積層包装材料を製造する方法、積層包装材料、包装用ラミネートおよび包装容器
【課題】ガスに対する適切なバリヤー性を有する積層包装材料の提供。
【解決手段】紙または板紙のコア層(16)と、コア層の片面に塗布されたバリヤー層(14)とを含む積層包装材料(10)が製造される。バリヤー層は、例えば、デンプンまたはPVOHの分散液または溶液を紙またはプラスチックフィルムの支持体ウェブに塗布し、バリヤー層を帯びた支持体ウェブをコア層(16)と一体化させる前にバリヤーコーティングを乾燥することにより形成される。
【解決手段】紙または板紙のコア層(16)と、コア層の片面に塗布されたバリヤー層(14)とを含む積層包装材料(10)が製造される。バリヤー層は、例えば、デンプンまたはPVOHの分散液または溶液を紙またはプラスチックフィルムの支持体ウェブに塗布し、バリヤー層を帯びた支持体ウェブをコア層(16)と一体化させる前にバリヤーコーティングを乾燥することにより形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙または板紙のコア層と、コア層の少なくとも片面に塗布されたバリヤー層とを含む積層包装材料を製造する方法に関する。
本発明はさらに、上記方法に従って製造する積層包装材料、ならびに積層包装材料から製造される包装容器に関する。バリヤー層としてデンプンもしくはデンプン誘導体またはPVOHを用いる特に有利な包装用ラミネートを提供する。
【背景技術】
【0002】
包装産業においては、液状食品の包装および輸送に使い捨て性積層包装材料を用いることは周知である。通常、そのような積層包装材料は、良好な機械的形状安定性を得るために、形状的に剛性ではあるが折り曲げ可能な例えば紙または板紙からなるコア層から形成されている。コア層の両面には液密プラスチックコーティングが施されており、液体吸収性繊維からなるコア層を透湿から効率的に保護している。これらの外層は、通常、熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレンからなり、さらに、包装材料に優れた熱シール性(thermosealing properties)を付与し、それによって、包装材料を所望の幾何学形状を有する完成包装品に二次加工することができる。
【0003】
しかし、紙または板紙および液体不浸透性プラスチックのみからなる積層包装材料は、ガス、特に酸素ガスに対する不透過性を欠く。これは、酸素ガスに接触すると貯蔵寿命が劇的に劣化する多くの食品の包装においては重大な欠点である。包装材料に、ガス、特に酸素ガスに対するバリヤーを付与するために、包装品の内側に面するように意図されているコア層の面に、優れた酸素ガス不透過性を有する層、例えば、アルミニウム箔またはポリビニルアルコールを塗布することは当業界では公知である。
【0004】
アルミニウム箔に比べ、ポリビニルアルコールは多くの望ましい特性を有しており、そのために、バリヤー材料として好まれる場合が多い。これらの特性としては、ポリビニルアルコールの優れた強度特性、食品との適合性および経済的価値と共に、その極めて良好な酸素ガスバリヤー性を挙げることができる。さらに、特定の場合には、環境およびリサイクルの観点から、食品包装品におけるガスバリヤー材料としてアルミニウム箔に取って代わるのが適当であると考えられている。
【0005】
ポリビニルアルコールは、例えば、エチレンビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体またはそれらの混合物などの他の多くの考えられるバリヤーまたは接着性ポリマーと同様に、コーティングプロセスにより、すなわち、塗布時に、分散液または水溶液の形態で基材(substrate)上に薄い均一な層として塗布し、その後で乾燥させるのが適当である。しかし、このプロセスの1つの難点は、紙または板紙のコア層に塗布されるEAA添加ポリビニルアルコールの水性分散液またはポリマー溶液がコア層の液体吸収性繊維中に浸透することであると判明した。塗布したバリヤー層を乾燥および恐らく硬化させるための水分の除去に関連して、コア層は乾燥のために高温にも曝され、その結果、それぞれ、調整が困難な湿分とこの層に起こる乾燥とのために、板紙または紙層に望ましくない亀裂が形成される恐れが高くなる。
【0006】
特許文献1は、アルギネートなどの増粘剤を添加して板紙への水分の浸透を減少させる方法を提案した。ポリマー層に塗布されるバリヤー層としてPVOHを用いて亀裂の形成を阻止しかつ板紙表面を平滑化する方法が、特許文献2で開示された。
【0007】
1つの難点は、ポリビニルアルコールが感湿性であり、湿気のある環境に暴露されると急速にそのバリヤー性を喪失することである。この不都合な点は、既に特許文献3により、ポリビニルアルコールと1種以上のそれ自体公知の食品認可ポリマー(food−approved polymers)、例えば、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)またはスチレンブタジエンコポリマーとを組み合わせることにより回避された。これらは、ポリビニルアルコールと組み合わせると、優れたガスバリヤー性、特に酸素ガスバリヤー性を有する凝集性一体化層を有利に形成すると同時に、ポリビニルアルコールの所望の優れたガスバリヤー性が湿気のある環境下にも保持される。
【0008】
特許文献3により、ポリビニルアルコールとEAA−エチレンコポリマーまたは類似材料との混合物を、前以てポリマーでコートされた板紙に分散液コートし、その後、170℃までの温度で乾燥および硬化させて、極めて良好なバリヤー性を有する積層包装材料を形成し得ることが開示された。
【0009】
バリヤー層として、アルミニウム箔の代わりに、例えば、ポリビニルアルコールを用いた場合の別の難点は、感光性食品の貯蔵には、多くの場合、包装材料にある種の光バリヤーをさらに組み込む必要があることである。仮に紙または板紙のコア層が(裸眼で見て)光を透過させなくても、不可視波長範囲の光が包装容器の外側から包装された食品まで透過し、貯蔵寿命の観点から見て、食品に悪影響を及ぼすことがある。包装材料にアルミニウム箔を用いると、アルミニウム箔それ自体がガスや光に対して良好なバリヤーを構成するという利点がある。一方、ポリビニルアルコールは、エチレンアクリル酸コポリマーまたはスチレンブタジエンコポリマーなどの疎水性ポリマーとの混合物の場合にさえほとんど完全に透明である。特許文献3に従って、カーボンブラックや二酸化チタンなどの慣用の光バリヤーを積層包装材料に含まれているプラスチック層のいずれかに混合することは本質的には可能であるが、包装品の外観が美学的に魅力のないものになるであろう。
【0010】
特許文献3に記載されているように、例えば、ポリビニルアルコールと恐らく別のポリマーとからなるバリヤー層を含む積層包装材料に固有の他の難点は、この包装材料が、バリヤー層としてアルミニウム箔を用いる包装材料の製造におけるものと同じ製造装置を用いて製造することができず、それに伴って新たな製造装置のための設備投資費がかかることである。
【0011】
上述のように、PVOHはバリヤー材料として環境に優しいという利点を有している。そのような合成材料の他に、ガスバリヤー材料として、デンプンおよびデンプン誘導体などの天然および生分解性ポリマー(生体高分子)を用いる可能性も研究されてきた。
【0012】
デンプンは、厚さ約20〜30μmのフィルムなどの比較的厚い層として用いると、ある種のガスバリヤー性を有することはすでに公知である。しかし、そのような厚いデンプン材料層は、包装用ラミネートとして用いるには不適である。というのは、厚いデンプン層は脆くなり、例えば、ラミネーションプロセスやラミネートを包装品として折り曲げ成形する際の取り扱いによって、割れたり、破断したりしがちだからである。そのような厚いデンプン層を含むラミネートは、製造および配送時の取り扱いの際に柔軟でないだけでなく、湿気を吸収し易く、それがガスバリヤー性に悪影響を及ぼすであろう。
【0013】
特許文献4から、コア層に塗布された極めて薄いデンプン層が、少なくとも、プラスチック材料の押出しコーティングによりデンプンバリヤー層と一体化された隣接プラスチック層と共に用いたときには、ある程度のガスバリヤー性を提供し得ることは公知である。それぞれプラスチック層が押出しコートされた板紙コア層の両面に、それぞれ0.5および1g/m2乾量で塗布された2つの極めて薄いデンプン層により、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)で289cm3/m2の酸素ガスバリヤーが得られた。同様に、それぞれ、1および1.5g/m2の量で塗布された2つのデンプン層により、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)で141cm3/m2の酸素ガスバリヤーが得られた。このように、得られた結果は、例えば、延伸PETの12μm厚フィルムのガスバリヤー性に匹敵するものであり、従って、「中性能バリヤー」材料である。
【0014】
しかし、特許文献4の包装用ラミネートは、単に中性能ガスバリヤー材料であるに過ぎない。これは、この材料が短い冷却貯蔵期間の液状食品の包装にのみ使用し得ることを意味している。従来技術において、デンプンまたはデンプン誘導体バリヤー材料から高性能ガスバリヤー性を有する包装用ラミネートを製造することはこれまで知られていない。液状食品を長期保存する、すなわち、冷却貯蔵において長期包装寿命(ESL)を得るかまたは無菌貯蔵するのにさえ十分なガスバリヤー性を有する包装材料を提供することができればはるかに望ましいであろう。そのような望ましい高性能酸素ガスバリヤー性は、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で約50cm3/m2またはそれより良好、例えば、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)で30cm3/m2までのオーダー、すなわち、例えば、約5μmのオーダーの厚さで用いたときのPVOH、EVOH(エチレンビニルアルコールコポリマー)またはポリアミド(PA)のものに匹敵する酸素ガスバリヤー性である。
【0015】
特許文献5は、ポリエステルなどのポリマーフィルムを界面活性剤を含むアミロースデンプンの分散液でコーティングし、180℃までの温度でデンプンを乾燥させる方法を開示している。例えば、0.7g(乾量)/m3のコーティングレベルで良好なガスバリヤー性が得られる。しかし、紙または板紙コアを有する積層包装材料で類似の性質を得ることが可能であるとは示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】スウェーデン特許第440519号
【特許文献2】PCT/SE96/01237
【特許文献3】WO97/22536
【特許文献4】WO97/16312
【特許文献5】FR−A−2684922
【発明の概要】
【0017】
この度、本発明者らは、バリヤー層としてアルミニウム箔を用いる包装材料の製造に用いられるタイプの慣用の製造装置を用いて実施するのに役立つ方法を用いて、特にガスに対する適切なバリヤー性を有する積層包装材料を製造し得ることを見出した。
さらに、包装用ラミネートにおいて、デンプンおよび類似材料を用いて高性能酸素バリヤー性を得ることが可能であることも立証した。
【0018】
本発明の第1の態様によると、紙または板紙のコア層と、コア層の片面に塗布されたバリヤー層とを有する積層包装材料を製造する方法が提供され、この方法は、ポリマー分散液またはポリマー溶液をバリヤー層として支持体層の少なくとも片面に塗布し、水分を除去するための加熱中に乾燥させ、その後で、塗布して乾燥させた層支持体層を、コア層の片面と結合させ、永久一体化させることを特徴とする。
【0019】
バリヤー層は、水性ポリマー分散液または溶液を用いたコーティングにより塗布するのが好ましい。PVOHは水溶液として塗布してよいが、デンプンは一部は水に分散し、一部は水に溶解していてよい。
【0020】
ポリマーは、ヒドロキシル官能基を有しているのが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、またはそれらのうちの2種以上の混合物から選択してよい。
【0021】
バリヤー層として塗布される上述の水性ポリマー分散液またはポリマー溶液は、約80〜200℃の温度で乾燥および場合により硬化させてよい。非硬化材料の場合は、約80〜130℃の温度で操作するのが好ましい。
【0022】
PVOHなどの材料は、好ましくは、先ず第1段階で、80〜160℃(好ましくは140〜160℃)のウェブ温度で乾燥させ、次いで第2段階で、170〜230℃のウェブ温度で硬化させて、80%RHで改良されたガスバリヤーを得るのが最も好ましい。場合により、支持体およびバリヤー材料を2つの段階の間で冷却してよい。
【0023】
カルボン酸官能基を有するポリマーも含まれ得る。これは、乾燥/硬化プロセス中にヒドロキシ官能基を有するポリマーと反応し得る。
カルボン酸官能基を有するポリマーは、エチレンアクリル酸コポリマーおよびエチレンメタクリル酸コポリマーまたはそれらの混合物から選択するのが適当である。
【0024】
1つの特に好ましいバリヤー層混合物は、ポリビニルアルコールとエチレンアクリル酸コポリマーの混合物である。
場合により、先ず、バリヤー層を乾燥させ、次いで、乾燥したバリヤー層を230℃まで、好ましくは約170℃までの温度で硬化させるようにより高い温度に加熱する。
【0025】
上述のバリヤー層は、乾量にして、好ましくは約0.5〜20g/m2、より好ましくは2〜10g/m2の量で支持体層に塗布する。
支持体層は、紙もしくはプラスチックまたはプラスチックコート紙からなっていてよく、好ましい材料を以下に記載する。
【0026】
1つのオプションとして、支持体層は、好ましくは約15〜35g/m2、例えば、15〜25g/m2、より好ましくは15g/m2のグラム量を有する紙からなる。
バリヤー材料を有する支持体層とコア層は種々の方法で互いに結合させてよい。
少なくとも1つの上述のバリヤー層を有する支持体層は、熱可塑性樹脂をコア層との間に押出すことにより、コア層と結合かつ一体化させてよい。
【0027】
従って、上述の支持体層がその片面にバリヤー層を有している場合、支持体層は、支持体層とコア層の間に熱可塑性樹脂層を押出すことにより結合させ得る。
場合により、熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレンからなる外層を、押出しによりバリヤー層に塗布する。
【0028】
上述の支持体層が片面または両面に上述のバリヤー層を有している場合、支持体層は、コア層と上述のバリヤー層との間に熱可塑性樹脂層を押出すことによりコア層と結合させ得る。
上述の支持体層がその両面にバリヤー層を有している場合、熱可塑性樹脂層は押出しによりバリヤー材料からなる外層に塗布する。
【0029】
コア層と支持体層または上述のバリヤー層の間に塗布されるプラスチック層は、光バリヤーとして機能する物質を含んでいてよい。これは、支持体層が紙または他の視覚的に不透明な材料からなる場合に特に好ましい。
【0030】
別個の製造工程で、水性ポリマー分散液またはポリマー溶液をバリヤー層として支持体層の少なくとも片面に塗布し、水分を除去するための加熱中にバリヤー層を乾燥させ、その後で、支持体層と、塗布して乾燥させたバリヤー層とをコア層の片面に結合かつ永久一体化させることにより、優れたバリヤー性を有するバリヤー層を含む積層包装材料が得られるであろう。
【0031】
バリヤー層が包装材料のラミネーションに関連して高温下に乾燥または硬化されないという事実のおかげで、コア層の過剰な吸水および紙または板紙のコア層の乾燥、その結果として生じるコア層の亀裂形成の恐れが完全に排除される。
【0032】
コア層と紙支持体層との間に塗布されるプラスチック層が光バリヤーとして機能する物質、理想的にはカーボンブラックを含んでいる場合、魅力的でない黒い外観がコア層とバリヤーを支持する薄紙層の間の層として隠された光バリヤー層が得られるであろう。
【0033】
本発明のこの態様による方法の1つの利点は、別工程で製造されたバリヤー層を、酸素ガスバリヤーとしてアルミニウム箔を有する包装材料の製造に現在用いられているものに対応する製造装置を用い、対応する方法で、積層包装材料の製造に用い得ることにある。
さらに、本発明者らは、積層ラミネートにおいて、デンプンおよび類似材料を用いて、高性能酸素バリヤー性を得ることが可能であることも立証した。
【0034】
従って、本発明は、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で50cm3/m2の酸素ガスバリヤー性を提供する、紙または板紙コアとデンプンまたはデンプン誘導体からなる1つ以上のガスバリヤー層とを有する包装用ラミネートを提供し、上述のガスバリヤー層は、7gm-2以下の乾燥コーティング総重量を有する。デンプンまたはデンプン誘導体層により提供される酸素バリヤー性は、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で40cm3/m2またはそれより良好であるのが好ましい。酸素バリヤー性が、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で30cm3/m2まで、例えば、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で10cm3/m2以下であればなお好ましい。
【0035】
包装用ラミネートは、上述のガスバリヤー層に直接ラミネートされた、プラスチックポリマー、好ましくは、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンからなる層を含むのが好ましい。上述のポリマーはLDPEであるのが最も好ましい。用い得る他の熱可塑性樹脂には、(LLDPE、ULDPE、VLDPE、MPEおよびHDPEを含めた)他の全ての種類のポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレートが含まれる。
【0036】
ガスバリヤー層は、7gm-2まで、例えば、0.5〜5gm-2、より好ましくは0.5〜3gm-2、例えば、1.5〜2gm-2の乾燥コーティング重量で塗布する。
ガスバリヤー層は全体的に天然材料製であるのが好ましいが、所望の特性に干渉しない他のポリマー材料を微量含んでいてもよい。例えば、ガスバリヤー層は、さらに、ヒドロキシル官能基を有する水溶性または水分散性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、およびエチレンアクリル酸などのカルボキシル基含有ポリオレフィン、またはそれらの混合物を微量含んでいてよい。そのような材料の量は、0〜30重量%、例えば、0〜20重量%または0〜10重量%であってよい。
【0037】
本発明者らは、デンプン層に、ポリエチレンを、例えば、200℃を超える高温で塗布すると、デンプンのガスバリヤー性が向上すること、および適切な条件下には、高性能レベルに到達させるか、またはさらにそれ以上にすることもできることを観測した。最適な特性を得る1つの好ましい方法は、デンプンまたはデンプン誘導体を特許文献4におけるように厚いコア層にでなく、本発明の第1の態様に従って分離した支持体層に塗布することである。その場合、ガスバリヤー層は紙またはプラスチック支持体層によって支持されるのが適当である。
【0038】
紙を用いる場合、薄いものが好ましい。例えば、上述の支持体層は、約10〜35g/m2、好ましくは10〜25g/m2の表面重量を有する紙からなっていてよい。紙は前以てプラスチック層でコートされていてもよい。
【0039】
デンプンを塗布した後、包装用ラミネートがその片面に上述の支持体層を有するコア層を含むように、支持体を紙または板紙コア材料と結合させてよい。上述のコア層の他の面にはヒートシール層を含めた1つ以上の層が存在していてよい。
デンプンまたはデンプン誘導体が塗布される支持体層の表面は、上述の液体媒体に対して実質的に不浸透性であるのが好ましい。
【0040】
表面の不浸透度は、例えば、表面吸収量を、Cobb単位〔「Cobb」=液体水に60秒間暴露した表面に吸収されたg(水)/m2〕として計測することにより測定し得る。他の液体の吸収量は類似の方法で測定できる。Cobb吸収量を測定する方法は、SCANの12〜64ページおよびTAPPI T441に記載されている。プラスチックの表面吸収量は一般に約1Cobbであるが、平滑な紙表面は通常約20〜30Cobbの吸収量を有しているであろう。本発明に用いる場合、支持体層の表面は、吸収量が、50Cobb以下、好ましくは30Cobb以下、より好ましくは20Cobb未満または最も好ましくは10Cobb以下、例えば、5Cobb未満であるのが適当である。
【0041】
デンプンまたはデンプン誘導体が塗布される支持体層の表面は、200Bendtsenまたはそれより良好な平滑性を有しているのが好ましい。Bendtsen平滑性を測定する方法は、SCAN(Scandinavian Pulp and Paper Norms)21〜67ページおよびTAPPI UM535に記載されている。
【0042】
基材がプラスチックであるか、またはプラスチック表面を有している場合、通常、例えばプラスチックフィルムまたはプラスチックコート紙支持体層におけるような上述の所望の平滑性が得られる。
【0043】
特許文献4で高いバリヤー性が得られなかった理由の1つは、板紙コア層が要求される不浸透度を有しておらず、そのために、用いられたデンプン水溶液が表面に浸透したかもしれないということであろう。これは、多くの意味で悪い作用をすることがある。さらに、そのまま板紙中に浸透するためにデンプン層に対して平滑かつ破断の無い表面が存在しないのかもしれない。あるいはまたはさらに、デンプン層を乾燥させるために板紙を乾燥することにより、板紙の表面変形が生じ、それによってデンプン層に亀裂が生じるのかもしれない。デンプンを、分離した平滑な不浸透性支持体層に塗布し、その後で支持体層をコア層にラミネートすれば、これらの問題は排除される。
【0044】
特許文献4で用いられた板紙は、典型的には、500〜600Bendtsenの表面平滑性を有していたと予想される。これは、それ自体で、デンプン層が平滑かつ破断が無いことを妨げるか、または酸素の透過路を提供する薄い領域を有することを防ぐには十分であったかもしれない。
【0045】
デンプンまたはデンプン誘導体層の亀裂、破裂または変形を回避するためには、デンプンまたはデンプン誘導体層を塗布する表面が平滑であること、例えば、基材表面が、200Bendtsenまたはそれより良好(すなわち、以下)、例えば、150Bendtsenまで、より好ましくは、約100Bendtsenの平滑性を有していることが好ましい。
【0046】
デンプンと共に用いるための支持体として記載された材料は、本発明の第1の態様に従って用いられる他のバリヤー材料と共に用いることもできる。しかし、一般に、デンプンを用いる場合にはプラスチックフィルム支持体が好ましく、乾燥および硬化のために100℃を超える温度に加熱され得るPVOHなどのバリヤー材料には、薄い紙支持体を用いるのが好ましい。
【0047】
本発明に用いるためのデンプンは、いずれの慣用タイプのものであってもよいが、本発明の条件下では、特定のデンプンが他のデンプンより良好な結果を提供する。酸化次亜塩素酸塩であるRaisamyl 306(Raisio)などの改質ジャガイモデンプンが好ましい。他の許容デンプンとしては、ヒドロキシプロピル化トウモロコシデンプンCerestar 05773などのトウモロコシデンプンおよび誘導体が挙げられる。
【0048】
本発明に用いるのに適したデンプン誘導体には、酸化デンプン、カチオンデンプンおよびヒドロキシプロピル化デンプンがある。
【0049】
本発明の包装用ラミネートのガスバリヤー性が、特定の材料、例えば、デンプンまたはデンプン誘導体によって提供されていると言及する場合、これは、ガスバリヤー性が、接触していない状態で観測される上述の材料の内部特性よりもむしろ、ラミネート中の上述の材料と隣接層との相互作用の結果である場合を含むことが理解されよう。
【0050】
ポリエチレンを高温でデンプン層に塗布したときに認められるバリヤー性の向上に貢献するメカニズムは、デンプン中にポリエチレン分子が侵入し、デンプン結晶中の水と入れ替わることから生じるのであろう。類似の効果を生じる他のポリマーを用いてもよい。
【0051】
上述のプラスチック層は、上述のデンプンまたはデンプン誘導体に溶融押出しによって塗布してもよいし、例えば、予備成形フィルムとして加熱ローラーを用いた熱圧ラミネーションにより塗布してもよい。一般に、この好ましい実施態様に従って、デンプンのバリヤー性を要求されるように改質させるいずれの方法を用いてもよい。
【0052】
上述のプラスチック層は、デンプンまたはデンプン誘導体に、200℃以上、好ましくは250〜350℃、より好ましくは250〜330℃の温度で接着させるのが好ましい。
【0053】
本発明は、本発明に記載されている包装用ラミネートを用いて成形されるか、または記載されている方法によって製造された包装容器または包装品を含む。
次に、本発明の好ましい実施態様に従って、方法およびその方法によって得ることができる包装用ラミネートの非限定的実施例により、かつ添付図面を参照して、本発明を以下にさらに詳細に説明かつ例示する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に用いるためのバリヤー層が塗布された支持体層を製造する方法の略図。
【図2】本発明の積層包装材料を製造する方法の略図。
【図3】本発明の積層包装材料の断面図。
【図4】本発明の積層包装材料から製造される慣用の形状安定性包装容器の上方からの斜視図。
【図5a】本発明の特定の実施態様による4種の異なる包装用ラミネート断面の略図。
【図5b】本発明の特定の実施態様による4種の異なる包装用ラミネート断面の略図。
【図5c】本発明の特定の実施態様による4種の異なる包装用ラミネート断面の略図。
【図5d】本発明の特定の実施態様による4種の異なる包装用ラミネート断面の略図。
【図6a】図5に記載されている各包装用ラミネートを製造する方法の略図。
【図6b】図5に記載されている各包装用ラミネートを製造する方法の略図。
【図6c】図5に記載されている各包装用ラミネートを製造する方法の略図。
【図6d】図5に記載されている各包装用ラミネートを製造する方法の略図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図面を参照すると、図1および図2は、図3に示されている積層包装材料10を製造するための実施例として選択された本発明の方法を略図で示している。場合によってプラスチック層でコート(被覆)されていてもよい例えば薄紙製の支持体層のウェブは、巻取り機(magazine reel)12から巻き出され、ウェブに隣接配置されているアプリケーター13(理想的には、コーティング装置)を通過し、それによって、水性ポリマー分散液またはポリマー溶液からなる少なくとも1つのバリヤー層が支持体層11の片面に実質的に凝集バリヤー層14の形態で塗布される。プラスチックコート紙支持体層の場合、ポリマー分散液または溶液は、プラスチックコートされた面に塗布するのが好ましい。塗布溶液の量は様々であってよいが、好ましくは、乾燥後に、完全に一体化され、実質的に破断の無い層が形成されるような量、例えば、乾量にして、約0.5〜20g/m2、好ましくは2〜10g/m2である。
【0056】
PVOHを用いる場合、支持体層11は、約10〜35g/m2、好ましくは10〜25g/m2、好ましくは15〜20g/m2のグラム量を有する薄紙層からなるのが好ましいが、プラスチック層であってもよい。しかし、薄紙は、乾燥および可能な硬化に関連した温度の上昇に対しても寸法が変わらないという利点があり、これはプラスチックには当てはまらない。一般に、塗布したポリマーを約130℃以上で硬化しようとする場合、支持体としてのプラスチックの使用は推奨されない。
【0057】
バリヤー層14は、コート層の形態で包装用ラミネートに添加するのが望ましい性質を有するポリマー、例えば、ヒドロキシ官能基を有するポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体またはそれらの混合物を含む水性ポリマー分散液またはポリマー溶液の形態で支持体層11に塗布される。
バリヤー層14は、特許文献3に記載されているような疎水性ポリマー、例えば、スチレンブタジエンコポリマーをさらに含んでいてよい。
【0058】
また、バリヤー層14は、架橋バリヤー層14を得るために、上述のポリマー中のヒドロキシル官能基に対して反応性の官能基を有するポリマーを含んでいてもよい。そのようなポリマーは、カルボン酸基で改質されたポリオレフィンまたはオレフィンホモポリマーもしくはコポリマー中にカルボン酸基を含むモノマーとのグラフトコポリマーであってよい。あるいは、そのようなポリマーは、オレフィンモノマーと、カルボン酸官能基を含むモノマー、例えば、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸の金属塩またはそれらの誘導体とのランダムコポリマーであってよい。適当な機能性ポリオレフィンの特定の例としては、マレイン酸無水物、エチレンアクリル酸(EAA)もしくはエチレンメタクリル酸(EMAA)をグラフトしたポリエチレンおよびポリプロピレンのホモポリマーもしくはコポリマー、またはランダムコポリマーが挙げられる。
【0059】
バリヤー層14はポリビニルアルコールとエチレンアクリル酸コポリマーの混合物を含むのが特に好ましい。バリヤー層14のポリビニルアルコールとエチレンアクリル酸コポリマーの混合比は、ポリビニルアルコールが包装用ラミネート中のガス輸送に対するブランケット保護を形成し得るような比率でなければならないと同時に、エチレンアクリル酸コポリマーの量は、ある程度はポリビニルアルコールを保護し、ある程度はバリヤー層14を通過する液体の輸送を効率的に阻止または防止する凝集相を形成するのに十分でなければならない。
【0060】
支持体層11のウェブは、コーティング後、さらに、乾燥装置15、例えば、IR乾燥機または熱風乾燥機を通過する。乾燥装置15は、支持体層のコートされた面に対し、塗布されたバリヤー層14を水分除去および乾燥ならびに恐らく硬化するために、約80〜100℃、好ましくは約90〜95℃の乾燥温度で、また適切な場合には、コートされたポリマー混合物中に含まれている官能基を架橋させるために、硬化温度、約190℃まで、好ましくは170℃の温度で作動する。
【0061】
最後に、塗布されたバリヤー層14を有する完成支持体層11は、巻取られた後、貯蔵されるか、またはそのまま、優れたバリヤー性を有する積層包装材料10を製造するための慣用のラミネーションプロセスに用いられる。
【0062】
塗布されたバリヤー層14を有する支持体層11は、バリヤー層としてアルミニウム箔を有する包装材料の製造に用いられているものに対応する方法でかつ対応する製造装置を用いて包装材料10の製造に用い得るのが理想的である。図2は、約100〜500g/m2、好ましくは約200〜300g/m2のグラム量を有する形状的に剛性であるが折り曲げ可能なコア層のウェブを示しており、このコア層は、適当な包装品質を有する慣用の紙または板紙繊維層であってよい。コア層16は、回転する2つのローラー17の間のニップに通され、押出機18を用いてコア層16と支持体層11の間に押出適性熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレンからなる1つ以上の層19を塗布している間に、乾燥または硬化したバリヤー層14を有する支持体層11のウェブと一体化される。図示されているように、バリヤー材料14は支持体層の外面上にあるが、あるいは、バリヤー材料14は内面上にあってもよい。
【0063】
このようにしてラミネートされたウェブは、最後に、押出機23を用いたウェブの両外面に対する押出適性熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレンからなる薄層21,22の同時塗布下に、回転する2つのローラー20の間のニップに通され、図3に略図で示されている断面構造を有する本発明の完成積層包装材料10が得られる。あるいは、積層ウェブの各外面上に熱可塑性樹脂からなる薄層21,22を連続押出しするために、2つの押出機23を順列配置してもよい。
【0064】
2つのプラスチック層21,22は、一方では、外部からの湿気や水蒸気の浸透から包装材料を保護すること、他方では、慣用のいわゆる熱シールにより包装材料をヒートシール適性とし、それによって、対面するプラスチック層を熱圧の供給下に表面融合により互いに接着させる機能を果たすというそれらの目的を有している。熱シール操作により、包装材料を完成包装容器に二次加工している間に、機械的強度の高い液体不浸透性シール接合面が得られる。
【0065】
完成包装容器において、包装材料10のコア層16の、外側に面して折り曲げられるように意図されている面に塗布されるプラスチック外層22は、装飾的かつ/または包装品を認識するための情報的性質を有する適当なプリントを備えていてよい。
【0066】
本発明の積層包装材料から、連続プロセスで材料を成形、充填かつシールして完成包装品50とする公知包装機および充填機を用いて、優れた酸素ガスバリヤー性を有する寸法安定性液体不浸透性包装品24を製造し得る。そのような慣用包装容器50の例が図4に示されている。
【0067】
先ず、ウェブ形状の積層包装材料10の縦縁を結合させて、意図する内容物を充填するチューブとし、その後、チューブを内容物のレベルより下で繰返し横シール(密封)して個々の包装品50をウェブから分ける。包装品50を、横シールゾーンで切断して互いに分離し、最終的な折り曲げ形成およびシール操作により、所望の幾何学的形状、通常は平行六面体を得る。
【0068】
本発明の種々の包装用ラミネートは図面に示されているものの他に多数の層を含み得ることに留意されたい。このように、層の数は多様であり得ること、従って、例示されている実施態様の説明は本発明を限定するものと解釈してはならないことは当業者には自明であろう。
【0069】
図5aは、参照番号10aが付された本発明の簡単な実施態様による包装用ラミネートの断面を略図で示しており、図6aは、(20aで示されている)ラミネート10aに用いた支持体層構造を製造する方法を略図で示している。ラミネート10aは、表面が平滑で、実質的に非吸収性のテクスチュアを有する支持体層11を含んでいる。支持体層11は、プラスチックフィルムであっても、上記の表面品質を有する薄紙であってもよい。表面重量が約10〜25g/m2の薄紙基材は、デンプン溶液から多くを吸収することができない。というのは、薄紙基材は極めて薄く、かつそのような市販の薄紙は、通常、極めて平滑で光沢のある硬質表面を有しているからである。このために特に好適な紙は、いわゆるグラシン紙であるが、これは他の市販の紙に比べてかなり高価である。紙は、表面重量が10〜25g/m2のMGクラフト紙(Munksjo)が適当であり、MGとは、紙が、好ましくはデンプンを塗布する片面において平滑であることを示している。基材11は、最も有利な表面特性を有しているという理由でプラスチックであるのが最も好ましい。
【0070】
デンプンの水溶液または分散液からなる薄層は、基材層11のウェブの上面に塗布され、ウェブは、巻取り機(図示せず)から矢印の方向にコーティングステーション13aに導かれる。デンプン溶液は、従来の水溶液および分散液コーティング技術においては周知である「分散液塗布」(dispersion coating)または「液状塗布」(wet coating)とも称される液体薄塗技術により塗布するのが好ましいが、本発明に従って、他のコーティング法、例えば、吹付塗布(spray coating)も実行可能である。デンプン水溶液は、塗布して乾燥させたデンプン層14が約0.5〜約3g/m2の厚さ/表面重量を有するような量で塗布する。
【0071】
水溶液でコートされたウェブは、さらに乾燥ステーション15aに導かれ、そこで、ウェブは塗布されたデンプン水溶液から水分を除去するために乾燥装置により乾燥される。乾燥は、赤外線(IR)乾燥機または熱風乾燥機などの慣用の乾燥装置で実施し得る。乾燥は、約80〜100℃の温度で実施するのが好ましい。
【0072】
デンプンからなる上層14を有する乾燥されたウェブは、乾燥ステーションからさらに押出機ステーション23aに導かれ、そこで、ウェブとデンプン層はさらにプラスチック層21にラミネートされる。デンプン表面とプラスチック層とのラミネーションは、熱とプラスチックを同時に加えることにより得られるプラスチック層とデンプン層12の間の表面融合によって実施される。溶融ポリマーを乾燥デンプン層上に押出すと同時に、ウェブを回転する2つの冷却ローラー24aの間のニップに通し、それによって、図1aの断面図で示されているような、デンプン層14にプラスチック外層21がラミネートされた包装用ラミネート10aの上部3層を提供するラミネートを形成するのが好ましい。押出されるプラスチック材料は、(好ましくは)熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはLDPEであり、それによって、包装用ラミネート10aをいわゆる熱シールにより効率的に寸法安定性液体不浸透性包装品に二次加工することができる。押出し温度は、200℃以上、好ましくは約250℃〜約330℃である。
【0073】
あるいは、上述のデンプン層14とプラスチック層21の間の表面融合は、熱圧を同時に加えること、好ましくは、デンプンコート基材とプラスチックフィルムを一緒に熱間ローラーのニップに通すことにより、予備製造された熱可塑性樹脂フィルムを乾燥デンプン層14にラミネートして得てもよい。熱間ローラーによって供給される温度は、200℃〜約350℃、好ましくは約250℃〜約330℃である。
【0074】
次いで、そのようにして製造された3層ラミネートを図2に示されている板紙コア16にラミネートして包装用ラミネート10aを製造し得る。
図5bは、本発明の別の実施態様による包装用ラミネート10bの断面を略図で示しており、図6bは、(20bで示されている)ラミネート10bの製造法を略図で示している。
【0075】
本発明のこの実施態様によれば、基材または支持体層11はその両面に、図5aおよび図6aの実施態様で説明したものと同じ方法で、デンプン水溶液が塗布される。
【0076】
その結果、図6bの方法で製造されたラミネート10bは、好ましくはプラスチックフィルムである上記定義の基材層11と、基材層11の各面に塗布された薄いデンプン層(14,14′)と、上述のように熱を同時に加えることにより得られたプラスチック外層とデンプンの表面融合により各デンプン層の外面にラミネートされたプラスチック外層(21,21′)とを含む。そのような層構造により二重のガスバリヤー効果が得られる筈である。というのは、デンプンとプラスチックの間に2つの融着界面が得られるからである。
【0077】
従って、図6bの方法により、デンプン水溶液の薄い層が基材層11のウェブの各面に塗布され、基材層11は巻取り機(図示せず)から矢印の方向にコーティングステーション13bに導かれる。デンプン溶液は、分散液コーティング技術により、塗布して乾燥させたデンプン層14,14′がそれぞれ約0.5〜約3g/m2の厚さ/表面重量を有するような量で基材層11の両面に塗布するのが好ましい。
【0078】
水溶液でコートされたウェブは、さらに、乾燥ステーション15bに導かれ、そこで、ウェブはデンプン水溶液が塗布された層から水分を除去するために乾燥装置により乾燥される。乾燥は、上述のように、約80〜100℃の温度で実施するのが好ましい。
【0079】
デンプンからなる上層14と下層14′を有する乾燥ウェブは、乾燥ステーションから、さらに、曲げローラー25を経由して押出ステーション23bに導かれ、そこで、ウェブはさらに各面にプラスチックが塗布される。このように、プラスチック層21および21′は、ウェブの各面に対して作動する各押出機26,27により塗布される。溶融ポリマーは、ウェブが乾燥デンプン層に塗布されると同時に、原則として上述のように、回転する2つの冷却ローラー24bの間のニップに通されて、図5bの断面図に示されているようなラミネート10bが形成される。ラミネート10bは、コア層と一体化されて、図2に示されているような完成包装用ユニットを形成し得る。
【0080】
図5cは、本発明の代替実施態様による包装用ラミネート10cの断面を略図で示しており、図6cは(20cで示されている)ラミネート10cの製造法を略図で示している。
【0081】
本発明に用いるための紙または板紙コア層は、通常、約100〜約400μmの厚さと、約100〜500g/m2、好ましくは約200〜300g/m2の表面重量を有している。
【0082】
方法20cによれば、そのようなコア層16の第1のウェブは、巻取り機(図示せず)から矢印の方向に押出しラミネーションステーション28に導かれ、そこで、両面に乾燥デンプン層14,14′がラミネートされた支持体層11の第2のウェブと並置され、熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはLDPEからなる中間溶融押出しラミネーション層19によりコア層にラミネートされる。
【0083】
ラミネートされたコア層、デンプン層および基材層からなるウェブは、さらに、押出しステーション29に導かれ、そこで、好ましくはLDPEなどの熱可塑性樹脂からなる外層21,22がさらにラミネート16′の各面に押出され、その結果、コア層にラミネートされた面と反対側の基材層11の外面上のデンプン層と、コア層16の対向面は共に、押し出された熱可塑性樹脂によってコートされ、層21および22が形成される。
【0084】
外層14として適当な熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、最も好ましくは、例えば、LDPE、線状LDPE(LLDPE)などの低密度ポリエチレン、またはシングルサイト触媒メタロセンポリエチレン(m−PE)である。あるいは、最後には包装用ラミネートから製造された包装容器の外側を形成する外層22は、デンプン溶液のコーティング段階および乾燥段階の前の段階でコアウェブ16に塗布してもよい。
【0085】
図5dは、本発明の別の実施態様による包装用ラミネート10dの断面を略図で示しており、図6dは、(20dで示されている)ラミネート10dの製造法を略図で示している。包装用ラミネート10dは、上述の方法20aに記載されているように、最初の段階で、デンプン水溶液からなる薄い層12をプラスチックフィルムからなる基材層11の上面に塗布して乾燥させることにより製造される。
【0086】
方法20dによれば、コア層16の第1のウェブは巻取り機(図示せず)から矢印の方向に押出しラミネーションステーション28′に導かれ、そこで、乾燥デンプン層14が片面に塗布された基材層11のウェブは、デンプン層14がコア層に向かい合うようにコア層と並置され、熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはLDPEからなる中間溶融押出しラミネーション層によりコア層にラミネートされる。基材層11、すなわちプラスチックフィルムは、包装用ラミネートの外層を形成し、包装用ラミネートから製造された包装容器の内側に向けられて、容器の内層となる。最終押出機ステーション29′では、熱可塑性樹脂からなる外層17は押出しコーティングにより塗布される。
【0087】
特許文献4に記載されているラミネートの問題点は、それらの製造に、ガスバリヤーとして慣用的に使用されているアルミニウム箔を用いる板紙ラミネートとは完全に異なる機械を必要とすることである。そのような包装用ラミネートは、ポリエチレンを用いて板紙基材をバリヤー箔に押出しラミネートして製造される。それに対し、上記からわかるように、片面または両面にデンプンコーティングを有するプラスチックまたは薄紙支持体層は、デンプン層の片面または両面にすでにプラスチックがラミネートされているかどうかに拘わらず、慣用の機械を微調整するだけで容易にアルミニウム箔と置き換えることができる。デンプンを支持する支持体材料の製造は、工場の現存二次加工ラインを新しい材料の使用に対して容易に適合できるようにする必要がある場合、別の施設で完全に別個に行うことができる。
【0088】
このように、例示した方法の好ましい実施態様による他の重要な利点は、デンプン溶液の塗布段階および乾燥段階をラミネーション加工ラインとは別個に実施することができ、それによってコア層を有する包装用ラミネートを製造する際にラミネーション装置の費用のかかる改造や再構築が回避されることである。デンプン層をプラスチックフィルムまたは平滑で実質的に非吸収性表面を有する薄紙などの薄い支持体層に塗布することにより、その後でプラスチック層およびコア層をさらにラミネートする際のラミネーション作業は、例えば、Al箔や内層をラミネートするときに現在用いられているものと同じ装置およびプロセスを用いて実施し得る。
【0089】
近代的で合理的な包装機および充填機を用いて包装品を成形、充填、シールする慣用の「フォーム・フィル・シール」技術に従って、好ましくは前以て折り目が付けられ、彩色されたシートまたはウェブ形状の包装用ラミネート10のブランクから、1回使用使い捨てタイプの寸法安定性液体不浸透性包装品が製造される。そのような包装品は、例えば、包装用ラミネートのウェブから、先ず、ウェブをチューブに変形させ、チューブの両縦縁を縦オーバーラップ接合シールとしてヒートシールにより互いに一体化させて製造する。チューブに、意図する内容物、例えば、液状食品を充填し、チューブの内容物のレベルの下でチューブの縦軸を横断してチューブを繰返し横シールし、個々の包装品に分割する。最後に横シールに沿って横断方向に切断して包装品を互いに分離し、それ自体公知の方法で、さらに成形およびヒートシール操作して、所望の幾何学的形態、通常は平行六面体形態を得る。
【0090】
上述の方法および材料を用い、デンプンまたは誘導体の水溶液を、デンプン層を支持するための特に選択された材料からなる基材層に塗布し、その後、乾燥し、プラスチック表面の熱融合によりプラスチック層にラミネートすることにより、包装用ラミネートにおいて、特許文献4のものに比べて高度に改良されたガスバリヤー性が得られる。ラミネートされたデンプン層のガスバリヤー性は、急激に約10倍も向上し、いわゆる高性能バリヤー層が得られた。最高のガスバリヤー結果は、支持体層がポリマーからなるか、またはポリマーコート表面を有している場合に得られたが、表面重量が約10〜25g/m2の平滑で実質的に非吸収性表面を有する薄紙層も、デンプンに関連して既に公知のものに比べて改良されたガスバリヤー性を提供する。
【0091】
1m2当たり2gのデンプンをプラスチックフィルム(ポリエステル−PET)上にコーティングし、次いで、LDPE層を押出しコーティングすると、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)でわずか9cm3/m2の酸素ガスバリヤーが得られる。同様に、5g/m2のデンプン層では約4cm3/m2、7g/m2ではわずか3cm3/m2の酸素バリヤーが得られる。
【0092】
従って、プラスチックまたはプラスチック表面を有する支持体層を用いた場合、これらの実施例で得られる最適なガスバリヤー性は、少なくとも部分的には、表面の品質、すなわち、平滑性および液体反発性(liquid repellency)の結果であると考えられる。デンプン層とプラスチック層の間の融着界面を用いて得られる効果のメカニズムは完全には解明されていないが、最適なガスバリヤー性は、一部には、デンプン層の両面にそのような界面が形成されている結果でもあろう。というのは、デンプンが塗布される基材層はプラスチック層であり、同種の現象がデンプン層とプラスチック層に熱を加えるとこの界面にも発生し得るからである。
【0093】
本発明のデンプンガスバリヤー層は、約0.5〜5g/m2乾量で塗布するのが有利である。0.5g/m2より低い量では、層厚の許容度およびガスバリヤー性の信頼度が低くなるであろう。一方、約3g/m2を超える量では、デンプンバリヤー層が脆くなり、柔軟性がなくなる恐れが高くなるであろう。しかし、約5g/m2乾量までの塗布量は可能であり、ある種の包装品や用途によっては、もっと多い量でも許容可能なことがある。デンプン層のガスバリヤー性は、一般に、厚さが増大するにつれ向上する。デンプンの最適かつ好ましい塗布量は、約1.5〜約2g/m2の範囲である。
【0094】
実施例
外面に12g/m2のLDPEを有するBillerud Duplex板紙コアを用いて包装用ラミネートを作製した。
これらは、表面重量が280g/m2で、曲げ剛性(bending stiffness/flexural rigidity)が320mNの「Duplex」板紙(Billerud)に325℃でLDPEを押出しコートして作製した。
【0095】
一軸スクリュー押出機を用い、板紙が冷却ローラーと逆圧ローラーの間を通過する直前に板紙上にLDPEを押出した。冷却ローラーは表面温度が約10〜15℃であった。
【0096】
表1に詳述されているように支持体材料とバリヤー材料の種々の組み合わせを調製し、それぞれを、325℃で10〜15g/m2のLDPE層を間に押出して板紙コアの内側にラミネートした。バリヤー材料/支持体材料を調製する際には、要素デンプンは、乾燥粉末状態から、デンプンと水を周囲温度で混合してスラリーを形成することによりコーティングに使用するように準備した。スラリーを攪拌しながら90〜95℃に加熱し、30分間この温度に保った。加熱中にデンプンは膨潤した。
【0097】
可能なら、例えば、Raisamyl 306酸化デンプン(Raisio)を用いる場合、コーティングに使用する前にデンプンを室温に冷却した。しかし、こうするとデンプンがゲル化してしまう場合、例えば、CERESTAR ヒドロキシプロピル化デンプンの場合には、デンプンは高温(60℃)でコーティングしたであろう。
【0098】
「コンマダイレクトコーター」(comma−direct coater)または「ブルノーズコーター」(bull−nose coater)としても知られている、Hirano製ロール式ナイフ液体薄塗/分散液塗布機を用いて、所望の乾燥コーティング重量の約10倍の湿量をウェブ形態の支持体材料に塗布した。
【0099】
デンプンに対して、80〜100℃までのIR加熱を用いる第1の乾燥段階を用いて乾燥プロセスを加速し、次いで、熱風乾燥段階で、デンプンコーティングを110℃の温度で1m/分のウェブ速度で熱風乾燥した。一般に、ライン速度に応じて100〜130℃の温度が適当である。
【0100】
乾燥したデンプン層をLDPEで押出しコーティングする場合もあった。約25g/m2のLDPEを、325℃、約200m/分で、乾燥デンプン層上に押し出し、上述のように10〜15℃の冷却ローラーにかけた。押出しダイとウェブとの間隔は通常10〜30cmであった。押し出されたLDPEは冷却ローラーと逆圧ローラーの間に入る直前にウェブに当たった。
【0101】
PVOH/EAAを水溶液として塗布し、150℃で乾燥、225℃で硬化させた。
(必要な場合にはOPETの貢献を除去するように調整した)包装用ラミネートの酸素ガスバリヤーに関して得られた結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
本発明が例示された実施態様には限定されず、添付請求の範囲で限定されている本発明の概念の範囲から逸脱しなければ、種々の変更および改変を行うことが可能であることは当業者には自明であろう。例えば、例示されている包装材料の構造は、例示されている層の数に限定されず、この数はもっと多くても少なくてもよく、また、包装材料の所望の用途に応じて変え得ることは勿論である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙または板紙のコア層と、コア層の少なくとも片面に塗布されたバリヤー層とを含む積層包装材料を製造する方法に関する。
本発明はさらに、上記方法に従って製造する積層包装材料、ならびに積層包装材料から製造される包装容器に関する。バリヤー層としてデンプンもしくはデンプン誘導体またはPVOHを用いる特に有利な包装用ラミネートを提供する。
【背景技術】
【0002】
包装産業においては、液状食品の包装および輸送に使い捨て性積層包装材料を用いることは周知である。通常、そのような積層包装材料は、良好な機械的形状安定性を得るために、形状的に剛性ではあるが折り曲げ可能な例えば紙または板紙からなるコア層から形成されている。コア層の両面には液密プラスチックコーティングが施されており、液体吸収性繊維からなるコア層を透湿から効率的に保護している。これらの外層は、通常、熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレンからなり、さらに、包装材料に優れた熱シール性(thermosealing properties)を付与し、それによって、包装材料を所望の幾何学形状を有する完成包装品に二次加工することができる。
【0003】
しかし、紙または板紙および液体不浸透性プラスチックのみからなる積層包装材料は、ガス、特に酸素ガスに対する不透過性を欠く。これは、酸素ガスに接触すると貯蔵寿命が劇的に劣化する多くの食品の包装においては重大な欠点である。包装材料に、ガス、特に酸素ガスに対するバリヤーを付与するために、包装品の内側に面するように意図されているコア層の面に、優れた酸素ガス不透過性を有する層、例えば、アルミニウム箔またはポリビニルアルコールを塗布することは当業界では公知である。
【0004】
アルミニウム箔に比べ、ポリビニルアルコールは多くの望ましい特性を有しており、そのために、バリヤー材料として好まれる場合が多い。これらの特性としては、ポリビニルアルコールの優れた強度特性、食品との適合性および経済的価値と共に、その極めて良好な酸素ガスバリヤー性を挙げることができる。さらに、特定の場合には、環境およびリサイクルの観点から、食品包装品におけるガスバリヤー材料としてアルミニウム箔に取って代わるのが適当であると考えられている。
【0005】
ポリビニルアルコールは、例えば、エチレンビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体またはそれらの混合物などの他の多くの考えられるバリヤーまたは接着性ポリマーと同様に、コーティングプロセスにより、すなわち、塗布時に、分散液または水溶液の形態で基材(substrate)上に薄い均一な層として塗布し、その後で乾燥させるのが適当である。しかし、このプロセスの1つの難点は、紙または板紙のコア層に塗布されるEAA添加ポリビニルアルコールの水性分散液またはポリマー溶液がコア層の液体吸収性繊維中に浸透することであると判明した。塗布したバリヤー層を乾燥および恐らく硬化させるための水分の除去に関連して、コア層は乾燥のために高温にも曝され、その結果、それぞれ、調整が困難な湿分とこの層に起こる乾燥とのために、板紙または紙層に望ましくない亀裂が形成される恐れが高くなる。
【0006】
特許文献1は、アルギネートなどの増粘剤を添加して板紙への水分の浸透を減少させる方法を提案した。ポリマー層に塗布されるバリヤー層としてPVOHを用いて亀裂の形成を阻止しかつ板紙表面を平滑化する方法が、特許文献2で開示された。
【0007】
1つの難点は、ポリビニルアルコールが感湿性であり、湿気のある環境に暴露されると急速にそのバリヤー性を喪失することである。この不都合な点は、既に特許文献3により、ポリビニルアルコールと1種以上のそれ自体公知の食品認可ポリマー(food−approved polymers)、例えば、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)またはスチレンブタジエンコポリマーとを組み合わせることにより回避された。これらは、ポリビニルアルコールと組み合わせると、優れたガスバリヤー性、特に酸素ガスバリヤー性を有する凝集性一体化層を有利に形成すると同時に、ポリビニルアルコールの所望の優れたガスバリヤー性が湿気のある環境下にも保持される。
【0008】
特許文献3により、ポリビニルアルコールとEAA−エチレンコポリマーまたは類似材料との混合物を、前以てポリマーでコートされた板紙に分散液コートし、その後、170℃までの温度で乾燥および硬化させて、極めて良好なバリヤー性を有する積層包装材料を形成し得ることが開示された。
【0009】
バリヤー層として、アルミニウム箔の代わりに、例えば、ポリビニルアルコールを用いた場合の別の難点は、感光性食品の貯蔵には、多くの場合、包装材料にある種の光バリヤーをさらに組み込む必要があることである。仮に紙または板紙のコア層が(裸眼で見て)光を透過させなくても、不可視波長範囲の光が包装容器の外側から包装された食品まで透過し、貯蔵寿命の観点から見て、食品に悪影響を及ぼすことがある。包装材料にアルミニウム箔を用いると、アルミニウム箔それ自体がガスや光に対して良好なバリヤーを構成するという利点がある。一方、ポリビニルアルコールは、エチレンアクリル酸コポリマーまたはスチレンブタジエンコポリマーなどの疎水性ポリマーとの混合物の場合にさえほとんど完全に透明である。特許文献3に従って、カーボンブラックや二酸化チタンなどの慣用の光バリヤーを積層包装材料に含まれているプラスチック層のいずれかに混合することは本質的には可能であるが、包装品の外観が美学的に魅力のないものになるであろう。
【0010】
特許文献3に記載されているように、例えば、ポリビニルアルコールと恐らく別のポリマーとからなるバリヤー層を含む積層包装材料に固有の他の難点は、この包装材料が、バリヤー層としてアルミニウム箔を用いる包装材料の製造におけるものと同じ製造装置を用いて製造することができず、それに伴って新たな製造装置のための設備投資費がかかることである。
【0011】
上述のように、PVOHはバリヤー材料として環境に優しいという利点を有している。そのような合成材料の他に、ガスバリヤー材料として、デンプンおよびデンプン誘導体などの天然および生分解性ポリマー(生体高分子)を用いる可能性も研究されてきた。
【0012】
デンプンは、厚さ約20〜30μmのフィルムなどの比較的厚い層として用いると、ある種のガスバリヤー性を有することはすでに公知である。しかし、そのような厚いデンプン材料層は、包装用ラミネートとして用いるには不適である。というのは、厚いデンプン層は脆くなり、例えば、ラミネーションプロセスやラミネートを包装品として折り曲げ成形する際の取り扱いによって、割れたり、破断したりしがちだからである。そのような厚いデンプン層を含むラミネートは、製造および配送時の取り扱いの際に柔軟でないだけでなく、湿気を吸収し易く、それがガスバリヤー性に悪影響を及ぼすであろう。
【0013】
特許文献4から、コア層に塗布された極めて薄いデンプン層が、少なくとも、プラスチック材料の押出しコーティングによりデンプンバリヤー層と一体化された隣接プラスチック層と共に用いたときには、ある程度のガスバリヤー性を提供し得ることは公知である。それぞれプラスチック層が押出しコートされた板紙コア層の両面に、それぞれ0.5および1g/m2乾量で塗布された2つの極めて薄いデンプン層により、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)で289cm3/m2の酸素ガスバリヤーが得られた。同様に、それぞれ、1および1.5g/m2の量で塗布された2つのデンプン層により、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)で141cm3/m2の酸素ガスバリヤーが得られた。このように、得られた結果は、例えば、延伸PETの12μm厚フィルムのガスバリヤー性に匹敵するものであり、従って、「中性能バリヤー」材料である。
【0014】
しかし、特許文献4の包装用ラミネートは、単に中性能ガスバリヤー材料であるに過ぎない。これは、この材料が短い冷却貯蔵期間の液状食品の包装にのみ使用し得ることを意味している。従来技術において、デンプンまたはデンプン誘導体バリヤー材料から高性能ガスバリヤー性を有する包装用ラミネートを製造することはこれまで知られていない。液状食品を長期保存する、すなわち、冷却貯蔵において長期包装寿命(ESL)を得るかまたは無菌貯蔵するのにさえ十分なガスバリヤー性を有する包装材料を提供することができればはるかに望ましいであろう。そのような望ましい高性能酸素ガスバリヤー性は、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で約50cm3/m2またはそれより良好、例えば、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)で30cm3/m2までのオーダー、すなわち、例えば、約5μmのオーダーの厚さで用いたときのPVOH、EVOH(エチレンビニルアルコールコポリマー)またはポリアミド(PA)のものに匹敵する酸素ガスバリヤー性である。
【0015】
特許文献5は、ポリエステルなどのポリマーフィルムを界面活性剤を含むアミロースデンプンの分散液でコーティングし、180℃までの温度でデンプンを乾燥させる方法を開示している。例えば、0.7g(乾量)/m3のコーティングレベルで良好なガスバリヤー性が得られる。しかし、紙または板紙コアを有する積層包装材料で類似の性質を得ることが可能であるとは示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】スウェーデン特許第440519号
【特許文献2】PCT/SE96/01237
【特許文献3】WO97/22536
【特許文献4】WO97/16312
【特許文献5】FR−A−2684922
【発明の概要】
【0017】
この度、本発明者らは、バリヤー層としてアルミニウム箔を用いる包装材料の製造に用いられるタイプの慣用の製造装置を用いて実施するのに役立つ方法を用いて、特にガスに対する適切なバリヤー性を有する積層包装材料を製造し得ることを見出した。
さらに、包装用ラミネートにおいて、デンプンおよび類似材料を用いて高性能酸素バリヤー性を得ることが可能であることも立証した。
【0018】
本発明の第1の態様によると、紙または板紙のコア層と、コア層の片面に塗布されたバリヤー層とを有する積層包装材料を製造する方法が提供され、この方法は、ポリマー分散液またはポリマー溶液をバリヤー層として支持体層の少なくとも片面に塗布し、水分を除去するための加熱中に乾燥させ、その後で、塗布して乾燥させた層支持体層を、コア層の片面と結合させ、永久一体化させることを特徴とする。
【0019】
バリヤー層は、水性ポリマー分散液または溶液を用いたコーティングにより塗布するのが好ましい。PVOHは水溶液として塗布してよいが、デンプンは一部は水に分散し、一部は水に溶解していてよい。
【0020】
ポリマーは、ヒドロキシル官能基を有しているのが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、またはそれらのうちの2種以上の混合物から選択してよい。
【0021】
バリヤー層として塗布される上述の水性ポリマー分散液またはポリマー溶液は、約80〜200℃の温度で乾燥および場合により硬化させてよい。非硬化材料の場合は、約80〜130℃の温度で操作するのが好ましい。
【0022】
PVOHなどの材料は、好ましくは、先ず第1段階で、80〜160℃(好ましくは140〜160℃)のウェブ温度で乾燥させ、次いで第2段階で、170〜230℃のウェブ温度で硬化させて、80%RHで改良されたガスバリヤーを得るのが最も好ましい。場合により、支持体およびバリヤー材料を2つの段階の間で冷却してよい。
【0023】
カルボン酸官能基を有するポリマーも含まれ得る。これは、乾燥/硬化プロセス中にヒドロキシ官能基を有するポリマーと反応し得る。
カルボン酸官能基を有するポリマーは、エチレンアクリル酸コポリマーおよびエチレンメタクリル酸コポリマーまたはそれらの混合物から選択するのが適当である。
【0024】
1つの特に好ましいバリヤー層混合物は、ポリビニルアルコールとエチレンアクリル酸コポリマーの混合物である。
場合により、先ず、バリヤー層を乾燥させ、次いで、乾燥したバリヤー層を230℃まで、好ましくは約170℃までの温度で硬化させるようにより高い温度に加熱する。
【0025】
上述のバリヤー層は、乾量にして、好ましくは約0.5〜20g/m2、より好ましくは2〜10g/m2の量で支持体層に塗布する。
支持体層は、紙もしくはプラスチックまたはプラスチックコート紙からなっていてよく、好ましい材料を以下に記載する。
【0026】
1つのオプションとして、支持体層は、好ましくは約15〜35g/m2、例えば、15〜25g/m2、より好ましくは15g/m2のグラム量を有する紙からなる。
バリヤー材料を有する支持体層とコア層は種々の方法で互いに結合させてよい。
少なくとも1つの上述のバリヤー層を有する支持体層は、熱可塑性樹脂をコア層との間に押出すことにより、コア層と結合かつ一体化させてよい。
【0027】
従って、上述の支持体層がその片面にバリヤー層を有している場合、支持体層は、支持体層とコア層の間に熱可塑性樹脂層を押出すことにより結合させ得る。
場合により、熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレンからなる外層を、押出しによりバリヤー層に塗布する。
【0028】
上述の支持体層が片面または両面に上述のバリヤー層を有している場合、支持体層は、コア層と上述のバリヤー層との間に熱可塑性樹脂層を押出すことによりコア層と結合させ得る。
上述の支持体層がその両面にバリヤー層を有している場合、熱可塑性樹脂層は押出しによりバリヤー材料からなる外層に塗布する。
【0029】
コア層と支持体層または上述のバリヤー層の間に塗布されるプラスチック層は、光バリヤーとして機能する物質を含んでいてよい。これは、支持体層が紙または他の視覚的に不透明な材料からなる場合に特に好ましい。
【0030】
別個の製造工程で、水性ポリマー分散液またはポリマー溶液をバリヤー層として支持体層の少なくとも片面に塗布し、水分を除去するための加熱中にバリヤー層を乾燥させ、その後で、支持体層と、塗布して乾燥させたバリヤー層とをコア層の片面に結合かつ永久一体化させることにより、優れたバリヤー性を有するバリヤー層を含む積層包装材料が得られるであろう。
【0031】
バリヤー層が包装材料のラミネーションに関連して高温下に乾燥または硬化されないという事実のおかげで、コア層の過剰な吸水および紙または板紙のコア層の乾燥、その結果として生じるコア層の亀裂形成の恐れが完全に排除される。
【0032】
コア層と紙支持体層との間に塗布されるプラスチック層が光バリヤーとして機能する物質、理想的にはカーボンブラックを含んでいる場合、魅力的でない黒い外観がコア層とバリヤーを支持する薄紙層の間の層として隠された光バリヤー層が得られるであろう。
【0033】
本発明のこの態様による方法の1つの利点は、別工程で製造されたバリヤー層を、酸素ガスバリヤーとしてアルミニウム箔を有する包装材料の製造に現在用いられているものに対応する製造装置を用い、対応する方法で、積層包装材料の製造に用い得ることにある。
さらに、本発明者らは、積層ラミネートにおいて、デンプンおよび類似材料を用いて、高性能酸素バリヤー性を得ることが可能であることも立証した。
【0034】
従って、本発明は、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で50cm3/m2の酸素ガスバリヤー性を提供する、紙または板紙コアとデンプンまたはデンプン誘導体からなる1つ以上のガスバリヤー層とを有する包装用ラミネートを提供し、上述のガスバリヤー層は、7gm-2以下の乾燥コーティング総重量を有する。デンプンまたはデンプン誘導体層により提供される酸素バリヤー性は、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で40cm3/m2またはそれより良好であるのが好ましい。酸素バリヤー性が、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で30cm3/m2まで、例えば、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で10cm3/m2以下であればなお好ましい。
【0035】
包装用ラミネートは、上述のガスバリヤー層に直接ラミネートされた、プラスチックポリマー、好ましくは、熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンからなる層を含むのが好ましい。上述のポリマーはLDPEであるのが最も好ましい。用い得る他の熱可塑性樹脂には、(LLDPE、ULDPE、VLDPE、MPEおよびHDPEを含めた)他の全ての種類のポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリエチレンテレフタレートが含まれる。
【0036】
ガスバリヤー層は、7gm-2まで、例えば、0.5〜5gm-2、より好ましくは0.5〜3gm-2、例えば、1.5〜2gm-2の乾燥コーティング重量で塗布する。
ガスバリヤー層は全体的に天然材料製であるのが好ましいが、所望の特性に干渉しない他のポリマー材料を微量含んでいてもよい。例えば、ガスバリヤー層は、さらに、ヒドロキシル官能基を有する水溶性または水分散性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、およびエチレンアクリル酸などのカルボキシル基含有ポリオレフィン、またはそれらの混合物を微量含んでいてよい。そのような材料の量は、0〜30重量%、例えば、0〜20重量%または0〜10重量%であってよい。
【0037】
本発明者らは、デンプン層に、ポリエチレンを、例えば、200℃を超える高温で塗布すると、デンプンのガスバリヤー性が向上すること、および適切な条件下には、高性能レベルに到達させるか、またはさらにそれ以上にすることもできることを観測した。最適な特性を得る1つの好ましい方法は、デンプンまたはデンプン誘導体を特許文献4におけるように厚いコア層にでなく、本発明の第1の態様に従って分離した支持体層に塗布することである。その場合、ガスバリヤー層は紙またはプラスチック支持体層によって支持されるのが適当である。
【0038】
紙を用いる場合、薄いものが好ましい。例えば、上述の支持体層は、約10〜35g/m2、好ましくは10〜25g/m2の表面重量を有する紙からなっていてよい。紙は前以てプラスチック層でコートされていてもよい。
【0039】
デンプンを塗布した後、包装用ラミネートがその片面に上述の支持体層を有するコア層を含むように、支持体を紙または板紙コア材料と結合させてよい。上述のコア層の他の面にはヒートシール層を含めた1つ以上の層が存在していてよい。
デンプンまたはデンプン誘導体が塗布される支持体層の表面は、上述の液体媒体に対して実質的に不浸透性であるのが好ましい。
【0040】
表面の不浸透度は、例えば、表面吸収量を、Cobb単位〔「Cobb」=液体水に60秒間暴露した表面に吸収されたg(水)/m2〕として計測することにより測定し得る。他の液体の吸収量は類似の方法で測定できる。Cobb吸収量を測定する方法は、SCANの12〜64ページおよびTAPPI T441に記載されている。プラスチックの表面吸収量は一般に約1Cobbであるが、平滑な紙表面は通常約20〜30Cobbの吸収量を有しているであろう。本発明に用いる場合、支持体層の表面は、吸収量が、50Cobb以下、好ましくは30Cobb以下、より好ましくは20Cobb未満または最も好ましくは10Cobb以下、例えば、5Cobb未満であるのが適当である。
【0041】
デンプンまたはデンプン誘導体が塗布される支持体層の表面は、200Bendtsenまたはそれより良好な平滑性を有しているのが好ましい。Bendtsen平滑性を測定する方法は、SCAN(Scandinavian Pulp and Paper Norms)21〜67ページおよびTAPPI UM535に記載されている。
【0042】
基材がプラスチックであるか、またはプラスチック表面を有している場合、通常、例えばプラスチックフィルムまたはプラスチックコート紙支持体層におけるような上述の所望の平滑性が得られる。
【0043】
特許文献4で高いバリヤー性が得られなかった理由の1つは、板紙コア層が要求される不浸透度を有しておらず、そのために、用いられたデンプン水溶液が表面に浸透したかもしれないということであろう。これは、多くの意味で悪い作用をすることがある。さらに、そのまま板紙中に浸透するためにデンプン層に対して平滑かつ破断の無い表面が存在しないのかもしれない。あるいはまたはさらに、デンプン層を乾燥させるために板紙を乾燥することにより、板紙の表面変形が生じ、それによってデンプン層に亀裂が生じるのかもしれない。デンプンを、分離した平滑な不浸透性支持体層に塗布し、その後で支持体層をコア層にラミネートすれば、これらの問題は排除される。
【0044】
特許文献4で用いられた板紙は、典型的には、500〜600Bendtsenの表面平滑性を有していたと予想される。これは、それ自体で、デンプン層が平滑かつ破断が無いことを妨げるか、または酸素の透過路を提供する薄い領域を有することを防ぐには十分であったかもしれない。
【0045】
デンプンまたはデンプン誘導体層の亀裂、破裂または変形を回避するためには、デンプンまたはデンプン誘導体層を塗布する表面が平滑であること、例えば、基材表面が、200Bendtsenまたはそれより良好(すなわち、以下)、例えば、150Bendtsenまで、より好ましくは、約100Bendtsenの平滑性を有していることが好ましい。
【0046】
デンプンと共に用いるための支持体として記載された材料は、本発明の第1の態様に従って用いられる他のバリヤー材料と共に用いることもできる。しかし、一般に、デンプンを用いる場合にはプラスチックフィルム支持体が好ましく、乾燥および硬化のために100℃を超える温度に加熱され得るPVOHなどのバリヤー材料には、薄い紙支持体を用いるのが好ましい。
【0047】
本発明に用いるためのデンプンは、いずれの慣用タイプのものであってもよいが、本発明の条件下では、特定のデンプンが他のデンプンより良好な結果を提供する。酸化次亜塩素酸塩であるRaisamyl 306(Raisio)などの改質ジャガイモデンプンが好ましい。他の許容デンプンとしては、ヒドロキシプロピル化トウモロコシデンプンCerestar 05773などのトウモロコシデンプンおよび誘導体が挙げられる。
【0048】
本発明に用いるのに適したデンプン誘導体には、酸化デンプン、カチオンデンプンおよびヒドロキシプロピル化デンプンがある。
【0049】
本発明の包装用ラミネートのガスバリヤー性が、特定の材料、例えば、デンプンまたはデンプン誘導体によって提供されていると言及する場合、これは、ガスバリヤー性が、接触していない状態で観測される上述の材料の内部特性よりもむしろ、ラミネート中の上述の材料と隣接層との相互作用の結果である場合を含むことが理解されよう。
【0050】
ポリエチレンを高温でデンプン層に塗布したときに認められるバリヤー性の向上に貢献するメカニズムは、デンプン中にポリエチレン分子が侵入し、デンプン結晶中の水と入れ替わることから生じるのであろう。類似の効果を生じる他のポリマーを用いてもよい。
【0051】
上述のプラスチック層は、上述のデンプンまたはデンプン誘導体に溶融押出しによって塗布してもよいし、例えば、予備成形フィルムとして加熱ローラーを用いた熱圧ラミネーションにより塗布してもよい。一般に、この好ましい実施態様に従って、デンプンのバリヤー性を要求されるように改質させるいずれの方法を用いてもよい。
【0052】
上述のプラスチック層は、デンプンまたはデンプン誘導体に、200℃以上、好ましくは250〜350℃、より好ましくは250〜330℃の温度で接着させるのが好ましい。
【0053】
本発明は、本発明に記載されている包装用ラミネートを用いて成形されるか、または記載されている方法によって製造された包装容器または包装品を含む。
次に、本発明の好ましい実施態様に従って、方法およびその方法によって得ることができる包装用ラミネートの非限定的実施例により、かつ添付図面を参照して、本発明を以下にさらに詳細に説明かつ例示する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に用いるためのバリヤー層が塗布された支持体層を製造する方法の略図。
【図2】本発明の積層包装材料を製造する方法の略図。
【図3】本発明の積層包装材料の断面図。
【図4】本発明の積層包装材料から製造される慣用の形状安定性包装容器の上方からの斜視図。
【図5a】本発明の特定の実施態様による4種の異なる包装用ラミネート断面の略図。
【図5b】本発明の特定の実施態様による4種の異なる包装用ラミネート断面の略図。
【図5c】本発明の特定の実施態様による4種の異なる包装用ラミネート断面の略図。
【図5d】本発明の特定の実施態様による4種の異なる包装用ラミネート断面の略図。
【図6a】図5に記載されている各包装用ラミネートを製造する方法の略図。
【図6b】図5に記載されている各包装用ラミネートを製造する方法の略図。
【図6c】図5に記載されている各包装用ラミネートを製造する方法の略図。
【図6d】図5に記載されている各包装用ラミネートを製造する方法の略図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図面を参照すると、図1および図2は、図3に示されている積層包装材料10を製造するための実施例として選択された本発明の方法を略図で示している。場合によってプラスチック層でコート(被覆)されていてもよい例えば薄紙製の支持体層のウェブは、巻取り機(magazine reel)12から巻き出され、ウェブに隣接配置されているアプリケーター13(理想的には、コーティング装置)を通過し、それによって、水性ポリマー分散液またはポリマー溶液からなる少なくとも1つのバリヤー層が支持体層11の片面に実質的に凝集バリヤー層14の形態で塗布される。プラスチックコート紙支持体層の場合、ポリマー分散液または溶液は、プラスチックコートされた面に塗布するのが好ましい。塗布溶液の量は様々であってよいが、好ましくは、乾燥後に、完全に一体化され、実質的に破断の無い層が形成されるような量、例えば、乾量にして、約0.5〜20g/m2、好ましくは2〜10g/m2である。
【0056】
PVOHを用いる場合、支持体層11は、約10〜35g/m2、好ましくは10〜25g/m2、好ましくは15〜20g/m2のグラム量を有する薄紙層からなるのが好ましいが、プラスチック層であってもよい。しかし、薄紙は、乾燥および可能な硬化に関連した温度の上昇に対しても寸法が変わらないという利点があり、これはプラスチックには当てはまらない。一般に、塗布したポリマーを約130℃以上で硬化しようとする場合、支持体としてのプラスチックの使用は推奨されない。
【0057】
バリヤー層14は、コート層の形態で包装用ラミネートに添加するのが望ましい性質を有するポリマー、例えば、ヒドロキシ官能基を有するポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体またはそれらの混合物を含む水性ポリマー分散液またはポリマー溶液の形態で支持体層11に塗布される。
バリヤー層14は、特許文献3に記載されているような疎水性ポリマー、例えば、スチレンブタジエンコポリマーをさらに含んでいてよい。
【0058】
また、バリヤー層14は、架橋バリヤー層14を得るために、上述のポリマー中のヒドロキシル官能基に対して反応性の官能基を有するポリマーを含んでいてもよい。そのようなポリマーは、カルボン酸基で改質されたポリオレフィンまたはオレフィンホモポリマーもしくはコポリマー中にカルボン酸基を含むモノマーとのグラフトコポリマーであってよい。あるいは、そのようなポリマーは、オレフィンモノマーと、カルボン酸官能基を含むモノマー、例えば、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸の金属塩またはそれらの誘導体とのランダムコポリマーであってよい。適当な機能性ポリオレフィンの特定の例としては、マレイン酸無水物、エチレンアクリル酸(EAA)もしくはエチレンメタクリル酸(EMAA)をグラフトしたポリエチレンおよびポリプロピレンのホモポリマーもしくはコポリマー、またはランダムコポリマーが挙げられる。
【0059】
バリヤー層14はポリビニルアルコールとエチレンアクリル酸コポリマーの混合物を含むのが特に好ましい。バリヤー層14のポリビニルアルコールとエチレンアクリル酸コポリマーの混合比は、ポリビニルアルコールが包装用ラミネート中のガス輸送に対するブランケット保護を形成し得るような比率でなければならないと同時に、エチレンアクリル酸コポリマーの量は、ある程度はポリビニルアルコールを保護し、ある程度はバリヤー層14を通過する液体の輸送を効率的に阻止または防止する凝集相を形成するのに十分でなければならない。
【0060】
支持体層11のウェブは、コーティング後、さらに、乾燥装置15、例えば、IR乾燥機または熱風乾燥機を通過する。乾燥装置15は、支持体層のコートされた面に対し、塗布されたバリヤー層14を水分除去および乾燥ならびに恐らく硬化するために、約80〜100℃、好ましくは約90〜95℃の乾燥温度で、また適切な場合には、コートされたポリマー混合物中に含まれている官能基を架橋させるために、硬化温度、約190℃まで、好ましくは170℃の温度で作動する。
【0061】
最後に、塗布されたバリヤー層14を有する完成支持体層11は、巻取られた後、貯蔵されるか、またはそのまま、優れたバリヤー性を有する積層包装材料10を製造するための慣用のラミネーションプロセスに用いられる。
【0062】
塗布されたバリヤー層14を有する支持体層11は、バリヤー層としてアルミニウム箔を有する包装材料の製造に用いられているものに対応する方法でかつ対応する製造装置を用いて包装材料10の製造に用い得るのが理想的である。図2は、約100〜500g/m2、好ましくは約200〜300g/m2のグラム量を有する形状的に剛性であるが折り曲げ可能なコア層のウェブを示しており、このコア層は、適当な包装品質を有する慣用の紙または板紙繊維層であってよい。コア層16は、回転する2つのローラー17の間のニップに通され、押出機18を用いてコア層16と支持体層11の間に押出適性熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレンからなる1つ以上の層19を塗布している間に、乾燥または硬化したバリヤー層14を有する支持体層11のウェブと一体化される。図示されているように、バリヤー材料14は支持体層の外面上にあるが、あるいは、バリヤー材料14は内面上にあってもよい。
【0063】
このようにしてラミネートされたウェブは、最後に、押出機23を用いたウェブの両外面に対する押出適性熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレンからなる薄層21,22の同時塗布下に、回転する2つのローラー20の間のニップに通され、図3に略図で示されている断面構造を有する本発明の完成積層包装材料10が得られる。あるいは、積層ウェブの各外面上に熱可塑性樹脂からなる薄層21,22を連続押出しするために、2つの押出機23を順列配置してもよい。
【0064】
2つのプラスチック層21,22は、一方では、外部からの湿気や水蒸気の浸透から包装材料を保護すること、他方では、慣用のいわゆる熱シールにより包装材料をヒートシール適性とし、それによって、対面するプラスチック層を熱圧の供給下に表面融合により互いに接着させる機能を果たすというそれらの目的を有している。熱シール操作により、包装材料を完成包装容器に二次加工している間に、機械的強度の高い液体不浸透性シール接合面が得られる。
【0065】
完成包装容器において、包装材料10のコア層16の、外側に面して折り曲げられるように意図されている面に塗布されるプラスチック外層22は、装飾的かつ/または包装品を認識するための情報的性質を有する適当なプリントを備えていてよい。
【0066】
本発明の積層包装材料から、連続プロセスで材料を成形、充填かつシールして完成包装品50とする公知包装機および充填機を用いて、優れた酸素ガスバリヤー性を有する寸法安定性液体不浸透性包装品24を製造し得る。そのような慣用包装容器50の例が図4に示されている。
【0067】
先ず、ウェブ形状の積層包装材料10の縦縁を結合させて、意図する内容物を充填するチューブとし、その後、チューブを内容物のレベルより下で繰返し横シール(密封)して個々の包装品50をウェブから分ける。包装品50を、横シールゾーンで切断して互いに分離し、最終的な折り曲げ形成およびシール操作により、所望の幾何学的形状、通常は平行六面体を得る。
【0068】
本発明の種々の包装用ラミネートは図面に示されているものの他に多数の層を含み得ることに留意されたい。このように、層の数は多様であり得ること、従って、例示されている実施態様の説明は本発明を限定するものと解釈してはならないことは当業者には自明であろう。
【0069】
図5aは、参照番号10aが付された本発明の簡単な実施態様による包装用ラミネートの断面を略図で示しており、図6aは、(20aで示されている)ラミネート10aに用いた支持体層構造を製造する方法を略図で示している。ラミネート10aは、表面が平滑で、実質的に非吸収性のテクスチュアを有する支持体層11を含んでいる。支持体層11は、プラスチックフィルムであっても、上記の表面品質を有する薄紙であってもよい。表面重量が約10〜25g/m2の薄紙基材は、デンプン溶液から多くを吸収することができない。というのは、薄紙基材は極めて薄く、かつそのような市販の薄紙は、通常、極めて平滑で光沢のある硬質表面を有しているからである。このために特に好適な紙は、いわゆるグラシン紙であるが、これは他の市販の紙に比べてかなり高価である。紙は、表面重量が10〜25g/m2のMGクラフト紙(Munksjo)が適当であり、MGとは、紙が、好ましくはデンプンを塗布する片面において平滑であることを示している。基材11は、最も有利な表面特性を有しているという理由でプラスチックであるのが最も好ましい。
【0070】
デンプンの水溶液または分散液からなる薄層は、基材層11のウェブの上面に塗布され、ウェブは、巻取り機(図示せず)から矢印の方向にコーティングステーション13aに導かれる。デンプン溶液は、従来の水溶液および分散液コーティング技術においては周知である「分散液塗布」(dispersion coating)または「液状塗布」(wet coating)とも称される液体薄塗技術により塗布するのが好ましいが、本発明に従って、他のコーティング法、例えば、吹付塗布(spray coating)も実行可能である。デンプン水溶液は、塗布して乾燥させたデンプン層14が約0.5〜約3g/m2の厚さ/表面重量を有するような量で塗布する。
【0071】
水溶液でコートされたウェブは、さらに乾燥ステーション15aに導かれ、そこで、ウェブは塗布されたデンプン水溶液から水分を除去するために乾燥装置により乾燥される。乾燥は、赤外線(IR)乾燥機または熱風乾燥機などの慣用の乾燥装置で実施し得る。乾燥は、約80〜100℃の温度で実施するのが好ましい。
【0072】
デンプンからなる上層14を有する乾燥されたウェブは、乾燥ステーションからさらに押出機ステーション23aに導かれ、そこで、ウェブとデンプン層はさらにプラスチック層21にラミネートされる。デンプン表面とプラスチック層とのラミネーションは、熱とプラスチックを同時に加えることにより得られるプラスチック層とデンプン層12の間の表面融合によって実施される。溶融ポリマーを乾燥デンプン層上に押出すと同時に、ウェブを回転する2つの冷却ローラー24aの間のニップに通し、それによって、図1aの断面図で示されているような、デンプン層14にプラスチック外層21がラミネートされた包装用ラミネート10aの上部3層を提供するラミネートを形成するのが好ましい。押出されるプラスチック材料は、(好ましくは)熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはLDPEであり、それによって、包装用ラミネート10aをいわゆる熱シールにより効率的に寸法安定性液体不浸透性包装品に二次加工することができる。押出し温度は、200℃以上、好ましくは約250℃〜約330℃である。
【0073】
あるいは、上述のデンプン層14とプラスチック層21の間の表面融合は、熱圧を同時に加えること、好ましくは、デンプンコート基材とプラスチックフィルムを一緒に熱間ローラーのニップに通すことにより、予備製造された熱可塑性樹脂フィルムを乾燥デンプン層14にラミネートして得てもよい。熱間ローラーによって供給される温度は、200℃〜約350℃、好ましくは約250℃〜約330℃である。
【0074】
次いで、そのようにして製造された3層ラミネートを図2に示されている板紙コア16にラミネートして包装用ラミネート10aを製造し得る。
図5bは、本発明の別の実施態様による包装用ラミネート10bの断面を略図で示しており、図6bは、(20bで示されている)ラミネート10bの製造法を略図で示している。
【0075】
本発明のこの実施態様によれば、基材または支持体層11はその両面に、図5aおよび図6aの実施態様で説明したものと同じ方法で、デンプン水溶液が塗布される。
【0076】
その結果、図6bの方法で製造されたラミネート10bは、好ましくはプラスチックフィルムである上記定義の基材層11と、基材層11の各面に塗布された薄いデンプン層(14,14′)と、上述のように熱を同時に加えることにより得られたプラスチック外層とデンプンの表面融合により各デンプン層の外面にラミネートされたプラスチック外層(21,21′)とを含む。そのような層構造により二重のガスバリヤー効果が得られる筈である。というのは、デンプンとプラスチックの間に2つの融着界面が得られるからである。
【0077】
従って、図6bの方法により、デンプン水溶液の薄い層が基材層11のウェブの各面に塗布され、基材層11は巻取り機(図示せず)から矢印の方向にコーティングステーション13bに導かれる。デンプン溶液は、分散液コーティング技術により、塗布して乾燥させたデンプン層14,14′がそれぞれ約0.5〜約3g/m2の厚さ/表面重量を有するような量で基材層11の両面に塗布するのが好ましい。
【0078】
水溶液でコートされたウェブは、さらに、乾燥ステーション15bに導かれ、そこで、ウェブはデンプン水溶液が塗布された層から水分を除去するために乾燥装置により乾燥される。乾燥は、上述のように、約80〜100℃の温度で実施するのが好ましい。
【0079】
デンプンからなる上層14と下層14′を有する乾燥ウェブは、乾燥ステーションから、さらに、曲げローラー25を経由して押出ステーション23bに導かれ、そこで、ウェブはさらに各面にプラスチックが塗布される。このように、プラスチック層21および21′は、ウェブの各面に対して作動する各押出機26,27により塗布される。溶融ポリマーは、ウェブが乾燥デンプン層に塗布されると同時に、原則として上述のように、回転する2つの冷却ローラー24bの間のニップに通されて、図5bの断面図に示されているようなラミネート10bが形成される。ラミネート10bは、コア層と一体化されて、図2に示されているような完成包装用ユニットを形成し得る。
【0080】
図5cは、本発明の代替実施態様による包装用ラミネート10cの断面を略図で示しており、図6cは(20cで示されている)ラミネート10cの製造法を略図で示している。
【0081】
本発明に用いるための紙または板紙コア層は、通常、約100〜約400μmの厚さと、約100〜500g/m2、好ましくは約200〜300g/m2の表面重量を有している。
【0082】
方法20cによれば、そのようなコア層16の第1のウェブは、巻取り機(図示せず)から矢印の方向に押出しラミネーションステーション28に導かれ、そこで、両面に乾燥デンプン層14,14′がラミネートされた支持体層11の第2のウェブと並置され、熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはLDPEからなる中間溶融押出しラミネーション層19によりコア層にラミネートされる。
【0083】
ラミネートされたコア層、デンプン層および基材層からなるウェブは、さらに、押出しステーション29に導かれ、そこで、好ましくはLDPEなどの熱可塑性樹脂からなる外層21,22がさらにラミネート16′の各面に押出され、その結果、コア層にラミネートされた面と反対側の基材層11の外面上のデンプン層と、コア層16の対向面は共に、押し出された熱可塑性樹脂によってコートされ、層21および22が形成される。
【0084】
外層14として適当な熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレン、最も好ましくは、例えば、LDPE、線状LDPE(LLDPE)などの低密度ポリエチレン、またはシングルサイト触媒メタロセンポリエチレン(m−PE)である。あるいは、最後には包装用ラミネートから製造された包装容器の外側を形成する外層22は、デンプン溶液のコーティング段階および乾燥段階の前の段階でコアウェブ16に塗布してもよい。
【0085】
図5dは、本発明の別の実施態様による包装用ラミネート10dの断面を略図で示しており、図6dは、(20dで示されている)ラミネート10dの製造法を略図で示している。包装用ラミネート10dは、上述の方法20aに記載されているように、最初の段階で、デンプン水溶液からなる薄い層12をプラスチックフィルムからなる基材層11の上面に塗布して乾燥させることにより製造される。
【0086】
方法20dによれば、コア層16の第1のウェブは巻取り機(図示せず)から矢印の方向に押出しラミネーションステーション28′に導かれ、そこで、乾燥デンプン層14が片面に塗布された基材層11のウェブは、デンプン層14がコア層に向かい合うようにコア層と並置され、熱可塑性ポリマー、好ましくはポリエチレン、最も好ましくはLDPEからなる中間溶融押出しラミネーション層によりコア層にラミネートされる。基材層11、すなわちプラスチックフィルムは、包装用ラミネートの外層を形成し、包装用ラミネートから製造された包装容器の内側に向けられて、容器の内層となる。最終押出機ステーション29′では、熱可塑性樹脂からなる外層17は押出しコーティングにより塗布される。
【0087】
特許文献4に記載されているラミネートの問題点は、それらの製造に、ガスバリヤーとして慣用的に使用されているアルミニウム箔を用いる板紙ラミネートとは完全に異なる機械を必要とすることである。そのような包装用ラミネートは、ポリエチレンを用いて板紙基材をバリヤー箔に押出しラミネートして製造される。それに対し、上記からわかるように、片面または両面にデンプンコーティングを有するプラスチックまたは薄紙支持体層は、デンプン層の片面または両面にすでにプラスチックがラミネートされているかどうかに拘わらず、慣用の機械を微調整するだけで容易にアルミニウム箔と置き換えることができる。デンプンを支持する支持体材料の製造は、工場の現存二次加工ラインを新しい材料の使用に対して容易に適合できるようにする必要がある場合、別の施設で完全に別個に行うことができる。
【0088】
このように、例示した方法の好ましい実施態様による他の重要な利点は、デンプン溶液の塗布段階および乾燥段階をラミネーション加工ラインとは別個に実施することができ、それによってコア層を有する包装用ラミネートを製造する際にラミネーション装置の費用のかかる改造や再構築が回避されることである。デンプン層をプラスチックフィルムまたは平滑で実質的に非吸収性表面を有する薄紙などの薄い支持体層に塗布することにより、その後でプラスチック層およびコア層をさらにラミネートする際のラミネーション作業は、例えば、Al箔や内層をラミネートするときに現在用いられているものと同じ装置およびプロセスを用いて実施し得る。
【0089】
近代的で合理的な包装機および充填機を用いて包装品を成形、充填、シールする慣用の「フォーム・フィル・シール」技術に従って、好ましくは前以て折り目が付けられ、彩色されたシートまたはウェブ形状の包装用ラミネート10のブランクから、1回使用使い捨てタイプの寸法安定性液体不浸透性包装品が製造される。そのような包装品は、例えば、包装用ラミネートのウェブから、先ず、ウェブをチューブに変形させ、チューブの両縦縁を縦オーバーラップ接合シールとしてヒートシールにより互いに一体化させて製造する。チューブに、意図する内容物、例えば、液状食品を充填し、チューブの内容物のレベルの下でチューブの縦軸を横断してチューブを繰返し横シールし、個々の包装品に分割する。最後に横シールに沿って横断方向に切断して包装品を互いに分離し、それ自体公知の方法で、さらに成形およびヒートシール操作して、所望の幾何学的形態、通常は平行六面体形態を得る。
【0090】
上述の方法および材料を用い、デンプンまたは誘導体の水溶液を、デンプン層を支持するための特に選択された材料からなる基材層に塗布し、その後、乾燥し、プラスチック表面の熱融合によりプラスチック層にラミネートすることにより、包装用ラミネートにおいて、特許文献4のものに比べて高度に改良されたガスバリヤー性が得られる。ラミネートされたデンプン層のガスバリヤー性は、急激に約10倍も向上し、いわゆる高性能バリヤー層が得られた。最高のガスバリヤー結果は、支持体層がポリマーからなるか、またはポリマーコート表面を有している場合に得られたが、表面重量が約10〜25g/m2の平滑で実質的に非吸収性表面を有する薄紙層も、デンプンに関連して既に公知のものに比べて改良されたガスバリヤー性を提供する。
【0091】
1m2当たり2gのデンプンをプラスチックフィルム(ポリエステル−PET)上にコーティングし、次いで、LDPE層を押出しコーティングすると、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)でわずか9cm3/m2の酸素ガスバリヤーが得られる。同様に、5g/m2のデンプン層では約4cm3/m2、7g/m2ではわずか3cm3/m2の酸素バリヤーが得られる。
【0092】
従って、プラスチックまたはプラスチック表面を有する支持体層を用いた場合、これらの実施例で得られる最適なガスバリヤー性は、少なくとも部分的には、表面の品質、すなわち、平滑性および液体反発性(liquid repellency)の結果であると考えられる。デンプン層とプラスチック層の間の融着界面を用いて得られる効果のメカニズムは完全には解明されていないが、最適なガスバリヤー性は、一部には、デンプン層の両面にそのような界面が形成されている結果でもあろう。というのは、デンプンが塗布される基材層はプラスチック層であり、同種の現象がデンプン層とプラスチック層に熱を加えるとこの界面にも発生し得るからである。
【0093】
本発明のデンプンガスバリヤー層は、約0.5〜5g/m2乾量で塗布するのが有利である。0.5g/m2より低い量では、層厚の許容度およびガスバリヤー性の信頼度が低くなるであろう。一方、約3g/m2を超える量では、デンプンバリヤー層が脆くなり、柔軟性がなくなる恐れが高くなるであろう。しかし、約5g/m2乾量までの塗布量は可能であり、ある種の包装品や用途によっては、もっと多い量でも許容可能なことがある。デンプン層のガスバリヤー性は、一般に、厚さが増大するにつれ向上する。デンプンの最適かつ好ましい塗布量は、約1.5〜約2g/m2の範囲である。
【0094】
実施例
外面に12g/m2のLDPEを有するBillerud Duplex板紙コアを用いて包装用ラミネートを作製した。
これらは、表面重量が280g/m2で、曲げ剛性(bending stiffness/flexural rigidity)が320mNの「Duplex」板紙(Billerud)に325℃でLDPEを押出しコートして作製した。
【0095】
一軸スクリュー押出機を用い、板紙が冷却ローラーと逆圧ローラーの間を通過する直前に板紙上にLDPEを押出した。冷却ローラーは表面温度が約10〜15℃であった。
【0096】
表1に詳述されているように支持体材料とバリヤー材料の種々の組み合わせを調製し、それぞれを、325℃で10〜15g/m2のLDPE層を間に押出して板紙コアの内側にラミネートした。バリヤー材料/支持体材料を調製する際には、要素デンプンは、乾燥粉末状態から、デンプンと水を周囲温度で混合してスラリーを形成することによりコーティングに使用するように準備した。スラリーを攪拌しながら90〜95℃に加熱し、30分間この温度に保った。加熱中にデンプンは膨潤した。
【0097】
可能なら、例えば、Raisamyl 306酸化デンプン(Raisio)を用いる場合、コーティングに使用する前にデンプンを室温に冷却した。しかし、こうするとデンプンがゲル化してしまう場合、例えば、CERESTAR ヒドロキシプロピル化デンプンの場合には、デンプンは高温(60℃)でコーティングしたであろう。
【0098】
「コンマダイレクトコーター」(comma−direct coater)または「ブルノーズコーター」(bull−nose coater)としても知られている、Hirano製ロール式ナイフ液体薄塗/分散液塗布機を用いて、所望の乾燥コーティング重量の約10倍の湿量をウェブ形態の支持体材料に塗布した。
【0099】
デンプンに対して、80〜100℃までのIR加熱を用いる第1の乾燥段階を用いて乾燥プロセスを加速し、次いで、熱風乾燥段階で、デンプンコーティングを110℃の温度で1m/分のウェブ速度で熱風乾燥した。一般に、ライン速度に応じて100〜130℃の温度が適当である。
【0100】
乾燥したデンプン層をLDPEで押出しコーティングする場合もあった。約25g/m2のLDPEを、325℃、約200m/分で、乾燥デンプン層上に押し出し、上述のように10〜15℃の冷却ローラーにかけた。押出しダイとウェブとの間隔は通常10〜30cmであった。押し出されたLDPEは冷却ローラーと逆圧ローラーの間に入る直前にウェブに当たった。
【0101】
PVOH/EAAを水溶液として塗布し、150℃で乾燥、225℃で硬化させた。
(必要な場合にはOPETの貢献を除去するように調整した)包装用ラミネートの酸素ガスバリヤーに関して得られた結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
本発明が例示された実施態様には限定されず、添付請求の範囲で限定されている本発明の概念の範囲から逸脱しなければ、種々の変更および改変を行うことが可能であることは当業者には自明であろう。例えば、例示されている包装材料の構造は、例示されている層の数に限定されず、この数はもっと多くても少なくてもよく、また、包装材料の所望の用途に応じて変え得ることは勿論である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙または板紙のコア層(16)と、コア層の片面に塗布されたガスバリヤー層(14)とを含む積層包装材料を製造する方法であって、ポリマー分散液またはポリマー溶液をガスバリヤー層(14)として紙またはプラスチックコート紙の支持体層(11)の少なくとも片面に塗布し、水分を除去するための加熱中に乾燥させ、その後に、塗布して乾燥させたガスバリヤー層(14)を帯びた支持体層(11)をコア層(16)の片面と結合させることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記ガスバリヤー層(14)が、水性ポリマー分散液または溶液を用いて液体薄塗法により塗布される、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、ガスバリヤー層(14)として塗布された前記水性ポリマー分散液またはポリマー溶液がヒドロキシル官能基を有するポリマーを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記ヒドロキシル官能基を有するポリマーが、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、またはそれらの2種以上からなる混合物の中から選択される、方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法において、ガスバリヤー層(14)として塗布された前記水性ポリマー分散液またはポリマー溶液を、80〜230℃の温度で乾燥および硬化させる、方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法において、ガスバリヤー層(14)として塗布された前記水性ポリマー分散液またはポリマー溶液を、140〜160℃の温度で乾燥し、170〜230℃の温度で硬化させる、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法において、ガスバリヤー層(14)として塗布された前記水性ポリマー分散液またはポリマー溶液が、カルボン酸官能基を有するポリマーをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記カルボン酸官能基を有するポリマーが、エチレンアクリル酸コポリマーおよびエチレンメタクリル酸コポリマーまたはそれらの混合物の中から選択される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記ガスバリヤー層(14)が、ポリビニルアルコールとエチレンアクリル酸コポリマーの混合物からなる、方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載の方法において、乾燥させたガスバリヤー層(14)を190℃までの温度で硬化させる、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法において、前記ガスバリヤー層(14)が、0.5〜20g/m2の量で支持体層(11)上に塗布される、方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法において、前記ガスバリヤー層(14)が、2〜10g/m2の量で支持体層(11)上に塗布される、方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法において、前記支持体層(11)が、15〜35g/m2のグラム量を有する紙からなる、方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法において、少なくとも1つの前記ガスバリヤー層を有する支持体層を、コア層との間に熱可塑性樹脂層を押出すことによりコア層と結合させる、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記支持体層が、その片面に前記ガスバリヤー層を有すると共に、支持体層とコア層の間に熱可塑性樹脂層(19)を押出すことによりコア層と結合する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、熱可塑性樹脂からなる外層(21,22)を押出しによりガスバリヤー層(14)に塗布する、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、前記支持体層が、その片面または両面に前記ガスバリヤー層を有すると共に、コア層と前記ガスバリヤー層との間に熱可塑性樹脂層(19)を押出すことによりコア層と結合する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記支持体層がその両面に前記ガスバリヤー層を有し、熱可塑性樹脂層(19)が押出しにより、ガスバリヤー材料からなる外層に塗布される、方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法において、コア層(16)と支持体層(11)または前記ガスバリヤー層(14)の間に塗布される熱可塑性樹脂層(19)が光バリヤーとして機能する物質を含む、方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法により製造される積層包装材料(10)。
【請求項21】
紙または板紙コアと、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で50cm3/m2またはそれより良好な酸素ガスバリヤー性を提供するデンプンまたはデンプン誘導体からなる1つ以上のガスバリヤー層(14)とを有する包装用ラミネート(10)であって、前記ガスバリヤー層が7gm-2以下の乾燥コーティング総重量である、包装用ラミネート。
【請求項22】
請求項21に記載の包装用ラミネート(10)において、デンプンまたはデンプン誘導体によって提供される酸素バリヤー性が、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で30cm3/m2またはそれより良好である、包装用ラミネート。
【請求項23】
請求項21または22に記載の包装用ラミネート(10)において、前記ガスバリヤー層(14)に直接ラミネートされたプラスチック層を含む、包装用ラミネート。
【請求項24】
請求項23に記載の包装用ラミネート(10)において、前記プラスチックが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートである、包装用ラミネート。
【請求項25】
請求項21から24のいずれか一項に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、5gm-2までの乾燥コーティング重量で塗布される、包装用ラミネート。
【請求項26】
請求項25に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、0.5〜4gm-2の乾燥コーティング重量で塗布される、包装用ラミネート。
【請求項27】
請求項25に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、0.5〜3gm-2の乾燥コーティング重量で塗布される、包装用ラミネート。
【請求項28】
請求項25に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、1.5〜2gm-2の乾燥コーティング重量で塗布される、包装用ラミネート。
【請求項29】
請求項21から28のいずれか一項に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、微量のポリビニルアルコール、エチレンアクリル酸またはそれらの混合物をさらに含む、包装用ラミネート。
【請求項30】
請求項20から29のいずれか一項に記載のシートまたはウェブ形状の積層包装材料(10)を折り曲げ成形して製造する包装容器(24)。
【請求項31】
紙または板紙のコア層(16)と、コア層の片面に塗布されたガスバリヤー層(14)とを含む積層包装材料を製造する方法であって、ポリマー分散液またはポリマー溶液をガスバリヤー層(14)として紙またはプラスチックコート紙の支持体層(11)の少なくとも片面に塗布し、水分を除去するための加熱中に乾燥させ、その後に、塗布して乾燥させたバリヤー層(14)を帯びた支持体層(11)をコア層(16)の片面に、これら支持体層とコア層との間に光バリヤーとして機能する物質を含んだ熱可塑性樹脂層を押出すことにより結合させることを特徴とする方法。
【請求項1】
紙または板紙のコア層(16)と、コア層の片面に塗布されたガスバリヤー層(14)とを含む積層包装材料を製造する方法であって、ポリマー分散液またはポリマー溶液をガスバリヤー層(14)として紙またはプラスチックコート紙の支持体層(11)の少なくとも片面に塗布し、水分を除去するための加熱中に乾燥させ、その後に、塗布して乾燥させたガスバリヤー層(14)を帯びた支持体層(11)をコア層(16)の片面と結合させることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記ガスバリヤー層(14)が、水性ポリマー分散液または溶液を用いて液体薄塗法により塗布される、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、ガスバリヤー層(14)として塗布された前記水性ポリマー分散液またはポリマー溶液がヒドロキシル官能基を有するポリマーを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記ヒドロキシル官能基を有するポリマーが、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、カルボキシルメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、またはそれらの2種以上からなる混合物の中から選択される、方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法において、ガスバリヤー層(14)として塗布された前記水性ポリマー分散液またはポリマー溶液を、80〜230℃の温度で乾燥および硬化させる、方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法において、ガスバリヤー層(14)として塗布された前記水性ポリマー分散液またはポリマー溶液を、140〜160℃の温度で乾燥し、170〜230℃の温度で硬化させる、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法において、ガスバリヤー層(14)として塗布された前記水性ポリマー分散液またはポリマー溶液が、カルボン酸官能基を有するポリマーをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記カルボン酸官能基を有するポリマーが、エチレンアクリル酸コポリマーおよびエチレンメタクリル酸コポリマーまたはそれらの混合物の中から選択される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記ガスバリヤー層(14)が、ポリビニルアルコールとエチレンアクリル酸コポリマーの混合物からなる、方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載の方法において、乾燥させたガスバリヤー層(14)を190℃までの温度で硬化させる、方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法において、前記ガスバリヤー層(14)が、0.5〜20g/m2の量で支持体層(11)上に塗布される、方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の方法において、前記ガスバリヤー層(14)が、2〜10g/m2の量で支持体層(11)上に塗布される、方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法において、前記支持体層(11)が、15〜35g/m2のグラム量を有する紙からなる、方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法において、少なくとも1つの前記ガスバリヤー層を有する支持体層を、コア層との間に熱可塑性樹脂層を押出すことによりコア層と結合させる、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記支持体層が、その片面に前記ガスバリヤー層を有すると共に、支持体層とコア層の間に熱可塑性樹脂層(19)を押出すことによりコア層と結合する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、熱可塑性樹脂からなる外層(21,22)を押出しによりガスバリヤー層(14)に塗布する、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、前記支持体層が、その片面または両面に前記ガスバリヤー層を有すると共に、コア層と前記ガスバリヤー層との間に熱可塑性樹脂層(19)を押出すことによりコア層と結合する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記支持体層がその両面に前記ガスバリヤー層を有し、熱可塑性樹脂層(19)が押出しにより、ガスバリヤー材料からなる外層に塗布される、方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の方法において、コア層(16)と支持体層(11)または前記ガスバリヤー層(14)の間に塗布される熱可塑性樹脂層(19)が光バリヤーとして機能する物質を含む、方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法により製造される積層包装材料(10)。
【請求項21】
紙または板紙コアと、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で50cm3/m2またはそれより良好な酸素ガスバリヤー性を提供するデンプンまたはデンプン誘導体からなる1つ以上のガスバリヤー層(14)とを有する包装用ラミネート(10)であって、前記ガスバリヤー層が7gm-2以下の乾燥コーティング総重量である、包装用ラミネート。
【請求項22】
請求項21に記載の包装用ラミネート(10)において、デンプンまたはデンプン誘導体によって提供される酸素バリヤー性が、24時間、1.01325*105Pa(1 atm)(23℃、50%RH)で30cm3/m2またはそれより良好である、包装用ラミネート。
【請求項23】
請求項21または22に記載の包装用ラミネート(10)において、前記ガスバリヤー層(14)に直接ラミネートされたプラスチック層を含む、包装用ラミネート。
【請求項24】
請求項23に記載の包装用ラミネート(10)において、前記プラスチックが、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートである、包装用ラミネート。
【請求項25】
請求項21から24のいずれか一項に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、5gm-2までの乾燥コーティング重量で塗布される、包装用ラミネート。
【請求項26】
請求項25に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、0.5〜4gm-2の乾燥コーティング重量で塗布される、包装用ラミネート。
【請求項27】
請求項25に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、0.5〜3gm-2の乾燥コーティング重量で塗布される、包装用ラミネート。
【請求項28】
請求項25に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、1.5〜2gm-2の乾燥コーティング重量で塗布される、包装用ラミネート。
【請求項29】
請求項21から28のいずれか一項に記載の包装用ラミネート(10)において、1つまたは複数のガスバリヤー層(14)がそれぞれ、微量のポリビニルアルコール、エチレンアクリル酸またはそれらの混合物をさらに含む、包装用ラミネート。
【請求項30】
請求項20から29のいずれか一項に記載のシートまたはウェブ形状の積層包装材料(10)を折り曲げ成形して製造する包装容器(24)。
【請求項31】
紙または板紙のコア層(16)と、コア層の片面に塗布されたガスバリヤー層(14)とを含む積層包装材料を製造する方法であって、ポリマー分散液またはポリマー溶液をガスバリヤー層(14)として紙またはプラスチックコート紙の支持体層(11)の少なくとも片面に塗布し、水分を除去するための加熱中に乾燥させ、その後に、塗布して乾燥させたバリヤー層(14)を帯びた支持体層(11)をコア層(16)の片面に、これら支持体層とコア層との間に光バリヤーとして機能する物質を含んだ熱可塑性樹脂層を押出すことにより結合させることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【公開番号】特開2009−190409(P2009−190409A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125431(P2009−125431)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【分割の表示】特願2000−535515(P2000−535515)の分割
【原出願日】平成11年3月9日(1999.3.9)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【分割の表示】特願2000−535515(P2000−535515)の分割
【原出願日】平成11年3月9日(1999.3.9)
【出願人】(591007424)テトラ ラバル ホールデイングス エ フイナンス ソシエテ アノニム (190)
【Fターム(参考)】
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