説明

空機調和機

【課題】
リモートコントローラを備える空気調和機において、本体側装置の受信部の受信デューティ比を可変させ長期間待機モードとなる際の待機時消費電力を削減させる。
【解決手段】
室内機はリモートコントローラからの運転指示データを予め指示された受信デューティ比で間欠動作を行いながら受信する受信部と、室温検出部と、室温に対応し可変させる受信デューティ比の制御テーブルを記憶した記憶部と、制御部を備えている。制御部は室温を検出し、制御テーブルから可変させる受信デューティ比を抽出すると受信部へ受信デューティ比変更を指示し、この指示を受けた受信部は受信デューティ比を変更し間欠受信を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機を遠隔操作する技術に係わり、より詳細には、待機状態の室内機がリモートコントローラ(以下、リモコンと言う)からの信号を受信する場合に、空気調和機で検出可能な室温情報などを元に室内機の受信部を間欠的に動作させることで、より省電力化を図るための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気調和機のリモコンでは指向性が弱く障害物の影響を受けにくい特性と双方向通信により多機能化された無線通信を利用したものが広く提案・利用されているが、無線通信方式のリモコンを利用する場合には、遠隔操作される受信機側つまり室内機の受信部に関してもリモコンからの運転信号の受信を常時受付可能とするために受信部を連続して動作させておく必要があり、待機時の消費電力が大きくなるという問題がある。(以下、リモコンからの運転信号の受信待機状態を待機モードと言う)
【0003】
このような問題の解決手段として、リモコンを備える装置では一般的に待機モード時に本体側装置の受信部を受信可能状態(アクティブ期間)と受信不可状態(スリープ期間)とに間欠動作させ、間欠動作の1周期に占めるアクティブ期間の割合であるデューティ比を減らすことで待機モード時の消費電力を削減する方法が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−263309号公報(第4〜10頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の遠隔操作システムでは通信モジュールが本体から供給される電源情報に基づいて待機状態を検知し、通常動作モードから待機モードまたは待機モードから通常動作モードに移行することで、待機モードのデューティ比に応じて通信モジュールの平均消費電力を小さくできるとされるが、待機モードへの移行によるデューティ比に応じた消費電力の削減効果に関しては、デューティ比の制御による通信品質の確保と、待機モード時の消費電力削減とはトレードオフの関係であり両者のバランスを加味したデューティ比の設定が要求される結果、消費電力の削減効果が薄れてしまうと言う問題が生じる。
【0006】
ところで、省電力効果で最終的に問題となるのは待機電力に受信デューティのアクティブ期間を掛けた消費電力量である。
受信アクティブ期間短縮によるたとえ僅かな待機時の消費電力削減であっても待機モード期間(時間)が長ければ大きな省電力効果を得ることができる。
空気調和機が使用されるのは一般的に利用者が暑さや寒さを体感した時であり気温に影響されやすく、利用者が空気調和機を使用しなくても快適に過ごすことができる春・秋などの季節では長期間に渡り待機モードとなる場合も多く、この期間の消費電力量を無視することができない。
【0007】
このことから、空気調和機はテレビ・照明器具など常用若しくは不定期に使用されやすい他の家電製品と比較しても、多少の通信品質が低下しても大幅な消費電力量の削減が可能であれば、待機時の消費電力削減をより重要視するべき製品と言える。
このため、空気調和機において長期間(時間)待機状態となるケースを特定し、その状況に応じて室内機の受信デューティ比を可変させることによって消費電力量を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、リモートコントローラと、同リモートコントローラから送信される運転指示データを受信する室内機とを備え、同運転指示データに従って空調運転を行う空気調和機であって、
前記室内機は前記運転指示データを基準となる受信デューティ比で間欠受信を開始する室内機受信部と、前記室内機が設置された部屋の室温を検出する室内機室温検出部と、前記室温に対応し、前記基準となる受信デューティ比よりも小さい前記受信デューティ比の値を制御テーブルとして予め記憶した室内機記憶部と、これらを制御する室内機制御部とを備え、
前記室内機制御部は前記室内機室温検出部を介して前記室温を検出し、同検出した室温と対応する前記受信デューティ比の値を前記制御テーブルから抽出し、同抽出した前記受信デューティ比を前記室内機受信部へ指示し、前記室内機受信部を間欠受信させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、リモートコントローラと、同リモートコントローラから送信される運転指示データを受信する室内機とを備え、同運転指示データに従って空調運転を行う空気調和機であって、
前記室内機は前記運転指示データを基準となる受信デューティ比で間欠受信を開始する室内機受信部と、前記室内機が設置された部屋の室温を検出する室内機室温検出部と、室温と設定温度との温度差に対応し、前記基準となる受信デューティ比よりも小さい前記受信デューティ比の値を制御テーブルとして予め記憶した室内機記憶部と、これらを制御する室内機制御部とを備え、
前記室内機制御部は前記室内機室温検出部を介して前記室温を検出し、同検出した室温と前記室内機記憶部に記憶された設定温度もしくは運転停止時に前記室内機記憶部に記憶した前記室温との温度差を算出し、同温度差に対応する前記受信デューティ比の値を前記制御テーブルから抽出し、同抽出した前記受信デューティ比を前記室内機受信部へ指示し
、前記室内機受信部を間欠受信させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、前記室内機は前記室内機が設置された部屋の湿度を検出する室内機湿度検出部と、前記室温または前記温度差に対応した前記受信デューティ比の値を所定の湿度条件で補正する制御テーブルとして予め記憶した室内機記憶部を備え、
前記室内機制御部は検出した前記室温または前記温度差が湿度により前記受信デューティ比を補正する室温の場合には前記湿度を検出し、同湿度により補正された前記受信デューティ比の値を前記制御テーブルから抽出し、同抽出した前記受信デューティ比を前記室内機受信部へ指示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上の手段を用いることにより、本発明による空気調和機によれば、
室温や設定温度と室温との温度差や湿度に応じて利用者から運転指示が行われる可能性が低い条件では基準となる受信デューティ比を下げる制御を実行することで、待機時の消費電力量を削減することができる。
また、この制御を実行する場合に利用するパラメータ(室温、設定温度と室温との温度差、湿度)は既存の空気調和機に備えられた装置により検出及び取得可能なため、この制御を実現するために大幅なコストアップを要さない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による室内機の実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明によるリモコンの実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明による受信デューティ比を説明する説明図である。
【図4】本発明による室温に基づいた受信デューティ比の制御を説明する説明図である。
【図5】本発明による温度差に基づいた受信デューティ比の制御を説明する説明図である。
【図6】本発明による湿度に基づいた受信デューティ比の補正制御を説明する説明図である。
【図7】本発明による室内機制御部の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
本発明の特徴は、待機モードの空気調和機においてリモコンからの運転要求が行われる可能性が低い期間(時間)を室温などの条件で判断し、室内機の受信部の間欠動作に係わるデューティ比を通常モードの受信デューティ比よりもさらに小さく可変させることで、より高い消費電力の削減効果を得ることにある。
なお、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明による空気調和機の室内機10の実施例を示すブロック図である。室内機10は、室内機アンテナ11と、室内機アンテナ11を介して利用者のリモコン操作情報や室内機10からリモコンへの運転情報などを送受信する室内機送受信部12と、温度センサーにより室内機10が設置された部屋の室温を検出する室内機室温検出部13と、湿度センサーにより室内機10が設置された部屋の湿度を検出する室内機湿度検出部14と、運転情報などのデータを記憶する室内機記憶部15と、時計やタイマーの機能を有する室内機時計部17と、これらを制御するプログラムを記憶したマイコンを有する室内機制御部16とを備えている。
【0015】
室内機制御部16は利用者の操作により運転停止の指示を受付けると、室内機室温検出部13と、室内機湿度検出部14と、室内機記憶部15への電力供給を断ち、室内機制御部16と、室内機送受信部12と、室内機時計部17とは待機モードで動作するように設計されている。
【0016】
待機モード時の室内機送受信部12は室内機アンテナ11を介してリモコン信号を受信すると室内機制御部16のマイコンを割込によりウェイクアップさせ、ウェイクアップしたマイコンは室内機10を待機モードから通常運転を開始させるために通常モードへの切り替えを実行する。
また、待機モード時の室内機時計部17は所定時間毎に室内機制御部16のマイコンを割込によりウェイクアップさせ、室内機制御部16はウェイクアップすると現在の温度を検出しこの温度に最適な受信デューティ比を予め室内機記憶部15に記憶している制御テーブルから抽出して室内機送受信部12へ指示し、室内機送受信部12はこれ以降指示された受信デューティ比を使用する。
【0017】
図2は、本発明による空気調和機のリモコン20の実施例を示すブロック図である。リモコン20は、リモコンアンテナ21と、リモコンアンテナ21に接続され利用者のリモコン操作情報や室内機10からリモコンへの運転情報などを送受信するリモコン送受信部22と、利用者が運転の開始や停止、温度変更などを入力するキー入力部28と、これらを制御するプログラムを記憶したマイコンを有するリモコン制御部26とを備えている。
【0018】
リモコン制御部26はキー入力部28で利用者から運転の開始や停止が入力されると、それぞれの運転情報をリモコン送受信部22からリモコンアンテナ21を介して室内機10へ送信する。
なお、本実施例は室内機10とリモコン20の通信手段を無線電波方式で記しているが
、通信手段を赤外線方式とすることも可能である。
【0019】
図3は、本発明による室内機送受信部12の受信デューティ比を説明する説明図である
。この受信デューティ比は例えば500msを1周期として、1周期内にあるアクティブ(ON)期間とスリープ(OFF)期間で構成され、室内機送受信部12内部のタイマー機能によって間欠的かつ周期的に室内機送受信部12で受信動作が行われる。この間欠動作の1周期に占めるアクティブ(ON)期間の割合がデューティ比であり、受信デューティ比を小さくするほど待機モードでの消費電力量を低減することができる。
【0020】
図3Aは、運転中の受信デューティ比を表している。運転中は常にアクティブ(ON)状態を維持しているため、受信デューティ比は『500ms(ON)/500ms(1周期)×100=』で100%となる。
【0021】
図3Bは、通常の待機モードの受信デューティ比を表している。通常の待機モードとは待機状態となった直後や、運転要求が行われる可能性が高いと判断される期間(時間)に適用される基準となる受信デューティ比で受信している待機状態を示す。
この基準となる受信デューティ比は例えばアクティブ(ON)期間を100msとして『100ms(ON)/500ms(1周期)×100=』で20%となる。
【0022】
図3Cは、通常の待機モード(図3B)からアクティブ(ON)期間をわずかに縮小した受信デューティ比を表している。この受信デューティ比は運転要求が行われる可能性がやや低いと判断される期間(時間)に適用する消費電力削減レベルが小となる受信デューティ比である。
この消費電力削減レベル小の受信デューティ比は例えばアクティブ(ON)期間を75msとして『75ms(ON)/500ms(1周期)×100=』で15%となる。
【0023】
図3Dは、通常の待機モード(図3B)からアクティブ(ON)期間を半減させた受信デューティ比を表している。この受信デューティ比は運転要求が行われる可能性が低いと判断される期間(時間)に適用する消費電力削減レベルが中となる受信デューティ比である。
この消費電力削減レベル中の受信デューティ比は例えばアクティブ(ON)期間を50msとして『50ms(ON)/500ms(1周期)×100=』で10%となる。
【0024】
図3Eは、通常の待機モード(図3B)からアクティブ(ON)期間を大幅に縮小させた受信デューティ比を表している。この受信デューティ比は運転要求が行われる可能性が極めて低いと判断される期間(時間)に適用する消費電力削減レベルが大となる受信デューティ比である。
この消費電力削減レベル大の受信デューティ比は例えばアクティブ(ON)期間を25msとして『25ms(ON)/500ms(1周期)×100=』で5%となる。
【0025】
このように、通常の待機モード時の受信デューティ比(図3B)から運転要求が行われる可能性に応じて受信デューティ比を小さく(図3C〜Eのように)変更する受信デューティ比制御を実行することで、運転要求が行われる可能性が低いと判断される期間(時間)ではより高い消費電力の削減効果を得ることができる。
なお、本実施例ではアクティブ(ON)期間を短縮し受信デューティ比を小さくしているが、スリープ(OFF)期間や周期を延長することで受信デューティ比を小さくしてもよい。この場合にはリモコンのデータ送信継続期間を延長したスリープ(OFF)または周期以上の期間とする必要がある。
【0026】
図4は、本発明による室温に基づいた受信デューティ比制御を説明する説明図である。図4(1)は室温と受信デューティ比制御による消費電力削減レベルの変化とを概念的にグラフに表した図であり、図4(2)は図4(1)の制御を実行するために、室内機記憶部15に記憶する制御テーブルを表した図である。
【0027】
図4(1)の室温に基づく制御グラフは縦軸に可変させる受信デューティ比(%)を、横軸に室温(℃)を表し、グラフ内の太点線は通常の待機モードの受信デューティ比(図3B)を示し、太線は室温に応じて可変させる受信デューティ比(図3B〜E)を示している。
この制御グラフは暖房の運転要求が行われる可能性が高いと判断される15℃未満と、冷房の運転要求が行われる可能性が高いと判断される31℃以上とを、基準である通常の待機時受信デューティ比(20%)とし、冷暖房の運転要求が行われる可能性が最も低いと判断される21℃〜25℃を消費電力削減レベルが大となる受信デューティ比(5%)となるように、低室温側の15℃〜21℃を室温の上昇に合わせて消費電力削減レベルを拡大し、高室温側の31℃〜25℃を室温の下降に合わせて消費電力削減レベルを拡大させ、室内機室温検出部13で検出される各室温に応じてより高い消費電力量の削減効果が得られるように制御テーブルとして室内機記憶部15に予め記憶されている。
【0028】
この室温に基づいて受信デューティ比を可変させる制御テーブルを利用した室内機では、春・秋のように21℃〜25℃で室温が安定している場合には受信デューティ比が小さい状態が継続されるため、より高い消費電力量の削減効果を得ることができる。
【0029】
図4(2)の室温による制御テーブルは図4(1)の制御グラフ横軸の室温(℃)を所定の温度範囲に分割して区分し、各温度範囲を制御グラフ縦軸の受信デューティ比(%)に対応付けた表である。
なお、図4(1)の制御グラフで示す太線の傾斜部分は、実際の制御では温度範囲の区分によってステップ状に変化するものを簡略化し図示したものである。
また、本実施例の室温分割は15.0℃未満と、31.0℃以上と、この間を1.0℃毎に16分割したものを記しているが、室温範囲、分割数、各区分内の室温幅、及び室温区分に応じた受信デューティ比などの諸条件はこれに限るものではない。
【0030】
図5は、本発明に基づく温度差に基づいた受信デューティ比制御を説明する説明図である。図5(1)は温度差と受信デューティ比制御による消費電力の削減レベルの変化とを概念的にグラフに表した図であり、図5(2)は図5(1)の制御を実行するために、室内機記憶部15に記憶する制御テーブルを表した図である。
【0031】
図5(1)の温度差に基づく制御グラフは縦軸に可変させる受信デューティ比(%)を横軸に室温からリモコンで利用者により設定されていた設定温度を減じて算出した温度差(℃)を表し、グラフ内の太点線は通常の待機モードの受信デューティ比(図3B)を示し、太線は算出された温度差に応じて可変させる受信デューティ比(図3B〜E)を示している。
この制御グラフは暖房又は冷房の運転要求が行われる可能性が高いと判断される温度差の絶対値が4℃以上を、基準である通常の待機時受信デューティ比(20%)とし、冷暖房の運転要求が行われる可能性が最も低いと判断される温度差なし(0℃)を挟んだ温度差−1℃〜+1℃を消費電力削減レベルが最大となる受信デューティ比(5%)となるように、設定温度より低室温側の−4℃〜−1℃を温度差の縮小に合わせて受信デューティ比を小さくし、設定温度より高室温側の+4℃〜+1℃を温度差の縮小に合わせて受信デューティ比を小さくさせ、室内機室温検出部13で検出した室温から算出された各温度差に応じてより高い消費電力量の削減効果が得られように制御テーブルとして室内機記憶部15へ予め記憶されている。
【0032】
この温度差に基づいて受信デューティ比を可変させる制御テーブルを利用した室内機では、設定温度と室温から利用者の好む室温への運転要求が行われる可能性が低くなると予測される期間(時間)を判断することから、より高い消費電力量の削減効果を得ることができる。
【0033】
図5(2)の温度差に基づく制御テーブルは図5(1)の制御グラフ横軸の温度差(℃)を所定の温度差範囲に分割して区分し、各温度差範囲を制御グラフ縦軸の受信デューティ比(%)に対応付けた表である。
なお、図5(1)の制御グラフで示す太線の傾斜部分は、実際の制御では温度差範囲の区分によってステップ状に変化するものを簡略化し図示したものである。
また、本実施例の温度差分割は温度差の絶対値が4℃以上の場合と、温度差なし(0.0℃)を挟んだこの間の温度差を5分割したものを記しているが、温度差範囲、分割数、各区分内の温度差幅、及び温度差区分に応じた受信デューティ比などの諸条件はこれに限るものではない。
【0034】
なお、温度差を求めるためのリモコンの設定温度は、随時通信によりリモコンから取得する必要は無く、運転中に変更された設定温度または、運転停止時にリモコンから送信された設定温度を室内機記憶部15に記憶させれば、設定温度を随時受信することで生じる消費電力を不要とすることができる。
また、温度差の算出においては運転停止時に室内機温度検出部13で検出した室温を室内機記憶部15に記憶させておき、室内機温度検出部13で検出された室温から記憶しておいた運転停止時の室温を減じて算出した温度差を利用してもよく、この場合にはリモコンの設定温度を取得及び記憶する必要がない。
【0035】
図6は、本発明による湿度に基づいた受信デューティ比の補正制御を説明する説明図である。図6(1)は室温と受信デューティ比制御による消費電力削減レベルの変化とをグラフに表した図4(1)に、湿度による制御の補正受信デューティ比を加えて概念的にグラフに表した図であり、図6(2)は図6(1)の制御を実行するために、室内機記憶部15に記憶する制御テーブルを表した図である。
【0036】
図6(1)の湿度に基づく補正制御グラフの縦横軸及びグラフ内の太線、太点線については図4(1)と同様であり説明を省略する。グラフ内の二重線は検出された湿度が所定の湿度を下回る低湿度の場合に各室温に応じて可変させる受信デューティ比の補正(図3B〜E)を示している。
この補正制御グラフは室温が高温(例えば25℃以上)となった場合でもその時に低湿度(例えば湿度40%以下)の場合には、低湿度により体感温度が下がり利用者の不快感が緩和され冷房の運転要求が行われる可能性が下がること考慮し、冷暖房の運転要求が行われる可能性が最も低いと判断される21℃〜27℃を消費電力削減レベルが大となる受信デューティ比(5%)となるように補正し、高室温側の33℃〜27℃を室温の下降に合わせて消費電力削減レベルを拡大させるように補正し、室内機室温検出部13で検出される室温が高温でも低湿度の場合には受信デューティ比を室温のみで制御するよりもさらに高い消費電力量の削減効果が得られるように制御テーブルとして室内機記憶部15へ予め記憶されている。
【0037】
図6(2)の湿度に基づく補正制御テーブルは図6(1)の制御グラフ横軸の室温(℃)を所定の温度範囲に分割して区分し、各温度範囲での消費電力削減レベルを制御グラフ縦軸の受信デューティ比(%)に対応付けた表に低湿度時の補正受信デューティ比(%)を加味した表である。
なお、図6(1)の制御グラフで示す二重線の傾斜部分は、実際の制御では温度範囲の区分によってステップ状に変化するものを簡略化し図示したものである。
また、本実施例の室温分割は図4(1)に低湿度時の補正受信デューティ比を加味したものを記しているが、室温範囲、分割数、各区分内の室温幅、室温区分に応じた受信デューティ比、及び低湿度時の補正受信デューティ比などの諸条件はこれに限るものではない

【0038】
また図示を省略しているが、図6の湿度補正部分は図5の温度差に基づき受信デューティ比を可変させる制御の湿度補正としても活用することが可能である。
【0039】
図7は、本発明による室内機制御部16の処理を説明するフローチャートである。なお
、前提条件として受信デューティ比の変更を室温または温度差のどちらかにより制御するかの選択は、利用者の操作により予め室内機記憶部15に設定されているものとする。また、図7に記載のSTはステップを表し、これに続く数字はステップ番号を、また、YはYesをNはNoをそれぞれ表している。
【0040】
室内機制御部16のマイコンは室内機送受信部12又は室内機時計部17からの割込信号によりウェイクアップすると、そのウェイクアップが室内機時計部17からの信号によるものか否かを確認する(ST1)。ウェイクアップが室内機時計部17からの割込信号によるものでは無い場合(ST1−N)、室内機送受信部12からの指示データ受信、例えばリモコンからの運転開始のデータなどのため通常モードへと移行する。
なお、室内機時計部17からの受信デューティ比変更確認の要求は例えば待機モード移行後1時間毎や、時刻で3時と6時など予め定めた間隔で行われるものであるため、図7のステップ2以降に記した室内機制御部16の処理は所定時間毎に実行される。
【0041】
ウェイクアップが受信デューティ比の変更確認を要求された信号による場合(ST1−Y)、室内機室温検出部13の温度センサーで室温を検出し取り込む(ST2)。続いて、室内機記憶部15に記憶されている受信デューティ比制御を選択した設定を読み出す(ST3)。受信デューティ比制御の設定が室温による制御であるか否かを確認する。(ST4)。室温による制御の場合(ST4−Y)、室内機記憶部15に記憶されている室温による受信デューティ比制御テーブルを読み出す(ST5)。室内機室温検出部13の温度センサーから検出した現在の室温を受信デューティ比制御テーブルで検索し、湿度による補正値が存在するか否かを確認する(ST6)。
【0042】
受信デューティ比制御テーブルの室温に湿度による補正値が存在しない場合(ST6−N)、受信デューティ比制御テーブルの室温による制御値から受信デューティ比を抽出する(ST7)。抽出した受信デューティ比を室内機記憶部15に記憶する(ST8)。室内機送受信部12へ受信部の間欠動作を抽出した受信デューティ比へ変更するように指示する(ST9)。そして待機モードへ復帰する。
【0043】
一方、受信デューティ比制御テーブルの室温に湿度による補正値が存在する場合(ST6−Y)、室内機湿度検出部14の湿度センサーで湿度を検出し取り込む(ST10)。湿度センサーで検出した湿度が予め設定された補正条件(例えば湿度40%以下など)の範囲内であるか否かを確認する(ST11)。検出した湿度が補正条件の範囲内の場合(ST11−Y)、受信デューティ比制御テーブルの湿度による補正値から受信デューティ比を抽出する(ST12)。そしてST8へジャンプする。
また、検出した湿度が補正条件の範囲外の場合(ST11−N)、ST7へジャンプする。
【0044】
一方、受信デューティ比制御の設定が温度差による制御の場合(ST4−N)、室内機記憶部15に記憶されている設定温度から室内機室温検出部13の温度センサーで検出した室温を減じて温度差を算出し、室内機記憶部15に記憶されている温度差による受信デューティ比制御テーブルを読み出す(ST13)。算出した温度差を受信デューティ比制御テーブルで検索し、湿度による補正値が存在するか否かを確認する(ST14)。
【0045】
受信デューティ比制御テーブルの温度差に湿度による補正値が存在しない場合(ST14−N)、受信デューティ比制御テーブルの温度差による制御値から受信デューティ比を抽出する(ST15)。そしてST8へジャンプする。
また、受信デューティ比制御テーブルの温度差に湿度による補正値が存在する場合(ST14−Y)、室内機湿度検出部14の湿度センサーで湿度を検出し取り込む(ST16)。湿度センサーから検出した湿度が予め設定された補正条件(例えば湿度40%以下など)の範囲内であるか否かを確認する(ST17)。検出した湿度が補正条件の範囲内の場合(ST17−Y)、検出した湿度から受信デューティ比制御テーブルの湿度による補正値から受信デューティ比を抽出する(ST18)。そしてST8へジャンプする。
また、検出した湿度が補正条件の範囲外の場合(ST17−N)、ST15へジャンプする。
【0046】
以上が図7に示した室内機制御部16の処理である。この処理により室温を基準としたパラメータ計測による受信デューティ比の可変が行われ、運転要求が行われる可能性が低いと判断される期間(時間)に受信デューティ比が小さくなるように設定するため、通常の待機モードよりも高い消費電力の削減効果が得らように制御することが出来る。
また、本実施例は待機モードにおける受信デューティ比の可変制御を記しているが、待機モード中に限定されるものではなく通常モードにおいても実施可能である。
また、所定時間毎に行うとしている室内機時計部17からの受信デューティ比変更確認の要求間隔を、受信デューティ比が小さく設定されている期間にはより長く変更することで、さらに消費電力の削減効果が得らように制御することも可能である。
なお、室内機時計部17により月日を読出し、年間における季節によって受信デューティ比や、受信デューティ比変更確認の要求間隔を可変するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 室内機
11 室内機アンテナ
12 室内機送受信部
13 室内機室温検出部
14 室内機湿度検出部
15 室内機記憶部
16 室内機制御部
17 室内機時計部
20 リモコン
21 リモコンアンテナ
22 リモコン送受信部
26 リモコン制御部
28 キー入力部


















































【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートコントローラと、同リモートコントローラから送信される運転指示データを受信する室内機とを備え、同運転指示データに従って空調運転を行う空気調和機であって、
前記室内機は前記運転指示データを基準となる受信デューティ比で間欠受信を開始する室内機受信部と、前記室内機が設置された部屋の室温を検出する室内機室温検出部と、前記室温に対応し、前記基準となる受信デューティ比よりも小さい前記受信デューティ比の値を制御テーブルとして予め記憶した室内機記憶部と、これらを制御する室内機制御部とを備え、
前記室内機制御部は前記室内機室温検出部を介して前記室温を検出し、同検出した室温と対応する前記受信デューティ比の値を前記制御テーブルから抽出し、同抽出した前記受信デューティ比を前記室内機受信部へ指示し、前記室内機受信部を間欠受信させることを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
リモートコントローラと、同リモートコントローラから送信される運転指示データを受信する室内機とを備え、同運転指示データに従って空調運転を行う空気調和機であって、
前記室内機は前記運転指示データを基準となる受信デューティ比で間欠受信を開始する室内機受信部と、前記室内機が設置された部屋の室温を検出する室内機室温検出部と、室温と設定温度との温度差に対応し、前記基準となる受信デューティ比よりも小さい前記受信デューティ比の値を制御テーブルとして予め記憶した室内機記憶部と、これらを制御する室内機制御部とを備え、
前記室内機制御部は前記室内機室温検出部を介して前記室温を検出し、同検出した室温と前記室内機記憶部に記憶された設定温度もしくは運転停止時に前記室内機記憶部に記憶した前記室温との温度差を算出し、同温度差に対応する前記受信デューティ比の値を前記制御テーブルから抽出し、同抽出した前記受信デューティ比を前記室内機受信部へ指示し
、前記室内機受信部を間欠受信させることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
前記室内機は前記室内機が設置された部屋の湿度を検出する室内機湿度検出部と、前記室温または前記温度差に対応した前記受信デューティ比の値を所定の湿度条件で補正する制御テーブルとして予め記憶した室内機記憶部を備え、
前記室内機制御部は検出した前記室温または前記温度差が湿度により前記受信デューティ比を補正する室温の場合には前記湿度を検出し、同湿度により補正された前記受信デューティ比の値を前記制御テーブルから抽出し、同抽出した前記受信デューティ比を前記室内機受信部へ指示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気調和機。

















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96611(P2013−96611A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238245(P2011−238245)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006611)株式会社富士通ゼネラル (1,266)
【Fターム(参考)】