説明

空気清浄装置および空気清浄方法

【課題】空気中の有機化学物質を迅速に吸着除去するとともに有機化学物質を効率よく酸化分解することできる空気清浄装置および空気清浄方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る空気清浄装置1は、空気が流通する流路50中に配置された第1の電極21と、第2の電極22と、第1の電極21と第2の電極22との間に電圧を印加する電源部30と、第1の電極21と第2の電極22との間、または近傍に配置された光触媒モジュール10と、第2の電極22の下流側に配置されたオゾン分解触媒モジュール40とを備えた空気清浄装置であり、光触媒モジュール10は、基体の表面に、光触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、光触媒反応部に隣接して設けられた光触媒隣接吸着部とを有し、オゾン分解触媒モジュール40は、基体の表面にオゾン分解触媒反応部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電光の作用と光触媒反応とを組み合わせて用いた、空気中の有機化学物質を酸化分解する空気清浄装置および空気清浄方法に関するものであり、詳しくは放電光を照射することで活性化した光触媒とオゾンの作用により空気に含まれる有機化学物質を酸化分解して清浄、脱臭、除菌する空気清浄装置および空気清浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放電用電極を用いて放電を発生させ、その際に生じる紫外光により光触媒を活性化させて、空気中のアンモニア、ホルムアルデヒド等の有機化学物質を酸化分解して空気を清浄化、あるいは脱臭を行う装置が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2003−3170731号公報)には、図7に示すような空気清浄装置70が開示されている。空気清浄装置70は、流路80内に設けられた光触媒モジュール71と、流路80内の光触媒モジュール71の下流側に設けられたオゾン分解触媒モジュール75と、光触媒モジュール71の前記流路における上流側および下流側にそれぞれ配置された電極72、73と、電極72、73間に導線76、77を介して高電圧を印加する高圧電源74とを備える。
【0004】
空気清浄装置70は、光触媒反応、オゾンによる酸化、およびオゾンの分解の際に生じた化学的活性の高い酸素ラジカルによる酸化等の作用により、有機化学物質を無害な物質に分解して除去するものである。
【0005】
なお、空気清浄装置70以外の空気清浄装置としては、光触媒モジュールを備えずに、活性炭等の吸着剤を用い有機化学物質を吸着して除去するタイプの空気清浄装置も知られている。
【0006】
しかし、吸着剤を用いた空気清浄装置では、吸着剤への有機化学物質の吸着量が飽和すると有機化学物質を吸着できなくなって空気清浄性能が低下するという問題がある。また、吸着剤を用いた空気清浄装置は吸着剤への有機化学物質の吸着量が飽和すると吸着剤の交換が必要になるという問題がある。
【0007】
これに対し、特許文献1に記載された光触媒モジュールを備えた空気清浄装置は、有機化学物質を吸着するのでなく分解するため、有機化学物質の完全な除去が可能になるという利点がある。
【0008】
また、光触媒モジュールを備えた空気清浄装置には、光触媒の交換が不要になるため光触媒モジュールを半永久的に用いることができるという利点がある。
【0009】
さらに、光触媒モジュールを備えた空気清浄装置で用いられるオゾン分解触媒モジュールのオゾン分解触媒として、従前に用いられていた活性炭に代えて二酸化マンガン等の金属酸化物触媒を用いると、オゾン分解触媒の交換が不要になるため、光触媒モジュールを備えた空気清浄装置を構成する光触媒モジュールおよびオゾン分解触媒モジュールの両方について半永久的に用いることができるという利点がある。
【0010】
このように、光触媒モジュールを備えた空気清浄装置には、有機化学物質の処理効率がよく、メンテナンス性に優れるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−3170731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、一般的に、有機化学物質を光触媒作用で酸化分解する速度は、有機化学物質を吸着剤に吸着する速度に比べて遅い。このため、光触媒モジュールを備えた空気清浄装置は、吸着剤を用いた空気清浄装置に比べて、空気中の有機化学物質の除去速度が遅いという問題があった。
【0013】
そこで、光触媒モジュールを備えた空気清浄装置において、光触媒作用による酸化分解速度を向上させるために、空気と光触媒との接触面積を大きくする工夫がされている。たとえば、光触媒モジュールにおいて、光触媒を担持する基体を三次元網目構造等の三次元構造としたものが提案されている。
【0014】
しかし、近年、光触媒モジュールを備えた空気清浄装置には、空気浄化能力の高性能化が強く求められている。このため、従来の光触媒モジュールを備えた空気清浄装置では、空気浄化能力が不充分になるおそれがあった。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光触媒モジュールを備え、気体中の有機化学物質の迅速な除去が可能な空気清浄装置および空気清浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、光触媒モジュールおよびオゾン分解触媒モジュールに少なくともいずれかに、有機化学物質を吸着する吸着剤をさらに担持すると、気体中の有機化学物質の迅速な除去が可能であることを見出して完成されたものである。
【0017】
本発明に係る空気清浄装置は、上記問題点を解決するものであり、空気が流通する流路中に配置された第1の電極と、前記流路中に前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する電源部と、前記第1の電極と第2の電極との間、または近傍に配置された光触媒モジュールと、前記流路中かつ前記第2の電極の下流側に配置されたオゾン分解触媒モジュールとを備えた空気清浄装置であり、前記光触媒モジュールは、基体の表面に、光触媒が担持されて形成された光触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記光触媒反応部に隣接して設けられた光触媒隣接吸着部とを有し、前記オゾン分解触媒モジュールは、基体の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る空気清浄装置は、上記問題点を解決するものであり、空気が流通する流路中に配置された第1の電極と、前記流路中に前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する電源部と、前記第1の電極と第2の電極との間、または近傍に配置された光触媒モジュールと、前記流路中かつ前記第2の電極の下流側に配置されたオゾン分解触媒モジュールとを備えた空気清浄装置であり、前記光触媒モジュールは、基体の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部を有し、前記オゾン分解触媒モジュールは、基体の表面に、オゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記オゾン分解触媒反応部に隣接して設けられたオゾン分解触媒隣接吸着部とを有することを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明に係る空気清浄方法は、上記問題点を解決するものであり、基体の表面に、光触媒が担持されて形成された光触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記光触媒反応部に隣接して設けられた光触媒隣接吸着部とを有する光触媒モジュールと、基体の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部とを有するオゾン分解触媒モジュールと、を備えた空気清浄装置を用いた空気清浄方法であり、放電光を発生させることにより、有機化学物質を含む空気中にオゾンを生成するオゾン生成工程と、前記光触媒モジュールを用い、前記オゾン生成工程を経た空気に含まれる有機化学物質の一部を前記光触媒隣接吸着部に吸着させるとともに、表面拡散により前記光触媒隣接吸着部から前記光触媒反応部に移動した有機化学物質と前記空気に含まれる有機化学物質の他の一部とを前記放電光で生じた光触媒反応により酸化分解する光触媒処理工程と、前記オゾン分解触媒モジュールを用い、前記光触媒処理工程を経た空気に含まれるオゾンを分解して酸素ラジカルを生成し、前記空気に含まれる有機化学物質を前記酸素ラジカルにより酸化分解するオゾン分解工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る空気清浄方法は、上記問題点を解決するものであり、基体の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部を有する光触媒モジュールと、基体の表面に、オゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記オゾン分解触媒反応部に隣接して設けられたオゾン分解触媒隣接吸着部とを有するオゾン分解触媒モジュールと、を備えた空気清浄装置を用いた空気清浄方法であり、放電光を発生させることにより、有機化学物質を含む空気中にオゾンを生成するオゾン生成工程と、前記光触媒モジュールを用い、前記オゾン生成工程を経た空気に含まれる有機化学物質を前記放電光で生じた光触媒反応により酸化分解する光触媒処理工程と、前記オゾン分解触媒モジュールを用い、前記光触媒処理工程を経た空気に含まれる有機化学物質の一部を前記オゾン分解触媒隣接吸着部に吸着させるとともに、前記オゾン分解触媒反応部で前記空気に含まれるオゾンを分解して酸素ラジカルを生成し、表面拡散により前記オゾン分解触媒隣接吸着部から前記オゾン分解触媒反応部に移動した有機化学物質と前記空気に含まれる有機化学物質とを前記酸素ラジカルにより酸化分解するオゾン分解工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る空気清浄装置および空気清浄方法によれば、空気中の有機化学物質を迅速に吸着除去するとともに有機化学物質を効率よく酸化分解することできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る空気清浄装置の第1の実施形態の断面図。
【図2】図1に示す空気清浄装置を構成する光触媒モジュールの拡大図。
【図3】図1に示す空気清浄装置を構成するオゾン分解触媒モジュールの拡大図。
【図4】本発明に係る空気清浄装置の第2の実施形態の断面図。
【図5】図4に示す空気清浄装置を構成する光触媒モジュールの拡大図。
【図6】図4に示す空気清浄装置を構成するオゾン分解触媒モジュールの拡大図。
【図7】従来の空気清浄装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る空気清浄装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る空気清浄装置の第1実施形態の断面図である。
【0025】
図1に示す空気清浄装置1は、放電型光触媒を用いた空気清浄装置であり、空気が流通する流路50中に配置された第1の電極21と、流路50中に第1の電極21に対向して配置された第2の電極22と、第1の電極21と第2の電極22との間に電圧を印加する電源部30と、第1の電極21と第2の電極22との間に配置された光触媒モジュール10と、流路50中かつ第2の電極22の下流側に配置されたオゾン分解触媒モジュール40とを備える。
【0026】
空気清浄装置1は、流路50中を図1の矢印55、56方向に空気を流通させる図示しないファンが設けられる。
【0027】
(第1の電極、第2の電極および電源部)
第1の電極21および第2の電極22は、空気が通気可能で、第1の電極21−第2の電極22間での放電光の発生が可能な電極である。第1の電極21および第2の電極22としては、たとえば、導電性を有する材料からなるメッシュ状、格子状、棒状等の電極が用いられる。
【0028】
第1の電極21と第2の電極22とは対向して配置される。また、第1の電極21は導線31で電源部30に接続されるとともに、第2の電極22は導線32で電源部30に接続される。
【0029】
電源部30としては、第1の電極21−第2の電極22間に高電圧を印加して放電光を発生させることが可能なものが用いられる。電源部30としては公知の高圧電源が用いられる。
【0030】
電源部30から第1の電極21−第2の電極22間に電圧が印加されると、第1の電極21−第2の電極22間に放電光が発生するようになっている。第1の電極21−第2の電極22間で発生させる放電光としては、光触媒モジュール10に担持された光触媒が光触媒反応を起こす波長のものが用いられる。具体的には、放電光として、波長10nm〜400nmの紫外線等が用いられる。
【0031】
第1の電極21−第2の電極22間に放電光が発生すると、放電光により、光触媒モジュール10に担持された光触媒が光触媒反応を起こすとともに、流路50中の空気の一部が酸化されてオゾンが生成される。
【0032】
(光触媒モジュール)
光触媒モジュール10は、流路50中の第1の電極21と第2の電極22との間で発生する放電光が照射される範囲に配置される。光触媒反応を効率よく起こさせるためには、電極から5mm以内に配置されるのが好ましく、電極間に光触媒モジュール10を配置するのが最も好ましい。光触媒モジュール10は、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を吸着するとともに、第1の電極21−第2の電極22間で発生した放電光により光触媒反応を生じるものである。
【0033】
図2は、図1に示す空気清浄装置1を構成する光触媒モジュール10の拡大図である。
【0034】
図2に示すように、光触媒モジュール10は、基体11の表面に、光触媒が担持されて形成された光触媒反応部14と、有機化学物質を吸着する吸着剤16が担持されて形成され、光触媒反応部14に隣接して設けられた光触媒隣接吸着部16とを有する。
【0035】
より具体的には、光触媒モジュール10は、基体11と、基体11の表面に形成された光触媒反応部14と、光触媒反応部14の表面の一部に形成された光触媒隣接吸着部16とを有する。
【0036】
<基体>
基体11は、通気可能な空隙を有する部材である。基体11としては、たとえば、三次元網目構造等の多孔質部材が挙げられる。
【0037】
基材11の材質としては、たとえば、コーディエライト(MgAlSi18)を主成分とするケイ酸塩、アルミナ珪酸ガラス、アルミナ、シリカ、マグネシア、炭化珪素、チタン酸アルミニウム等が用いられる。ここで、コーディエライトを主成分とするということは、ケイ酸塩の50重量%以上がコーディエライトであることを意味する。
【0038】
三次元網目構造を有する基材は、コーディエライトであると、光触媒反応部14が基材11から剥離しにくいため好ましい。
【0039】
<光触媒反応部>
光触媒反応部14は、図2に示すように、基体11の表面に光触媒が担持されることにより形成される。光触媒反応部14は、通常、基体11の表面全体を被覆するように形成される。
【0040】
光触媒反応部14は、第1の電極21−第2の電極22間で発生した放電光により光触媒反応を生じ、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を酸化分解するものである。
【0041】
ここで有機化学物質とは、空気清浄装置1で分解除去する対象である有機化学物質を意味する。本発明で用いられる有機化学物質としては特に限定されないが、たとえば、アンモニア、ホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0042】
光触媒反応部14の形成に用いられる光触媒としては、たとえば、酸化チタンTiO、酸化イットリウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化タングステン等や、これらに白金、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。このうち、酸化チタンTiOは、空気中での高電圧印加により得られる一般的な放電光である波長300nm〜400nmの光に対して光触媒活性が高いため、好ましい。
【0043】
光触媒反応部14は、上記光触媒を公知の方法で基体11の表面に担持させることにより形成される。
【0044】
<光触媒隣接吸着部>
光触媒隣接吸着部16は、図2に示すように、光触媒反応部14の表面の一部に、有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されることにより形成される。
【0045】
光触媒隣接吸着部16は、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を吸着するものである。
【0046】
光触媒隣接吸着部16の形成に用いられる吸着剤としては、たとえば、ゼオライト、白金族金属の微粒子等が挙げられる。このうち、ゼオライトは、光触媒反応やオゾンで分解されないため好ましい。
【0047】
ゼオライトの形状は、バルク状でもよいが、微粒子状であると光触媒反応部14の表面に担持させやすいため好ましい。
【0048】
白金族金属としては、たとえば、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウムおよびルテニウムの少なくとも一種が挙げられる。
【0049】
吸着剤が微粒子状である場合、吸着剤の粒径は、通常、1nm〜100nmである。吸着剤の粒径がこの範囲内にあると、光触媒隣接吸着部16で吸着された有機化学物質が、隣接した光触媒反応部14で速やかに酸化分解されるため好ましい。すなわち、吸着剤微粒子が1nm〜100nm程度の微小なものであると、吸着剤微粒子に吸着した有機化学物質は吸着剤微粒子上を表面拡散することにより隣接した光触媒反応部14に速やかに移動できるため、速やかに酸化分解される。
【0050】
光触媒隣接吸着部16は、上記吸着剤を公知の方法で光触媒反応部14の表面に担持させることにより形成される。
【0051】
光触媒隣接吸着部16は、基体11の表面に光触媒を担持させた後、吸着剤微粒子を水溶液中に分散させたゾルを基体11に含侵させた後、焼成して、吸着剤微粒子を光触媒からなる光触媒反応部14の表面に担持させることにより得られる。また、光触媒隣接吸着部16は、上記の含侵させ、焼成して、担持させる工程に代えて、CVD(化学蒸着担持法)で光触媒反応部14の表面に担持させて形成してもよい。
【0052】
また、光触媒微粒子と吸着剤微粒子を共に分散させたゾルを用い、このゾルを基体11に含侵させ、焼成して、基体11に光触媒微粒子と吸着剤微粒子とを担持させることにより、基体11の表面に、光触媒隣接吸着部16と光触媒反応部14とを形成する方法でもよい。さらにこの含侵、焼成し、担持する工程に代えてCVDで担持してもよい。
【0053】
基体上の光触媒と吸着剤のモル比は1:1〜1:5程度が望ましい。
【0054】
光触媒隣接吸着部16は、光触媒反応部14の表面の一部に形成されるため、光触媒隣接吸着部16の外周部は光触媒反応部14に隣接している。このため、光触媒隣接吸着部16に吸着された有機化学物質は、光触媒隣接吸着部16上を表面拡散することにより光触媒反応部14に容易に到達することができる。そして、光触媒反応部14に到達した有機化学物質は、光触媒反応部14の光触媒反応で酸化分解される。このように、光触媒隣接吸着部16に吸着された有機化学物質は、容易に表面拡散して光触媒反応部14に移動し、光触媒反応で酸化分解されるため、光触媒隣接吸着部16では有機化学物質の吸着飽和が実質的に生じない。
【0055】
なお、図2では、光触媒反応部14の表面の一部に光触媒隣接吸着部16が一箇所だけ形成された部分のみを拡大して示すが、光触媒隣接吸着部16は、通常、光触媒モジュール10全体では多数箇所点在するように形成される。
【0056】
光触媒隣接吸着部16が光触媒反応部14の表面上に多数箇所点在することにより、光触媒隣接吸着部16と光触媒反応部14との境界線の長さが光触媒モジュール10全体で大きくなる。これにより、光触媒隣接吸着部16に吸着した有機化学物質が表面拡散して光触媒反応部14に移動する速度が速くなり、有機化学物質の光触媒反応による酸化分解が迅速になるため好ましい。
【0057】
(オゾン分解触媒モジュール)
オゾン分解触媒モジュール40は、流路50中かつ第2の電極22の下流側に配置される。オゾン分解触媒モジュール40は、流路50中の空気に含まれるオゾンを分解するとともに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成するものである。
【0058】
図3は、図1に示す空気清浄装置1を構成するオゾン分解触媒モジュール40の拡大図である。
【0059】
図3に示すように、オゾン分解触媒モジュール40は、基体41の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部44を有する。
【0060】
より具体的には、オゾン分解触媒モジュール40は、基体41と、基体41の表面に形成されたオゾン分解触媒反応部44とを有する。
【0061】
<基体>
基体41は、通気可能な空隙を有する部材である。基体41としては、たとえば、三次元網目構造等の多孔質部材が用いられる。
【0062】
基材41の材質としては、特に限定されないが、たとえば、アルミ、ステンレス等の金属や、アルミナ、シリカ、マグネシウム、炭化珪素、チタン酸アルミニウム等が用いられる。
【0063】
<オゾン分解触媒反応部>
オゾン分解触媒反応部44は、通常、基体41の表面全体を被覆するように形成される。
【0064】
オゾン分解触媒反応部44は、流路50中の空気に含まれるオゾンを分解するとともに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成する。オゾンの分解の際に得られた酸素ラジカルは、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を酸化分解する。
【0065】
オゾン分解触媒反応部44の形成に用いられるオゾン分解触媒としては、たとえば、Mn、CuまたはNiの酸化物、Ni、Co、MnまたはCuを含有する多孔質カーボン、ゼオライト、および粘土鉱物の少なくとも1つからなるオゾン分解物質が用いられる。
【0066】
(作用)
図1を参照して空気清浄装置1の作用について説明する。
【0067】
はじめに、図示しないファン等を用いて有機化学物質を含む空気を空気清浄装置1の流路50内に矢印55の方向に供給する。一方、電源部30を用いて第1の電極21と第2の電極22との間に電圧を印加し、第1の電極21と第2の電極22との間に放電光を発生させる。
【0068】
第1の電極21と第2の電極22との間に放電光が発生すると、流路50内で放電光の近傍にある空気中の酸素は、放電光の作用でオゾンを生成する。生成したオゾンは、流路50内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0069】
光触媒モジュール10では、光触媒反応部14において放電光により光触媒反応が生じるとともに、光触媒隣接吸着部16において有機化学物質の吸着反応が生じる。
【0070】
すなわち、第1の電極21と第2の電極22との間に放電光が発生すると、光触媒反応部14では、放電光により光触媒反応が生じ、空気中の酸素からヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。ヒドロキシラジカル(・OH)は、流路50内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0071】
また、流路50内の空気中の有機化学物質の他の一部は、光触媒隣接吸着部16に吸着される。
【0072】
なお、光触媒モジュール10では、光触媒隣接吸着部16での有機化学物質の吸着速度の方が、光触媒反応部14での有機化学物質の酸化分解の反応速度よりも速い。このため、通常、流路50内で光触媒モジュール10の近傍にある空気中の有機化学物質の一部は、速やかに、光触媒隣接吸着部16に吸着される。また、流路50内で光触媒モジュール10の近傍にある空気中の有機化学物質の他の一部は、光触媒反応部14での光触媒反応により、光触媒隣接吸着部16への吸着反応よりもゆっくりとした速度で酸化分解される。
【0073】
さらに、光触媒隣接吸着部16に吸着された有機化学物質は、表面拡散により光触媒隣接吸着部16から光触媒反応部14に移動し、光触媒反応部14で酸化分解される。このように、光触媒隣接吸着部16では吸着した有機化学物質が光触媒反応部14に移動して酸化分解されるため、光触媒隣接吸着部16は、有機化学物質の吸着飽和が実質的に生じない。
【0074】
このように光触媒モジュール10では、空気中の有機化学物質の光触媒隣接吸着部16への迅速な吸着反応と、空気中の有機化学物質の光触媒反応部14で行われ吸着反応より速度の遅い酸化分解反応と、光触媒隣接吸着部16に吸着した有機化学物質の光触媒反応部14への移動と、光触媒隣接吸着部16から光触媒反応部14に移動した有機化学物質の光触媒反応部14での酸化分解反応と、が並行して生じている。このため、光触媒モジュール10から排出された空気中には有機化学物質は非常に少なくなっている。
【0075】
オゾンは、通常、空気中で数時間程度、分解されずに残存する。このため、光触媒モジュール10から排出された空気中にはオゾンが相当量存在する。
【0076】
オゾン分解触媒モジュール40は、オゾン分解触媒反応部44の表面で、光触媒モジュール10から排出された空気中に存在するオゾンを分解するとともに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成する。この酸素ラジカルは、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を実質的に全て分解する。このため、オゾン分解触媒モジュール40から矢印56の方向に排出された空気中には有機化学物質は実質的に存在しなくなる。なお、オゾンの分解で生じた酸素ラジカルは、極めて短時間で自然に消滅する。このため、空気清浄装置1から排出される空気は、有機化学物質や酸素ラジカルを実質的に含まない清浄な空気となる。
【0077】
このように、空気清浄装置1では、光触媒モジュール10近傍の空気中の有機化学物質は、その一部が光触媒モジュール10の光触媒隣接吸着部16に速やかに吸着して除去されるとともに、他の一部が光触媒モジュール10の光触媒反応部14で酸化分解される。また、光触媒隣接吸着部16に吸着した有機化学物質は、表面拡散により、隣接した光触媒反応部14に移動して酸化分解される。このため、光触媒隣接吸着部16では、吸着した有機化学物質が光触媒反応部14に移動するため有機化学物質の吸着飽和という問題が実質的に生じない。したがって、光触媒モジュール10は、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0078】
また、空気清浄装置1では、オゾン分解触媒モジュール40近傍の空気中の有機化学物質は、オゾン分解触媒モジュール40のオゾン分解触媒反応部44で生成した酸素ラジカルにより酸化分解される。なお、オゾン分解触媒モジュール40は、特段の吸着部が設けられていないため、有機化学物質の吸着飽和という問題は生じない。したがって、オゾン分解触媒モジュール40は、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0079】
空気清浄装置1によれば、空気中の有機化学物質を迅速に吸着除去するとともに有機化学物質を効率よく酸化分解することができる。また、空気清浄装置1によれば、光触媒モジュール10およびオゾン分解触媒モジュール40を半永久的に使用することができる。
【0080】
[第2の実施形態]
図4は、本発明に係る空気清浄装置の第1実施形態の断面図である。
【0081】
図4に示す空気清浄装置1Aは、放電型光触媒を用いた空気清浄装置であり、空気が流通する流路50中に配置された第1の電極21と、流路50中に第1の電極21に対向して配置された第2の電極22と、第1の電極21と第2の電極22との間に電圧を印加する電源部30と、第1の電極21と第2の電極22との間に配置された光触媒モジュール10Aと、流路50中かつ第2の電極22の下流側に配置されたオゾン分解触媒モジュール40Aとを備える。
【0082】
図4に第2の実施形態として示した空気清浄装置1Aは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1に比較して、光触媒モジュール10に代えて光触媒隣接吸着部16を設けない光触媒モジュール10Aを用いるとともに、オゾン分解触媒モジュール40に代えてオゾン分解触媒隣接吸着部46をさらに設けたオゾン分解触媒モジュール40Aを用いた点で異なり、その他の構成は同じである。
【0083】
このため、図4に第2の実施形態として示した空気清浄装置1Aは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1との同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0084】
(光触媒モジュール)
図5は、図4に示す空気清浄装置1Aを構成する光触媒モジュール10Aの拡大図である。
【0085】
光触媒モジュール10Aは、図2に示した光触媒モジュール10に比較して、光触媒隣接吸着部16を設けない点で異なり、その他の構成は同じである。
【0086】
このため、図5に示した光触媒モジュール10Aは、図2に示した光触媒モジュール10との同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0087】
図5に示すように、光触媒モジュール10Aは、基体11の表面に、光触媒が担持されて形成された光触媒反応部14を有する。
【0088】
より具体的には、光触媒モジュール10Aは、基体11と、基体11の表面に形成された光触媒反応部14とを有する。
【0089】
光触媒モジュール10Aは、光触媒隣接吸着部16が設けられないため、有機化学物質を実質的に吸着せず、光触媒反応部14での光触媒反応のみが生じる。
【0090】
(オゾン分解触媒モジュール)
オゾン分解触媒モジュール40Aは、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を吸着するとともに、流路50中の空気に含まれるオゾンを分解し、さらにオゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成するものである。
【0091】
図6は、図4に示す空気清浄装置1Aを構成するオゾン分解触媒モジュール40Aの拡大図である。
【0092】
図6に示すように、オゾン分解触媒モジュール40Aは、基体41の表面に、オゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部44と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、オゾン分解触媒反応部44に隣接して設けられたオゾン分解触媒隣接吸着部46とを有する。
【0093】
より具体的には、オゾン分解触媒モジュール40Aは、基体41と、基体41の表面に形成されたオゾン分解触媒反応部44と、オゾン分解触媒反応部44の表面の一部に形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部46とを有する。
【0094】

図6に示すように、オゾン分解触媒モジュール40Aは、基体41と、基体41の表面に形成されたオゾン分解触媒反応部44と、オゾン分解触媒反応部44の表面の一部に形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部46とを有する。
【0095】
オゾン分解触媒モジュール40Aは、図3に示したオゾン分解触媒モジュール40に比較して、オゾン分解触媒隣接吸着部46をさらに設けた点で異なり、その他の構成は同じである。
【0096】
このため、図6に示したオゾン分解触媒モジュール40Aは、図3に示したオゾン分解触媒モジュール40との同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
【0097】
<オゾン分解触媒隣接吸着部>
オゾン分解触媒隣接吸着部46は、図6に示すように、オゾン分解触媒反応部44の表面の一部に、有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されることにより形成される。
【0098】
オゾン分解触媒隣接吸着部46は、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を吸着するものである。
【0099】
オゾン分解触媒隣接吸着部46の形成に用いられる吸着剤としては、たとえば、光触媒隣接吸着部16の形成に用いられる吸着剤と同じ吸着剤が挙げられる。光触媒隣接吸着部16の形成に用いられる吸着剤の材料のうち、ゼオライトは、オゾンで分解されないため好ましい。
【0100】
オゾン分解触媒隣接吸着部46は、上記吸着剤を公知の方法でオゾン分解触媒反応部44の表面に担持させることにより形成される。
【0101】
オゾン分解触媒隣接吸着部46は、オゾン分解触媒反応部44の表面の一部に形成されるため、オゾン分解触媒隣接吸着部46の外周部はオゾン分解触媒反応部44に隣接している。このため、オゾン分解触媒隣接吸着部46に吸着された有機化学物質は、オゾン分解触媒隣接吸着部46上を表面拡散することによりオゾン分解触媒反応部44に容易に到達することができる。そして、オゾン分解触媒反応部44に到達した有機化学物質は、オゾン分解触媒反応部44の表面に生成した酸素ラジカルで酸化分解される。このように、オゾン分解触媒隣接吸着部46に吸着された有機化学物質は、容易に表面拡散してオゾン分解触媒反応部44に移動し、酸素ラジカルで酸化分解されるため、オゾン分解触媒隣接吸着部46では有機化学物質の吸着飽和が実質的に生じない。
【0102】
なお、図6では、オゾン分解触媒反応部44の表面の一部にオゾン分解触媒隣接吸着部46が一箇所だけ形成された部分のみを拡大して示すが、オゾン分解触媒隣接吸着部46は、通常、オゾン分解触媒モジュール40全体では多数箇所点在するように形成される。
【0103】
オゾン分解触媒隣接吸着部46がオゾン分解触媒反応部44の表面上に多数箇所点在することにより、オゾン分解触媒隣接吸着部46とオゾン分解触媒反応部44との境界線の長さがオゾン分解触媒モジュール40全体で大きくなる。これにより、オゾン分解触媒隣接吸着部46に吸着した有機化学物質が表面拡散してオゾン分解触媒反応部44に移動する速度が速くなり、有機化学物質の酸素ラジカルによる酸化分解が迅速になるため好ましい。
【0104】
オゾン分解触媒隣接吸着部46は、たとえば、第1の実施形態として示された空気清浄装置1を構成する光触媒モジュール10において光触媒反応部14の表面に光触媒隣接吸着部16を担持させる方法と同じ方法を用い、オゾン分解触媒反応部44の表面に吸着剤を担持させることにより形成される。
【0105】
基体上のオゾン分解触媒と吸着剤のモル比は1:1〜1:5が望ましい。
【0106】
(作用)
図4を参照して空気清浄装置1Aの作用について説明する。
【0107】
空気清浄装置1Aの作用は、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の作用に比較して、光触媒モジュール10に代えて光触媒モジュール10Aを用いるとともに、オゾン分解触媒モジュール40に代えてオゾン分解触媒モジュール40Aを用いた構成の相違点に基づく作用で異なり、他の作用は同じであるため、作用の説明を簡略化する。
【0108】
図示しないファン等を用いて有機化学物質を含む空気を空気清浄装置1の流路50内に矢印55Aの方向に供給し、第1の電極21と第2の電極22との間に放電光を発生させることにより、流路50内で放電光の近傍にある空気中の酸素が放電光の作用でオゾンを生成する作用は、空気清浄装置1の作用と同じである。
【0109】
空気清浄装置1Aの光触媒モジュール10Aでは、光触媒反応部14において放電光により光触媒反応が生じ、空気中の酸素からヒドロキシラジカル(・OH)が生成される。ヒドロキシラジカル(・OH)は、流路50内の空気中の有機化学物質の一部を酸化分解する。
【0110】
光触媒モジュール10Aでは、空気中の有機化学物質の光触媒反応部14での光触媒反応による酸化分解反応が生じる。このため、光触媒モジュール10Aから排出された空気中の有機化学物質の濃度は、光触媒モジュール10Aへの供給前よりも減少する。
【0111】
なお、光触媒モジュール10Aは、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の光触媒モジュール10の光触媒隣接吸着部16を有さない。このため、光触媒モジュール10Aから排出された空気中の有機化学物質の濃度は、図1に第1の実施形態として示した空気清浄装置1の光触媒モジュール10から排出された空気中の有機化学物質の濃度よりも高くなりやすい。しかし、空気清浄装置1Aは、光触媒モジュール10Aから排出された空気中の有機化学物質の濃度が多少高くても、下流側に設けられたオゾン分解触媒モジュール40Aで有機化学物質を充分に除去することができるため空気清浄性能に問題は生じない。
【0112】
オゾン分解触媒モジュール40Aは、光触媒モジュール10Aから排出された空気中に存在する有機化学物質を吸着するとともに、光触媒モジュール10Aから排出された空気中に存在するオゾンを分解し、さらに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成する。
【0113】
すなわち、オゾン分解触媒モジュール40Aのオゾン分解触媒隣接吸着部46には、流路50内の空気中の有機化学物質が吸着する。オゾン分解触媒隣接吸着部46に吸着した有機化学物質は、表面拡散によりオゾン分解触媒隣接吸着部46からオゾン分解触媒反応部44に移動する。オゾン分解触媒反応部44に移動した有機化学物質は、オゾン分解触媒反応部44の表面近傍で酸素ラジカルにより酸化分解される。
【0114】
また、オゾン分解触媒モジュール40Aは、オゾン分解触媒反応部44の表面で、流路50中の空気に含まれるオゾンを分解するとともに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成する。この酸素ラジカルは、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を酸化分解するとともに、オゾン分解触媒隣接吸着部46に吸着した後に表面拡散によりオゾン分解触媒反応部44に移動してきた有機化学物質も酸化分解する。これにより、流路50中の空気に含まれる有機化学物質は実質的に全て除去される。
【0115】
このように、オゾン分解触媒隣接吸着部46では吸着した有機化学物質がオゾン分解触媒反応部44に移動して酸化分解されるため、オゾン分解触媒隣接吸着部46は、有機化学物質の吸着飽和が実質的に生じない。
【0116】
なお、酸素ラジカルは、極めて短時間で自然に消滅する。このため、オゾン分解触媒モジュール40Aから矢印56Aの方向に排出された空気中には有機化学物質や酸素ラジカルは実質的に存在しなくなり、空気清浄装置1Aから清浄な空気が排出される。
【0117】
このように、空気清浄装置1Aでは、光触媒モジュール10A近傍の空気中の有機化学物質は、光触媒モジュール10Aの光触媒反応部14で光触媒反応により酸化分解される。なお、光触媒モジュール10Aは、特段の吸着部が設けられていないため、有機化学物質の吸着飽和という問題は生じない。したがって、光触媒モジュール10Aは、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0118】
また、空気清浄装置1Aでは、オゾン分解触媒モジュール40A近傍の空気中の有機化学物質は、その一部がオゾン分解触媒モジュール40Aのオゾン分解触媒隣接吸着部46に速やかに吸着して除去されるとともに、他の一部がオゾン分解触媒モジュール40Aのオゾン分解触媒反応部44の表面で生成した酸素ラジカルにより酸化分解される。また、オゾン分解触媒隣接吸着部46に吸着した有機化学物質は、オゾン分解触媒隣接吸着部46に隣接するオゾン分解触媒反応部44に移動し、酸素ラジカルにより酸化分解される。このように、オゾン分解触媒隣接吸着部46では、吸着した有機化学物質がオゾン分解触媒反応部44に移動するため有機化学物質の吸着飽和という問題が実質的に生じない。したがって、オゾン分解触媒モジュール40Aは、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0119】
空気清浄装置1Aによれば、空気中の有機化学物質を迅速に吸着除去するとともに有機化学物質を効率よく酸化分解することができる。また、空気清浄装置1Aによれば、光触媒モジュール10Aおよびオゾン分解触媒モジュール40Aを半永久的に使用することができる。
【0120】
[その他の実施形態]
上記の第1実施形態として示された空気清浄装置1は、有機化学物質を吸着する吸着部が、光触媒モジュール10に光触媒隣接吸着部16として設けられ、オゾン分解触媒モジュール40には設けられない構成になっている。
【0121】
一方、第2実施形態として示された空気清浄装置1Aは、有機化学物質を吸着する吸着部が、オゾン分解触媒モジュール40Aにオゾン分解触媒隣接吸着部46として設けられ、光触媒モジュール10Aには設けられない構成になっている。
【0122】
本発明の空気清浄装置は、その他の実施形態として、光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとの両方に、有機化学物質を吸着する吸着部を設けた構成としてもよい。
【0123】
すなわち、第1実施形態として示された空気清浄装置1において、オゾン分解触媒モジュール40に代えて第2実施形態として示された空気清浄装置1Aのオゾン分解触媒モジュール40Aを用いる構成としてもよい。
【0124】
このように吸着部を光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとの両方に設けた構成とすると、空気中の有機化学物質の吸着、分解性能を、空気清浄装置1や1Aに比べてより高くすることができる。
【0125】
また、第1実施形態として示された空気清浄装置1は、光触媒モジュール10が、基体11と、基体11の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部14と、光触媒反応部14の表面の一部に有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されて形成された光触媒隣接吸着部16とを有する構成になっている。
【0126】
しかし、第1実施形態として示された空気清浄装置1の光触媒モジュール10は、基体11と、基体11の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成された光触媒隣接吸着部16と、光触媒隣接吸着部16の表面の一部に光触媒がさらに担持されて形成された光触媒反応部14とを有する構成としてもよい。
【0127】
すなわち、基体11上における光触媒反応部14と光触媒隣接吸着部16との配置を逆にしてもよい。
【0128】
このように基体11上における光触媒反応部14と光触媒隣接吸着部16との配置が逆になった光触媒モジュールは、たとえば、基体11上に吸着剤を先に担持させるとともに光触媒を後に担持させることにより得られる。
【0129】
具体的には、吸着剤微粒子を水溶液中に分散させたゾルを基体11に含侵させ、焼成してはじめに基体11の表面に光触媒隣接吸着部16を形成したのち、光触媒の担持工程を行って光触媒隣接吸着部16の表面に光触媒反応部14を形成してもよい。さらに、吸着剤ゾルの基体11への含侵および焼成工程に代えて、CVDで基体11の表面に吸着剤を担持させて光触媒隣接吸着部16を形成した後、CVDで光触媒隣接吸着部16の表面に光触媒反応部14を形成してもよい。基体上の光触媒と吸着剤のモル比は1:1〜1:5程度が望ましい。
【0130】
この実施形態の空気清浄装置は第1実施形態として示された空気清浄装置1と同様の作用を有する。
【0131】
さらに、第2実施形態として示された空気清浄装置1Aは、オゾン分解触媒モジュール40Aが、基体41と、基体41の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部44と、オゾン分解触媒反応部44の表面の一部に有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部46とを有する構成になっている。
【0132】
しかし、第2実施形態として示された空気清浄装置1Aのオゾン分解触媒モジュール40Aは、基体41と、基体41の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部46と、オゾン分解触媒隣接吸着部46の表面の一部にオゾン分解触媒がさらに担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部44とを有する構成としてもよい。
【0133】
すなわち、基体41上におけるオゾン分解触媒反応部44とオゾン分解触媒隣接吸着部46との配置を逆にしてもよい。
【0134】
このように基体41上におけるオゾン分解触媒反応部44とオゾン分解触媒隣接吸着部46との配置が逆になったオゾン分解触媒モジュールは、たとえば、基体41上に吸着剤を先に担持させるとともにオゾン分解触媒を後に担持させることにより得られる。
【0135】
具体的には、吸着剤微粒子を水溶液中に分散させたゾルを基体41に含侵させ、焼成してはじめに基体41の表面にオゾン分解触媒隣接吸着部46を形成したのち、オゾン分解触媒の担持工程を行ってオゾン分解触媒隣接吸着部46の表面にオゾン分解触媒反応部44を形成してもよい。さらに、吸着剤ゾルの基体41への含侵および焼成工程に代えて、CVDで基体41の表面に吸着剤を担持させてオゾン分解触媒隣接吸着部46を形成した後、CVDでオゾン分解触媒隣接吸着部46の表面にオゾン分解触媒反応部44を形成してもよい。基体上のオゾン分解触媒と吸着剤のモル比は1:1〜1:5程度が望ましい。
【0136】
この実施形態の空気清浄装置は第2実施形態として示された空気清浄装置1Aと同様の作用を有する。
【0137】
次に、本発明に係る空気清浄方法について、添付図面を参照して説明する。
【0138】
[第1の空気清浄方法]
本発明に係る第1の空気清浄方法は、たとえば、本発明に係る空気清浄装置の第1実施形態を用いて実施する空気清浄方法である。
【0139】
具体的には、たとえば、図1に第1実施形態として示された空気清浄装置1を用い、以下に示すオゾン生成工程と、光触媒処理工程と、オゾン分解工程と、を行う空気清浄方法である。
【0140】
(オゾン生成工程)
オゾン生成工程は、放電光を発生させることにより、有機化学物質を含む空気中にオゾンを生成する工程である。
【0141】
オゾンは、空気清浄装置1の第1の電極21と第2の電極22との間に電源部30で電圧を印加して放電光を発生させることにより、流路50内の空気中に生成される。
【0142】
(光触媒処理工程)
光触媒処理工程は、空気清浄装置1の光触媒モジュール10を用い、オゾン生成工程を経た空気に含まれる有機化学物質の一部を光触媒モジュール10の光触媒隣接吸着部16に吸着させるとともに、表面拡散により光触媒隣接吸着部16から光触媒反応部14に移動した有機化学物質と空気に含まれる有機化学物質の他の一部とを、放電光で光触媒反応部14に生じた光触媒反応により酸化分解する工程である。
【0143】
光触媒モジュール10では、空気中の有機化学物質の光触媒隣接吸着部16への迅速な吸着反応と、空気中の有機化学物質の光触媒反応部14で行われ吸着反応より速度の遅い酸化分解反応と、光触媒隣接吸着部16に吸着した有機化学物質の光触媒反応部14への移動と、光触媒隣接吸着部16から光触媒反応部14に移動した有機化学物質の光触媒反応部14での酸化分解反応と、が並行して生じている。このため、光触媒処理工程を経て光触媒モジュール10から排出された空気中には有機化学物質は非常に少なくなっている。
【0144】
光触媒モジュール10の光触媒隣接吸着部16では、吸着した有機化学物質が光触媒反応部14に移動するため有機化学物質の吸着飽和という問題が実質的に生じない。したがって、光触媒モジュール10は、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0145】
(オゾン分解工程)
オゾン分解工程は、オゾン分解触媒モジュール40を用い、光触媒処理工程を経た空気に含まれるオゾンをオゾン分解触媒反応部44で分解して酸素ラジカルを生成し、空気に含まれる有機化学物質を酸素ラジカルにより酸化分解する工程である。
【0146】
オゾン分解触媒モジュール40は、オゾン分解触媒反応部44の表面で、光触媒モジュール10から排出された空気中に存在するオゾンを分解するとともに、オゾンの分解の際に化学的活性の高い酸素ラジカルを生成する。この酸素ラジカルは、流路50中の空気に含まれる有機化学物質を実質的に全て分解するため、オゾン分解工程を経てオゾン分解触媒モジュール40から排出された空気中には有機化学物質は実質的に存在しなくなり、清浄な空気が得られる。
【0147】
オゾン分解触媒モジュール40は、特段の吸着部が設けられていないため、有機化学物質の吸着飽和という問題は生じない。したがって、オゾン分解触媒モジュール40は、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0148】
本発明に係る第1の空気清浄方法によれば、空気中の有機化学物質を迅速に吸着除去するとともに有機化学物質を効率よく酸化分解することができる。また、空気清浄装置1によれば、光触媒モジュール10およびオゾン分解触媒モジュール40を半永久的に使用することができる。
【0149】
[第2の空気清浄方法]
本発明に係る第2の空気清浄方法は、たとえば、本発明に係る空気清浄装置の第2実施形態を用いて実施する空気清浄方法である。
【0150】
具体的には、たとえば、図4に第2実施形態として示された空気清浄装置1Aを用い、以下に示すオゾン生成工程と、光触媒処理工程と、オゾン分解工程と、を行う空気清浄方法である。
【0151】
第2の空気清浄方法は、第1の空気清浄方法と比較して、光触媒処理工程とオゾン分解工程とが相違し、オゾン生成工程は同じである。このため、オゾン生成工程についての説明を省略する。
【0152】
(光触媒処理工程)
光触媒処理工程は、空気清浄装置1Aの光触媒モジュール10Aを用い、オゾン生成工程を経た空気に含まれる有機化学物質を放電光で光触媒反応部14Aに生じた光触媒反応により酸化分解する工程である。
【0153】
光触媒モジュール10Aでは、空気中の有機化学物質の光触媒反応部14での光触媒反応による酸化分解反応が生じる。このため、光触媒モジュール10Aから排出された空気中の有機化学物質の濃度は、光触媒モジュール10Aへの供給前よりも減少する。
【0154】
光触媒モジュール10Aは、特段の吸着部が設けられていないため、有機化学物質の吸着飽和という問題は生じない。したがって、光触媒モジュール10Aは、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0155】
(オゾン分解工程)
オゾン分解工程は、オゾン分解触媒モジュール40Aを用い、光触媒処理工程を経た空気に含まれる有機化学物質の一部をオゾン分解触媒隣接吸着部46に吸着させるとともに、オゾン分解触媒反応部44で空気に含まれるオゾンを分解して酸素ラジカルを生成し、表面拡散によりオゾン分解触媒隣接吸着部46からオゾン分解触媒反応部44に移動した有機化学物質と空気に含まれる有機化学物質とを酸素ラジカルにより酸化分解する工程である。
【0156】
オゾン分解触媒モジュール40Aは、オゾン分解触媒モジュール40A近傍の空気中の有機化学物質のうち、その一部をオゾン分解触媒モジュール40Aのオゾン分解触媒隣接吸着部46に速やかに吸着して除去するとともに、他の一部をオゾン分解触媒モジュール40Aのオゾン分解触媒反応部44の表面で生成した酸素ラジカルにより酸化分解する。また、オゾン分解触媒隣接吸着部46に吸着した有機化学物質は、オゾン分解触媒隣接吸着部46に隣接するオゾン分解触媒反応部44に移動し、酸素ラジカルにより酸化分解される。これにより、流路50中の空気に含まれる有機化学物質は実質的に全て除去される。このため、オゾン分解工程を経てオゾン分解触媒モジュール40から排出された空気中には有機化学物質は実質的に存在しなくなり、清浄な空気が得られる。
【0157】
オゾン分解触媒モジュール40Aのオゾン分解触媒隣接吸着部46では、吸着した有機化学物質がオゾン分解触媒反応部44に移動するため有機化学物質の吸着飽和という問題が実質的に生じない。したがって、オゾン分解触媒モジュール40Aは、吸着剤の交換等のメンテナンスが不要であり、半永久的に使用することができる。
【0158】
本発明に係る第2の空気清浄方法によれば、空気中の有機化学物質を迅速に吸着除去するとともに有機化学物質を効率よく酸化分解することができる。また、空気清浄装置1Aによれば、光触媒モジュール10Aおよびオゾン分解触媒モジュール40Aを半永久的に使用することができる。
【0159】
[その他の空気清浄方法]
上記の第1の空気清浄方法は、有機化学物質を吸着する吸着部が、光触媒モジュール10に光触媒隣接吸着部16として設けられ、オゾン分解触媒モジュール40には設けられない構成の空気清浄装置、たとえば、第1実施形態として示された空気清浄装置1を用いる方法である。
【0160】
一方、第2の空気清浄方法は、有機化学物質を吸着する吸着部が、オゾン分解触媒モジュール40Aにオゾン分解触媒隣接吸着部46として設けられ、光触媒モジュール10Aには設けられない構成の空気清浄装置、たとえば、第2実施形態として示された空気清浄装置1Aを用いる方法である。
【0161】
本発明の空気清浄方法は、その他の空気清浄方法として、光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとの両方に、有機化学物質を吸着する吸着部を設けた構成の空気清浄装置を用いる方法としてもよい。
【0162】
すなわち、第1実施形態として示された空気清浄装置1において、オゾン分解触媒モジュール40に代えて第2実施形態として示された空気清浄装置1Aのオゾン分解触媒モジュール40Aを用いた構成の空気清浄装置を用いる方法としてもよい。
【0163】
このように吸着部を光触媒モジュールとオゾン分解触媒モジュールとの両方に設けた構成の空気清浄装置を用いる方法とすると、空気中の有機化学物質の吸着、分解性能を、第1の空気清浄方法や第2の空気清浄方法に比べてより高くすることができる。
【0164】
また、上記の第1の空気清浄方法で用いられ、第1実施形態として示された空気清浄装置1は、光触媒モジュール10が、基体11と、基体11の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部14と、光触媒反応部14の表面の一部に有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されて形成された光触媒隣接吸着部16とを有する構成になっている。
【0165】
しかし、第1実施形態として示された空気清浄装置1の光触媒モジュール10は、基体11と、基体11の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成された光触媒隣接吸着部16と、光触媒隣接吸着部16の表面の一部に光触媒がさらに担持されて形成された光触媒反応部14とを有する構成としてもよい。
【0166】
この実施形態の空気清浄装置を用いた空気清浄方法は、第1実施形態として示された空気清浄装置1を用いた第1の空気清浄方法と同様の作用を有する。
【0167】
さらに、上記の第2の空気清浄方法で用いられ、第2実施形態として示された空気清浄装置1Aは、
オゾン分解触媒モジュール40Aが、基体41と、基体41の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部44と、オゾン分解触媒反応部44の表面の一部に有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部46とを有する構成になっている。
【0168】
しかし、第2実施形態として示された空気清浄装置1Aのオゾン分解触媒モジュール40Aは、基体41と、基体41の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部46と、オゾン分解触媒隣接吸着部46の表面の一部にオゾン分解触媒がさらに担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部44とを有する構成としてもよい。
【0169】
この実施形態の空気清浄装置を用いた空気清浄方法は、第2実施形態として示された空気清浄装置1Aを用いた第2の空気清浄方法と同様の作用を有する。
【符号の説明】
【0170】
1、1A、70 空気清浄装置
10、10A、71 光触媒モジュール
11 光触媒モジュールの基体
14 光触媒反応部
16 光触媒隣接吸着部
21 第1の電極
22 第2の電極
30、74 高圧電源(電源部)
31、32 導線
40、40A、75 オゾン分解触媒モジュール
41 オゾン分解触媒モジュールの基体
44 オゾン分解触媒反応部
46 オゾン分解触媒隣接吸着部
50、80 流路(通風路)
55、55A、56、56A、85、86 空気の流れる方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流通する流路中に配置された第1の電極と、
前記流路中に前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する電源部と、
前記第1の電極と第2の電極との間、または近傍に配置された光触媒モジュールと、
前記流路中かつ前記第2の電極の下流側に配置されたオゾン分解触媒モジュールとを備えた空気清浄装置であり、
前記光触媒モジュールは、基体の表面に、光触媒が担持されて形成された光触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記光触媒反応部に隣接して設けられた光触媒隣接吸着部とを有し、
前記オゾン分解触媒モジュールは、基体の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部を有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
前記オゾン分解触媒モジュールは、基体の表面に、オゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記オゾン分解触媒反応部に隣接して設けられたオゾン分解触媒隣接吸着部とを有することを特徴とする請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
空気が流通する流路中に配置された第1の電極と、
前記流路中に前記第1の電極に対向して配置された第2の電極と、
前記第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する電源部と、
前記第1の電極と第2の電極との間、または近傍に配置された光触媒モジュールと、
前記流路中かつ前記第2の電極の下流側に配置されたオゾン分解触媒モジュールとを備えた空気清浄装置であり、
前記光触媒モジュールは、基体の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部を有し、
前記オゾン分解触媒モジュールは、基体の表面に、オゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記オゾン分解触媒反応部に隣接して設けられたオゾン分解触媒隣接吸着部とを有することを特徴とする空気清浄装置。
【請求項4】
前記光触媒モジュールは、基体と、この基体の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部と、この光触媒反応部の表面の一部に有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されて形成された光触媒隣接吸着部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記光触媒モジュールは、基体と、この基体の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成された光触媒隣接吸着部と、この光触媒隣接吸着部の表面の一部に光触媒がさらに担持されて形成された光触媒反応部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
前記オゾン分解触媒モジュールは、基体と、この基体の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部と、このオゾン分解触媒反応部の表面の一部に有機化学物質を吸着する吸着剤がさらに担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部とを有することを特徴とする請求項2または3に記載の空気清浄装置。
【請求項7】
前記オゾン分解触媒モジュールは、基体と、この基体の表面に有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成されたオゾン分解触媒隣接吸着部と、このオゾン分解触媒隣接吸着部の表面の一部にオゾン分解触媒がさらに担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部とを有することを特徴とする請求項2または3に記載の空気清浄装置。
【請求項8】
前記吸着剤は、ゼオライトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項9】
前記吸着剤は、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウムおよびルテニウムの少なくとも一種からなる白金族金属の微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項10】
基体の表面に、光触媒が担持されて形成された光触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記光触媒反応部に隣接して設けられた光触媒隣接吸着部とを有する光触媒モジュールと、
基体の表面にオゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部を有するオゾン分解触媒モジュールと、
を備えた空気清浄装置を用いた空気清浄方法であり、
放電光を発生させることにより、有機化学物質を含む空気中にオゾンを生成するオゾン生成工程と、
前記光触媒モジュールを用い、前記オゾン生成工程を経た空気に含まれる有機化学物質の一部を前記光触媒隣接吸着部に吸着させるとともに、表面拡散により前記光触媒隣接吸着部から前記光触媒反応部に移動した有機化学物質と前記空気に含まれる有機化学物質の他の一部とを前記放電光で生じた光触媒反応により酸化分解する光触媒処理工程と、
前記オゾン分解触媒モジュールを用い、前記光触媒処理工程を経た空気に含まれるオゾンを分解して酸素ラジカルを生成し、前記空気に含まれる有機化学物質を前記酸素ラジカルにより酸化分解するオゾン分解工程と、
を有することを特徴とする空気清浄方法。
【請求項11】
前記オゾン分解触媒モジュールは、基体の表面に、オゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記オゾン分解触媒反応部に隣接して設けられたオゾン分解触媒隣接吸着部とを有し、
放電光を発生させることにより、有機化学物質を含む空気中にオゾンを生成するオゾン生成工程と、
前記光触媒モジュールを用い、前記オゾン生成工程を経た空気に含まれる有機化学物質の一部を前記光触媒隣接吸着部に吸着させるとともに、表面拡散により前記光触媒隣接吸着部から前記光触媒反応部に移動した有機化学物質と前記空気に含まれる有機化学物質の他の一部とを前記放電光で生じた光触媒反応により酸化分解する光触媒処理工程と、
前記オゾン分解触媒モジュールを用い、前記光触媒処理工程を経た空気に含まれる有機化学物質の一部を前記オゾン分解触媒隣接吸着部に吸着させるとともに、前記オゾン分解触媒反応部で前記空気に含まれるオゾンを分解して酸素ラジカルを生成し、表面拡散により前記オゾン分解触媒隣接吸着部から前記オゾン分解触媒反応部に移動した有機化学物質と前記空気に含まれる有機化学物質とを前記酸素ラジカルにより酸化分解するオゾン分解工程と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の空気清浄方法。
【請求項12】
基体の表面に光触媒が担持されて形成された光触媒反応部を有する光触媒モジュールと、
基体の表面に、オゾン分解触媒が担持されて形成されたオゾン分解触媒反応部と、有機化学物質を吸着する吸着剤が担持されて形成され、前記オゾン分解触媒反応部に隣接して設けられたオゾン分解触媒隣接吸着部とを有するオゾン分解触媒モジュールと、
を備えた空気清浄装置を用いた空気清浄方法であり、
放電光を発生させることにより、有機化学物質を含む空気中にオゾンを生成するオゾン生成工程と、
前記光触媒モジュールを用い、前記オゾン生成工程を経た空気に含まれる有機化学物質を前記放電光で生じた光触媒反応により酸化分解する光触媒処理工程と、
前記オゾン分解触媒モジュールを用い、前記光触媒処理工程を経た空気に含まれる有機化学物質の一部を前記オゾン分解触媒隣接吸着部に吸着させるとともに、前記オゾン分解触媒反応部で前記空気に含まれるオゾンを分解して酸素ラジカルを生成し、表面拡散により前記オゾン分解触媒隣接吸着部から前記オゾン分解触媒反応部に移動した有機化学物質と前記空気に含まれる有機化学物質とを前記酸素ラジカルにより酸化分解するオゾン分解工程と、
を有することを特徴とする空気清浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−125390(P2011−125390A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284041(P2009−284041)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】