説明

積層紙の移送補助装置

【課題】 積層紙の移送目的部に、積層紙の移送を補助する事で作業者の身体的な負担を軽減し、移送目的部に積層された揃え済みの積層紙を乱雑にすることなく、積層紙の移送作業を効率且つ円滑に行うことができる移送補助装置を得る。
【解決手段】 通過開始センサ14を上面に設けた固定板10と、この固定板10の移送目的部側に回動可能に接続した傾斜板11とから成るガイドテーブル5と、傾斜板11の下面に当接配置し、水平方向に突出摺動するとともに紙載置台34側に傾斜可能とし、上面に通過完了センサ19を設けたクランプテーブル6とを備える。そして、通過開始センサ14の感知によりクランプテーブル6が突出摺動するとともに紙載置台34側に傾斜し、先端部にて紙載置台34の積層紙2を押圧可能とするとともに、通過完了センサ19の感知により、積層紙2の押圧が解除され、クランプテーブル6が元の位置に移動復元可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフト等の積層紙の供給部と、棒積み揃え装置、棒積み装置、紙揃え機、裁断装置等の移送目的部との間隔に配置し、作業者が積層紙を保持して供給部から移送目的部に移送する際の補助を行うための積層紙の移送補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、積層紙の裁断装置、特許文献1、2に記載の紙揃え機、特許文献3に記載の棒積み揃え装置等の移送目的部に、積層紙を移送する際には、リフト等の供給部に荒積みされた積層紙から、人間が適量を両手で掴み取り、これを持ち上げて両手で保持したまま、移送目的部の上面まで運搬していた。
【0003】
しかしながら、重量のある積層紙を人手で持ち上げて移送することは、作業者への身体的な負担が大きく、長時間の作業が困難で作業効率の低下を招いていた。また、一度に保持する積層紙の分量を少なくすれば、身体的負担が軽減されるが、移送回数が多くなり、やはり作業効率が低下する。また、積層紙の移送の際に、重みで積層紙が垂れ下がり、先に移送目的部に載置した積層紙に、該移送中の積層紙が引っ掛かって、揃え済みの積層紙を乱す可能性もあった。
【特許文献1】特許第3218002号公報
【特許文献2】特許第3318253号公報
【特許文献3】特開2003−054824号公報
【特許文献4】特開2004−131195号公報
【0004】
そこで、特許文献4に示す如く、積層紙の供給部から移送目的部への移送を円滑なものとするため、作業者に対向して配置した積層紙の供給部と積層紙の移送目的部の間隔に配置し、供給部から移送目的部への積層紙の移送作業を補助する積層紙の移送補助装置が従来より使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、作業者の手により、又は特許文献4に示す如き従来の移送補助装置により積層紙を供給部から移送目的部に移送した場合、移送されてきた積層紙との摩擦や、揃えのためのサバキ作業による風圧等の刺激によって、既に移送目的部の紙載置台に積層されている揃え済みの積層紙が乱雑となるおそれがあった。そのため、特許文献4に示す如く、移送作業時において移送目的部に積層された揃え済の積層紙が乱雑にならないよう、移送目的部に揃え済みの積層紙を押さえるための押圧体を設けたものが従来より使用されているが、使用する移送目的部にその都度押圧体を押圧する操作をしなければならず、押圧体の操作のための手間がかかるとともに、製造コストが高くつくものとなっていた。
【0006】
本発明は、上述の如き課題を解決しようとするものであって、積層紙の移送目的部に、人手により積層紙を移送する際に、その移送を補助する事で作業者の身体的な負担を軽減し、移送目的部に積層された揃え済みの積層紙を乱雑にすることなく、積層紙の移送作業を効率的且つ円滑に行うことができる積層紙の移送補助装置を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の如き課題を解決するため、作業者に対向して配置した積層紙の供給部と積層紙の移送目的部の間隔に配置し、供給部から移送目的部への積層紙の移送作業を補助する積層紙の移送補助装置において、紙の通過開始を感知する通過開始センサを上面に設けた固定板と、この固定板の移送目的部側に回動可能に接続した傾斜板とから成るガイドテーブルと、このガイドテーブルの傾斜板の下面に当接配置し、駆動機構によって移送目的部側に水平方向に突出摺動するとともに移送目的部の紙載置台側に傾斜可能とし、上面に紙の通過完了を感知する通過完了センサを設けたクランプテーブルとを備え、上記通過開始センサが紙の通過を感知すると、クランプテーブルが突出摺動するとともにガイドテーブルの傾斜板を伴って移送目的部の紙載置台側に傾斜し、クランプテーブルの移送目的部側の先端部にて紙載置台に配置された積層紙の上面を押圧可能とするとともに、上記通過完了センサが紙の通過完了を感知すると、上記クランプテーブルの先端部による積層紙の押圧が解除され、クランプテーブルが元の位置に移動復元可能とするものである。
【0008】
また、積層紙の移送目的部は、紙載置台を傾斜可能とする傾斜機構を備え、この傾斜機構により、上記紙載置台の作業者側とは反対側の背面側に傾斜可能とするとともに、紙揃え用の振動機構を備えたものであっても良い。
【0009】
また、クランプテーブルは、傾斜機構によって傾斜した移送目的部の紙載置台の傾斜に対応させて傾斜角度を調整可能としたものであっても良い。
【0010】
また、積層紙の移送目的部は、積層紙を上面に配置する紙載置台を上下動可能に設けた棒積み装置であっても良い。
【0011】
また、積層紙の移送目的部は、紙揃え機であっても良い。
【0012】
また、積層紙の供給部は、移送目的部に移送された積層紙の厚み分だけ上昇し、積層紙の上端面位置を常に一定としたリフト装置であっても良い。
【0013】
また、積層紙の供給部は、上下動機構を備えず、上面の高さを固定した積層紙の積層台であっても良い。
【0014】
また、傾斜板は、先端側を自由端とし、この先端側をクランプテーブルに、自重により当接係合しているものであっても良い。
【0015】
また、クランプテーブルは、移送補助装置の駆動機構に設けたクランプレバーに支持されているものであっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上述の如く構成したものであり、移送補助装置を構成するクランプテーブルの移送目的部側の先端部にて、移送目的部の紙載置台に配置された積層紙の上面を押圧可能としているため、積層紙の移送作業中に、移送目的部に積層された揃え済みの積層紙が紙載置台上に押圧固定される。従って、移送されてきた積層紙との摩擦や、揃えのためのサバキ作業による風圧等の刺激によって揃え済みの積層紙を乱雑にすることなく、積層紙を整然と積み揃えることができ、移送目的部への積層紙の移送作業を効率的且つ円滑に行うことが可能となる。
【実施例1】
【0017】
以下本発明の一実施例を図面に於て説明すると、図1に示す如く、(1)は本発明の移送補助装置であって、積層紙(2)の供給部であるリフト装置(3)と、積層紙(2)の移送目的部である紙揃え機(4)との間に配置している。尚、上記リフト装置(3)と紙揃え機(4)とは、移送補助装置(1)を挟んで略直角をなすよう配置している。
【0018】
本発明の移送補助装置(1)の構成について以下に詳細に説明すると、移送補助装置(1)は、図2に示す如く、ガイドテーブル(5)、クランプテーブル(6)、及び装置本体(7)とから成り、装置本体(7)には、クランプテーブル(6)を駆動させるための駆動部(16)を備えている。またガイドテーブル(5)は、装置本体(7)の上方に固定した固定板(10)と、この固定板(10)に回動可能に接続した傾斜板(11)とで構成している。
【0019】
そして、ガイドテーブル(5)の固定板(10)は、図4に示す如く、装置本体(7)の上面に突設した固定部(8)に接続固定している。また、この固定板(10)の上面には、図2に示す如く、積層紙(2)の通過開始を感知する通過開始センサ(14)を配置している。また、固定板(10)の移送目的部側には、略台形状の傾斜板(11)の一端を、蝶番(12)にて回動可能に接続している。また、この蝶番(12)の軸を挿入する挿入管の各間隔には、円筒状の移送ローラー(13)を回転自在に軸支している。
【0020】
このように移送ローラー(13)を挿入管の間隔に配置することにより、積層紙(2)がガイドテーブル(5)上を通過する際に生じる積層紙(2)とガイドテーブル(5)との摩擦を、移送ローラー(13)の回転によって軽減し、積層紙(2)をガイドテーブル(5)上で移送目的部の方向に円滑に移送可能なものとしている。また、上記傾斜板(11)は先端側を自由端とし、この先端側を、傾斜板(11)の下方に配置したクランプテーブル(6)に自重により当接係合している。
【0021】
また、図3に示す如く、上記クランプテーブル(6)は、上面高さを紙揃え機(4)に設けた紙載置台(34)の上面高さよりも高いものとしている。また、このクランプテーブル(6)は、図6に示す如く、装置本体(7)の駆動部(16)に設けたクランプレバー(15)によって支持されており、駆動部(16)の駆動によって摺動及び傾斜能可能なものとしている。上記装置本体(7)の駆動部(16)について以下に詳細に説明する。まず、クランプレバー(15)は、装置本体(7)に組み付けた可動板(17)に一端を回動可能に軸支している。
【0022】
また、このクランプレバー(15)は、図9に示す如く、中央を直角方向に折曲したL字型であって、一端側を装置本体(7)の側面と平行に配置するとともに、他端側を装置本体(7)の外方に突出させている。そして、図8に示す如く、この他端側の突出部(18)の先端に、クランプテーブル(6)を接続している。また、クランプレバー(15)の折曲部付近には、図8及び図9に示す如く、クランプシリンダー(21)及びクランプロッド(22)から成る上下摺動機構(23)が接続されている。
【0023】
そして、この上下摺動機構(23)のクランプロッド(22)が上下方向に摺動することにより、図6に示す如く、クランプレバー(15)が上下方向に回動するものとなる。そのため、図6の矢印に示す如く、このクランプレバー(15)の回動に伴って、クランプレバー(15)の突出部(18)に接続したクランプテーブル(6)も回動し、水平方向から移送目的部側の下方に傾斜可能となる。
【0024】
また、上記の如くクランプレバー(15)を軸支している可動板(17)は、装置本体(7)の駆動部(16)において摺動可能に組み付けられている。即ち、図5に示す如く、駆動部(16)には、装置本体(7)の移送目的部側の側部に、作業者(50)側から背面側にかけて長尺なガイドレール(24)を水平方向に固定配置している。そして、図6に示す如く、このガイドレール(24)に係合可能な係合体(25)を可動板(17)の下方に2箇所固定し、図8に示す如く前記係合体(25)をガイドレール(24)に係合することにより、可動板(17)をガイドレール(24)に沿って水平方向に摺動可能なものとしている。
【0025】
また、上記ガイドレール(24)の下方には、図5に示す如く、ガイドレール(24)と平行にベルト機構(26)を設けている。このベルト機構(26)は、ガイドレール(24)の一端と他端に対応する位置にプーリー(20)をそれぞれ設け、この両プーリー(20)に環状のベルト(27)を巻き回して成るものである。そして、このベルト機構(26)の作動は、装置本体(7)に設けられたベルト回転モータ(図示せず)により制御されている。また、このベルト(27)は、図8に示す如く、可動板(17)に突設したベルト固定板(28)に接続固定している。
【0026】
このように、ベルト(27)を可動板(17)に接続固定することにより、ベルト機構(26)を作動させてベルト(27)が回転すると、このベルト(27)の回転に伴って可動板(17)がガイドレール(24)に沿って自動的に摺動するものとなる。尚、ベルト回転モータによってベルトの回転を制御することにより、可動板(17)の摺動量を調節することができる。また、図5中(46)は、可動板(17)の摺動に伴って湾曲移動可能な電気配線及びエア配管である。
【0027】
そして、上記の如く可動板(17)がガイドレール(24)に沿って摺動することにより、可動板(17)に軸支したクランプレバー(15)を介してクランプテーブル(6)が水平方向に摺動するものとなる。この摺動により、クランプテーブル(6)を、図2の二点鎖線で示す如く、装置本体(7)の傾斜板(11)の下方に収納することができるとともに、使用時には、図2の実線で示す如く紙載置台(34)側に突出させることができる。
【0028】
また、図7及び図8に示す如く、上記クランプレバー(15)の突出部(18)には、クランプテーブル(6)の傾斜角度を調節するための角度調節機構(29)を接続固定している。この角度調節機構(29)は、角度調節シリンダー(30)と角度調節ロッド(31)とから成るものであって、突出部(18)と平行に配置している。そのため、角度調節ロッド(31)はクランプレバー(15)の突出部(18)と平行に摺動可能なものとなっている。また、この角度調節ロッド(31)の先端には、一端をクランプテーブル(6)の下面に、接続部(33)を介して接続固定した傾斜レバー(32)の他端を回動可能に軸支している。
【0029】
そのため、上記の如く配置した角度調節機構(29)の角度調節ロッド(31)を角度調節シリンダー(30)の引き込み方向に摺動させることによって、角度調節ロッド(31)の先端側に設けた連結軸(51)が、図8において左側に移動する。これにより、上記連結軸(51)を介して角度調節ロッド(31)に回動可能に連結した傾斜レバー(32)が傾斜する。そして、この傾斜レバー(32)の傾斜に伴って、傾斜レバー(32)の一端に接続部(33)を介して接続固定したクランプテーブル(6)が、接続部(33)を支点として回動し、図7に示す如く、紙揃え機(4)の紙載置台(34)の上面側に傾斜するものとなる。また、このクランプテーブル(6)の傾斜角度の最大量は、クランプレバー(15)の突出部(18)に配置した角度調節ねじ(35)によって調節することができる。
【0030】
即ち、上記角度調節ねじ(35)は、図8に示す如く、傾斜レバー(32)に対向して水平方向に配置しており、この角度調節ねじ(35)を回転させることにより、自身の突出長さを調節可能なものとしている。そして、角度調節ロッド(31)を角度調節シリンダー(30)側に摺動させて傾斜レバー(32)を傾斜させることにより、この傾斜レバー(32)が角度調節ねじ(35)の先端に当接するものとなる。
【0031】
従って、傾斜レバー(32)は、図7に示す如く、上記当接位置で傾斜が止まるものとなり、これによってクランプテーブル(6)の傾斜位置が定まる。そのため、角度調節ねじ(35)の突出長さを変えることによって、角度調節ロッド(31)の作動に伴うクランプテーブル(6)の傾斜角度を調節することが可能となる。このように、クランプテーブル(6)を移送目的部の紙載置台(34)の上面に傾斜することができるとともに、角度調節ねじ(35)により傾斜角度を調節することができるため、クランプテーブル(6)を、移送目的部の紙載置台(34)の傾斜角度に対応させて、傾斜させることが可能となる。従って、図7に示す如く、クランプテーブル(6)を、傾斜している紙載置台(34)の傾斜角度に拘わらず、紙載置台(34)と平行になるよう配置することができ、クランプテーブル(6)から紙載置台(34)への積層紙(2)の移送をより円滑に行うことができる。
【0032】
また、クランプテーブル(6)の移送目的部側の上面には、図2に示す如く、積層紙(2)の通過完了を感知する通過完了センサ(19)を配置している。また、クランプテーブル(6)の移送目的部側の先端部の下面には、図5に示す如く、移送目的部の紙載置台(34)に積層した積層紙(2)の上面を押圧するための、押圧突部(47)を突設している。
【0033】
また、装置本体(7)の背面には、図1に示す如く、先端側がリフト装置(3)方向にL字型の固定アーム(48)を突出して接続し、この固定アーム(48)の先端に、積層紙(2)を反転するための反転棒(37)を設けている。この反転棒(37)は、固定アーム(48)に、積層紙(2)の上面と平行に配置可能であるとともにに積層紙(2)と垂直となるよう回動可能に軸支されており、反転方向に回転可能な反転ローラー(38)と、ガイド板(40)とから成るものである。
【0034】
そして、積層紙(2)の反転を必要としない場合は、図3の矢印で示す如く、前記反転棒(37)を回動させて積層紙(2)と垂直方向に配置し、供給台(36)の上面に突出しないようにする。また、積層紙(2)の反転を必要とする場合には、図3の二点鎖線で示す如く、反転棒(37)を供給台(36)の上方に水平方向に突出させる。このように供給台(36)の上方に反転棒(37)を配置することにより、作業者(50)が積層紙(2)を反転させる際に、適量の積層紙(2)を移送目的部の方向に水平にスライドさせながら容易に移送することが可能となる。
【0035】
次に、積層紙(2)の供給部であるリフト装置(3)について説明すると、リフト装置(3)は、図1に示す如く、上下動可能なリフト本体(41)の上部に、積層紙(2)を積層するための供給台(36)を設けて成るものである。また、リフト本体(41)の上下動は、移送補助装置(1)のガイドテーブル(5)に設けた位置センサー(図示せず)からの電気信号により制御し、積層紙(2)の上面を、積層紙(2)の増減に拘わらず、常に一定高さに保つことを可能なものとしている。
【0036】
上記リフト本体(41)の上下動について更に詳細に説明すると、まず、リフト本体(41)には、このリフト本体(41)を上下方向に移動させるためのリフト機構(図示せず)を設けている。また、ガイドテーブル(5)には、積層紙(2)の上面を感知することができる位置センサー(図示せず)を、リフト装置(3)側に設けている。またリフト本体(41)には、前記位置センサーからの電気信号を受信する受信部(図示せず)を設けている。
【0037】
そして、予め下降させておいたリフト本体(41)の供給台(36)に積層紙(2)を載置し、リフト機構を作動させてリフト本体(41)を上昇させることにより、供給台(36)に載置した積層紙(2)の上面が上昇し、ガイドテーブル(5)に設けた位置センサーの高さまで到達するものとなる。この時、位置センサーが積層紙(2)の上面を感知して、位置センサーからの電気信号により、リフト本体(41)が停止する。
【0038】
上記の如く位置センサーの感知に連動してリフト本体(41)が作動するため、、供給台(36)に載置した積層紙(2)の上面を、常にガイドテーブル(5)の高さとほぼ同一の高さに保つことができる。そのため、供給台(36)からガイドテーブル(5)に積層紙(2)を移送する際には、供給台(36)に載置した積層紙(2)をガイドテーブル(5)まで持ち上げる必要がなく、水平方向にスライドするのみで容易に移送することができる。尚、図1に示す如く、供給台(36)には積層紙(2)をパレット(42)に積層した状態でパレット(42)ごと載置することができる。
【0039】
次に、積層紙(2)の移送目的部である紙揃え機(4)について詳細に説明すると、本実施例で使用する紙揃え機(4)には、図1に示す如く、積層紙(2)を載置して紙揃え作業を行うための紙載置台(34)が設けられている。そのため、移送補助装置(1)から移送された積層紙(2)は、この紙載置台(34)の上面に載置される。また、紙揃え機本体(45)に組み付けた傾斜機構(図示せず)を作動させることにより、図3に示す如く、移送補助装置(1)側とは反対側である左背面側の角部方向に傾斜可能なものとしている。尚、本実施例で使用する紙揃え機(4)は、製本工程に入る前の印刷済みの積層紙(2)を、より精密に積み揃えるために使用されるものである。
【0040】
また、図1に示す如く、紙載置台(34)の上面には、移送補助装置(1)側とは反対側の側部及び背面側に、側部突き当て板(43)及び背面突き当て板(44)をそれぞれ突設している。そのため、積層紙(2)を載置した紙載置台(34)を、左背面側の角部方向に傾斜させた場合に、積層紙(2)の左背面側の角部を形成する二片が、上記側部突き当て板(43)及び背面突き当て板(44)にそれぞれ突き当たり、積層紙(2)の紙揃えが行われる。また、紙載置台(34)の左背面側の角部への傾斜角度は、紙揃え機本体(45)の傾斜機構を制御することにより必要に応じて調節可能なものとしている。
【0041】
また、本実施例の紙揃え機(4)には、紙載置台(34)の上面に積層された積層紙(2)に振動を与えて紙揃え効果を高めるために、振動器(図示せず)を備えている。この振動器は紙載置台(34)の下面に当接配置されており、振動器(46)が振動すると、この振動が紙載置台(34)全体に伝達して、紙載置台(34)に載置した積層紙(2)が振動する。この積層紙(2)の振動により、積層紙(2)が側部突き当て板(43)及び背面突き当て板(44)に多数回にわたり繰り返し突き当たるため、積層紙(2)の精密な紙揃えを行うことが可能となる。
【0042】
次に、上記の如き構成の移送補助装置(1)、リフト装置(3)、及び紙揃え機(4)を用いた積層紙(2)の移送作業について以下に説明すると、まず、移送作業の前に、各装置の下準備を行う。即ち、リフト装置(3)のリフト本体(41)を下降させた状態で、このリフト装置(3)の供給台(36)に、印刷後の荒積みの積層紙(2)をパレット(42)ごと載置する。そして、リフト本体(41)のリフト機構を作動させて、供給台(36)を、積層紙(2)の上面がガイドテーブル(5)とほぼ同一の高さになるまで上昇させる。
【0043】
また、紙揃え機(4)においては、紙揃え機本体(45)の傾斜機構を作動させて紙載置台(34)を所望の角度に傾斜させておく。また、この紙載置台(34)の傾斜角度に対応させて、移送補助装置(1)のクランプテーブル(6)を角度調節機構(29)により予め傾斜させ、図7に示す如く、紙載置台(34)とクランプテーブル(6)とが平行となるよう配置する。
【0044】
そして、上記の如くクランプテーブル(6)を傾斜させた状態で、ベルト機構(26)を作動させて、傾斜板(11)の下方に収納していたクランプテーブル(6)を、図2の実線で示す如く、紙載置台(34)側に摺動させる。また、クランプレバー(15)を下方に回動させて、図4の実線で示す如く、クランプテーブル(6)を紙揃え機(4)の紙載置台(34)側に傾斜させておく。
【0045】
このようにクランプテーブル(6)を摺動及び傾斜移動することにより、クランプテーブル(6)の先端側に設けた押圧突部(47)が、紙載置台(34)の上面付近に位置するものとなる。また、クランプテーブル(6)の傾斜に伴って、ガイドテーブル(5)の傾斜板(11)が傾斜し、クランプテーブル(6)と傾斜板(11)との傾斜により、なだらかな傾斜面が形成されるものとなる。そのため、この傾斜面に沿って、積層紙(2)を固定板(10)から紙載置台(34)まで容易且つ円滑に移送することが可能となる。
【0046】
上記の如く各装置の下準備を行った後、作業者(50)による移送作業を開始する。まず、作業者(50)はリフト装置(3)の供給台(36)に載置した積層紙(2)の上方から適量の積層紙(2)の両端をつかみ取り、移送補助装置(1)のガイドテーブル(5)方向にスライド移送する。この積層紙(2)の移送補助装置(1)への移送により、供給台(36)上の積層紙(2)が減少して積層紙(2)の上面高さが低くなるが、ガイドテーブル(5)の位置センサーによってリフト装置(3)が上昇し、積層紙(2)の上面は一定高さに保たれる。
【0047】
ここで、第1回目の移送時は、上記の如く、下準備においてクランプテーブル(6)を摺動及び傾斜移動させているため、積層紙(2)が通過開始センサ(14)を通過しても、駆動部(16)は作動しない。尚、第2回目の移送からは、積層紙(2)が通過開始センサ(14)を通過すると、通過開始センサ(14)の感知によって駆動部(16)が作動し、クランプテーブル(6)が摺動及び傾斜移動するものとなる。
【0048】
そして、上記の如くガイドテーブル(5)及びクランプテーブル(6)を通過した積層紙(2)の後端が、クランプテーブル(6)の通過完了センサ(19)を通過すると、上記通過完了センサ(19)が積層紙(2)の後端の通過を感知する。そして、この通過完了センサ(19)の感知によって、通過完了センサ(19)からの電気信号が駆動部(16)に送信され、駆動部(16)が作動する。そして、クランプテーブル(6)が図6の二点差線に示す如く回動復元するとともに、紙載置台(34)側とは反対側の傾斜板(11)側に若干摺動して停止する。
【0049】
また、クランプテーブル(6)上を通過した積層紙(2)は、側部突き当て板(43)と背面突き当て板(44)とに、背面側の角部を形成する二片を突き当てた状態で紙載置台(34)上に載置される。以上により、リフト装置(3)から紙揃え機(4)への1回目の積層紙(2)の移送が終了する。
【0050】
そして、上記第1回目の移送の終了と同時に、第2回目の移送が開始される。第2回目の移送について詳細に説明すると、まず、積層紙(2)をリフト装置(3)から移送補助装置(1)方向にスライド移送することにより、この積層紙(2)がガイドテーブル(5)に設けた通過開始センサ(14)を通過する。
【0051】
そして、通過開始センサ(14)が積層紙(2)の通過を感知することにより、駆動部(16)が作動して、クランプテーブル(6)が紙揃え機(4)側に摺動する。また、このクランプテーブル(6)の摺動と同時に、クランプテーブル(6)が紙揃え機(4)側に傾斜し、これに伴いガイドテーブル(5)の傾斜板(11)が傾斜する。
【0052】
また、上記のクランプテーブル(6)の傾斜の際には、図4に示す如く、クランプテーブル(6)の先端側の押圧突部(47)が、第1回目の移送作業時に紙載置台(34)に積層した積層紙(2)の上面を押圧するものとなる。そのため、積層紙(2)の移送作業中に、紙載置台(34)に積層された揃え済みの積層紙(2)が紙載置台(34)に押圧固定される。従って、移送中の積層紙(2)との摩擦や、この積層紙(2)を揃えるためのサバキ作業による風圧等の刺激を受けても、揃え済みの積層紙(2)を乱雑にすることなく、移送中の積層紙(2)を整然と積み揃えることができる。そのため、紙載置台(34)への積層紙(2)の移送作業を効率的且つ円滑に行うことが可能となる。
【0053】
そして、積層紙(2)の後端がクランプテーブル(6)の通過完了センサ(19)を通過すると、通過完了センサ(19)の感知により駆動部(16)が作動してクランプテーブル(6)が第2回目の移送開始時の位置に移動復元する。この移動復元により、クランプテーブル(6)の押圧突部(47)による積層紙(2)の押圧が解除され、第1回目に移送した積層紙(2)の上面に、第2回目に移送した積層紙(2)が整然と積み揃えられる。これにより、第2回目の移送が終了する。そして、このような移送作業を複数回連続して繰り返すことにより、リフト装置(3)の供給台(36)に載置した全ての積層紙(2)が紙揃え機(4)の紙載置台(34)に積層され、移送作業が完了する。
【0054】
そして、積層紙(2)の移送作業が完了した後、駆動部(16)を作動させて、紙載置台(34)側より若干傾斜板(11)側で停止していたクランプテーブル(6)を、図2の2点鎖線で示す如く、傾斜板(11)の下方まで完全に摺動させて収納状態とする。また、紙載置台(34)上に積層された積層紙(2)については、紙揃え機(4)の紙載置台(34)を振動させることにより更に精密な紙揃えを行う。
【0055】
尚、本実施例では積層紙(2)の供給部としてリフト装置(3)を使用しているが、他の異なる実施例では、より簡易なリフト装置(3)や、上下動機構を設けず上面の高さを固定した積層紙(2)の積層台等を供給部としても良い。また、本実施例では積層紙(2)の移送目的部を紙揃え機(4)としているが、他の異なる実施例では棒積み揃え装置や紙の裁断装置等を使用することも可能である。
【0056】
また、上記実施例ではリフト装置(3)の供給台(36)の積層紙(2)を反転させることなく、そのまま紙揃え機(4)に移送する場合を説明したが、両面印刷等を行う必要から、供給台(36)の積層紙(2)を反転して紙揃え機(4)に移送する場合は、まず、供給台(36)に載置した積層紙(2)の上方に、図2の二点鎖線に示す如く、反転棒(37)を積層紙(2)の上面に臨ませて、積層紙(2)と水平方向に突出配置する。そして、積層紙(2)の移送側とは反対側の一端を持って反転棒(37)の上面まで引き上げ、そのままこの一端側から反転棒(37)の上面を通過移動させることにより積層紙(2)を反転させ、反転した積層紙(2)を移送補助装置(1)のガイドテーブル(5)方向にスライド移送する。そして、上記と同様に移送目的部への積層紙(2)の移送作業を行う。
【0057】
そして、上記の反転は、反転ローラー(38)の回転によって反転棒(37)と積層紙(2)との摩擦抵抗を小さくすることができるとともに、ガイド板(40)によって、反転直後の積層紙(2)が水平方向に移送されるため、反転時に生じる積層紙(2)の遊びを防止することができるものである。そのため、作業者(50)による積層紙(2)の反転作業を容易なものとすることが可能となる。また、反転によって表面に印刷を施した積層紙(2)の裏面への印刷を可能なものとしている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例を示す、移送補助装置、リフト装置、及び紙揃え機の全体斜視図。
【図2】図1の全体平面図。
【図3】図1の正面図。
【図4】図3の移送補助装置部分の拡大正面図。
【図5】移送補助装置の側面図。
【図6】図5のガイドテーブル部分の拡大側面図。
【図7】移送補助装置の部分背面図。
【図8】図7のクランプレバー部分の拡大背面図。
【図9】クランプレバー部分の拡大斜視図。
【符号の説明】
【0059】
1 移送補助装置
2 積層紙
3 リフト装置
4 紙揃え機
5 ガイドテーブル
6 クランプテーブル
10 固定板
11 傾斜板
14 通過開始センサ
19 通過完了センサ
34 紙載置台
50 作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に対向して配置した積層紙の供給部と積層紙の移送目的部の間隔に配置し、供給部から移送目的部への積層紙の移送作業を補助する積層紙の移送補助装置において、紙の通過開始を感知する通過開始センサを上面に設けた固定板と、この固定板の移送目的部側に回動可能に接続した傾斜板とから成るガイドテーブルと、このガイドテーブルの傾斜板の下面に当接配置し、駆動機構によって移送目的部側に水平方向に突出摺動するとともに移送目的部の紙載置台側に傾斜可能とし、上面に紙の通過完了を感知する通過完了センサを設けたクランプテーブルとを備え、上記通過開始センサが紙の通過を感知すると、クランプテーブルが突出摺動するとともにガイドテーブルの傾斜板を伴って移送目的部の紙載置台側に傾斜し、クランプテーブルの移送目的部側の先端部にて紙載置台に配置された積層紙の上面を押圧可能とするとともに、上記通過完了センサが紙の通過完了を感知すると、上記クランプテーブルの先端部による積層紙の押圧が解除され、クランプテーブルが元の位置に移動復元可能とすることを特徴とする積層紙の移送補助装置。
【請求項2】
積層紙の移送目的部は、紙載置台を傾斜可能とする傾斜機構を備え、この傾斜機構により、上記紙載置台の作業者側とは反対側の背面側に傾斜可能とするとともに、紙揃え用の振動機構を備えたことを特徴とする請求項1の積層紙の移送補助装置。
【請求項3】
クランプテーブルは、傾斜機構によって傾斜した移送目的部の紙載置台の傾斜に対応させて傾斜角度を調整可能としたことを特徴とする請求項1の積層紙の移送補助装置。
【請求項4】
積層紙の移送目的部は、積層紙を上面に配置する紙載置台を上下動可能に設けた棒積み装置であることを特徴とする請求項1または2の積層紙の移送補助装置。
【請求項5】
積層紙の移送目的部は、紙揃え機であることを特徴とする請求項1または2の積層紙の移送補助装置。
【請求項6】
積層紙の供給部は、移送目的部に移送された積層紙の厚み分だけ上昇し、積層紙の上端面位置を常に一定としたリフト装置であることを特徴とする請求項1の積層紙の移送補助装置。
【請求項7】
積層紙の供給部は、上下動機構を備えず、上面の高さを固定した積層紙の積層台であることを特徴とする請求項1の積層紙の移送補助装置。
【請求項8】
傾斜板は、先端側を自由端とし、この先端側をクランプテーブルに、自重により当接係合していることを特徴とする請求項1の積層紙の移送補助装置。
【請求項9】
クランプテーブルは、移送補助装置の駆動機構に設けたクランプレバーに支持されたことを特徴とする請求項1の積層紙の移送補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−182312(P2007−182312A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−2378(P2006−2378)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 2005年10月4日〜8日 印刷機材団体協議会主催の「JGAS 2005」に出品
【出願人】(592082767)株式会社工藤鉄工所 (2)
【Fターム(参考)】