説明

積層生地用途のためのトランス脂肪ゼロのショートニング

本発明は、トランス脂肪酸を含まず、少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の混合モノ ジグリセリド、及び少なくとも1種の植物油を含む、ショートニング組成物を提供する。本発明のショートニング組成物は必要に応じて少なくとも1種の植物性ハードストックを含み、且つ必要に応じて1種以上の抗酸化剤を含む。更に、いくつかの実施形態において、当該組成物は無水である。本発明のトランス脂肪ゼロのショートニング組成物は優良な可塑性及び伸長性を特徴とし、上質の焼き上げ製品の調製に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明はショートニング組成物に関し、より具体的には良好な可塑性及び伸長性をもたらす、トランス脂肪を含まない(free of zero trans fat)ショートニング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
積層生地は、例えばデニッシュ、クロワッサン、及びナポレオン等を含むいくつかの上質のパン製品の基本である。積層過程は、焼き上げの後にサクッとした層状の製品となるであろう多重に積層した生地を調製するために甘生地(sweet dough)及びショートニングの層を多く互い違いにすることを含む。積層に必要なショートニングには、生地を裂くことなく生地層間で機械加工するのに十分な伸長性及び可塑性が必要である。可塑性は、例えば練ることにより一度変形した生地がその形状を維持する特徴である。可塑性は、生地層の分離を保つのに役立つので積層生地には重要である。従来の積層生地では、硬化油の使用で望ましい可塑性を生じるが、トランス脂肪の濃度もまた高くなる。従来のショートニング中に存在するトランス脂肪は生地に良好な可塑性及び弾性を与える。
【0003】
ショートニングはパン焼き用途における脂肪源であり、融解された油脂混合物を入念に冷却し、可塑化し、そしてテンパリングすることにより調製される機能的な塑性固体脂肪として記述され得る。従来のショートニングはしばしば部分硬化植物油、例えば部分硬化大豆油、菜種油、及びヒマワリ種子油等を含む。これらの油は安価に大量に入手できるため一般的であり、油の硬化を介して、完成品に望まれる特性によって異なる特性を伴う種々の脂肪を製造するために用いられ得る。残念なことに、脂肪酸中に存在するある割合のシス二重結合がトランス立体異性体に異性化するようなトランス脂肪酸の生成が、硬化過程の副産物である。
【0004】
例えば、パン焼き用途において用いられる典型的な従来のショートニングは15〜35%のトランス脂肪酸を含有し得る。従来のショートニング中のトランス脂肪を使用することでパン焼き用途においては有用な特性が与えられるが、トランス脂肪酸の使用は最近、栄養科学により精査されている。例えば、油の部分硬化の間に形成されるトランス脂肪酸の存在と相関する、健康への負の影響(例、冠状動脈性心疾患、血漿中の高密度リポタンパク質(HDL)に対する低密度リポタンパク質(LDL)の比率の上昇、ひいては冠状動脈性心疾患のリスクにおける上昇の可能性との正の相関)の観察を報告する臨床研究がなされてきている(例えば、Schaefer, E.J. Am J. Clin. Nutr. 2002, 75, 191-212を参照のこと)。従って最近の加工食品、特にパン製品におけるトレンドは、健康への関心からトランス脂肪の使用を避けることである。これまで、トランス脂肪を含まないショートニングにより上質のパン製品を作る試みは不十分であった。トランス脂肪を含まないショートニングは加工の間に生地が裂け、それによって質の悪い完成品を生じる傾向がある。
【0005】
従って、食品中のトランス脂肪酸を低下させることが望ましい目標である。トランス脂肪酸を含まないショートニング組成物を提供するための当業者の積年の努力にもかかわらず、トランス脂肪酸を含まないショートニング組成物及びトランス脂肪酸を含まないショートニングの作製方法についてのニーズがなお存在する。更に、トランス脂肪酸を含まない積層生地についてのニーズがなお存在する。更に、トランス脂肪酸を含まない焼き上げ製品についてのニーズがなお存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はトランス脂肪酸を含まず、伸長性及び可塑性を伴うショートニング組成物であって、その生成物を著しく低い量で使用して優良な結果を伴い得るショートニング組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本発明は、トランス脂肪酸を含まず、少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の混合モノ-ジグリセリド、及び少なくとも1種の植物油を含む、ショートニング組成物を提供する。本発明のショートニング組成物は必要に応じて少なくとも1種の植物性ハードストックを含み、且つ必要に応じて1種以上の抗酸化剤を含む。更にいくつかの実施形態において、当該ショートニング組成物は無水である。本発明のトランス脂肪ゼロのショートニング組成物は優良な可塑性及び伸長性を特徴とし、上質の焼き食品の調製に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
本発明は、トランス脂肪酸を含まず、少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の混合モノ-ジグリセリド、及び少なくとも1種の植物油を含む、ショートニング組成物を提供する。本発明の、トランス脂肪酸を含まないショートニング組成物は、必要に応じて少なくとも1種の植物性ハードストックを含み、且つ必要に応じて1種以上の抗酸化剤を含む。更にいくつかの実施形態において、当該ショートニング組成物は無水である。本明細書中に記載されるショートニング組成物は食製品において、特に例えばナポレオン、デニッシュ、及びクロワッサン等の、積層生地から調製された焼き上げ製品において好適に用いられる。
【0009】
当該技術で理解される通り、また本明細書中で使用する場合、用語「トランスゼロ」、「低トランス」、「脂肪酸」、「トランスを含まない」は製品中にトランス脂肪がほとんど存在しないか、又は存在しないことを指す。例えば、FDAによれば、一食当たり0.5g未満のトランス脂肪を含有する食製品がトランス脂肪「ゼロ」の食品とみなされる(例えば、Federal Register, Vol. 68, No. 133, pp. 41433-41506を参照のこと)。
【0010】
本発明のショートニング組成物は、好ましくは乳化剤又は界面活性剤の混合物、脂肪、及び油を含む。組成物の種々の成分は、望ましくは当該組成物に異なった特性を与えるために選択される。本発明の好ましい実施形態においては、トランス脂肪酸を含まない本発明のショートニング組成物は均質である。当該ショートニング組成物は油が滲みださず、優良な可塑性及び伸長性を特徴とする。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本発明のショートニング組成物の可塑性の増大は、閉じ込められた脂肪結晶の繊維状ネットワークに起因し、それが可塑性の上昇に寄与すると考えられる。
【0011】
アセチル化グリセリド類は、組成物に特定の性質を与えながら均質な組成物を提供するのに役立つ乳化剤又は界面活性剤として機能する。特に、部分アセチル化モノグリセリド類は本発明のショートニング組成物に可塑性及び薄膜形成特性をもたらし、当該組成物の堅さに寄与する。完全アセチル化モノグリセリド類は本発明の組成物のやわらかさ又は柔軟性を増大させる伸長性を増大させる可塑剤として機能する。混合モノ-ジグリセリド成分は結晶調整剤及び結晶化の核形成部位として役立ち、また当該組成物の堅さにも寄与する。植物油類は当該組成物のバルクのテクスチャー又はマトリックスを提供するために含められ、一般的には脂肪連続相として作用する。植物性ハードストックは、含められた場合、当該組成物に剛性を与える。抗酸化剤は、含められた場合、当該組成物を酸化的分解反応に対して安定にするのに役立つ。例えば、レシチンといった、他の界面活性剤が本発明のショートニング組成物中に含められ得る。
【0012】
当該技術で理解される通り、また本明細書中で使用する場合、用語「ショートニング」は、室温で可塑性である脂肪製品を指す。本発明のショートニング組成物の形成に用いるのに好適な固体脂肪の例としては、部分アセチル化モノグリセリド類、混合モノ-及びジグリセリド類、植物性ハードストック、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。液体脂肪の例としては、完全アセチル化モノグリセリド類、植物油類、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
当該技術で理解される通り、また本明細書中で使用する場合、用語「グリセリド」は、グリセロールを脂肪酸と反応させることにより形成されるエステル化合物を指し、グリセロールのモノ、ジ、及びトリ脂肪酸エステルが挙げられる。本明細書中で使用する場合、用語「モノグリセリド」は、グリセロールにエステル化された1つの脂肪酸及び2つの未反応のヒドロキシル基を有することを特徴とするグリセリドを指す。同様に、用語「ジグリセリド」は、2つの脂肪酸エステル結合及び1つの未反応のヒドロキシル基を有するグリセリドを指す。ジグリセリド類の場合は、当該分子の脂肪酸部分は、同一でも異なっていてもよい。グリセロールとのエステル化のために好適な脂肪酸は、当該技術において周知であり、飽和脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、及びポリ不飽和脂肪酸が挙げられる。脂肪酸の例としては、例えば、リノール酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等のC16-20脂肪酸、及び全ての割合でのこれら脂肪酸の混合物が挙げられる。好ましい脂肪酸としては、例えば、C16-18脂肪酸が挙げられる。
【0014】
当該技術で理解される通り、また本明細書中で使用する場合、用語「アセチル化モノグリセリド」は、3つのヒドロキシル基の1つが脂肪酸でエステル化され、他の残りの2つのヒドロキシル基がアセチル部分でエステル化されたグリセロールから成る化合物を指す。同様に「アセチル化ジグリセリド」は、2つの脂肪酸アシル部分(同一であってもなくてもよい)及び1つの酢酸エステル部分を特徴とする。
【0015】
アセチル化及び不飽和の程度は、本発明において用いるのに好適な化合物に寄与する。本明細書中で使用する場合、用語「完全アセチル化」は、少なくとも96%のアセチル化の程度を指す。用語「部分アセチル化」は、約96%未満のアセチル化の程度を指す。モノ及びジグリセリドの脂肪酸部分の不飽和の量及びアセチル化の程度を変化させることにより、異なる特性が得られ得る。例えば、植物性ステアリンから調製される部分アセチル化モノグリセリドは室温で固体であるが、不飽和モノグリセリドから調製される完全アセチル化モノグリセリドは室温で液体である。
【0016】
グリセリド及びアセチル化グリセリドの説明に役立つ実例としては、登録商標Myvacet(登録商標)、Admul(登録商標)、及びMyverol(登録商標)の下にKerry Bio-Scienceより入手可能なグリセリド類及びアセチル化グリセリド類が挙げられるが、これらに限定されない。例えばMyvacet(登録商標)9-35Kは、植物原料を基にした蒸留モノグリセリド類の酢酸エステルである。Myvacet(登録商標)9-35Kは0.22%クエン酸及び0.16%アスコルビン酸を添加剤として含有する、パーム油由来の透明な液体として提供され、次の特性を有する:ヒドロキシル価0〜15;鹸化価380〜395mgKOH/g;最大酸価3mgKOH/g;ヨウ素価23〜33gL/100g;最少アセチル化度96%;及び融点13〜17℃。
【0017】
Myvacet(登録商標)5-07Kは、植物原料を基にしたモノ-ジグリセリド類の酢酸エステルである。Myvacet(登録商標)5-07Kは0.02%クエン酸を添加剤として含有する、植物性ステアリン由来のろう状の淡黄色固体として提供され、次の特性を有する:ヒドロキシル価133〜152;鹸化価279〜292mgKOH/g;最大酸価3mgKOH/g;最大ヨウ素価5gL/100g;アセチル化度50%;及び融点46℃。
【0018】
Myvacet(登録商標)7-07Kは、植物原料を基にした蒸留モノ-ジグリセリド類の酢酸エステルである。Myvacet(登録商標)7-07Kは0.02%クエン酸を添加剤として含有する、植物性ステアリン由来のろう状の淡黄色固体として提供され、次の特性を有する:ヒドロキシル価80〜95;鹸化価316〜331mgKOH/g;最大酸価3mgKOH/g;最大ヨウ素価3gL/100g;アセチル化度68%;及び融点40℃。
【0019】
Admul(登録商標)MG40-04Kは、植物性油脂から調製されたモノ-ジグリセリドである。Admul(登録商標)MG40-04Kはパーム油由来の白色ビーズとして提供され、次の特性を有する:合計モノグリセリド45%;最大遊離グリセロール含量1.5%;最大酸価3mgKOH/g;及び最大ヨウ素価3gL/100g。
【0020】
Myverol(登録商標)18-06Kは、植物性油脂から調製された、ダイズ原料由来の蒸留モノグリセリドであり、次の特性を有する:合計モノグリセリド類含量93%;最大遊離グリセロール含量1%;最大酸価3mgKOH/g;最大ヨウ素価3gL/100g;及び融点69℃。
【0021】
本発明によれば、ショートニング組成物は約5〜70重量%の少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリドを含む。より好ましくは当該ショートニング組成物は、約10〜65重量%、15〜60重量%、20〜55重量%、25〜55重量%、30〜55重量%、35〜55重量%、40〜55重量%、及び45〜55重量%の少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリドを含む。最も好ましくは、当該ショートニング組成物は約50重量%の少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリドを含む。
【0022】
本発明のショートニング組成物は約2〜30重量%の少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリドを含む。好ましくは本発明のショートニング組成物は、約2〜25重量%、5〜25重量%、10〜25重量%、及び15〜20重量%の少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリドを含む。より好ましくは、当該ショートニング組成物は約15〜20重量%の少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリドを含む。より好ましくは、当該ショートニング組成物は約15重量%の少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリドを含む。最も好ましい実施形態においては、当該ショートニング組成物は約15.5重量%の少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリドを含む。
【0023】
本発明のショートニング組成物は約2〜30重量%の少なくとも1種の混合モノ-ジグリセリドを含む。好ましい実施形態においては本発明は、最大約2〜25重量%、2〜20重量%、2〜15重量%、及び2〜10重量%の混合モノ-ジグリセリドを含む。より好ましくは、本発明のショートニング組成物は最大約2〜5重量%の混合モノ-ジグリセリドを含む。更により好ましくは、本発明は最大約2〜3重量%の混合モノ-ジグリセリドを含む。最も好ましい実施形態においては、本発明は約2重量%の混合モノ-ジグリセリドを含む。
【0024】
本発明のショートニング組成物において用いることができる植物油の例としては、菜種油、綿実油、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油、パーム油、大豆油、及びそれらの混合物が挙げられるが、限定されない。本発明において用いる好ましい植物油としては、菜種油及び綿実油並びにそれらの混合物が挙げられる。好ましい植物油はKerry Bio-Scienceから入手できる菜種油で、次の特性を有する:最大酸価0.2mgKOH/g;鹸化価182と192mgKOH/gの間;ヨウ素価105と126の間;及び最大水分含量0.1%。本発明のショートニング組成物は約15〜90重量%の少なくとも1種の植物油を含む。好ましい実施形態においては本発明のショートニング組成物は、約15〜80重量%、15〜70重量%、15〜60重量%、15〜50重量%、15〜40重量%、15〜30重量%、及び20〜25重量%の少なくとも1種の植物油を含む。より好ましくは、本発明は約22%の少なくとも1種の植物油を含む。最も好ましくは、当該ショートニング組成物は約22.5%の少なくとも1種の植物油を含む。
【0025】
本発明において用いることができる植物性ハードストックの例としては、分画植物性ストック及び完全硬化植物油が挙げられるが、限定されない。好ましい植物性ハードストックとしては、ステアリン、完全硬化綿実油、完全硬化パーム油及び完全硬化菜種油が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において用いるのに最も好ましい植物性ハードストックはパームステアリン及び完全硬化綿実油である。好ましい植物性ハードストックはKerry Bio-Scienceから入手できる分画パーム油で、次の特性を有する:最大酸価0.1mgKOH/g;最大遊離脂肪酸価0.05%;最大過酸化物価1.0mg/g;最大トランス脂肪酸含量1%未満;ヨウ素価約14mg/100g;及び融点60℃。好ましい実施形態においては本発明のショートニング組成物は、約2〜15重量%の植物性ハードストックを含む。より好ましい実施形態においては当該ショートニング組成物は、約5〜10重量%の植物性ハードストックを含む。より好ましくは、本発明は約10重量%の植物性ハードストックを含む。
【0026】
本発明の組成物は、必要に応じて抗酸化剤を含んでもよい。本発明のショートニング組成物において用いるのに好適な抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール、クエン酸、及びアスコルビン酸等が挙げられる。
【0027】
本発明のショートニング組成物は、生地の調製において有用であることが当業者に公知の、種々の成分を含むことができる。例えば、本発明による組成物は人工の香料、乳化剤、構造脂質、脂肪結晶調整剤、食品用酵素、加水分解ペプチド、トランスなしのショートニング、及びそれらの混合物、並びに用途及び望まれる特性に応じた他の成分を含む。当業者は、これら追加の成分は望まれる結果に依存して含められ、本発明の範囲を限定しないことを認識するであろう。
【0028】
いくつかの実施形態において本発明のショートニング組成物には、限定ではなく例示として、バターフレーバーが含まれる。バターフレーバーの例は水、グリセロール、転化糖、及び人工香料を含む。本発明のいくつかの実施形態にはレシチンが含まれる。Cargill製のLecithin FTがレシチンの例であり、乳化剤、湿潤剤、安定化剤、インスタント化剤、離型剤、滑剤、抗酸化剤、及び分散剤として好適に用いられる。本発明のいくつかの実施形態には構造脂質が含まれる。Loders Croklaan製のRevel(登録商標)Aが構造脂質の例である。Revel(登録商標)Aは硬化されていない、分画され精製された、パーム油由来であってラウリン酸起源ではない植物性脂肪である。Revel(登録商標)Aは以下の特性を有する:融点88℃;ヨウ素価14;遊離脂肪酸含量0.05%;最大過酸化物価1.0;及びトランス脂肪酸含量1%未満。本発明のいくつかの実施形態には脂肪結晶調整剤が含まれる。Kerry BioScience製のAdmul(登録商標)S-65Kが脂肪結晶調整剤の例で、これは褐色のろう状ビーズとして提供されるソルビタントリステアレートであり、次の物理的特性を有する:ヒドロキシル価66〜80mgKOH/g;鹸化価176〜188mgKOH/g;最大酸価15mgKOH/g;及び最大水分含量(K.F.)1%。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態には食品用酵素が含まれる。Kerry Bio-Science製のBiobake(登録商標)SLPが好ましい食品用酵素である。Biobake(登録商標)SLPはもろいテクスチャーの改善を促進し、且つ機械加工性の増大を助長する、Aspergillus由来の複雑な真菌性α-アミラーゼ系である。Biobake(登録商標)SLPは44〜65℃の間及びpH4.5〜7.0の範囲で活性がある。本発明のいくつかの実施形態には例えば、生地を練る時間を減少させ、加工時に生地の柔軟性を増大させ、そして食物繊維の多い小麦粉混合物を生成するために、コムギ加水分解ペプチドが含まれる。Kerry BioScience製のDorel(登録商標)8354がコムギ加水分解ペプチドの例であり、次の特性を有する粉末として提供される:最少タンパク質含量65%;最大水分含量6%;及び最大灰分含量4%。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態にはトランスなしのショートニングが含まれる。Kerry BioScienceから入手できるMyvatex(登録商標) Sweet NT Kがトランスなしのショートニングの例であり、生地への脂肪源として特に有用である。例えばクッキーにおいては、それを用いると良好な広がり及び食感品質を伴うトランスなしのクッキーとなる。Myvatex(登録商標) Sweet NT Kは、菜種油、パーム油、モノ及びジグリセリド類、モノグリセリド類のジアセチル酒石酸エステル並びにステアロイル乳酸ナトリウムの混合物であり、且つ添加剤としてクエン酸及びアスコルビン酸を含有する。IOIグループから入手できるSansTrans(登録商標)39が別のトランスなしのショートニングの例である。SansTrans(登録商標)39はパーム油及びパーム油の画分を基にしたベーカリーショートニングであり、次の特性を有する:メトラー滴点40℃;最大遊離脂肪酸含量0.05%;最大過酸化物価1.0;及びヨウ素価51〜53。
【0031】
当業者は、望まれる用途によって、好適な可塑性及び伸長性を有するトランス脂肪酸ゼロのショートニング組成物が得られるように特性を変更するために、成分の組み合わせを変えることができると認識するであろう。
【0032】
均質な組成物を得るため、本発明のショートニング組成物は乳化剤又は界面活性剤、脂肪、及び油の混合物を用いて調製される。本発明のショートニング組成物は少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の混合モノ-ジグリセリド、少なくとも1種の植物油、及び含められる場合は少なくとも1種の植物性ハードストックの混合物を、例えば表面かき取り式熱交換器を用いて、透明な均質の融液を得るために十分な一定の時間攪拌しつつ形成することによって作製することができる。部分的に固化した混合物を得るため、例えばボテーターを用いて、融液を一定時間せん断しながら冷却する。結晶化熱に関係する温度の「スパイク」が冷却の間によく、観察される。外見が光沢のある、なめらかで均質な混合物を得るために十分な一定の時間、部分的に固化した混合物を練る。当業者は認識するであろうが、練った後得られた製品の光沢のある外見が理想的な結晶構造の指標となる。冷却後、製品は包装され更に結晶化させるため更に一定時間保管され得る。追加の保管時間は典型的には24時間であり、室温又は冷蔵温度で行うことができる。好ましい実施形態においては、少なくとも1種の植物性ハードストック及び/又は抗酸化剤が、部分アセチル化モノグリセリド、完全アセチル化モノグリセリド、混合モノ-ジグリセリド、及び植物油の混合物と共に含められる。
【0033】
本発明の積層生地は従来の積層生地に比べ相対的に高レベルのアセチル化モノグリセリドを含む。アセチル化生成物レベルの増大で本発明の組成物の防湿特性が向上する。特に、本発明の組成物は層から層への水分の移動がより起こりにくい。調理用途においては、このことにより生地の膨化特性が向上する結果となる。本発明のショートニング組成物で作製した焼き上げ製品においては、当該製品に水気のある詰め物を含めたとき生焼けになる傾向がより弱い。
【0034】
本発明によれば積層生地は、本発明のトランス脂肪酸ゼロのショートニングを含む。好ましい実施形態においては、本発明の積層生地は約6〜30重量%の当該ショートニング組成物を含む。
【0035】
他の実施形態においては本発明は、本発明のトランス脂肪酸ゼロのショートニングを含む積層生地から調製された焼き上げ製品を提供する。好ましい実施形態においては、本発明の焼き上げ製品はデニッシュ、ナポレオン、及びクロワッサンよりなる群から選択される。デニッシュがより好ましい焼き上げ製品である。また、好ましい実施形態にはナポレオンが含まれる。更に好ましい実施形態はクロワッサンである。
【実施例】
【0036】
以降の実施例により本発明を更に説明するが、当然ながら、決してその範囲を限定していると解釈してはならない。
【0037】
実施例1〜19のショートニング組成物は次の一般的方法を用いて調製した。当該一般的方法に対する変更は表示した通りに行った。
【0038】
成分の混合物を形成し、表面かき取り式熱交換器を用いた混合条件下で透明な均質の融液を形成するために十分な温度で混合物を共に加熱し、続けて部分的に固化した混合物を得るため、ボテーターを用いて、融液をせん断しながら約4℃に冷却した。混合物を、外見が光沢のある、なめらかで均質な混合物を得るために一定時間練る。冷却により脂肪結晶の結晶核が形成され、理想的な結晶構造が得られると、光沢があるなめらかで均質な外見となる。完成品をボテーターから直接包装し、使用前に24時間常温で更にふくらませ(set-up)冷却させる。完成品は次の特性を有する:良好な可塑性、裂けない伸長性、トランス脂肪酸を含まない、飽和脂肪酸が少ない、従来のロールインショートニングと同様のSFI曲線、無味無臭(bland clean)風味、及び防湿特性の向上。
【0039】
実施例1
本実施例で本発明によるショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含み、上記の一般的方法のパラメータを用いて調製した。水は75℃で添加した。混合物を表面かき取り式熱交換器により混合し、約15分にわたり4℃で冷却した。生成物であるショートニングは様々なテクスチャーを有していた。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例2
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含み、上記の一般的方法のパラメータを用いて調製した。混合物を約74℃で一緒に融解し、混合した。生成物であるショートニングは柔らかく、滑らかなテクスチャーを有していた。
【0042】
【表2】

【0043】
実施例3
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含み、上記の一般的方法のパラメータを用いて調製した。生成物であるショートニングは柔らかいテクスチャーを有していた。
【0044】
【表3】

【0045】
実施例4
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含み、上記の一般的方法のパラメータを用いて調製した。
【0046】
【表4】

【0047】
実施例5
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。水は他の成分と一緒に融解した後、75℃で添加した。15秒の冷却サイクルを交互に行うことを利用して混合物を約32℃に冷却した。冷却の間に、35℃への温度上昇が観察された。生成物であるショートニングは柔らかいテクスチャーを有していた。
【0048】
【表5】

【0049】
実施例6
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。水、リン酸及びレシチンを混合しながら75℃に加熱することによって水相を調製した。75℃で攪拌しながら当該水相を脂肪層に添加した。15秒の冷却サイクルを交互に行うことを利用して混合物を約32℃に冷却した。生成物であるショートニングは柔らかいテクスチャーを有していた。
【0050】
【表6】

【0051】
実施例7
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。混合物を約42℃に冷却した。冷却の間に、43℃へ上昇する温度増加が観察された。生成物であるショートニングは柔らかく、滑らかなテクスチャーを有していた。
【0052】
【表7】

【0053】
実施例8
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。成分を10分間攪拌しながら75℃に加熱し、次いで15秒間隔で冷却サイクルを交互に行うことを利用して約41℃に冷却した。生成物であるショートニングは柔らかく、わずかにもろいテクスチャーを有していた。
【0054】
【表8】

【0055】
実施例9
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。成分を15分間攪拌しながら75℃に加熱し、次いで冷却サイクルを交互に行うことを利用して約32℃に冷却した。生成物であるショートニングは柔らかく、もろいテクスチャーを有していた。
【0056】
【表9】

【0057】
実施例10
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。成分を一緒に融解し、表面かき取り式熱交換器中で約32℃に冷却した。生成物であるショートニングは硬く、もろいテクスチャーを有していた。
【0058】
【表10】

【0059】
実施例11
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合した。冷却の間に、35℃への温度上昇が観察された。生成物であるショートニングは柔らかく、滑らかなテクスチャーを有していた。
【0060】
【表11】

【0061】
実施例12
本実施例で本発明のショートニング組成物の実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。冷却の間に、41℃への温度上昇が観察された。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合し、35℃で送り出した。生成物であるショートニングは滑らかで、広げられるテクスチャーを有していた。
【0062】
【表12】

【0063】
実施例13
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合し、35℃で送り出した。生成物であるショートニングは柔らかいテクスチャーを有していた。
【0064】
【表13】

【0065】
実施例14
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合し、35℃で送り出した。生成物であるショートニングは柔らかく、滑らかなテクスチャーを有していた。
【0066】
【表14】

【0067】
実施例15
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合し、35℃で送り出した。生成物であるショートニングは滑らかなテクスチャーを有していた。
【0068】
【表15】

【0069】
実施例16
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合し、35、38、41、及び43℃の4通りの温度にした。異なる温度間で生成物のテクスチャーに有意な違いは観察されなかった。生成物であるショートニングは硬くもろいテクスチャーを有していた。
【0070】
【表16】

【0071】
実施例17
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合し、35℃で送り出した。
【0072】
【表17】

【0073】
実施例18
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合し、35℃で送り出した。生成物であるショートニングはわずかにもろいテクスチャーを有していた。
【0074】
【表18】

【0075】
実施例19
本実施例で本発明のショートニング組成物の一実施形態を説明するが、当該ショートニング組成物はアセチル化モノグリセリド類、植物油、植物性ハードストック、及びモノグリセリド類を含む。15分間混合しながら約75℃で成分を一緒に融解した。混合物を約57℃に冷却させ、次いで表面かき取り式熱交換器に移してボウルを定常的にかきとりながら約32℃に冷却させた。次いで、高せん断フードプロセッサーを用いて混合物を更に混合し、35℃で送り出した。生成物であるショートニングは硬く、わずかにもろいテクスチャーを有していた。
【0076】
【表19】

【0077】
実施例20〜26は、本発明のトランス脂肪ゼロのデニッシュに関する。当該デニッシュは次の成分を含む本発明の生地を用いて調製する:水344g;全卵283g;高果糖コーンシロップ(HFCS)85g;酵母30g;バター35.3g;Myvatex(登録商標) Sweet NT K 86g;塩17.7g;無脂肪牛乳30.9g;63 DEコーンシロップ23g;砂糖58g;Biobake(登録商標) SLP 5.4g; Dorel(登録商標) 8395 2.0g;パテント粉1000g、及びバター香料12g。実施例に記載の通り、1000gのこの生地に本発明のトランス脂肪酸を含まないショートニング240gを添加した。
【0078】
生地を積層し(3×3);1時間抑制し;そして40分間プルーフィングすることによって生地を調製する。次いで生地を華氏400度で14分間焼く。
【0079】
実施例20
本発明に従い、上記一般的方法及び実施例1のショートニング組成物を用い、デニッシュを調製した。
【0080】
実施例21
本発明に従い、上記一般的方法及び実施例2のショートニング組成物を用い、デニッシュを調製した。
【0081】
実施例22
本発明に従い、上記一般的方法、実施例3のショートニング組成物を用い、デニッシュを調製した。
【0082】
実施例23
本発明に従い、上記一般的方法、実施例4のショートニング組成物を用い、デニッシュを調製した。
【0083】
実施例24
本発明に従い、上記一般的方法、実施例5のショートニング組成物を用い、デニッシュを調製した。
【0084】
実施例25
本発明に従い、上記一般的方法、実施例6のショートニング組成物を用い、デニッシュを調製した。
【0085】
実施例26
本発明に従い、上記一般的方法、実施例8のショートニング組成物を用い、デニッシュを調製した。
【0086】
実施例27〜28は、本発明のトランス脂肪ゼロのクロワッサンに関する。当該クロワッサンは次の成分を含む本発明の積層生地を用いて調製した:水600g;酵母33g; Myvatex(登録商標) Sweet NT 25g;塩15g;無脂肪牛乳30g;砂糖100g;Biobake(登録商標) 2000 0.4g;小麦粉1000g;Dorel(登録商標) 8395 2.0g。当該実施例に記載の通り、1000gのこの生地に、本発明のトランス脂肪酸を含まないショートニング300gを添加した。これらの成分を2℃で混合し、フロアタイム20分間で、当該生地を積層し(3×3)、当該積層生地を4時間冷蔵することにより生地を調製する。
【0087】
実施例27
本発明に従い、上記一般的方法及び実施例8のショートニング組成物を用い、クロワッサンを調製した。
【0088】
実施例28
本発明に従い、上記一般的方法及び実施例12のショートニング組成物を用い、クロワッサンを調製した。
【0089】
本明細書中で引用した刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての文献は、各文献が個々に且つ具体的に参照により組み込まれると明示され、且つその全体が本明細書中に記載されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0090】
本発明者らが知るところの本発明を実施するための最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態を本明細書中に記載する。前記記載を読めば、それら好ましい実施形態の変形は当業者に明白となり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜採用することを予期するし、且つ本発明者らは本発明が本明細書中に具体的に記載された以外の方法で実施されることを意図する。従って本発明には、本明細書に添付する特許請求の範囲中に列挙する対象の変形及び均等物がすべて含まれる。更に、上述の要素のあらゆる可能な変形でのあらゆる組み合わせが、本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリド、少なくとも1種の混合モノ-ジグリセリド、及び少なくとも1種の植物油を含むショートニング組成物であって、トランス脂肪酸を含まない組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の植物性ストックを含む、請求項1記載のショートニング組成物。
【請求項3】
1種以上の抗酸化剤を含む、請求項1記載のショートニング組成物。
【請求項4】
無水である、請求項1記載のショートニング組成物。
【請求項5】
約5〜70重量%の少なくとも1種の部分アセチル化モノグリセリド、約2〜30重量%の少なくとも1種の完全アセチル化モノグリセリド、約2〜30重量%の少なくとも1種の混合モノ-ジグリセリド、約15〜90重量%の少なくとも1種の植物油、約2〜15重量%の少なくとも1種の植物性ストック、及び必要に応じて1種以上の抗酸化剤を含むショートニング組成物であって、トランス脂肪酸を含まない組成物。
【請求項6】
部分アセチル化モノグリセリド、完全アセチル化モノグリセリド、及び混合モノ-ジグリセリドが、C16〜C20脂肪酸及びそれらの混合物から構成される、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項7】
部分アセチル化モノグリセリド、完全アセチル化モノグリセリド、及び混合モノ-ジグリセリドがリノール酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びそれらの混合物よりなる群から選択される脂肪酸から構成される、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項8】
植物油が菜種油、綿実油、ヒマワリ油、サフラワー油、コーン油、パーム油、大豆油及びそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項9】
植物性ハードストックが分画された植物油である、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項10】
植物性ハードストックが完全硬化植物油である、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項11】
植物性ハードストックがパームステアリン、完全硬化綿実油、完全硬化パーム油、完全硬化菜種油よりなる群から選択される、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項12】
抗酸化剤がブチル化ヒドロキシアニソール、クエン酸、アスコルビン酸よりなる群から選択される、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項13】
ヒドロキシル価約100〜200、鹸化価約250〜325mgKOH/g、ヨウ素価約0〜10gL/100g、及び融点約40〜60℃を有する部分アセチル化モノグリセリドを含む、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項14】
ヒドロキシル価約0〜25、鹸化価約350〜425mgKOH/g、ヨウ素価約20〜40gL/100g、及び融点約10〜25℃を有する完全アセチル化モノグリセリドを含む、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項15】
モノグリセリド約30〜95重量%、遊離グリセロール最大約2重量%を含有し、酸価最大約5mgKOH/g、及びヨウ素価最大約5gL/100gを有する混合モノ-ジグリセリドを含む、請求項5記載のショートニング組成物。
【請求項16】
a)部分アセチル化モノグリセリド、完全アセチル化モノグリセリド、混合モノ-ジグリセリド、植物油、及び植物性ハードストックの混合物を形成する工程;
b)混合物を一定時間攪拌しつつ融解して透明な均質の融液を得る工程;
c)融液を一定時間せん断下で冷却して部分的に固化した混合物を得る工程;
d)混合物を一定時間練って外見が光沢のある、なめらかで均質な混合物を得る工程
を含む、請求項5記載のショートニング組成物の調製方法。
【請求項17】
請求項5記載のショートニング組成物を含む積層生地。
【請求項18】
約6〜30重量%の請求項5記載のショートニング組成物を含む積層生地。
【請求項19】
請求項18記載の生地から調製された、焼き上げ製品。
【請求項20】
デニッシュ、ナポレオン、及びクロワッサンよりなる群から選択される、請求項19の焼き上げ製品。
【請求項21】
デニッシュである、請求項20の焼き上げ製品。
【請求項22】
ナポレオンである、請求項20の焼き上げ製品。
【請求項23】
クロワッサンである、請求項20の焼き上げ製品。


【公表番号】特表2010−503408(P2010−503408A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528454(P2009−528454)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/078296
【国際公開番号】WO2008/033942
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(506153859)ケリー グループ サーヴィシーズ インターナショナル、リミテッド (5)
【Fターム(参考)】