説明

積層板及びその製造方法

【課題】ドアー等の積層板の端縁部を把持したときに、触感に優れ且つデザイン性に優れ、製造工程も簡略化された積層板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】芯材12に対し、面材17a、17bを固着し、面材17a、17bの端部に切削具を用いて湾曲する切欠き54a、54bを形成するとともに、舌片60a、60bを形成する。この舌片60a、60bに接着剤56a、56bを塗布し、押圧具58a、58bを用いて、前記舌片60a、60bを面材17a、17b側へと撓曲する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縁付積層板及びその縁貼り方法に関し、一層詳細には、フラッシュドアー等の縁付積層板及びその縁貼りに用いられる縁貼り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基材の表面に化粧板を貼着し、端縁部において湾曲面を形成した積層板が提案されている(特許文献1参照)。この種の積層板には、種々の用途が考えられるが、好適には各種カウンターやキッチンの扉等に採用されることが前記特許文献1に明示されている。従って、その表面が平坦な、所謂、フラッシュドアーの製造にも、当然に、この特許文献1で開示されている技術的思想が応用可能であろう。
【0003】
ところで、従来からフラッシュドアーの縁貼りに際しては、種々の加工方法が採用されている。例えば、フラッシュドアーは、一般的に平行合板のような集成材等の棒材で比較的厚い枠組みを構成し、この棒材からなる枠体に対して、中密度の繊維板(以下、MDF板という)と、化粧シートを張り合わせて面材を構成し、これら芯材と面材の外側部分を縁材で囲繞する方法が用いられている。
【0004】
この縁材を面材に対して貼着する場合に、その芯材が断面C字状であるときには、第1の方法として、自動直線縁貼り機を用いて、樹脂テープを貼着する方法がある。しかしながら、この第1の方法によれば、特にコーナー部分で比較的シャープな形状を呈するために、フラッシュドアーを手で触れると違和感を感得したり、また、面材に合わせて種々意匠が施された縁材を準備する必要があり、この縁材の生産コスト及び在庫管理が煩雑であるという不都合がある。さらには、縁材の内側に付着した接着剤が目立つ場合があり、それによって、商品価値が低下する懸念もある。
【0005】
縁材の端部が部分的に湾曲した構造のものも提案されている。これを製造する第2の方法によれば、前記第1の方法と同様に縁材を芯材に対して貼着するべく、自動直線縁貼り機が利用されている。この場合、縁材が2〜3ミリメートルの厚さに至るため、前記第1の方法に比して製造コストが高騰し、しかも前記のように縁材が相当厚くなるために、フラッシュドアーの表面から縁材に至るデザインの連続性が失われ、商品価値がさほどに期待できないという不都合がある。
【0006】
さらに、予め縁材に複数のV字状の溝加工を施し、芯材にこのV字状の溝を合わせて折り曲げるVカット加工方法が第3の縁貼り加工法として提案されている。しかしながら、この第3の方法では、設備が複雑となり、しかも高度な加工技術が要求され、さらにまた、加工方法が制約されることから、商品としてのフラッシュドアーのデザイン性に制約が出てくる難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−358873
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記の種々の従来技術が有する不都合を克服するためになされたものであって、特に、積層板のコーナー部分を手で把持した際に違和感がなく、デザイン性に優れるとともに、製造コストを低廉化し、しかも製造工程自体もさほどに複雑でないドアー等の縁付積層板及びその縁貼り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本願の請求項1で特定される発明は、四角形状の芯材と、前記芯材に固着される面材と、からなり、前記面材の端部に湾曲面とともに舌片を形成し、前記舌片を前記芯材の湾曲面に固着したことを特徴とする。
【0010】
本願の請求項2で特定される発明は、四角形状の芯材と、前記芯材に固着される面材と、前記芯材と面材とに固着される縁材と、からなり、前記縁材の端部に湾曲面と舌片とが形成され、前記舌片を前記湾曲面に沿って貼着してなることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項3で特定される発明は、請求項2記載の縁付積層板において、前記縁材と面材とは同一部材であることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項4で特定される発明は、四角形状の芯材の一面と他面に面材を固着する第1の工程と、前記芯材から外方へと延在する一方の面材の一端部に湾曲面を形成する第2の工程と、前記芯材の端部から前記湾曲面が形成された一方の面材を他方の面材に指向して撓曲することにより前記芯材の端部に前記面材を貼着する第3の工程と、からなることを特徴とする。
【0013】
本願の請求項5で特定される発明は、四角形状の芯材の一面と他面に面材を固着する第1の工程と、前記芯材と面材の端部に縁材を貼着する第2の工程と、前記縁材の端部に湾曲面を形成するとともに舌片を形成する第3の工程と、前記縁材の舌片を撓曲して前記湾曲面に沿って貼着する第4の工程と、からなることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項6で特定される発明は、四角形状の芯材の一面と他面に面材を固着する第1の工程と、前記芯材から外方へと延在する一方の面材の一端部に凹部を形成する第2の工程と、前記凹部に樹脂剤を充填する第3の工程と、前記凹部を中心に前記一方に面材の一端部を他方の面材へと指向して撓曲する第4の工程と、前記一方の面材の一端部に湾曲面と舌片とを同時に形成する第5の工程と、前記舌片を前記湾曲面に沿って撓曲させて前記芯材の端部に前記面材を貼着する第6の工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
本願の請求項7で特定される発明は、請求項6記載の方法において、前記第2の工程の前に、前記芯材から外方へと延在する一方の面材を所定の厚さに研削する工程を有することを特徴とする。
【0016】
本願の請求項8で特定される発明は、請求項7記載の方法において、前記一方の面材を所定の厚さに研削する工程の後に、前記一方の面材の外方へと延在する始端部位に三角形状の凸部を含む凹部を形成する工程を有することを特徴とする。
【0017】
本願の請求項9で特定される発明は、請求項7記載の方法において、前記一方の面材を所定の厚さに研削する工程の後に、前記一方の面材の外方へと延在する始端部位に凹部を形成し、前記凹部にビード状に接着剤を充填することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1乃至3記載の発明によれば、面材によって芯材を包被するように前記面材に設けられた舌片を芯材に湾曲した状態で固着するために、完成後の積層板のコーナー部の触感に優れ、また、製造コストも低廉化する効果が得られる。
【0019】
請求項4乃至9記載の発明によれば、一方の面材の端部に湾曲面を形成した後、凹部を中心に他方の面材に指向して撓曲したり、あるいは一方の面材の端部に湾曲面と舌片とを同時に形成し、前記舌片を前記湾曲面に沿って貼着して芯材と面材とを一体化したり、また、湾曲した縁材を芯材に貼着して一体化する等の工程を営むので、積層板としての触感に優れ、また前記舌片と湾曲面とを同時に形成しているので、製造工程が簡略化してコストダウンに直結する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る縁付積層板の基本構造を示す分解斜視図である。
【図2】図2A〜図2Hは、前記縁付積層板の第1の実施の形態の製造工程を示す説明図である。
【図3】図3A〜図3Eは、前記縁付積層板の第2の実施の形態の製造工程を示す説明図である。
【図4】図4A〜図4Gは、前記縁付積層板の第3の実施の形態の製造工程を示す説明図である。
【図5】図5A〜図5Jは、前記縁付積層板の第4の実施の形態の製造工程を示す説明図である。
【図6】図6A及び図6Bは、前記縁付積層板の第4の実施の形態の変形例の製造工程を示す説明図である。
【図7】図7A〜図7Jは、前記縁付積層板の第5の実施の形態の製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係るドアー等の縁付積層板について、それを製造するための縁貼り方法との関連で、好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら、以下、詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明方法が適用される縁付積層板としてのフラッシュドアーの基本構造を図1を参照して概略説明する。フラッシュドアー10は、集成材等の棒材で矩形状の枠体として構成される芯材12を有する。前記芯材12は、長尺な且つ平行に配設される縦芯材14a、14bと、前記縦芯材14a、14bの端部に橋架される横芯材16a、16bとからなる長方形状である。芯材12の厚さは、好適には30〜50ミリメートルであり、また、縦芯材14a、14bは、2100〜2400ミリメートルの長さを有し、一方、横芯材16a、16bは、600〜100ミリメートルの長さを有する。この芯材12の両面に面材17a、17bが貼着される。面材17a、17bは、厚さ2.5ミリメートルのMDF板18a、18bの表面に化粧板19a、19bを張り合わせた積層体からなる。この場合、一方のMDF板18aに対し、予め化粧板19aを貼着し、他方のMDF板18bに対しても予め化粧板19bを貼着しておき、この積層体を芯材12に固着する。なお、図2Aから容易に了解されるように、他面側のMDF板18bを一面側のMDF板18aよりも予め長く延在させておく。
【0023】
そこで、先端部が湾曲した切削具20によって前記面材17bに切欠き22を形成する。これによって、前記面材17bの端部に湾曲面23が形成される(図2B参照)。この切欠き22部分に接着剤を充填し、前記湾曲面23の表面に湾曲した状態で残置されている化粧板19bの端部を貼着する(図2C参照)。このようにして化粧板19bの端部が湾曲して固定された状態で、面材17bの表面に研削工具25を用いて精密に研削加工が施される(図2D参照)。この場合、面材17bの一部に突起部24が残される(図2E参照)。
【0024】
そこで、MDF板18a、化粧板19a側から前記MDF板18bの突起部24に指向して切削具26を進ませ、前記突起部24を除去するとともに、凹部28を前記面材17bに形成する(図2F参照)。そして、この凹部28に樹脂剤30を注入するとともに、前記樹脂剤30から面材17bの端部に向かって接着剤32を塗布する(図2G参照)。
【0025】
そこで、この樹脂剤30が充填された部位を回動中心として、前記面材17bを面材17a側へと撓曲する(図2H参照)。これによって、接着剤32により、芯材12の端面と、MDF板18a、化粧板19aの端面が接着され、縁貼り工程が終了することになる。もちろん、芯材12の他方側にも同様な工程が営まれることは言うまでもなく、第2〜第5の実施形態においても同様である。
【0026】
この実施の形態によれば、接着剤32と樹脂剤30を用いるだけで簡単に面材17bを利用しながら縁貼りが可能となる利点がある。しかも、化粧板19bを用いているために、縁貼り部分に意匠的に違和感が生じることはない。
【0027】
次に、図3を参照して、第2の実施の形態に係る縁付積層板について、その縁貼り方法を説明する。なお、第1の実施の形態で用いた構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を用い、詳細な説明は省略し、以下同様とする。
【0028】
この第2の実施の形態によれば、芯材12を挟む面材17a、17bの一方向の長さを同一にし、MDF板18a、化粧板19a、縦芯材14a、横芯材16b、MDF板18b、化粧板19bにかけてその端部に接着剤40を塗布する(図3A参照)。一方、所定の長さに切断された寸法であり且つ前記MDF板18a、18bと同一の縁材50を用意し、この縁材50に予め前記化粧板19a、19bと同一の化粧板52を貼着しておく。この場合、コストダウンを図るべく、前記同一の縁材50は、前記MDF板18a、18bを母材から切除した後の端材を活用するのが好適である。そして、前記接着剤40を利用して前記縁材50を前記芯材12aに貼着する。場合によって、MDF板18a、18b及び化粧板19a、19bに貼着してもよい(図3B参照)。ここで、前記のように縁材50の両端部を精度よく切断しておけば、前記舌片60a、60bを後述するように撓曲した際に、化粧板19a、19bの端部と突き合わされ、後加工が必要とされることなく、美麗な湾曲面が得られる。次いで、湾曲する切削面を備えた切削具42を用いて、前記縁材50に対して切り込み加工を行い、湾曲した表面の切欠き54a、54bを形成する(図3C参照)。この結果、縁材50には薄い舌片60a、60bが得られる。この場合、場合によっては、前記化粧板19a、19bの離間間隔に対応する長さに前記縁材50の両端部を切断する工程を入れれば、より一層精度が向上した製品が得られる。
【0029】
このようにして形成された切欠き54a、54bに、接着剤56a、56bを塗布する(図3D参照)。次いで、湾曲する押圧面を備えた押圧具58a、58bを用いて、縁材50の切欠き54a、54bを利用して、両端部が切り欠かれた縁材50を化粧板19a、19b側へと撓曲し、前記接着剤56a、56bを介して舌片60a、60bを前記縁材50の本体に貼着する。
【0030】
この実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、他方の側にも面材17a、17bと同一の縁材50を、前記一方の面材側と同じ方法で貼着すれば、フラッシュドアー10に対して縁貼りが完了するに至る。
【0031】
この第2の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0032】
さらに、第3の実施の形態について、図4を参照して説明する。
【0033】
第3の実施の形態では、芯材12の端部から外方へと面材17aよりも面材17bを大きく延在させておく。この場合、第1の実施の形態の図2に示すように研削工具25を用いて、前記延在部分に所定の厚さになるような研削を施してもよい。そして、面材17aの終端する部位にあわせて面材17bに切削具26を用いて、凹部28を形成する(図4A参照)。次に、この凹部28に樹脂剤30を注入するとともに前記延在部分に接着剤32を塗布する(図4B参照)。このように樹脂剤30が注入された面材17bを、図4Cに示すように、面材17a側へと撓曲する。この結果、面材17bの一端部は面材17aよりも上方へと突出し、次いで面材17bを芯材12側へと押圧し、接着剤32の作用下に面材17bの延在部分を接着する。この時、固化していない樹脂剤30は、面材17bのコーナー部を形成することになる。
【0034】
次に、切削具70を用いて、面材17a側から上方へと突出する面材17bを構成するMDF板18bの端部を化粧板19bとともに、所望の寸法に切断する(図4D参照)。次いで、湾曲面を有する切削具72を用いて、MDF板18bの一端部に切削加工を施し、このMDF板18bの端部に湾曲する表面を形成するとともに、舌片74を突出するように削り残す(図4E参照)。この舌片74の表面に接着剤76が塗布され(図4F参照)、さらに、この舌片74を化粧板19bとともに、押圧具78を用いて、MDF板18a側へと撓曲しながら押圧する。押圧具78は、図4Gに示される通り、湾曲した押圧面を有することから、舌片74は、化粧板19bと一緒にその形状に従って撓曲し、接着剤76の貼着作用下に面材17a側にしっかりと固着されるに至る。
【0035】
この第3の実施の形態によっても、第1、第2の実施の形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0036】
さらにまた、第4の実施の形態を図5を参照して説明する。まず、MDF板18a、化粧板19aよりも長いMDF板18b、化粧板19bを用意する(図5A参照)。このようにMDF板18a、化粧板19aよりも外方へと伸長したMDF板18bに対して、研削工具25を用いて、その厚さを調整するように切削する(図5B参照)。さらに、前記MDF板18a、化粧板19aの長さに対応する位置に切削具26を臨ませ、化粧板19bはそのままの長さに残しておき、MDF板18bのみを切削する(図5C参照)。これによって、MDF板18bに凹部28が形成されるとともに、MDF板18aより外方へと延在するMDF板18bに対して、接着剤32が塗布される(図5D参照)。さらに、前記凹部28に樹脂剤30をビード状に塗布する(図5E参照)。そして、接着剤32が塗布されたMDF板18bを化粧板19bとともに凹部28を回動中心としてMDF板18a、化粧板19a側へと回動させ、前記接着剤32の作用下に圧着する(図5F、図5G参照)。この圧着に際しては、必要に応じて押圧具(図示せず)を用いるとよい。また、前記圧着工程後に、図4Dに示すように、切削具70を用いて、MDF板18a側から上方へと突出するMDF板18bの端部を化粧板19bとともに、所望の寸法に切断する工程を含ませてもよい。
【0037】
次いで、前記MDF板18a、化粧板19aよりさらに外方へと突出するMDF板18bに対して、湾曲面のある切削具72を用いて切り込み加工を行い、MDF板18bの端部に湾曲面とともに舌片74を形成する(図5H参照)。次に、舌片74の内面に接着剤76を塗布し(図5I参照)、湾曲した凹部を有する押圧具78を用いて、この接着剤76を介して、舌片74を湾曲した状態でMDF板18a、化粧板19a側に押圧して接着加工する(図5J参照)。これによっても、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0038】
なお、図6A、図6Bは、図5に示す第4の実施の形態の変形例である。この変形例においては、研削工具25を用いてMDF板18a、化粧板19aよりも外方へと伸長したMDF板18bの厚さを調整した後、切削具75を用いて、前記MDF板18a、化粧板19aに対応する部位に凹部77を形成する。凹部77には、断面三角形状の凸部79が残置される。この凸部79の形状は、前記切削具75の切刃形状に対応する。そして、MDF板18bの表面に接着剤32が平坦状に塗布される。
【0039】
すなわち、この変形例では、図5に示される第4の実施の形態における樹脂剤30の塗布に代えて、断面三角形状の凸部79が形成される。残余の工程は、図5F〜図5Jと同様である。
【0040】
最後に、第5の実施の形態を図7に示す。第4の実施の形態と同様に、この第5の実施の形態では、MDF板18a、化粧板19aよりも外方へと突出するMDF板18b、化粧板19b(図7A参照)のうち、MDF板18bに研削工具25を用いてその厚さを調整する(図7B参照)。もちろん、前記MDF板18bにおいて、研削工具25で研削される部位は、MDF板18aよりも外方に延在する部分のみである。次に、MDF板18bに対して、先端部が鋭化した切削具80を用いて、折り曲げ溝82を形成する(図7C参照)。このようにMDF板18bの外方へと延在する始端部位に折り曲げ溝82が形成され、且つMDF板18aよりも外部に延在するMDF板18bの上面に接着剤32が塗布される(図7D参照)。そして、折り曲げ溝82に樹脂剤30をビード状に塗布する(図7E参照)。この場合、図7Dにおいて営まれる工程に先んじて、前記樹脂剤30をビード状に塗布する工程を営んでもよい。なお、前記樹脂剤30を折り曲げ溝82に充填する前又は後に、図4Dに示すように、切削具70を用いて、MDF板18a側から上方へと突出するMDF板18bの端部を化粧板19bとともに、所望の寸法に切断する工程を含ませてもよい。
【0041】
このようにして形成されたMDF板18bのMDF板18aよりも突出する延在部分をこのMDF板18a側へと折り曲げる(図7F参照)。そして、前記MDF板18bの折り曲げられた端部を図示しない押圧工具によって圧着し(図7G参照)、接着剤32の作用下に一体化し、前記MDF板18bの先端部、すなわちMDF板18aよりも、図において上方へと突出する部分に舌片84を残すように、平坦な内面を有する切削具42によって切削加工を施す(図7H参照)。次いで、この切削具42によって残された舌片84の内面に接着剤76を塗布する(図7I参照)。最後に、舌片84を化粧板19aと略面一になるように、押圧具78を使って押圧して接着させる(図7J参照)。
【0042】
この第5の実施の形態によっても、第1乃至第4の実施の形態と同様の効果が得られることは勿論である。
【0043】
以上のように、本発明によれば、極めて簡素化された工程によってフラッシュドアー等の積層板に対して、縁貼り加工が施される。この積層板及びその加工方法によれば、手で把持した場合に違和感がなく、触感が極めて優れ且つデザイン性に優れ、製造コストも低廉化するという利点が得られる。
【符号の説明】
【0044】
10…フラッシュドアー 12…芯材
14a、14b…縦芯材 16a、16b…横芯材
17a、17b…面材 18a、18b…MDF板
19a、19b…化粧板 22、54a、54b…切欠き
23…湾曲面 26、42、70、72、75、80…切削具
28…凹部 30…樹脂剤
32、40、56a、56b、76…接着剤
50…縁材 58a、58b、78…押圧具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の芯材と、
前記芯材に固着される面材と、
からなり、
前記面材の端部に湾曲面とともに舌片を形成し、
前記舌片を前記芯材の湾曲面に固着したことを特徴とする縁付積層板。
【請求項2】
四角形状の芯材と、
前記芯材に固着される面材と、
前記芯材と面材とに固着される縁材と、
からなり、
前記縁材の端部に湾曲面と舌片とが形成され、
前記舌片を前記湾曲面に沿って貼着してなることを特徴とする縁付積層板。
【請求項3】
請求項2記載の縁付積層板において、
前記縁材と面材とは同一部材であることを特徴とする縁付積層板。
【請求項4】
四角形状の芯材の一面と他面に面材を固着する第1の工程と、
前記芯材から外方へと延在する一方の面材の一端部に湾曲面を形成する第2の工程と、
前記芯材の端部から前記湾曲面が形成された一方の面材を他方の面材に指向して撓曲することにより前記芯材の端部に前記面材を貼着する第3の工程と、
からなることを特徴とする縁付積層板の縁貼り方法。
【請求項5】
四角形状の芯材の一面と他面に面材を固着する第1の工程と、
前記芯材と面材の端部に縁材を貼着する第2の工程と、
前記縁材の端部に湾曲面を形成するとともに舌片を形成する第3の工程と、
前記縁材の舌片を撓曲して前記湾曲面に沿って貼着する第4の工程と、
からなることを特徴とする縁付積層板の縁貼り方法。
【請求項6】
四角形状の芯材の一面と他面に面材を固着する第1の工程と、
前記芯材から外方へと延在する一方の面材の一端部に凹部を形成する第2の工程と、
前記凹部に樹脂剤を充填する第3の工程と、
前記凹部を中心に前記一方に面材の一端部を他方の面材へと指向して撓曲する第4の工程と、
前記一方の面材の一端部に湾曲面と舌片とを同時に形成する第5の工程と、
前記舌片を前記湾曲面に沿って撓曲させて前記芯材の端部に前記面材を貼着する第6の工程と、
からなることを特徴とする縁付積層板の縁貼り方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、
前記第2の工程の前に、
前記芯材から外方へと延在する一方の面材を所定の厚さに研削する工程を有することを特徴とする縁付積層板の縁貼り方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、
前記一方の面材を所定の厚さに研削する工程の後に、
前記一方の面材の外方へと延在する始端部位に三角形状の凸部を含む凹部を形成する工程を有することを特徴とする縁付積層板の縁貼り方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法において、
前記一方の面材を所定の厚さに研削する工程の後に、
前記一方の面材の外方へと延在する始端部位に凹部を形成し、
前記凹部にビード状に接着剤を充填することを特徴とする縁付積層板の縁貼り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−121191(P2011−121191A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278629(P2009−278629)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【特許番号】特許第4564581号(P4564581)
【特許公報発行日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(598146492)株式会社クラフトワーク (3)
【出願人】(390026697)丸仲商事株式会社 (3)
【Fターム(参考)】