LX206、LX426、LX433(商品名:日本ゼオン(株)製スチレン−ブタジエンゴム)、ニッポールLX513、LX1551、LX550、LX1571(商品名:日本ゼオン(株)製アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、ファインテックスEs650、Es2200(商品名:大日本インキ化学工業(株)製ポリエステル)、バイロナールMD1400、MD1480(商品名:東洋紡(株)製ポリエステル)、プラスコートZ687(商品名:互応化学工業(株)製ポリエステル)等を挙げることができる。
【0022】
第1バインダとして用いるポリマーは、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。また、第1バインダとして用いるポリマーの分子量は、特に制限されないが、通常重量平均分子量で3000〜1000000程度のものを用いることが好ましい。ただし、重量平均分子量が3000未満のポリマーは、第1層12の強度が不充分になる場合があり、一方で、重量平均分子量が1000000を超えるポリマーは、第1層12の面状が悪い場合がある。
【0023】
本発明で用いられる「分子内にカルボジイミド構造を複数個有する化合物(以下、適宜、カルボジイミド系化合物と称する)」としては、分子内に複数のカルボジイミド基を有する化合物であれば、特に制限なく使用することができる。ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成されるが、この合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能である。ただし、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
【0024】
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。具体的には、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡(株)製)等の市販品としても入手可能である。
【0025】
本発明のカルボジイミド系化合物は第1バインダに対して15〜100質量%の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは20〜75質量%の範囲で添加することである。カルボジイミド系化合物を前記範囲で添加することで、支持体11との接着性を向上させることができる。これに対して、添加量が15質量%未満の場合には支持体11との接着性が悪くなるとともに、第1層12が微粒子を含んでいる場合、微粒子剥落の防止が不充分になるおそれがある。一方で、添加量が100質量%を超えると、特に弊害はないがコストがかかりすぎてしまう。
【0026】
本発明で用いられるオキサゾリン基を有する化合物としては、オキサゾリン基を有するモノマーとしては2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。また、本発明で用いるオキサゾリン基を有する化合物は、例えば、エポクロスK2020E(商品名:(株)日本触媒製)等の市販品としても入手可能である。
【0027】
本発明のオキサゾリン基を有する化合物は第1バインダに対して10〜65質量%の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは12〜63質量%の範囲で添加することである。オキサゾリン基を有する化合物を前記範囲で添加することで、高熱下、熱水処理下などの悪条件の下であっても、支持体11との接着性を失うことなく高い接着性を保持することができる。これに対して、添加量が10質量%未満の場合には耐水化が不良となり、高湿環境下などでは支持体11との接着性が失われてしまう。一方で、添加量が65質量%を超えると、液凝集が発生してしまう。
【0028】
また、第1層12には、用途に応じて、上記の他に微粒子や界面活性剤等の各種添加剤を用いても良い。本発明の第1層12に用いることができる微粒子としては、有機又は無機微粒子のいずれも使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリマー微粒子や、シリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機微粒子を用いることができる。これらの中で、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカは、すべり性改良効果やコストの観点から好ましい。
【0029】
本発明に用いる微粒子の平均粒径は、0.1μm以上12μm以下が好ましく、より好ましくは0.2μm以上9μm以下である。微粒子の平均粒径が0.1μm未満になるとすべり性改良効果が不充分になり、一方で、平均粒径が12μmを超えると表示装置の表示品位の低下をきたす場合がある。また、本発明の微粒子の添加量は、平均粒径によっても異なるが、0.1mg/m以上30mg/m以下であることが好ましく、より好ましくは0.5mg/m以上20mg/m以下である。微粒子の添加量が0.1mg/m未満ではすべり性改良効果が不充分になるおそれがあり、一方で、添加量が30mg/mを超えると、透明性が低下して表示装置の表示品位の低下をきたすおそれがある。なお、本発明でいう微粒子の平均粒径とは、微粒子を走査型電子顕微鏡で撮影した時の微粒子と同面積の円の直径を粒径としたとき、任意の50個の微粒子について求めた粒径の平均値をいう。
【0030】
第1層12に用いることができる界面活性剤としては、公知のアニオン系、ノニオン系、カチオン系のものが挙げられる。界面活性剤については、例えば、「界面活性剤便覧」(西 一郎、今井 怡知一郎、笠井 正蔵編 産業図書(株) 1960年発行)に記載されている。また、界面活性剤の添加量としては0.1mg/m以上30mg/m以下であることが好ましく、より好ましくは0.2mg/m以上10mg/m以下の範囲である。界面活性剤の添加量が0.1mg/m未満であるとハジキが発生するおそれがあり、一方で、30mg/mを超えると第1層12の面状が悪化するおそれがある。
【0031】
第1層12には帯電防止剤を用いることもできる。帯電防止剤の種類等は特に限定されるものではないが、例えば、ポリアニリン、ポリピロール等の電子伝道系のポリマー、分子鎖中にカルボキシル基やスルホン酸基を有するイオン伝道系ポリマー、導電性微粒子等が挙げられる。これらのうち、特に特開昭61−20033号公報に記載されている導電性酸化錫微粒子は、導電性と透明性の観点から好ましく用いることができる。帯電防止剤の添加量は、25℃30%RH雰囲気で測定した第1層12の表面抵抗率が、1×10Ω以上1×1013Ω以下となるように添加することが好ましい。表面抵抗率が1×10Ω未満になると帯電防止剤の添加量が増大するため積層フィルムの透明性が低下するおそれがあり、1×1013Ωを超えると帯電防止効果が不充分になり、一方で、ゴミが付着する等の不都合が生じるおそれがある。
【0032】
第1層12の厚みは、支持体11に対する易接着性を発現させるために、10nm以上500nm以下となるようにする。より好ましくは、第1層12の厚みを30nm以上150nm以下とすることである。第1層12の膜厚が10nm未満であるとポリエステル支持体との接着性が不充分になり、一方で、膜厚が500nmを超えると面状が悪化するおそれがある。
【0033】
第1層12の塗布量は100mg/m〜250mg/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは120mg/m〜230mg/mの範囲である。第1層12の塗布量を前記範囲にすることで、塗布ムラなどが生じることなく、支持体11との接着性を一定に保持することができる。これに対して、第1層12の塗布量が100mg/m未満である場合には、ポリエステルバインダーなどの接着性の素材が不足するため、支持体11との接着性が弱くなる。一方、第1層12の塗布量が250mg/mを超える場合には、塗布ムラができ、光学特性に影響が出るようになる。
【0034】
〔第2層〕
第2層13は、第1層12よりも支持体11から離れた位置に塗設される層である。第2層13は、積層フィルム10の最外層であることが好ましい。また、第2層13は、所定の第2バインダを含むものであるが、このバインダ以外にも、必要に応じて微粒子やすべり剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
【0035】
本発明では、第2バインダとして、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂の中から選んだ樹脂を用いる。なお、これらの樹脂の詳細は、第1バインダの説明で記載する樹脂と同様であり、ここでの説明は省略する。これらのうち、優れた透明性に加えて接着性の点から、ポリウレタン樹脂を用いることが特に好ましく、また、第2バインダとして用いるポリマーとしては、分子内にカルボキシル基を有するものが特に好ましい。
【0036】
第2バインダとしては、上記のポリマーを有機溶剤に溶解して用いてもよいし、水分散物を用いてもよい。しかし、環境負荷が小さいことから、水分散物を用いて水系塗布することが好ましい。水分散物としては前述の市販ポリマーを用いてもよい。
【0037】
第2バインダとして用いるポリマーは1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。第2バインダとして用いるポリマーの分子量には特に制限はないが、通常重量平均分子量で3000から1000000程度のものが好ましい。重量平均分子量が3000未満のものは塗布層の強度が不充分になる場合があり、1000000を超えるものは塗布面状が悪い場合がある。
【0038】
第2層13には、用途に応じて適宜添加剤を含有させても良い。第2層13に用いることができる微粒子、界面活性剤、帯電防止剤の種類と量については、前述の第1層と同様のものを使用することができる。なお、各種添加剤の詳細は、第1層12と同様であるため、説明は省略する。
【0039】
第2層13に添加剤としてすべり剤を用いる場合、このすべり剤の種類等も特に限定されるものではないが、好適に用いることができるすべり剤として、例えば、合成又は天然ワックス、シリコーン化合物、R−O−SOM(ただし、Rは置換又は無置換のアルキル基(C2n+1−;nは3〜20の整数)、Mは一価の金属原子を表す)で表される化合物等が挙げられる。
【0040】
その他にも、すべり剤の具体例としては、セロゾール524、428、732−B、920、B−495、ハイドリンP−7、D−757、Z−7−30、E−366、F−115、D−336、D−337、ポリロンA、393、H−481、ハイミクロンG−110F、930、G−270(商品名:中京油脂(株)製)や、ケミパールW100、W200、W300、W400、W500、W950(商品名:三井化学(株)製)等のワックス系や、KF−412、413、414、393、859、8002、6001、6002、857、410、910、851、X−22−162A、X−22−161A、X−22−162C、X−22−160AS、X−22−164B、X−22−164C、X−22−170B、X−22−800、X−22−819、X−22−820、X−22−821(商品名:信越化学工業(株)製)等のシリコーン系や、C1633−O−SONa、C1837−O−SONa等の一般式で表される化合物等を挙げることができる。なお、これらのすべり剤の添加量は、0.1mg/m以上50mg/m以下とすることが好ましく、より好ましくは1mg/m以上20mg/m以下である。ただし、添加量が0.1mg/m未満の場合には、第2層13のすべり性が不充分になるおそれがあり、一方で、50mg/mを超えると第2層13の面状が悪化するおそれがある。
【0041】
第2層13の厚みには特に制限はないが、優れた透明性を確保しながら易接着性を実現させるために、10nm以上5000nm以下であることが好ましく、より好ましくは20nm以上1500nm以下である。第2層13の厚みが10nm未満であると、上層との接着性が不充分になるおそれがあり、一方で、厚みが5000nmを超えると面状が悪化するおそれがある。
【0042】
塗布層14を形成する際には、第1層12及び第2層13を塗布により設けることが好ましい。ただし、塗布層14を形成する方法は特に制限はなく、バーコーター塗布、スライドコーター塗布等の公知の方法を用いることができる。このとき、第1層12と第2層13とは、同じ方法で塗布して形成してもよいし、異なる方法でもよい。また、第2層13を形成する際には、第1層12と同時に塗布した後に乾燥させてもよいし、第1層12を塗布乾燥した後に塗布してもよい。
【0043】
第1層12及び第2層13ともに、塗布する際には溶媒(塗布溶媒)を用いることができる。塗布溶媒としては、水、トルエン、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等、及びこれらの混合系等の水系、有機溶剤系の塗布溶剤を用いることができる。これらのうちで水を塗布溶媒として用いる方法はコスト、製造の簡便さを考えると好ましい。なお、第1層12及び第2層13に使用する塗布溶媒は、同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0044】
また、塗布は一軸方向に延伸した後に行ってもよいし、2軸延伸した後に行ってもよい。しかし、横延伸後のベース耳部の回収を可能にするため、2軸延伸後に塗布することが好ましい。なお、支持体11に対して塗布層14は、一方の面のみならず、他方の面にも形成して良い。
【0045】
本発明の積層フィルムは、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイに用いられる光学フィルムとして用いることができる。これらの表示装置については、例えば、「ディスプレイ先端技術」(谷 千束著 共立出版(株) 1998年出版)や、「EL、PDP、LCDディスプレイ」((株)東レリサーチセンター 2001年発行)や、「カラー液晶ディスプレイ」(小林 俊介著 産業図書出版(株) 平成2年出版)等に詳細に記載されている。
【0046】
また、本発明により得られる積層フィルムと、プリズム層、反射防止層、光拡散層、防眩層、ハードコート層のうちの少なくともひとつとを有する光学シートは、優れた光学特性を示す。これらの具体的例示としては、液晶ディスプレイに用いられるプリズムシート、反射防止シート、光拡散シート、ハードコートシート、プラズマディスプレイIR吸収シート、電磁波シールドシート、調色シート等が挙げられ、例えば、上記の文献の他に、エレクトリックジャーナル誌2002年8月号の74ページに記載されている。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の積層フィルムについて、以下の実施例1〜6及び比較例1〜6により具体的に説明する。なお、各実施例及び比較例は本発明を限定するものではない。
【0048】
[実施例1]
【0049】
以下の手順により、積層フィルムの支持体を形成した。先ず、Geを触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒーター温度が280〜300℃設定温度の押し出し機内で溶融させた。溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸した後、幅方向に対して3.8倍に延伸し、厚さ100μmの支持体を得た。
【0050】
上記により形成した厚さが100μmの支持体の両面を、搬送速度105m/分で搬送し、730J/mの条件でコロナ放電処理を行った後、下記[第1層塗布液]をバーコート法により塗布した。そして、これを180℃で1分乾燥して第1層を形成した後、続けて双方の第1層の上に塗布量を96.25mg/mとして下記[第2層塗布液]をバーコート法により塗布した後、170℃で1分乾燥することにより、支持体の両面に第1層と第2層とが塗布された積層フィルムを得た。
[第1層塗布液]
ポリエステルバインダー 45.1質量部(塗布量:80mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:100%)
(互応化学(株)製 プラスコートZ687 固形分25%)
カルボジイミド化合物 15.8質量部
(塗布量:45mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:56.3%)
(日清紡(株)製 カルボジライトV-02-L2 固形分40%)
オキサゾリン化合物 7.0質量部
(塗布量:20mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:25%)
(日本触媒(株)製 エポクロスK2020E 固形分40%)
界面活性剤A 15.5質量部
(塗布量:1.1mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:1.4%)
(三洋化成工業(株)製 ナロアクティーCL−95の1%水溶液)
界面活性剤B 12.7質量部
(塗布量:0.9mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:1.1%)
(日本油脂(株)製 ラピゾールB−90の1%水溶液)
蒸留水 全体が1000質量部になるように添加
[第2層塗布液]
ポリウレタンバインダー 22.8質量部
(塗布量:61.5mg/m
(三井化学(株)製 オレスターUD−350 固形分38%)
アクリルバインダー 2.6質量部
(塗布量:5mg/m
(ダイセル化学工業(株)製 EM48D 固形分27.5%)
カルボジイミド化合物 4.7質量部
(塗布量:13.35mg/m
(日清紡(株)製 カルボジライトV−02−L2 固形分40%)
界面活性剤A 15.5質量部
(塗布量:1.1mg/m
(三洋化成工業(株)製 ナロアクティーCL−95の1%水溶液)
界面活性剤B 12.7質量部
(塗布量:0.9mg/m
(日本油脂(株)製 ラピゾールB−90の1%水溶液)
マット剤A 3.5質量部
(塗布量:10mg/m
(日産化学工業(株)製 スノーテックスXL 固形分40.5%)
マット剤B 1.6質量部
(塗布量:1.1mg/m
(日本アエロジル(株)製 アエロジルOX−50水分散物 固形分10%)
滑り剤 1.6質量部
(塗布量:3.3mg/m
(中京油脂(株)製 カルバナワックス分散物セロゾール524 固形分30%)
蒸留水 全体が1000質量部になるように添加
【0051】
[実施例2]
実施例1の第1層塗布液のオキサゾリン化合物を3.5質量部(塗布量:10mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:12.5%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0052】
[実施例3]
実施例1の第1層塗布液のオキサゾリン化合物を17.5質量部(塗布量:50mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:62.5%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0053】
[実施例4]
実施例1の第1層塗布液のカルボジイミド化合物を5.6質量部(塗布量:16mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:20%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0054】
[実施例5]
実施例1の第1層塗布液のカルボジイミド化合物を28.1質量部(塗布量:80mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:100%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0055】
[実施例6]
実施例1の第1層塗布液のポリエステルバインダーを73.3質量部(塗布量:130mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:100%)に、実施例1の第1層塗布液のカルボジイミド化合物を24.6質量部(塗布量:70mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:53.8%)に、及び実施例1の第1層塗布液のオキサゾリン化合物を12.3質量部(塗布量:35mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:27%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0056】
[比較例1]
実施例1の第1層塗布液のオキサゾリン化合物を1.8質量部(塗布量:5mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:6.3%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0057】
[比較例2]
実施例1の第1層塗布液のカルボジイミド化合物を5.6質量部(塗布量:16mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:20%)に、実施例1の第1層塗布液のオキサゾリン化合物を24.5質量部(塗布量:70mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:87.5%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0058】
[比較例3]
実施例1の第1層塗布液のカルボジイミド化合物を3.5質量部(塗布量:10mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:12.5%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0059】
[比較例4]
実施例1の第1層塗布液のカルボジイミド化合物を28.1質量部(塗布量:80mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:100%)に、オキサゾリン化合物を1.8質量部(塗布量:5mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:6.3%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0060】
[比較例5]
実施例1の第1層塗布液のポリエステルバインダーを28.2質量部(塗布量:50mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:100%)に、実施例1の第1層塗布液のカルボジイミド化合物を9.5質量部(塗布量:27mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:54%)に、及び実施例1の第1層塗布液のオキサゾリン化合物を4.2質量部(塗布量:12mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:24%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0061】
[比較例6]
実施例1の第1層塗布液のポリエステルバインダーを81.7質量部(塗布量:145mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:100%)に、実施例1の第1層塗布液のカルボジイミド化合物を28.1質量部(塗布量:80mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:55.2%)に、及び実施例1の第1層塗布液のオキサゾリン化合物を12.6質量部(塗布量:36mg/m、ポリエステルバインダー100質量部に対する比率:24.8%)に変更する以外は実施例1と同様とした。
【0062】
[評価]
上記実施例1〜6及び比較例1〜6で得られた積層フィルムについて、以下の評価を行った。
【0063】
[密着性の評価]
JSR社製UV硬化樹脂(デソライトZ7410B)を乾燥膜厚が5μmになるように積層フィルムに塗布した。次に、片刃カミソリにて縦横それぞれ11本のキズを付け100個の升目を形成した後に、ポリエステル粘着テープ(NO31B)を貼り付けた。そしてテープの上を消しゴムで擦って完全に付着させた後、水平面に対して90度方向に剥離させ剥離した升目の数を求めることでUV硬化樹脂との密着強度の高さを下記A〜Eの5段階で以下のように評価した。
A:剥がれなしの場合
B:剥離した升目の数が1以上5未満の場合
C:剥離した升目の数が5以上15未満の場合
D:剥離した升目の数が15以上30未満の場合
E:剥離した升目の数が30以上の場合
なお、上記A及びBは製品上問題のないレベルである。
【0064】
[耐水密着性の評価]
JSR社製UV硬化樹脂(デソライトZ7410B)を乾燥膜厚が5μmになるように積層フィルムに塗布した。UV硬化樹脂を塗布した積層フィルムを100℃の熱水に10分間浸漬させた後、水を拭き取り、25℃60%RH環境下に3時間以上放置させた。その後、上記テープ密着評価と同じ要領で耐水密着性をA〜Eの5段階で評価した。
【0065】
[面状評価方法]
積層フィルムの裏面を黒ペンキで塗布して黒化処理したサンプルと、黒化未処理のサンプルを、黒色ドスキン布を貼り合わせた机の上に塗布層表面を上にして置き、乳白色のアクリル板を通した蛍光灯の拡散光を塗布層表面に照射した。そして、塗布層表面で反射した反射光を目視により観察して、塗布ムラを下記のA〜Cの3段階の基準で判断した。
A:黒化処理サンプル及び未処理サンプルの双方において、塗布ムラが目視で確認されなかった。
B:黒化処理サンプルでは塗布ムラが目視で確認できるが、未処理サンプルでは確認されなかった。
C:黒化処理サンプル及び未処理サンプルの双方において、塗布ムラが目視で確認された。
なお、上記A及びBは製品上問題がないレベルである。
【0066】
[液凝集状態]
透明PETベースに塗布液を#5手塗りバーにて塗布をしたときの、凝集物の状態を目視にて下記A〜Cの3段階の基準で評価した。
A:全く凝集物はなかった。
B:極僅かに小さな凝集物があるが、製品上殆ど問題がなかった。
C:凝集物を明確に確認することができた。
【0067】
上記実施例及び比較例の製造条件及びそれらの評価結果を表1に示す。
【表1】

表1の「塗布量」は各実施例及び比較例で使用する素材の塗布量(mg/m)を、「合計塗布量」は各実施例及び比較例で使用する素材の合計の塗布量(mg/m)を、「質量%」はポリエステルバインダー100質量部に対する比率を示している。
【0068】
表1が示すように、実施例1〜6では、バインダーや化合物の質量によって、密着性、耐水密着性、面状、液凝集状態に若干差があるものの、いずれも良好な評価結果を示した。
【0069】
一方、比較例3では、実施例1〜6と比較して、ポリエステルバインダーに対するカルボジイミド化合物の質量%が低いため、密着性だけでなく耐水密着性も良くなかった。また、比較例1及び4では、実施例1〜6と比較して、ポリエステルバインダーに対するオキサゾリン化合物の質量%が低いため、耐水密着性が良くなかった。また、比較例2では、実施例1〜6と比較して、ポリエステルバインダーに対するオキサゾリン化合物の質量%が大きい。そのため、実施例1〜6と同様に、耐水密着性が良好な一方、液凝集物が発生した。
【0070】
また、比較例5では、実施例1〜6と比較して合計塗布量が小さいため、ポリエステルバインダーなどの接着性の素材が不足し、密着性及び耐水密着性が良くなかった。また、比較例6では、実施例1〜6と比較して合計塗布量が大きいため、塗布ムラが発生し、面状が悪化した。
【0071】
また、各実施例1〜6で作製した積層フィルムの上に、特開2001−324609号公報に記載されている実施例1に従い、光拡散層を形成して光拡散シートを作製したところ、積層フィルムと光拡散層との間での接着性は実用上問題なく、光学特性に優れた光拡散シートを得ることができた。
【0072】
また、各実施例1〜6で作製した積層フィルムの上に、特開2001−114831号公報に記載されている実施例1に従い、厚さ25μmの光硬化性樹脂組成物をバーコート法により塗布した後、極微小プリズム状パターン付き原型(プリズム角度90度、プリズムピッチ50μm、冨士写真フイルム(株)製)を設置して、80℃のオーブン中に3分間放置した。この後、塗布層側からメタルハライドランプを光源として、照射強度250mW/cmのUV照射装置により1.0J/cmの紫外線を照射し、さらに、極微小プリズム状パターン付き原型を分離して、プリズムシートを作製したところ、積層フィルムとプリズム層との間での接着性は実用上問題なく、光学特性に優れたプリズムシートを得ることができた。
【0073】
また、各実施例1〜6で作製した積層フィルムの上に、特開2001‐323087号公報に記載されている実施例に従い、活性エネルギー線硬化層(ハードコート層)塗布液をバーコート法により乾燥膜厚が8μmとなるように塗布した後、これを紫外線照射により硬化せしめてハードコート層を形成してハードコートシートを作製したところ、積層フィルムとハードコート層との間での接着性は良好であり、光学特性に優れたハードコートシートを得ることができた。
【0074】
また、各実施例1〜6で作製した積層フィルムの上に、特開2002‐098803号公報に記載されている実施例1に従い、ハードコート層、銀コロイド層、反射防止層をこの順に積層して反射防止シートを作製したところ、積層フィルムとハードコート層との間での接着性は良好であり、光学特性に優れた反射防止シートを得ることができた。なお、ハードコート層の塗布厚みは12μmとし、銀コロイド層の塗布量は70mg/mとし、反射防止層の塗布厚みは85nmとなるようにそれぞれ塗布した。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】積層フィルムの要部断面図である。
【符号の説明】
【0076】
10 積層フィルム
11 支持体
12 第1層
13 第2層
14 塗布層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルからなる支持体の少なくとも一方の面には、ポリエステルバインダー、カルボジイミド構造を有する化合物、及びオキサゾリン基を有する化合物を含有する塗布層が設けられ、
前記カルボジイミド構造を有する化合物は前記ポリエステルバインダーに対して15質量%〜100質量%であり、且つ、前記オキサゾリン基を有する化合物は前記ポリエステルバインダーに対して10質量%〜65質量%であることを特徴とする積層フィルム。
【請求項2】
前記塗布層は、前記支持体に一番近い第1層に設けられ、前記ポリエステルバインダー、前記カルボジイミド構造を有する化合物、及び前記オキサゾリン基を有する化合物を含有する第1層と、前記第1層の上に設けられ、ポリウレタン樹脂を含有する第2層とからなることを特徴とする請求項1記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記第1層は100mg/m〜250mg/mの塗布量で形成されることを特徴とする請求項2記載の積層フィルム。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項記載の積層フィルムを用いることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−220316(P2009−220316A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65194(P2008−65194)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】