説明

積層体及びそれを用いた包装体

【課題】剥離面を制御できる積層体及びそれを用いた包装体を提供する。
【解決手段】積層体(10)と、少なくとも一部が積層体(10)に接着している被接着部材(20)を含み、積層体(10)が、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を主成分とする粘着層(14)と、粘着層(14)の両側にある、第一及び第二の層(12),(16)からなり、第一の層(12)がポリエチレンであるとき、第二の層(16)はポリプロピレンであり、第一の層(12)がランダムポリプロピレンであるとき、第二の層(16)はホモポリプロピレン又はブロックポリプロピレンであり、被接着部材(20)は、積層体(10)の第一又は第二の層(12),(16)に接着し、粘着層14の厚みが30μm以下で、被接着部材(20)と接着する層の厚みが20μm以下であり、被接着部材(20)を積層体(10)から剥離すると、粘着層(14)と第二の層(16)の界面が剥離する包装体(100)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及びそれを用いた包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
破断可能なヒートシール層/粘着層/基材層を基本とする構成は古くから知られている。特許文献1には熱成形される多層フィルムと蓋材とのヒートシール形態が提案されている。ヒートシール層/粘着層/基材層の構成を熱成形容器側又は蓋材側のどちらか一方に設けることで、蓋材開封時にヒートシール層が破断して粘着材が露出する包装用フィルムが開示されている。
【0003】
特許文献2には共押出し多層構成が開示されている。形態として、ヒートシール層が破断し、ヒートシール層と粘着層の界面が剥離、粘着層も破断して粘着層内が破断する剥離、さらにヒートシール層も粘着層も破断して粘着層と基材層の界面が剥離する等種々剥離形態が記されている。
これらの文献において、剥離面を制御する方法は詳しく記されていない。
【0004】
特許文献3には、ヒートシール層のみを剥離する方法が開示されている。ヒートシール層と、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体及び粘着付与剤を含む粘着層と基材層からなる積層体において、基材層にエチレン−メタ−アクリル酸系接着樹脂を添加し、基材層と粘着層の接着強度を上げることによりヒートシール層のみを剥離している。
【0005】
しかし、耐熱性、低臭性、経済性等種々の点で優れたポリオレフィン樹脂をスチレン系粘着材料の両側に同時に共押出しするフィルムにおいて、剥離面を確実に制御する方法は無かった。
【特許文献1】特公昭50−37598号公報
【特許文献2】特表平04−502588号公報
【特許文献3】特開2003−175567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、剥離面を制御できる積層体及びそれを用いた包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の積層体及び包装体が提供される。
1.積層体と、少なくとも一部が前記積層体に接着している被接着部材を含み、前記積層体が、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を主成分とする粘着層と、前記粘着層の両側にある、第一及び第二の層からなり、前記第一の層がポリエチレンであるとき、前記第二の層はポリプロピレンであり、前記第一の層がランダムポリプロピレンであるとき、前記第二の層はホモポリプロピレン又はブロックポリプロピレンであり、前記被接着部材は、前記積層体の第一又は第二の層に接着し、前記粘着層の厚みが30μm以下で、前記被接着部材と接着する層の厚みが20μm以下であり、前記被接着部材を前記積層体から剥離すると、前記粘着層と前記第二の層の界面が剥離する包装体。
2.1に記載の包装体に用いる積層体。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、剥離面を制御できる積層体及びそれを用いた包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の積層体は、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を主成分とする粘着層と、粘着層の両側にある、第一及び第二の層からなる。
【0010】
粘着層に用いるスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体は、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体水素添加物も含む。好ましくはスチレンブロックとジエンブロックは、スチレンブロックとイソプレンブロックである。例えば、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−ブタジエンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−エチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体等が挙げられる。好ましくは、臭気が少ないことからゴム質ブロック共重合体水素添加物である。
【0011】
粘着層に用いる粘着付与樹脂としては、例えば、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂、C5・C6系脂肪族石油樹脂、脂環族石油樹脂等が挙げられる。
【0012】
粘着層に用いる可塑剤としては、例えば、流動パラフィン、プロセスオイル(芳香族系又はナフテン系又はパラフィン系石油系単価水素)、合成ワックス等が挙げられる。
【0013】
粘着層は、通常、ゴム質ブロック共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤の配合量が、好ましくは40〜70重量%:20〜50重量%:10〜30重量%であり、より好ましくは40〜60重量%:22〜50重量%:10〜28重量%である。このうち50〜55重量%:24〜30重量%:18〜21重量%は新規である。
配合量が上記範囲から外れる場合、再接着強度が弱くなる恐れがある。
粘着層は、その特性を損なわない範囲において、この他に、タルク、炭酸カルシウム等の無機質フィラー、発泡剤、酸化チタン等の着色剤等を含むことができる。
【0014】
粘着層に用いる粘着材は、好ましくは、下記粒子(A),(B)を混合して含む。
(A)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)からなる粒子
(B)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)からなる粒子
【0015】
粘着材は、上記粒子(A),(B)に加え、さらに下記粒子(C)を混合すると、ゴム質ブロック共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤の配合比率を調整することができ、粘着材料の要求に応じた物性変更ができる点で好ましい。
(C)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1c)
【0016】
ゴム質ブロック共重合体(1c)として、上記ゴム質ブロック共重合体(1a),(1b)と同じ共重合体を使用できる。また、ゴム質ブロック共重合体(1c)は、ゴム質ブロック共重合体(1a),(1b)と同じでも異なってもよい。ゴム質ブロック共重合体(1c)は、同じでも異なっていてもよいが、異なっていたほうが物性の調整がし易く好ましい。
尚、ゴム質ブロック共重合体(1a),(1b),(1c)はその特性を損なわない範囲において、予め、酸化防止剤及び滑剤等を加えて造粒してもよい。
【0017】
前記ゴム質ブロック共重合体が異なるとは、JIS K−6253の硬度によって区別できることである。ゴム質ブロック共重合体(1a),(1b)は、JIS K−6253の硬度が36以上のものが好ましい。ゴム質ブロック共重合体(1c)は36以下のものが好ましい。このように、異なるゴム質ブロック共重合体を混合することで、前記効果を奏することはもちろん、再粘着強度を向上させることができる。
【0018】
このような粘着材は、例えば、以下の製造方法により作製できる。
スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)を溶融混合して粒子(A)を製造する。一方、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)を溶融混合して粒子(B)を製造する。その後、粒子(A)と粒子(B)をドライブレンドする。
【0019】
粒子(A)は、ゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)を二軸押出し機又はバンバリーミキサー等で造粒して得られる。
【0020】
粒子(B)は、ゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)を二軸押出し機又はバンバリーミキサー等で造粒して得られる。
【0021】
好ましくは、さらにスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体粒子(C)を、粒子(A)、粒子(B)と共にドライブレンドする。
【0022】
粘着材料は、上記のような粒子(A),(B)又は(A),(B),(C)を混合しているので、押出し機のホッパー等に付着しにくく、単軸押出し機で溶融混練できる。粘着材料は、押出し成形して粘着層とすることができる。
尚、押出し機は、単軸押出し機のほか、二軸押出し機、混練機等を用いることもできる。
【0023】
本発明の粘着層の厚みは、30μm以下であり、好ましくは10μm以上20μm以下である。厚みが30μmを超える場合、使用する粘着樹脂が増え不経済であり、初期剥離強度が高くなる恐れがある。
【0024】
本発明の第一の層及び第二の層は、第一の層がポリエチレンであるとき、第二の層はポリプロピレンであり、第一の層がランダムポリプロピレンであるとき、第二の層はホモポリプロピレン又はブロックポリプロピレンである。
【0025】
ポリエチレンは、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等が挙げられる。
尚、ポリエチレンはその目的に応じて適宜使い分けることができる。例えば、透明性が要求される場合及び防曇剤を混練する場合は、LDPE、L−LDPEを用いることができ、耐熱性が要求される場合は、HDPEを用いることができる。
【0026】
ポリプロピレンには、プロピレンのホモポリマーとコポリマーが含まれ、例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレン(BPP)等が挙げられる。
尚、上記ポリプロピレンには、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレンやエチレン−プロピレン共重合体エラストマーを添加してもよい。
【0027】
本発明の被接着部材に接着する第一の層又は第二の層の厚みは、20μm以下であり、好ましくは、5μm〜20μmである。厚みが20μmを超える場合、初期剥離強度が高くなる恐れがある。
【0028】
被接着部材に接着していない第一の層又は第二の層の厚みは、特に制限は無いが、通常、10μm〜2000μmである。
【0029】
第一の層、粘着層及び第二の層からなる積層体は、例えば、多層共押出し法、熱ラミネーション法等により製造できる。例えば、フィードブロック法、マルチマニホールド法等のTダイ法及びチューブラーインフレーション法等のインフレーション法等の共押出しにより形成される。
第一の層/粘着層/第二の層を共押出ししてもよいし、第一又は第二の層/粘着層を共押出ししてもよい。
第一又は第二の層/粘着層を共押出ししたものを、第一又は第二の層に熱ラミネーションして積層体を得、これから本発明の包装体が得られる。
【0030】
本発明の積層体は、粘着層が露出していないので、巻き取られた状態でも積層体同士が接着しないで取り扱い易い。
【0031】
積層体は、他の積層体及びシートとドライラミネーション、熱ラミネーションその他の積層手段でさらに積層して用いてもよい。
【0032】
包装体は積層体と被接着部材から構成されてもよい。例えば、積層体から容器本体を形成し、被接着部材から蓋材を形成して、接着する。また、包装体の一部に、積層体と被接着部材を含んでもよい。例えば、包装体の開閉部位に積層体と被接着部材を対向させてシールすることができる。積層体をテープとして、他の部材に、接着剤又はヒートシール層を介して、貼り付けることもできる。
【0033】
被接着部材は、少なくとも一部が積層体に接着している。接着している場所は第一の層又は第二の層のどちらでもよい。
【0034】
被接着部材は、好ましくはフィルムである。フィルムとしては、PET/ポリアミド(Ny)/EVOH/キャスティング法ポリプロピレンフィルム(CPP)、PET/アルミ箔(AL)/CPP、PET/Ny/EVOH/直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、透明蒸着PET/L−LDPE、及びNy/EVOH/L−LDPE等熱接着可能なフィルム全てを含む。
被接着部材と第一又は第二の層の接着力を、粘着層と第二の層の接着力より強くするため、被接着部材を構成する樹脂は第一又は第二の層と同種のものが好ましい。
フィルムの厚みは、通常、40μm〜100μmであるがこれに限定されない。
例えば、熱成形されている容器の場合は、カップシール機、製袋品の場合は、製袋シール機、インパルスシール機の方法等によりヒートシールして接着できる。
【0035】
本発明の積層体は剥離面を制御することができる。
ポリオレフィン層A/粘着層C/ポリオレフィン層Bからなる積層体において、層Cと層Bの界面で剥離させる場合、層Aをポリエチレン(PE),B層をポリプロピレン(PP)とするか、層AをランダムPP(RPP),層BをホモPP(HPP)又はブロックPP(BPP)とする。
層Cと層Aの界面で剥離させる場合、層AをPP,層BをPEとするか、層AをHPP又はBPP,層BをRPPとする。
【0036】
例えば、積層体を容器として、被接着部材を蓋として使用する場合、シール後の粘着層が露出する面を容器側にするか、蓋側にするかを要求に応じて制御できる。
図1(a)は、露出する面を蓋側にする場合を示す図である。
積層体10は、第一の層12、粘着層14及び第二の層16がこの順に積層されている。
被接着部材20は、積層体10の第一の層12に熱溶着されている。即ち、接着部30により、被接着部材20と積層体10が接着している。
【0037】
図1(a)は、被接着部材20を引いて積層体10から剥離した状態を示している。この図に示すように、接着部30のエッジ32近傍の第一の層12及び粘着層14は、被接着部材20に接着したまま積層体10から破断され、破断部40が形成さている。破断部40において、積層体10には第二の層16が残っている。この被接着部材20に接着した第一の層12及び粘着層14を、破断部40に露出する第二の層16に入れることにより、被接着部材20は積層体10を再び閉じることができる。
【0038】
図1(b)は、露出する面を容器側にする場合を示す図である。
尚、図1(b)において図1(a)と同一の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
この図では、積層体10の第二の層16に、被接着部材20が接着している。
被接着部材20を積層体10から剥離すると、第二の層16が、被接着部材20に接着したまま積層体10から破断される。この被接着部材20に接着した第二の層16を、破断部40に露出する粘着層14に入れることにより、被接着部材20は積層体10を再び閉じることができる。
【0039】
図2(a)は、本発明の包装体の一実施形態である容器を示す。
この容器100は、図1(a)に示す積層体10からなる容器本体120と、被接着部材20からなる蓋材140から構成される。
蓋材140は、容器本体120のフランジ122において熱溶着されている。即ち、接着部30により、蓋材140が、容器本体120を構成する積層体10の第一の層12に接着している。
容器100を開封するときは、蓋材140を引いて、容器本体120から剥離する。図2(a)はこのときの状態を示している。この図に示すように、接着部30の第一の層12及び粘着層14は、蓋材140に接着したまま、容器本体120のフランジ122から破断される。フランジ122の破断部40には第二の層16が露出する。
この蓋材140に接着した第一の層12及び粘着層14を、フランジ122の破断部40に露出する第二の層16に接着させることにより、容器100を再度閉じることができる。
【0040】
図2(b)は、本発明の包装体の他の実施形態である容器を示す。
この容器100は、図1(b)に示す積層体10と被接着部材20から容器本体120と蓋材140を形成した他は、図2(a)と同じである。蓋材140を容器本体120から剥離すると、第二の層16だけが、蓋材140に接着したまま、容器本体120のフランジ122から破断され、フランジ122の破断部40には粘着層14が露出する。
【0041】
このように本発明の包装体は、粘着層との剥離面を制御できるため、粘着層の露出面を任意に選択できるようになる。
【実施例】
【0042】
[評価]
実施例及び比較例では、ポリオレフィン層A/粘着層C/ポリオレフィン層Bからなる積層体を作製し、評価を下記の方法で行った。
得られた積層体のポリオレフィン層A側にラミネートフィルム(PET12/Ny15/PP)を190℃、2Mpaの面圧で、PET面からヒートシール歯を押し当てて面積50mm×50mmのヒートシールを行い接着し、シールされた板状サンプルを作製した。このヒートシールサンプルは各積層体につき1枚ずつ作製し、15mm幅でスリットしてから90℃の角度でプッシュプルスケール((株)イマダ製MX−500N)により引っ張り剥がした時の強度を測定すると共に層A、層Bどちら側の面で剥離したか等の概観を観察した。
初期剥離強度は、2N/15mm未満の場合を良、2N/15mm以上の値がある場合を不良とした。
【0043】
[粘着層に用いる樹脂の作製]
実施例及び比較例の粘着層Cに用いる樹脂は、以下のように作製した。
(1)スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(スチレン系エラストマーと以下略称する)と粘着付与樹脂との混練造粒(粒子(A1))
ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、クインタック3520)(MFR=7g/10分(200℃、荷重5kg)、比重0.93)25重量%に対し、C5−芳香族系共重合水素添加樹脂粒子(出光興産(株)製、アイマーブP−125)(軟化点125℃、密度1.03g/cm(20℃))75重量%を混合したもの100重量部に、酸化防止剤(チバスペシャリティケミカル(株)製、イルガノックス1010)を1重量部加えて攪拌混合した。この後、二軸押出し機にて180℃の温度で溶融混合して、水冷ストランド押出しし、さらにこれをカッティングし造粒した。
【0044】
(2)スチレン系エラストマーと可塑剤との混練造粒(粒子(B1))
ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、クインタック3520)(MFR=7g/10分(200℃、荷重5kg)、比重0.93)40重量%に対し、プロセスオイル(出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−90)(密度0.8722g/cm(15℃))60重量%加えて攪拌混合した後、二軸押出し機にて180℃の温度で溶融混合して、水冷ストランド押出しし、さらにこれをカッティングし造粒した。
造粒品は梱包保管中粒子同士のブロッキングを防ぐため造粒品100重量部に対しタルク粉を0.5重量部外添した。
【0045】
(3)粒子(A1),(B1),(C1)の混合
上記粒子(A1)と粒子(B1)に、スチレン系ゴム質ブロック共重合体粒子(日本ゼオン(株)製、クインタックSL−125)(MFR=17g/10分(200℃、荷重5kg)、比重0.93)(C1)を加えて混合して粘着材料を製造した。スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂及び可塑剤の配合比率は50.8重量%:30.0重量%:19.2重量%であった。
【0046】
[層A及び層Bの成分]
実施例及び比較例で、ポリオレフィン層A及びポリオレフィン層Bに用いる樹脂として以下のものを使用した。
110Y(HDPE)
((株)プライムポリマー製、密度0.962g/cm、MFR=12g/10分(荷重2.16kg))
ペトロセン205(LDPE)
(東ソー(株)製、密度0.924g/cm、MFR=3.0g/10分)
0628G(L−LDPE)
((株)プライムポリマー製、密度0.916g/cm、MFR=6.0g/10分(荷重2.16kg))
F−704NP(HPP)
((株)プライムポリマー製、密度0.9g/cm、MFR=7.0g/10分)
F−744NP(RPP)
((株)プライムポリマー製、密度0.9g/cm、MFR=6.4g/10分)
J−754HP(BPP)
((株)プライムポリマー製、密度0.9g/cm、MFR=14.0g/10分)
J−3051HP(BPP)
((株)プライムポリマー製、密度0.9g/cm、MFR=40.0g/10分)
F−329D(RPP)
((株)プライムポリマー製、密度0.91g/cm、MFR=9.0g/10分)
【0047】
[積層体の作製]
ポリオレフィン層Aに用いる樹脂、上記粘着層Cに用いる粘着材料、ポリオレフィン層Bに用いる樹脂を、30mmφ、30mmφ、40mmφのシングルスクリュが装備された各押出し機で押出し、フィードブロック法で積層体を製造した。尚、粘着樹脂の押出し機は、スクリューに混練のためのダルメージが付いており、バレルの中間部からオイルを途中注入できる構造のものを使用した。
積層体の厚みは、ポリオレフィン層A10μm/粘着層C20μm/ポリオレフィン層B50μmとした。
【0048】
実施例1−22
ポリオレフィン層A及びポリオレフィン層Bに用いる樹脂を表1に従って選び、層A、層Bどちら側の面で剥離したか観察すると共に評価した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
比較例1−7
ポリオレフィン層A及びポリオレフィン層Bに用いる樹脂を表2に従って選んだほかは、実施例1−22と同様にした。結果を表2に示す。尚、比較例1−7では、特定の層間で剥離しないで、剥離面は不規則であった。
【0051】
【表2】

【0052】
比較例8−19
ポリオレフィン層Aの厚みを25μm、粘着層Cの厚みを35μmとし、ポリオレフィン層A及びポリオレフィン層Bに用いる樹脂を表3に従って選んだほかは、実施例1−22と同様にした。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】

【0054】
ポリオレフィン層A及び粘着層Cを表4に従って設定し、ポリオレフィン層A及びポリオレフィン層Bに用いる樹脂を表4に従って選んだほかは、実施例1−22と同様にした。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の包装体は、食品用、薬品用、雑貨用及び薬品用等の包装として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a),(b)は本発明の積層体と被接着部材の関係を示す図である。
【図2】(a),(b)は本発明の包装体の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 積層体
12 第一の層
14 粘着層
16 第二の層
20 被接着部材
30 接着部
40 破断部
100 容器(包装体)
120 容器本体(積層体)
140 蓋材(被接着部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体と、少なくとも一部が前記積層体に接着している被接着部材を含み、
前記積層体が、
スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤を主成分とする粘着層と、
前記粘着層の両側にある、第一及び第二の層からなり、
前記第一の層がポリエチレンであるとき、前記第二の層はポリプロピレンであり、
前記第一の層がランダムポリプロピレンであるとき、前記第二の層はホモポリプロピレン又はブロックポリプロピレンであり、
前記被接着部材は、前記積層体の第一又は第二の層に接着し、
前記粘着層の厚みが30μm以下で、前記被接着部材と接着する層の厚みが20μm以下であり、
前記被接着部材を前記積層体から剥離すると、前記粘着層と前記第二の層の界面が剥離する包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体に用いる積層体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−301981(P2007−301981A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100408(P2007−100408)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】