説明

空気調和機の制御情報の提供システム及び提供方法、サーバ、並びにプログラム

【課題】空気調和機の制御情報を適切に変更することができる空気調和機の制御情報の提供システムを提供する。
【解決手段】 空気調和機と、該空気調和機と通信可能な情報端末と、ネットワークを介して前記情報端末と通信可能なサーバと、を備えた空気調和機の制御情報の提供システムであって、前記サーバは、前記空気調和機の前記変更依頼情報及び運転履歴情報を、前記ネットワークを介して前記情報端末から受信し、受信した該変更依頼情報及び運転履歴情報に基づいて前記空気調和機の変更入力情報を算出し、該変更入力情報を前記ネットワークを介して前記情報端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の制御情報を変更する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書き換え可能な記憶部を搭載して制御情報を記憶させ、記憶部に記憶されている上記の制御情報を出荷後に書き換えることができる空気調和機が提案されていた。
例えば、特許文献1には、サーバから携帯電話等の情報端末にダウンロードされた制御情報を、この情報端末から空気調和機の受信部を介して送信し、記憶部に記憶されていた制御情報を新たに書き換えて更新する技術について記載されている。
【0003】
すなわち特許文献1には、ユーザの好みや空気調和機が実際に設置されている地域の気象条件等によってユーザが十分な快適性を得ることができない場合に、情報端末からメーカ等のサイトにアクセスして、情報端末の表示部に表示される所定の選択画面に従ってデータを入力することが記載されている。さらに特許文献1には、ユーザが入力した上記データを情報端末からネットワークを介してサーバに送信し、サーバが所定の制御情報を算出して携帯端末に送信し、携帯端末にダウロードされた上記制御情報に応じて空気調和機の記憶部の制御情報を更新することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−35449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、空気調和機の運転制御は多数の制御因子によって制御されているため、一つの制御因子(例えば、室内機ファンモータの回転速度)を変更するだけでも冷媒サイクル全体のバランスが崩れ、その後、新たな安定状態に切り替わっていく。空気調和機の最適な運転条件を得るには、空気調和機の各制御因子の値を調整し、適切な値を導き出す過程が必要となる。
上記の特許文献1に記載の技術では、制御情報を変更する前の空気調和機の運転履歴が反映されておらず、ユーザが選択した条件に従ってサーバの算出プログラムにより一律に算出されるため、各制御因子に応じた空気調和機の出力の値が適切な範囲に収まらない可能性もある。
【0006】
そこで、本発明は、空気調和機の制御情報を適切に変更することができる、空気調和機の制御情報の提供システム等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明は、サーバが、空気調和機の変更依頼情報及び運転履歴情報を、ネットワークを介して情報端末から受信し、受信した該変更依頼情報及び運転履歴情報に基づいて前記空気調和機の変更入力情報を算出し、該変更入力情報を前記ネットワークを介して前記情報端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、空気調和機の制御情報を適切に変更することができる、空気調和機の制御情報の提供システム等を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空気調和機の制御情報の提供システムのシステム構成の概略図である。
【図2】空気調和機の制御情報の提供システムのシステム構成図である。
【図3】空気調和機と情報端末との間、及び、情報端末とサーバとの間での情報の動きを示すチャート図である。
【図4】サーバの制御情報算出プログラムにより変更入力情報を生成する手順を示すフローチャートである。
【図5】サーバの記憶部に記憶される受信情報データベースの例を示す図である。
【図6】(a)は空気調和機の各入力値の許容範囲の例を示す図であり、(b)は空気調和機の各出力値の許容範囲の例を示す図である。
【図7】実験計画法を用いた事前の実験における、各入力の第1水準、第2水準、第3水準の値を示す図である。
【図8】実験計画法を用いた場合の運転電流値に関する要因効果図の例である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る空気調和機の制御情報の提供システムのシステム構成図である。
【図10】サーバの記憶部に記憶される適正値情報データベースの例を示す図である。
【図11】空気調和機と情報端末との間、及び、情報端末とサーバとの間での情報の動きを示すチャート図である。
【図12】サーバの制御情報算出プログラムにより変更入力情報を生成する手順を示すフローチャートである。
【図13】空気調和機の制御情報を変更した後に運転履歴情報を受信した場合の、サーバの処理過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の各実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0011】
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気調和機の制御情報の提供システムのシステム構成の概略図である。空気調和機1Aは、送受信部11(図2参照)を介して情報端末2Aとの間で情報を送受信することができる。他の空気調和機1B,・・・,1N及び情報端末2B,・・・,2Nの間についても同様である。また、各情報端末2A,2B,・・・,2Nは、ネットワーク3を介してサーバ4との間で情報を送受信することができる。
なお、ネットワーク3に接続されている情報端末2A,2B,・・・,2N及び各情報端末と通信可能な空気調和機1A,1B,・・・,1Nの個数は任意である。
【0012】
図2は、空気調和機の遠隔操作システムのシステム構成図である。図2では、図1に記載の空気調和機1A,1B,・・・,1Nのうち任意の1つを室内機1a及び室外機1bとして示し、他の空気調和機については、その記載を省略している。室内機1aと室外機1bとは、冷媒配管(図示せず)により接続され、周知の冷媒サイクル(図示せず)によって空調運転を行う。
なお、以下の記載において、室内機1a及び室外機1bを「空気調和機1」と称する。
【0013】
室内機1aは、送受信部11、制御部12、記憶部13、駆動装置14を備える。記憶部13には、室内機1aの各機器(図示せず)の駆動装置14を運転するための運転プログラムが格納されており、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の書き換え可能な不揮発性メモリを備えている。室内機1aにおいては、制御部12が記憶部13に記憶されている運転プログラムを読み出して実行し、室内機1aの各機器の駆動装置14を駆動させる。
【0014】
室外機1bは、制御部15、記憶部16、駆動装置17を備える。記憶部16には、室外機1bの各機器(図示せず)を運転するための運転プログラム等が格納されており、例えばEEPROM等の書き換え可能な不揮発性メモリを備えている。室外機1bにおいては、制御部15が記憶部16に記憶されている運転プログラムを読み出して実行し、室外機1bの各機器の駆動装置17を駆動させる。
また、室内機1aの制御部12と、室外機1bの制御部15とは、通信線18を介して電気的に接続されており、相互に通信可能となっている。
空気調和機1の空調運転等に際して駆動される各機器、及び、冷媒配管(図示せず)を介して室内機1aと室外機1bとの間で形成される冷媒サイクルは周知のものが使用されるので、その詳細な説明を省略する。
【0015】
空気調和機1が空調運転又は除湿運転(以下、空調運転等と称する。)を行う場合の入力として、圧縮機モータ(図示せず)の回転速度、室内機1aのファンモータ(図示せず)の回転速度、室外機1bのファンモータ(図示せず)の回転速度、室外機1bの膨張弁(図示せず)の開度、室内機1aの二方弁(図示せず)の開閉タイミング、室内機1aのフラップ(図示せず)の開閉角度、室内機1aのパネル(図示せず)の開閉角度等がある。
ここで「入力」とは、室内機1aの制御部12、又は、室外機1bの制御部15によってその動作が直接的に制御されるものを指す。上記のファンモータや圧縮機等の機器は、図2に記載の駆動装置14,17に相当する。そして、駆動装置14,17を駆動させる際に用いられる制御部12からの入力が、上記の「入力」となる。
また、入力の具体的な値を「入力値」と称し、各入力値のセットを「入力情報」と称する。
【0016】
また、上記の空気調和機1の入力に対する出力として、空気調和機1の運転電流値、冷媒サイクル(図示せず)各部の冷媒圧力及び冷媒温度、室内機1aから吹出される空気の温度、圧縮機(図示せず)の吸入側及び吐出側の圧力等がある。
空気調和機1の「出力」は、室内機1aの制御部12及び室外機1bの制御部15が、所定の制御情報に従って駆動装置14,17を駆動させた結果として出力される値である。
また、各出力の具体的な値を「出力値」と称し、各出力値のセットを「出力情報」と称する。
さらに、ある入力情報に従って空気調和機1が空調運転等を行い、所定の出力情報が得られた場合に、当該入力情報と出力情報とを含めて、「運転履歴情報」と称する。
【0017】
情報端末2は、例えばパソコン、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の通信装置である。情報端末2は、送受信部21、入力部22、制御部23、記憶部24、表示部25を備える。
情報端末2は、送受信部21を介して室内機1aの送受信部11との間で通信可能となっている。例えば、室内機1aの送受信部11と情報端末2の送受信部21との間で、赤外線、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等による無線通信が可能となっている。
なお、室内機1aの送受信部11と情報端末2の送受信部21との間で、例えば、LAN(Local Area Network)ケーブルを介した有線通信でデータを送受信してもよい。
【0018】
情報端末2の記憶部24には、送受信部21を介して室内機1aから受信した運転履歴情報等が記憶される。また、記憶部24には、情報端末2を動作させるためのプログラムが記憶されており、制御部23が記憶部24から上記プログラムを読み出して実行することによって、情報端末2の各機能を実現する。制御部23は、表示部25に所定の選択画面を表示し、ユーザに入力を促す。
また、制御部23は、表示部25に送信ボタン(図示せず)を表示し、入力部22を介してユーザが送信ボタン(図示せず)を選択した場合に、記憶部24に記憶されたデータを送受信部21からネットワーク3を介してサーバ4に送信する。さらに、制御部23は、ネットワーク3を介してサーバ4から受信したデータを、送受信部21を介して室内機1aに送信する。ネットワーク3を介して情報端末2とサーバ4との間で送受信される上記のデータの詳細については、後記する。
【0019】
なお、情報端末2により、ネットワーク3を介してサーバ4との間でデータの送受信を行うために、メーカによって提供された専用アプリケーションソフトウェアを事前にインストールする必要がある。当該アプリケーションソフトウェアを用いることによって、室内機1aと情報端末2との間、及び、情報端末2とサーバ4との間で、データの送受信を行うことが可能になる。
【0020】
メーカが上記のアプリケーションソフトウェアをユーザに提供する方法として、例えば、ソフトウェアプログラムをDVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体に書き込んで、販売時に空気調和機1の本体に同梱する方法や、メーカのウェブサイト、携帯サイト等からダウンロードする方法が挙げられる。
また、ユーザが上記アプリケーションソフトウェアに、例えば、ユーザID、パスワード、ユーザ情報、空気調和機1の型式と製造番号等の情報を事前に作成登録することによって、サーバ4が空気調和機1及びそのユーザを特定することが可能となる。
なお、情報端末2がネットワーク3に接続する際には、有線LAN、無線LAN、3G(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)、WiMAX(登録商標)等の通信手段が挙げられる。
【0021】
サーバ4は、情報端末2とネットワーク3を介して通信可能となっている。サーバ4は、記憶部41、制御部42、送受信部43を備える。記憶部41には、受信情報データベース411が格納されている。
受信情報データベース411には、ネットワーク3を介して情報端末2から送信された空気調和機1の変更依頼情報及び運転履歴情報が格納されている。「変更依頼情報」とは、情報端末2の入力部22を介してユーザにより入力される要求の内容を示すものであり、例えば、「室外機のファンモータの駆動音を抑制する」等の要求内容を示す。なお、上記の受信情報データベース411の詳細については後記する。
【0022】
また、サーバ4の制御部42は、制御情報算出プログラム421を備える。制御情報算出プログラム421は、ネットワーク3を介して送受信部43が変更依頼情報及び運転履歴情報を受信した場合に、当該変更依頼情報及び運転履歴情報に基づいて、空気調和機1の新たな入力情報(変更入力情報)を算出する。「変更入力情報」とは、空気調和機1の運転履歴情報及び変更依頼情報に基づいて生成され、ネットワーク3及び情報端末2を介して空気調和機1に送信される新たな制御情報である。なお、上記の制御情報算出プログラム421の詳細については後記する。
送受信部43は、情報端末2からネットワーク3を介して変更依頼情報及び空気調和機1の運転履歴情報を受信する。また、サーバ4の送受信部43は、制御情報算出プログラム421で算出された新たな入力値である変更入力情報を、ネットワーク3を介して情報端末2に送信する。
【0023】
次に、本実施形態に係る空気調和機1の制御情報を変更する際の全体の流れを説明する。図3は、空気調和機と情報端末との間、及び、情報端末とサーバとの間での情報の動きを示すチャート図である。
空気調和機1の出荷時に設定されている標準の制御情報に従った空調運転では、ユーザの好みや体質、空気調和機1が実際に設置されている地域の環境、気象条件等によっては、十分な快適性を得られない場合がある。
例えば、ユーザの住居が住宅密集地に存在する場合に、室外機1bのファンモータ(図示せず)の駆動音が迷惑になる場合には、ファンモータの回転速度を低下させて駆動音を抑えることが望まれる。また、ユーザが寒がりであった場合に、例えば、暖房の時に、もっと部屋を暖かくすることが望まれる。
【0024】
このような場合に、空気調和機1の制御情報を書き換えるために、図3に示すステップS1で情報端末2がユーザの操作を促し、ネットワーク3を介してサーバ4にアクセスする。次に、ステップS2でサーバ4は、ネットワーク3を介して情報端末2にユーザの要求を特定するための選択画面に関する情報を送信する。そして、情報端末2の制御部23は、送受信部21から上記の情報を受信して、表示部25に所定の選択画面を表示させる。
例えば情報端末2は、ユーザがエアコンの設定変更の画面を選択した場合に、「モータ駆動音の抑制」、「結露抑制」「暑がり/寒がり」等のメニューを表示し、ユーザに選択を促す。さらに、例えば上記の「モータ駆動音の抑制」が選択された場合に、「室外機/室内機」といった選択画面を表示し、ユーザの選択を促して、最終的にユーザの要求を特定する。
以下では、例として、ユーザの要求が室外機1bのファンモータ(図示せず)の駆動音を抑制するものであった場合について説明する。
【0025】
図3のステップS3で、情報端末2は、空気調和機1に運転履歴情報の取得信号を送信する。この場合に、情報端末2の制御部23は、上記の運転履歴情報の取得信号を空気調和機1に送信する決定ボタン(図示せず)を表示部25に表示し、ユーザの入力を促し、ユーザによる上記決定ボタンの選択をトリガとして運転履歴情報の取得信号を空気調和機1に送信する。
なお、情報端末2がサーバ4から専用アプリケーションソフトウェアを事前にインストールした際に、記憶部24に運転履歴情報を取得するためのプログラムが記憶されているものとする。ステップS3では、情報端末2の制御部23が、記憶部24に記憶されている運転履歴情報の取得信号を読み出して、当該取得信号を送受信部21から室内機1aの送受信部11に送信する。
【0026】
次に、ステップS4で、室内機1aの制御部12は、送受信部11を介して情報端末2から受信した運転履歴情報の取得信号に従って、記憶部13から室内機1a及び室外機1bの運転履歴情報を読み出し、送受信部11を介して情報端末2に送信する。
なお、制御部12は、室内機1aの運転履歴情報を所定時間(例えば、1時間)毎に記憶部13に記憶させ、室外機1bの運転履歴情報も所定時間毎に配線18を介して取り込んで、記憶部13に記憶させるものとする。
【0027】
図3のステップS5で情報端末2は、ユーザの要求内容である変更依頼情報及び空気調和機1の運転履歴情報を、ネットワーク3を介してサーバ4に送信する。
すなわち、情報端末2の制御部23は、上記の例では「室外機1bのファンモータの駆動音を抑制する」という変更依頼情報、及び、空気調和機1の運転履歴情報を送受信部21からネットワーク3を介してサーバ4に送信する。
ステップS6でサーバ4は、送受信部43を介して入力された変更依頼情報及び運転履歴情報に基づいて、変更入力情報を生成する。なお、変更入力情報の生成方法については、後記する。ステップS7でサーバ4は、ステップS6で生成した変更入力情報を、ネットワーク3を介して情報端末2に送信する。
【0028】
ステップS8で、室内機1aの制御部12は、情報端末2から受信した変更入力情報に従って、記憶部13に記憶されている制御情報を変更する。なお、上記の入力情報のうち室外機1bに関するものは、室内機1aの制御部12から配線18を介して室外機1bの制御部15に送信される。そして、室外機1bの制御部15は、受信した変更入力情報に従って、記憶部16に記憶されている制御情報を変更する。
したがって、ステップS8で記憶部13,16の制御情報を変更した後の空気調和機1の空調運転は、サーバ4で算出された空気調和機1の変更入力情報を反映したものとなり、上記の例では、室外機1bのファンモータの駆動音が抑制されることとなる。
【0029】
次に、図3のステップS6において、空気調和機1の変更入力情報を生成する手順について説明する。
図4は、サーバの制御情報算出プログラムが変更入力情報を生成する手順を示すフローチャートである。図4のステップS601でサーバ4は、ネットワーク3を介して情報端末2から変更依頼情報及び運転履歴情報を受信し、これらを受信情報データベース411(図2参照)に格納する。なお、当該受信は、サーバ4の送受信部43を介してなされる。
受信情報データベース411には、図5に示すように、ネットワーク3を介して情報端末2から受信した空気調和機1の変更依頼情報及び運転履歴情報が格納される。運転履歴情報は空気調和機1の入力情報と、当該入力情報に対応する出力情報を含む。
受信情報データベース411には、サーバ4がネットワーク3を介して空気調和機1から取得した運転履歴情報等や、図1に示すように、空気調和機1とは異なる他の空気調和機1A,1B,・・・,1N(図1参照)についての運転履歴情報等も逐次格納されていくものとする。
【0030】
図5は、サーバの記憶部に記憶される受信情報データベースの例を示す図である。
図5の各列に記載した数字は、それぞれの変更依頼情報及び運転履歴情報(入力情報及び出力情報)に対して割り振られた番号を示す。図5に示す変更依頼情報のa,k,・・・,dは、ユーザが情報端末2の入力部22を介して入力した内容(例えば、「室外機の駆動音を抑制する」)に対応付けて割り振られている。
また、図5の受信情報データベース411では、入力情報を、圧縮機モータの回転速度、室外機ファンモータの回転速度、室内機ファンモータの回転速度、室外機の膨張弁の開度、室内機のフラップの開閉角度、室内機のパネルの開閉角度としている。また、出力情報を、運転電流値、圧縮機の吸入側の圧力、圧縮機の吐出側の圧力、室内温度としている。
なお、入力情報は上記で挙げたものの他、例えば、室内機1aの二方弁(図示せず)の開閉タイミング等がある。また、出力情報は上記で挙げたものの他、冷媒サイクル(図示せず)各部の冷媒圧力及び冷媒温度等がある。
【0031】
図4に戻って、ステップ602でサーバ4の制御情報算出プログラム421は、受信した変更依頼情報に対応して、複数の入力の中で、値を変化させる入力を選択する。上記の複数の入力のうち値を変化させる入力は、サーバ4に予め設定されている。例えば、受信した変更依頼情報が、「室外機の駆動音を抑制する」であった場合には、サーバ4は、室外機ファンモータの回転速度を減少させるように設定されている。
なお、上記では値を変化させる入力を1種類(室外機ファンモータの回転速度)としたが、値を変化させる入力の種類は複数あってもよい。
【0032】
本実施形態では、事前の実験でタグチメソッドの実験計画法を用いて、空気調和機1を運転し、各入力の値の変化に対する各出力の変化の度合いを示す感度Sを、予めデータとして取得しておく。値を変化させる入力の種類が複数ある場合には、空気調和機1について事前に各入力の値に対する出力の感度Sを求め、感度Sに基づいて各入力値を変化させる量を予め設定しておく。
図7は、実験計画法で各出力値を取得する際に用いられる各入力の値の例を示す図である。図7に示すように、実験計画法では、各入力(制御因子)について3段階(第1水準、第2水準、第3水準)で値を設定し、公知の直交表(図示せず)を用いてその出力(応答)を調べる。そして、直行表に基づいた各入力値の組み合わせ従って各出力値を計測し、その結果に基づいて感度Sを求める。
なお、上記の直行表を用いた感度Sの算出方法については、公知の算出方法に従うので、説明を省略する。
【0033】
図8は、実験計画法を用いて算出された、入力に対する出力の感度を示す要因効果図の例である。図8では例として、運転電流値の各入力に対する感度を示している。
図8(a)において横軸は、各入力(図7のA,B,C,D,E,Fに対応)の第1水準、第2水準、第3水準を割り付けており、縦軸では各入力のそれぞれの水準に対する出力(運転電流値)の感度S(db)を示している。また、それぞれの入力の各水準の中で運転電流値の感度Sが最大となるものを○で囲っている。詳細な説明は省略するが、各入力のうち○で囲った部分の感度を参照することによって、その入力の変化がどの程度出力の変化に影響を与えるかを予測することができる。
【0034】
図8を参照すると、出力である運転電流値の各入力に対する感度Sのうち、入力B(室外機ファンモータの回転速度)に対する感度が最も大きい。したがって、室外機ファンモータの回転速度の変化が、運転電流値の変化に最も影響を与えることが分かる。また、入力D(室外機の膨張弁の開度)に対する運転電流値の感度は他の入力に対する感度と比べて小さく、運転電流値に対して与える影響が小さいことがわかる。
図8では、出力が運転電流値の場合について説明したが、他の出力の場合も同様にして、各入力に対する感度を求めることができる。そして、事前の実験により、所定の変更依頼情報に応じた入力の変化量を設定し、記憶部41に記憶させる。また、入力の変化の種類が複数ある場合に、各入力の変化量を上記の実験計画法に基づいて事前に設定し、記憶部41に記憶させる。
上記の設定では、変化後の入力値及び出力値が図6(a),(b)に示す許容範囲内に収まるようにする。なお、図6(a),(b)は入力値及び出力値の許容範囲の例示であり、これに限られない。
【0035】
図4のステップ603でサーバ4の制御情報算出プログラム421は、ステップS601で受信した運転履歴情報の各入力値のうち、ステップS602で選択した入力の値を予め定められた所定量だけ変化させ、その場合の出力値を算出する。
すなわちステップ603でサーバ4は、運転履歴情報のうちステップS602で値を変化させた結果としての各入力値を用いて、例えば、熱伝導方程式、エネルギー保存則、潜熱・顕熱に関連する相変換計算式等を用いて各出力値を算出する。上記の数式は、空気調和機1の運転に関連した物理法則を示す式であり、これに限られるものではない。また、上記の計算では、情報端末2の入力部22を介してユーザにより入力された諸条件(室外の温度等)を数式に代入する。
なお、上記の各数式についての詳細な説明は省略する。
【0036】
次に、ステップS604でサーバ4は、ステップS603で算出された各出力値が所定の許容範囲内にあるか否か判断する。図6(b)に示すように各出力値は、その許容範囲内に存在する必要があるからである。
例えば、変更依頼情報が、「暖房の時もっと部屋を温めたい」という内容であった場合に、入力値である圧縮機モータの回転速度が高くなるように変化させ、冷媒循環量を増やせば室内の温度を上げることができる。しかし、例えば出力値である電流値が許容範囲(15A以下:図6(b)参照)を超えた場合には、冷媒の圧力が上昇するとともに電気代も増加する等の問題が生じる。したがって、すべての出力値を許容範囲内に収める必要がある。
【0037】
ステップS604で、それぞれの出力値が全て許容範囲内にある場合には(ステップS604→Yes)、ステップS605に進む。ステップS605で、サーバ4は、送受信部43からネットワーク3を介して変更入力情報を情報端末2に送信する。ここで、「変更入力情報」とは、ステップS603で算出された結果である各出力値が全て許容範囲内に存在する場合(ステップS604→Yes)に対応した、各入力値のセットを示す。
【0038】
ステップS604で、許容範囲内にない出力値が少なくとも1つ存在する場合には(ステップS604→No)、ステップS606に進み、入力の変化量を再設定する。
ステップS602で選択された入力の種類が一つ(例えば、圧縮機のモータの回転速度)であった場合には、ステップS603における出力値の算出に際して用いられた入力の変化量の、例えば0.9倍とすることができる。このようにして、ステップS604でそれぞれの出力値が全て許容範囲内に収まるまで、入力の変化量を少しずつ小さくしていく。
そして、ステップS604で各出力値が全て許容範囲内となった場合には(ステップS604→Yes)、サーバ4は、送受信部43からネットワーク3を介して変更入力情報を情報端末2に送信する(ステップS605)。
【0039】
以上のように本実施形態では、空気調和機1から取得した運転履歴情報に基づいて所定の変更量だけ入力の値を変化させ、さらに、その出力値を算出して、全ての出力値が許容範囲内に収まることを条件として変更入力情報を生成している。したがって、個々の空気調和機の運転履歴を反映させた適切な変更入力情報をネットワーク3及び情報端末2を介して空気調和機1に送信することによって、空気調和機1の制御情報を適切に変更することができる。
また、サーバ4において処理される、入力の値を変化させた場合の出力値の算出過程で、情報端末2の入力部22を介してユーザにより入力された諸条件(室外温度等)を所定の数式に代入して出力値を算出している。したがって、空気調和機1が設置されている実際の環境に応じた出力値を算出することができ、入力値の変更量が適切か否かをより的確に判断することができる。したがって、空気調和機1が変更入力情報に従って制御情報を変更した場合にも、各出力値が許容範囲内に収まる可能性がより高くなる。
【0040】
≪第2実施形態≫
本実施形態では、サーバ4がネットワーク3を介して情報端末2に変更入力情報を送信し、空気調和機1の制御情報を変更した後、さらに、ネットワーク3を介してサーバ4が空気調和機1の制御情報を取得する点が第1実施形態の場合と異なるが、他の点は同様である。したがって、上記異なる点について説明し、第1実施形態と重複する点については説明を省略する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る空気調和機の制御情報の提供システムのシステム構成図である。本実施形態では、第1実施形態の場合と比較して、サーバ4の記憶部41が適正値情報データベース412を備え、制御部42がパラメータ修正プログラム422を備える点が異なる。
適正値情報データベース412には、運転履歴データベース411のうち、空気調和機1の各出力値が全て許容範囲内となった場合の空気調和機1の運転履歴情報が、変更依頼情報と対応付けられて格納される。また、パラメータ修正プログラム422は、制御情報算出プログラム421が入力情報を算出する際に用いる計算式のパラメータの値を、運転履歴情報に基づいて修正する。
なお、上記の適正値情報データベース412及びパラメータ修正プログラム422の詳細については、後記する。
【0041】
図10は、サーバの記憶部に記憶される適正値情報データベースの例を示す図である。図10に示すように、適正値情報データベース412は、変更依頼情報及び運転履歴情報と、当該変更依頼情報及び運転履歴情報に応じてネットワーク3を介して情報端末2に送信した変更入力情報を含む適正値情報を複数有する。
図10の最上段に示す番号は、それぞれの適正値情報に対して割り振られた番号を示す。また、変更依頼情報c,a,・・・,fは、ユーザが情報端末2の入力部22を介して入力した内容(例えば、「室外機の駆動音を抑制する」)に対応付けて割り振られている。さらに、運転履歴情報は、ネットワーク3及び情報端末2を介して空気調和機1から取得した入力情報及び出力情報であり(図5参照)、1*,2*,・・・,n*で示している。また、変更入力情報は、対応する列に記載の変更依頼情報及び運転履歴情報に応じて、ネットワーク3及び情報端末2を介して空気調和機1に送信されたものある。
【0042】
適正値情報データベース412の第1列は、例えば、「室外機の駆動音を抑制する」等の変更依頼情報cと、運転履歴情報1*を受信した場合に、サーバ4が、圧縮機モータの回転速度を3700rpm/min,室外機ファンモータの回転速度を800rpm/min,・・・,室外機のパネルの開閉角度を30°とする変更入力情報を、情報端末2を介して空気調和機1に送信した場合を示す。適せ位置情報データベース412の各適正値情報は、変更入力情報を受信した後の空気調和機1の運転履歴情報を取得し、全ての出力値が許容範囲内(図6(b)参照)に収まっていることを条件として格納される。
つまり、適正値情報データベース412は、変更入力情報が適切であった場合の諸条件を格納するものである。
【0043】
図11は、空気調和機と情報端末との間、及び、情報端末とサーバとの間での情報の動きを示すチャート図である。図11のステップS1〜S5は、図3のステップS1〜S5で説明したものと同様であるから、その説明を省略する。
図11のステップS6でサーバ4は、空気調和機1から取得した変更依頼情報及び運転履歴情報に基づいて変更入力情報を生成し、ステップS7でネットワーク3を介して情報端末2に上記変更依頼情報を送信する。
図12は、サーバの制御情報算出プログラム421により変更入力情報を生成する手順(図11のステップS6に相当)を示すフローチャートである。ステップS61でサーバ4は、ネットワーク3を介して情報端末2から変更依頼情報及び運転履歴情報を受信し、これらを受信情報データベース411(図9参照)に格納する。ステップS62でサーバ4は、適正値情報データベース412を参照し、変更依頼情報がステップS61で受信した変更依頼情報と一致し、かつ、その場合の運転履歴情報の各入力値がステップS61で受信した運転履歴情報の各入力値を基準とした所定範囲内にある適正値情報が存在するか否か判断する。
なお、上記の運転履歴情報の各入力値を基準とした「所定範囲」については、予め設定されているものとする。
【0044】
例えば、ステップS61で受信した変更依頼情報が「室外機の駆動音を抑制する」という変更依頼情報であった場合に、図10に示す適正値データベースの各適正値情報の中で当該変更依頼情報に一致するものがあるか否か判断する。さらに変更依頼情報に一致するものの中で、ステップS61で受信した運転履歴情報の各入力値を基準とした所定範囲(例えば、圧縮機モータの回転速度は±50rpm/min、室外機ファンモータの回転速度は±20rpm/min・・・等)に存在する適正値情報がある否か判断する。
適正値情報データベース412は、変更入力情報が適切であった場合の諸条件を格納するものである。したがって、適正値情報データベース412の中で、ステップS61で受信した条件に近い運転履歴情報等ものが存在すれば、これに対応して送信した変更入力情報によって空気調和機1の制御情報を変更すると、空気調和機1の各出力値は図6(b)に示す許容範囲内に収まると考えられる。
【0045】
ステップS62で、変更依頼情報及び適正値情報が上記の条件を満たす場合(ステップS62→Yes)、図12のステップS63でサーバ4は、ステップS62で各出力値が許容範囲内となる適正値情報のうちの変更入力情報を、ネットワーク3を介して情報端末2に送信する。
ステップS62で、変更依頼情報及び適正値情報が上記の条件を満たさない場合(ステップS62→No)、図12のステップS64に進む。ステップS64〜S68は、図4のステップS602〜S606に対応するので、説明を省略する。
【0046】
図11に戻って、ステップS8で、室内機1aの制御部12は、情報端末2から受信した変更入力情報に従って、記憶部13に記憶されている制御情報を変更する。
図11のステップS9で、サーバ4は、所定時間(例えば、3時間)経過後、運転履歴情報の取得信号を、ネットワーク3を介して情報端末2に送信する。これは、変更された制御情報に従って空気調和機1の運転を行った場合に、全ての出力値が適切な範囲に収まっているかを確認するためである。
なお、ステップS9以後の処理は、図12のステップS62の条件を満たさず(ステップS62→No)、制御情報算出プログラム421によって変更入力情報を生成した場合に行われる。
【0047】
ステップS10で、情報端末2は記憶部24から上記の運転履歴情報の取得信号を読み出して送受信部21から室内機1aに送信する。
ステップS11で、室内機1aの制御部12は、ステップ8で情報端末2から受信した運転履歴情報の取得信号に従い、記憶部13,16に記憶されている運転履歴情報を読み出して送受信部11から情報端末2に送信する。上記の運転履歴情報は、ステップS8で受信した変更依頼情報に従って、空気調和機1の制御情報を変更した後の運転履歴情報である。情報端末2は、受信した空気調和機1の運転履歴情報を記憶部24に記憶する。
ステップS12で、情報端末2の制御部23は、ステップS11で受信した空気調和機1の運転履歴情報を記憶部24から読み出し、送受信部21からネットワーク3を介してサーバ4に送信する。
【0048】
ステップS13でサーバ4は、変更入力情報を新たに生成するか否かを決定し、その決定に従って変更入力情報を生成する。なお、変更入力情報を生成する条件については後記する。
さらに、ステップS14でサーバ4は、ネットワーク3を介して情報端末2に新たな変更入力情報を送信する。ステップS15で情報端末2は、上記の新たな変更入力情報を空気調和機1に送信し、空気調和機1の制御情報を変更する。
そして、当該新たな変更入力情報に従って制御情報を変更した場合の空気調和機1の出力が、図6(b)に示す許容範囲内に収まるまでネットワーク3を介した送受信(ステップS9〜S15)を繰り返す。
【0049】
図13は、空気調和機の制御情報を変更した後の運転履歴情報を受信した場合の、サーバの処理過程を示すフローチャートである。
ステップS1301で、サーバ4は、ネットワーク3を介して情報端末2から運転履歴情報を受信する。ステップS1302でサーバ4は、上記運転履歴情報の中の各出力値が全て許容範囲(図6(b)参照)内に存在するか否か判断する。ステップS1302で、各出力値が全て許容範囲内に存在する場合(ステップS1302→Yes)、ステップS1303に進む。ステップS1303でサーバ4は、図11のステップS5で受信した変更依頼情報及び運転履歴情報と、ステップS6で生成した変更入力情報を対応付けて、適正値情報データベース412に格納する。
【0050】
ステップS1302で、運転履歴情報に含まれる各出力値のうち、許容範囲内から外れているものが存在する場合(ステップS1302→No)、ステップS1304に進む。ステップS1304でサーバ4のパラメータ修正プログラム422は、空気調和機1の各入力値から各出力値を求める際に用いられる数式のパラメータを修正する。当該数式は、上記で説明したように、例えば、熱伝導方程式、エネルギー保存則、潜熱・顕熱に関連する相変換計算式等であり、図12のステップS65で各出力値を算出する際に用いられるものである。
これは、ステップS1302で許容範囲から外れる出力値が存在するのは、図12のステップS65で算出した出力値について、実際の空気調和機1が運転した場合の出力値との誤差が生じるためである。
【0051】
ステップS1304におけるパラメータ修正は、例えば、ニューラルネットを用いた学習により実現することができる。つまり、図11のステップS12でサーバ4が受信した空気調和機1の運転履歴情報のうち出力情報を目標値とし、各入力値のパラメータを逐次修正していくことによって空気調和機1の実際の出力と理論値との誤差を小さくしていく。さらに、上記の誤差が所定の値以下となるまで計算することにより、実際の空気調和機1の入出力関係により近いパラメータを導出することができる。
図13のステップS1305〜S1308は、図4のステップS603〜S606の処理と同様であるから、その説明を省略する。
【0052】
以上のように、本実施形態では、適正値情報データベース412を備え、サーバ4が受信した空気調和機1の変更依頼情報と一致し、かつ、運転履歴情報の各入力値を基準とした所定範囲内に存在する適正値情報にある場合には、当該適正値情報の変更入力情報を送信する。したがってこの場合には、出力値を算出する必要がないため、サーバ4の処理負担が軽減される。
また、適正値情報は、サーバ4が受信した変更依頼情報に一致することが必要となるため、空気調和機1が設置されている実際の環境に対応した変更入力情報を送信することができる。
さらに、空気調和機1の制御情報を変更した後も、運転履歴情報の送信依頼情報により空気調和機1の運転履歴情報を取得して、許容範囲外に存在する場合には出力を算出するための数式のパラメータを修正し、実際の空気調和機1により近くなるようにすることができる。したがって、空気調和機1の変更入力情報として、より適切な値を算出することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1,1A,1B,・・・,1N 空気調和機
1a 室内機
1b 室外機
11 送受信部
12,15 制御部
13,16 記憶部
14,17 駆動装置
2,2A,2B,・・・,2N 情報端末
21 送受信部
22 入力部
23 制御部
24 記憶部
25 表示部
3 ネットワーク
4 サーバ
41 記憶部
411 受信情報データベース
412 適正値情報データベース
42 制御部
421 制御情報算出プログラム
422 パラメータ修正プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機と、該空気調和機と通信可能な情報端末と、ネットワークを介して前記情報端末と通信可能なサーバと、を備えた空気調和機の制御情報の提供システムであって、
前記情報端末は、該情報端末の入力部を介してユーザの操作により入力された変更依頼情報、及び、前記空気調和機から取得した運転履歴情報を、前記ネットワークを介して前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記空気調和機の前記変更依頼情報及び運転履歴情報を、前記ネットワークを介して前記情報端末から受信し、受信した該変更依頼情報及び運転履歴情報に基づいて前記空気調和機の変更入力情報を算出し、該変更入力情報を前記ネットワークを介して前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記ネットワークを介して前記サーバから受信した前記変更入力情報を前記空気調和機に送信し、
前記空気調和機は、前記情報端末から受信した前記変更入力情報に従って、該空気調和機の制御情報を変更すること
を特徴とする空気調和機の制御情報の提供システム。
【請求項2】
1台の前記空気調和機の運転制御を行う際の入力及び出力はそれぞれ複数種類存在し、
前記サーバは、
前記ネットワークを介して前記情報端末から受信した前記変更依頼情報に対応して、前記空気調和機の複数種類の前記入力のうち値を変化させる入力を決定して、該入力の値を所定量だけ変更し、
値を変更した前記入力を含む変更入力情報に基づいて前記空気調和機の各出力値を算出し、算出されたそれぞれの出力値が予め定めされた所定の許容範囲に存在する場合、前記変更入力情報を前記情報端末に送信すること
を特徴とする請求項1に記載の空気調和機の制御情報の提供システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記空気調和機が前記変更入力情報に従って運転し、該空気調和機の各出力値が所定の許容範囲内に収まった場合に、その諸条件を格納する適正値情報データベースを備え、
前記サーバは、前記空気調和機に前記変更入力情報を送信した後、さらに、運転履歴情報の送信依頼信号を前記ネットワークを介して前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記ネットワークを介して前記サーバから受信した前記送信依頼信号を前記空気調和機に送信し、
前記空気調和機は、受信した前記送信依頼信号に従って該空気調和機の運転履歴情報を前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記空気調和機から受信した運転履歴情報を前記ネットワークを介して前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークを介して前記情報端末から受信した前記運転履歴情報の各出力値が、予め定められた所定の許容範囲内に存在する場合、前記空気調和機の前記制御情報を変更する際に受信した変更依頼情報及び運転履歴情報、並びに、前記ネットワークを介して前記情報端末に送信した変更入力情報、を含む適正値情報を前記適正値情報データベースに格納すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機の制御情報の提供システム。
【請求項4】
前記サーバは、前記情報端末から前記ネットワークを介して前記空気調和機の変更依頼情報及び運転履歴情報を受信し、前記適正値情報データベースを参照して、受信した前記変更依頼情報に一致し、かつ、受信した前記運転履歴情報のうち入力情報を基準とした所定範囲内に、変更前の入力情報を持つ前記適正値情報が存在する場合には、前記適正値情報データベースから前記適正値情報のうち変更入力情報を取得して、前記ネットワークを介して前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記ネットワークを介して前記サーバから受信した前記変更入力情報を前記空気調和機に送信し、
前記空気調和機は、前記情報端末から受信した前記変更入力情報に従って制御情報を変更すること
を特徴とする請求項3に記載の空気調和機の制御情報の提供システム。
【請求項5】
空気調和機の変更依頼情報及び運転履歴情報を、ネットワークを介して情報端末から受信し、受信した該変更依頼情報及び運転履歴情報に基づいて前記空気調和機の変更入力情報を算出し、該変更入力情報を前記ネットワークを介して前記情報端末に送信すること
を特徴とするサーバ。
【請求項6】
1台の前記空気調和機の運転制御を行う際の入力及び出力はそれぞれ複数種類存在し、
前記サーバは、
前記ネットワークを介して前記情報端末から受信した前記変更依頼情報に対応して、前記空気調和機の複数種類の前記入力のうち値を変化させる入力を決定して、該入力の値を所定量だけ変更し、
値を変更した前記入力を含む変更入力情報に基づいて前記空気調和機の各出力値を算出し、算出されたそれぞれの出力値が予め定めされた所定の許容範囲に存在する場合、前記変更入力情報を前記情報端末に送信すること
を特徴とする請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
前記サーバは、前記空気調和機が前記変更入力情報に従って運転し、該空気調和機の各出力値が所定の許容範囲内に収まった場合に、その諸条件を格納する適正値情報データベースを備え、
前記空気調和機に前記変更入力情報を送信した後、さらに、運転履歴情報の送信依頼信号を前記ネットワークを介して前記情報端末に送信し、
前記送信依頼信号に応じて、前記ネットワークを介して前記情報端末から受信した前記運転履歴情報の各出力値が、予め定められた所定の許容範囲内に存在する場合、前記空気調和機の前記制御情報を変更する際に受信した変更依頼情報及び運転履歴情報、並びに、前記ネットワークを介して前記情報端末に送信した変更入力情報、を含む適正値情報を前記適正値情報データベースに格納すること
を特徴とする請求項5又は請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記情報端末から前記ネットワークを介して前記空気調和機の変更依頼情報及び運転履歴情報を受信し、前記適正値情報データベースを参照して、受信した前記変更依頼情報に一致し、かつ、受信した前記運転履歴情報のうち入力情報を基準とした所定範囲内に、変更前の入力情報を持つ前記適正値情報が存在する場合には、前記適正値情報データベースから前記適正値情報のうち変更入力情報を取得して、前記ネットワークを介して前記情報端末に送信する
を特徴とする請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
空気調和機と、該空気調和機と通信可能な情報端末と、ネットワークを介して前記情報端末と通信可能なサーバと、を備えた空気調和機の制御情報の提供システムで用いられる制御情報の提供方法であって、
前記情報端末は、該情報端末の入力部を介してユーザの操作により入力された変更依頼情報、及び、前記空気調和機から取得した運転履歴情報を、前記ネットワークを介して前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記空気調和機の前記変更依頼情報及び運転履歴情報を、前記ネットワークを介して前記情報端末から受信し、受信した該変更依頼情報及び運転履歴情報に基づいて前記空気調和機の変更入力情報を算出し、該変更入力情報を前記ネットワークを介して前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記ネットワークを介して前記サーバから受信した前記変更入力情報を前記空気調和機に送信し、
前記空気調和機は、前記情報端末から受信した前記変更入力情報に従って、該空気調和機の制御情報を変更すること
を特徴とする空気調和機の制御情報の提供方法。
【請求項10】
1台の前記空気調和機の運転制御を行う際の入力及び出力はそれぞれ複数種類存在し、
前記サーバは、
前記ネットワークを介して前記情報端末から受信した前記変更依頼情報に対応して、前記空気調和機の複数種類の前記入力のうち値を変化させる入力を決定して、該入力の値を所定量だけ変更し、
値を変更した前記入力を含む変更入力情報に基づいて前記空気調和機の各出力値を算出し、算出されたそれぞれの出力値が予め定めされた所定の許容範囲に存在する場合、前記変更入力情報を前記情報端末に送信すること
を特徴とする請求項9に記載の空気調和機の制御情報の提供方法。
【請求項11】
前記サーバは、前記空気調和機が前記変更入力情報に従って運転し、該空気調和機の各出力値が所定の許容範囲内に収まった場合に、その諸条件を格納する適正値情報データベースを備え、
前記サーバは、前記空気調和機に前記変更入力情報を送信した後、さらに、運転履歴情報の送信依頼信号を前記ネットワークを介して前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記ネットワークを介して前記サーバから受信した前記送信依頼信号を前記空気調和機に送信し、
前記空気調和機は、受信した前記送信依頼信号に従って該空気調和機の運転履歴情報を前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記空気調和機から受信した運転履歴情報を前記ネットワークを介して前記サーバに送信し、
前記サーバは、前記ネットワークを介して前記情報端末から受信した前記運転履歴情報の各出力値が、予め定められた所定の許容範囲内に存在する場合、前記空気調和機の前記制御情報を変更する際に受信した変更依頼情報及び運転履歴情報、並びに、前記ネットワークを介して前記情報端末に送信した変更入力情報、を含む適正値情報を前記適正値情報データベースに格納すること
を特徴とする請求項9又は請求項10に記載の空気調和機の制御情報の提供方法。
【請求項12】
前記サーバは、前記情報端末から前記ネットワークを介して前記空気調和機の変更依頼情報及び運転履歴情報を受信し、前記適正値情報データベースを参照して、受信した前記変更依頼情報に一致し、かつ、受信した前記運転履歴情報のうち入力情報を基準とした所定範囲内に、変更前の入力情報を持つ前記適正値情報が存在する場合には、前記適正値情報データベースから前記適正値情報のうち変更入力情報を取得して、前記ネットワークを介して前記情報端末に送信し、
前記情報端末は、前記ネットワークを介して前記サーバから受信した前記変更入力情報を前記空気調和機に送信し、
前記空気調和機は、前記情報端末から受信した前記変更入力情報に従って制御情報を変更すること
を特徴とする請求項11に記載の空気調和機の制御情報の提供方法。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の空気調和機の制御情報の提供方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−237490(P2012−237490A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106378(P2011−106378)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】