説明

穴加工装置及び方法

【課題】穴加工装置及び方法において、一度に複数の穴を同時に加工可能として加工作業の作業性の向上を可能とする。
【解決手段】加工ヘッド61と、加工ヘッド61に着脱自在に装着される複数の穴あけ工具63と、加工ヘッド61を管板45に形成する取付穴60の径方向及び軸方向に移動可能とする駆動装置64と、この駆動装置64を駆動する制御装置65とを設け、加工ヘッド61に対して穴あけ工具63を取付穴60の配列方向に沿うと共に取付穴60のピッチの2倍以上の整数倍の等間隔で設け、制御装置65は、加工ヘッド61が穴あけ工具63の配列方向に取付穴60のピッチごとに移動して穴あけ工具63により穴加工を行うように駆動装置64を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントに熱交換器として使用される蒸気発生器にて、伝熱管を支持するために管支持板や管板などに穴を形成する穴加工装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)では、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電するものである。そして、この加圧水型原子炉は、高温高圧の一次冷却水の熱を蒸気発生器により二次冷却水に伝え、二次冷却水で水蒸気を発生させるものである。この蒸気発生器は、多数の細い伝熱管の内側を一次冷却水が流れ、外側を流れる二次冷却水に熱を伝えて水蒸気を生成し、この水蒸気によりタービンを回して発電している。
【0003】
この蒸気発生器において、中空密閉形状をなす胴部内に、その内壁面と所定間隔をもって管群外筒が配設され、この管群外筒内に逆U字形状をなす複数の伝熱管が配設され、各伝熱管の端部が管板に支持され、胴部の下端部に一次冷却水の入口側水室及び出口側水室が形成されている。また、胴部内に、管群外筒の上方に位置して二次冷却水の入口部が設けられると共に、気水分離機と湿分分離機が上下に並んで配設され、その上方に蒸気出口が設けられている。
【0004】
従って、冷却水配管より入口側水室を通して複数の伝熱管に一次冷却水が供給される一方、入口部からこの胴部内に二次冷却水が供給される。すると、複数の伝熱管内を流れる一次冷却水(熱水)と胴部内を循環する二次冷却水(冷水)との間で熱交換を行われることで、二次冷却水が熱を吸収して水蒸気が生成される。そして、生成された蒸気が気水分離機により水分が除去され、湿分分離機により湿分が除去された蒸気が蒸気出口から排出される一方、熱交換を終了した一次冷却水が出口側水室から排出される。
【0005】
このような蒸気発生器では、胴部内に設けられた多数の伝熱管は、複数の管支持板や管板により支持されている。この管支持板や管板は、多数形成された穴に伝熱管が挿入されることで、多数の伝熱管が振動しないように支持されている。この場合、管支持板や管板の穴は多数あり、効率的に切削加工して形成する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−275907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
管支持板や管板に形成された穴は、多数の伝熱管を接近した状態で支持する必要があることから、隣接する穴同士の間隔が狭く、ドリルなどの切削工具により複数の穴を同時に加工することが困難である。また、各管支持板は、複数のステーロッドにより支持されており、このステーロッドの下端部は、管板に螺合して固定されている。この場合、管板は、多数の伝熱管が嵌合して支持するための穴だけでなく、複数のステーロッドを固定するためのねじ穴も形成する必要があり、この点でも、切削工具により伝熱管を支持するための複数の穴だけを同時に加工することが困難となる。なお、上述した特許文献1では、加工する必要のある穴と必要のない穴を特定する穴位置特定方法が記載されているが、必要な複数の穴だけを加工する方法については記載されていない。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、一度に複数の穴を同時に加工可能として加工作業の作業性の向上を可能とする穴加工装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための本発明の穴加工装置は、加工ヘッドと、該加工ヘッドを被加工部材に形成する穴の径方向及び軸方向に移動可能とする駆動装置と、前記加工ヘッドに前記穴の配列方向に沿って設けられると共に前記穴のピッチの2倍以上の整数倍の等間隔で設けられる複数の穴あけ工具と、前記加工ヘッドが前記穴あけ工具の配列方向に前記穴のピッチごとに移動して前記穴あけ工具により穴加工を行うように前記駆動装置を駆動する制御装置と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
従って、加工ヘッドに複数の穴あけ工具を装着し、この加工ヘッドを穴あけ工具の配列方向に形成する穴のピッチごとに移動し、この穴あけ工具により同時に複数の穴加工を行うことができ、一度に複数の穴を同時に加工することができ、その結果、穴加工作業の作業性を向上することができる。
【0011】
本発明の穴加工装置では、前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、前記加工ヘッドが前記穴のピッチと前記整数倍と前記穴あけ工具の個数とを乗算した1列の群を移動して前記穴あけ工具による穴加工が終了したら、前記加工ヘッドを前記穴あけ工具の配列方向に交差する方向に前記穴のピッチだけ移動し、隣接する1列の群に対して前記穴あけ工具による穴加工を行うことを特徴としている。
【0012】
従って、加工ヘッドに複数の穴あけ工具を装着可能とし、複数の穴あけ工具を移動することで、1列の群を単位として穴加工を行うこととなり、多数の穴を短時間で容易に加工することができる。
【0013】
本発明の穴加工装置では、前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、前記複数の穴あけ工具のうちの少なくとも一つが穴あけ加工不要位置に到達したときには、全ての穴あけ工具による穴加工を行わずに次の穴あけ加工位置に移動することを特徴としている。
【0014】
従って、穴あけ加工不要位置とセットとなった穴あけ加工位置にある穴を後から穴加工することで、機械を停止することなく連続した穴加工作業を行うことができる。
【0015】
本発明の穴加工装置では、前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、前記複数の穴あけ工具のいずれかが穴あけ加工不要位置に到達したときには、穴あけ加工不要位置にある前記穴あけ工具を取り外して穴加工を行うことを特徴としている。
【0016】
従って、穴あけ加工不要位置にある穴あけ工具を取り外して穴加工を行うことで、穴あけ加工不要位置を除く穴あけ加工位置に対して、順次穴あけ加工を行うこととなり、効率的な穴加工作業を可能とすることができる。
【0017】
本発明の穴加工装置では、前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、所定数の前記穴あけ工具を用いた穴加工を行った後、前記穴あけ工具の個数を減少して穴加工を行うことを特徴としている。
【0018】
従って、穴あけ工具の個数に対して穴加工が可能な領域の処理を順次行い、その工具の個数で加工できる範囲を全て加工した後、この穴あけ工具の個数を減少して穴加工を行うことで、効率的な穴加工を行うことができる。
【0019】
本発明の穴加工装置では、前記被加工部材は、円盤形状をなし、前記穴あけ工具により軸心方向に穴加工を行うものであり、前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、前記加工ヘッドを前記被加工部材の径方向に平行な方向に沿った前記穴の1列の群を単位として、前記加工ヘッドを前記被加工部材の外周方向に沿って移動して前記穴あけ工具による穴加工を行うことを特徴としている。
【0020】
従って、被加工部材が円盤形状の場合、被加工部材の径方向に沿った穴の1列の群を単位として、加工ヘッドを被加工部材の外周方向に沿って移動して穴加工を行うことで、被加工部材の形状に拘わらず、一度に複数の穴を同時に加工することができ、穴加工作業の作業性を向上することができる。
【0021】
また、本発明の穴加工方法は、複数の穴あけ工具が所定間隔で直列に設けられる加工ヘッドを移動して被加工部材に対して穴加工を行う穴加工方法であって、前記複数の穴あけ工具を前記穴の配列方向に沿って前記穴のピッチの2倍以上の整数倍の等間隔で配置し、前記加工ヘッドを前記穴あけ工具の配列方向に前記穴のピッチごとに移動して前記穴あけ工具により穴加工を行う、ことを特徴とするものである。
【0022】
従って、一度に複数の穴を同時に加工可能として加工作業の作業性の向上を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の穴加工装置及び方法によれば、加工ヘッドが穴あけ工具の配列方向に穴のピッチごとに移動して穴あけ工具により穴加工を行うので、一度に複数の穴を同時に加工可能として加工作業の作業性の向上を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る穴加工装置を表す正面図である。
【図2】図2は、実施例1の穴加工方法による区分領域を表す概略図である。
【図3−1】図3−1は、実施例1の穴加工方法の手順を表す概略図である。
【図3−2】図3−2は、実施例1の穴加工方法の手順を表す概略図である。
【図3−3】図3−3は、実施例1の穴加工方法の手順を表す概略図である。
【図3−4】図3−4は、実施例1の穴加工方法の手順を表す概略図である。
【図4−1】図4−1は、実施例1の別の穴加工方法の手順を表す概略図である。
【図4−2】図4−2は、実施例1の別の穴加工方法の手順を表す概略図である。
【図4−3】図4−3は、実施例1の別の穴加工方法の手順を表す概略図である。
【図4−4】図4−4は、実施例1の別の穴加工方法の手順を表す概略図である。
【図5】図5は、実施例1の穴加工方法により形成された管板の状態を表す概略図である。
【図6】図6は、実施例1の穴加工方法を表すフローチャートである。
【図7】図7は、実施例1の蒸気発生器が適用された原子力発電プラントの概略構成図である。
【図8】図8は、実施例1の蒸気発生器を表す概略構成図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2に係る穴加工方法により形成された管板の状態を表す概略図である。
【図10】図10は、実施例2の穴加工方法を表すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の実施例3に係る穴加工方法により形成された管板の状態を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、本発明の穴加工装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の実施例1に係る穴加工装置を表す正面図、図2は、実施例1の穴加工方法による区分領域を表す概略図、図3−1から図3−4は、実施例1の穴加工方法の手順を表す概略図、図4−1から図4−4は、実施例1の別の穴加工方法の手順を表す概略図、図5は、実施例1の穴加工方法により形成された管板の状態を表す概略図、図6は、実施例1の穴加工方法を表すフローチャート、図7は、実施例1の蒸気発生器が適用された原子力発電プラントの概略構成図、図8は、実施例1の蒸気発生器を表す概略構成図である。
【0027】
実施例1の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
【0028】
本実施例の加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図7に示すように、原子炉格納容器11内には、加圧水型原子炉12及び蒸気発生器13が格納されており、この加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは冷却水配管14,15を介して連結されており、冷却水配管14に加圧器16が設けられ、冷却水配管15に冷却水ポンプ15aが設けられている。この場合、減速材及び一次冷却水(冷却材)として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により150〜160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉12にて、燃料(原子燃料)として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水として軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持した状態で冷却水配管14を通して蒸気発生器13に送られる。この蒸気発生器13では、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
【0029】
蒸気発生器13は、蒸気タービン17と冷却水配管18を介して連結されており、この蒸気タービン17は高圧タービン19及び低圧タービン20を有すると共に、発電機21が接続されている。また、高圧タービン19と低圧タービン20との間には、湿分分離加熱器22が設けられており、冷却水配管18から分岐した冷却水分岐配管23が湿分分離加熱器22に連結される一方、高圧タービン19と湿分分離加熱器22は低温再熱管24により連結され、湿分分離加熱器22と低圧タービン20は高温再熱管25により連結されている。
【0030】
更に、蒸気タービン17の低圧タービン20は、復水器26を有しており、この復水器26には冷却水(例えば、海水)を給排する取水管27及び排水管28が連結されている。この取水管27は、循環水ポンプ29を有し、排水管28と共に他端部が海中に配置されている。そして、この復水器26は、冷却水配管30を介して脱気器31に連結されており、この冷却水配管30に復水ポンプ32及び低圧給水加熱器33が設けられている。また、脱気器31は、冷却水配管34を介して蒸気発生器13に連結されており、この冷却水配管34には給水ポンプ35及び高圧給水加熱器36が設けられている。
【0031】
従って、蒸気発生器13にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管18を通して蒸気タービン17(高圧タービン19から低圧タービン20)に送られ、この蒸気により蒸気タービン17を駆動して発電機21により発電を行う。このとき、蒸気発生器13からの蒸気は、高圧タービン19を駆動した後、湿分分離加熱器22で蒸気に含まれる湿分が除去されると共に加熱されてから低圧タービン20を駆動する。そして、蒸気タービン17を駆動した蒸気は、復水器26で海水を用いて冷却されて復水となり、低圧給水加熱器33で、例えば、低圧タービン20から抽気した低圧蒸気により加熱され、脱気器31で溶存酸素や不凝結ガス(アンモニアガス)などの不純物が除去された後、高圧給水加熱器36で、例えば、高圧タービン19から抽気した高圧蒸気により加熱された後、蒸気発生器13に戻される。
【0032】
このように構成された原子力発電プラントに適用される蒸気発生器13において、図8に示すように、胴部41は、密閉された中空円筒形状をなし、上部に対して下部が若干小径となっている。この胴部41は、上部胴42と下部胴43とが溶接により接合されて構成されている。この胴部41における下部胴43内には、この下部胴43の内壁面と所定間隔をもって円筒形状をなす管群外筒44が配設され、下端部が管板45の近傍まで延設されている。
【0033】
管群外筒44内は、内部に所定の高さ位置に対応して複数の管支持板46が配設されており、管板45から上方に延設された複数のステーロッド47により支持されている。そして、この管群外筒44は、内部に逆U字形状をなす複数の伝熱管48からなる伝熱管群49が配設されており、各伝熱管48の端部は管板45に拡管して支持されると共に、中間部が複数の管支持板46により支持されている。この場合、管支持板46は、多数の貫通穴(図示略)が形成されており、各伝熱管48がこの貫通穴内に挿通して支持されている。
【0034】
下部胴43は、下端部に水室50が固定されており、内部が隔壁51により入室52及び出室53により区画されると共に、入口ノズル54及び出口ノズル55が形成され、各伝熱管48の一端部が入室52に連通し、他端部が出室53に連通している。なお、この入口ノズル54には上述した冷却水配管14が連結される一方、出口ノズル54には冷却水配管15が連結されている。
【0035】
上部胴42は、内部に給水を蒸気と熱水とに分離する気水分離器56と、この分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器57が設けられている。また、上部胴42は、伝熱管群49と気水分離器56との間に、胴部41内に二次冷却水の給水を行う給水管58が挿入される一方、天井部には蒸気出口59が形成されている。そして、胴部41は、給水管58からこの胴部41内に給水された二次冷却水を、胴部41と管群外筒44との間を流下して管板45にて上方に循環し、伝熱管群49内を上昇するときに各伝熱管48内を流れる熱水(一次冷却水)との間で熱交換を行う給水路60が設けられている。なお、給水管58には上述した冷却水配管34が連結される一方、蒸気出口59には冷却水配管18が連結されている。
【0036】
従って、加圧水型原子炉12で加熱された一次冷却水が冷却水配管14を通して蒸気発生器13の入室52に送られ、多数の伝熱管48内を通って循環して出室53に至る。一方、復水器26で冷却された二次冷却水が冷却水配管34を通して蒸気発生器13の給水管58に送られ、胴部41内の給水路60を通って伝熱管48内を流れる熱水(一次冷却水)と熱交換を行う。即ち、胴部41内で、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は出室53から冷却水配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。一方、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行った二次冷却水は、胴部41内を上昇し、気水分離器56で蒸気と熱水とに分離され、湿分分離器57でこの蒸気の湿分を除去してから、冷却水配管18を通して蒸気タービン17に送られる。
【0037】
このように構成された蒸気発生器13にて、胴部41は、下部に複数の管支持板46が所定間隔で設けられると共に、その下端部に管板45が設けられている。そして、伝熱管群49を構成する複数の伝熱管48は、端部が管板45に形成された多数の取付穴に固定されると共に、中間部が各管支持板46に形成された多数の貫通穴に支持されている。また、複数の管支持板46は、管板45から上方に延設された複数のステーロッド47により支持されている。このように管板45は、伝熱管48が固定される取付穴だけでなく、ステーロッド47がねじ込まれて取付けられるねじ穴が設けられている。また、管支持板46も、伝熱管48が貫通する貫通穴だけでなく、ステーロッド47が挿入されて支持される支持穴が設けられている。
【0038】
そのため、管板45は多数の取付穴やねじ穴が設けられ、管支持板46は、多数の貫通穴や支持穴が設けられていることから、効率的に穴加工を行う必要がある。また、管板45や管支持板46は、形状の異なる穴が設けられていることから、この点を考慮して穴加工を行う必要がある。
【0039】
そこで、実施例1の穴加工装置は、図1に示すように、加工ヘッド61と、加工ヘッド61に主軸(または、スピンドル)62を介して着脱自在に装着される複数(本実施例では、5本)の穴あけ工具63と、加工ヘッド61を被加工部材としての管板45に形成する取付穴60の径方向及び軸方向に移動可能とする駆動装置64と、この駆動装置64を駆動する制御装置65と、管板45の加工データが記憶されるデータベース66とを有している。
【0040】
そして、加工ヘッド61は、穴あけ工具63が取付穴60の配列方向に沿って設けられると共に、取付穴60のピッチの2倍以上の整数倍の等間隔で設けられている。また、制御装置65は、加工ヘッド61が穴あけ工具63の配列方向に取付穴60のピッチごとに移動して穴あけ工具63により穴加工を行うように駆動装置64を駆動する。
【0041】
また、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、加工ヘッド61が取付穴60のピッチと整数倍と穴あけ工具63の個数とを乗算した1列の群を移動して穴あけ工具63による穴加工が終了したら、加工ヘッド61を穴あけ工具63の配列方向に交差する方向に取付穴60のピッチだけ移動し、隣接する1列の群に対して穴あけ工具63による穴加工を行う。
【0042】
また、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、複数の穴あけ工具63のうちの少なくとも一つが穴あけ加工不要位置に到達したときには、全ての穴あけ工具63による穴加工を行わずに次の穴あけ加工位置に移動する。
【0043】
そして、被加工部材が円盤形状をなす管板45であったとき、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、加工ヘッド61を管板45の径方向に沿った取付穴60の1列の群を単位として、加工ヘッド61を管板45の外周方向に沿って移動して穴あけ工具63による穴加工を行う。また、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、所定数の穴あけ工具63を用いた穴加工を行った後、穴あけ工具63の個数を減少して穴加工を行う。
【0044】
即ち、図2に示すように、管板45に取付穴60を形成する領域をA,B,C・・・と区画し、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、まず、加工ヘッド61を領域Aに対して、その中心から右方向へ周方向に沿って移動して穴あけ工具63による穴加工を行い、続いて、中心から左方向へ周方向に沿って移動して穴あけ工具63による穴加工を行う。次に、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、加工ヘッド61を領域Bに対して、その中心から右方向へ周方向に沿って移動して穴あけ工具63による穴加工を行い、続いて、中心から左方向へ周方向に沿って移動して穴あけ工具63による穴加工を行う。そして、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、加工ヘッド61を領域Cに対して、その中心から右方向へ周方向に沿って移動して穴あけ工具63による穴加工を行い、続いて、中心から左方向へ周方向に沿って移動して穴あけ工具63による穴加工を行う。
【0045】
この場合、加工ヘッド61は、5本の穴あけ工具63による取付穴60の加工可能領域はA,B,Cであり、この領域A,B,Cにおける穴加工が完了したら、加工ヘッド61から穴あけ工具63を1本抜き取り、4本の穴あけ工具63による取付穴60の加工可能領域の穴加工を行う。そして、4本の穴あけ工具63による穴加工が完了したら、加工ヘッド61から穴あけ工具63をまた1本抜き取り、3本の穴あけ工具63による取付穴60の加工可能領域の穴加工を行う。このようにして加工ヘッド61から穴あけ工具63の個数を減少して穴加工を行う。
【0046】
以下、実施例1の穴加工装置による管板45に対する取付穴60の穴加工方法について、図3−1から図6に基づいて詳細に説明する。
【0047】
実施例1の穴加工方法において、図6に示すように、ステップS11にて、制御装置65は、管板45の設計情報をデータベース66から読み込んで入力する。ここで、管板45の設計情報とは、管板45に形成する取付穴60の個数(全穴数)、全取付穴60のピッチLh、全取付穴60により形成された縦列数、この縦列に含まれる取付穴60の個数、ステーロッド47のねじ穴の位置(穴あけ加工不要位置)である。
【0048】
ステップS12にて、制御装置65は、軸間ピッチLsを設定する。即ち、取付穴60のピッチLh、加工ヘッド61及び穴あけ工具63の形状や大きさを考慮して整数倍数を5とする。すると、取付穴60のピッチLhに整数倍数の5を乗算することで、軸間ピッチLs(5Lh)を算出することができる。
【0049】
ステップS13にて、制御装置65は、穴群範囲Lgを計算する。即ち、加工ヘッド61に装着された穴あけ工具63の個数を5本とすると、軸間ピッチLsに穴あけ工具63の個数5を乗算することで、穴群範囲Lgを算出することができる。このように軸間ピッチLs及び穴群範囲Lgが設定されたら、ステップS14にて、加工ヘッド61における5つの穴あけ工具63の装着位置を調整し、5つの穴あけ工具63の間隔を軸間ピッチLsに設定する。その後、この設定状態で、加工ヘッド61を移動して管板45に対して取付穴60の加工作業を開始する。
【0050】
まず、図2に示すように、管板45の領域Aにて、縦中心に位置する縦列の1群に対して穴加工を行う。図3−1に示すように、この管板45の領域Aにおける縦中心位置の縦列の1群Lgにおいて、まず、制御装置65は、駆動装置64を駆動し、加工ヘッド61を所定の位置に移動することで、5つの穴あけ工具63により5つの取付穴60a−11、60a−21・・・60a−51を加工する。この場合、5つの取付穴60a−11,60a−21・・・60a−51は、直線上に位置し、軸間ピッチLsとなる。
【0051】
次に、制御装置65は、図3−2に示すように、駆動装置64を駆動し、加工ヘッド61を所定の位置、つまり、加工ヘッド61を上方に取付穴60のピッチLhだけ移動する。ここで、5つの穴あけ工具63により5つの取付穴60a−12,60a−22・・・60a−52を加工する。この処理を5回行うことで、図3−3に示すように、縦方向の直線上にピッチLhで等間隔に連続する25個の取付穴60a−11,60a−12・・・60a−15,60a−21・・・60a−55を加工することができる。
【0052】
そして、縦1列の穴群範囲Lgに対して取付穴60の加工が終了したら、制御装置65は、駆動装置64を駆動し、加工ヘッド61をピッチLhだけ右方向に移動し、この位置で前述と同様の穴加工を行う。即ち、図3−4に示すように、既に形成された5つの取付穴60a−11,60a−21・・・60a−51に対して、まず、右方向に隣接する5つの取付穴60b−11,60b−21・・・60b−51を加工する。以下、前述と同様に取付穴60を加工する。
【0053】
また、管板45は、ステーロッド47のねじ穴の位置に該当する穴あけ加工不要位置が設定されており、取付穴60の加工中に加工不要位置があった場合について説明する。ここでは、図4−1に示すように、取付穴60a−24の加工位置にステーロッド47のねじ穴47aが設定されている。制御装置65は、駆動装置64を駆動し、加工ヘッド61を所定の位置に移動することで、5つの穴あけ工具63により5つの取付穴60a−11、60a−21・・・60a−51を加工する。
【0054】
次に、制御装置65は、図4−2に示すように、駆動装置64を駆動し、加工ヘッド61を所定の位置、つまり、加工ヘッド61を上方に取付穴60のピッチLhだけ移動する。ここで、5つの穴あけ工具63により5つの取付穴60a−12,60a−22・・・60a−52を加工する。そして、この処理を行うことで取付穴60a−11,60a−12,60a−13,60a−21・・・60a−53の加工が終了したら、次に、駆動装置64により加工ヘッド61を移動し、5つの穴あけ工具63が5つの取付穴60a−14,60a−24・・・60a−54を加工する位置に移動する。しかし、ここで、図4−3に示すように、取付穴60a−24の加工位置にステーロッド47のねじ穴47aが設定されていることから、加工ヘッド61は、穴あけ工具63が5つの取付穴60a−14,60a−24・・・60a−54を加工せずに、次の加工位置に移動する。即ち、加工ヘッド61は、穴あけ工具63が5つの取付穴60a−15,60a−25・・・60a−55を加工する位置に移動する。
【0055】
そして、縦1列の穴群範囲Lgに対して取付穴60の加工が終了したら、4つの取付穴60a−24,60a−34,60a−44,60a−54及びねじ穴47a(60a−24)を除く20個の取付穴60a−11,60a−12,60a−13,60a−15,60a−21・・・60a−55を加工することができる。その後、制御装置65は、駆動装置64を駆動し、加工ヘッド61をピッチLhだけ右方向に移動し、この位置で前述と同様の穴加工を行う。即ち、図4−4に示すように、既に形成された5つの取付穴60a−11,60a−21・・・60a−51に対して、まず、右方向に隣接する5つの取付穴60b−11,60b−21・・・60b−51を加工する。以下、前述と同様に取付穴60を加工する。
【0056】
図6のフローチャートに戻り、ステップS15にて、制御装置65は、全ての穴群領域A〜Cに対する穴加工が終了したかどうかを判定する。即ち、制御装置65は、穴群領域Aに対する穴加工が終了したら、穴群領域Bに対して同様の処理を行い、穴群領域Bに対する穴加工が終了したら、穴群領域Cに対して同様の処理を行う。そして、全ての穴群領域A〜Cに対する穴加工が終了したら、図5に示すように、領域D〜Gを除く領域A〜Cでの穴加工作業が完了したこととなる。
【0057】
そして、ステップS16では、加工ヘッド61に装着されている穴あけ工具63が最小本数であるかどうかを判定する。まず、加工ヘッド61に5本の穴あけ工具63を装着して穴加工を行うことから、このときは、ステップS17に移行し、加工ヘッド61に装着された1つの穴あけ工具63を取り外して減少させる。この場合、1列の端に装着されている1本の穴あけ工具63を取り外す。そして、ステップS18にて、加工ヘッド61に4本の穴あけ工具63を装着した状態で、穴加工を行う。この場合、図5に示す穴群領域Dに対して穴加工を行い、この穴群領域Dにおける穴加工が終了したら、ステップS19にて、全ての穴加工が終了したかどうかを判定し、まだ終了していないときには、ステップS16に戻る。ステップS18における穴加工は、上述したステップS14での処理とほぼ同様である。
【0058】
このようにステップS16〜S19の処理を繰り返し行うことで、管板45における全ての取付穴60の加工が行うことができ、ステップS20にて、全穴加工を完了することができる。なお、穴群領域Dは、4本の穴あけ工具63が装着された加工ヘッド61を用い、穴群領域Eは、3本の穴あけ工具63が装着された加工ヘッド61を用い、穴群領域Fは、2本の穴あけ工具63が装着された加工ヘッド61を用い、穴群領域Gは、1本の穴あけ工具63が装着された加工ヘッド61を用いて穴加工を行う。
【0059】
このように実施例1の穴加工装置にあっては、加工ヘッド61と、加工ヘッド61に着脱自在に装着される複数の穴あけ工具63と、加工ヘッド61を管板45に形成する取付穴60の径方向及び軸方向に移動可能とする駆動装置64と、この駆動装置64を駆動する制御装置65とを設け、加工ヘッド61に対して穴あけ工具63を取付穴60の配列方向に沿うと共に取付穴60のピッチの2倍以上の整数倍の等間隔で設け、制御装置65は、加工ヘッド61が穴あけ工具63の配列方向に取付穴60のピッチごとに移動して穴あけ工具63により穴加工を行うように駆動装置64を駆動する。
【0060】
従って、加工ヘッド61に5本の穴あけ工具63を装着し、この加工ヘッド61を穴あけ工具63の配列方向に形成する取付穴60のピッチごとに移動し、この穴あけ工具63により同時に複数の穴加工を行うことができ、一度に複数の取付穴60を同時に加工することができ、その結果、穴加工作業の作業性を向上することができる。
【0061】
また、実施例1の穴加工装置では、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、加工ヘッド61が取付穴60のピッチと整数倍と穴あけ工具63の本数とを乗算した1列の群を移動して穴あけ工具63による穴加工が終了したら、加工ヘッド61を穴あけ工具63の配列方向に交差する方向に取付穴60のピッチだけ移動し、隣接する1列の群に対して穴あけ工具63による穴加工を行う。従って、加工ヘッド61に複数の穴あけ工具63を装着可能とし、複数の穴あけ工具63を移動することで、1列の群を単位として穴加工を行うこととなり、多数の取付穴60を短時間で容易に加工することができる。
【0062】
また、実施例1の穴加工装置では、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、複数の穴あけ工具63のうちの少なくとも一つが穴あけ加工不要位置に到達したときには、全ての穴あけ工具63による穴加工を行わずに次の穴あけ加工位置に移動する。従って、穴あけ加工不要位置とセットとなった穴あけ加工位置の取付穴60を後から加工することで、機械を停止することなく連続した穴加工作業を行うことができる。
【0063】
また、実施例1の穴加工装置では、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、所定数の穴あけ工具63を用いた穴加工を行った後、穴あけ工具63の本数を減少して穴加工を行う。従って、穴あけ工具63の本数に対して穴加工が可能な領域の処理を順次行い、この穴あけ工具63の本数を減少して穴加工を行うことで、効率的な穴加工を行うことができる。
【0064】
また、実施例1の穴加工装置では、円盤形状をなす管板45に対して穴あけ工具63により穴加工を行う場合、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、加工ヘッド61を管板45の径方向に沿った取付穴60の1列の群を単位として、加工ヘッド61を管板45の周方向に沿って移動して穴あけ工具63による穴加工を行う。従って、管板45の径方向に沿った取付穴60の1列の群を単位として、加工ヘッド61を周方向に移動して穴加工を行うことで、円盤形状をなす管板45であっても、一度に複数の取付穴60を同時に加工することができ、穴加工作業の作業性を向上することができる。
【実施例2】
【0065】
図9は、本発明の実施例2に係る穴加工方法により形成された管板の状態を表す概略図、図10は、実施例2の穴加工方法を表すフローチャートである。なお、本実施例の穴加工装置の基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
実施例2の穴加工装置は、図1に示すように、加工ヘッド61と、加工ヘッド61に取付台62を介して着脱自在に装着される複数(本実施例では、5本)の穴あけ工具63と、加工ヘッド61を被加工部材としての管板45に形成する取付穴60の径方向及び軸方向に移動可能とする駆動装置64と、この駆動装置64を駆動する制御装置65と、管板45の加工データが記憶されるデータベース66とを有している。
【0067】
そして、加工ヘッド61は、穴あけ工具63が取付穴60の配列方向に沿って設けられると共に、取付穴60のピッチの2倍以上の整数倍の等間隔で設けられている。また、制御装置65は、加工ヘッド61が穴あけ工具63の配列方向に取付穴60のピッチごとに移動して穴あけ工具63により穴加工を行うように駆動装置64を駆動する。
【0068】
また、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、複数の穴あけ工具63のいずれかが穴あけ加工不要位置に到達したときには、穴あけ加工不要位置にある穴あけ工具63を取り外して穴加工を行う。
【0069】
以下、実施例2の穴加工装置を用いた穴加工方法について説明するが、実施例2では、実施例1ステップS14のみが相違するだけで、その他の処理は同じであることから、相違する処理のみ説明する。
【0070】
実施例2の穴加工方法において、制御装置65は、管板45の設計情報をデータベース66から読み込んで入力し、軸間ピッチLsを設定すると共に、穴群範囲Lgを計算したら、加工ヘッド61における5つの穴あけ工具63の装着位置を調整し、5つの穴あけ工具63の間隔を軸間ピッチLsに設定し、この設定状態で、加工ヘッド61を移動して管板45に対して取付穴60の加工作業を開始する。
【0071】
即ち、図10に示すように、ステップS31にて、取付穴60の加工が開始されると、ステップS32にて、加工ヘッド61が停止した位置で、5つの穴あけ工具63が加工する位置にステーロッド47のねじ穴の位置(穴あけ加工不要位置)があるかどうかを判定する。ここで、5つの穴あけ工具63が加工する位置にステーロッド47のねじ穴の位置(穴あけ加工不要位置)がなければ、実施例1と同様に、穴加工作業を継続する。
【0072】
一方、ここで、5つの穴あけ工具63が加工する位置にステーロッド47のねじ穴の位置(穴あけ加工不要位置)があれば、ステップS33にて、制御装置65は、駆動装置64により加工ヘッド61の移動を停止し、アラームを出力する。このアラームは、音またはランプである。ステップS34にて、制御装置65は、図示しない工具着脱装置を作動してステーロッド47のねじ穴の位置に対応する穴あけ工具63を抜き取る。この場合、抜き取る穴あけ工具63の本数は、1本とは限らず、2本以上の場合もある。そして、ステップS35にて、制御装置65は、駆動装置64により加工ヘッド61を移動し、残った穴あけ工具63による穴加工を1回だけ行う。ここでは、穴あけ工具63によりステーロッド47のねじ穴の位置に対応する位置を除く穴あけ加工位置に取付穴60が加工される。
【0073】
ステップS36にて、所定の穴あけ工具63を抜き取った状態での穴あけ工具63による穴加工が終了したら、ステップS37にて、制御装置65は、工具着脱装置を作動して抜き取った穴あけ工具63を取付けて元の本数とする。そして、ステップS38にて、通常の穴加工作業を再開する。
【0074】
なお、制御装置65は、管板45における穴群領域A〜Cに対する穴加工が終了したら、図9に示すように、領域D〜Gを除く領域A〜Cでの穴加工作業が完了したこととなる。この場合、領域A〜Cには、領域Gが存在しない。
【0075】
このように実施例2の穴加工装置にあっては、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、複数の穴あけ工具63のいずれかが穴あけ加工不要位置に到達したときには、穴あけ加工不要位置にある穴あけ工具63を取り外して穴加工を行う。
【0076】
従って、穴あけ加工不要位置にある穴あけ工具63を取り外して穴加工を行うことで、穴あけ加工不要位置を除く穴あけ加工位置に対して、順次穴あけ加工を行うこととなり、効率的な穴加工作業を可能とすることができる。
【実施例3】
【0077】
図11は、本発明の実施例3に係る穴加工方法により形成された管板の状態を表す概略図である。なお、本実施例の穴加工装置の基本的な構成は、上述した実施例1とほぼ同様の構成であり、図1を用いて説明すると共に、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0078】
上述した実施例1、2で説明した管板45の取付穴60は、四角配列であって、縦方向の取付穴60のピッチと横方向の取付穴60のピッチが同寸法に設定されている。一方、図11に示すように、実施例3で説明する管板45の取付穴70(70a,70b,70c・・・)は、三角配列であって、縦方向の取付穴70のピッチLhと横方向の取付穴70のピッチLhとが異なる寸法に設定されている。
【0079】
この場合、図1及び図11に示すように、制御装置65は、駆動装置64を駆動することで、加工ヘッド61が取付穴70aの縦方向ピッチLhと整数倍と穴あけ工具63の個数とを乗算した1列の群を移動して穴あけ工具63による穴加工が終了したら、加工ヘッド61を穴あけ工具63の配列方向に取付穴70aの縦方向ピッチLhの1/2だけ上方に移動すると共に、加工ヘッド61を穴あけ工具63の配列方向に交差する方向に取付穴70a,70bの横方向ピッチLhだけ移動し、隣接する1列の群の取付穴70bに対して穴あけ工具63による穴加工を行う。
【0080】
なお、上述した各実施例にて、加工ヘッド61に装着する穴あけ工具63の本数を5本としたが、この本数に限定されるものではない。また、加工ヘッド61に装着する穴あけ工具63を1列としたが、2列以上設けてもよい。また、複数の穴あけ工具63の間隔を取付穴60のピッチの5倍としたが、これに限定されるものではなく、加工ヘッド61及び穴あけ工具63の形状や大きさを考慮して適宜設定すればよいものである。
【0081】
また、上述した実施例では、被加工部材を管板45として加工する穴を取付穴60としたが、被加工部材を管支持板46として加工する穴を伝熱管48を支持する貫通孔としてもよい。また、被加工部材を蒸気発生器13の管支持板46や管板45などとしたが、所定厚さの板材に多数の穴が形成されたものであればよく、どの分野にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る穴加工装置及び方法は、加工ヘッドを穴あけ工具の配列方向に穴のピッチごとに移動して穴あけ工具により穴加工を行うことで、一度に複数の穴を同時に加工可能として加工作業の作業性の向上を可能とするものであり、いずれの穴加工作業にも適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
11 原子炉格納容器
12 加圧水型原子炉
13 蒸気発生器
17 蒸気タービン
19 高圧タービン
20 低圧タービン
21 発電機
41 胴部
45 管板(被加工部材)
46 管支持板
44 管群外筒
48 伝熱管
49 伝熱管群
60 取付穴
61 加工ヘッド
63 穴あけ工具
64 駆動装置
65 制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工ヘッドと、
該加工ヘッドを被加工部材に形成する穴の径方向及び軸方向に移動可能とする駆動装置と、
前記加工ヘッドに前記穴の配列方向に沿って設けられると共に前記穴のピッチの2倍以上の整数倍の等間隔で設けられる複数の穴あけ工具と、
前記加工ヘッドが前記穴あけ工具の配列方向に前記穴のピッチごとに移動して前記穴あけ工具により穴加工を行うように前記駆動装置を駆動する制御装置と、
を備えることを特徴とする穴加工装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、前記加工ヘッドが前記穴のピッチと前記整数倍と前記穴あけ工具の個数とを乗算した1列の群を移動して前記穴あけ工具による穴加工が終了したら、前記加工ヘッドを前記穴あけ工具の配列方向に交差する方向に前記穴のピッチだけ移動し、隣接する1列の群に対して前記穴あけ工具による穴加工を行うことを特徴とする請求項1に記載の穴加工装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、前記複数の穴あけ工具のうちの少なくとも一つが穴あけ加工不要位置に到達したときには、全ての穴あけ工具による穴加工を行わずに次の穴あけ加工位置に移動することを特徴とする請求項1または2に記載の穴加工装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、前記複数の穴あけ工具のいずれかが穴あけ加工不要位置に到達したときには、穴あけ加工不要位置にある前記穴あけ工具を取り外して穴加工を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の穴加工装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、所定数の前記穴あけ工具を用いた穴加工を行った後、前記穴あけ工具の個数を減少して穴加工を行うことを特徴とする請求項3または4に記載の穴加工装置。
【請求項6】
前記被加工部材は、円盤形状をなし、前記穴あけ工具により軸心方向に穴加工を行うものであり、前記制御装置は、前記駆動装置を駆動することで、前記加工ヘッドを前記被加工部材の径方向と平行な方向に沿った前記穴の1列の群を単位として、前記加工ヘッドを前記被加工部材の外周方向に沿って移動して前記穴あけ工具による穴加工を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の穴加工装置。
【請求項7】
複数の穴あけ工具が所定間隔で直列に設けられる加工ヘッドを移動して被加工部材に対して穴加工を行う穴加工方法であって、
前記複数の穴あけ工具を前記穴の配列方向に沿って前記穴のピッチの2倍以上の整数倍の等間隔で配置し、
前記加工ヘッドを前記穴あけ工具の配列方向に前記穴のピッチごとに移動して前記穴あけ工具により穴加工を行う、
ことを特徴とする穴加工方法。


【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−106314(P2012−106314A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257290(P2010−257290)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】