説明

空気ブレーキサーボ

本発明は空気ブレーキサーボに関し、この空気ブレーキサーボは、空気差圧による作用が可能な少なくとも1つの軸方向に移動可能な壁2によって、少なくとも1つの作業室3と少なくとも1つの真空室4に分割されたサーボハウジング1と、弁ピストン9を備えた作動可能な入力部材7と、出力にてマスターブレーキシリンダに作用する出力部材14と、制御ハウジング5内に配列されており、弁ピストン9によって作動されることが可能であり、また、差圧を制御する制御弁12と、制御ハウジング凹部25内に配列され、出力部材14のヘッドフランジ23が接する弾性反応要素6とを有し、反応要素6上に、入力有効範囲A1によって動作する入力部材7と、出力有効範囲A2によって動作する出力部材14とを設け、入力有効範囲A1に対する出力有効範囲A2の比率により、ブレーキサーボの力ブースト比率が決定される。
本発明によれば、ブレーキサーボに力ブースト比率の非常に精密な公差を提供するために、組み立てられたブレーキサーボ内に出力有効範囲A2を調整するための手段が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気ブレーキサーボに関し、この空気ブレーキサーボは、空気差圧による作用が可能な少なくとも1つの軸方向に移動可能な壁によって、少なくとも1つの作業室と少なくとも1つの真空室に分割されたサーボハウジングと、弁ピストンを備えた作動可能な入力部材と、出力にてマスターブレーキシリンダに作用する出力部材と、制御ハウジング内に配列されており、弁ピストンによって作動されることが可能であり、また、差圧を制御する制御弁と、制御ハウジング凹部内に配列され、出力部材のヘッドフランジが接する弾性反応要素とを有し、反応要素上に、入力有効範囲によって動作する入力部材と、出力有効範囲によって動作する出力部材とを設け、入力有効範囲に対する出力有効範囲の比率により、ブレーキサーボの力ブースト比率が決定される。
【0002】
汎用ブレーキサーボは、例えばDE4227879A1により公知である。
【背景技術】
【0003】
自動車産業は、ブレーキサーボ特性曲線に関連して要求が高まっている。即ち、構成部品の公差およびバネの公差から、また、反応要素のショア硬さから、さらに摩擦から生じる力ブースト比率の公差は可能な限り低く抑えなくてはならない。しかしながら、公知のブレーキサーボはこの高い要求を満たしていない。
【発明の開示】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ブースト比率の公差が非常に低いまたは精密である汎用ブレーキサーボを提供することである。
【0005】
この目的は、組み立てたブレーキサーボ内の出力有効範囲を調整するための手段を提供することによって達成される。この方法では、構成部分の公差、バネの公差、反応要素の異なるショア硬さ、摩擦を補正することができ、また、ブレーキサーボのブーストを自動車産業の要求に従って調整することができ、さらに、要求される公差をこれに従わせることができる。出力有効範囲を調整または変更することで、ブレーキサーボの力ブースト比率も変更することができるというさらなる利点が得られる。
【0006】
出力有効範囲を調整する手段によって、反応要素の室容量を好ましく変更でき、この場合、反応要素の質容量は出力部材によって決定され、制御ハウジング凹部によって直接または間接的に決定される。したがって、反応要素は空間を均等に充填しないために、反応要素の流動性は室容量の変化と共に変わるという事実を利用する。
【0007】
本発明の1つの有利な改良は、出力要素は、反応要素に向いた側部に、ねじ切り付きボアを有しており、ねじ切り付きボア内には、出力有効範囲の調整を可能にする調整要素をねじ込むことができる。したがって、出力要素は複数の部品から形成されており、また、事前に組み立てられたユニットとして提供することができる。これによってブレーキサーボの組み立て費用が高くなることはない。
【0008】
出力有効範囲の簡単な調整を行うために、出力部材は、ねじ切り付きボア内に開口する通路ボアを有しており、調整要素を回転させるための調整工具をこの通路ボアから挿入することができる。
【0009】
本発明のさらなる有利な実施形態は、調整要素が単体に形成されており、ねじ切り部分とディスク形部分を有しており、出力部材は、反応部材に向いた側部に、直径を設けた凹部を有し、調整要素のディスク形部分は凹部内で案内されるように配列されている。これによって調整要素は出力部材内に固定されるため、落下することがない。
【0010】
本発明のさらなる有利な改良によれば、調整要素は2つの部品で形成され、また、取付ネジと分離ディスクを備えており、出力要素は、反応部材に向いた側部に、直径を設けた凹部を有し、この凹部内にディスクが配列されている。こうすることで、調整要素を、標準化された個々の部品によって、コスト効果的に提供することができる。
【0011】
出力要素を単純に製造するために、出力要素の凹部の直径は出力部材のねじ切り付きボアの直径よりも大きくなっている。
【0012】
ブレーキサーボの動作中に調整要素が回転することを防止するために、本発明の1つの有利な改良によれば、調整要素を回転ロックする手段が提供される。
【0013】
本発明の有利な改良によれば、調整要素を回転ロックする手段は、出力部材のねじ切り付きボア上、または、調整要素のねじ切り部分上に提供される。換言すれば、回転ロックはロック式ねじ山の形式で提供することができる。
【0014】
本発明のさらなる有利な実施形態は、調整要素は、反応要素に向いた端部側部上に、粗く仕上げた表面を有する。ここで、調整要素の端部側部には、機械加工を施す目的で容易に接触できることは利点である。
【0015】
さらに、さらなる有利な実施形態は、調整要素が、反応部材に向いた端部側部上に凹部を有しており、この凹部は、溝の形で形成され、端部側部上に均等に分布するように配列されていることが好ましい。この凹部は製造が単純であり、コスト効果的である。
【0016】
出力部材は、第1構成部分と第2構成部分の2個の部品で形成されることが好ましく、第1構成部分はヘッドフランジと、このヘッドフランジに接合する第1円筒形部分とを有し、第2構成部分は、第1構成部分とは反対を向いた第1球状端部を設けている第2円筒形部分を有しており、これらの円筒形部分は相互に捕獲的に接続できることが好ましい。これにより、ブレーキサーボのいわゆる機能寸法を、より単純かつさらにコスト効果的な方法で調整することが可能になる。そのため、ブレーキサーボの異なる実施形態に第1構成部分を使用し、第2構成部分のみをブレーキサーボの寸法に適合させることがさらに可能である。
【0017】
1つの有利な実施形態によれば、第2構成部分は、これの第2端部上にポット形部分を有しており、この手段により、第2構成部分を第1構成部分に捕獲的に接続することができる。
【0018】
さらに有利な実施形態は、第2構成部分は、これの第2端部上に、第1構成部分に捕獲的に接続するために通路ボア内に突出するジャーナルを有する。
【0019】
捕獲的接続は、第1構成部分上または第2構成部分上の節の手段によって提供されるか、または、第1構成部分と第2構成部分の間のねじ切り接続の手段によって提供されることが好ましい。
【0020】
本発明の1つの有利な改良に従って、案内板上への保存を行うために、ヘッドフランジは、これの円周に、制御ハウジング凹部内で出力要素を案内するための包囲カラーを有する。
【0021】
さらに、本発明による、ブレーキサーボの力ブースト比率を調整するための発明による方法は、出力有効範囲の調整が、組み立てた状態のブレーキサーボ内で行われることを提供する。これにより、面倒な構成部分の交換を省くことができる。
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面に基づいた以下の典型実施形態の記述から得ることができ。図面は、いずれのケースにおいても非常に概略的な形および断面図である。
【詳細な説明】
【0023】
自動車ブレーキシステムの、図1に示した公知の空気ブレーキサーボの、単純に概略的に表されたサーボハウジング1は、軸方向に移動可能な壁2によって作業室3と真空室4に分割されている。軸方向に移動可能な壁2は、金属シートを深延伸加工して作成したダイヤフラム板8と、上記ダイヤフラム板8に接し、ダイヤフラム板8の外円周とサーボハウジング1との間の密封部としてのダイヤフラムをそれほど詳しくは図示されていない方法で形成している可撓性ダイヤフラム18とで構成されている。
【0024】
入力部材7によって作動される制御弁12を制御ハウジング5内に収容することができる。この制御ハウジング5はサーボハウジング1内で密封して案内され、また、可動壁2を支持している。制御弁12は、制御ハウジング5の上に形成されている第1密封台座15と、入力部材7に接続した弁ピストン9の上に形成されている第2密封台座16と、これら2つの密封台座15、16と相互作用し、保持リング21上に支持された弁バネ22の手段によって弁台座15、16に押圧される弁本体10とで構成されている。作業室3は、制御ハウジング5内を横方向に走行しているダクト28の手段によって、真空室4に接続することができる。入力部材7はブレーキペダル(図示せず)に接続している。
【0025】
ブレーキ力は、端部側で制御ハウジング5に接している弾性的に伸縮する弾性反応要素6の手段と、ヘッドフランジ23を有する出力部材14によって、ブレーキシステムのマスターシリンダ(図示せず)の作動ピストンへ伝達される。このマスターシリンダは、ブレーキサーボの真空側端部に収納されている。入力部材7にて導入されることにより入力されたこの力は、弁ピストン9の手段により反応要素6へ伝達される。
【0026】
反応要素6はディスク形であり、プラスチックまたはゴム材料で形成されており、圧力負荷の際、流体静力学の原理による、非圧縮流体として機能している。即ち、上記の反応要素はある意味で、弁ピストン9によって導入された脚力と、制御ハウジング1を介して導入されたブースト力と、出力部材14を介して車両運転手へ逆に伝達されるブレーキ反応力との間の合算ユニットとして機能する。したがって、全てのブレーキ作動位置にて、反応要素6において均衡な力が存在している。反応要素6の室容量は、図からわかるように、制御ハウジング凹部25か、内部に配列されている環状要素30あるいは図2に図示の環状ディスク31か、出力部材14かによって決定される。環状要素30の配列は必ずしも図示のとおりである必要はない。
【0027】
図に概略的に図示され、フランジ(図示せず)上のサーボハウジング1の真空側端部壁に支持されている復元バネ26は、図示の開始位置にある可動壁2を保持する。さらに、この復元バネ26は案内板46上にも支持されており、案内板46は、制御ハウジング5に接している、あるいはこれに固定されており、第1に復元バネ26を支持するよう機能し、第2に出力部材14を案内するように機能する。またさらに、入力部材7と支持リング40との間に配列された戻りバネ27が提供されており、支持リング40は、保持リング21に接しており、弁本体10を保持リング21上に固定する。戻りバネ27の力は、弁本体9のプレロードを提供するか、または、弁本体10に関連した、バネ27の弁台座16のプレロードを提供する。
【0028】
制御弁12の作動中に作業室3を大気に連通させるために、ほぼ半径方向に走行しているダクト29が最終的に制御ハウジング5内に形成されている。ここでは、ブレーキ工程の最後における弁ピストン9の戻り運動が、図示の真空ブレーキサーボの解放位置にて滑動密封リング13と接する横断部材11によって制限される。滑動密封リング13は、サーボハウジング1内で、制御ハウジング5を密封方法で案内する。
【0029】
弁本体10は環状密封面42を有しており、この環状密封面42は、2個の密封台座15、16と相互作用し、金属強化ディスク41の手段によって強化され、さらに、軸方向に向かう複数の通路19を設けている。
【0030】
制御ハウジング5内において空気スペース17が境界されている。環状強化要素35は断面がU字形をしており、弁本体10内に配置されており、また、この強化要素35に対して弁バネ22が支持されており、強化要素35は、弁本体10の通路19と反対側に形成された複数の開口部20を有する。通路19と開口部20によって形成された流れダクト(これ以上の詳細は省く)が、空気スペース17を環状スペース24に接続させている。この空気スペース24は密封台座15、16によって境界されており、また、これの内部に上述の空気ダクト29が開口しているために、弁本体10の、密封面42と反対側を向いた側に形成された空気スペース17が、作業室3に永続的に接続することができ、弁本体10にて圧力均衡化が生じ得る。
【0031】
さらに、入力部材7、または入力部材7に接続された弁ピストン9は反応要素6上の入力有効範囲A1と共に動作し、出力部材14は、反応要素6上の出力有効範囲A2と共に動作し、入力有効範囲A1に対する出力有効範囲A2の比率によって、ブレーキサーボの力ブースト比率が決定される。しかし、構成部品およびバネの公差、反応要素6のショア硬さ、摩擦により、現代の要求に合わない力ブースト比率に公差が生じてしまう。そのため、図1に示すような公知のブレーキサーボを、異なる構成部品を交換することにより、自動車産業において今日必要とされている力ブースト比率の非常に狭い公差域に従えるようにする必要がある。
【0032】
以下で説明する第1典型実施形態の動作モードおよび基本設計は、図1で説明しているような公知のブレーキサーボの基本設計と同じであるため、以下では、本発明に必要な部品についてのみ図示および説明する。ここでは、同一の構成要素には同一の参照符号を提供しているため、以下で再び説明することはない。さらに、説明した本発明は、シングルまたはタンデム設計のブレーキサーボに使用することができる。
【0033】
図2からわかるように、入力有効範囲A1を事前定義された入力について変更するための装置32が、弁ピストン9と反応要素6の間に提供されており、この装置32の手段により、弁ピストン9が力伝達方法で反応要素6に接続される。入力有効範囲A1を変更するためのこうした装置32は、本出願人の先行出願であるDE10144619A1で既に公知である、また、本発明には重要ではないため、詳細な記述は省略する。ここで示した本発明の実施形態における入力有効範囲A1は装置32によって形成されているが、しかし、図1にあるように、弁ピストン9上に直接、あるいは、弁ピストン9と反応要素6の間に提供された圧力部品の上に直接形成することもできる。
【0034】
図2は、自動車ブレーキシステムの本発明による空気ブレーキサーボの典型実施形態の、縦断面における部分図を示しており、この部分図は、ブレーキサーボの、本発明にとって必要な部品のみを示している。
【0035】
自動車産業には、ブレーキサーボの特性曲線に関連して高い需要があり、即ち、構成部品の公差とバネの公差から生じた、また、反応要素のショア硬さから生じた、さらに、摩擦から生じた力ブースト比率の公差は可能な限り精密でなければならない。つまり、公差幅は可能な限り狭くなければならない。
【0036】
図からわらかるように、出力部材14は複数の部品で形成されており、反応要素6に向いた側部33にはねじ切り付きボア34を有しており、このボア34内に調整要素36がねじ込まれる。
【0037】
図2に図示するように、調整要素36は、単体として形成され、ねじ切り部分37およびディスク形部分38を有する形にしても、または、2個の部品から形成され、取付ネジと個別ディスクを設ける形にしてもよい。出力有効範囲A2は、反応要素6が出力部材14および調整要素36と接する範囲によって画定されている。
【0038】
反応要素6の室容量を調整し、これにより出力有効範囲A2を調整するために、出力部材14は通路ボア39を有しており、この通路ボア39はねじ切り付きボア34内に開口し、また、調整要素36を回転させるための調整工具を内部に挿入することができる。この目的のために、調整要素36の、反応要素6とは反対側に向いた側部44上に、例えば内部六角形45を有する。
【0039】
さらに図2からは、出力部材14は、反応要素6に向いた側部33上に直径D1の凹部43を有しており、この凹部43内で案内されるように配列されたディスク形部分38、または調整要素36の分離ディスクを設けている。出力部材14の製造を容易化するために、凹部43の直径D1は、ねじ切り付きボア34の直径D2よりも大きく設けてある。
【0040】
出力有効範囲A2を調整することにより、構成要素およびバネの公差、反応要素6の異なるショア硬さ、摩擦を補正することができ、ブレーキサーボのブーストを、自動車産業の需要に従って精密に調整することができる。したがって、第1に、高いコストをかけることなく、また単純な方法で、要求された公差に従うことが可能である。しかしながら、第2に、出力有効範囲A2を変えることにより、ブレーキサーボの力ブースト比率を変更することも可能である。
【0041】
出力有効範囲A2の調整は、ブレーキサーボを、サーボハウジング1内で特定の動作圧力が優勢となるように真空源(図示せず)に接続して行う。さらに、ブレーキサーボは特定の入力F、例えば200Nで作動される。真空の付加と上記の影響とによって、特定の出力Fが生成され、また、反応要素6内において、力に関連した特定の圧力がこの優勢な力に適切に設定される。
【0042】
組み立て中に、調整要素36は出力部材14内に特定の深さtにまでネジ込まれる。調整要素36を回転させることにより、反応要素6の室容量が変化する。反応要素6は空間を均等に充填しないため、反応要素6の流動性はこの室容量の変化と共に変わる。出力有効範囲A2の変化はこのようにして得られる。
【0043】
図3および図4は、本発明によるブレーキサーボの第2典型実施形態を示しており、図3は、単純に、縦断面図に図示されたブレーキサーボの詳細であり、図4は、上記の実施形態の調整要素を3次元図示にて示している。第2典型実施形態は、調整要素36の構成が第1典型実施形態と異なるため、同一の構成については説明の繰返しを省く。
【0044】
特に図4に見られるように、調整要素36のディスク型部分38は、反応要素6に向いた端部側47に、調整要素36を回転的にロックするための溝型または切り欠き型の凹部48を有する。ここでは、例えば4個の凹部48を設け、これらを端部側47上に均等に分布するように配列している。ブレーキサーボの作動中に反応要素6内で生成された圧力が反応要素6の材料を凹部48内へ流し、これにより調整要素36がロックされるため、凹部48は、上述した出力有効範囲A2の調整後に調整要素36の回転を妨げる。そのため、調整要素36の回転に要求されるトルクが、反応要素6内の圧力の上昇と共に上昇する。
【0045】
凹部48は、記述した調整工程中にも調整要素36が回転できるように設計されている。ここでは、溝としてまたは切り欠きとしての凹部48の設計は必須ではない。これと同様に、端部側47に粗く仕上げた表面を提供することも考えられる。
【0046】
さらに、本発明の内容の中では、ロックねじ切りの形態をした回転ロック配列を、出力要素のねじ切り付きボア34上、または調整要素36のねじ切り部分37上のいずれかに提供することも可能である。
【0047】
以下に記述する典型実施形態は、最初の2つの典型実施形態とは出力部材14の構成が異なるため、各ケースの出力部材14のみについて説明する。これ以外の構成はほぼ同一であるため、同一の参照符号を提供している。記述の目的で、最初の2つの典型実施形態を参照する。
【0048】
図5は、本発明によるブレーキサーボの第3典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。同図からわかるように、出力部材14は、第1構成部分49、第2構成部分50の2個の部品で形成されている。
【0049】
第1構成部分49は、上でさらに説明しているヘッドフランジ23と、このヘッドフランジ23に接合する円筒形部分51とを有する。さらに、出力部材14の第2構成部分50は、第1構成部分49とは反対に向いた第1球状端部53と、ポット形部分55を設けた第2端部54を備えた第2円筒形部分52を有する。
【0050】
図5に見られるように、第1円筒形部分51は、その外面57に節56を有しており、この節56の手段により、2個の構成部分49、50の円筒形部分51、52を相互に捕獲的に接続することができる。
【0051】
組み立てを容易にするために、ポット形凹部55はその内側に挿入傾斜面64を有する。
【0052】
さらに、ブレーキサーボのいわゆる機能寸法xを調整するために、1または複数のスペーサディスク58を2個の構成部品49、50の間に挿入することが可能である。
【0053】
図6は、本発明によるブレーキサーボの第4典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。この第4典型実施形態は、第2構成部分50が、第1構成部分49との捕獲的接続するべく通路ボア39内に突出する、節60付きのジャーナル59を、第2端部54に有している点において図5の第3典型実施形態とは異なる。組み立てを促進するために、ジャーナル59上には挿入傾斜面65が設けられている。
【0054】
図7は、本発明によるブレーキサーボの第5典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。この第5典型実施形態は、ヘッドフランジ23が、制御ハウジング凹部25内で出力部材14を案内するための包囲カラー61を円周部に有している点において図5の第3典型実施形態とは異なる。これにより、案内板46を省略し、復元バネ26が制御ハウジング5に直接接することが可能となる。
【0055】
図8は、本発明によるブレーキサーボの第6典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。この第6典型実施形態は、第1構成部分49と第2構成部分50の間のねじ切り接続62の手段によって捕獲的接続が提供されている点において、図5の第3典型実施形態とは異なる。この目的のために、ポット形部分55は内部ねじ切り66を有し、第1構成部分49の第1円筒形部分51は外部ねじ切り67を有している。
【0056】
図9は、本発明によるブレーキサーボの第7典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。この第7典型実施形態は、捕獲的接続が第1構成部品49と第2構成部品50の間のねじ切り接続63の手段によって提供されている点において、図6の第4典型実施形態と異なる。図に見られるように、この目的のために、ジャーナル59には外部ねじ切り68が設けられ、通路ボア39は内部ねじ切り69を有する。
【0057】
後者の2つの典型実施形態では、機能寸法の調整は、2個の構成部分49、50の間のスペーサディスクの手段によって実施されるか、または、ねじ切り接続62、63の手段によって実現できる。ここでは、ねじ切り接続62、63は自己ロック設計になっているか、または、ねじ切り接続62、63に滑り止めを付ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】公知のブレーキサーボの縦断面部分図を示す。
【図2】本発明によるブレーキサーボの第1典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。
【図3】本発明によるブレーキサーボの第2典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。
【図4】図3のとおりの第2典型実施形態の調整要素を3次元図示にて示す。
【図5】本発明によるブレーキサーボの第3典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。
【図6】本発明によるブレーキサーボの第4典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。
【図7】本発明によるブレーキサーボの第5典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。
【図8】本発明によるブレーキサーボの第6典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。
【図9】本発明によるブレーキサーボの第7典型実施形態の詳細を縦断面図にて示す。
【参照符号の説明】
【0059】
1 サーボハウジング
2 可動壁
3 作業室
4 真空室
5 制御ハウジング
6 反応要素
7 入力部材
8 ダイヤフラム板
9 弁ピストン
10 弁本体
11 横断部材
12 制御弁
13 滑動密封リング
14 出力部材
15 密封台座
16 密封台座
17 空間
18 ダイヤフラム
19 通路
20 開口部
21 保持リング
22 弁バネ
23 ヘッドフランジ
24 環状スペース
25 制御ハウジング凹部
26 復元バネ
27 戻りバネ
28 ダクト
29 ダクト
30 環状要素
31 ディスク
32 装置
33 側部
34 ねじ切り付きボア
35 強化要素
36 調整要素
37 ねじ切り部分
38 部分
39 通路ボア
40 支持リング
41 強化ディスク
42 密封面
43 凹部
44 側部
45 内部六角形
46 案内板
47 端部側
48 凹部
49 構成部分
50 構成部分
51 部分
52 部分
53 端部
54 端部
55 部分
56 節
57 外面
58 スペーサディスク
59 ジャーナル
60 節
61 カラー
62 ねじ切り接続
63 ねじ切り接続
64 挿入傾斜面
65 挿入傾斜面
66 内部ねじ切り
67 外部ねじ切り
68 外部ねじ切り
69 内部ねじ切り
A1 入力有効範囲
A2 出力有効範囲
D1 直径
D2 直径
t 深さ
x 機能寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気ブレーキサーボであって、
− 空気差圧による作用が可能な少なくとも1つの軸方向に移動可能な壁(2)によって、少なくとも1つの作業室(3)と少なくとも1つの真空室(4)に分割されたサーボハウジング(1)と、
− 弁ピストン(9)を備えた作動可能な入力部材(7)と、
− 出力にてマスターブレーキシリンダに作用する出力部材(14)と、
− 制御ハウジング(5)内に配列されており、弁ピストン(9)によって作動されることが可能であり、そして、差圧を制御する制御弁(12)と、
− 制御ハウジング凹部(25)内に配列され、出力部材(14)のヘッドフランジ(23)が接する弾性反応要素(6)とを有し、
− 反応要素(6)上に、入力有効範囲(A1)によって動作する入力部材(7)と、出力有効範囲(A2)によって動作する出力部材(14)とを設け、入力有効範囲(A1)に対する出力有効範囲(A2)の比率により、ブレーキサーボの力ブースト比率が決定され、
出力有効範囲(A2)を調整するための手段が、組み立てられたブレーキサーボ内に提供されることを特徴とする空気ブレーキサーボ。
【請求項2】
出力有効範囲(A2)を調整する手段により、反応要素(6)の室容量を変更することが可能となり、この場合、反応要素(6)の室容量は、出力部材(14)によって決定され、制御ハウジング凹部(25)によって直接または間接的に決定されることを特徴とする、請求項1に記載のブレーキサーボ。
【請求項3】
出力要素(14)は、反応要素(6)に向いた側部(33)に、ねじ切り付きボア(34)を有しており、ねじ切り付きボア(34)内には、出力有効範囲(A2)の調整を可能にする調整要素(36)をねじ込むことができることを特徴とする、請求項2に記載のブレーキサーボ。
【請求項4】
出力要素(14)は、ねじ切り付きボア(34)内に開口した通路ボア(39)を有しており、調整要素(36)を回転させるための調整工具を、通路ボア(39)から挿入することができることを特徴とする、請求項3に記載のブレーキサーボ。
【請求項5】
調整要素(36)は単体に形成されており、ねじ切り部分(37)とディスク形部分(38)を有しており、出力部材(14)は反応部材(6)に向いた側部(33)に直径(D1)を設けた凹部(43)を有しており、調整要素(36)のディスク形部分(38)は前記凹部(43)内に案内されるように配列されていることを特徴とする、請求項4に記載のブレーキサーボ。
【請求項6】
調整要素(36)は2個の部品から形成されており、取付ネジと分離ディスクとを備え、出力要素(14)は、反応部材(6)に向いた側部(33)に、直径(D1)を設けた凹部(43)を有し、凹部(43)内にディスクが配列されていることを特徴とする、請求項4に記載のブレーキサーボ。
【請求項7】
出力部材(14)の凹部(43)の直径(D1)は、出力部材(14)のねじ切り付きボア(34)の直径(D2)よりも大きいことを特徴とする、請求項5または6のいずれか1項に記載のブレーキサーボ。
【請求項8】
調整要素(36)を回転ロックする手段が設けられていることを特徴とする、請求項7に記載のブレーキサーボ。
【請求項9】
調整要素(36)を回転ロックする手段は、出力部材(14)のねじ切り付きボア(34)上に提供されていることを特徴とする、請求項8に記載のブレーキサーボ。
【請求項10】
調整要素(36)を回転ロックする手段は、調整要素(36)のねじ切り部分(37)上に提供されていることを特徴とする、請求項8に記載のブレーキサーボ。
【請求項11】
調整要素(36)は、反応要素(6)に向いている端部側部(47)上に、粗く仕上げた表面を有することを特徴とする、請求項8に記載のブレーキサーボ。
【請求項12】
調整要素(36)は、反応部材(6)に向いた端部側部(47)上に、凹部を有することを特徴とする、請求項8に記載のブレーキサーボ。
【請求項13】
凹部(48)は溝の形で形成されており、端部側部(47)上に均等に分布するように配列されていることを特徴とする、請求項12に記載のブレーキサーボ。
【請求項14】
出力部材は第1および第2構成部分(49、50)を設けた2つの部品から形成されており、第1構成部分(49)はヘッドフランジ(23)と、前記ヘッドフランジ(23)に接合する第1円筒形部分(51)とを有し、第2構成部分(50)は、第1構成部分(49)と反対に向いている第1球状端部(53)を設けた第2円筒形部分(52)を有し、前記円筒形部分(51、52)は相互に捕獲的に接続することが可能であることを特徴とする、請求項1〜請求項13のうちいずれか1項に記載のブレーキサーボ。
【請求項15】
第2構成部分(50)は、これの第2端部(54)に、ポット形部分(55)を有しており、この手段により、第2構成部分(50)は第1構成部分(49)に捕獲的に接続することができることを特徴とする、請求項14に記載のブレーキサーボ。
【請求項16】
第2構成部分(50)は、これの第2端部(54)に、第1構成部分(49)に捕獲的に接続するために通路ボア(39)内に突出するジャーナル(59)を有することを特徴とする、請求項14に記載のブレーキサーボ。
【請求項17】
捕獲的接続は、第1構成部分(49)上の、または第2構成部分(50)上の節(56;60)の手段によって提供されることを特徴とする、請求項15または16のいずれか1項に記載のブレーキサーボ。
【請求項18】
捕獲的接続は、第1構成部分(49)と第2構成部分(50)の間のねじ切り接続(62;63)の手段によって提供されることを特徴とする、請求項15または16のいずれか1項に記載のブレーキサーボ。
【請求項19】
ヘッドフランジ(23)は、これの円周部分に、制御ハウジング凹部(25)内で出力要素(14)を案内するための包囲カラー(61)を有することを特徴とする、請求項14〜請求項18のうちいずれか1項に記載のブレーキサーボ。
【請求項20】
ブレーキサーボの機能寸法(x)を調整するために、第1構成部分と第2構成部分(49、50)の間にスペーサディスク(58)を挿入することができることを特徴とする、請求項14〜請求項18のうちいずれか1項に記載のブレーキサーボ。
【請求項21】
出力有効範囲A2の調整は、ブレーキサーボの組み立てられた状態において行われることを特徴とする、請求項1〜請求項20のうちいずれか1項に記載のブレーキサーボの力ブースト比率を調整する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−534250(P2009−534250A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507040(P2009−507040)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053839
【国際公開番号】WO2007/122176
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】