説明

積荷の盗難を防止するためのタンパ保護システム

積荷の盗難を防止するためのタンパ保護システム(1)は、積荷を覆うための可撓カバーシート(3)と、可撓カバーシートの第一部分に沿って分配される第一組の導電性ワイヤ(5)と、測定及び処理回路構成(6)とを含む。測定及び処理回路構成(6)は、第一組の導電性ワイヤの第一の複合電気抵抗(R)を表示する第一の測定値(V)を測定し、第一の測定値と第一の基準値(V1ref)との間の第一の差(ΔV)を決定し、第一の差が所定の第一の閾値よりも下であるならば、第一の測定値に基づき第一の基準値を調節し、さもなければ、前記第一の閾値を超過したことを表示する信号をもたらすよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積荷(cargo)の盗難を防止するためのタンパ保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
1つの場所から他の場所への物品の流通のために、トラック、貨物列車、及び、貨物船が、輸送のために頻繁に利用される。積荷は可撓カバー、例えば、ターポリン(tarpaulin)によって保護されるのが一般的である。ターポリンは織物、例えば、耐水塗膜又はプラスチックで作製されるので、無節操な人が積荷を開くことを試みるならば、それは然程の保護をも提供し得ない。ターポリンをタンパリング(tampering)する、例えば、ナイフのような鋭い工具で積荷を切断して開けることによって、積荷を全く容易に盗み得る。
【0003】
積荷の盗難を防止するために、或いは、潜在的な盗難の条件を少なくとも悪化させるために、可撓カバーと一体化な警報システムを実施する努力が行われている。そのような警報システムを実現する1つの方法は、制御回路に接続されるターポリン中に多数の抵抗性電線を含めることであり、制御回路はこれらの抵抗性電線によって形成されるネットワークの抵抗を測定する。電線のうちの1つが切断されるならば、対応する抵抗の変化が記録され、警報が作動される。そのような積荷監視警報システムは、例えば、US6,144,298に開示されており、初期電気パラメータを定める無作為電気接続を作り出すために、電子監視装置に電気的に接続される電線を含む電子フィラメントネッティング(electronic filament netting)を導入する。タンパリング又は窃盗の如何なる試みをも監視し且つ警告するために、初期電気パラメータ、例えば、抵抗の変化が電子監視装置に通信される。
【0004】
US6,144,298は、タンパリング又は窃盗の如何なる試みをも監視し且つ警告することによって積荷の保護を補助し得る電子フィラメントネッティングを記載しているが、正当化される警報と共に、ターポリンのタンパリングに関連しない警報も引き起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、警報の作動を正当化する条件とそのような表示を誤って与える条件との間を区別する能力を提供し、それに従って、上記関連する欠点が少なくとも部分的に解消される、積荷保護のための監視解決策の必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の特徴によれば、上記欠点は、積荷の盗難を防止するためのタンパ保護システムによって少なくとも部分的に満足され、タンパ保護システムは、積荷を覆うための可撓カバーシートと、可撓カバーシートの第一部分に沿って分配される第一組の導電性ワイヤと、第一組の導電性ワイヤに接続される測定及び処理回路構成とを含む。測定及び処理回路構成は、第一組の導電性ワイヤの第一の複合電気抵抗を表示する第一の測定値を測定し、第一の測定値と第一の基準値との間の第一の差を決定し、第一の差が所定の第一の閾値よりも下であるならば、第一の測定値に基づき第一の基準値を調節し、さもなければ、第一の閾値を超過したことを表示する信号をもたらすよう構成される。
【0007】
故に、本発明に従った積荷の盗難を防止するためのタンパ保護システムを用いるならば、警報の作動を正当化する条件と誤ってそのような表示を与える条件との間を区別する能力が導入される。
【0008】
本発明は、例えば、トラック又は船によって支持される積荷を覆う可撓カバーシートが、例えば、積荷を盗むために可撓性カバーシートを横断して切断することによってタンパリングされるとき、可撓性カバーシートの(第一)部分に沿って分配される第一組の導電性ワイヤのワイヤも同様に切断される可能性があるという認識に基づく。そのような切断は、ワイヤ組の(第一)複合電気抵抗に影響を与える。しかしながら、複合電気抵抗は年数及び環境条件によっても追加的に影響され、故に、時間、温度、及び/又は、湿度で異なり得る。環境的効果と関連付けられる複合電気抵抗に対する影響は、可撓カバーシートのタンパリングに関連付けられる効果と異なる特性を有する。前者は複合電気抵抗の値をゆっくりと変動(ドリフト)させる傾向を有するのに対し、後者は複合電気抵抗の値をむしろ一気に増大させる傾向を有する。より多くのワイヤが切断されるほど、より高く増大する。発明者は、(第一)基準値を導入し、複合電気抵抗を表示する測定値をそれと比較し、基準値と測定値との間の(第一)差が(第一)閾値を超えないならば、この基準値が測定値に基づき調節されることを可能にすることによって、複合電気抵抗に影響を及ぼす現在の環境条件を反映するよう基準値を更新し得ることを認識した。従って、基準値は時間の経過と共に異なり得る。
【0009】
他方、差がより大きな大きさを有するならば、可撓カバーシートがタンパリングされ、正当な警報のための条件が充足されたと考え得る可能性がある。従って、差が閾値を超えるならば、処理回路構成は、閾値が超過したことを表示する信号をもたらすよう構成され、引き続き、それに基づき警報を作動してもよく、或いは、OK信号が最早もたらされない。故に、閾値は、好ましくは、可撓カバーシートのタンパリングに起因する複合電気抵抗の変化が閾値を超えるのを可能にするが、環境的影響に起因する変化が閾値を超えることを可能にしないように選択される。
【0010】
それによって、現在のタンパ保護システムは、結果的に、警報の作動を正当化する条件とそのような表示を誤って与える条件との間を区別する能力をもたらし、それによって、可撓カバーシートのタンパリングよりもむしろ環境的影響に関連する複合電気抵抗変動に基づく警報の作動を回避し得る。
【0011】
導電性ワイヤ組のワイヤは任意の長さを有し、例えば、銀塗装ポリエステル又はナイロン、例えば、Statexナイロン 117/17(8kΩ/m)、ステンレス鋼、例えば、Durafil M−Spun(10kΩ/m及び100kΩ/m)若しくはBekinox、炭素塗装金属及び銅のうちの1つ、又は、それらの組み合わせであり得る。故に、ワイヤの1メートル当たりの理論抵抗は、好ましくは、100Ω/mから1MΩ/mの間、より一層好ましくは、1kΩ/mから100kΩ/mの間であり得るが、必ずしもそうである必要はない。前述の特性を備えるワイヤを選択することは、測定の精度を妥協することなく、電力消費の最適化及び/又は低減を可能にし得る。ワイヤの一部又は全部は、短絡の回避のために絶縁層を更に含み得る。
【0012】
例えば、ウィービング(weaving)、スティッチ溶接(stitching)、ラミネート(laminating)、印刷(printing)、又は、接着(gluing)によって、導電性ワイヤの組を第一部分と一体化し得る。代替的に、導電性ワイヤの組は、別個のシートの上に設けてもよく、別個のシートは、引き続き、例えば、可撓カバーシートの内側に付着される。
【0013】
1つの実施態様によれば、基準値と測定値との間の複数の差の各々が閾値を超える場合に限り第一の閾値を超過したことを表示する前述の信号を作動するよう測定及び処理回路構成を構成し得る。故に、複数のサンプル、即ち、差の幾つかの測定値を警報の作動が正当化されるか否かの決定の考慮に入れることによって、可撓カバーシートのタンパリングを誤って表示するよりもむしろ単一の誤った差の値を無視し得る。この場合には、基準値と測定値との間の差の少なくとも1つの追加的なサンプルも閾値を超えない限り、第一閾値を超過したことを表示する信号はもたらされない。追加的なサンプルは、如何なる任意の以前に測定された及び/又は引き続き測定された差であり得る。しかしながら、潜在的な盗難の試みの効率的な検出をもたらすために適切に近接した時間範囲内の1つ又は幾つかのサンプルを見ることは有利であり得る。
【0014】
その上、複数の差を順次的に決定し得る。それによって、閾値を超過したことを表示する信号が提供されるべきか否かを決定するに先立ち、少なくとも2つの連続的なサンプルが考慮に入れられる。
【0015】
測定及び処理回路構成に対して導電性ワイヤの組を配置する異なる方法があり得る。1つの実施態様によれば、導電性ワイヤの組を測定及び処理回路構成に並列に電気的に接続し得る。導電性ワイヤの組が測定及び処理回路構成に並列に電気的に接続されることは、ワイヤ相互の物理的な向きが平行な配置に限定されるべきことを必ずしも示さないことに留意のこと。逆に、ワイヤを互いに対して任意に分配し得る。ワイヤは交差点で電気接触してもよく、絶縁状態に維持されてもよい。後者の構造は、確実な電気接続を行う必要がないという利点を有し、そのような確実な電気接続は、例えば、そのような電気接続を隠すシームのないターポリンの中央において達成するのは困難であり得る。例えば、少なくとも部分的に経糸及び緯糸状にネッティング(netting)を形成するワイヤを用いるならば、積荷を盗む意図を伴う可能な開口切断の大きさは更に限定され、潜在的な窃盗犯人がワイヤの少なくとも1つも切断せずに可撓カバーシートを切断することを更に一層困難にする。
【0016】
タンパ保護システムを駆動する電池のような電源の消耗を回避し且つ電力消費を合理的なレベルに維持するために、測定を間欠的に行い得る。故に、例えば、1Hzの周波数で所定の時間間隔で周期的に測定を作動するよう処理回路構成を構成し得る。しかしながら、様々な実施態様によれば、無作為な時間間隔のように非周期的に測定を作動するよう測定及び処理回路構成を構成し得る。不規則な時間間隔での測定は、無節操な人がタンパ保護システムを「ハッキング」すること、即ち、迂回策を一時的に装着することによってシステムを無効化することを試みることの困難性を増大する。例えば、導電性ワイヤの組の端子で電圧及び電流を測定し、それによって、複合電気抵抗を決定し、次に、2つの測定の間の休止時間中に交換用の抵抗器を提供することによって、そのような無効化を試み得る。故に、無作為のような不規則な時間間隔での測定の実施は、次の測定がいつ起こるかを予期し得ない点で、潜在的なハッカーのための条件を悪化する。
【0017】
潜在的なハッカーがタンパ保護システムを無効化することをより一層困難にするために、測定及び処理回路構成は、少なくとも、導電性ワイヤの組を介して互いに電気的に接続される第一制御ユニット及び第二制御ユニットを含み得る。それによって、第一制御ユニット及び第二制御ユニットは互いに通信し合い、それによって、積荷の窃盗の試みを防止するための補足機能が提供される。通信は、例えば、あらゆる特定のタンパ保護システムのための異なる鍵を備える暗号化アルゴリズムに基づき得る。潜在的なハッカーはこの鍵を知らないので、潜在的なハッカーは、システムをハッキングする試みにおいて、第一又は第二の制御ユニットのための交換物を一時的に装着し得ない。
【0018】
加えて、第一及び第二の制御ユニットが導電性ワイヤの組を介して接続され、好ましくは、導電性ワイヤの組の異なる端部で互いに分離されるよう構成することによって、代替の抵抗器を装着することによってタンパ保護システムをハッキングすることを試みる如何なる攻撃者も、更に他の障害に遭遇する。第一及び第二の制御ユニットの間の交換接続を行うことを試みる際に、攻撃者は互いに離間して配置されるワイヤにアクセスしなければならないことに直面する。第一及び第二の制御ユニットを導電性ワイヤの組に接続するワイヤにアクセスすることをより一層困難にするために、制御ユニットの一方又は両方を可撓カバーシートに更に一体化し、それによって、制御ユニットの一方又は両方を攻撃者から隠されたままにする。
【0019】
その上、第一及び第二の制御ユニットを導電性ワイヤの組に接続する任意のワイヤが潜在的な窃盗犯人によって単に切断されるならば、タンパ保護システムは、前述したように、閾値を超えたことを表示する信号をもたらし、それによって、警報を作動し得る。
【0020】
2つの制御ユニットに対する追加的な機能性を備えることで、更に他の利点をタンパ保護システムから引き出し得る。例えば、制御ユニットの一方又は両方が測定のために利用されるよう、測定機能性を2つの間に分配し得る。導電性ワイヤの組に電流をもたらすよう制御ユニットの一方を構成するのに対し、導電性ワイヤの組に亘る電圧を測定するよう他方の制御ユニットを構成し得る。その上、機能性分配は、制御ユニット間で時間の経過と共に変化する。1つの実施態様によれば、第一制御ユニットから第二制御ユニットに送信される同期信号、例えば、二進コードに基づき測定及び処理回路構成を構成し得る。その場合における可能なシナリオは、同期信号が第一制御ユニットから第二制御ユニットに送信され、それが第二制御ユニットを作動し、例えば、二進コードによって命令されるリズム(rhythm)に従って、導電性ワイヤの組への電流をスイッチオン/オフすることである。同時に、第一制御ユニットは、例えば、同じリズムで導電性ワイヤの組に亘る電圧を測定する。それによって、機能性の分配並びに測定のタイミングの予測不能性を達成し、それによって、2つの制御ユニットの効率的な使用及び潜在的な窃盗犯人のための条件悪化を達成し得る。
【0021】
本発明のタンパ保護システムの実施の1つの実現可能な有利な方法は、導電性ワイヤの組に亘る電圧測定値を利用することであり得る。従って、第一の基準値は、電圧であり得るし、測定及び処理回路構成は、第一の所定電流を第一組の導電性ワイヤにもたらすよう配置される第一電流生成回路構成と、第一組の導電性ワイヤに亘る第一の複合電圧を測定するよう配置される第一の電圧測定回路構成と、第一の複合電圧と第一の基準値との間の第一の差を検出するよう配置される第一の電圧差測定回路構成とを含み得る。それによって、導電性ワイヤの組を通じる電流は既知であるので、第一の複合電圧は、第一組の導電性ワイヤの第一の複合電気抵抗を表示する。所定電流が時間の経過と共に一定に留まることは必ずしも必要ではないことに留意のこと。逆に、むしろ所定電流を調節し得る。それによって、最適な電力消費を時間の経過と共に維持し得る。複合電気抵抗は環境条件並びに導電性ワイヤの組の経年変化と共に変化し得るので、この変化を補償するよう所定電流を調節し得る。加えて、所定電流の振幅を不規則に変更し得る、例えば、無作為化し得る。それによって、潜在的なハッカーは、交替する抵抗器の寸法を規則するのがより困難である点で、タンパ保護システムを無効化するのに増大された困難性を有する。
【0022】
一般的に、本発明の導電性ワイヤの組は、たった数本から数百本に亘る任意の数の、例えば、400本のワイヤを含み得る。より一層大きな数のワイヤは可撓カバーシートのより大きな部分がワイヤ又はワイヤのより大きな密度で覆われることを可能にするが、より大きな数は、場合によっては、環境的影響に起因する複合電気抵抗変化から(確実な方法で)区別するのがより困難な、切断ワイヤに起因する複合電気抵抗変化をもたらす。即ち、後者の場合、閾値は比較的低く設定される必要があり、よって、可撓カバーシートのタンパリングよりもむしろ環境的変化に起因する警報を作動する可能性を増大する。従って、不当な警報を表示する危険性を低く抑えながら、可撓カバーシートのより大きな部分の覆いを支持するために、或いは、潜在的な窃盗犯人のための条件を悪化するネッティングパターンの形成のために、タンパ保護システムは、可撓カバーシートの第二部分に亘って分配される第二組の導電性ワイヤを更に含み得る。測定及び処理回路構成を第二組の導電性ワイヤに接続し、更に、第二組の導電性ワイヤの第二の複合電気抵抗を表示する第二の測定値を測定し、第二の測定値と第二の基準値との間の第二の差を決定し、第二の差が所定の第二の閾値値よりも下であるならば、第二の測定値に基づき第二の基準値を調節し、さもなければ、第二の閾値を超過したことを表示する信号をもたらすよう更に構成し得る。それによって、第二組の導電性ワイヤを備えるならば、可撓カバーシートのタンパリングに起因する複合電気抵抗変化から環境的影響に起因する複合電気抵抗変化を確実な方法で区別する能力を妥協することなく、タンパ保護システムのワイヤの数を増大し得る。即ち、同じ数のワイヤのために一組の導電性ワイヤのみが利用される場合に比べて、第一及び第二の閾値のそれぞれを比較的高く設定することができ、タンパリングの試みのために環境変化に起因する第一及び/又は第二の複合電気抵抗変化を偶発的に取り違える危険性を減少し得る。加えて、潜在的なハッカーがタンパ保護システムを無効化することを試みるならば、潜在的なハッカーは、1つの交換用の抵抗器だけでなく、2つもの交換用の抵抗器(導電性ワイヤの各組のために1つずつ)を適合し且つ一時的に装着することが必要であり得る。
【0023】
構成部品の数を最少に維持するために、第二組の導電性ワイヤを第一組の導電性ワイヤと直列に電気的に接続し得る。このようにして、第一組及び第二組の導電性ワイヤの両方に単一の電流をもたらすことができ、それによって、両方の組の導電性ワイヤのために単一の電流生成回路構成を利用し得る。その上、第一及び第二の複合電気抵抗を表示する測定値を交互に測定するよう測定及び処理回路構成を構成し得る。従って、資源を効率的な方法で利用し得る。加えて、警報を引き続き作動し得る第一及び/又は第二の閾値の超過を表示する第一及び/又は第二の信号の提供は、それぞれの第一及び第二の閾値の両方を超過したか否かを分析することに基づき得る。それによって、可撓カバーシートのタンパリングと無関係な第一組又は第二組の導電性ワイヤのいずれかの破損ワイヤに起因する警報の作動を回避し得る。
【0024】
第一組及び/又は第二組の導電性ワイヤのワイヤを概ね互いに物理的に任意に配置することができ、任意な無機の無数の分配パターンを実現可能である。その上、第一組及び第二組の導電性ワイヤを互いに無関係に物理的に任意に、例えば、少なくとも部分的に重なり合って配置してよく、経糸及び緯糸状にさえ配置し得る。従って、少なくとも部分的に一致するよう可撓カバーシートの第一部分及び第二部分を配置し得る。好ましくは、第一組の導電性ワイヤの少なくとも1つのワイヤは、第一組及び/又は第二組の導電性ワイヤの少なくとも1つのワイヤと交差し得る。それによって、第一組及び第二組の導電性ワイヤは、ワイヤの少なくとも1つを同時に切断せずに切断し得る可能な開口の大きさを限定するよう協働する。その上、各組の導電性ワイヤ内に様々な異なる向きを備えるワイヤがあり得る。例えば、導電性ワイヤの組の少なくとも1つのワイヤは、同じ組の少なくとも1つの他のワイヤと交差し得る。それによって、各組内のワイヤは、ワイヤの少なくとも1つを同時に切断せずに切断し得る可能な開口の大きさを限定するよう協働する。故に、異なる組のワイヤは、ワイヤ間の平均距離を減少することによって、これらの開口の大きさを更に限定するよう協働し得る。
【0025】
第一組の導電性ワイヤに関連する構成部品を第二組の導電性ワイヤのためにも効率的に利用するために、第一組の導電性ワイヤを第一導体及び共通導体を介して測定及び処理回路構成に並列に電気的に接続し、第二組の導電性ワイヤを第二導体及び共通導体を介して測定及び処理回路構成に並列に電気的に接続し得る。従って、共通導体は、第二組の導電性ワイヤのために再使用される。この実施態様によれば、より少ない構成部品が必要とされる。その上、共通導体の切断を引き起こすタンパリングは、第一組及び第二組の両方の導電性ワイヤの測定値に影響を及ぼす。それによって、測定値は第一及び第二の閾値の両方の超過を表示し、次に、そのフィードバックは警報の作動のための基礎を形成し得る。加えて、第一導体、第二導体、及び/又は、共通導体を、例えば、縁部シームにおいて、可撓カバーシートと一体化する、例えば、織り合わせることができ、それによって、導体は隠された状態に維持され、故に、潜在的な窃盗から保護される。導体は極めて伝導的であるのが好ましく、導体を、例えば、銅線で構成し得る。
【0026】
潜在的なハッカーのための条件をより一層悪化するために、共通導体への第一組及び/又は第二組の導電性ワイヤのワイヤの接続部を混合して(シャッフル式に)配置し得る。従って、共通導体の延長に沿って、第一組の導電性ワイヤの少なくとも1つのワイヤのための共通導体への接続部を、第二組の導電性ワイヤの2つのワイヤのための共通導体への接続部の間に配置し得る。これは可撓カバーシートの第一部分及び第二部分を一致させる効果的な方法である。無節操な人が、前記部分が重なり合う可撓カバーシートの一部を通じて進入することを欲するならば、彼は両方の組の導電性ワイヤを無効化しなければならない、即ち、各組のために交換用抵抗器を装着しなければならない。1つの組のみが無効化されるならば、ワイヤ間の平均距離はより大きいけれども、残余の組は可撓カバーシートの前記部分を依然として保護し得る。両方の組の導電性ワイヤが無効化される場合に限り、タンパ保護システムは作用し得ない。
【0027】
前述したように、本発明のタンパ保護システムの実施の1つの実現可能な有利な方法は、導電性ワイヤの組に亘る電圧測定値を利用することであり得る。従って、第二の基準値は、電圧であり得るし、測定及び処理回路構成は、第二の所定電流を少なくとも第二組の導電性ワイヤに提供するよう配置される第二電流生成回路構成と、第二組の導電性ワイヤに亘る第二の複合電圧を測定するよう配置される第二の電圧測定回路構成と、第二の複合電圧と第二の基準値との間の第二の差を検出するよう配置される第二電圧差測定回路構成とを含み得る。それによって、この実施態様に従った第二組の導電性ワイヤを通じる第二の電流は既知であるので、第二の複合電圧は、第二組の導電性ワイヤの第二の複合電気抵抗を表示する。一部の実施態様のために、第一電流生成回路構成によって第二電流生成回路構成を提示し得ること、並びに、第一の所定電流によって第二の所定電流を更に提示し得ることが付記されなければならない。
【0028】
本発明の第二の特徴によれば、積荷の盗難を防止するためのタンパ保護システムにおける使用のためのタンパ保護方法が提供され、タンパ保護システムは、積荷を覆うための可撓カバーシートと、可撓カバーシートの第一部分に沿って分配される第一組の導電性ワイヤとを含む。当該方法は、第一組の導電性ワイヤの第一の複合電気抵抗を表示する第一の測定値を測定し、第一の測定値と第一の基準値との間の第一の差を決定し、第一の差が所定の第一の閾値よりも下であるならば、第一の測定値に基づき第一の基準値を調節し、さもなければ、第一の閾値を超過したことを表示する信号をもたらすことを含む。そのような方法を用いるならば、本発明の第一の特徴と関連して記載したのと類似の効果を達成し得る。
【0029】
本発明は、更に、前記タンパ保護システム上で作動されるとき前述の方法のステップの実行を可能にするコンピュータプログラムに関する。
【0030】
本発明は請求項中に列挙される機能の全ての可能な組み合わせに関することが付記される。
【0031】
本発明の実施態様を示す付属の図面を参照して、本発明のこれらの及び他の特徴をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】本発明の第一実施態様に従った輸送車両によって支持される積荷の窃盗を防止するための例示的なタンパ保護システムを示す概略図である。
【図1b】図1aの第一実施態様の可撓カバーシートの第一部分を示す概略図である。
【図1c】図1aの第一実施態様の例示的な回路図を示す概略図である。
【図1d】2つの制御装置を含む図1aの第一実施態様に従ったタンパ保護システムを示す概略図である。
【図2a】本発明の第二実施態様に従った第二組の導電性ワイヤを含む例示的な代替的なタンパ保護システムを示す概略図である。
【図2b】図2aの第二実施態様の例示的な回路図を示す概略図である。
【図2c】図2aの第二実施態様の第二組の導電性ワイヤの代替的な配置を示す概略図である。
【図3a】本発明の第三実施態様に従った第三組の導電性ワイヤを含む例示的な代替的なタンパ保護システムを示す概略図である。
【図3b】図3aの第三実施態様の導電性ワイヤの組の代替的な混合配置を示す概略図である。
【図3c】2つの制御装置を含む図3aの第三実施態様に従った代替的なタンパを示す概略図である。
【図4】本発明の第一、第二、及び、第三実施態様に従ったタンパ保護システムにおける使用のためのタンパ保護方法の例示的なステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
現時点における好適実施態様を示す添付図面を参照して、本発明をより完全に記載する。しかしながら、本発明を多くの異なる形態で具体化することができ、本発明がここに示される実施態様に限定されるものと解釈されてはならない。むしろ、これらの実施態様は、網羅性及び完全性のために並びに本発明の範囲を当業者に完全に伝達するために提供されている。本願明細書を通じて同様の記号は同様の素子を指している。
【0034】
図1aは、本発明の第一実施態様に従った輸送車両2によって支持される積荷の窃盗を防止するための例示的なタンパ保護システム1を提示している。輸送車両2、ここでは、トラックは、例示的であるに過ぎず、タンパ保護システム1を、例えば、ボート又は積荷を支持することを意図する他の車両のような輸送船に同様に実施し得るし、或いは、輸送されずむしろ貯蔵される積荷を保護するために同様に使用し得る。タンパ保護システム1によって作動される警報(アラート)、例えば、アラームが知覚可能であるように、タンパ保護システム1を警報表示器19に接続し得る。作動される警報を表示するための様々な手段19を実行可能である。例えば、警報表示器19を視覚的、光学的、若しくは、音声的表示器、及び/又は、警報を、例えば、輸送車両のアラームセンター若しくは運転者に通信するよう配置される発信器によって提示し得る。故に、警報表示器19を構成し得る。例えば、GSM(登録商標)又はBluetooth(登録商標)を介する通信を支持し得るし、GPSと協働するよう配置されるときには、警報信号と一緒に車両2の位置を発信するよう更に構成し得る。トリガ表示器19は、ここでは、トラック2の側部に沿って配置されている。しかしながら、トリガ表示器19を任意に配置し得るし、代替的な実施態様によれば、むしろ、例えば、トラック2の積荷区画の内側に配置し得る。
【0035】
輸送車両2は、積荷の少なくとも一部を覆うための可撓カバーシート3を備える。第一実施態様において、可撓カバーシート3はターポリン(tarpaulin)によって提示されているが、本発明はそれに限定されない。代替的な実施態様によれば、如何なる布、ドレープ、キャンバスカバー、又は、保護のために積荷の上を覆うのに適した任意の可撓材料で可撓カバーシート3を構成し得る。可撓カバーシート3は、図1bと共に以下に更に詳細に記載されるタンパ保護システム(tamper protection system)1を含む第一部分4を含む。
【0036】
図1bは、第一実施態様の可撓カバーシート3の第一部分4を例示している。タンパ保護システム1、故に、第一部分4は例示的であるに過ぎず、タンパ保護システム1は、任意の位置付けを有し得ることに留意のこと。その上、第一部分4の頂部及び底部、故に、タンパ保護システム1の頂部及び底部は、図示されるように、単にターポリンのより小さい部分に亘って延在するよりもむしろ、トラック2の一方の側部を覆うターポリン3の一部の頂部及び底部と一致し得る。
【0037】
タンパ保護システム1は、可撓カバーシート3の第一部分4に沿って分配される(distributed)第一組の導電性ワイヤ5を含む。代替的な実施態様に従った第一組の導電性ワイヤ5は、第一組の導電性ワイヤ5の横に及び/又は長さ方向における方法に更に延在し或いはより少なく延在し得ることが強調されなければならない。
【0038】
タンパ保護システム1は、第一組の導電性ワイヤ5に接続された測定及び処理回路6を更に含む。測定及び処理回路6は、ここでは、簡潔性のために、第一組の導電性ワイヤ5に近接して配置されている。しかしながら、代替的に、実用的な理由のために、測定及び処理回路6を、むしろ、例えば、トラック2の積荷区画の内側に配置し得る。
【0039】
第一組の導電性ワイヤ5は、第一実施態様によれば、端子Aで共通導体7を介して測定及び処理回路6に並びに端子Bで第一導体8に並行に電気的に接続されている。しかしながら、代替的な実施態様によれば、共通導体7及び第一導体8以外の手段によって第一組の導電性ワイヤ5を測定及び処理回路6に接続することができ、必ずしも測定及び処理回路6に並行に電気的に接続される必要はないことに留意のこと。その上、第一組の導電性ワイヤ5のワイヤ(電線)は、ここでは、互いに対して並行に物理的に配置されているが、本発明はそれに限定されない。代替的に、ワイヤを任意の方法で物理的に配置してもよく、互いに交差してさえ配置し得る。例えば、図2c、3b、及び、3cと共に更に記載するように、直線でない共通導体7及び/又は第一導体8を備える実施態様を考えられたし。
【0040】
図1cは、図1aの第一実施態様の例示的な概略的な回路図を示している。回路図は、タンパ保護システム1の第一組の導電性ワイヤ5並びに測定及び処理回路6を例示している。測定及び処理回路6は、第一の所定電流Iを第一組の導電性ワイヤ5に提供するよう配置される第一電流生成回路構成を含み、第一組の導電性ワイヤ5は、第一複合抵抗Rを有する。ここでは、第一の所定電流Iを設定するために、デジタル−アナログ変換器(DAC)9が、DAC9からの出力を電圧から電流に変換するためのブロック10と共に提供される。第一の所定電流Iが高ければ高いほど、第一の複合電気抵抗Rが変化するに応じて、第一組のワイヤ5に沿う第一の複合電圧V及び後続の第一の差ΔVはより大きくあり得る。他方、第一電流Iが比較的高く設定されるならば、第一複合電圧Vは電源V+とほぼ等しくあり得る。それは第一複合電気抵抗Rにおける変化を検出するのを困難にする。第一の所定電流Iは可変であり、例えば、現在の環境条件に関連して最適化されるよう且つ/或いはタンパ保護システム1の電力消費を最適化されるよう、設計者の裁量で時間の経過と共に変化するよう第一の所定電流Iを設定し得る。代替的に或いは追加的に、第一電流Iの振幅を無作為化し得る。
【0041】
第一句の導電性ワイヤ5に亘る第一複合電圧Vを測定するために、ここでは、差動動作増幅器を用いて、第一の電圧測定回路構成11が設けられている。
【0042】
その上、測定及び処理回路構成6は、第一基準値V1refの提供のための基準電圧回路構成12、ここでは、デジタル−アナログ変換器を含む。第一複合電圧Vと第一基準値V1refとの間の第一の差ΔVの検出のために、第一電圧差測定回路構成13が設けられている。ここでは、差動動作増幅器を用いて、第一電圧差測定回路構成13が実施される。その上、第一差ΔVの測定のために、アナログ−デジタル変換器(ADC)14が設けられており、それによって、第一複合電流I及び第一基準値V1refに基づき、現在の第一複合電気抵抗Rが取り出されることを可能にする。
【0043】
タンパ保護システム1のための電力は、電源15によって提供される。これは車両2の電池、典型的には、トラック用の24Vの電池であり得る。それは別個の電源であってもよく、例えば、動力車両に取り付けられない状態で駐車されるトレーラ上で、システム1が独立して動作するのを可能にする。後者の場合には、エンジンが稼働していないときに、システム1が車両電池を消耗せずに動作するのを、別個の電源が可能にする。
【0044】
図1dは、第一制御ユニット16と第二制御ユニット17とを含む第一実施態様に従ったタンパ保護システム1を提供する。(チップをそれぞれ構成し或いは含み得る)2つの制御ユニット16,17は、第一組の導電性ワイヤ5を介して、より具体的には、共通導体7及び第一導体8を通じて、互いに電気的に接続される。第一制御ユニット16及び第二制御ユニット17は、ここでは、第一組の導電性ワイヤ5の異なる側に互いに別個に配置される。しかしながら、代替的な実施態様によれば、2つの制御ユニット16,17を互いにより近接して配置し得る。図1dの第一制御ユニット16及び第二制御ユニット17は、特定のタンパ保護システム1のための特異な鍵を備える暗号化アルゴリズムに基づき、互いに通信し合うよう構成される。結果的に、システム1をハッキングする試みにおいて、潜在的なハッカーが第一制御ユニット16及び第二制御ユニット17用の代替物を一時的に装着することはできない。その上、第一制御ユニット16から第二制御ユニット17に発信される同期信号に基づき測定を開始するよう測定及び処理回路構成6を構成し得る。
【0045】
図2aは、本発明の第二実施態様に従った第二組の導電性ワイヤ21を含む例示的な代替的なタンパ保護システム201を提示している。(第一組の導電性ワイヤと類似する特性を示し得る)第二組の導電性ワイヤ21が、可撓カバーシート3の第二の部分に沿って分配されている。図2aにおいて、第一部分4及び第二部分は互いに隣接して配置され、第二組の導電性ワイヤ21のワイヤ(電線)は、第一組の導電性ワイヤ5のワイヤと直列に電気的に接続されている。ここにおけるような直列の電気接続は義務的ではない。第一部分4及び第二部分、その上、第一組の導電性ワイヤ5及び第二組の導電性ワイヤ21を互いに関連して任意に配置してもよく、代替的な配置がこれより先に明らかになるであろう。第二組の導電性ワイヤ21は、ここでは、端子Aで共通導体7を介して測定及び処理回路構成6と並びに端子Cで第二導体22と並行に電気的に接続される。第二導体22は、共通導体7及び/又は第一導体8と類似の特性を示し得る。その上、第二組の導電性ワイヤ21のワイヤの数は決して第一組の導電性ワイヤ5のワイヤの数と等しいように限定されない。
【0046】
図2bは、図2aの第二実施態様の例示的な概略的な回路図を例示している。回路図は、タンパ保護システム201の第一組の導電性ワイヤ5及び第二組の導電性ワイヤ21並びに測定及び処理回路構成6の実施を例示している。第一電流生成回路構成、即ち、DAC9及びブロック10は、第一の所定電流Iを、第一組の導電性ワイヤ5のみならず、第二の複合電気抵抗Rを有する第二組の導電性ワイヤ21にも提供するために配置されている。第二組の導電性ワイヤ21に亘る第二複合電圧Vを測定するために、ここでは、差動動作増幅器を用いて、第二電圧測定回路構成23が設けられている。基準電圧回路構成12は、ここでは、第二の基準値V2refの提供のために適合されている。第二の複合電圧Vと第二の基準値V2refとの間の第二の差ΔVの検出のために、第二電圧差測定回路構成24が設けられる。ここでは、第二電圧差測定回路構成24は、差動動作増幅器を用いて実施されている。
【0047】
例えば、より少ない構成部品を利用し、且つ、第一の差ΔV及び第の差ΔVを交互に取得し得るために、測定及び処理回路構成6は、その上、多重変換装置(マルチプレクサ)25を含む。ここでは、マルチプレクサ25は、各差ΔV、ΔVのために1つずつ、2つの入力を含むよう例示されている。しかしながら、代替的な実施態様によれば、多重変換装置25が、例えば、任意の数の組の導電性ワイヤを支持し得るよう、多重変換装置25を、より多くの入力を含むような大きさにし得る。
【0048】
第一の所定電流I及び第二の基準値V2refに基づき現在の第二の複合電気抵抗Rが取り出されるのを可能にするよう、ADC14は第二の差ΔVの測定のために構成される。第一組及び第二組の導電性ワイヤ5及び21のワイヤは、ここでは、直列に電気的に接続される点で、第二組の導電性ワイヤ21に供給されるべき第一の所定電流Iを利用する能力は実現可能であることが強調されなければならない。他の実施態様によれば、第二組の導電性ワイヤ21は、独立した電流生成回路構成、故に、独立した所定電流を必要とし得る。それは、例えば、以下に記載されるべき図2cの例示のための場合である。
【0049】
図2cは、図2aの第二実施態様の第二組の導電性ワイヤ21の代替的な配置を示している。ここでは、第一部分4及び第二部分は一致するよう配置され、第一組の導電性ワイヤ5のワイヤは、第二組の導電性ワイヤ21のワイヤと交差する。第一組及び第二組の導電性ワイヤ5及び21は、ここでは、双方とも可撓カバーシート3と一体化されている。しかしながら、代替的に、第一組及び第二組の導電性ワイヤ5及び21をそれぞれの別個の織物と一体化し、引き続き、別個の織物を可撓カバーシート3に取り付け得る。短絡が回避されるよう、第一組及び第二組の導電性ワイヤ5及び21のワイヤは、ワイヤが交差するところで互いに絶縁される。
【0050】
共通導体7は、ここでは、直角αを伴って屈曲して配置され、第二組の導電性ワイヤ21のワイヤが第一組の導電性ワイヤ5のワイヤと垂直に交差することを可能にする。他の実施態様に従った角度αは、他の値を取り得ること、及び、共通導体7は、1つよりも多くのそのような角度αを更に含み得ることが付記されなければならない。従って、ワイヤの交差は必ずしも垂直である必要はない。図2bにおけるように、第一組の導電性ワイヤ5は、端子Aで共通導体7を介して並びに端子Bで第一導体8を介して、測定及び処理回路構成6と並行に電気的に接続されるのに対し、第二組の導電性ワイヤ21は、端子Aで共通導体7を介して並びに端子Cで第二導体22を介して、測定及び処理回路構成6と並行に電気的に接続される。
【0051】
図3aは、本発明の第三実施態様に従った第三組の導電性ワイヤ31を含む例示的な代替的なタンパ保護システム301を提示している。(第一組の導電性ワイヤ5と類似の特性を示し得る)第三組の導電性ワイヤ31は、可撓カバーシート3の第三部分に沿って分配されている。図3aでは、第二組の導電性ワイヤ21が第一組の導電性ワイヤ5と第三組の導電性ワイヤ31との間に配置されるよう、第一部分4、第二部分、及び、第三部分は互いに隣接して配置されている。ここでは、第一組、第二組、及び、第三組の導電性ワイヤ5、21、及び、31の全てのワイヤ(電線)は、直列に或いは交差してよりも、むしろ並行に配置され、それによって、タンパ保護システム1は、横方向に分配されたワイヤを示している。
【0052】
第三組の導電性ワイヤ31は、ここでは、端子Aで共通導体7を介して並びに端子Dで第三導体32を介して、測定及び処理回路構成6と並行に電気的に接続されている。第三導体32は、共通導体7、第一導体8、及び/又は、第二導体22と類似の特性を示し得る。図2の第二実施態様と関連して記載したように、第一組の導電性ワイヤ7は、端子Aで共通導体7を介して並びに端子Bで第一導体を介して、測定及び処理回路構成6と並行に電気的に接続されるのに対し、第二組の導電性ワイヤ21は、端子Aで共通導体7を介して並びに端子Cで第二導体22を介して、測定及び処理回路構成6と並行に電気的に接続されている。
【0053】
図3bは、図3aの第三実施態様の導電性ワイヤ5、21、31の組の代替的な再編成された配置を例示している。ここでは、第一部分4、第二部分、及び、第三部分は一致するよう配置され、共通導体7、第一導体8、第二導体22、及び、第三導体32は、ここでは、屈曲して配置され、導電性ワイヤ5、21、31のそれぞれの組のワイヤが互いに交差し合うことを可能にしている。混ぜ合わされた(シャッフルされた)配置は、第一組の導電性ワイヤ5の、例えば、少なくとも1つのワイヤのための共通導体7への接続部を、第二組21及び/又は第三組31の導電性ワイヤの2つのワイヤのための共通導体7への接続部34,35の間に配置し得ることを意味する。
【0054】
図3cは、第一制御ユニット16と第二制御ユニット17とを含む図3aの第三実施態様に従った代替的なタンパ保護システム301を示している。
【0055】
図4は、上記実施態様のいずれかに従ったタンパ保護システムにおける使用のためのタンパ保護方法の例示的なステップを提供している。一例として、図1cの概略的な回路図と共に、図3bの第三実施態様に従ったタンパ保護システム301を考察のこと。ステップは必ずしも提示の順序で行われる必要がないことが付記されなければならない。逆に、ステップを設計者の裁量で如何なる順序で行ってもよく、部分的に同時に行われてさえもよい。タンパ保護システム301が作動している限り、ステップを連続的ループにおいて反復し得ることが更に付記されなければならない。
【0056】
図3cのタンパ保護システムは、3つの組の導電性ワイヤ5、21、31を含むので、ここでは、それぞれの組5、21、31の測定を交替するよう測定及び処理回路構成6を構成し得る。測定は順次的に交替されるが、代替的な実施態様によれば、無作為的に交替されてもよい。その上、タンパ保護システム301内の電力消費を許容可能なレベルに維持するために、測定及び処理回路構成6は、ここでは、測定が間欠的に開始されるよう構成される。測定のための適切な周波数は、例えば、1Hzであり得る。しかしながら、これらの時間間隔の無作為化されたタイミングが好適であり得る。
【0057】
第二組21及び第三組31の導電性ワイヤの測定は、第一組の導電性ワイヤ5のために行われる測定と類似するので、以下に第一組の導電性ワイヤ5に関連する測定のみを詳細に記載する。
【0058】
初めに、第一組の導電性ワイヤ5の予期される第一複合電気抵抗Rを表示する初期的な第一基準値が確立される必要がある。図1cの例示的な実施例によれば、基準値は、必ずしもそうである必要はないが、可能であれば、電圧によって提示され、故に、初期の第一基準値は、第一基準値V1refによって表される。如何なる任意の時点にも、例えば、輸送車両2が運転を停止するときに、初期の第一基準値V1refを較正し得る。第二の基準値V2refは、第二組の導電性ワイヤ21の第二の複合電気抵抗Rと関連付けられ、第三基準値V3refは、第三組の導電性ワイヤ31の予期される第三の複合電気抵抗Rと関連付けられ、それによって、それぞれの基準値V1ref、V2ref、V3refを別個に較正し、引き続き、取り扱う必要があり得る。
【0059】
第一ステップ402において、第一組の導電性ワイヤ5の第一の複合電気抵抗Rを表示する第一の測定値、即ち、第一の複合電圧Vが測定される。次に、ステップ404において、第一の複合電圧Vと第一の基準電圧V1refとの間の第一の差ΔVが決定される。次に、ステップ406において、測定及び処理回路構成6は、第一の差ΔVが所定の第一の閾値より下であるか否かを分析する。第一の閾値は、好ましくは、可撓カバーシート3のタンパリングに恐らく起因する複合電気抵抗Rの幾分大きな変化は第一の閾値を超過するが、環境的影響に恐らく起因する幾分小さな変化は超過しないことを可能にするように選択される。
【0060】
第一の差ΔVが第一の閾値よりも下の値を有することが分かったならば、ステップ408において、第一の基準値V1refは、第一の複合電圧Vに基づき調節される。従って、第一基準値V1refは、第一の複合電圧Vの値を得るよう調節され、それによって、最新の既知の環境条件を反映する値を示す。
【0061】
他方、ステップ401において、第一の差ΔVが、第一の閾値値を越える値を有することが分かったならば、積荷を盗む試みが行われている可能性がある。ここでは、誤った単一の測定値が不当な警告を作動することを防止するために、第一の差ΔVの複数の測定が考慮に入れられる。従って、ステップ402乃至406は反復される。代替的に、前の第一の差ΔVを考察し得る。少なくとも2つのサンプル、ここでは、2つの連続的なサンプルが第一の閾値を超える場合に限り、測定及び処理回路構成6は、ステップ412において、第一の閾値が超過されたことを表示する信号をもたらす。次に、可撓カバーシート3のタンパリングを外見上表示する警告を作動するために信号を利用し、ひいては、それを警報表示器19によって通信し得る。
【0062】
前述したような第一組の導電性ワイヤ5に関連する測定は、第二組21及び第三組31の導電性ワイヤに関連しても同様の方法において遂行し得る。
【0063】
当業者は本発明が上述の好適実施態様に決して限定されないことを認識する。逆に、付属の請求項の範囲内で、多くの修正及び変更が可能である。請求項の発明を実施する当業者は、図面、開示、及び、付属の請求項を研究することから、開示の実施態様に対する変更を理解し且つ行い得る。請求項中、「含む」という用語は、他の素子又はステップを排除せず、不定冠詞は複数を排除しない。
【図1a−1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
積荷の盗難を防止するためのタンパ保護システムであって、
前記積荷を覆うための可撓カバーシートと、
該可撓カバーシートの第一部分に沿って分配される第一組の導電性ワイヤと、
該第一組の導電性ワイヤに接続される測定及び処理回路構成とを含み、
該測定及び処理回路構成は、
前記第一組の導電性ワイヤの第一の複合電気抵抗を表示する第一の測定値を測定し、
該第一の測定値と第一の基準値との間の第一の差を決定し、
該第一の差が所定の第一の閾値よりも下であるならば、前記第一の測定値に基づき前記第一の基準値を調節し、
さもなければ、前記第一の閾値が超過されたことを表示する信号をもたらすよう構成される、
タンパ保護システム。
【請求項2】
前記測定及び処理回路構成は、複数の第一の差の各々が前記第一の閾値を超える場合に限り信号を作動するよう構成される、請求項1に記載のタンパ保護システム。
【請求項3】
前記複数の第一の差は、順次的に決定される、請求項2に記載のタンパ保護システム。
【請求項4】
前記第一組の導電性ワイヤは、前記測定及び処理回路構成に並列に電気的に接続される、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のタンパ保護システム。
【請求項5】
前記測定及び処理回路構成は、不規則な時間間隔で測定を開始するよう構成される、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のタンパ保護システム。
【請求項6】
前記測定及び処理回路構成は、前記第一組の導電性ワイヤを介して互いに電気的に接続される少なくとも第一制御ユニット及び第二制御ユニットを含む、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のタンパ保護システム。
【請求項7】
前記測定及び処理回路構成は、前記第一制御ユニットから前記第二制御ユニットに発信される同期信号に基づき測定を開始するよう構成される、請求項6に記載のタンパ保護システム。
【請求項8】
前記第一の基準値は、電圧であり、
前記測定及び処理回路構成は、
第一の所定電流を前記第一組の導電性ワイヤにもたらすよう配置される第一の電流生成回路構成と、
前記第一組の導電性ワイヤに亘る第一の複合電圧を測定するよう配置される第一の電圧測定回路構成と、
前記第一の複合電圧と前記第一の基準値との間の前記第一の差を検出するよう配置される第一の電圧差測定回路構成とを含む、
請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載のタンパ保護システム。
【請求項9】
前記可撓カバーシートの第二部分に沿って分配される第二組の導電性ワイヤを更に含み、前記測定及び処理回路構成は、前記第二組の導電性ワイヤに接続され、
前記測定及び処理回路構成は、
前記第二組の導電性ワイヤの第二の複合電気抵抗を表示する第二の測定値を測定し、
前記第二の測定値と第二の基準値との間の第二の差を決定し、
該第二の差が所定の第二の閾値値よりも下であるならば、前記第二の測定値に基づき前記第二の基準値を調節し、
さもなければ、前記第二の閾値が超過されたことを表示する信号をもたらすよう構成される、
請求項1乃至8のうちのいずれか1項に記載のタンパ保護システム。
【請求項10】
前記第一部分及び前記第二部分は、少なくとも部分的に一致するよう配置され、前記第一組の導電性ワイヤの少なくとも1つのワイヤが、前記第一組及び/又は前記第二組の導電性ワイヤの少なくとも1つのワイヤと交差する、請求項9に記載のタンパ保護システム。
【請求項11】
前記第一組の導電性ワイヤは、第一導体及び共通導体を介して前記測定及び処理回路構成と並行に電気的に接続され、
前記第二組の導電性ワイヤは、第二導体及び前記共通導体を介して前記測定及び処理回路構成と並行に電気的に接続される、
請求項9又は10に記載のタンパ保護システム。
【請求項12】
前記共通導体の延長に沿って、前記第一組の導電性ワイヤの少なくとも1つのワイヤのための前記共通導体への接続部が、前記第二組の導電性ワイヤの2つのワイヤのための前記共通導体への接続部の間に配置される、請求項11に記載のタンパ保護システム。
【請求項13】
前記第二の基準値は、電圧であり、
前記測定及び処理回路構成は、
第二の所定電流を前記第二組の導電性ワイヤに提供するよう配置される第二の電流生成回路構成と、
前記第二組の導電性ワイヤに亘る第二の複合電圧を測定するよう配置される第二の電圧測定回路構成と、
前記第二の複合電圧と前記第二の基準値との間の前記第二の差を検出するよう配置される第二の電圧差測定回路構成とを含む、
請求項9乃至12のうちのいずれか1項に記載のタンパ保護システム。
【請求項14】
積荷の盗難を防止するためのタンパ保護システムにおける使用のためのタンパ保護方法であって、
タンパ保護システムは、
前記積荷を覆うための可撓カバーシートと、
該可撓カバーシートの第一部分に沿って分配される第一組の導電性ワイヤとを含み、
当該方法は、
前記第一組の導電性ワイヤの第一の複合電気抵抗を表示する第一の測定値を測定し、
前記第一の測定値と第一の基準値との間の第一の差を決定し、
該第一の差が所定の第一の閾値よりも下であるならば、前記第一の測定値に基づき前記第一の基準値を調節し、
さもなければ、前記第一の閾値が超過されたことを表示する信号をもたらすことを含む、
タンパ保護方法。
【請求項15】
請求項1乃至13のうちのいずれか1項に記載のタンパ保護システム内に含められる測定及び処理回路構成の上で作動するときに請求項14に記載の方法の実行を可能にするコンピュータプログラム。

【図1c】
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【図1d】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−531650(P2012−531650A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516920(P2012−516920)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052758
【国際公開番号】WO2010/150157
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】