説明

積層型電子部品の製造装置

【課題】高精度な電極パターンを形成可能な積層型電子部品の製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】上面に平滑面を有する複数の基台13を回動可能に連結してなる搬送部14と、グリーンシート7を所定の張力を付加して供給する巻き出し供給手段10と、前記巻き出し供給手段10から供給されるグリーンシート7に接着剤を塗布する接着剤塗布手段11と、前記グリーンシート7を前記基台13に押圧する押圧手段12と、前記グリーンシート7を、前記基台13毎に個片に切断する切断手段16と、前記グリーンシート7に電極を形成する電極形成手段18と、前記グリーンシート7を乾燥する乾燥手段21とを備えた積層型電子部品の製造装置であって、前記搬送部14の一部が水平搬送部19からなり、前記水平搬送部19に電極形成手段18を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック積層コンデンサなど積層型電子部品の製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の製造装置の一例を図2に示す。
【0003】
グリーンシート1bを所定の張力を付加して供給する巻き出し供給手段1と、グリーンシート1bを外周面に巻き付けて積層体を形成する積層ドラム2と、積層ドラム2の回転角を検出する回転角度検出装置3と、回転角度検出装置3の情報に基づき、グリーンシート1bを巻き付けながら積層ドラム2に巻き付けたグリーンシート1b上に内部電極を形成する内部電極印刷部4とを備えることにより、高速で積層体が製造できるものである。
【0004】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2003−217992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例では、積層体を形成する積層ドラム2を多面体とすることで、電極印刷部4で印刷するために、図3に示す平面6を得ている。そのため、平面5は間欠駆動されるため、平面6に対して面で印刷する必要があり、電極印刷部4にインクジェット方式などの吐出手段を選択した場合、積層ドラム2の回転方向に対して塗布距離が異なるため、図3に示す電極パターンのように所定のパターンが得られなくなる課題があった。
【0006】
そこで本発明は、電極パターンの精度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして上記目的を達成するために、本発明は、上面に平滑面を有する複数の基台を回動可能に連結してなる搬送部と、前記基台上に、張力を付加したグリーンシートを供給する巻き出し供給手段と、前記巻き出し供給手段から供給されるグリーンシートに接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、前記グリーンシートを前記基台に押圧する押圧手段と、前記グリーンシートを前記基台毎に切断する切断手段と、前記グリーンシートの位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の情報から前記グリーンシートに電極を形成する電極形成手段と、前記グリーンシートを乾燥する乾燥手段とを備えた積層型電子部品の製造装置であって、前記搬送部の一部が水平搬送部からなり、前記水平搬送部に電極形成手段を設けた積層型電子部品の製造装置であって、前記搬送部の一部が水平搬送部とし、前記水平搬送部に電極形成手段を設けた構成としたので、水平搬送部で電極パターンを形成でき、その結果、電極パターンの精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層型電子部品の製造装置は、上面に平滑面を有する複数の基台を回動可能に連結してなる搬送部と、前記基台上に、張力を付加したグリーンシートを供給する巻き出し供給手段と、前記巻き出し供給手段から供給されるグリーンシートに接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、前記グリーンシートを前記基台に押圧する押圧手段と、前記グリーンシートを前記基台毎に切断する切断手段と、前記グリーンシートの位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の情報から前記グリーンシートに電極を形成する電極形成手段と、前記グリーンシートを乾燥する乾燥手段とを備えた積層型電子部品の製造装置であって、特に搬送部の一部を水平搬送部として電極形成手段を設けた構造とした。この搬送部の一部を水平搬送部とし、電極形成手段を搬送方向に対して直交するように配置することにより、例えば電極形成手段にインクジェット方式などの吐出方式を選択することで、連続搬送しながら基台上のグリーンシートに補正をせず、高い精度で電極パターンを形成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1を用いて本発明の一実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態を示す積層型電子部品の製造装置の側面図である。本装置に供給されるグリーンシート7は、グリーンシート7を巻き付けたシートロール8、グリーンシート7の巻き出し量と張力調整手段からなる巻き出し量調整装置9からなる巻き出し供給手段10から供給される。巻き出し供給手段10から供給されたグリーンシート7は、接着剤塗布手段11に供給され、一面全体に破線に示す接着剤を塗布される。本実施の形態では、接着剤の塗布方法として、スプレー法を選択したが、ローラーによる塗布などでもよい。この接着剤塗布手段11はグリーンシート7の略垂直下方に設置されており、接着剤塗布面を下方にした状態で押圧手段12へ供給される。このように、接着剤塗布面を下方にすることで、接着剤塗布後のダストの付着を防止できるため、積層不良を低減することが可能となる。
【0011】
押圧手段12へ供給されたグリーンシート7は、押圧手段12で反転され、接着剤塗布面が上面側となり、さらに基台13へ押圧することで貼り付けられる。この押圧手段12は、ゴムやシリコンなどの弾性体で製造したローラーとすることで、グリーンシート7の接着剤塗布面の反転と、基台13への押圧が同時に可能となる。さらに、押圧手段12に加熱手段を設けることで、基台13への接着をより強固なものとすることができるため、グリーンシート7の位置ずれを防止することができる。
【0012】
本実施の形態では、基台13に直接グリーンシート7を接着・固定せず、薄い鉄板上に、両面が加熱により発泡することで粘着性が低下する発泡剥離シートを載置し、前記発泡剥離シート上にグリーンシート7を押圧手段12により押圧して接着した。鉄板は、基台13に埋め込まれた磁石と、角部に配置した係止ブロックにより一定位置に固定される。
【0013】
また、基台13は、その両端部が互いに回動可能に連結されており、全体として閉じたループ状の搬送部14を構成している。この搬送部14により、後述する複数の作業手段を経たグリーンシート7は、再度押圧手段12に戻り、積層工程を繰り返すことになる。
【0014】
基台13へ貼り付けられたグリーンシート7は、切断手段16で基台13毎に所定の形状の個片に切断される。尚、切断手段16には、加熱機構を設けることにより切断時のグリーンシート7の位置ずれを防止し、切断の精度を高めることができる。
【0015】
切断手段16で個片に切断されたグリーンシート7は、基台13で搬送され、第一の方向転換部17を経由してグリーンシート7が基台13の上面側となり、電極形成手段18へ搬送される。この電極形成手段18の直前には、位置検出手段15が設けられている。位置検出手段15は、リニアセンサやフォトセンサなどでもよいし、グリーンシート7の端部に切り欠きや穴などを設けられるときは、カメラなどを用いて画像認識してもよい。さらに、電極形成手段18を複数設ける場合は、この位置検出手段15を、電極形成手段18毎に設けることで、さらに高い精度で電極を形成することが可能となる。
【0016】
電極形成手段18は、インクジェット法などによる吐出方式でも良いし、グラビア印刷法を選択してもよい。本実施の形態では、電極形成手段18において基台13を水平に搬送する水平搬送部19とした。そのため、基台13上の個片に切断されたグリーンシート7は、水平方向に搬送されるため、上記インクジェット法やグラビア印刷法を選択すれば、塗布ノズルや印刷ロールを基台の搬送方向に対して直交するように配置することで連続的に電極をグリーンシート7に印刷することが可能となる。このように、基台が常に一定方向(水平方向)に搬送されるため、電極形成手段18になんら補正することがなく電極パターンを高精度にかつ連続的に基台13上のグリーンシート7に形成することが可能となる。この電極形成手段18は、積層する層数や電極パターン数を考慮して複数設けてもよい。
【0017】
電極パターンを形成したグリーンシート7は、基台13で搬送され、第二の方向転換部20に搬送され、グリーンシート7を下面側に方向転換し、再度押圧手段12へ搬送されることになる。この第二の方向転換部20の一部は、加熱を行う乾燥手段21を有しており、電極形成手段18で形成された電極パターンの乾燥と、接着剤塗布手段11で塗布された接着剤の乾燥を行う。乾燥手段21は、任意の温度プロファイルを作成できるように、複数の加熱手段から構成されている。温度プロファイルは、グリーンシート7を鉄板に固定している発泡剥離シートの発泡温度よりも低く設定する。さらに乾燥手段21は、酸化、還元の両雰囲気で電極パターンを乾燥できるように、基台13の周りを覆ったものであり、任意に酸素濃度や窒素濃度を制御して乾燥が可能である。この乾燥手段21は、電極形成手段18の直後に設けても良く、また、任意の温度プロファイルを作成するため、第二の方向転換部20とそれに続く水平搬送部へとその長さは適宜設計するものである。
【0018】
乾燥工程を経た後、基台13上のグリーンシート7は、再度押圧手段12に搬送され上記工程を数回繰り返すこととなる。
【0019】
所定の回数積層された上記の積層体は、鉄板ごと基台13から取り出し、グリーンシート7のバインダーを揮発、乾燥させるための乾燥工程と、前記積層体全体を加圧するプレス工程と、所定のサイズに切断する個片化工程を経て焼成することにより積層型電子部品を製造する。
【0020】
上記は、例えば積層セラミックコンデンサを例に説明したが、多層基板など、シート状の部品に任意のパターンを形成して積層する他の電子部品などにも適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明にかかる積層型電子部品の製造装置は、上面に平滑面を有する複数の基台を回動可能に連結してなる搬送部と、グリーンシートを所定の張力を付加して供給する巻き出し供給手段と、前記巻き出し供給手段から供給されるグリーンシートに接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、前記グリーンシートを前記基台に押圧する押圧手段と、前記基台毎にグリーンシートを個片に切断する切断手段と、前記グリーンシートに電極を形成する電極形成手段と、前記グリーンシートを乾燥する乾燥手段とを備えた積層型電子部品の製造装置であって、特に搬送部の一部を水平搬送部として電極形成手段を設けた構造とした。この搬送部の一部を水平搬送部とし、電極形成手段を搬送方向に対して直交するように配置することにより、例えば電極形成手段にインクジェット方式などの吐出方式を選択することで、連続搬送しながら基台上のグリーンシートに補正をせず、高い精度で電極パターンを形成することが可能となるので、積層型電子部品の製造装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態における積層型電子部品の製造装置の側面図
【図2】従来装置の側面図
【図3】従来装置での電極パターンの形成例を示す模式図
【符号の説明】
【0023】
7 グリーンシート
10 巻き出し供給手段
11 接着剤塗布手段
12 押圧手段
13 基台
14 搬送部
15 位置検出手段
16 切断手段
18 電極形成手段
19 水平搬送部
20 第二の方向転換部
21 乾燥手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に平滑面を有する複数の基台を回動可能に連結してなる搬送部と、前記基台上に、張力を付加したグリーンシートを供給する巻き出し供給手段と、前記巻き出し供給手段から供給されるグリーンシートに接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、前記グリーンシートを前記基台に押圧する押圧手段と、前記グリーンシートを前記基台毎に切断する切断手段と、前記グリーンシートの位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段の情報から前記グリーンシートに電極を形成する電極形成手段と、前記グリーンシートを乾燥する乾燥手段とを備えた積層型電子部品の製造装置であって、前記搬送部の一部が水平搬送部からなり、前記水平搬送部に電極形成手段を設けた積層型電子部品の製造装置。
【請求項2】
電極形成手段がインクジェット法による印刷手段である請求項1に記載の積層型電子部品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−16752(P2008−16752A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188882(P2006−188882)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】