説明

積層体および包装体

【課題】 バーコードの後印刷が可能で、より少ない層構成でバーコードの読取精度を向上させることができ、バーコード部のより一層の縮小化、低面積化が可能な積層体および包装体を提供する。
【解決手段】 基材層1と、基材層1の少なくとも一部に接して位置する下地層3とを備え、下地層3が、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズ、の1種以上のビーズ3aを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードの読取精度に優れる積層体および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、数多くの物品にバーコードが印刷され、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどのレジ(精算場所)で、代金計算、在庫調整のために利用されている。バーコードは消費者にとっては意味のない無味乾燥なデザインであり、商品のメーカー側にとっても広告や宣伝のためのスペースを犠牲にしなければならず、バーコードの印刷面積の縮小化が望まれている。また、使用期限管理、誤飲誤用防止、在庫管理の目的から、カプセルや錠剤等の医薬品にも、個包装あるいは服用単位ないし調剤包装単位等でバーコードを印刷することが要求されている。これらの要求に鑑み本発明者等は先にバーコードの読取精度に優れる包装用シートを開発した(特許文献1)。この包装用シートの発明によるとアルミニウム箔とバーコード部との間に白着色層を介在させることで、バーコードの読取精度が向上することを提案し、さらにアルミニウム箔と白着色層との間に透明ないし半透明の下地層を介在させることにより、バーコードの読取精度がより向上することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−174302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来技術では、バーコードの読取精度が向上するものの、アルミニウム箔とバーコード部との間に白着色層を介在させる必要があり、包装用シートの色調が白色に限定され、様々な着色を要求してくる顧客の要請に応じることができない。また、バーコードの読取精度を向上させる工夫を施しても、先にバーコードを印刷し、その後で読み取り精度を向上させるような処理を施すような工夫では、顧客側で例えば食料品の包装前後にバーコードを後印刷するような工程には不向きである。
【0005】
本発明は、従来技術の問題点に鑑み、より少ない層構成でバーコードの後印刷が可能で、読取精度を向上させることができ、バーコードの縮小化が可能なバーコード印刷用積層体およびそれを用いた包装体を提供することを主な目的とする。ここで、バーコードの後印刷が可能とは、バーコードの読取精度を向上させる処理を施した後で、印刷されたバーコードについて、高い読取精度が得られることをさす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の積層体は、基材層と、基材層の少なくとも一部に接して位置する下地層とを備え、下地層が、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズ、の1種以上を含むことを特徴とする。ここで、酸化金属は、金属、半金属(半導体)などの非金属以外の物の酸化物をさす。
この構成によれば、次の作用効果を得ることができる。
1.従来技術より少ない層構成(例えば、熱接着層/アルミニウム箔/ビーズ含有下地層/後印刷バーコード)でありながら、バーコードの読取精度を向上させることができる。
2.従来構成では白着色層が必須構成であったが、本発明では必須でなくなったため、本発明の効果を損なわない範囲(バーコードの読み取り可能な範囲内で)で、従来と同様の色構成で積層体や包装体を提供することができる。
3.顧客において、バーコードを普通に印刷して、高い読取精度が得られる、という要求に応えることができる。
4.従来構成より工程を簡素化でき、工程短縮、コストダウンにつながる。
【0007】
上記の基材層が金属薄膜層を含むことができる。これによって基材層の強度を向上させることができる。このとき、金属薄膜層が基材層そのもの(全体)を構成する場合、または、基材層が複合層でありそのなかの一つ以上の層が金属薄膜層である場合、がある。
【0008】
下地層内におけるビーズの含有量を固形分基準で25重量%〜40重量%とし、前記下地層の付着量を乾燥後重量で2g/m〜10g/mとすることができる。これによって、白着色層や別途顔料を用いることなく、下地層の外観を独特の乳白色に呈することができる。このため白着色層等を用いることなく、バーコードの読取精度を、さらに向上させることができる。
【0009】
上記の下地層がさらに着色顔料を1種以上含む、および/または、基材層が着色層を含む、ことができる。これによって、顧客の様々な要求、とくに着色の指定に応えることができる。なお、基材層が着色層を含むとは、基材層上に、たとえば白着色層のような着色層が設けられている形態をいう。このとき、基材層は(基材層本体/着色層)となるが、基材層本体についても基材層といい、基材層本体の語は用いない。したがって、例えば、基材層の上に着色層を設ける、などと言う。
【0010】
上記の基材層は熱接着層を含むことができる。これによって、薬剤用のポケットを含むプレススルーパックの蓋用積層体として該ポケットに隣接するフランジ部、その他のシートに簡便に熱接着することができる。このとき、基材層は(熱接着層/基材層本体)となるが、基材層本体についても基材層といい、基材層本体の語は用いない。したがって、例えば、基材層の裏面に熱接着層を設ける、などと言う。
【0011】
前記樹脂ビーズ、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズを、透明または半透明とすることができる。これによって、さらにバーコード部の読取精度を向上させることができる。
【0012】
樹脂ビーズ、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズの平均粒子径を0.01μm〜30μmとすることができる。これによって、プレススルーパックの蓋などに用いる場合、過大すぎて下地層から脱落したりせず、また過小すぎてバーコード読取精度の向上に効かない等の不都合を防止することができる。
【0013】
下地層が、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズ、の1種と、樹脂ビーズと、を含むようにできる。これによって、下地層は、ガラス等の硬質のビーズ及び一般の樹脂の軟質のビーズを含むので、ヒートシールのとき高温で圧力を受けても硬質のビーズが変形を防止する。硬質のビーズが変形に抗するので樹脂ビーズはほとんど変形を受けず、ヒートシール前におけるのと同じ高い読取精度を得ることができる。
【0014】
下地層上にバーコード印刷層を備えることができる。これによって、バーコードの読取精度が向上し、バーコード印刷部の縮小化、低面積化が可能となる。
【0015】
本発明の包装体は、上記のいずれかの積層体を備えることを特徴とする。これによってバーコードの読取精度に優れた包装体を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より少ない層構成でバーコードの読取精度を向上させることができ、バーコードの後印刷可能な積層体および包装体を得ることができる。バーコードの読取精度が向上することから、バーコード印刷部の縮小化、低面積化が可能となる。また、顧客においてバーコードを印刷し、その後で特に処理をすることなく、読取精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態における積層体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に用いる基材層は、後印刷するバーコードが読み取り可能である限り特に制限はなく、例えば、紙、合成紙、樹脂フィルム、着色樹脂フィルム、金属薄膜から選ばれる単体、または2種以上の複合体を採用することができ、後述する種々の着色層や熱接着層等を積層して用いることもできる。基材層には金属薄膜層を含むのが好ましく、金属薄膜層としては、アルミニウム箔、銅箔、金箔、銀箔、アルミニウム蒸着層等を採用することができる。アルミニウム箔は公知のアルミニウム箔(アルミニウム合金箔も含む。以下同じ。)であれば特に制限されない。例えば、JIS等で規定される1N30、1070、1100、3003、8021、8079等の材質の厚み5〜200μm、好ましくは厚み12〜50μmのアルミニウム箔を使用することができ、その調質も軟質箔、硬質箔、半硬質箔のいずれでも用途や要求特性に応じて使い分けることができる。アルミニウム蒸着層の場合は、厚み200〜1000オングストローム程度のアルミニウム蒸着層を採用することができる。
【0019】
図1は、本発明の積層体の実施の形態の代表的な例を示す断面模式図であり、裏面に熱接着層7が設けられた基材層(アルミニウム箔)1の上にビーズ3aを含有した下地層3を備え、その上に後印刷したバーコード印刷部5(バーコード印刷層ともいう)が形成されている。なお、上記熱接着層を用途に応じて粘着層、感圧接着層、感熱接着層など公知の粘着・接着剤に代えることもできる。
【0020】
基材層であるアルミニウム箔1に着色層を積層させる場合は、単位面積当たり固形分重量で1.0g/m〜4.0g/m程度が好ましい。また、着色層に用いる顔料は本発明の効果を損なわない範囲(バーコードの読み取り可能な範囲で)で、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン系、キノフタレン系、ペリレン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、酸化鉄、二酸化チタン、マイカ、それらのカラーチップ顔料等を単独で用いたり、これらのうち2種以上を併用したりすることもできる。また積層する位置もアルミニウム箔の片面あるいは両面であってもよい。着色層や印刷層に用いる樹脂成分や溶剤は公知のものを使用することができ、例えば変性オレフィン樹脂、石油系炭化水素樹脂、ニトロセルロース、ブチラール等の樹脂成分と、トルエン等の芳香族系炭化水素、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル等のエステル類、メチルエチルケトン等のケトン類、イソプロピルアルコール、変性アルコール等のアルコール系溶剤やこれらの混合溶剤を用いることができる。
【0021】
着色層や印刷層の塗布方法は特に限定されず、グラビアロールコーター、オフセット印刷、フレキソ印刷、UV印刷、カーテンフローコーター等の方法により塗布(積層)することができる。
【0022】
下地層のマトリックスとして用いる樹脂3bは、ニトロセルロース系、アクリル系、エポキシ系、塩化ビニル系、ポリプロピレン系等の透明または半透明の樹脂を採用することができ、乾燥後の下地層として1.0g/m〜10.0g/m程度の付着量で設けることができる。勿論、塗布(積層)する際は適当な溶剤を用いグラビアロールコーター等公知の方法を採用することができる。
【0023】
基材層1に熱接着層7を設ける場合は、通常、アルミニウム箔の下地層を設ける側と反対の面に公知の熱接着層7を設ければよい。例えば塩化ビニル系、ポリプロピレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、エチレン−酢酸ビニル系共重合体等の熱接着層を公知の手法により、厚み1〜50μm程度あるいは乾燥後重量で1〜30g/m程度で設けることができる。
【0024】
基材層1の少なくとも一部には、ビーズを含有した下地層3を設ける。当該ビーズとしては、市販のものを適宜選択して使用することができ、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、酸化金属ビーズ(好ましくは酸化珪素ビーズを除く)、金属ビーズからなる群から選ばれる1種以上のビーズ(粒子)3aを採用することができる。当該ビーズ3aは、透明または半透明の粒子から構成されるのが好ましい。
樹脂ビーズを採用する場合は、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアクリルニトリル、ポリアミド等の通常の樹脂からなる樹脂ビーズを好適に使用することができる。これらの中でもバーコードの総合的な読み取り性能の点で特にメラミン樹脂が好ましい。
ガラスビーズを採用する場合は、公知の(市販の)ガラスビーズを採用することができる。
酸化金属ビーズを採用する場合は、酸化アルミニウムビーズを採用することができる。但し、酸化珪素ビーズは安定性に欠けるので好ましくない。
金属ビーズを採用する場合は、公知の金属ビーズを採用することができる。
なお、ビーズは、軟質のビーズと、硬質のビーズとを両方とも含む形態をとることができる。すなわち、軟質のビーズの樹脂(通常の樹脂:例えば上記で挙げたアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂〜ポリアミド等からなる樹脂)ビーズと、硬質のビーズとしての(ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズのうちの1種)と、を併用して用いることもできる。これら2種のビーズを併用した場合は、高温高圧のヒートシール(特にメッシュシール)後であっても優れたバーコードの読取特性を維持できる。軟質および硬質のビーズを併用する場合は、好ましくは、ガラスビーズと樹脂ビーズとの組み合わせがよい。その他の組み合せとしては、2種類の樹脂ビーズ(エンジニアリングプラスチック(ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアセタール、ポリカーボネート、フッ素樹脂等)の樹脂ビーズと、通常の樹脂(エンジニアリングプラスチック以外の樹脂)の樹脂ビーズ)を用いてもよい。樹脂ビーズとその他のビーズ(ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズのうちの1種)とのブレンド比は、重量基準で、樹脂ビーズ:その他のビーズ=10:90〜90:10(重量部)とするのが好ましい。前記樹脂ビーズの平均粒子径は、前記その他のビーズの平均粒子径より小さいのが好ましい。その他のビーズの平均粒子径を樹脂ビーズの平均粒子径より大きくすることで、ヒートシール時の樹脂ビーズの変形を効果的に防ぐことができる。
【0025】
ビーズ3aの下地層3中の含有量は固形分基準で通常1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%とするのがよい。ビーズの含有量が1重量%未満では光を屈折・散乱させる効果が乏しくなり、バーコードの読取精度がやや劣る。他方、40重量%を超えるとビーズの分散性が悪くなるので避けた方がよい。なお、ビーズの含有量を25〜40重量%(固形分基準)とした場合は、下地層の外観が乳白色を呈し、独特の意匠が得られるという効果がある。この場合、下地層の付着量(=厚み)は、乾燥後重量で2g/m〜10g/mとするのがよい。
【0026】
上記のビーズ3aの平均粒子径は、0.01〜30μm程度が好ましく、0.5〜20μm程度がさらに好ましく、特に2〜10μmがなおさらに好ましい。ビーズ3aの平均粒子径が0.01μm未満では樹脂中に均一分散するのが困難になり、バーコードの読取精度にばらつきが生じる虞がある。他方、30μmを超えると下地層3のマトリックスからのはみ出し部分が多くなり脱落の可能性が大きくなるため避けた方が望ましい。なお、平均粒子径の測定は顕微鏡(SEM(Scanning Electron Microscopy)やFE(Field Emission)−SEM等)による観察を行い、ビーズが球状の場合はその直径を、またビーズが非球状の場合は最長径(観察視野またはその写真上で、個々のビーズを平行な2本の線分で挟み込んだときの最長距離)および最短径(観察視野またはその写真上で、個々のビーズを平行な2本の線分で挟み込んだときの最短距離)を求め、その算術平均値をそのビーズの平均直径とする。さらにビーズ20個程度の直径または平均直径を算術平均し、その値を平均粒子径とすればよい。なお、下地層には、本発明の効果を損なわない範囲で公知の顔料、着色剤等を含有させることもできる。
【0027】
下地層の少なくとも一部には、所定のバーコード印刷層5(バーコード印刷部ともいう)を後印刷で設けることができる。バーコード印刷層5は公知の印刷インキを用いて公知の方法により設けることができるが、特にインクジェット方式、フレキソ印刷方式、感熱記録方式、レーザー印字方式等により印刷または印字することができる。
インクジェット方式、フレキソ印刷方式の場合は、例えばカーボンブラック等を着色剤(顔料)として含有した印刷インキを用いて印刷(印字)することができる。なお、バーコードが読み取り可能であれば、カーボンブラックによる黒印刷以外であっても構わない。バーコード印刷層5は、通常、乾燥後厚み0.5μm〜2.0μmで形成され、顔料の含有量は通常固形分基準でインキ層中10〜40重量%程度(好ましくは15〜40重量%)とするのがよい。当該印刷インキに含まれるバインダー樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロースなどを挙げることができる。バーコード印刷の図柄、大きさは顧客の要求に応じて適宜調整すればよいが、例えば、1次元バーコードでもよいし、2次元バーコードまたはマトリックス方式もしくはコンポジット方式のQRコードであってもよい。
感熱記録方式、レーザー印字方式の場合は、予め下地層の表面に感熱発色層やレーザー印字層を設けておけばよい。
【0028】
本発明の積層体は、プレススルーパック(PTP)の蓋材や、粉薬・顆粒薬・貼付薬の分包袋、食品・飲料品の包装袋および包装箱、プリンやヨーグルト等の乳製品容器の蓋材、事務用品・機械部品・日用品・台所用品等の包装袋や包装箱等、公知の包装材料・包装体に適用でき、またラベル、封緘帯、トレー、値札、タグ、カード等にも好適に使用できる。本発明の積層体を蓋材として用いる場合は、紙製容器、金属製容器、ガラス製容器、ポリプロピレン・ポリエステル・ポリスチレン・ポリエチレン等の樹脂容器等の蓋材として使用でき、ヒートシールによって容器の開口部周縁、好ましくはフランジを有する容器の当該フランジ上に熱接着することができる。通常ヒートシール時の温度は120〜260℃程度、圧力は2〜250kg/cm、時間は1〜3秒程度とすればよい。包装体がプレススルーパックの場合は、メッシュシールと呼ばれる格子状の凸条を設けた熱板を用いてヒートシールすることができ、強固な接着力、密封性を得ることができる。
【実施例】
【0029】
次に実施例により本発明例の作用効果について検証した結果を説明する。
(本発明例1):(熱接着層/アルミニウム箔/下地層(メラミンヒ゛ース゛5μm径)/カーホ゛ン顔料フレキソ印刷のハ゛ーコート゛)
本発明例1では、アルミニウム箔(厚み:17μm、材質:8079硬質材)のツヤ面上にほぼ透明のメラミン樹脂ビーズ(平均粒子径:5μm)を固形分基準で15重量%でマトリックス(主成分:ニトロセルロース樹脂)に含有させた下地層(乾燥後付着量:1.7g/m)をグラビアコート法により形成し、当該アルミニウム箔の消し面(ツヤ面と反対側の面)上に塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を主成分とする熱接着層を乾燥後重量で4g/mコーティングし、本発明例1のバーコード印刷用積層体を作製した。
次に、バーコード印刷用積層体の下地層面上に、バーコードサイズ(公称0.254mm/モジュール(線の太さ最小0.2〜最大1.25mm、スペース最小0.3〜最大0.8mm))のバーコード部(マトリックス樹脂:ニトロセルロース、固形分基準でカーボンブラック顔料16重量%含有:乾燥後厚み約1.5μm)を、フレキソ印刷により後印刷した。
(本発明例2):(熱接着層/アルミニウム箔/下地層(メラミンヒ゛ース゛2μm径+カ゛ラスヒ゛ース゛3.5μm径)/カーホ゛ン顔料フレキソ印刷のハ゛ーコート゛)
本発明例2では、アルミニウム箔(厚み:17μm、材質:8079硬質材)のツヤ面上にほぼ透明のメラミン樹脂ビーズ(平均粒子径:2μm)を固形分基準で15重量%およびほぼ透明のガラスビーズ(平均粒子径:3.5μm)を固形分基準で15重量%を併用してマトリックス(主成分:ニトロセルロース樹脂)に含有させた下地層(乾燥後付着量:1.7g/m)をグラビアコート法により形成した。以後は本発明例1と同様に、本発明例2のバーコード印刷用積層体を作製し、バーコード印刷用積層体の下地層面上にバーコード部を後印刷した。
(比較例1)(熱接着層/アルミニウム箔/白着色層/クリアーコート/カーホ゛ン顔料フレキソ印刷のハ゛ーコート゛)
比較例1として、アルミニウム箔(厚み:17μm、材質:8079硬質材)のツヤ面上に白着色層(マトリックス樹脂:ポリプロピレン、固形分基準で酸化チタン顔料21重量%含有:乾燥後厚み1.5μm)をグラビアコート法により形成し、さらに白着色層上にクリアーコート(アクリル系樹脂、厚み約1μm)を施した。当該アルミニウム箔の消し面(ツヤ面と反対側の面)上に塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を主成分とする熱接着層を乾燥後重量で4g/mコーティングし、比較例1のバーコード印刷用積層体を作製した。
次に、本発明例1と同様に、バーコード印刷用積層体のクリアーコート面上にバーコード部を後印刷した。
これらの試験体について、この後で説明するバーコード検証機により読み取り容易性の評価を行った。試験体および比較例の積層体の層構成は以下のとおり要約される。
(本発明例1〜2):熱接着層/アルミニウム箔/ビーズ入り下地層/バーコード部
(比較例1):熱接着層/アルミニウム箔/白着色層/クリアーコート/バーコード部
【0030】
バーコードの読み取り易さを評価するためのバーコード検証機(バーコードの読み取り性評価装置)には、ムナゾウ株式会社製TruCheck 401-RLを用いた(スキャン回数は10回とした)。本発明例1〜2、比較例1について、上記評価装置によって評価したSC値(シンボルコントラスト(Rmax-Rmin)、単位%)、EDGE(エッジ判定)、Rl/Rd(最大反射率/最小反射率)、MinEC(最小エッジコントラスト、単位%)、MOD(モジュレーション、単位%)、Def(欠陥、単位%)、DCD(デコード)、DEC(デコードの容易性、単位%)、MinQZ(最小クワイエットゾーン)の評価項目を測定した。これらの項目の評価および総合評価の結果を表1に示す。また、表1における総合評価クラス(段階)の評価点範囲(The American National Standards Institute=ANSI規格に準拠)を表2に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
表1によれば、バーコードの下地に白着色層は備えるがビーズを含まない比較例1では、SC値66、総合評価2.7(評価クラスB)であった。これに対し、本発明例1では、白着色層が無いにもかかわらず、ビーズを下地に含むために、SC値109に向上しており、総合評価も3.0(評価クラスB)と高い。さらに、ガラスビーズとメラミンビーズの両方を下地に備える本発明例2では、SC値112に向上し、総合評価4.0(評価クラスA)が得られた。メラミンビーズのみの本発明例1と、メラミンビーズ及びガラスビーズを含む本発明例2と、比較すると、メラミンビーズ及びガラスビーズのほうが良好な結果が得られているが、ビーズの径が変化しており、より詳しい解析が必要である。しかし、メラミンビーズ(本発明例1)、またはメラミンビーズ及びガラスビーズ(本発明例2)において、白着色層を設けなくても、高いバーコード読取精度を得ることができる。さらに、ビーズを下地層に備えることで、白着色層のみを設けた場合よりも、より高い読取精度を得ることができる。
【0034】
次に本発明例2で作製したバーコード部を有する積層体を蓋材として、PTP用容器(薬剤カプセルを収容するためのポケット部を多数成形したポリプロピレン樹脂シート)の蓋材として、該ポケット開口周縁に延在するフランジ面と該積層体の熱接着層面とをCKD株式会社製ヒートシール機を用いて260℃×0.25MPa×300ショット(11.7m/min)のメッシュシールを施し熱接着した。メッシュシール後のPTP包装体のバーコード部を前記同様にバーコード検証機により読み取り容易性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0035】
【表3】

【0036】
表3によれば、高温高圧のヒートシールをした後であっても、SC値113、総合評価4.0(評価クラスA)であり、本発明に基づくバーコードの読み取りやすさが維持されていることがわかる。すなわち、下地層がガラスビーズ及び樹脂ビーズを含有することで、ヒートシール後にも、最高レベルのバーコード読取精度を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の積層体および包装体は、小型化・高密度化されたバーコードを後印刷することができ、市販のバーコードリーダーを用いて精度よく読み取ることができるので、この分野の品質管理等に貢献することが期待され、特に薬の取り違い防止、有効期限の管理、偽造防止等に役立つ。
【符号の説明】
【0038】
1 アルミニウム箔、3 下地層、3a ビーズ、3b 樹脂、5 後印刷バーコード部、7 熱接着層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、
前記基材層の少なくとも一部に接して位置する下地層とを備え、
前記下地層が、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズ、の1種以上を含むことを特徴とする、バーコード印刷用積層体。
【請求項2】
前記基材層が金属薄膜層を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバーコード印刷用積層体。
【請求項3】
前記下地層がさらに着色顔料を1種以上含む、および/または、前記基材層が着色層を含む、ことを特徴とする、請求項1または2に記載のバーコード印刷用積層体。
【請求項4】
前記基材層が熱接着層を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバーコード印刷用積層体。
【請求項5】
前記樹脂ビーズ、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズが、透明または半透明であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバーコード印刷用積層体。
【請求項6】
前記樹脂ビーズ、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズの平均粒子径が0.01μm〜30μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバーコード印刷用積層体。
【請求項7】
前記下地層が、ガラスビーズ、酸化金属ビーズおよび金属ビーズ、の1種と、樹脂ビーズと、を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバーコード印刷用積層体。
【請求項8】
前記下地層上にバーコード印刷層を備えたことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバーコード印刷用積層体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体を備えることを特徴とする、包装体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−5838(P2011−5838A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154392(P2009−154392)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(399054321)東洋アルミニウム株式会社 (179)
【Fターム(参考)】