説明

積層体

【課題】太陽光の反射性能に優れ、太陽電池用バックシートに用いた場合、高い変換効率が得られ、赤外線の反射性能に優れ、蓄熱が少ない積層体を提供する。
【解決手段】体積平均粒子径0.01μm〜0.35μm、粒子径0.5μm以上の粒子の含有率10質量%未満の酸化チタン粒子を熱可塑性樹脂100質量部あたり0.1〜40質量部含有する層(A)と、体積平均粒子径0.5μm〜2μm、粒子径0.35μm以下の粒子の含有率10質量%未満の酸化チタン粒子を熱可塑性樹脂100質量部あたり0.1〜40質量部含有する層(B)とを有する積層体。酸化チタンはルチル型が好ましい。層(A)及び/又は層(B)の熱可塑性樹脂は、芳香族ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を含有するのが好ましい。層(A)と層(B)は、直接又は他の層(C)を介して積層されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光の反射性能に優れた積層体であって、太陽電池用バックシートの他、低蓄熱性材料、赤外線反射性材料などとして好適な積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の原因となる石油に代わるエネルギー供給手段として、太陽電池が注目を浴びており、その需要が高まっている。太陽電池の需要増に伴い、太陽電池用バックシートなどの部品の安定供給及び低コスト化が求められており、また、太陽電池の変換効率を向上させるための要求も高まっている。
太陽電池用バックシートは、ガラス板の下にシリコンセルをエチレン酢酸ビニル樹脂などの封止樹脂で封止した後、この封止樹脂面に積層される。
【0003】
従来、太陽電池用バックシートとしては、太陽光の反射率を高めて太陽電池の変換効率を高めるために、ポリエステルシートの両面に白色の熱可塑性樹脂シートを積層したものが用いられている。(特許文献1、2)。
【0004】
しかしながら、太陽電池の変換効率は更なる向上が求められており、これに伴い、太陽電池用バックシートは太陽光の反射率をさらに向上させることが求められている。また、太陽電池バックシート以外の用途でも、光の反射性能が高く、蓄熱の少ない材料が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−270025号公報
【特許文献2】特開2007−177136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、太陽光の反射性能に優れ、太陽電池用バックシートに用いた場合、高い変換効率を得ることができ、その他の用途に使用した場合でも、赤外線の反射性能に優れ、蓄熱が少ない積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、平均粒子径の大きな酸化チタン粒子を含有する熱可塑性樹脂層と、平均粒子径の小さな酸化チタン粒子を含有する熱可塑性樹脂層とを備えた積層体を用いることにより、何れか一方の層を用いた場合よりも、太陽光の反射性能が向上し、太陽電池用バックシートに用いた場合には太陽電池の変換効率を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、体積平均粒子径が0.01μm以上0.35μm以下であり、粒子径0.5μm以上の粒子の含有率が全粒子の10質量%未満の酸化チタン粒子を熱可塑性樹脂100質量部あたり0.1〜40質量部含有する熱可塑性樹脂組成物からなる層(A)と、体積平均粒子径が0.5μm以上2μm以下であり、粒子径0.35μm以下の粒子の含有率が全粒子の10質量%未満の酸化チタン粒子を熱可塑性樹脂100質量部あたり0.1〜40質量部含有する熱可塑性樹脂組成物からなる層(B)とを有する積層体を提供する。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、上記本発明の積層体を含んでなる太陽電池用バックシート及び太陽電池モジュールが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平均粒子径の大きな酸化チタン粒子を含有する熱可塑性樹脂層と、平均粒子径の小さな酸化チタン粒子を含有する熱可塑性樹脂層と備えた積層体を太陽電池バックシートとして用いることにより、何れか一方の層を用いた場合よりも、太陽電池の変換効率を高めることができる。これは、本発明の積層体が、太陽光の反射性能、特に赤外領域の太陽光の反射性能に優れているためと考えられる。したがって、本発明の積層体は、太陽電池用バックシートとして有用であり、また、赤外線反射性材料、低蓄熱材料などとしても広く使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。尚、本明細書において、「(共)重合」とは、単独重合および共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
【0011】
本発明の積層体は、上記層(A)及び上記層(B)の2層を少なくとも備えていればよく、上記層(A)に上記層(B)を直接積層した積層体であっても、上記層(A)に他の光透過性の樹脂層(C)を介して上記層(B)を積層した積層体であってもよい。また、上記層(B)を内層とし、その両側に上記層(A)を直接または上記層(C)を介して積層した積層体であってもよい。また、上記層(A)を内層とし、その両側に上記層(B)を直接または上記層(C)を介して積層した積層体であってもよい。また、本発明の積層体は、上記層(A)、上記層(B)及び上記層(C)をそれぞれ複数備えていてもよい。
【0012】
本発明の積層体の代表的な層構成としては、層(A)/層(B)の2層品、層(A)/層(C)/層(B)の3層品、層(A)/層(B)/層(A)の3層品、層(B)/層(A)/層(B)の3層品、層(A)/層(C)/層(B)/層(C)/層(A)の5層品、層(B)/層(C)/層(A)/層(C)/層(B)の5層品、及びこれらの組み合わせである多層品などが挙げられる。また、上記層(A)、上記層(B)及び上記層(C)は、それぞれ1層又は複数の層から形成されていてもよく、具体例としては、層(A)/層(A)/層(B)の3層品などが挙げられる。本発明の積層体は、共押出、熱圧着などの方法で各層を直接接合して製造してもよく、また、各層を接着剤で接着して製造してもよい。
【0013】
本発明の積層体は、体積平均粒子径の小さな酸化チタン粒子を含有する上記層(A)を受光側に配置しても、体積平均粒子径の大きな酸化チタン粒子を含有する上記層(B)を受光側に配置しても、良好な太陽光反射性能を発揮する。
【0014】
上記層(A)及び上記層(B)に含有される酸化チタン粒子は白色顔料であるので、本発明の積層体は白色の外観を有する。したがって、たとえば太陽電池用バックシートを構成する従来の白色シートの代替として使用することができる。また、本発明の積層体は、そのまま太陽電池用バックシートとして使用することもできる。また、本発明の積層体を耐熱樹脂層や赤外線透過性の着色樹脂層などと積層して、高機能の太陽電池用バックシートを製造することもできる。
【0015】
本発明において、上記層(A)、上記層(B)及び上記層(C)を構成する樹脂は、同じ樹脂であっても互いに異なる樹脂であってもよい。樹脂としては、共押出、熱圧着などの方法で容易に積層体を製造できる点から、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0016】
熱可塑性樹脂としては、芳香族ビニル系樹脂(例えば、スチレン系樹脂、ゴム強化スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、芳香族ビニル化合物の(共)重合体などの芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合してなる(共)重合体からなる樹脂)、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂など)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物の(共)重合体など)、フッ素系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。好ましい熱可塑性樹脂としては、芳香族ビニル系樹脂(I)、ポリエステル系樹脂(II)及びポリオレフィン系樹脂(III)が挙げられる。
【0017】
熱可塑性樹脂は、非晶質である場合、可撓性と耐熱性のバランスから、ガラス転移温度が90〜220℃であるものが好ましく、100〜200℃がより好ましく、120〜180℃がさらにより好ましい。
なお、熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度を複数有する場合は、高い方の温度を、熱可塑性樹脂のガラス転移温度とする。例えば、熱可塑性樹脂が、樹脂成分とゴム成分とを含有する樹脂である場合は、熱可塑性樹脂は、樹脂成分のガラス転移温度とゴム成分のガラス転移温度を有するが、通常、樹脂成分のガラス転移温度の方が高いので、樹脂成分のガラス転移温度を熱可塑性樹脂のガラス転移温度とする。
【0018】
本発明の積層体は、それを構成する層の一つを耐熱性の層として構成することで、耐熱性を向上させることができる。例えば、本発明の積層体が層(A)/層(C)/層(B)の3層品である場合、層(C)を構成する熱可塑性樹脂として、他の層を構成する熱可塑性樹脂よりもガラス転移温度の高いものを使用することで、耐熱性を向上させることができる。同様に、本発明の積層体が、層(A)/層(B)/層(A)の3層品または層(A)/層(C)/層(B)/層(C)/層(A)の5層品である場合、層(B)を構成する熱可塑性樹脂として、他の層を構成する熱可塑性樹脂よりもガラス転移温度の高いものを使用することで、耐熱性を向上させることができる。同様に、本発明の積層体が層(B)/層(A)/層(B)の3層品または層(B)/層(C)/層(A)/層(C)/層(B)の5層品である場合、層(A)を構成する熱可塑性樹脂として、他の層を構成する熱可塑性樹脂よりもガラス転移温度の高いものを使用することで、耐熱性を向上させることができる。例えば、耐熱性の層はガラス転移温度120℃以上(好ましくは120〜220℃)の熱可塑性樹脂から構成し、それよりも低いガラス転移温度の熱可塑性樹脂でその他の層を構成することができる。
また、本発明の積層体が、高い耐熱性と可撓性を備える必要がある場合は、耐熱性の層の両側にガラス転移温度の比較的低い熱可塑性樹脂を積層することが好ましい。
中でも、層(A)/層(B)/層(A)の3層品の場合、例えば、層(B)をガラス転移温度が150℃以上の特に耐熱性に優れる熱可塑性樹脂から構成し、層(A)をそれよりも低いガラス転移温度(例えば120〜140℃)の熱可塑性樹脂から構成すると、高い耐熱性と可撓性を兼ね備えた積層体を得ることができる。
【0019】
本発明で熱可塑性樹脂として使用される芳香族ビニル系樹脂(I)としては、例えば、ゴム質重合体(a)の存在下に芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)を重合させてなるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)、芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)の(共)重合体(I-2)、及び、該ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)と該(共)重合体(I-2)との混合物が挙げられる。
【0020】
(共)重合体(I-2)は、ゴム質重合体(a)の非存在下に、芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)を重合して得られるものである。ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)には、通常、芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)がゴム質重合体(a)にグラフト共重合した共重合体とゴム質重合体にグラフトしていない未グラフト成分〔上記(共)重合体(I-2)と同じ種類のもの〕が含まれる。さらに、芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)がグラフト重合しなかったゴム質重合体(a)が含まれることもある。好ましい熱可塑性樹脂としては、上記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)及び所望により上記(共)重合体(I-2)を含有する芳香族ビニル系樹脂(I)が挙げられる。
【0021】
本発明における芳香族ビニル系樹脂(I)は、耐衝撃性、可撓性の面から、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)を少なくとも1種含むものが好ましく、所望により前記(共)重合体(I-2)を含有してもよい。ゴム質重合体(a)の含有量は、芳香族ビニル系樹脂(I)を100質量部として、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは8〜30質量部、さらに好ましくは10〜20質量部、特に好ましくは12〜18質量部である。ゴム質重合体(a)の含有量が40質量部を超えると、耐熱性が十分でなく、また、フィルム加工が困難となる場合がある。一方、ゴム質重合体(a)の含有量が5質量部未満となると、耐衝撃性、可撓性が十分でなくなる場合がある。
【0022】
また、芳香族ビニル系樹脂(I)の耐熱性は、単量体(b)として芳香族ビニル化合物に加えてマレイミド系化合物を使用することにより向上させることができる。該芳香族ビニル系樹脂(I)100質量%に対する、該マレイミド系化合物単位の含有量は、通常、0〜30質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜27質量%であることがさらにより好ましく、10〜27質量%であることが一層さらにより好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。マレイミド系化合物単位の含有量が1重量%未満の場合は耐熱性が不十分になる可能性があり、30質量%を超えると、フィルムとしての可撓性が不十分になる可能性がある。また、マレイミド系化合物単位は、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)に由来するものであっても、前記(共)重合体(I-2)に由来するものであってもよい。芳香族ビニル系樹脂(I)のガラス転移温度は、後述のように、マレイミド系化合物単位の含有量によって調整することが可能であり、マレイミド系化合物単位を含有する(共)重合体(I-2)は、所望のガラス転移温度を備えた芳香族ビニル系樹脂(I)を調製するために好都合である。なお、芳香族ビニル系樹脂(I)のガラス転移温度は、可塑剤、無機フィラー等の添加剤や充填剤を配合することにより、調整することもできる。
【0023】
上記ゴム質重合体(a)は、特に限定されないが、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、ブタジエン・スチレンブロック共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体などの共役ジエン系ゴム及びその水素添加物(即ち、水添共役ジエン系ゴム)、エチレン−α−オレフィン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、シリコーン・アクリル複合ゴムなどの非ジエン系ゴムが挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、耐候性の観点からエチレン−α−オレフィン系ゴム(a−1)、水添共役ジエン系ゴム(a−2)、アクリル系ゴム(a−3)、シリコーン系ゴム(a−4)及びシリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)が好ましく、この中でも、アクリル系ゴム(a−3)、シリコーン系ゴム(a−4)及びシリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)がより好ましく、シリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)が可撓性の観点から特に好ましい。尚、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
前記エチレン−α−オレフィン系ゴム(a−1)としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体が挙げられる。該エチレン−α−オレフィン系ゴム(a−1)を構成するα−オレフィンとしては、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。α−オレフィンの炭素数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、さらに好ましくは3〜8である。炭素数が20を超えると、共重合性が低下し、成形品の表面外観が十分でなくなる可能性がある。代表的なエチレン−α−オレフィン系ゴム(a−1)としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ブテン・非共役ジエン共重合体などが挙げられる。エチレン/α−オレフィンの質量比は、好ましくは5〜95/95〜5、より好ましくは50〜90/50〜10、さらに好ましくは60〜85/40〜15である。α−オレフィンの質量比が95を超えると、耐侯性が十分でなく、一方、5未満になるとゴム質重合体のゴム弾性が十分でなくなるため、フィルムとしての可撓性が十分でなくなる可能性がある。
【0025】
非共役ジエンとしては、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類が挙げられ、好ましくは5−エチリデン−2−ノルボルネンおよびジシクロペンタジエンである。これらの非共役ジエンは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。非共役ジエンの、エチレン−α−オレフィン系ゴム(a−1)全量に対する割合は、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%である。非共役ジエンの割合が30質量%を超えると、成形外観および耐侯性が十分でなくなる可能性がある。尚、該エチレン−α−オレフィン系ゴム(a−1)における不飽和基量は、ヨウ素価に換算して4〜40の範囲が好ましい。
また、前記エチレン−α−オレフィン系ゴム(a−1)のムーニー粘度(ML1+4,100℃;JIS K6300に準拠)は、好ましくは5〜80、より好ましくは10〜65、さらに好ましくは15〜45である。該成分(a−1)のムーニー粘度が80を超えると重合が困難になり、一方、ムーニー粘度が5未満になると、フィルムとしての耐衝撃性、可撓性が不十分になる可能性がある。
【0026】
水添共役ジエン系ゴム(a−2)としては、例えば、下記の構造を有する共役ジエンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。すなわち、芳香族ビニル化合物単位からなる重合体ブロックA、1,2−ビニル結合含量が25モル%を超える共役ジエン系化合物単位からなる重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加してなる重合体ブロックB、1,2−ビニル結合含量が25モル%以下の共役ジエン系化合物単位からなる重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加してなる重合体ブロックC、および芳香族ビニル化合物単位と共役ジエン系化合物単位の共重合体の二重結合部分を95モル%以上水素添加してなる重合体ブロックDのうち、2種以上を組み合わせたものからなるブロック共重合体である。
【0027】
上記重合体ブロックAの製造に用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン及びその他のメチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも好ましいものは、スチレンである。ブロック共重合体中の重合体ブロックAの割合は、ブロック共重合体中の0〜65質量%が好ましく、さらに好ましくは10〜40質量%である。重合体ブロックAが65質量%を超えると、耐衝撃性が十分でなくなる可能性がある。
【0028】
上記重合体ブロックB、CおよびDは、共役ジエン系化合物の重合体を水素添加することにより得られる。上記重合体ブロックB、CおよびDの製造に用いられる共役ジエン系化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、物性の優れた水添共役ジエン系ゴム(I-2)を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。上記重合体ブロックDの製造に用いられる芳香族ビニル化合物としては、上記重合体ブロックAの製造に用いられる芳香族ビニル化合物と同様のものが挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。中でも好ましいものは、スチレンである。
【0029】
上記重合体ブロックB、CおよびDの水素添加率は、95モル%以上であり、好ましくは96モル%以上である。95モル%未満であると、重合中にゲルの発生を招き、安定に重合できない可能性がある。重合体ブロックBの1,2−ビニル結合含量は、25モル%を超え90モル%以下が好ましく、30〜80モル%がさらに好ましい。重合体ブロックBの1,2−ビニル結合含量が25モル%以下であると、ゴム的性質が失われ耐衝撃性が十分でなくなる可能性があり、一方、90モル%を超えると、耐薬品性が十分でなくなる可能性がある。また、重合体ブロックCの1,2−ビニル結合含量は、25%モル以下が好ましく、20モル%以下がさらに好ましい。重合体ブロックCの1,2−ビニル結合含量が25モル%を超えると、耐傷つき性および摺動性が十分に発現しない可能性がある。重合体ブロックDの1,2−ビニル結合含量は、25〜90モル%が好ましく、30〜80モル%がさらに好ましい。重合体ブロックDの1,2−ビニル結合含量が25モル%未満であると、ゴム的性質が失われ耐衝撃性が十分でなくなる可能性があり、一方、90モル%を超えると、耐薬品性が十分に得られない可能性がある。また、重合体ブロックDの芳香族ビニル化合物含量は、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。重合体ブロックDの芳香族ビニル化合物含量が25質量%を超えると、ゴム的性質が失われ耐衝撃性が十分でなくなく可能性がある。
【0030】
上記ブロック共重合体の分子構造は、分岐状、放射状またはこれらの組み合わせでもよく、さらにブロック構造としては、ジブロック、トリブロック、もしくはマルチブロック、またはこれらの組み合わせでもよい。例えば、A−(B−A)n 、(A−B)n 、A−(B−C)n 、C−(B−C)n 、(B−C)n 、A−(D−A)n 、(A−D)n 、A−(D−C)n 、C−(D−C)n 、(D−C)n 、A−(B−C−D)n 、(A−B−C−D)n 、(ただし、n=1以上の整数)で表されるブロック共重合体であり、好ましくは、A−B−A、A−B−A−B、A−B−C、A−D−C、C−B−Cの構造を有するブロック共重合体である。
【0031】
上記水添共役ジエン系ゴム(a−2)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜100万が好ましく、さらに好ましくは3万〜80万、より好ましくは5万〜50万である。Mwが1万未満では、フィルムとしての可撓性が十分でなくなる可能性があり、一方、100万を超えると重合が困難となる。
【0032】
前記アクリル系ゴム(a−3)としては、アルキル基の炭素数が2〜8のアクリル酸アルキルエステルの重合体であり、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上併用して使用することが出来る。好ましいアクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸(n−,i)−ブチル又はアクリル酸2−エチルヘキシルである。なお、アクリル酸アルキルエステルの一部は、最高20質量%まで、共重合可能な他の単量体で置換することが出来る。この他の単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸、アクリル酸、スチレン等が挙げられる。
【0033】
前記アクリル系ゴム(a−3)は、そのガラス転移温度が−10℃以下になるように、単量体の種類と共重合量を選ぶことが好ましい。また、アクリル系ゴムは、適宜、架橋性単量体を共重合することが好ましく、架橋性単量体の使用量は、アクリル系ゴム中の割合として、通常0〜10質量%、好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0034】
架橋性単量体の具体例としては、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート等のモノ又はポリエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート等のモノ又はポリエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルサクシネート、トリアリルトリアジン等のジ又はトリアリル化合物、アリルメタクリレート、アリルアクリレート等のアリル化合物、1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物などが挙げられる。上記アクリル系ゴムは、公知の重合法で製造されるが、好ましい重合法は乳化重合法である。
【0035】
前記シリコーン系ゴム(a−4)としては、公知の重合法で得られる全てのものが使用できるが、グラフト重合の容易さから、乳化重合でラテックスの状態で得られるポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体ラテックスが好ましい。
【0036】
前記ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体のラテックスは、公知の方法、例えば米国特許第2,891,920号明細書、同第3,294,725号明細書などに記載された方法で得ることが出来る。例えば、ホモミキサー又は超音波混合機を使用し、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸などのスルホン酸系乳化剤の存在下に、オルガノシロキサンと水とを剪断混合した後に縮合させる方法が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸は、オルガノシロキサンの乳化剤として作用すると共に重合開始剤として作用するので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩などを併用すると、グラフト重合を行う際に、ポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ましい。また、必要により、本発明の目的の性能を損なわない範囲でグラフト交叉剤または架橋剤を共縮合させてもよい。
【0037】
使用されるオルガノシロキサンは、例えば、一般式RSiO(4−m)/2(式中、Rは置換または非置換の1価の炭化水素基であり、mは0〜3の整数を示す)で表される構造単位を有するものであり、直鎖状、分岐状または環状構造を有するものがあるが、好ましくは環状構造を有するオルガノシロキサンである。このオルガノシロキサンの有する置換または非置換の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、それらをシアノ基などで置換した置換炭化水素基などを挙げることが出来る。
【0038】
オルガノシロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン等の環状化合物の他に、直鎖状または分岐状のオルガノシロキサンを挙げることが出来る。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
尚、前記オルガノシロキサンは、予め縮合された、例えばポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜10,000程度のポリオルガノシロキサンであってもよい。また、オルガノシロキサンがポリオルガノシロキサンである場合、その分子鎖末端は、例えば、水酸基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチルジフェニルシリル基などで封鎖されていてもよい。
【0040】
グラフト交叉剤としては、例えば、不飽和基とアルコキシシリル基とを併せ持つ化合物が使用できる。かかる化合物の具体例としては、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、1−(m−ビニルフェニル)メチルジメチルイソプロポキシシラン、2−(p− ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルフェノキシ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、1−(o−ビニルフェニル)−1,1,2−トリメチル−2,2−ジメトキシジシラン、1−(p−ビニルフェニル)−1,1−ジフェニル−3−エチル−3,3−ジエトキシジシロキサン、m−ビニルフェニル−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ジフェニルシラン、〔3−(p−イソプロペニルベンゾイルアミノ)プロピル〕フェニルジプロポキシシラン、2−(m−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(o−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、1−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、1−(m−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、1−(o−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン等の他、これらの混合物を挙げることが出来る。これらの中では、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシランが好ましく、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシランが更に好ましい。
【0041】
グラフト交叉剤の使用割合は、オルガノシロキサンとグラフト交叉剤および架橋剤の合計量100質量部に対し、通常0〜10質量部、好ましくは0.2〜10質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部である。グラフト交叉剤の使用量が多い場合は、グラフトしたビニル系ポリマーの分子量が低下し、その結果、充分な耐衝撃性が得られない。また、グラフト化後のポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体の2重結合より酸化劣化が進行し易く、耐候性の良好なグラフト共重合体が得られない。
【0042】
尚、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体ラテックスの粒子の平均粒子径は、通常0.5μm以下、好ましくは0.4μm以下、更に好ましくは0.05〜0.4μmである。この平均粒子径は前記の乳化剤および水の量、ホモミキサー又は超音波混合機を使用して混合したときの分散の程度またはオルガノシロキサンのチャージ方法によって、容易に制御することが出来る。ラテックスの粒子の平均粒子径が0.5μmを超える場合は光沢が劣る。
【0043】
また、前記のようにして得られるポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体のポリスチレン換算重量平均分子量は、通常3万〜100万、好ましくは5万〜30万である。重量平均分子量が3万未満では、フィルムとしての可撓性が十分に得られない可能性がある。一方、重量平均分子量が100万を超える場合と、ゴムの高分子鎖間の絡み合いが強くなり、ゴム弾性が低下するため、フィルムとしての可撓性が低下したり、グラフト粒子が溶融しにくくなって、フィルム外観が損なわれる恐れがある。
【0044】
前記の重量平均分子量の調整は、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体調製時の縮重合温度と時間を変えることにより、容易に調整することが出来る。すなわち、縮重合温度が低いほど、及び/又は、冷却時間が長いほど、重合体は高分子量化する。また、架橋剤を少量添加することでも、重合体を高分子量化することが出来る。
【0045】
なお、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体の分子鎖末端は、例えば、水酸基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、ジメチルビニルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチルジフェニルシリル基などで封鎖されていてもよい。
【0046】
前記乳化剤の使用量は、オルガノシロキサンとグラフト交叉剤および架橋剤の合計量100質量部に対し、通常0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜3質量部である。なお、この際の水の使用量は、オルガノシロキサンとグラフト交叉剤および架橋剤の合計量100質量部に対し、通常100〜500質量部、好ましくは200〜400質量部である。また、縮合温度は、通常5〜100℃である。
【0047】
なお、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体の製造に際し、得られるグラフト共重合体の耐衝撃性を改良するために、第3成分として架橋剤を添加することも出来る。この架橋剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等の3官能性架橋剤、テトラエトキシシラン等の4官能性架橋剤を挙げることが出来る。これらは2種以上を併用することが出来る。また、これら架橋剤として、予め縮重合させた架橋プレポリマーを使用してもよい。この架橋剤の添加量は、オルガノシロキサンとグラフト交叉剤および架橋剤の合計量100質量部に対し、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下、更に好ましくは0.01〜5質量部である。上記架橋剤の添加量が10質量部を超える場合は、ポリオルガノシロキサン系ゴム質重合体の柔軟性が損なわれるため、フィルムの可撓性が低下する可能性がある。
【0048】
前記シリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)とは、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムを含有するゴム質重合体をいう。好ましいシリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)は、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムが分離できないように相互に絡み合った構造を有する複合ゴムである。
【0049】
前記ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート(単量体)を共重合して得られるものが挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
さらに前記アルキル(メタ)アクリレートの単量体中には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メタクリル酸変性シリコーン、フッ素含有ビニル化合物等の各種のビニル系単量体を30質量%以下の範囲で共重合成分として含んでいてもよい。
【0051】
上記ポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムとしては、2つ以上のガラス転移温度を有する共重合体であることが好ましい。このようなポリアルキル(メタ)アクリレート系ゴムは、フィルムに可撓性を発現させるのに好ましい。
【0052】
上記ポリオルガノシロキサンゴムとしては、オルガノシロキサンを共重合したものを用いることができる。上記オルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の還元体が挙げられ、好ましくはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。そして、これらのオルガノシロキサンは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。これらのオルガノシロキサンの使用量はポリオルガノシロキサンゴム成分中50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
【0053】
シリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)は、例えば、特開平4−239010号公報、特許第2137934号明細書等に記載された方法で製造することができる。かかるシリコーン・アクリル複合ゴムグラフト共重合体としては、例えば、三菱レイヨン社製の「メタブレン SX−006(商品名)」などが市販されている。
【0054】
本発明における芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)としては、代表的には、芳香族ビニル化合物のみからなる単量体、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の両者を含む単量体が挙げられ、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の両者を含むものが好ましい。
【0055】
前記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、トリブロムスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、これらの芳香族ビニル化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
前記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらのシアン化ビニル化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
尚、芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)は、芳香族ビニル化合物又はシアン化ビニル化合物と共重合可能な他の化合物を含んでもよい。かかる他の化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド系化合物、その他の官能基含有不飽和化合物(例えば、不飽和酸、エポキシ基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物等)等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。かかる他の化合物の使用量は、芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)を100質量%として、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは1〜30質量%である。
【0058】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0059】
不飽和酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、共重合樹脂にマレイミド系化合物単位を導入するために、無水マレイン酸を(共)重合させ、後イミド化してもよい。他の共重合可能な化合物としてマレイミド系化合物を含有することは、前記熱可塑性樹脂の耐熱性を向上させる観点から好ましい。
【0061】
マレイミド系化合物の含有量は、上記熱可塑性樹脂100質量%に対する、該マレイミド系化合物から誘導される繰り返し単位の含有量として、通常、0〜30質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜27質量%であることがさらにより好ましく、10〜27質量%であることが一層さらにより好ましく、15〜25質量%であることが特に好ましい。マレイミド系化合物から誘導される繰り返し単位の含有量が1質量%未満の場合は耐熱性が不十分になる可能性があり、30質量%を超えると、フィルムとしての可撓性が不十分になる可能性がある。
【0062】
エポキシ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0063】
ヒドロキシル基含有不飽和化合物としては、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0064】
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
上記芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)としては、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を主として含むものが好ましく、これらの化合物の合計量は、芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)全量に対して、好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%である。また、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用比率は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%、さらにより好ましくは60〜95質量%及び5〜40質量%、特に好ましくは65〜85質量%及び15〜35質量%である。
【0067】
熱可塑性樹脂として芳香族ビニル系樹脂(I)を使用する場合、アクリル系ゴム(a−3)、シリコーン系ゴム(a−4)及びシリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)からなる群より選ばれたゴム質重合体(a)の存在下に芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)を重合させてなるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1’)及び所望により該芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)の(共)重合体(I-2’)からなるゴム強化芳香族ビニル系樹脂を使用することは、耐候性、可撓性の観点から好ましい。そのうち、ゴム質重合体(a)としてシリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)を使用したシリコーン・アクリル複合ゴム強化スチレン系樹脂、及び、ゴム質重合体(a)としてシリコーン系ゴム(a−4)を使用したシリコーン系ゴム強化スチレン系樹脂と、ゴム質重合体(a)としてアクリル系ゴム(a−3)を使用したアクリル系ゴム強化スチレン系樹脂との混合物が好ましく、シリコーン・アクリル複合ゴム強化スチレン系樹脂が特に好ましい。
【0068】
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)は、公知の重合法である乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合、または、これらを組み合わせた重合法によって得ることが出来る。
【0069】
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)のグラフト率は、好ましくは20〜170%であり、より好ましくは30〜170%、さらに好ましくは30〜150%、特に好ましくは40〜100%である。このグラフト率が低すぎると、フィルムとしての可撓性が十分でなくなる場合がある。また、グラフト率が高すぎると、熱可塑性樹脂の粘度が高くなり、フィルムの薄肉化が困難になる場合がある。
【0070】
グラフト率は、下記式(1)により求めることができる。
グラフト率(質量%)=((S−T)/T)×100 …(1)
上記式中、Sはゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)1グラムをアセトン(アクリル系ゴムの場合、アセトニトリル)20mlに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tはゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)1グラムに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。このゴム質重合体の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)により求める方法等により得ることができる。
【0071】
尚、グラフト率は、例えば前記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)の製造時に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合時の単量体成分の添加方法及び添加時間、重合温度等を適宜選択することにより調整することができる。
【0072】
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)のアセトン可溶分(アクリル系ゴムの場合、アセトニトリル可溶分)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、好ましくは0.1〜2.5dl/g、より好ましくは0.2〜1.5dl/g、さらに好ましくは0.25〜1.2dl/gである。該極限粘度がこの範囲内であることは、フィルムの加工性、肉厚精度の高い積層体を得る観点から好ましい。
【0073】
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)のアセトン可溶分(アクリル系ゴムの場合、アセトニトリル可溶分)の極限粘度[η]の測定は下記方法で行った。まず、前記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)のアセトン可溶分(アクリル系ゴムの場合、アセトニトリル可溶分)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なるものを5点作った。ウベローデ粘度管を用い、30℃で各濃度の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求めた。単位は、dl/gである。
【0074】
尚、極限粘度[η]は、例えば前記ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)の製造時に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合時の単量体成分の添加方法及び添加時間、重合温度等を適宜選択することにより調整することができる。また、異なる極限粘度[η]を持つ前記(共)重合体(I-2)を、適宜選択して配合することにより調整することができる。
【0075】
本発明で熱可塑性樹脂として使用されるポリエステル系樹脂(II)としては、ジオールとジカルボン酸との縮重合により得られるポリマー等が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸が挙げられる。ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングルコール、シクロヘキサンジメタノール、プロパンジオールが挙げられる。ポリエステル系樹脂(II)の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCHDMT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などが挙げられる。このうち、PET及びPENが好ましい。
【0076】
本発明で熱可塑性樹脂として使用されるポリオレフィン系樹脂(III)としては、エチレン又はα−オレフィンの単独重合体、エチレン又はα−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン及び/又はα−オレフィンと共役ジエン及び/又は非共役ジエン等との不飽和基含有共重合体、エチレン及び/又はα−オレフィンとアクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体などが挙げられる。好ましいポリオレフィン系樹脂(III)の具体例としては、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等のエチレン系(共)重合体(樹脂);ポリプロピレン等のポリプロピレン(共)重合体(樹脂)等が挙げられる。
【0077】
エチレン系(共)重合体としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種からなるポリエチレン樹脂;エチレンを主成分とするα−オレフィンとの共重合体、すなわち、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体;エチレンと、酢酸ビニル、プロピレン酸ビニルなどのビニルエステルとの共重合体;エチレンと、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレンと、共役ジエン、非共役ジエンなど不飽和化合物との共重合体;エチレンと、上記各種コモノマーの中から選ばれる2種以上との多元共重合体;前記ポリエチレン樹脂、前記各種共重合体及び前記多元共重合体より選ばれる2種類以上の組み合わせからなる混合樹脂などを挙げることができる。これらエチレン系(共)重合体のエチレン単位の含有量は通常50質量%を超えるものである。
好ましいエチレン系(共)重合体としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びエチレン−メタクリル酸エステル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種よりなる樹脂が挙げられる。
【0078】
より好ましいエチレン系(共)重合体としては、密度が0.90〜0.95g/cm3で、且つメルトフローレート(以下、「MFR」と記すこともある。MFRは、JIS K 7210に基づき190℃、荷重21.18Nで測定したものある。他のMFRも同様である。)0.2〜20g/10分の線状低密度ポリエチレンが挙げられる。密度が上記範囲内ある場合、エチレン系(共)重合体が適度な結晶性を有するためフィルムが硬くならず、柔軟性や弾性回復性が良好となり好ましい。このような観点から、エチレン系(共)重合体の密度は0.90〜0.94g/cm3であるのがより好ましく、0.91〜0.94g/cm3であるのがさらにより好ましい。また、MFRが0.2g/10分以上である場合、エチレン系(共)重合体の押出加工性が安定し、20g/10分以下である場合、成形時に安定した製膜が可能となり、厚み斑や機械的強度の低下やバラツキ等が少なくなるため好ましい。このような観点から、エチレン系(共)重合体のMFRは0.5〜18g/10分であるのがより好ましく、1〜15g/10分であるのがさらにより好ましい。
【0079】
別のより好ましいエチレン系(共)重合体としては、酢酸ビニル含量が10〜60質量%で、MFRが0.2〜20g/10分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。酢酸ビニル含量が10質量%以上である場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体の結晶性が低いので、フィルムが硬くならず、良好な柔軟性や弾性回復性が得られ、表面粘着性も発現し易いので好ましい。酢酸ビニル含量が60質量%以下である場合、耐熱性やフィルム強度等が良好に確保され、防曇剤等を添加した場合でもブリードアウトを抑制でき、しかも、表面粘着性が強すぎないためフィルムの巻き出し性や外観が良好になるので好ましい。このような観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は10〜58質量%であるのがより好ましく、12〜56質量%であるのがさらにより好ましい。また、MFRが0.2g/10分以上である場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体の押出加工性が安定し、20g/10分以下である場合、成形時に安定した製膜が可能となり、厚み斑や機械的強度の低下やバラツキ等が少なくなるため好ましい。このような観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRは0.5〜18g/10分であるのがより好ましく、1〜15g/10分であるのがさらにより好ましい。
【0080】
上記エチレン系(共)重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法、または、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
【0081】
本発明の積層体の層(A)及び層(B)に配合する酸化チタン粒子は、顔料として使用されるものであれば特に限定されるものではなく、アナタース型、ルチル型などの酸化チタンを用いることができるが、熱安定性及び耐候性の観点から、ルチル型酸化チタン粒子を使用することが好ましい。
層(A)に配合する酸化チタン粒子の体積平均粒子径は、0.01μm以上0.35μm以下であり、0.05μm〜0.30μmであることが好ましく、0.1μm〜0.30μmであることがより好ましい。体積平均粒子径が0.01μm未満では酸化チタン粒子の分散性が悪くなり、0.35μmを超えると太陽電池の変換効率が大幅には向上しなくなる。また、層(A)に配合する酸化チタン粒子の粒子径0.5μm以上の粒子の含有率は、全酸化チタン粒子の10質量%未満であり、好ましくは5質量%未満であり、より好ましくは3質量%未満であり、特に好ましくは2質量%未満である。粒子径0.5μm以上の粒子の含有率が10質量%以上になると、太陽電池の変換効率が向上しない。
層(B)に配合する酸化チタン粒子の体積平均粒子径は、0.5μm以上2μm以下であり、0.6μm〜1.8μmであることが好ましく、0.7μm〜1.5μmであることがより好ましい。体積平均粒子径が0.5μm未満では太陽電池の変換効率が大幅には向上しなくなり、2μmを超えると層(B)の外観が低下する。また、層(B)に配合する酸化チタン粒子の粒子径0.35μm以下の粒子の含有率は、全酸化チタン粒子の10質量%未満であり、好ましくは5質量%未満であり、より好ましくは3質量%未満であり、特に好ましくは2質量%未満である。粒子径0.35μm以下の粒子の含有率が10質量%以上になると、太陽電池の変換効率が向上しない。
なお、本発明において酸化チタン粒子の体積平均粒子径及び粒子の含有率は、透過型電子顕微鏡写真をもとに画像回折装置(例えば、ルーゼックスIIIU)にて測定した一次粒子の粒度分布に基づいて算出したものである。
酸化チタン粒子の含有量は、層(A)及び層(B)のそれぞれ構成する熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であり、0.5〜35質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましい。含有量が0.1質量部未満では太陽電池の変換効率が大幅には向上しなくなり、40質量部を超えると重量の増加、外観の悪化、機械的強度の低下が生じる。
【0082】
本発明の上記層(C)は、光透過性を備えていればよく、上記層(A)及び上記層(B)と同様にして調製することができる。
【0083】
本発明の積層体の各層を構成する熱可塑性樹脂は、あらかじめ各成分の必要部数を配合し、ヘンシェルミキサー等で混合した後、押出機にて溶融、混練後、ペレット化して用いてもよいし、各成分をフィルム成形機又は押出成形機に直接供給し、フィルム加工又はシート加工を行ってもよい。この際、前記熱可塑性樹脂には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、老化防止剤、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、防かび剤、粘着付与剤、可塑剤、着色剤、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、顔料(たとえば、赤外線吸収、反射能力を有する、機能性を付与した顔料も含む。)等を本発明の目的を損なわない範囲で添加することもできる。
【0084】
本発明の積層体は、光線反射性の白色系の積層体であり、波長400〜1400nmにおける光の反射率が50%以上であることが好ましい。積層体の波長400〜1400nmにおける光の反射率は、好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。
本発明において、波長400〜1400nmの光の反射率が50%以上とは、波長400〜1400nmの範囲における反射率の最大値が50%以上であることである。従って、400〜1400nm範囲内の全ての波長の光の反射率が50%以上であることを要求するものではない。なお、通常、波長400〜1400nm範囲内の或る1つの波長の光の反射率が50%以上であれば、それに隣接する波長の光の反射率も同程度に高くなるものと考えられる。
【0085】
さらに、本発明では、波長400〜1400nmの30%以上の波長領域での光の反射率が50%以上であることが好ましく、波長400〜1400nmの50%以上の波長領域での光の反射率が50%以上であることがより好ましい。波長400〜1400nmの波長領域のより広い範囲で、光の反射率が50%以上であることにより、太陽電池バックシートとして使用されるときに太陽電池の変換効率をより向上させることができる。
【0086】
本発明の積層体のL値(明度)は、積層体として構成した際に55以上であることが好ましく、70以上であることがより好ましく、80以上であることが更により好ましく、95以上であることが特に好ましい。
【0087】
本発明の積層体は、シート状又はフィルム状の何れであってもよい。例えば、本発明の積層体がフィルムの場合、熱可塑性樹脂のフィルムの製造に利用できる方法、例えば溶液キャスト法、溶融押出法、共押出法、溶融プレス法などで製造することができる。大規模生産には溶融押出法が優れているが、小規模、特殊用途向け、品質評価のいずれかの目的のためには溶液キャスト法、溶融プレス法も有用である。溶融押出法では、Tダイ法やインフレーション法が利用される。溶融プレス法では、カレンダー法が利用される。本発明の積層体がシートの場合、熱可塑性プラスチックのシートの製造に利用できる方法、例えば共押出法などで製造することができる。
【0088】
Tダイ法では高速度で製造できるという利点があるが、その場合、成形時における樹脂温度は、溶融温度以上で且つ樹脂の分解温度よりも低い温度であればよく、一般に150〜250℃の温度が適当である。
インフレーション法の成形機の仕様や成形条件は限定されず、従来から公知の方法や条件をとることができる。例えば、押出機の口径は直径10〜600mm、口径Dとホッパ下からシリンダ先端までの長さLの比L/Dは8〜45である。ダイはインフレーション成形に一般に用いられている形状のものであり、例えば、スパイダー型、スパイラル型、スタッキング型等の流路形状を持ち、口径は1〜5000mmである。
カレンダー法の成形機としては、例えば直列型、L型、逆L型、Z型など、いずれも用いることができる。
【0089】
さらに本発明の積層体は、例えばTダイ成形やインフレーション成形等により単層フィルムを成形し、その後、熱ラミネーションや押出ラミネーションにより作製してもよいが、製造コストの観点から、Tダイ多層押出機を用いて成形することが好ましい。
【0090】
本発明の積層体において、樹脂層(A)及び樹脂層(B)の合計の厚さは、好ましくは、30〜500μm、より好ましくは、70〜450μm、さらに好ましくは、80〜400μmである。厚さが30μm未満では積層体としての強度が低下するおそれがあり、一方、厚さが500μmを超えると積層体の柔軟性が低下したり、積層体の重量が増加するおそれがある。
本発明の積層体が層(C)を備える場合、層(C)の厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜250μmである。
【0091】
また、本発明の積層体には、所望により保護層(D)を、その外表面に積層することができる。特に、本発明の積層体を太陽電池用バックシートとして使用する場合は、太陽電池セルとは反対側に位置することになる層(C)側の外表面に保護層(D)を設けることが、変換効率、太陽電池セルとの密着性などの観点から好ましい。
【0092】
この保護層(D)は、太陽電池用カバーフィルムやバックシートでは、その耐傷性、耐突き抜き性等の物理的性能、耐薬品性などの化学的性能、又は難燃性などの熱的性能を高めるためによく用いられているものであり、本発明では、太陽電池用バックシートの難燃性及び耐傷性を向上させるものが好ましい。
【0093】
かかる保護層(D)としては、例えば、ポリビニルフルオライドフィルム、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルムなどのフッ素樹脂系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリサルホンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、耐加水分解性ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、セルロースアセテートフィルム、アクリル樹脂フィルム、耐候性ポリプロピレンフィルムなどを使用することができる。これらのうち、本発明で使用する保護層としては、難燃性と耐傷性に優れていることから、フッ素樹脂系フィルム、耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム、耐加水分解性ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。これらは単独のフィルムを用いてもよく、二種以上を積層した積層フィルムを用いてもよい。
【0094】
保護層(D)の厚さは、好ましくは25〜300μmであり、より好ましくは25〜200μmである。保護層(D)の厚さが25μm未満では、積層体を保護する効果が不十分となる。保護層(D)の厚さが300μmを超えると、積層体の柔軟性が不十分となり、積層体の重量も増加し、好ましくない。
【0095】
さらに本発明の積層体は、通常、層(A)又は層(B)が太陽光などの光線を受ける表面(受光側)として使用されるので、裏面となる側に粘着層または接着層を形成することにより、粘着フィルム、接着フィルム、粘着シート、接着シート等とすることができる。粘着層または接着層の表面には、これらの層を保護するための保護膜を更に備えることもできる。
【0096】
本発明の積層体は、太陽電池用バックシート、特に結晶シリコン型太陽電池用バックシートの他、自動車用内装材、建材、赤外線ヒータの色付き反射板などとして好適に使用できる。
【0097】
本発明の太陽電池用バックシートを使用した太陽電池モジュールは、通常、太陽光の受光面側から、ガラス等の透明基板、封止膜、太陽電池素子、封止膜および本発明の積層体を含む太陽電池用バックシートの順で構成される。
【0098】
透明基板としては、一般的にガラスが使用される。ガラスは透明性および耐候性に優れるが、耐衝撃性が低く、重いため、一般住宅の屋根に載せる太陽電池の場合には、耐候性の透明樹脂も好ましく使用される。透明樹脂としては、フッ素系樹脂フィルムが挙げられる。透明基板の厚さは、ガラスを使用した場合は、通常3〜5mm、透明樹脂を使用した場合は、通常0.2〜0.6mmである。
【0099】
封止膜としては、オレフィン系樹脂が使用される。ここでオレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン、または、ジオレフィンを重合若しくは共重合した重合体の総称であり、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エステルなど他のモノマーとの共重合体やアイオノマーなども含む。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられ、そのうち、EVAが広く用いられている。EVAは、粘着剤や接着剤として塗工される場合や、シート状で使われる場合があるが、シート状で熱圧着して使われることが一般的である。シート状で使われる場合の厚みは、通常0.2〜5.0mmである。
【0100】
太陽電池素子としては、公知のシリコンが使用できる。シリコンとしては、アモルファスシリコンであっても、単結晶シリコンであっても多結晶シリコンであってもよい。アモルファスシリコンと多結晶シリコンとの太陽光スペクトルの感度帯域を比較すると、アモルファスシリコンは可視光側に感度帯域が存在するのに対し、多結晶シリコンは赤外線側に感度帯域が存在する。太陽光のエネルギー分布は、紫外線領域が約3%、可視光線領域が約47%、赤外線領域が約50%である。反射特性に優れた本発明の太陽電池用バックシートと、太陽電池素子とを組合せて使用することにより、変換効率に優れ、且つ耐熱性、耐候性、耐加水分解性及び可撓性にも優れた太陽電池モジュールが得られる。
【0101】
上記の太陽電池モジュールの構成単位は、接着剤を使用して接合してもよい。接着剤としては、公知の接着剤が使用でき、例えば、ブチルゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、EPDM系接着剤などが挙げられる。
【実施例】
【0102】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において、部及び%は特に断らない限り質量基準である。
【0103】
1.評価方法
下記の実施例及び比較例における、各種評価項目の測定方法を以下に示す。
【0104】
1−1.熱可塑性樹脂のゴム含有量
原料仕込み時の組成から計算した。
【0105】
1−2.ガラス転移温度(Tg)
JIS K 7121に準拠して、示差走査熱量計DSC2910型(商品名;TA Instruments社製)を用いて測定した。
【0106】
1−3.変換効率向上率(バックシート開放率96%)
温度25℃±2℃、湿度50±5%RHに調節された室において、Peccell社製Solar Simulator PEC−11を用い、実施例及び比較例で得られた太陽電池モジュール(バックシート開放率0%)の変換効率を測定した。また、同様の方法で、実施例及び比較例で得られた太陽電池モジュール(バックシート開放率96%)の変換効率を測定した。なお、温度の影響を低減させるために、光を照射後、すぐに変換効率を測定した。変換効率の向上率は、次式により求めた。上記変換効率の向上率が高くなると、太陽電池の変換効率が向上する。また、バックシート開放率とは、太陽電池モジュールに使用されている太陽電池バックシートの表面の太陽電池セルで覆われている部分の面積(A)で、該太陽電池バックシートの表面の太陽電池セルで覆われていない部分の面積(B)を割った値(B/A)である。
【0107】
【数1】

【0108】
1−4.変換効率向上率(バックシート開放率32%)
温度25℃±2℃、湿度50±5%RHに調節された室において、Peccell社製Solar Simulator PEC−11を用い、実施例及び比較例で得られた太陽電池モジュール(バックシート開放率0%)の変換効率を測定した。また、同様の方法で、実施例及び比較例で得られた太陽電池モジュール(バックシート開放率32%)の変換効率を測定した。なお、温度の影響を低減させるために、光を照射後、すぐに変換効率を測定した。変換効率の向上率は、次式により求めた。上記変換効率の向上率が高くなると、太陽電池の変換効率が向上する。また、バックシート開放率とは、太陽電池モジュールに使用されている太陽電池バックシートの表面の太陽電池セルで覆われている部分の面積(A)で、該太陽電池バックシートの表面の太陽電池セルで覆われていない部分の面積(B)を割った値(B/A)である。
【0109】
【数2】

【0110】
2.積層体の製造方法
2−1.使用原料(熱可塑性樹脂)
2−1−1.シリコーン・アクリル複合ゴム強化スチレン系樹脂
三菱レーヨン社製「メタブレン SX−006(商品名)」(樹脂改質剤、シリコーン・アクリル複合ゴムにアクリロニトリル−スチレン共重合体をグラフト、ゴム量50%、グラフト率80%、極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)0.38dl/g、ガラス転移温度(Tg)135℃)を用いた。
【0111】
2−1−2.スチレン−アクリロニトリル共重合体
テクノポリマー社製「SAN−H(商品名)」(AS樹脂)
【0112】
2−1−3.N−フェニルマレイミド−アクリロニトリル−スチレン共重合体
日本触媒社製「ポリイミレックス PAS1460(商品名)」(N−フェニルマレイミド−アクリロニトリル−スチレン共重合体、N−フェニルマレイミド単位含有率40%)
【0113】
2−1−4.エチレン−酢酸ビニル共重合体
日本ポリエチレン社製「ノバテックEVA LV430(商品名)」を用いた。酢酸ビニル含量は15%、融点は89℃(DSC法)であった。
【0114】
2−1−5.ポリエチレンテレフタレート
三菱化学社製「ノバペックス GM700(商品名)」を用いた。融点は255℃(DSC法)であった。
【0115】
2−1−6.ポリエチレン
日本ポリエチレン社製「ノバテックLL UF641(商品名)」を用いた。融点は124℃(DSC法)であった。
【0116】
2−2.使用原料(酸化チタン)
2−2−1.小粒子径タイプ(1)
石原産業株式会社製「タイペークCR−60−2(商品名)」(ルチル型、体積平均粒子径0.21μm、粒子径0.5μm以上の粒子の含有率1質量%未満)。
2−2−2.小粒子径タイプ(2)
石原産業株式会社製「タイペークCR−58−2(商品名)」(ルチル型、体積平均粒子径0.28μm、粒子径0.5μm以上の粒子の含有率1質量%未満)。
2−2−3.大粒子径タイプ
テイカ株式会社製「JR−1000(商品名)」(ルチル型、体積平均粒子径1.0μm、粒子径0.35μm以下の粒子の含有率1質量%未満)。
【0117】
2−3.樹脂層(A)及び(B)の成形材料
表1に記載の成分を表1に記載の割合でヘンシェルミキサーにより混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX44)を用いて、使用する熱可塑性樹脂に応じてバレル温度を150〜270℃に設定して溶融混練し、ペレット化した。得られた組成物を上記評価方法に従い評価した。その結果を表1に示す。なお、表1のASA−8は酸化チタン粒子を多量に含むため、積層体の作製に供し得なかった。
【0118】
【表1】

【0119】
3−1.太陽電池モジュールの製造(実施例1〜5、比較例1〜4)
まず、各層のフィルムを、下記の方法で製造した。
Tダイ(ダイ幅;1400mm、リップ間隔;0.5mm)を備え、スクリュー径65mmの押出機を備えたフィルム成形機を用い、Tダイから、溶融温度270℃で樹脂を吐出させ、軟質フィルムとした。その後、この軟質フィルムをエアーナイフによりキャストロール(ロールの表面温度;95℃)に面密着させ、冷却固化しフィルムを得た。その際、押出機及びキャストロールの運転条件等を調整することで、肉厚60μmのフィルムを得た。
尚、フィルムの肉厚は、シックネスゲージ(型式「ID−C1112C、ミツトヨ社製)を用い、フィルム製造開始から1時間経過後のフィルムを切り取り、フィルム幅方向の中心、及び、中心より両端に向けて、10mm間隔で肉厚を測定し、その平均値とした。フィルムの端部から20mmの範囲にある測定点の値は、上記平均値の計算から除去した。
次に、太陽電池モジュールを下記の方法で製造した。
EVA膜(サンビック株式会社製「ウルトラパール−PV(商品名)」寸法:厚さ0.44mm、90mm×90mm)2枚を裏面側封止膜(ii−1)及び表面側封止膜(ii−2)としてそれぞれ用意するとともに、本発明の各フィルム層(寸法:厚さ60μm、90mm×90mm)を重ね合わせた積層体(i)、多結晶性太陽電池セル(iii)、及びガラス基板(寸法:厚さ3.2mm、90mm×90mm)(iv)を用意し、(i)/(ii−1)/(iii)/(ii−2)/(iv)の順で積層した後、封止して、太陽電池モジュールを作製した。バックシート開放率は、太陽電池セル(iii)の配置を適宜変更することにより調節した。
なお、前記封止は、太陽電池モジュールを、上室及び下室を備えた2枚開きタイプの真空ラミネーターで、上室及び下室ともに真空下温度約150℃で5分間予熱後、上室を常圧状態に戻し、大気圧で15分間の条件で加熱圧着して行った。
得られた太陽電池モジュールの評価結果を表2に示した。
3−2.太陽電池モジュールの製造(実施例6〜10、比較例5〜8)
多結晶性太陽電池セルの代わりに単結晶性太陽電池セルを用いた以外は、上記3−1と同様にして太陽電池モジュールの製造し評価した。
得られた太陽電池モジュールの評価結果を表3〜6に示した。
【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
【表5】

【0124】
【表6】

【0125】
表2〜6の結果から、本発明の層(A)及び層(B)を備えた実施例1〜10の積層体は、本発明の層(A)及び層(B)の何れもまたは何れか一方しか備えない比較例1〜8の積層体よりも、太陽電池の変換効率が向上した。なお、実施例3の積層体は耐熱性及び可撓性のバランスが特に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の積層体は、太陽光の反射性能に優れるので、太陽電池用バックシートとして利用できるほか、赤外線反射性材料、低蓄熱性材料などとしても利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積平均粒子径が0.01μm以上0.35μm以下であり、粒子径0.5μm以上の粒子の含有率が全粒子の10質量%未満の酸化チタン粒子を熱可塑性樹脂100質量部あたり0.1〜40質量部含有する熱可塑性樹脂組成物からなる層(A)と、体積平均粒子径が0.5μm以上2μm以下であり、粒子径0.35μm以下の粒子の含有率が全粒子の10質量%未満の酸化チタン粒子を熱可塑性樹脂100質量部あたり0.1〜40質量部含有する熱可塑性樹脂組成物からなる層(B)とを有する積層体。
【請求項2】
酸化チタンがルチル型である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
上記層(A)の熱可塑性樹脂及び/又は上記層(B)の熱可塑性樹脂が、芳香族ビニル系樹脂(I)、ポリエステル系樹脂(II)又はポリオレフィン系樹脂(III)を含有する請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
上記層(A)の熱可塑性樹脂及び/又は上記層(B)の熱可塑性樹脂が、ゴム質重合体(a)の存在下に芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)を重合させてなるゴム強化芳香族ビニル系樹脂(I-1)及び所望により芳香族ビニル化合物を含む単量体(b)の(共)重合体(I-2)からなる芳香族ビニル系樹脂(I)を含有し、該芳香族ビニル系樹脂(I)100質量部に対する、該ゴム質重合体(a)の含有量が5〜40質量部である請求項3に記載の積層体。
【請求項5】
ゴム質重合体(a)が、エチレン−α−オレフィン系ゴム(a−1)、水添共役ジエン系ゴム(a−2)、アクリル系ゴム(a−3)、シリコーン系ゴム(a−4)及びシリコーン・アクリル複合ゴム(a−5)からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
上記層(A)と上記層(B)が直接積層されてなる請求項1に記載の積層体。
【請求項7】
上記層(A)と上記層(B)とが他の層(C)を介して積層されてなる請求項1に記載の積層体。
【請求項8】
上記層(B)の両側に上記層(A)が直接または他の層(C)を介して積層されてなる請求項6又は7に記載の積層体。
【請求項9】
上記層(A)の両側に上記層(B)が直接または他の層(C)を介して積層されてなる請求項6又は7に記載の積層体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体を含んでなる太陽電池用バックシート。
【請求項11】
請求項10の太陽電池用バックシートを含んでなる太陽電池モジュール。

【公開番号】特開2011−173241(P2011−173241A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19176(P2010−19176)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】