説明

空気清浄装置および空気調和機および空気清浄方法

【課題】除菌機能の低下を防止し、高度且つ確実な空気清浄が行える空気清浄装置を提供する。
【解決手段】流入した空気A中の塵埃を除去する除塵部16と、除塵部16の下流側において空気A中の細菌を除去する除菌部17とを有し、除塵部16は、ワッシャメディア27と、除塵用液をワッシャメディア27に噴霧する噴霧装置28とを有し、除菌部17は、除菌エレメント20と、殺菌用液21を除菌エレメント20に滴下する滴下部22とを有し、噴霧装置28は、滴下部22から除菌エレメント20に滴下された殺菌用液21を、除塵用液として噴霧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除塵や除菌機能を有する空気清浄装置、および空気清浄装置を備えた空気調和機、および空気清浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気清浄装置としては、例えば、図7に示すように、筐体85の下部に吸込口86が形成され、吸込口86の上方にプレフィルタ87が配置され、プレフィルタ87の上方に送風ファン88が配置され、送風ファン88の上方に気液接触部材89が配置され、気液接触部材89の上方に吹出口90が配置されているものがある。
【0003】
また、筐体85内には、気液接触部材89に電解水を滴下させる電解水滴下手段(図示省略)と、気液接触部材89の下方に配置され、気液接触部材89を通過した電解水を受ける水受け皿92と、水受け皿92に溜まった電解水を電解水滴下手段に循環させる循環ポンプ(図示省略)とが備えられている。
【0004】
これによると、送風ファン88を稼動させることにより、吸込口86から流入した空気は、プレフィルタ87を通過した後、気液接触部材89を通過して吹出口90から室内に供給される。この際、循環ポンプにより電解水滴下手段を介して、電解水が気液接触部材89に供給されているため、空気が気液接触部材89を通過する時に電解水に接触し、空気が除菌される。
【0005】
上記のような空気清浄装置は下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−143937
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら上記の従来形式では、気液接触部材89において、空気と電解水との気液接触効率(飽和効率)を向上させるためには、気液接触部材89の空隙率を小さくする必要があるが、気液接触部材89の空隙率を小さくすると、空気中の微細な塵埃が気液接触部材89に目詰まりし、除菌機能が低下する問題がある。尚、気液接触部材89の上流側に配置されたプレフィルタ87によって粗大粒子の塵埃は除去されるが、微細粒子の塵埃を除去することは困難であり、微細粒子の塵埃が気液接触部材89に目詰まりするという問題が発生した。
【0008】
本発明は、除菌機能の低下を防止し、高度且つ確実な空気清浄が行える空気清浄装置および空気調和機および空気清浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本第1発明における空気清浄装置は、流入した空気中の塵埃を除去する除塵部と、除塵部の下流側において空気中の細菌を除去する除菌部とを有し、
除塵部は、空気中に除塵用液を噴霧する噴霧装置を有し、
除菌部は、流入した空気に殺菌力を有する殺菌用液を接触させる除菌装置を有しているものである。
【0010】
これによると、除塵部において、空気清浄装置内に流入した空気に、除塵用液を噴霧装置から噴霧することにより、空気中の粗大および微細な粒子からなる塵埃が噴霧された除塵用液に接触して空気中から確実に除去される。これにより、下流側の除菌部に流入する空気中の微細な粒子からなる塵埃の量が大幅に低減され、除菌装置の除菌機能の低下が防止されると共に、除塵と除菌との負荷が上流側の除塵部と下流側の除菌部とに分散されるため、高度且つ確実な空気清浄が行える。
【0011】
本第2発明における空気清浄装置は、除菌装置は、流入した空気が通過する除菌エレメントと、殺菌用液を除菌エレメントに滴下する滴下部とを有するものである。
これによると、殺菌用液を滴下部から除菌エレメントに滴下することにより、殺菌用液が除菌エレメントに到達するまでに気化したり除菌エレメントの空隙を通過してしまうのを防止することができ、殺菌用液が確実に除菌エレメントに到達して含浸される。
【0012】
この状態で、空気が除塵部から除菌部に流入し除菌エレメントを通過する。この際、空気が除菌エレメントに含浸された殺菌用液に接触するため、空気が除菌、消臭される。これにより、除菌エレメントの除菌機能の低下が防止され、高度且つ確実な空気清浄が行える。
【0013】
本第3発明における空気清浄装置は、除菌エレメントを流下して除菌エレメントから排出された濃度の低下した殺菌用液を受ける液受け部が設けられ、
液受け部に溜められた殺菌用液が除塵用液として噴霧装置から噴霧されるものである。
【0014】
これによると、滴下部から除菌エレメントに滴下された殺菌用液は、除菌エレメント内を流下している間に空気と接触し、殺菌用液中の殺菌成分が消費されて濃度が低下する。このようにして濃度が低下した殺菌用液は除菌エレメントから排出されて液受け部に受けられ、液受け部に溜められた低濃度の殺菌用液が除塵用液として噴霧装置から噴霧される。
【0015】
これにより、除塵部において、空気清浄装置内に流入した空気中の塵埃を除去することができると共に、空気中の細菌をある程度除去することもでき、このため、下流側の除菌エレメントの負荷を軽減することができる。
【0016】
また、低濃度の殺菌用液が液受け部に溜められるため、液受け部に雑菌が繁殖するのを防止することができる。
本第4発明における空気清浄装置は、噴霧装置から除塵用液として噴霧された殺菌用液が液受け部で受けられるものである。
【0017】
これによると、液受け部に溜められた低濃度の殺菌用液が除塵用液として噴霧装置から噴霧され、噴霧された低濃度の殺菌用液が下降して液受け部に受けられ、液受け部に溜まった低濃度の殺菌用液が再度噴霧装置から噴霧される。これにより、液受け部に溜まった低濃度の殺菌用液が循環しながら噴霧装置から噴霧されるため、殺菌用液の使用量を節約することができ、殺菌用液の殺菌能力を限界まで十分に利用することができる。
【0018】
本第5発明における空気清浄装置は、除塵部は、噴霧装置の下流側に、除塵部に流入した空気が通過するワッシャメディアを備え、
噴霧装置は除塵用液がワッシャメディアに達するように噴霧するものである。
【0019】
これによると、噴霧装置から噴霧されて空気中の塵埃や有害ガスに衝突した除塵用液の微粒子はワッシャメディアに達し、ワッシャメディアが塵埃や有害ガスを伴った除塵用液を捕捉するとともに、捕捉した除塵用液で水膜を形成する。このワッシャメディアでの水膜効果と上流側での噴霧による気液接触との相乗効果で高飽和効率加湿を実現するので、除塵用液と空気との気液接触効率が高まり、塵埃や有害ガスの除去率が向上するとともに、除菌、消臭の効率を高めることができる。また、除塵用液の噴霧により捕捉した塵埃がワッシャメディアで捕捉されるので、除菌部への塵埃の流入を防止することができる。
【0020】
本第6発明は、上記第1発明から第5発明のいずれか1項に記載の空気清浄装置を備えた空気調和機であって、
空気清浄装置の下流側に、空気清浄装置から排出された空気が通過するフィルタが設けられているものである。
【0021】
これによると、空気清浄装置で除塵および除菌された空気がフィルタを通過するため、フィルタの負荷が軽減され、フィルタの使用寿命が延長される。また、フィルタにおいて雑菌の増殖が抑制され、異臭の発生を防止することができる。また、空気清浄装置から流出する空気に含まれる殺菌用液の腐食性ミストがフィルタで除去されるため、フィルタの下流側にある機器の腐食を防止することができる。
【0022】
本第7発明における空気清浄方法は、除菌部において、高濃度の殺菌用液を除菌エレメントに滴下して含浸させ、
除菌部の上流側に設けられた除塵部において、除菌エレメントを流れ落ちて低濃度となった殺菌用液を、流入する空気中に噴霧して除塵し、
除塵部において除塵された後の空気を、下流側の除菌部において除菌エレメントに通過させて除菌するものである。
【0023】
これによると、除塵と除菌との負荷が上流側の除塵部と下流側の除菌部とに分散されるため、高度且つ確実な空気清浄が行える。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明によると、下流側の除菌部に流入する空気中の微細な粒子からなる塵埃の量が大幅に低減され、除菌装置の除菌機能の低下が防止されると共に、除塵と除菌との負荷が上流側の除塵部と下流側の除菌部とに分散されるため、高度且つ確実な空気清浄が行える。
【0025】
また、殺菌用液が確実に除菌エレメントに到達して含浸され、除菌エレメントの除菌機能の低下が防止される。
また、除塵部において、流入した空気中の塵埃を除去することができると共に、空気中の細菌を除去することもできるため、下流側の除菌エレメントの負荷を軽減することができる。また、液受け部に雑菌が繁殖するのを防止することができる。
【0026】
また、液受け部に溜まった低濃度の殺菌用液が循環しながら噴霧装置から噴霧されるため、殺菌用液の使用量を節約することができ、殺菌用液の殺菌能力を限界まで十分に利用することができる。
【0027】
また、ワッシャメディアによる気液接触で空気を飽和状態の近くまで効率良く加湿できるため、除菌、消臭、除塵、ガス除去の効率を高めることができるとともに、除菌部への塵埃の進入を防ぐことができる。
【0028】
また、フィルタの負荷が軽減され、フィルタの使用寿命が延長される。さらに、フィルタにおいて雑菌の増殖が抑制され、異臭の発生を防止することができる。また、腐食性ミストがフィルタで除去されるため、フィルタの下流側にある機器の腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図2】同、空気調和機内に備えられた空気清浄装置の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態における空気調和機の内部構成を示す概略図である。
【図7】従来の空気清浄装置の内部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、第1の実施の形態を、図1,図2を参照して説明する。
【0031】
1はセントラル方式の空気調和機であり、調和機ケーシング2の上流側に、外気を取り込む外気流入口3と、室内へ供給された空気Aを還気として再び取り込む還気流入口4とが形成され、調和機ケーシング2の下流側に、調整された空気Aを室内に送り出す送出口5が形成されている。
【0032】
調和機ケーシング2内には、上流側から下流側に至る順で、外気流入口3および還気流入口4から流入した空気A中の粗大粒子の塵埃を捕捉するプレフィルタ8と、プレフィルタ8を通過した空気Aを除塵および除菌する空気清浄装置9と、空気清浄装置9を通過した空気A中の微細粒子の塵埃を捕捉する中性能フィルタ10(フィルタの一例)と、空気Aを冷却する冷却コイル11と、空気Aを温める加熱コイル12と、調和機ケーシング2内の空気Aを送出口5から室内に送り出すファン13とが設けられている。
【0033】
空気清浄装置9は以下のような構成を有している。
空気清浄装置9は、外気流入口3および還気流入口4から流入してプレフィルタ8を通過した空気A中の塵埃を除去する除塵部16と、除塵部16の下流側において空気A中の細菌を除去する除菌部17とを有している。
【0034】
除菌部17は、流入した空気Aに殺菌力を有する殺菌用液21を接触させる除菌装置19を有している。除菌装置19は、空気の流路断面とほぼ等しい形状を有する除菌エレメント20と、殺菌用液21を上方から除菌エレメント20に滴下する滴下部22とを有している。
【0035】
尚、除菌部17では、殺菌用液21を除菌エレメント20に向けて噴霧してもよいが、噴霧した殺菌用液21はミストとなるため、除菌エレメント20に到達するまでに気化したり除菌エレメント20の空隙を通過してしまい、除菌エレメントの殺菌成分の濃度を高めにくくなるため、殺菌用液21を滴下部22から除菌エレメント20の上端部に滴下することが望ましい。
【0036】
除菌エレメント20は、例えば、吸水性または親水性を有するポリエチレンやポリエステル等の材料からなる不織布や繊維を、通気孔が形成されるようにハニカム構造やコルゲート構造としたもので、10〜50mm程度の厚みを有するマット状のものである。
【0037】
尚、滴下部22には、殺菌用液21を滴下部22に供給する供給配管23が接続されている。供給配管23には、殺菌用液21を貯留する貯留部(図示省略)や貯留部内の殺菌用液21を送り出すポンプ(図示省略)等が接続されている。
【0038】
また、殺菌用液21には、例えば、次亜塩素酸ナトリウム溶液、微酸性電解水、電解次亜水、オゾン水、二酸化塩素水等が使用される。除菌エレメント20の下方には、除菌エレメント20を流下して除菌エレメント20の下端部から滴下した殺菌用液21を受ける液受け槽24(液受け部の一例)が設けられている。尚、除菌エレメント20の上端部に滴下された殺菌用液21は、除菌エレメント20内を流下している間に殺菌用液21中の殺菌に有効な成分が消費されて濃度が低下するため、滴下部22から滴下される殺菌用液21よりも低濃度の殺菌用液21が除菌エレメント20の下端部から液受け槽24に滴下する。
【0039】
除塵部16は、空気の流路断面とほぼ等しい形状を有するワッシャメディア27と、液受け槽24に溜められた低濃度の殺菌用液21を除塵用液としてワッシャメディア27に達するように噴霧する噴霧装置28とを有している。
【0040】
ワッシャメディア27は、除菌エレメント20のように吸水性は必要ないが、液体保持量は高いほうが良く、例えば、ポリ塩化ビニルデン系繊維やステンレスの線材等の材料からなる繊維を、空隙率を高くして規則的に編みこんだり、不規則に密集させて、10〜50mm程度の厚みを有するマット状にしたものである。
【0041】
噴霧装置28は、複数の噴霧ノズル29と、一端が各噴霧ノズル29に接続されると共に他端が液受け槽24に連通する噴霧用配管30と、噴霧用配管30に接続されたポンプ31とを有している。各噴霧ノズル29は、プレフィルタ8とワッシャメディア27との間に位置し、一定の距離をあけて上流側から下流側のワッシャメディア27に対向している。また、噴霧用配管30はプレフィルタ8を上流側から下流側へ貫通している。
【0042】
噴霧ノズル29は、除塵用液として噴霧された殺菌用液21が空気Aの流れに乗ってワッシャメディア27に達し、ワッシャメディア27の全面を濡らすように噴霧するものであればよく、噴霧方向が空気A流の流れに対して直交方向に噴霧あるいは上流側に向けて噴霧するものであってもよい。
【0043】
液受け槽24は、除菌エレメント20の下方からワッシャメディア27の下方を経て噴霧ノズル29の下方に達する大きさを有している。尚、液受け槽24の上流側端部(前端部)はプレフィルタ8の下端部に位置している。
【0044】
液受け槽24には、槽内の液位が所定高さを越えて上昇するのを防止するためのオーバーフロー防止用排液配管33が接続されている。
以下、上記構成における作用を説明する。
【0045】
図1に示すように、ファン13を稼動すると、外気流入口3および還気流入口4から空気調和機1内に流入した空気Aは、プレフィルタ8でろ過されて粗大粒子からなる塵埃が除去され、その後、空気清浄装置9において除塵および除菌され、さらに、中性能フィルタ10でろ過されて微細粒子からなる塵埃が除去され、冷却コイル11で露点温度に冷却され、加熱コイル12で所定の温度に温められた後、送出口5から室内に送り出される。
【0046】
上記空気清浄装置9の除塵および除菌作用を以下に説明する。
除菌部17では、高濃度の殺菌用液21を滴下部22から除菌エレメント20の上端部に滴下することにより、殺菌用液21が除菌エレメント20に到達するまでに気化したり除菌エレメント20の空隙を通過してしまうのを防止することができ、高濃度の殺菌用液21が確実に除菌エレメント20に到達して含浸される。
【0047】
また、ポンプ31を稼動させることにより、液受け槽24内の低濃度の殺菌用液21(除塵用液)が噴霧ノズル29からワッシャメディア27の全面にかかるように噴霧され、ワッシャメディア27に水膜が形成される。この噴霧ノズル29からの噴霧とワッシャメディア27の水膜効果との相乗効果により空気Aの飽和状態の近くまで効率良く加湿されるため、殺菌用液21と空気Aとの接触効率が高まる。この状態で、プレフィルタ8を通過した空気Aがワッシャメディア27に向って流れ、この際、除塵部16において、空気A中の粗大および微細な粒子からなる塵埃や有害なガス(例えばSOX ,NOXあるいはNH3、メチルメカプタンなど)が空気A中に充満している低濃度の殺菌用液21およびワッシャメディア27に形成される水膜に接触して空気A中から確実に捕捉されると共に、除菌、消臭が行える。
【0048】
ワッシャメディア27に捕捉された塵埃は、ワッシャメディア27を流れ落ちる低濃度の殺菌用液21により、ワッシャメディア27から確実に除去される。尚、ワッシャメディア27を流れ落ちた低濃度の殺菌用液21は液受け槽24に落下して溜められる。
【0049】
ワッシャメディア27を通過した空気Aは、その後、除菌部17の除菌エレメント20を通過する。この際、空気Aが除菌エレメント20に含浸された高濃度の殺菌用液21に接触するため、空気A中の細菌やウイルス等の微生物が確実に除去される。
【0050】
また、滴下部22から除菌エレメント20の上端部に滴下された高濃度の殺菌用液21は、除菌エレメント20内を流下している間に空気Aと接触し、殺菌用液21中の殺菌に有効な成分が消費されて濃度が低下する。このようにして濃度が低下した殺菌用液21は除菌エレメント20の下端部から液受け槽24に滴下する。このようにして液受け槽24に溜められた低濃度の殺菌用液21が噴霧ノズル29からワッシャメディア27に向けて噴霧される。尚、滴下部22から滴下される高濃度の殺菌用液21の滴下量は、空気Aを加湿するのに必要な加湿分に、所定量の余剰分を加えた量であり、余剰分の殺菌用液21が除菌エレメント20の下端部から液受け槽24に滴下する。
【0051】
上記のように、除塵部16において、空気A中の粗大および微細な粒子の塵埃が噴霧された低濃度の殺菌用液21(除塵用液)に接触して確実に除去されるため、除菌エレメント20に流入する空気A中の微細な粒子からなる塵埃の量が大幅に低減されて、除菌エレメント20の目詰まりが防止され、除菌エレメント20の除菌機能の低下が防止される。
【0052】
また、低濃度の殺菌用液21を噴霧ノズル29から噴霧しているため、除塵部16において、除塵と共に、ある程度の除菌を行うことも可能である。このため、下流側の除菌エレメント20の負荷を軽減することができる。また、低濃度の殺菌用液21が液受け槽24に溜められるため、液受け槽24内に雑菌が繁殖するのを防止することができる。
【0053】
また、噴霧ノズル29から噴霧された低濃度の殺菌用液21は、下降して液受け槽24に回収され、再度噴霧ノズル29から噴霧される。これにより、液受け槽24に溜まった低濃度の殺菌用液21が循環しながら噴霧ノズル29から噴霧されるため、殺菌用液21の使用量を節約することができ、殺菌用液21の殺菌能力を限界まで(すなわち液受け槽24内に雑菌が繁殖しないくらいの低濃度になるまで)十分に利用することができる。
【0054】
また、除塵と除菌との負荷が上流側の除塵部16と下流側の除菌部17とに分散されるため、高度且つ確実な空気清浄が行える。
また、空気清浄装置9で除塵および除菌された空気Aが中性能フィルタ10を通過するため、中性能フィルタ10の負荷が軽減され、中性能フィルタ10の使用寿命が延長される。さらに、中性能フィルタ10において雑菌の増殖が抑制され、異臭の発生を防止することができる。また、殺菌用液21は腐食性を有するが、空気清浄装置9から流出する空気Aに含まれる殺菌用液21(腐食性ミスト)が中性能フィルタ10で除去されるため、中性能フィルタ10の下流側にあるコイル11,12やファン13等の機器の腐食を防止することができる。
【0055】
また、プレフィルタ8を噴霧ノズル29の上流側(前段)で且つ液受け槽24の上流側端部の上方に配置したため、噴霧ノズル29から噴霧された低濃度の殺菌用液21が液受け槽24の前外方へ飛散するのを防止することができると共に、粗大な塵埃(ゴミ)が上流側から除塵部16内に侵入するのを防止することができる。
【0056】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図1に示すように、中性能フィルタ10が空気清浄装置9の下流側(後段)に設置されているが、第2の実施の形態では、図3に示すように、中性能フィルタ10が空気清浄装置9の上流側(前段)に設置されると共にプレフィルタ8の下流側背面に一体的に取付けられている。
【0057】
(第3の実施の形態)
上記第2の実施の形態では、図3に示すように、空気清浄装置9が冷却コイル11の上流側に設置されているが、第3の実施の形態では、図4に示すように、空気清浄装置9が加熱コイル12の下流側に設置されている。
【0058】
(第4の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図1に示すように、共通の調和機ケーシング2内に、プレフィルタ8と空気清浄装置9と中性能フィルタ10と冷却コイル11と加熱コイル12とファン13とが設けられているが、第4の実施の形態では、図5に示すように、調和機ケーシング2が、上流側の第1ケーシング2aと、下流側の第2ケーシング2bとに分離されており、第1ケーシング2aの下流側と第2ケーシング2bの上流側とが逆U形状のダクト45を介して連通している。
【0059】
第1ケーシング2aには外気流入口3と還気流入口4とが形成され、第1ケーシング2a内には空気清浄装置9が独立して設置されている。また、第2ケーシング2bには送出口5が形成され、第2ケーシング2b内には、プレフィルタ8と中性能フィルタ10と冷却コイル11と加熱コイル12とファン13と気化式加湿器46とが設置されている。
【0060】
(第5の実施の形態)
上記第4の実施の形態では、図5に示すように、第1ケーシング2a内に空気清浄装置9が設置され、第2ケーシング2b内にプレフィルタ8と中性能フィルタ10と冷却コイル11と加熱コイル12とファン13と気化式加湿器46とが設置されているが、第5の実施の形態では、図6に示すように、第1ケーシング2a内にプレフィルタ8と中性能フィルタ10と冷却コイル11と加熱コイル12とファン13と気化式加湿器46とが設置され、第2ケーシング2b内に空気清浄装置9が独立して設置されている。
【0061】
(その他の実施の形態)
上記各実施の形態では、図2に示すように、除菌部17の除菌装置19は、除菌エレメント20の上方から殺菌用液21を滴下する形態を示しているが、除菌装置20は、除菌エレメント20に向かって殺菌用液21を噴霧する噴霧装置を設けた形態や、除菌エレメント20を設けずに空気中に殺菌用液21を噴霧する噴霧装置を設けた形態であってもよい。
【0062】
また、上記各実施の形態では、空気調和機1の空気の流入口は外気流入口3と還気流入口4の2つの流入口を設けた形態を示しているが、空気流入口の数はこれに限られず、空気の流入口は外気流入口3または還気流入口4の何れか1つであってもよく、また、3つ以上の流入口を設けてあってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 空気調和機
9 空気清浄装置
10 中性能フィルタ
16 除塵部
17 除菌部
19 除菌装置
20 除菌エレメント
21 殺菌用液
22 滴下部
24 液受け槽(液受け部)
27 ワッシャメディア
28 噴霧装置
A 空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入した空気中の塵埃を除去する除塵部と、除塵部の下流側において空気中の細菌を除去する除菌部とを有し、
除塵部は、空気中に除塵用液を噴霧する噴霧装置を有し、
除菌部は、流入した空気に殺菌力を有する殺菌用液を接触させる除菌装置を有していることを特徴とする空気清浄装置。
【請求項2】
除菌装置は、流入した空気が通過する除菌エレメントと、殺菌用液を除菌エレメントに滴下する滴下部とを有することを特徴とする請求項1記載の空気清浄装置。
【請求項3】
除菌エレメントを流下して除菌エレメントから排出された濃度の低下した殺菌用液を受ける液受け部が設けられ、
液受け部に溜められた殺菌用液が除塵用液として噴霧装置から噴霧されることを特徴とする請求項2記載の空気清浄装置。
【請求項4】
噴霧装置から除塵用液として噴霧された殺菌用液が液受け部で受けられることを特徴とする請求項3記載の空気清浄装置。
【請求項5】
除塵部は、噴霧装置の下流側に、除塵部に流入した空気が通過するワッシャメディアを備え、
噴霧装置は除塵用液がワッシャメディアに達するように噴霧することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
上記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の空気清浄装置を備えた空気調和機であって、
空気清浄装置の下流側に、空気清浄装置から排出された空気が通過するフィルタが設けられていることを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
除菌部において、高濃度の殺菌用液を除菌エレメントに滴下して含浸させ、
除菌部の上流側に設けられた除塵部において、除菌エレメントを流れ落ちて低濃度となった殺菌用液を、流入する空気中に噴霧して除塵し、
除塵部において除塵された後の空気を、下流側の除菌部において除菌エレメントに通過させて除菌することを特徴とする空気清浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−106739(P2013−106739A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253384(P2011−253384)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【出願人】(000104836)クボタ空調株式会社 (31)
【Fターム(参考)】