積層体の製造方法
【課題】複数の基板を積層して積層体を形成する場合において、ウェーハ上にマーカーを設けることなく、各基板同士を正確に位置合せすることが可能な積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】圧力センサー1の製造方法は、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30の接合面における対向する位置に、アライメントマークとして凸部208、102a,102b、306を形成する外形形成工程と、前記アライメントマークにより位置合せを行いながら、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30の接合面を接合剤40で接合する接合工程とを備える。
【解決手段】圧力センサー1の製造方法は、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30の接合面における対向する位置に、アライメントマークとして凸部208、102a,102b、306を形成する外形形成工程と、前記アライメントマークにより位置合せを行いながら、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30の接合面を接合剤40で接合する接合工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法に関し、特に、各基板同士を正確に位置合せして積層した積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子、等の圧電デバイス、圧力センサー、等の物理量検出デバイス、そして、半導体やチップ部品(コンデンサー、サーミスタ、等)等をパッケージに搭載した電子デバイスは、2つ以上の基板を積層した積層構造を有している(例えば、特許文献1、2、9参照)。
【0003】
このような積層構造を形成するために、各基板同士を重ね合わせて接合する必要があるが、接合剤が接合部からはみ出したり、各基板の大きさや形状が異なる場合には各基板の位置合せが正確にできないという問題があった。
【0004】
各基板の接合部から接合剤がはみ出すのを防止する技術として、各基板の接合部に溝を設ける技術や(例えば、特許文献3−5参照)、各基板の接合部に凸部や段部を設ける技術が存在する(例えば、特許文献6−8参照)。
【0005】
また、これら積層型の電子デバイスの製造方法として、前記電子デバイスを構成する各層の基板に相当する個片を多数連結してなる各ウェーハ(マザー基板)を積層した後、積層したウェーハの積層体を個片に分離し、前記電子デバイスを製造するのが一般的である。ここで、各ウェーハを積層する際、予め、各ウェーハの所定の位置にアライメント用のマーカー(認識マーク)を設け、各ウェーハを積層するときに、カメラによる画像処理にて前記マーカーを用いてアライメントし、層間で位置ズレが生じないように各ウェーハを積層している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−327922号公報
【特許文献2】特開2008−241287号公報
【特許文献3】特開昭56−06182号公報
【特許文献4】特開昭53−7172号公報
【特許文献5】特開2008−267896号公報
【特許文献6】特開2009−302996号公報
【特許文献7】特開2001−136047号公報
【特許文献8】特開2001−093998号公報
【特許文献9】特開2010−246001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した技術では、通常、ウェーハの数箇所に前記マーカーを設ける必要があるために、その分、個片のレイアウト面積が減るので、ウェーハ積層体からの個片(電子デバイス)の取り数が減少してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、複数の基板を積層して積層体を形成する場合において、ウェーハ上にマーカーを設けることなく、各基板同士を正確に位置合せすることが可能な積層体の製造方法を提供することを目的とする。
また、複数の基板を重ね合わせて積層体を製造する場合において、接合強度を大きくすることができる積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]少なくとも2つの基板を積層して形成される積層体の製造方法であって、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部又は凹部を形成する外形形成工程と、前記凸部又は凹部により位置合せを行いながら、前記2つの基板の前記接合面を接合する接合工程とを備えたことを特徴とする積層体の製造方法。
本発明によれば、各基板同士を正確に位置合せして積層体を形成することができる。更に、マザーウェーハ積層体から得られる個片の積層体の取り数を増加させることができる。
【0010】
[適用例2]前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凸部を形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、凸部をアライメントマークとして用いることで、各基板同士を正確に位置合せして積層することができる。また、接合面の面積が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。
【0011】
[適用例3]前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凹部を形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、凹部をアライメントマークとして用いることで、各基板同士を正確に位置合せして積層することができる。また、接合面の面積が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。
【0012】
[適用例4]前記外形形成工程において、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部を形成し、他方の基板の接合面の前記凸部に対向する位置に凹部を形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、凹凸の組合せをアライメントマークとして用いることで、各基板同士を正確に位置合せして積層することができる。また、凹凸を嵌め合わせることができるように形成すれば、位置合せが容易である。また、接合面の面積が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。
【0013】
[適用例5]前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部と凹部を複数形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、複数の凸部と凹部をアライメントマークとして用いることで、各基板同士をより正確に位置合せして積層することができる。また、接合面の面積をより大きくすることができるため、接合強度を大きくすることができる。
【0014】
[適用例6]前記外形形成工程において、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部と凹部をそれぞれ少なくとも1つ形成し、他方の基板の接合面における前記一方の基板の前記凸部に対向する位置に凹部を形成し前記一方の基板の前記凹部に対向する位置に凸部を形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、複数の凹凸の組合せをアライメントマークとして用いることで、各基板同士を正確に位置合せして積層することができる。また、凹凸を嵌め合わせることができるように形成すれば、位置合せが容易である。また、接合面の面積が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。
【0015】
[適用例7]前記2つの基板は光透過性を有する基板であり、前記接合工程において、前記2つの基板それぞれに形成されたアライメントマークに光を照射することにより、前記位置合せを行うことを特徴とする適用例1乃至6のうち何れか1項に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、前記2つの基板それぞれに形成されたアライメントマークに光を照射すれば、アライメントマークとしての凹部又は凸部に光が反射して影ができるため、当該影を位置合せに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力センサーの断面図である。
【図2】同実施形態に係る圧力センサーの斜視展開図である。
【図3】同実施形態に係る感圧素子層の平面図である。
【図4】同実施形態に係る圧力センサーの製造方法の工程図である。
【図5】変形例に係る各基板の接合面に形成されるアライメントマークの断面形状を示す模式図である。
【図6】変形例に係る各基板の接合面に形成されるアライメントマークの断面形状を示す模式図である。
【図7】変形例に係る各基板の接合面に形成されるアライメントマークの断面形状を示す模式図である。
【図8】変形例に係る各基板の接合面に形成されるアライメントマークの断面形状を示す模式図である。
【図9】変形例に係る圧力センサーの斜視図である。
【図10】本発明の圧力センサーの振動部として1つの柱状ビームを用いた場合の感圧素子層の平面図である。
【図11】本発明の圧力センサーの振動部としてATカット振動子を用いた場合の、感圧素子層、各マザーウェーハ、及び圧力センサーの斜視図である。
【図12】本発明に係る圧電デバイスの圧電振動基板の振動部が音叉振動子である場合の圧電デバイスの分解斜視図及び圧電振動基板の裏面図である。
【図13】本発明に係る圧電デバイスの圧電振動基板の振動部がATカット水晶振動子である場合の圧電デバイスの分解斜視図及び圧電振動基板の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る積層体を圧力センサーに適用した場合の実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態に係る圧力センサー1の断面図であり、図2は圧力センサー1の分解斜視図である。これらの図に示すように、圧力センサー1は、感圧素子層10と、感圧素子層10の一方の主面側及び他方の主面側それぞれを気密封止するように覆うダイアフラム層20及びベース層30と、の3つの基板を備えている。各層10、20、30は、それぞれ水晶板で形成されており、光透過性を有している。
【0018】
図3は感圧素子層10の平面図である。図2及び図3に示すように、感圧素子層10は、中央に感圧素子としての双音叉素子106と、その周囲を囲む枠型の枠部108とを有している。双音叉素子106は、振動部としての一対の平行な柱状ビーム16a,16bと、両柱状ビーム16a,16bの両端に接続される一対の基部16cとを有している。双音叉素子106は屈曲振動をする振動素子であるとともに、柱状ビーム16a,16bに引張応力又は圧縮応力が印加されると、その共振周波数が変化する周波数変化型の感圧素子であり、所謂、双音叉型の圧電振動子である。
【0019】
枠部108は、各基部16cから柱状ビーム16a,16bと直交する方向に延びる一対の梁部110a,110bを介して双音叉素子106と連結されている。
枠部108の一方の主面と他方の主面それぞれには枠に沿って凸部102a,102bが形成されている。但し、凸部102a,102bは、後述する引出電極(リード電極)116a,116bが設けられている領域と重ならないように形成されている。この凸部102a,102bは、感圧素子層10をダイアフラム層20、ベース層30と重ね合わせて接合するときに、位置合せ用のアライメントマークとして用いられる。
【0020】
双音叉素子106の各柱状ビーム16a,16aには、各々の表裏面と両側面に、図3に示すような励振電極112が設けられ、双音叉素子106の基部16cには当該励振電極112と電気的に接続された第1の入出力電極114a、第2の入出力電極114bが設けられている。前記第1、第2の入出力電極114a,114bには夫々、引出電極116a,116bが接続されており、当該引出電極116a,116bは梁部110a,110bを介して枠部108に各々引き出されている。
【0021】
ダイアフラム層20は、図1、2に示すように、一方の主面側に被測定圧力を受圧する受圧面204を有している。受圧面204は可撓性を有し、外部からの被測定圧力を受圧すると撓み変形する。受圧面204の周縁には枠部206が形成されており、当該枠部206は感圧素子層10の枠部108と対向するように配置されている。
【0022】
ダイアフラム層20の他方の主面側であって受圧面204の裏側となる密閉側の主面には、双音叉素子106の一対の基部16cを固定し、受圧面204の撓み変形により受圧面204で受圧した被測定圧力を力に変換して双音叉素子106に伝達するための一対の支持部210が設けられている。
【0023】
ダイアフラム層20の一対の支持部210と双音叉素子106の一対の基部16c、及びダイアフラム層20における他方の主面側の枠部206と感圧素子層10における一方の主面側の枠部108とは、接合剤40を介して接合される。接合剤40としては、例えば、低融点ガラス、金属材料、接着剤等を用いることができるが、本実施形態では一実施形態として低融点ガラスを用いている。
【0024】
ダイアフラム層20における他方の主面側の枠部206には、当該枠部206に沿って凸部208が形成されている。この凸部208は、ダイアフラム層20を感圧素子層10と重ね合わせて接合するときに、位置合せ用のアライメントマークとして用いられる。
【0025】
ベース層30は、双音叉素子106を収容する内部空間Sを密封するための基板である。ベース層30は、感圧素子層10における他方の主面側を覆うように配置されている。ベース層30の一方の主面側の主面中央には、内部空間Sを形成するための凹部302が形成されている。凹部302を囲んで環状の枠部304が設けられている。当該枠部304は感圧素子層10の枠部108と対向するように配置されている。
【0026】
ベース層30における一方の主面側の枠部304は、感圧素子層10における他方の主面側の枠部108と接合剤40を介して接合される。ベース層30における一方の主面側の枠部304には、当該枠に沿って凸部306が形成されている。この凸部306は、ベース層30を感圧素子層10と重ね合わせて接合するときに、位置合せ用のアライメントマークとして用いられる。
【0027】
ベース層30の中央部には、厚さ方向に貫通する封止孔308が設けられている。この封止孔308は、内部空間Sを真空にするために用いられる。
なお、図示されていないが、ベース層30の外部に露出した面には電極端子が設けられており、この電極端子は図示しない導電パターンを介して双音叉素子106との間で信号の入出力を行う。
【0028】
このように、各層10,20,30の接合面にアライメントマークとしての凸部208,102a,102b,306を設けることにより、各層10,20,30同士の大きさや形状が異なっていたとしても、正確に位置合せして重ね合わせることができ、不良品の発生を防止することができる。また、従来のようにマザーウェーハ上にマーカーを設けて位置合せをする必要がなくなるため、マザーウェーハから得られる各層10,20,30の取り数を増加させることができる。また、接合面の面積を大きくすることができるため、接合強度を大きくすることができる。
【0029】
以上のように構成された圧力センサー1は、内部が気密に封止され、真空状態に保持されており、絶対圧を検出するセンサーとなっている。双音叉素子106は、図示せぬ発振回路と電気的に接続され、当該発振回路から交流電圧(電気信号)を双音叉素子106の励振電極112に供給すると、2つの柱状ビーム16a,16bが互いに近づいたり離れたりする屈曲振動が励振され、固有の共振周波数で振動する。前記発振回路は双音叉素子106の共振周波数を示す電気信号を出力し、図示せぬ演算手段が当該信号で示される共振周波数から圧力値に変換して当該圧力値を検出値として出力する。
【0030】
次に、図4を参照して、上記構成における圧力センサー1の製造方法について説明する。まず、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30形成用の3枚のマザーウェーハ(水晶素板)を用意する。
ダイアフラム層20については、ダイアフラム層20形成用のマザーウェーハ上に、複数のダイアフラム層20の形状を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS101)。具体的には、まず、凸部208を形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの一方の主面に被せてハーフエッチングを行う。次に、凹部202を形成する部分が開口し、且つ、凸部208、枠部206及び支持部210を形成する部分を覆うマスクを、マザーウェーハの一方の主面に被せて、このマスクの開口部分をウエットエッチングする。開口部分が所望の深さまでエッチングされたらエッチングを終了し、マザーウェーハ上のマスクを除去する。そして、支持部210の表面に電極(不図示)をスパッタリングなどで形成する。これにより複数のダイアフラム層20の形状が形成されたマザーウェーハが出来上がる。
【0031】
また、ベース層30については、ベース層30形成用のマザーウェーハ上に複数のベース層30の形状を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS201)。具体的には、まず、凸部306を形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの一方の主面に被せてハーフエッチングを行う。次に、凹部302を形成する部分が開口し、且つ、凸部306及び枠部304を形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの一方の主面に被せて、このマスクの開口部分をエッチングする。エッチングが終了した後、マザーウェーハ上のマスクを除去する。そして、ベース層30の必要な箇所に電極(不図示)をスパッタリングなどで形成する。これにより複数のベース層30の形状を有するマザーウェーハが形成される。
【0032】
また、感圧素子層10については、まず、感圧素子層10形成用のマザーウェーハ上に複数の感圧素子層10の外形を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS301)。具体的には、まず、凸部102aを形成する部分を覆うマスクを前記マザーウェーハの一方の主面に被せ、凸部102bを形成する部分を覆うマスクを前記マザーウェーハの他方の主面に被せて、両面のハーフエッチングを行う。次に、感圧素子層10の双音叉素子106、梁部110a,110b、枠部108、凸部102a、102bを形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの両方の主面上に被せて、このマスクの開口部分を厚さ方向に貫通するまでエッチングする。エッチングが終了した後、マザーウェーハ上のマスクを除去する。これにより、複数の感圧素子層10の形状が形成されたマザーウェーハが出来上がる。
【0033】
次に、感圧素子層10の柱状ビーム16a,16b、基部16c、梁部110a,110b、枠部108上に、励振電極112、第1の入出力電極114a、第2の入出力電極114b、引出電極116a,116bをスパッタリングなどで形成する(ステップS302)。
【0034】
次に、各マザーウェーハの感圧素子層10とダイアフラム層20、及び感圧素子層10とベース層30とを位置合せしながら重ね合わせて、各接合面を接合剤40を介して接合し、3層の積層体を形成する(ステップS303)。
【0035】
具体的には、まず、接合面となる一対の支持部210と枠部206の部分が開口するマスクをダイアフラム層20形成用のマザーウェーハに被せて、一対の支持部210と枠部206の表面に接合剤40を塗布し、仮焼成する。
【0036】
次に、ダイアフラム層20の他方の主面と感圧素子層10の一方の主面とを重ね合わせて、下方から光を照射する。この状態を上方から平面視すると、ダイアフラム層20の凸部208が形成されている部分と、感圧素子層10の凸部102aとが形成されている部分とは、光の反射角が他の部分と異なることにより他の部分よりも明度が暗く、影ができているようにみえる。したがって、当該影が平面視で重畳するように位置合せを行うことにより、凸部208と凸部102aとが平面視して重なり合うようにダイアフラム層20と感圧素子層10とを重ね合わせることできる。
【0037】
この状態では、凸部208と凸部102a、ダイアフラム層20の一対の支持部210と感圧素子層10の一対の基部16cが、接合剤40を介して対向する位置に配置される。
【0038】
次に、加熱により接合剤40を溶融させる。その後、加熱を停止して接合剤40を硬化させることで、感圧素子層10とダイアフラム層20とは接合剤40で接合され、2層構造となる。
【0039】
感圧素子層10とベース層30についても、感圧素子層10における他の主面側の枠部108と、ベース層30における一方の主面側の枠部304とを接合面として、上述した感圧素子層10とダイアフラム層20との接合手順と同様の手順で接合し、3層構造のマザーウェーハ積層体とすることができる。
次に、上記3層構造のマザーウェーハ積層体のダイシングを行い、複数の圧力センサー1に個片化する(ステップS305)。
【0040】
以上説明したように、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30の接合面における対向位置に、アライメントマークとしての凸部208、102a、102b、306を設けたため、マザーウェーハ上にマーカーを設けなくても、各層10、20、30の大きさや形状に関わらず、各層10、20、30同士を正確に位置合せして重ね合わせることができ、製造された圧力センサー1の良品率を向上させることができる。また、マザーウェーハ上にマーカーを設ける必要がないため、マザーウェーハ積層体から得られる圧力センサー1の取り数を増加させることができる。
さらに、接合面に凸部102a、102b、208、306を設けることで、接合剤40の接触面積を大きくすることができ、強度を強くすることができる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、各層10、20、30の接合面における対向する位置それぞれにアライメントマークとして凸部を形成した場合について説明したが、アライメントマークの形状はこれに限定されない。例えば、図5に示すように、2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凹部を形成してもよいし、図6に示すように、2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部を形成し、他方の基板の接合面の前記凸部に対向する位置に凹部を形成してもよい。このとき、同図に示すように、凸部の幅は凹部の幅に合わせることが好ましい。
【0042】
更に、図7に示すように、2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部及び凹部を複数形成してもよいし、図8に示すように、2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部及び凹部をそれぞれ少なくとも1つ形成し、他方の基板の接合面における前記一方の基板の前記凸部に対向する位置に凹部を形成し前記一方の基板の前記凹部に対向する位置に凸部を形成してもよい。
【0043】
また、アライメントマークは、全ての層10、20、30に設けなくてもよく、例えば、ダイアフラム層20とベース層30のみにアライメントマークを設け、感圧素子層10には振動周波数に影響を与えないようにアライメントマークを設けないようにしてもよい。或いは、感圧素子層10に形成した引出電極をアライメントマークとして用いてもよい。
【0044】
また、アライメントマークとしての凸部及び凹部の形状は直方体形状に限らず、断面が階段状であっても、半円状であってもよい。また、アライメントマークとしての役割を果たせばよいため、凸部及び凹部の長さは短くてもよく、所定間隔置きに設けても4隅に設けてもよく、また、平面視して十字形状となるように設けてもよい。
【0045】
このような圧力センサー1は、実装基板に実装して圧電モジュールとすることができる。この場合、ベース層30の凹部302に、双音叉素子106と電気的に接続され、双音叉素子106を駆動するための発振回路を内蔵したIC(Integrated Circuit)等の回路を搭載することができる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、積層体として、気体や液体の圧力を検出する圧力センサーを例にとって説明したが、積層体は圧力センサーに限定されることはない。例えば、指等により直接押圧した場合の前記指の押圧による外力を検出する力センサーであってもよいし、圧電振動子や半導体等の電子素子を密閉して収容するパッケージであってもよい。
【0047】
また、積層体としての圧力センサーは、図9に示すようなものであってもよい。図9に示す圧力センサー1Aが上述した実施形態に係る圧力センサー1と異なる点は、感圧素子層10A及びベース層30Aの長辺がダイアフラム層20Aより長く、張出部32が形成されている点である。そして、感圧素子層10Aの一方の主面側の張出部32は外部に露出しており、当該露出した部分には、引出電極116a,116bから延びる、接続端子としてのパッド電極42a,42bが設けられている。また、張出部32には凸部102aは設けられていない。
【0048】
感圧素子層10Aの2つの長辺の側面と2つの短辺の側面、ダイアフラム層20Aの2つの長辺の側面と1つの短辺の側面、ベース層30Aの2つの長辺の側面と2つの短辺の側面には、それぞれ1つの凸部58が設けられている。これらの凸部58は、感圧素子層10A、ダイアフラム層20A、ベース層30Aを製造する際に、感圧素子層10A用のマザーウェーハに形成された複数の感圧素子層10A同士を連結する各梁部、ダイアフラム層20A用のマザーウェーハに形成された複数のダイアフラム層20A同士を連結する各梁部、ベース層30A用のマザーウェーハに形成された複数のダイアフラム層20A同士を連結する各梁部を、それぞれ切断することにより形成されたものである。これらの凸部58も、感圧素子層10A、ダイアフラム層20A、ベース層30Aを積層する際の位置合わせ用のアライメントマークとして用いることができる。その他の点は、圧力センサー1と同様の構成である。
【0049】
また、上述した実施形態では、圧力センサー1の振動部として一対の柱状ビーム16a,16bを用いたが、例えば、図10に示すように1つの柱状ビームのみを用いてもよいし、図11に示すように、厚みすべり振動をする、ATカット水晶を用いた厚みすべり振動子(いわゆるATカット振動子)を用いてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、接合剤40として低融点ガラスを用いた接合方法を示したが、各基板の接合方法はこれに限定されることはなく、例えば、アルコキシド、オルガノシノキシ基などを含む接合剤を用い、当該接合剤にプラズマや紫外線等のエネルギー線を照射することにより活性化させて接合する方法や、半田付けによる接合、金錫合金等の共晶金属材料を加圧密着し加熱溶融した後に冷却固化する共晶接合方法、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤を用いた接合方法、熱硬化性樹脂による接合方法等を用いてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、各層10、20、30の材料として水晶を用いたが、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、セラミック等、各種の材料を用いることができる。また、各層10、20、30の形状やサイズは上述した実施形態に限定されることはなく、アライメントマークで位置合せができれば、各層は同一サイズでなくてもよいしどのような形状であってもよい。また、上述した実施形態では積層体が3層の場合について説明したが、2層であっても、4層以上であってもよい。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲内で様々な変形又は変更を加えて実施することができる。例えば、本発明は、少なくとも2層以上の構造を有しているものに好適である。また、圧力センサーに限定されることなく、加速度センサー、ジャイロセンサー、等の物理量検出素子、全般に適用できる。更に、温度センサー、圧電振動子等の圧電デバイスに適用することができる。圧電振動基板の振動部としては、音叉振動子(図12参照)、ATカット水晶振動子(図13参照)、水晶のX軸(電気軸)を中心にして所定の角度だけ回転して得られる回転Y板を用いた水晶振動子、その他のカットで切断された水晶振動子、水晶以外の圧電材料を用いた圧電振動子、等を広く適用できる。
【0053】
また、本発明の積層体は、上述した圧電モジュール以外に、例えば携帯電話、ハードディスク、パーソナルコンピューター、BS及びCS放送用の受信チューナー、同軸ケーブルや光ケーブル中を伝搬する高周波信号や光信号用の各種処理装置、広い温度範囲で高周波・高精度クロック(低ジッタ、低位相雑音)を必要とするサーバー・ネットワーク機器、無線通信用機器等の様々な電子機器、加速度センサー、回転速度センサー等の各種センサー装置にも広く適用することができる。
【0054】
このような各種センサー装置及び電子機器としては、例えば一般工業用計測機器、電子血圧計、高度・気圧・水深計測機能付き電子機器、携帯機器、自動車などが挙げられる。
そして、上述のように外力によるダイアフラムの機械的な変形を電気的信号として計測するものとして、携帯電話機やパソコン等の小型の携帯機器での高度計測に前記圧力センサーを応用してマイクロホンとして利用可能である。
【0055】
更に、近年注目をされるようになった水素やメタノール等の燃料電池は、軽量化や利便性等に起因して、例えば、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピューター、携帯用電話機、携帯情報端末機(Personal Digital Assistants:PDA)、オーディオプレーヤ、プロジェクタ載置台、カプセル型医療機器の通信機能を具備した電子機器といった各種情報処理装置の燃料費電池としての用途が考えられる。即ち、水素を燃料として電力を発生させる燃料電池セルと、該燃料電池セルに水素を供給する水素吸蔵合金容器筐体と、該水素吸蔵合金容器筐体と上記燃料電池セルとの間に配設された検出用圧力センサーと、圧力調整弁と安全弁とを備えた燃料電池システムに於いて、本発明に係る積層体としての圧力センサーを使用することができる。
【0056】
更に、事故等のイベント発生時前後の必要な時間のみについて、デジタルタコグラフとドライブレコーダの双方が生成するデータを関連付けて記録し、その後の解析等に有用なデータを提供することが可能な車両用情報記録装置において、前記デジタルタコグラフは、前記車両の走行状況を検出する走行状況検知手段と、前記ドライブレコーダとの間で情報を送受信するデジタルタコグラフ通信手段と、情報を記録するデジタルタコグラフ記録手段と、前記走行状況検知手段から入力した走行状況および前記デジタルタコグラフ通信手段から受信した情報を受けて、前記デジタルタコグラフ記録手段に情報を記録するデジタルタコグラフ制御部と、を有しているが、前記走行状況検知手段として、高精度な圧力検出が可能な本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【0057】
更に、被測定者にかかる負荷を検出する活動量計測システムにおいて、前記負荷を圧力として検出する場合においては、検出器として、本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【0058】
また、外部からの侵入または異常を検知する異常検知センサーと、前記異常検知センサーが異常を検知したときに警報を発する警報手段とを含むセキュリティシステムにおいて、警戒モード設定手段は、警戒モードに応じて、前記異常検知センサーと前記警報手段とによる警戒動作を作動させる場合に、前記異常検知センサーとして、本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【0059】
更に、本発明の電子機器の一例として腕時計型電子機器の本体が存在し、当該本体には、本発明に係る圧電デバイスとしての圧力センサーを搭載することができ、当該圧力センサーはダイナミックレンジやリニアリティなどの特性に優れたものとすることができる。
【0060】
更に、特に自動車においては、例えばインテークマニホールド圧若しくはチャージ圧、ブレーキ圧、エアサスペンション圧、タイヤ圧、ハイドロリック貯蔵圧、ショックアブソーバ圧、冷却媒体圧、自動変速機における変調圧、ブレーキ圧、タンク圧のような圧力検出に本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【0061】
また、自動車のサイドドアの内部の圧力変化により側面衝突を検出する装置においては、衝突時に圧力センサーのダイアフラムが衝撃力を受けた場合に、これを圧力変化として検出する度合いを少なくして、圧力の変化をより高精度に検出するという要求がある。この場合、車両のサイドドアの内部に配設された圧力センサーにより、車両の側面に加わる衝撃を検出する側面衝突検出装置が利用されるが、前記側面衝突検出装置の前記圧力センサーが、圧力を検出するダイアフラムを持ち、そのダイアフラムの受圧面が前記サイドドアの内部の圧力変動により歪むことを検出することによって車両の側面に加わる衝撃を検出する構成を有する場合に、前記圧力センサーに本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【符号の説明】
【0062】
1………圧力センサー、10………感圧素子層、16a、16b………柱状ビーム、16c………基部、20………ダイアフラム層、30………ベース層、40………接合剤、102a、102b………凸部、106………双音叉素子、108………枠部、110a,110b………梁部、112………励振電極、114a………第1の入出力電極、114b………第2の入出力電極、116a,116b………引出電極、202………凹部、204………受圧面、206………枠部、208………凸部、210………支持部、302………凹部、304………枠部、306………凸部、308………封止孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法に関し、特に、各基板同士を正確に位置合せして積層した積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子、等の圧電デバイス、圧力センサー、等の物理量検出デバイス、そして、半導体やチップ部品(コンデンサー、サーミスタ、等)等をパッケージに搭載した電子デバイスは、2つ以上の基板を積層した積層構造を有している(例えば、特許文献1、2、9参照)。
【0003】
このような積層構造を形成するために、各基板同士を重ね合わせて接合する必要があるが、接合剤が接合部からはみ出したり、各基板の大きさや形状が異なる場合には各基板の位置合せが正確にできないという問題があった。
【0004】
各基板の接合部から接合剤がはみ出すのを防止する技術として、各基板の接合部に溝を設ける技術や(例えば、特許文献3−5参照)、各基板の接合部に凸部や段部を設ける技術が存在する(例えば、特許文献6−8参照)。
【0005】
また、これら積層型の電子デバイスの製造方法として、前記電子デバイスを構成する各層の基板に相当する個片を多数連結してなる各ウェーハ(マザー基板)を積層した後、積層したウェーハの積層体を個片に分離し、前記電子デバイスを製造するのが一般的である。ここで、各ウェーハを積層する際、予め、各ウェーハの所定の位置にアライメント用のマーカー(認識マーク)を設け、各ウェーハを積層するときに、カメラによる画像処理にて前記マーカーを用いてアライメントし、層間で位置ズレが生じないように各ウェーハを積層している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−327922号公報
【特許文献2】特開2008−241287号公報
【特許文献3】特開昭56−06182号公報
【特許文献4】特開昭53−7172号公報
【特許文献5】特開2008−267896号公報
【特許文献6】特開2009−302996号公報
【特許文献7】特開2001−136047号公報
【特許文献8】特開2001−093998号公報
【特許文献9】特開2010−246001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した技術では、通常、ウェーハの数箇所に前記マーカーを設ける必要があるために、その分、個片のレイアウト面積が減るので、ウェーハ積層体からの個片(電子デバイス)の取り数が減少してしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、複数の基板を積層して積層体を形成する場合において、ウェーハ上にマーカーを設けることなく、各基板同士を正確に位置合せすることが可能な積層体の製造方法を提供することを目的とする。
また、複数の基板を重ね合わせて積層体を製造する場合において、接合強度を大きくすることができる積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]少なくとも2つの基板を積層して形成される積層体の製造方法であって、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部又は凹部を形成する外形形成工程と、前記凸部又は凹部により位置合せを行いながら、前記2つの基板の前記接合面を接合する接合工程とを備えたことを特徴とする積層体の製造方法。
本発明によれば、各基板同士を正確に位置合せして積層体を形成することができる。更に、マザーウェーハ積層体から得られる個片の積層体の取り数を増加させることができる。
【0010】
[適用例2]前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凸部を形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、凸部をアライメントマークとして用いることで、各基板同士を正確に位置合せして積層することができる。また、接合面の面積が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。
【0011】
[適用例3]前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凹部を形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、凹部をアライメントマークとして用いることで、各基板同士を正確に位置合せして積層することができる。また、接合面の面積が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。
【0012】
[適用例4]前記外形形成工程において、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部を形成し、他方の基板の接合面の前記凸部に対向する位置に凹部を形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、凹凸の組合せをアライメントマークとして用いることで、各基板同士を正確に位置合せして積層することができる。また、凹凸を嵌め合わせることができるように形成すれば、位置合せが容易である。また、接合面の面積が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。
【0013】
[適用例5]前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部と凹部を複数形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、複数の凸部と凹部をアライメントマークとして用いることで、各基板同士をより正確に位置合せして積層することができる。また、接合面の面積をより大きくすることができるため、接合強度を大きくすることができる。
【0014】
[適用例6]前記外形形成工程において、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部と凹部をそれぞれ少なくとも1つ形成し、他方の基板の接合面における前記一方の基板の前記凸部に対向する位置に凹部を形成し前記一方の基板の前記凹部に対向する位置に凸部を形成することを特徴とする適用例1に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、複数の凹凸の組合せをアライメントマークとして用いることで、各基板同士を正確に位置合せして積層することができる。また、凹凸を嵌め合わせることができるように形成すれば、位置合せが容易である。また、接合面の面積が大きくなるため、接合強度を大きくすることができる。
【0015】
[適用例7]前記2つの基板は光透過性を有する基板であり、前記接合工程において、前記2つの基板それぞれに形成されたアライメントマークに光を照射することにより、前記位置合せを行うことを特徴とする適用例1乃至6のうち何れか1項に記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、前記2つの基板それぞれに形成されたアライメントマークに光を照射すれば、アライメントマークとしての凹部又は凸部に光が反射して影ができるため、当該影を位置合せに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力センサーの断面図である。
【図2】同実施形態に係る圧力センサーの斜視展開図である。
【図3】同実施形態に係る感圧素子層の平面図である。
【図4】同実施形態に係る圧力センサーの製造方法の工程図である。
【図5】変形例に係る各基板の接合面に形成されるアライメントマークの断面形状を示す模式図である。
【図6】変形例に係る各基板の接合面に形成されるアライメントマークの断面形状を示す模式図である。
【図7】変形例に係る各基板の接合面に形成されるアライメントマークの断面形状を示す模式図である。
【図8】変形例に係る各基板の接合面に形成されるアライメントマークの断面形状を示す模式図である。
【図9】変形例に係る圧力センサーの斜視図である。
【図10】本発明の圧力センサーの振動部として1つの柱状ビームを用いた場合の感圧素子層の平面図である。
【図11】本発明の圧力センサーの振動部としてATカット振動子を用いた場合の、感圧素子層、各マザーウェーハ、及び圧力センサーの斜視図である。
【図12】本発明に係る圧電デバイスの圧電振動基板の振動部が音叉振動子である場合の圧電デバイスの分解斜視図及び圧電振動基板の裏面図である。
【図13】本発明に係る圧電デバイスの圧電振動基板の振動部がATカット水晶振動子である場合の圧電デバイスの分解斜視図及び圧電振動基板の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る積層体を圧力センサーに適用した場合の実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態に係る圧力センサー1の断面図であり、図2は圧力センサー1の分解斜視図である。これらの図に示すように、圧力センサー1は、感圧素子層10と、感圧素子層10の一方の主面側及び他方の主面側それぞれを気密封止するように覆うダイアフラム層20及びベース層30と、の3つの基板を備えている。各層10、20、30は、それぞれ水晶板で形成されており、光透過性を有している。
【0018】
図3は感圧素子層10の平面図である。図2及び図3に示すように、感圧素子層10は、中央に感圧素子としての双音叉素子106と、その周囲を囲む枠型の枠部108とを有している。双音叉素子106は、振動部としての一対の平行な柱状ビーム16a,16bと、両柱状ビーム16a,16bの両端に接続される一対の基部16cとを有している。双音叉素子106は屈曲振動をする振動素子であるとともに、柱状ビーム16a,16bに引張応力又は圧縮応力が印加されると、その共振周波数が変化する周波数変化型の感圧素子であり、所謂、双音叉型の圧電振動子である。
【0019】
枠部108は、各基部16cから柱状ビーム16a,16bと直交する方向に延びる一対の梁部110a,110bを介して双音叉素子106と連結されている。
枠部108の一方の主面と他方の主面それぞれには枠に沿って凸部102a,102bが形成されている。但し、凸部102a,102bは、後述する引出電極(リード電極)116a,116bが設けられている領域と重ならないように形成されている。この凸部102a,102bは、感圧素子層10をダイアフラム層20、ベース層30と重ね合わせて接合するときに、位置合せ用のアライメントマークとして用いられる。
【0020】
双音叉素子106の各柱状ビーム16a,16aには、各々の表裏面と両側面に、図3に示すような励振電極112が設けられ、双音叉素子106の基部16cには当該励振電極112と電気的に接続された第1の入出力電極114a、第2の入出力電極114bが設けられている。前記第1、第2の入出力電極114a,114bには夫々、引出電極116a,116bが接続されており、当該引出電極116a,116bは梁部110a,110bを介して枠部108に各々引き出されている。
【0021】
ダイアフラム層20は、図1、2に示すように、一方の主面側に被測定圧力を受圧する受圧面204を有している。受圧面204は可撓性を有し、外部からの被測定圧力を受圧すると撓み変形する。受圧面204の周縁には枠部206が形成されており、当該枠部206は感圧素子層10の枠部108と対向するように配置されている。
【0022】
ダイアフラム層20の他方の主面側であって受圧面204の裏側となる密閉側の主面には、双音叉素子106の一対の基部16cを固定し、受圧面204の撓み変形により受圧面204で受圧した被測定圧力を力に変換して双音叉素子106に伝達するための一対の支持部210が設けられている。
【0023】
ダイアフラム層20の一対の支持部210と双音叉素子106の一対の基部16c、及びダイアフラム層20における他方の主面側の枠部206と感圧素子層10における一方の主面側の枠部108とは、接合剤40を介して接合される。接合剤40としては、例えば、低融点ガラス、金属材料、接着剤等を用いることができるが、本実施形態では一実施形態として低融点ガラスを用いている。
【0024】
ダイアフラム層20における他方の主面側の枠部206には、当該枠部206に沿って凸部208が形成されている。この凸部208は、ダイアフラム層20を感圧素子層10と重ね合わせて接合するときに、位置合せ用のアライメントマークとして用いられる。
【0025】
ベース層30は、双音叉素子106を収容する内部空間Sを密封するための基板である。ベース層30は、感圧素子層10における他方の主面側を覆うように配置されている。ベース層30の一方の主面側の主面中央には、内部空間Sを形成するための凹部302が形成されている。凹部302を囲んで環状の枠部304が設けられている。当該枠部304は感圧素子層10の枠部108と対向するように配置されている。
【0026】
ベース層30における一方の主面側の枠部304は、感圧素子層10における他方の主面側の枠部108と接合剤40を介して接合される。ベース層30における一方の主面側の枠部304には、当該枠に沿って凸部306が形成されている。この凸部306は、ベース層30を感圧素子層10と重ね合わせて接合するときに、位置合せ用のアライメントマークとして用いられる。
【0027】
ベース層30の中央部には、厚さ方向に貫通する封止孔308が設けられている。この封止孔308は、内部空間Sを真空にするために用いられる。
なお、図示されていないが、ベース層30の外部に露出した面には電極端子が設けられており、この電極端子は図示しない導電パターンを介して双音叉素子106との間で信号の入出力を行う。
【0028】
このように、各層10,20,30の接合面にアライメントマークとしての凸部208,102a,102b,306を設けることにより、各層10,20,30同士の大きさや形状が異なっていたとしても、正確に位置合せして重ね合わせることができ、不良品の発生を防止することができる。また、従来のようにマザーウェーハ上にマーカーを設けて位置合せをする必要がなくなるため、マザーウェーハから得られる各層10,20,30の取り数を増加させることができる。また、接合面の面積を大きくすることができるため、接合強度を大きくすることができる。
【0029】
以上のように構成された圧力センサー1は、内部が気密に封止され、真空状態に保持されており、絶対圧を検出するセンサーとなっている。双音叉素子106は、図示せぬ発振回路と電気的に接続され、当該発振回路から交流電圧(電気信号)を双音叉素子106の励振電極112に供給すると、2つの柱状ビーム16a,16bが互いに近づいたり離れたりする屈曲振動が励振され、固有の共振周波数で振動する。前記発振回路は双音叉素子106の共振周波数を示す電気信号を出力し、図示せぬ演算手段が当該信号で示される共振周波数から圧力値に変換して当該圧力値を検出値として出力する。
【0030】
次に、図4を参照して、上記構成における圧力センサー1の製造方法について説明する。まず、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30形成用の3枚のマザーウェーハ(水晶素板)を用意する。
ダイアフラム層20については、ダイアフラム層20形成用のマザーウェーハ上に、複数のダイアフラム層20の形状を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS101)。具体的には、まず、凸部208を形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの一方の主面に被せてハーフエッチングを行う。次に、凹部202を形成する部分が開口し、且つ、凸部208、枠部206及び支持部210を形成する部分を覆うマスクを、マザーウェーハの一方の主面に被せて、このマスクの開口部分をウエットエッチングする。開口部分が所望の深さまでエッチングされたらエッチングを終了し、マザーウェーハ上のマスクを除去する。そして、支持部210の表面に電極(不図示)をスパッタリングなどで形成する。これにより複数のダイアフラム層20の形状が形成されたマザーウェーハが出来上がる。
【0031】
また、ベース層30については、ベース層30形成用のマザーウェーハ上に複数のベース層30の形状を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS201)。具体的には、まず、凸部306を形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの一方の主面に被せてハーフエッチングを行う。次に、凹部302を形成する部分が開口し、且つ、凸部306及び枠部304を形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの一方の主面に被せて、このマスクの開口部分をエッチングする。エッチングが終了した後、マザーウェーハ上のマスクを除去する。そして、ベース層30の必要な箇所に電極(不図示)をスパッタリングなどで形成する。これにより複数のベース層30の形状を有するマザーウェーハが形成される。
【0032】
また、感圧素子層10については、まず、感圧素子層10形成用のマザーウェーハ上に複数の感圧素子層10の外形を、フォトリソグラフィー技術を用いたウエットエッチングにより形成する(ステップS301)。具体的には、まず、凸部102aを形成する部分を覆うマスクを前記マザーウェーハの一方の主面に被せ、凸部102bを形成する部分を覆うマスクを前記マザーウェーハの他方の主面に被せて、両面のハーフエッチングを行う。次に、感圧素子層10の双音叉素子106、梁部110a,110b、枠部108、凸部102a、102bを形成する部分を覆うマスクをマザーウェーハの両方の主面上に被せて、このマスクの開口部分を厚さ方向に貫通するまでエッチングする。エッチングが終了した後、マザーウェーハ上のマスクを除去する。これにより、複数の感圧素子層10の形状が形成されたマザーウェーハが出来上がる。
【0033】
次に、感圧素子層10の柱状ビーム16a,16b、基部16c、梁部110a,110b、枠部108上に、励振電極112、第1の入出力電極114a、第2の入出力電極114b、引出電極116a,116bをスパッタリングなどで形成する(ステップS302)。
【0034】
次に、各マザーウェーハの感圧素子層10とダイアフラム層20、及び感圧素子層10とベース層30とを位置合せしながら重ね合わせて、各接合面を接合剤40を介して接合し、3層の積層体を形成する(ステップS303)。
【0035】
具体的には、まず、接合面となる一対の支持部210と枠部206の部分が開口するマスクをダイアフラム層20形成用のマザーウェーハに被せて、一対の支持部210と枠部206の表面に接合剤40を塗布し、仮焼成する。
【0036】
次に、ダイアフラム層20の他方の主面と感圧素子層10の一方の主面とを重ね合わせて、下方から光を照射する。この状態を上方から平面視すると、ダイアフラム層20の凸部208が形成されている部分と、感圧素子層10の凸部102aとが形成されている部分とは、光の反射角が他の部分と異なることにより他の部分よりも明度が暗く、影ができているようにみえる。したがって、当該影が平面視で重畳するように位置合せを行うことにより、凸部208と凸部102aとが平面視して重なり合うようにダイアフラム層20と感圧素子層10とを重ね合わせることできる。
【0037】
この状態では、凸部208と凸部102a、ダイアフラム層20の一対の支持部210と感圧素子層10の一対の基部16cが、接合剤40を介して対向する位置に配置される。
【0038】
次に、加熱により接合剤40を溶融させる。その後、加熱を停止して接合剤40を硬化させることで、感圧素子層10とダイアフラム層20とは接合剤40で接合され、2層構造となる。
【0039】
感圧素子層10とベース層30についても、感圧素子層10における他の主面側の枠部108と、ベース層30における一方の主面側の枠部304とを接合面として、上述した感圧素子層10とダイアフラム層20との接合手順と同様の手順で接合し、3層構造のマザーウェーハ積層体とすることができる。
次に、上記3層構造のマザーウェーハ積層体のダイシングを行い、複数の圧力センサー1に個片化する(ステップS305)。
【0040】
以上説明したように、感圧素子層10、ダイアフラム層20、ベース層30の接合面における対向位置に、アライメントマークとしての凸部208、102a、102b、306を設けたため、マザーウェーハ上にマーカーを設けなくても、各層10、20、30の大きさや形状に関わらず、各層10、20、30同士を正確に位置合せして重ね合わせることができ、製造された圧力センサー1の良品率を向上させることができる。また、マザーウェーハ上にマーカーを設ける必要がないため、マザーウェーハ積層体から得られる圧力センサー1の取り数を増加させることができる。
さらに、接合面に凸部102a、102b、208、306を設けることで、接合剤40の接触面積を大きくすることができ、強度を強くすることができる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、各層10、20、30の接合面における対向する位置それぞれにアライメントマークとして凸部を形成した場合について説明したが、アライメントマークの形状はこれに限定されない。例えば、図5に示すように、2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凹部を形成してもよいし、図6に示すように、2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部を形成し、他方の基板の接合面の前記凸部に対向する位置に凹部を形成してもよい。このとき、同図に示すように、凸部の幅は凹部の幅に合わせることが好ましい。
【0042】
更に、図7に示すように、2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部及び凹部を複数形成してもよいし、図8に示すように、2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部及び凹部をそれぞれ少なくとも1つ形成し、他方の基板の接合面における前記一方の基板の前記凸部に対向する位置に凹部を形成し前記一方の基板の前記凹部に対向する位置に凸部を形成してもよい。
【0043】
また、アライメントマークは、全ての層10、20、30に設けなくてもよく、例えば、ダイアフラム層20とベース層30のみにアライメントマークを設け、感圧素子層10には振動周波数に影響を与えないようにアライメントマークを設けないようにしてもよい。或いは、感圧素子層10に形成した引出電極をアライメントマークとして用いてもよい。
【0044】
また、アライメントマークとしての凸部及び凹部の形状は直方体形状に限らず、断面が階段状であっても、半円状であってもよい。また、アライメントマークとしての役割を果たせばよいため、凸部及び凹部の長さは短くてもよく、所定間隔置きに設けても4隅に設けてもよく、また、平面視して十字形状となるように設けてもよい。
【0045】
このような圧力センサー1は、実装基板に実装して圧電モジュールとすることができる。この場合、ベース層30の凹部302に、双音叉素子106と電気的に接続され、双音叉素子106を駆動するための発振回路を内蔵したIC(Integrated Circuit)等の回路を搭載することができる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、積層体として、気体や液体の圧力を検出する圧力センサーを例にとって説明したが、積層体は圧力センサーに限定されることはない。例えば、指等により直接押圧した場合の前記指の押圧による外力を検出する力センサーであってもよいし、圧電振動子や半導体等の電子素子を密閉して収容するパッケージであってもよい。
【0047】
また、積層体としての圧力センサーは、図9に示すようなものであってもよい。図9に示す圧力センサー1Aが上述した実施形態に係る圧力センサー1と異なる点は、感圧素子層10A及びベース層30Aの長辺がダイアフラム層20Aより長く、張出部32が形成されている点である。そして、感圧素子層10Aの一方の主面側の張出部32は外部に露出しており、当該露出した部分には、引出電極116a,116bから延びる、接続端子としてのパッド電極42a,42bが設けられている。また、張出部32には凸部102aは設けられていない。
【0048】
感圧素子層10Aの2つの長辺の側面と2つの短辺の側面、ダイアフラム層20Aの2つの長辺の側面と1つの短辺の側面、ベース層30Aの2つの長辺の側面と2つの短辺の側面には、それぞれ1つの凸部58が設けられている。これらの凸部58は、感圧素子層10A、ダイアフラム層20A、ベース層30Aを製造する際に、感圧素子層10A用のマザーウェーハに形成された複数の感圧素子層10A同士を連結する各梁部、ダイアフラム層20A用のマザーウェーハに形成された複数のダイアフラム層20A同士を連結する各梁部、ベース層30A用のマザーウェーハに形成された複数のダイアフラム層20A同士を連結する各梁部を、それぞれ切断することにより形成されたものである。これらの凸部58も、感圧素子層10A、ダイアフラム層20A、ベース層30Aを積層する際の位置合わせ用のアライメントマークとして用いることができる。その他の点は、圧力センサー1と同様の構成である。
【0049】
また、上述した実施形態では、圧力センサー1の振動部として一対の柱状ビーム16a,16bを用いたが、例えば、図10に示すように1つの柱状ビームのみを用いてもよいし、図11に示すように、厚みすべり振動をする、ATカット水晶を用いた厚みすべり振動子(いわゆるATカット振動子)を用いてもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、接合剤40として低融点ガラスを用いた接合方法を示したが、各基板の接合方法はこれに限定されることはなく、例えば、アルコキシド、オルガノシノキシ基などを含む接合剤を用い、当該接合剤にプラズマや紫外線等のエネルギー線を照射することにより活性化させて接合する方法や、半田付けによる接合、金錫合金等の共晶金属材料を加圧密着し加熱溶融した後に冷却固化する共晶接合方法、エポキシ系、ポリイミド系等の接着剤を用いた接合方法、熱硬化性樹脂による接合方法等を用いてもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、各層10、20、30の材料として水晶を用いたが、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、セラミック等、各種の材料を用いることができる。また、各層10、20、30の形状やサイズは上述した実施形態に限定されることはなく、アライメントマークで位置合せができれば、各層は同一サイズでなくてもよいしどのような形状であってもよい。また、上述した実施形態では積層体が3層の場合について説明したが、2層であっても、4層以上であってもよい。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲内で様々な変形又は変更を加えて実施することができる。例えば、本発明は、少なくとも2層以上の構造を有しているものに好適である。また、圧力センサーに限定されることなく、加速度センサー、ジャイロセンサー、等の物理量検出素子、全般に適用できる。更に、温度センサー、圧電振動子等の圧電デバイスに適用することができる。圧電振動基板の振動部としては、音叉振動子(図12参照)、ATカット水晶振動子(図13参照)、水晶のX軸(電気軸)を中心にして所定の角度だけ回転して得られる回転Y板を用いた水晶振動子、その他のカットで切断された水晶振動子、水晶以外の圧電材料を用いた圧電振動子、等を広く適用できる。
【0053】
また、本発明の積層体は、上述した圧電モジュール以外に、例えば携帯電話、ハードディスク、パーソナルコンピューター、BS及びCS放送用の受信チューナー、同軸ケーブルや光ケーブル中を伝搬する高周波信号や光信号用の各種処理装置、広い温度範囲で高周波・高精度クロック(低ジッタ、低位相雑音)を必要とするサーバー・ネットワーク機器、無線通信用機器等の様々な電子機器、加速度センサー、回転速度センサー等の各種センサー装置にも広く適用することができる。
【0054】
このような各種センサー装置及び電子機器としては、例えば一般工業用計測機器、電子血圧計、高度・気圧・水深計測機能付き電子機器、携帯機器、自動車などが挙げられる。
そして、上述のように外力によるダイアフラムの機械的な変形を電気的信号として計測するものとして、携帯電話機やパソコン等の小型の携帯機器での高度計測に前記圧力センサーを応用してマイクロホンとして利用可能である。
【0055】
更に、近年注目をされるようになった水素やメタノール等の燃料電池は、軽量化や利便性等に起因して、例えば、ビデオカメラ、ノート型パーソナルコンピューター、携帯用電話機、携帯情報端末機(Personal Digital Assistants:PDA)、オーディオプレーヤ、プロジェクタ載置台、カプセル型医療機器の通信機能を具備した電子機器といった各種情報処理装置の燃料費電池としての用途が考えられる。即ち、水素を燃料として電力を発生させる燃料電池セルと、該燃料電池セルに水素を供給する水素吸蔵合金容器筐体と、該水素吸蔵合金容器筐体と上記燃料電池セルとの間に配設された検出用圧力センサーと、圧力調整弁と安全弁とを備えた燃料電池システムに於いて、本発明に係る積層体としての圧力センサーを使用することができる。
【0056】
更に、事故等のイベント発生時前後の必要な時間のみについて、デジタルタコグラフとドライブレコーダの双方が生成するデータを関連付けて記録し、その後の解析等に有用なデータを提供することが可能な車両用情報記録装置において、前記デジタルタコグラフは、前記車両の走行状況を検出する走行状況検知手段と、前記ドライブレコーダとの間で情報を送受信するデジタルタコグラフ通信手段と、情報を記録するデジタルタコグラフ記録手段と、前記走行状況検知手段から入力した走行状況および前記デジタルタコグラフ通信手段から受信した情報を受けて、前記デジタルタコグラフ記録手段に情報を記録するデジタルタコグラフ制御部と、を有しているが、前記走行状況検知手段として、高精度な圧力検出が可能な本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【0057】
更に、被測定者にかかる負荷を検出する活動量計測システムにおいて、前記負荷を圧力として検出する場合においては、検出器として、本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【0058】
また、外部からの侵入または異常を検知する異常検知センサーと、前記異常検知センサーが異常を検知したときに警報を発する警報手段とを含むセキュリティシステムにおいて、警戒モード設定手段は、警戒モードに応じて、前記異常検知センサーと前記警報手段とによる警戒動作を作動させる場合に、前記異常検知センサーとして、本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【0059】
更に、本発明の電子機器の一例として腕時計型電子機器の本体が存在し、当該本体には、本発明に係る圧電デバイスとしての圧力センサーを搭載することができ、当該圧力センサーはダイナミックレンジやリニアリティなどの特性に優れたものとすることができる。
【0060】
更に、特に自動車においては、例えばインテークマニホールド圧若しくはチャージ圧、ブレーキ圧、エアサスペンション圧、タイヤ圧、ハイドロリック貯蔵圧、ショックアブソーバ圧、冷却媒体圧、自動変速機における変調圧、ブレーキ圧、タンク圧のような圧力検出に本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【0061】
また、自動車のサイドドアの内部の圧力変化により側面衝突を検出する装置においては、衝突時に圧力センサーのダイアフラムが衝撃力を受けた場合に、これを圧力変化として検出する度合いを少なくして、圧力の変化をより高精度に検出するという要求がある。この場合、車両のサイドドアの内部に配設された圧力センサーにより、車両の側面に加わる衝撃を検出する側面衝突検出装置が利用されるが、前記側面衝突検出装置の前記圧力センサーが、圧力を検出するダイアフラムを持ち、そのダイアフラムの受圧面が前記サイドドアの内部の圧力変動により歪むことを検出することによって車両の側面に加わる衝撃を検出する構成を有する場合に、前記圧力センサーに本発明に係る積層体としての圧力センサーを適用できる。
【符号の説明】
【0062】
1………圧力センサー、10………感圧素子層、16a、16b………柱状ビーム、16c………基部、20………ダイアフラム層、30………ベース層、40………接合剤、102a、102b………凸部、106………双音叉素子、108………枠部、110a,110b………梁部、112………励振電極、114a………第1の入出力電極、114b………第2の入出力電極、116a,116b………引出電極、202………凹部、204………受圧面、206………枠部、208………凸部、210………支持部、302………凹部、304………枠部、306………凸部、308………封止孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの基板を積層して形成される積層体の製造方法であって、
前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部又は凹部を形成する外形形成工程と、
前記凸部又は凹部により位置合せを行いながら、前記2つの基板の前記接合面を接合する接合工程と
を備えたことを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項2】
前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凸部を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記外形形成工程において、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部を形成し、他方の基板の接合面の前記凸部に対向する位置に凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部と凹部を複数形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記外形形成工程において、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部と凹部をそれぞれ少なくとも1つ形成し、他方の基板の接合面における前記一方の基板の前記凸部に対向する位置に凹部を形成し前記一方の基板の前記凹部に対向する位置に凸部を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
前記2つの基板は光透過性を有する基板であり、
前記接合工程において、
前記2つの基板それぞれに形成されたアライメントマークに光を照射することにより、前記位置合せを行うことを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の積層体の製造方法。
【請求項1】
少なくとも2つの基板を積層して形成される積層体の製造方法であって、
前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部又は凹部を形成する外形形成工程と、
前記凸部又は凹部により位置合せを行いながら、前記2つの基板の前記接合面を接合する接合工程と
を備えたことを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項2】
前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凸部を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記外形形成工程において、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部を形成し、他方の基板の接合面の前記凸部に対向する位置に凹部を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
前記外形形成工程において、前記2つの基板の接合面における対向する位置それぞれに、凸部と凹部を複数形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
前記外形形成工程において、前記2つの基板のうち一方の基板の接合面に凸部と凹部をそれぞれ少なくとも1つ形成し、他方の基板の接合面における前記一方の基板の前記凸部に対向する位置に凹部を形成し前記一方の基板の前記凹部に対向する位置に凸部を形成することを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
前記2つの基板は光透過性を有する基板であり、
前記接合工程において、
前記2つの基板それぞれに形成されたアライメントマークに光を照射することにより、前記位置合せを行うことを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の積層体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−24786(P2013−24786A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161641(P2011−161641)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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