説明

積層二軸配向ポリエステルフィルムおよび磁気記録テープ

【課題】金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムの分野で要求されるような極めて高度の平坦性を具備しつつ、自己回収性をも兼ね備えた積層二軸配向ポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】A層およびB層がチタン触媒を使用されたもので、A層のチタン元素量(TiA)が2〜15mmol%の範囲であり、B層のチタン元素量(TiB)がA層のチタン元素量(TiA)に対して、0.2〜0.8の範囲にあり、A層の表面粗さが0.3〜4nmで、B層の表面粗さがA層の表面粗さに対して1.5〜50倍の範囲にあり、A層の厚みが0.5〜5μmの範囲で、B層の厚みがA層よりも厚い積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた磁気記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層二軸配向ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、フィルムの製造工程で生じるエッジ屑などを再溶融して原料として用いる、すなわち自己循環型の回収ポリマーを用いても、得られるフィルムの表面平坦性に優れる、特に高密度磁気記録媒体用ベースフィルムに適した積層二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表される二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた物理的、化学的特性の故に広い用途、特に磁気記録媒体のベースフィルムとして用いられている。
【0003】
近年、磁気記録媒体においては、高密度化、高容量化が進められており、それに伴ってベースフィルムの平坦性、および厚みの薄膜化が要望され、一方で滑り性が不足し、例えばロール状に巻き上げる場合にシワが入ったり、ブロッキングを起こし、フィルムロールの表面が凹凸になって製品の歩留りを下げたり、巻き上げるときの張力、接圧、速度の適正範囲が狭くなり、巻き上げることが非常に難しくなるとの問題を解消するために、巻き取り性の向上も望まれている。そして、これらの巻取り性の改良と電磁変換特性の向上という相反する特性を両立させる手段として、積層フィルムにすることによって、磁性層を塗布する面は平坦にして電磁変換特性を改善し、反対面は粗面化して滑り性を向上させる手段が広く知られている。具体的には、積層ポリエステルフィルムの磁性層側が形成される側の表面(以下、平坦層と称する。)には、粒径の小さい滑剤を用いたり、またその添加量を減らし、他方磁性層を形成しない側の表面(以下、走行面と称する。)には、粒径の大きな滑剤を用いたり、また添加量を増やすなどしている。
【0004】
したがって、平坦面と走行面とでは、使用する滑剤の特性、例えば、滑剤種、粒径、添加量などが大きく異なり、積層フィルム自身の回収チップを用いようとすると、その滑剤組成が粗面層および平坦層の滑剤組成とも異なるため、積層フィルムの製造に再投入すると、再投入した層の滑剤組成が変わり、フィルム特性に支障をきたす。
【0005】
そこで、特開平11−34262号公報(特許文献1)では、自己回収ポリマー中の不活性粒子の濃度を希釈して、平坦面に使用することが、また、特開2000−246857号公報(特許文献2)では、自己回収ポリマー中の不活性粒子の濃度を高くして、走行面側に使用することが提案されている。
【0006】
しかしながら、近年の高密度化への要求はますます厳しくなっており、自己回収性と例えば金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムの分野で要求される高度の平坦性とを具備する積層フィルムは提供されていなかったのが実情である。
【0007】
【特許文献1】特開平11−34262号公報
【特許文献2】特開2000−246857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムの分野で要求されるような極めて高度の平坦性を具備しつつ、自己回収性をも兼ね備えた積層二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、かかる目的を達成すべく鋭意研究した結果、粗面層の厚みを平坦層より厚くし、かつ両表面層を構成するポリエステルの触媒として、特定の割合でチタン化合物を使用するとき、回収ポリマーを自身のフィルムの製造に自己循環させても得られる積層フィルムに高密度磁気記録媒体などで要求される平坦性を具備できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
かくして本発明によれば、ポリエステルA層の片面にポリエステルB層が積層されている積層二軸配向ポリエステルフィルムであって、
A層およびB層のポリエステルは、触媒として使用されたチタン化合物を含有し、その含有量が、それぞれの層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、A層のチタン元素量(Ti)が2〜15mmol%の範囲であり、B層のチタン元素量(Ti)がA層のチタン元素量(Ti)に対して、0.2〜0.8の範囲にあること、
A層の表面粗さが 0.3〜4nmで、B層の表面粗さがA層の表面粗さに対して1.5〜50倍の範囲にあること、そして
A層の厚みが0.5〜5μmの範囲で、B層の厚みがA層よりも厚い積層二軸配向ポリエステルフィルムが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、上記本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムと、そのA層側の表面に積層された磁性層とからなる磁気記録テープも提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムの分野で要求されるような極めて高度の平坦性を具備しつつ、自己回収性をも兼ね備えた積層二軸配向ポリエステルフィルムが提供され、具体的には高密度磁気記録媒体として使用したとき極めてドロップアウトなどが少なく、しかもコストメリットにも優れた磁気記録テープを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルA層の片面にポリエステルB層が積層されたものである。
本発明において、A層およびB層のポリエステルは、触媒としてチタン化合物を使用されたものであることが表面の平坦性を高めるために必要である。この観点から、A層のポリエステルは、A層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、チタン元素量(Ti)で2〜15mmol%の範囲であることが必要であり、3〜12mmol%、さらに4〜10mmol%の範囲であることが好ましい。Tiが下限未満ではチタン化合物だけでは十分なポリエステルの重合反応速度が得られず、アンチモンなどの他の重縮合触媒でそれをカバーしようとすると触媒残渣による粗大突起が発生してしまう。一方、Tiが上限を越えると、ポリエステルの溶融時の熱劣化が大きく、劣化異物によって表面の平坦性が損なわれる。
【0014】
また、B層のポリエステルは、B層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたときのチタン元素量(Ti)が、Tiに対して0.2〜0.8の範囲にあることが必要であり、0.25〜0.75、さらに0.3〜0.7の範囲であることが好ましい。Ti/Tiを上記範囲にすることで、自己回収ポリマーをB層に用いても、チタン触媒によるポリマーの熱劣化、さらにはその劣化物からなる異物の発生が抑制でき、優れた平坦性を付与することができる。
【0015】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、A層の表面粗さが0.3〜4.0nm、好ましくは0.5〜3.0nmの範囲にあることが必要である。A層の表面粗さが上記範囲にあることで、平坦性と走行性とを得られる積層二軸配向ポリエステルフィルムに高度に具備させることができる。また、A層の表面粗さが上限を越えるような粗いフィルムでは、溶融時の熱劣化による異物による影響自体問題になりにくく、本発明の効果も発現されにくい。一方、B層の表面粗さはA層の表面粗さに対して1.5〜50倍、好ましくは2.5〜30倍の範囲にあることが、平坦性と走行性とを得られる積層二軸配向ポリエステルフィルムに高度に具備させることができる。また、A層と同じく、B層の表面粗さが上限を越えるような粗いフィルムでは、溶融時の熱劣化による異物による影響自体問題になりにくく、本発明の効果も発現されにくい。特に好ましいB層の表面粗さは、5.0〜10.0の範囲である。
【0016】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、A層の厚みが0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜4.0μmの範囲であることが必要であり、B層の厚みがA層の厚みよりも厚いことが必要である。A層の厚みが下限未満では、走行面側であるB層の粗い表面による影響がA層の表面に影響し、平坦性が損なわれる。一方、A層の厚みが上限を越えるか、B層の厚みがA層の厚みよりも薄いと、自己回収ポリマーをB層に用いるときに、A層のポリエステル中に含まれていたチタン化合物による熱劣化が進行しやすかったり、自己回収ポリマーの使用できる割合が十分に高められないといった問題がある。なお、自己回収ポリマーの使用方法としては、図2に示す方法が挙げられる。図2は自己循環方式の模式図であり、図2中の符号21〜27は、それぞれ21は未使用ポリマーI、22は未使用ポリマーII、23は回収ポリマー、24はA層、25はB層、26は製品化された積層フィルムおよび27は回収された積層フィルムである。まず積層フィルムは未使用ポリマーIと未使用ポリマーIIとをそれぞれ溶融押し出しして積層し、積層フィルムとされる。このとき問題のない部分は製品化された積層フィルム26となるが、エッジなど製品として使用できない部分(回収された積層フィルム27)がどうしても発生してしまう。この回収された積層フィルム27を、再度回収ポリマー23として溶融押出に供するのである。
【0017】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、A層が安定剤としてリン化合物を含有することが好ましい。含有するリン化合物の含有量は、A層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたとき、該リン化合物のリン元素量(P、mmol%)と前述のチタン元素量(Ti)の比(P/Ti)が0.1〜3、さらに0.3〜2.5の範囲にあることが、熱劣化による異物の発生を抑えつつ、触媒残渣などの析出も抑えることができる。一方、B層も安定剤としてリン化合物を含有することが好ましく、B層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたとき、該リン化合物のリン元素量(P、mmol%)と該チタン元素量(Ti)の比(P/Ti)が2〜20、さらに4〜16の範囲にあることが、自己回収ポリマーを用いても、熱劣化による異物の発生を抑えられ、しかも触媒残渣などの析出を平坦面の表面性に影響しない程度に抑えることができる。特に(P/Ti)が(P/Ti)に対して、2〜10倍の範囲にあることが、自己回収ポリマーをB層に用いても、熱劣化による異物の発生や触媒残渣などの析出を抑制して、A層の平坦性をきわめて優れたものにできることから好ましい。
【0018】
ところで、上記のようにB層中のチタン化合物の量を、A層対比少なくするには、チタン化合物の少ないポリエステルを自己回収ポリマーと併用することが挙げられるが、上述のとおり、触媒が少なくなると、十分な重合反応速度が得られないことから、あまり実用的ではない。好ましくは、重合反応触媒として、チタン化合物に比べ、熱安定性に優れるアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒を含有するポリエステルをB層のポリエステルとして用いることが好ましい。これらの中でも、特に熱安定性に優れることからアンチモン化合物が好ましい。なお、アンチモン化合物は、触媒残渣による析出物が発生しやすい問題があるが、本発明では触媒残渣の析出しにくいチタン化合物を触媒としたポリエステルがB層に含まれているので、その影響を低減することができる。
【0019】
以上の説明から理解されるように、本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、A層を触媒残渣などの析出の少ないチタン化合物を重縮合触媒として特定量含有するポリエステルとし、一方B層をA層に比べてチタン化合物の含有量が特定の割合以下のポリエステルとし、かつA層よりも厚くすることで、自己回収ポリマーをB層に用いても、金属薄膜型磁気記録媒体などで要求されるような高度の平坦性を具備させることができたものである。したがって、本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、全て未使用のポリエステルからなる場合でも優れた効果を発現しうるが、特にB層に自己回収ポリマーを用いた場合、その効果は最大限発揮されることになる。
【0020】
さらに本発明の好ましい態様について、以下で詳述する。
本発明において、A層およびB層を構成するポリエステルは、B層に自己回収ポリマーを用いることを考えれば同じものであることが好ましい。本発明におけるポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とする芳香族ポリエステルが挙げられ、実質的に線状であり、そしてフィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有することが必要である。具体的な芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコールなどの如き炭素数2〜10のポリメチレングリコールあるいはシクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等を挙げることができる。これらの中でも、アルキレンテレフタレートまたはアルキレンナフタレートを主たる構成成分とするものが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレートが好ましい。もちろん、本発明の目的を損なわない範囲で、例えばそれ自体公知の共重合成分を共重合してもよい。
【0021】
また、本発明において、A層およびB層を構成するポリエステルは、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を、ポリエステルの繰返し単位を基準として、0.02〜45mmol%、さらに0.1〜20mmol%含有していることが好ましい。この含有量が下限未満の時にはキャスティング速度の高速化効果が小さく、結果として自己回収ポリマーなどが受ける熱履歴が大きくなって、熱劣化による異物が助長されやすくなる。一方、含有量が上限を超えると、フィルムを静電密着する際の放電電極の放電機能が経時的に低下することがある。これらの観点から、A層およびB層を構成するポリエステルは、溶融フィルムの交流体積抵抗率が1×106Ω・cm〜9×108 Ω・cm、さらに5×106Ω・cm〜5×108 Ω・cmの範囲にあることが好ましい。この交流体積抵抗率が上限を超えるときには、キャスティング速度の高速化効果が小さく、結果として自己回収ポリマーなどが受ける熱履歴が大きくなって、熱劣化による異物が助長されやすくなり、一方下限未満のときにはキャスティング工程で静電密着の際にフィルムが絶縁破壊することがある。図1は交流体積抵抗率を測定するための装置を示しており、図1中の符号1〜11は、それぞれ1は測定するポリマー、2は下部電極、3は上部電極、4は加電装置、5は温度検出端、6は電流計、7は読取温度計、8は電源、9は標準抵抗、10はエレクトロンメーターおよび11は保温箱であり、このような装置を用いることで、ポリマーの交流体積抵抗率を測定することができる。
【0022】
また、このような交流体積抵抗率は、前述のスルホン酸4級ホスホニウム塩などを含有させることで調整できる。具体的なスルホン酸4級ホスホニウム塩としては、下記式で表わされる化合物を挙げることができる。
【0023】
【化1】

ここで、上記式中の、Aは芳香族基又は脂肪族基、X1 及びX2 はそれぞれ同一若しくは異なるエステル形成性官能基又は水素原子、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれアルキル基及びアリール基よりなる群から選ばれた同一又は異なる基、nは正の整数である。
【0024】
上記スルホン酸4級ホスホニウム塩の好ましい具体例としては、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジカルボメトキシベンゼンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム塩、3―カルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5―ジ(β―ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、4―ヒドロキシエトキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ビスフェノールA―3,3′―ジ(スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)、2,6―ジカルボキシナフタレン―4―スルホン酸テトラブチルホスホニウム等をあげることができ、これらは一種のみを単独で用いても二種以上併用してもよい。
【0025】
本発明において、A層およびB層のポリエステルを製造するために用いられるチタン化合物としては、チタン原子を含有している化合物であれば特に限定されない。例えば、チタン化合物の置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるチタン化合物が好ましく、またチタン酸化物も好ましい。具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系官能基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系官能基、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系官能基が挙げられ、特に脂肪族アルコキシ基が好ましい。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系官能基、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸系官能基が挙げられ、特に脂肪族アシレート基が好ましい。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。これらの中でも、触媒残渣の析出を抑えやすいことから、チタンテトラブトキシド、チタンイソプロポキシド、蓚酸チタン、酢酸チタン、安息香酸チタン、トリメリット酸チタン、テトラブチルチタネートと無水トリメリット酸との反応物等を挙げることができる。
【0026】
また、本発明において、B層のポリエステルを製造するために用いられるチタン化合物以外の重縮合触媒としては、前述のとおり、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびアルミニウム化合物が挙げられる。これらの重縮合反応触媒は、それ自体公知のものを採用できる好ましい重縮合反応触媒として用いるアンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン等が好ましく挙げられる。また、ゲルマニウム化合物としては、例えば特許2792068号に記載されているものを挙げることが、(イ)無定形酸化ゲルマニウム、(ロ)結晶性ゲルマニウム、(ハ)酸化ゲルマニウムをアルカリ金属又はアルカリ土類金属もしくはそれらの化合物の存在下にグリコールに溶解した溶液、および(ニ)酸化ゲルマニウムを水に溶解し、これにグリコールを加え水を留去して調整した酸化ゲルマニウムのグリコール溶液などが挙げられる。さらにまた、アルミニウム化合物としては、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムiso-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウム、金属アルミニウムなどが挙げられ、これらの中でもカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、特に酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが好ましい。
【0027】
これらのB層中の含有量としては、それぞれの重縮合触媒の種類によって異なるが、触媒残渣の析出を抑えつつ、回収ポリマーを使用したときの熱劣化を抑制する観点から、アンチモン化合物の場合は、3〜30mmol%、さらに5〜20mmol%の範囲が好ましく、ゲルマニウム化合物の場合は、1〜20mmol%、さらに3〜15mmol%の範囲が好ましく、アルミニウム化合物の場合は、0.5〜50mmol%、さらに1〜30mmol%の範囲が好ましい。
【0028】
本発明において、A層およびB層を構成するポリエステルは、熱安定性を向上させるために、リン化合物を含有していることが好ましい。リン化合物としては、リン酸、リン酸トリメチルなどのリン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルなどの亜リン酸エステルあるいはホスホン酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、析出異物を抑制する観点で、下記一般式で表わされるリン化合物を好ましく用いることができる。
【0029】
【化2】

(式中のR〜Rは炭素数1〜4のアルキル基、Xは−CH−または−CH(Y)−(Yはフェニル基)を示す。)
【0030】
これらの中でも、好ましいリン化合物として、ホスホノ酢酸化合物またはホスホノフェニル酢酸の炭素数1〜4のアルキルエステルが挙げられ、ジエトキシホスホノ酢酸エチル、ジエトキシホスホノ酢酸メチルが例示される。また、これらのホスホネート化合物はアルキル鎖の一部または全てがグリコール置換されたものでも良い。これらのリン化合物の量は、A層については、A層のポリエステルの繰返し単位を基準として、2〜50mmol%、さらに4〜30mmol%の範囲にあることが触媒残渣の析出を抑えつつ、A層に発生する熱劣化による異物を抑制し易いことから好ましい。一方、B層については、A層のポリエステルの繰返し単位を基準として、5〜100mmol%、さらに10〜50mmol%の範囲にあることが、平坦面に影響しない程度に触媒残渣の析出を抑えつつ、自己回収ポリマーを用いても熱劣化による異物を抑制できることから好ましい。
【0031】
本発明において、A層を構成するポリエステルは、金属薄膜型磁気記録媒体などで要求されるような表面の平坦性を得やすいことから、不活性粒子を含有しないか、含有するとしても、平均粒径0.03〜0.3μm、さらに0.05〜0.2μmの不活性粒子を、A層の重量を基準として、0.5wt%以下、さらに0.2wt%以下で含有していることが好ましい。特に好ましいのは、不活性粒子を含有しないものである。ここでいう不活性粒子を含有しないとは、粒径が0.05μm以上の不活性粒子の含有量が0.001wt%以下であるようなことを意味する。好ましい不活性粒子としては、分散性に優れることから、耐熱性高分子粒子や球状シリカ粒子が好ましい。また、耐熱性高分子粒子としては、例えば架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン―アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等が挙げられる。これらの中でも、架橋ポリスチレン樹脂粒子や架橋シリコーン樹脂粒子が好ましい。
【0032】
本発明において、B層は、平均粒径(d)0.05〜1.0μm、さらに0.1〜0.5μmの不活性粒子を、B層の重量を基準として、0.05〜1.0wt%、さらに0.1〜0.5wt%含有することが、平坦性と走行性を高度に具備させやすいことから好ましい。
【0033】
ところで、本発明において、B層の厚さ(t)でB層に含有される不活性粒子の平均粒径(d)を割った(tB /dB)の比は5〜100、さらに10〜50であることが好ましい。この比(tB /dB )が下限未満、すなわちB層の厚みを薄くしすぎた場合、あるいはB層に含有される滑剤粒子の平均粒径を大きくしすぎた場合、B層に回収できる回収ポリマー量が少なくてフィルムの製造コストアップとなったり、粗面層に含まれる大きな滑剤粒子がA層の表面に影響し、平坦性が損なわれ、電磁変換特性が悪化しやすくなる。一方、tB /dB の比が上限を超えると、すなわちB層の厚みに対し、粗面層に含まれる滑剤粒子の平均粒径が小さくなりすぎて、走行面に十分な突起が形成されがたくなったり、B層中で生じる不活性粒子同士のフィルムの厚み方向における重なりが増え、異常な粗大突起が発生することがある。
【0034】
本発明において、B層に含まれる不活性粒子は単成分系でも多成分系でも良いが、好ましくは少なくとも平均粒径の異なる2種の不活性粒子を含有している多成分系が好ましい。さらに好ましくは電磁変換特性を悪化させない範囲で、平均粒径0.2〜1.0μm、さらに0.25〜0.6μmの不活性粒子B1を、B層の重量を基準として、0.01〜0.5wt%、さらに0.05〜0.3wt%含有し、平均粒径0.02〜0.2μm、さらに0.05〜0.18μmの不活性粒子B2を、B層の重量を基準として、0.05〜1.0wt%、さらに0.08〜0.5wt%含有するものが、十分なエアースクイズ性と電磁変換特性などを高度に具備させやすいことから好ましい。上記B層に含有される不活性粒子としては、特に制限されないが、分散性に優れ、粗大突起を形成しにくいことから、A層で説明したのと同様な不活性粒子が好ましい。
【0035】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、金属薄膜型磁気記録媒体などのベースフィルムとして用いる場合、得られる磁気記録媒体の磁性層表面の走行性を得やすいことから、磁性層が形成されるA層のB層とは接していない表面に、平均突起高さ3nm以上50nm以下の微細突起が3×106個/mm2以上、60×106 個/mm2以下の範囲で形成されていることが好ましい。突起の平均高さまたは頻度が下限未満であると、フィルムロールの状態などで保管したときにブロッキングやB層の表面形状がA層の表面に転写して平坦性が損なわれることかあったり、またA層側に形成される磁性層が平滑になりすぎて、例えばビデオテープになった後のデジタルビデオテープレコーダーで記録、再生を繰り返したときに、ビデオヘッドにより磁性層が磨耗し易い。一方、突起の平均高さまたは頻度が上限を超える場合は、突起が削り取られて脱落したり、磁気記録媒体にしたときに出力特性が低下する。
【0036】
このような突起を形成する方法が特に限定されないが、不活性粒子、有機樹脂からなる皮膜層を、A層の表面に設けることが好ましく挙げられる。皮膜層に含有される不活性粒子としては、特に限定されないが、例えば、架橋シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステル、全芳香族ポリエステルなどの有機粒子、二酸化ケイ素(シリカ)、炭酸カルシウムなどからなる粒子が好ましく挙げられる。なかでも、架橋シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリカ粒子、コアシェル型有機粒子(コア:架橋ポリスチレン、シェル:ポリメチルメタクリレートの粒子など)が特に好ましい。また、皮膜層中の不活性粒子の粒径は、1〜100nm、さらに5〜50nmの範囲にあることが、本発明の効果の上から好ましい。
【0037】
また、皮膜層を形成する有機樹脂としては、例えば水性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂などが好ましく挙げられ、特に水性ポリエステル樹脂が好ましい。皮膜層を形成する水性ポリエステル樹脂としては、酸成分が、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸カリウム、トリメリット酸、トリメシン酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびp−ヒドロキシ安息香酸などの多価カルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種で、グリコール成分が、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、ジメチロールプロパン、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物などの多価ヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種であるポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0038】
また、該水性ポリエステル樹脂は、ポリエステル鎖にアクリル重合体鎖を結合させたグラフトポリマーまたはブロックコポリマー、あるいは2種のポリマーがミクロな粒子内で特定の物理的構成(IPN(相互侵入高分子網目)型、コアシェル型など)を形成したアクリル変性ポリエステル樹脂であってもよい。この水性ポリエステル樹脂としては、水に溶解、乳化、微分散するタイプを自由に用いることができるが、水に乳化、微分散するタイプのものが好ましい。また、これらは親水性を付与するため、分子内に例えばスルホン酸塩基、カルボン酸塩基、ポリエーテル単位などが導入されていてもよい。
【0039】
この皮膜層には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、所望により他の成分、例えば界面活性剤、安定剤、分散剤、UV吸収剤、増粘剤、離型剤などを含有させてもよい。皮膜層の厚みは、通常1〜50nm、好ましくは2〜30nm、さらに好ましくは3〜10nmである。
【0040】
皮膜層を形成する時期は、特に制限されず、積層二軸配向ポリエステルフィルムに施してもよいが、縦一軸延伸ポリエステルフィルムに施すのが好ましい。水性塗液を塗布した一軸延伸ポリエステルフィルムは、乾燥され、横延伸、所望により再縦延伸、次いで熱固定処理等の工程に導かれる。例えば、水性塗液を塗布した縦一軸延伸ポリエステルフィルムは、ステンターに導かれて横延伸、所望により再縦延伸、及び熱固定される。この間塗布液は乾燥し、フィルム上に連続皮膜を形成する。乾燥は横延伸前或いは横延伸時や熱固定時に実施すると良い。
【0041】
本発明において、A層およびB層のポリエステルの固有粘度は、o―クロロフェノール中の溶液として35℃で測定して求めた固有粘度で、0.4〜0.9、さらに0.5〜0.7、特に0.51〜0.65の範囲にあることが、得られるフィルムの力学的特性と製膜性とを高度に具備させやすいことから好ましい。また、B層に自己回収ポリマーを用いる場合、特に固有粘度の高いポリマーを別途用意する必要がないことから、B層のポリエステルの固有粘度は、A層のポリエステルよりも固有粘度が低いことが好ましい。
【0042】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、縦方向および横方向のヤング率がそれぞれ4.5〜20GPaで、両者の比(縦/横)が0.3〜2.5であることが好ましい。さらに好ましくは、縦方向および横方向のヤング率はそれぞれ5〜14GPaであり、また、両者の比(横/縦)は好ましくは0.4〜2.0であり、特に好ましくは0.6〜1.6である。縦方向のヤング率が下限未満であると、磁気テープの縦方向の強度が弱くなり、磁気記録装置にかけられたとき縦方向に強い力がかかると容易に破断してしまう。また横方向のヤング率が下限未満であると、磁気テープの横方向の強度が弱くなり、テープと磁気ヘッドとの当たりが弱くなり、満足し得る電磁変換特性が得られない。一方、縦方向あるいは横方向のヤング率が20GPaを超えると、フィルム製膜時、延伸倍率が高くなり、フィルム破断が多発し、製品歩留りが著しく悪くなる。また、縦ヤング率と横ヤング率の比が下限未満であると、十分な磁気テープの縦方向の強度が得られなくなり、磁気記録装置にかけたとき、縦方向に強い力がかかるとテープ切断が多発する。一方、縦ヤング率と横ヤング率の比が上限を超えると、十分な磁気テープの横方向の強度が得られず、テープを走行させた場合、テープエッジに損傷が発生し、満足し得る耐久性が得られない。なお、上記縦ヤング率と横ヤング率の比は、リニアー方式の磁気記録媒体用ベースとして用いる場合は0.9〜2.5、またヘリカル方式の磁気記録媒体用ベースとして用いる場合は0.3〜1.0であることがより好ましい。
【0043】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムの全体の厚みは特に限定されないが、高密度磁気記録媒体ベースフィルムとして用いる場合、全体の厚みは3〜10μmが好ましい。さらに好ましくは4〜9μm、特に好ましくは4〜7μmである。この厚みが10μmを超えると、カセットにいれられる磁気テープの長さが短くなり、十分な記録容量が得られない。一方、3μm未満ではフィルム製膜時にフィルム破断が多発し、またフィルムの巻取性が悪くなり、歩留りが大きく低下する。
【0044】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法に準じて、先ず未配向積層フィルムを製造し、次いで該フィルムを二軸配向させることで得ることができる。この未配向積層フィルムは、前述のチタン化合物の割合を満足するA層用とB層用のポリエステルを用意し、これらのポリエステルを溶融状態または冷却固化された状態で積層する、すなわち共押し出し、エクストルージョンラミネート等の方法で製造できる。例えば、未使用ポリマーのみで製造する場合は、チタン化合物を重縮合触媒として用いた不活性粒子を含有しないか極めて少ないA層用のポリエステルと、チタン化合物とアンチモン化合物などを重縮合触媒として併用した不活性粒子を含有するB層用のポリマーを用意すればよく、自己回収ポリマーを用いる場合は、自己回収ポリマーをB層用ポリマーとして用いればよい。このとき、不活性粒子やチタン化合物の割合を自己回収ポリマーを用いなかったものと合わせるために、チタン化合物やアンチモン化合物などによって重合された不活性粒子を含有する未使用ポリマーを用いることが好ましい。
【0045】
上記の方法で得られる未配向積層フィルムは、さらに従来から蓄積された二軸配向フィルムの製造法に準じて、積層二軸配向フィルムとすることができる。例えば、融点(Tm)〜(Tm+70)℃の温度でポリエステルを溶融・共押出しして未延伸積層フィルムを得、該未延伸積層フィルムを一軸方向(縦方向または横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg〜(Tg+70)℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/または横方向に再度延伸してもよい。このようにして、全延伸倍率は、面積延伸倍率として9倍以上が好ましく、12〜35倍がさらに好ましく、15〜30倍が特に好ましい。さらにまた、二軸配向フィルムは(Tg+70)℃〜(Tm−10)℃の温度で熱固定することができ、例えば180〜250℃で熱固定するのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0046】
このようにして得られる本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、未使用ポリマーのみならず、自己回収ポリマーを用いても、優れた平坦性を有することから、極めて優れた平坦性が要求される金属薄膜型磁気記録媒体、特に高密度磁気記録媒体または高密度デジタル記録媒体(データカートリッジ、デジタル方式のビデオテープ等)用のベースフィルムとして好ましく用いることができる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明をさらに実施例によって詳述する。なお、本発明における種々の物性値および特性は、以下のとおり、測定および評価される。
【0048】
(1)皮膜層中の不活性粒子の平均粒径
フィルムの皮膜層の表面に、白金スパッター装置により白金薄膜蒸着層を厚み2〜3nmで設け、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジース S−4700)により倍率10万倍程度で観測し、少なくとも100個の粒子について面積円相当径を求め、それらの平均値を平均粒径とした。
【0049】
(2)ポリエステルフィルム中の不活性粒子の平均粒径(DP)
フィルム表面からポリエステルをプラズマ低温灰化処理法(例えばヤマト科学製P3−3型)で除去し、粒子を露出させる。処理条件はポリエステルは灰化されるが粒子はダメージを受けない条件を選択する。これをSRM(走査型電子顕微鏡)で観察し、粒子の画像(粒子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザーに結び付け、観察箇所を変えて粒子5000個を測定し、下記式によって求めた数平均粒径dを平均粒径とする。
【0050】
【数1】

ここで、diは粒子の円相当径(μm)、nは個数である。サンプルをポリエステルは溶解するが粒子は溶解しない溶媒を用いて溶解し、溶液から粒子を遠心分離し、粒子の全体量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
【0051】
(3)フィルム厚み
フィルムを層間の空気を排除しながら10枚重ね、JIS規格のC2151に準拠し、(株)ミツトヨ製ダイヤルゲージMDC−25Sを用いて、10枚重ね法にて厚みを測定し、1枚当りのフィルム厚みを計算する。この測定を10回繰り返して、その平均値を1枚あたりのフィルム厚みとした。
【0052】
一方、A層およびB層の厚みは、フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向および厚み方向に平行に切断する)を作成する。この超薄切片の試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察し、不活性粒子の多い方の層をB層、少ない方の層をA層とし、不活性粒子の存在量が変化する厚みの位置を、100箇所求め、それらの平均値からA層とB層の厚みを求めた。
【0053】
(4)被膜層の厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロトームにて約60nmの厚みの超薄切片(フィルムの製膜方向に平行に切断する)を作成し、この試料を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800型)にて観察し、樹脂種の違いによる層の境界線を100箇所測定し、それらの値より皮膜層の厚みを求めた。なお、この測定は粒子のない部分で行った。
【0054】
(5)突起の高さ、頻度
Digital Instruments 社製の原子間力顕微鏡(商品名:NanoScopeIII)およびAFMのJスキャナーを使用し、以下の条件で2μm×2μmの範囲を10ケ所測定し、AFM像より高さが1nm以上の突起の数をカウントし、その平均値を面積換算により個/mm当たりの突起個数として算出する。またカウントした各々の突起の高さを測定し、その平均値をもって突起の平均高さとする。
深針:単結晶シリコンナイトライド
走査モード:タッピングモード
面素数:256×256 データポイント
スキャン速度:2.0Hz
測定環境:室温、大気中
【0055】
(6)ヤング率
フィルムを試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにして、引張速度10mm/分、チャート速度500mm/分の条件でインストロンタイプの万能引張試験装置にて引っ張る。得られる荷重―伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を計算する。
【0056】
(7)ポリマー中の元素量:
A層またはB層中のチタン元素量、リン元素量、アンチモン元素量、ゲルマニウム元素量およびアルミニウム元素量はサンプルを加熱溶融して円形ディスクを作成し、リガク社製蛍光X線測定装置3270を用いて測定した。なお、触媒としてではなく、不活性粒子として酸化チタン粒子やアルミナ粒子などが添加されている場合は、それらの割合は上記元素量からは除かれる。
【0057】
(8)ドロップアウト特性
得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムの片面(A層側)に真空蒸着により厚み180nmのコバルト−酸素薄膜を形成した後、その上にスパッタリング法により、ダイヤモンド状カーボン保護膜を10nmの厚みで常法で形成させ、次いでフッ素含有脂肪酸エステル系潤滑剤を3nmの厚みで塗布した。続いて、B層側の表面に、カーボンブラック、ポリウレタン、シリコーンからなるバックコート層を400nmの厚みで設け、スリッターにより幅6.35mmにスリットしリールに巻取り磁気記録テープ(DVCビデオテープ)を作成した。
【0058】
この磁気記録テープを、市販のカメラ一体型デジタルビデオテープレコーダー(ソニー(株)製DCR−VX2100)のLPモードを用いて静かな室内で録画、再生し、ドロップアウト(DO)個数を求めることにより行った。DO個数の測定は、作成したDVCテープに市販のDVCカメラで録画し、1分間の再生をして画面にあらわれたブロック状のモザイク個数を数え、次の基準で評価した。なお、走行条件は25℃、60%RHである。
◎:発生なし
○:3個/分未満
△:3個/分以上、10個/分未満
×:10個/分以上
【0059】
(9)表面粗さ(WRa)
Veeco社製、非接触式三次元粗さ計(WYKO NT−2000)を用いて、測定倍率25倍、測定面積247μm×188μm(0.046mm2 )の条件にて、測定数(n)10以上で測定を行い、該粗さ計に内蔵され表面解析ソフトにより、中心面平均粗さ(WRa)を求める。なお、中心面平均粗さ(WRa)は下記式により計算され、アウトプットされた値である。
【0060】
【数2】

ここで上記式中の、ZjkはX軸方向(247μm)、それと直行するY軸方向(188μm)をそれぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置に於けるX、Y平面における直行するZ軸方向の高さである。また、A層の表面に皮膜層がある場合は、皮膜層の表面を積層二軸配向ポリエステルフィルムのA層の表面として測定した。
【0061】
(10)触媒残渣と劣化異物
フィルム表面から削り取ったポリエステル0.1gを溶解液(ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=50/50重量%混合液)を加え溶解した液を、3μm孔径テフロン(登録商標)製メンブレンフィルター(ろ過面積=7.1cm)でろ過する。乾燥後のろ紙を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク製 S4700型)を用いて、ろ紙上にある粒子個数をカウントし、観察面積から1cm当りの粒子個数をカウントする。評価には以下の判断基準を設け、○以上の評価を合格とする。
◎:粒子個数が 5個/cm未満
○:粒子個数が 5個/cm以上10個/cm未満
△:粒子個数が10個/cm以上50個/cm未満
×:粒子個数が50個/cm以上
【0062】
(11)劣化異物
ゴミの入らないように同じ面同士を重ねた2枚のフィルムに単光色波長0.58μmをあてた時、この2枚のフィルム間に存在する粗大突起に起因して発生する干渉縞(ニュートンリング)を観察し、その1.0縞数以上の粗大突起(高さ=縞数×λ/2=0.44μm)について100cm面積当たりの個数をカウントする。更にカウントした突起分を透過顕微鏡で観察し、劣化異物に起因する異物数をカウントした。反対面の解析を実施する場合には反対面同士を重ねあわせ、同じ解析を実施し、以下の基準で判定した。
平坦面側
◎:劣化異物が 5個/100cm未満
○:劣化異物が 5個/100cm以上20個/cm未満
△:劣化異物が20個/100cm以上50個/cm未満
×:劣化異物が50個/100cm以上
粗面側
◎:劣化異物が10個/100cm未満
○:劣化異物が10個/100cm以上 30個/cm未満
△:劣化異物が30個/100cm以上100個/cm未満
×:劣化異物が100個/100cm以上
【0063】
(12)体積抵抗率の測定
溶融フィルムの体積抵抗率の測定は、図1に示す装置を用いて測定する。測定サンプル1は厚さ約150μmのフィルムを用いる。直径20cmの円柱状下部電極2の上面に、150μmの平行な隙間が保持できる直径5.6cm、厚さ0.2cmの上部電極3を配し、この間に測定サンプルが電極と密着するようにして挿入する。
【0064】
下部電極2は加電装置4と温度検出端5を内蔵し、下部電極の表面温度の測定面におけるバラツキが1℃以内、検出端部分との温度差が昇温速度8℃/分において2℃以内となるように構成する。なお、検出温度は読取温度計7で測定する。電極の全体は保温箱11中に配置する。
【0065】
電源8はその発生電圧を標準抵抗9を介して両電極間に印加するが、該電源はフィルムの直流体積抵抗率を測定する場合は100Vの直流を発生する電源であって、フィルムの交流体積抵抗率を測定する場合は100V、50Hzを発生する電源である。この回路に流れる電流は標準抵抗の両端に発生する電圧を、内部インピーダンスが100MΩ以上のエレトロンメーター10で読取る。
【0066】
フィルム状ポリマーの交流体積抵抗率の測定は、上記装置により、下部電極の昇温測速度が8℃/分、該電極はポリマーのDSCによる融点+30℃の温度にて行ない、交流体積抵抗率Zは、印加電圧E、電流I、電極面積S、電極間隔dより次式で求められる。
【数3】

【0067】
[参考例1]樹脂1の作成
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100部、エチレングリコール70部およびチタン化合物(トリメリット酸チタンを表1に示す元素量となるように添加)をを使用して、エステル交換反応させたのち、安定剤としてのリン化合物(トリメチルホスフェートを表1に元素量となるように添加)を添加し、エステル交換反応を終了させた。そして、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物(3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩)を1mmol%となるように添加した後、高真空下で重縮合反応を行い、実質的に不活性粒子を含有しない、固有粘度0.6dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0068】
[参考例2]樹脂2の作成
ジメチルテレフタレート100部とエチレングリコール70部とを、エステル交換触媒として酢酸マンガン・4水和物を30mmol%になるように使用してエステル交換反応させたのち、安定剤としてトリメチルホスフェートを表1に示すとおり添加してエステル交換反応を終了せしめ、その後、スルホン酸4級ホスホニウム塩化合物を1mmol%となるように添加した後、重合触媒として表1に示すとおり三酸化アンチモンを添加し、高真空下で重縮合反応を行い、実質的に不活性粒子を含有しない、固有粘度0.62dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレートを得た。
【0069】
[参考例3]樹脂3の作成
エステル交換反応の段階で、表1に示す不活性粒子を添加した以外は参考例2と同様な操作を繰り返した。
【0070】
[参考例4および5]樹脂4および5の作成
チタン化合物の量を表1に示すとおり変更した以外は参考例1と同様な操作を繰り返した。
【0071】
[参考例6]樹脂6の作成
エステル交換反応の段階で、表1に示す不活性粒子を添加した以外は参考例1と同様な操作を繰り返した。
【0072】
【表1】

表1中のP1は、トリメチルホスフェートを示す。
【0073】
[実施例1]
A層用ポリマーとして、樹脂1を、B層用のポリマーとして、樹脂1と樹脂3とを重量比で57:43の混合物を用意し、それぞれ、170℃で6時間乾燥させた。こうして、乾燥チップを表1に示した層厚み構成になるような比率にて、2台の押出機ホッパーに供給し、溶融温度280〜300℃で溶融し、マルチマニホールド型共押出ダイを用いてA層の片側にB層を積層させ、厚み88μmの積層未延伸フィルムを得た。この積層未延伸フィルムの全体の交流体積抵抗率は5×10Ω・cmであった。
【0074】
このようにして得られた積層未延伸フィルムを120℃に予熱し、さらに低速、高速のロール間でフィルムを135℃に加熱して3.5倍に延伸し後、急冷し、縦延伸フィルムを得た。次いで縦延伸フィルムのA層からなる表面上に、下記組成の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を塗布した。
【0075】
表面A側への塗布水溶液:
・バインダー アクリル―ポリエステル樹脂 79%
ポリエステル成分:イソフタル酸(95モル%)、5―ナトリウムスルホイソフタル酸(5モル%)/エチレングリコール(92モル%)、ジエチレングリコール(8モル%)
アクリル樹脂成分:メチルメタクリレート(90モル%)、グルシジルメタクリレート(10モル%)、
ポリエステル成分/アクリル樹脂成分の重量比=5/5
・不活性粒子(アクリルフィラー(平均粒径25nm、日本触媒株式会社製、商品名:エポスター))6%
・界面活性剤(三洋化成社製、商品名サンノニックSS-70)15%
皮膜層厚み(乾燥後):8nm
【0076】
続いてステンターに供給し、150℃にて横方向に5.3倍に延伸した。得られた二軸延伸フィルムを205℃の熱風で4秒間熱固定し、厚み4.7μmの未使用ポリマーのみを用いた積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルムのヤング率は縦方向5.7GPa、横方向10.5GPaであった。未使用ポリマーのみを用いて得られた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表2に示す。
【0077】
次にこの積層二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際に生じた皮膜層のついていないエッジ屑を回収して回収ポリマーとした。そして、B層用ポリマーを樹脂1と樹脂3との重量比57:43の混合物から、この回収ポリマーと樹脂3との重量比78:22の混合物に変更した以外は、前述の未使用ポリマーのみを用いた積層二軸配向ポリエステルフィルムと同様にして、回収ポリマーをB層に用いた積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた回収ポリマー使用の積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表3に示す。
【0078】
[実施例2〜7、比較例1〜2]
A層およびB層の厚みおよび使用する樹脂の種類や割合を表2および3に示すように変更するほかは実施例1と同様にして未使用ポリマーのみを使用した積層二軸配向ポリエステルフィルムと回収ポリマーを使用した積層二軸配向ポリエステルフィルムとを得た。得られた未使用ポリマーのみを用いた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表2に、また得られた回収ポリマーを用いた積層二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを磁気記録テープとしたときの特性を表3に示す。
【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の積層二軸配向ポリエステルフィルムは、高密度磁気記録媒体としたときに優れたドロップアウト特性を発現でき、また回収ポリマーも効率的に使用できることからコストメリット的にも優れており、高密度磁気記録媒体用ベースフィルムとして、特にデジタル記録方式のビデオテープあるいはデータストレージ用テープとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】溶融ポリマーの体積抵抗率を測定する装置の模式図である。
【図2】回収ポリマーを使用するときの自己循環回収の方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0083】
1:ポリマー
2:下部電極
3:上部電極
4:加電装置
5:温度検出端
6:電流計
7:読取温度計
8:電源
9:標準抵抗
10:エレクトロンメーター
11:保温箱
21:未使用ポリマーI
22:未使用ポリマーII
23:回収ポリマー
24:A層
25:B層
26:製品化された積層フィルム
27:回収された積層フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルA層の片面にポリエステルB層が積層されている積層二軸配向ポリエステルフィルムであって、
A層およびB層のポリエステルは、触媒として使用されたチタン化合物を含有し、その含有量が、それぞれの層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、A層のチタン元素量(Ti)が2〜15mmol%の範囲であり、B層のチタン元素量(Ti)がA層のチタン元素量(Ti)に対して、0.2〜0.8の範囲にあること、
A層の表面粗さが 0.3〜4nmで、B層の表面粗さがA層の表面粗さに対して1.5〜50倍の範囲にあること、そして
A層の厚みが0.5〜5μmの範囲で、B層の厚みがA層よりも厚いことを特徴とする積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項2】
A層が安定剤としてリン化合物を含有し、A層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、該リン化合物のリン元素量(P、mmol%)とチタン元素量(Ti)の比(P/Ti)が0.1〜3の範囲にある請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項3】
B層が安定剤としてリン化合物を含有し、B層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準として、該リン化合物のリン元素量(P)とチタン元素量(Ti)の比(P/Ti)が2〜20の範囲にある請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項4】
B層が安定剤としてリン化合物を含有し、B層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたときの、該リン化合物のリン元素量(P)と該チタン元素量(Ti)の比(P/Ti)が、A層のポリエステルの繰返し単位のモル数を基準としたときのリン化合物のリン元素量(P、mmol%)とチタン元素量(Ti)の比(P/Ti)に対して、2〜10倍の範囲にある請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項5】
B層が触媒として、チタン化合物のほかに、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物およびアルミニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒を含有する請求項3または4のいずれかに記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項6】
B層のポリエステルの少なくとも一部が、積層二軸配向ポリエステルフィルムを回収した自己回収ポリマーからなる請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項7】
A層のB層とは接していない表面に、平均突起高さ3nm以上50nm以下の微細突起が3×106個/mm2以上、60×106 個/mm2以下の範囲で形成されている請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項8】
フィルムの全厚みが3〜10μmである請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項9】
ポリエステルB層は少なくとも平均粒径の異なる2種以上の滑剤を含有する請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項10】
A層およびB層のポリエステルが、それぞれポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートである請求項1記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項11】
磁気記録テープのベースフィルムに用いられる請求項1〜10のいずれかに記載の積層二軸配向ポリエステルフィルム。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の積層二軸配向ポリエステルフィルムと、そのA層側の表面に積層された磁性層とからなることを特徴とする磁気記録テープ。
【請求項13】
磁性層が強磁性金属薄膜層である請求項12記載の磁気記録テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−196511(P2007−196511A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17440(P2006−17440)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(301020226)帝人デュポンフィルム株式会社 (517)
【Fターム(参考)】