説明

空気調和機用防音材

【課題】圧縮機の騒音低減効果を向上させることができる空気調和機用防音材を提供する。
【解決手段】遮音材15は、圧縮機の配管接続面を被覆する板状部17と、この板状部17と一体であり、板状部17から配管の延びる方向に突出する筒状部19とを備えている。遮音材15は、板状部17を厚み方向に貫通するとともに筒状部19をその突出方向に貫通し、配管を挿通するための挿通口21と、板状部17の面方向の端部から挿通口21まで延び、さらにこの挿通口21に沿って筒状部19の前記突出方向の先端部まで延びるスリット23と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の圧縮機の表面を覆う空気調和機用防音材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーシング内に圧縮機を備えている空気調和機では、圧縮機の作動に伴って騒音が発生するため、圧縮機の表面を板状の空気調和機用防音材により被覆して騒音を低減する対策が施されている。
【0003】
例えば特許文献1には、板状の遮音材と、この遮音材の厚み方向の両側に積層された板状の吸音材とを備えた空気調和機用防音材が開示されている。遮音材は例えばゴムにより形成され、吸音材は例えばフェルトにより形成されている。この空気調和機用防音材には、圧縮機の配管が挿通される挿通口と、この挿通口から防音材の面方向の端部まで延びるスリットとが形成されている。このスリットの隙間を大きくするように空気調和機用防音材を撓み変形させることにより、スリットを通じて圧縮機の配管を挿通口に挿通させ、空気調和機用防音材を圧縮機の表面に簡単に装着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−220820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の空気調和機用防音材では、挿通口から防音材の面方向の端部までつづくスリットが形成されているので、空気調和機用防音材の挿通口と圧縮機の配管との間に隙間ができやすい。このような隙間が存在すると、この隙間から圧縮機の騒音が漏れやすくなる。
【0006】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧縮機の表面への装着しやすさを維持しつつ、圧縮機の騒音低減効果を向上させることができる空気調和機用防音材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空気調和機用防音材は、吸音材(13)と弾性を有する遮音材(15)とが積層された多層構造を有し、圧縮機の外表面のうち、前記圧縮機の吐出配管及び吸入配管の少なくとも一方の配管が接続された配管接続面を被覆する。前記遮音材(15)は、板状部(17)と、筒状部(19)とを備えている。前記板状部(17)は、前記配管接続面を被覆する。前記筒状部(19)は、前記板状部(17)と一体であり、前記板状部(17)から前記配管の延びる方向に突出している。前記遮音材(15)は、挿通口(21)と、スリット(23)とを有している。前記挿通口(21)は、前記板状部(17)を厚み方向に貫通するとともに前記筒状部(19)をその突出方向に貫通し、前記配管を挿通するためのものである。前記スリット(23)は、前記板状部(17)の面方向の端部から前記挿通口(21)まで延び、さらにこの挿通口(21)に沿って前記筒状部(19)の前記突出方向の先端部まで延びている。
【0008】
この構成では、前記遮音材(15)は、前記配管接続面を被覆する板状部(17)と一体の前記筒状部(19)を備えているので、圧縮機の配管接続面に接続された配管の根元部分は、従来のように板状部(17)だけで覆われるのではなく、筒状部(19)によってその突出方向に沿って筒状に覆われる。このように筒状部(19)によって配管の根元部分が覆われることにより、挿通口(21)と圧縮機の配管との間にたとえ多少の隙間が存在していても、圧縮機の騒音が漏れにくくなる。したがって、スリット(23)を設けることによる装着しやすさを維持しつつ、圧縮機の騒音低減効果を向上させることができる。また、筒状部(19)を設けることによって配管の振動を抑制する効果も期待できる。
【0009】
前記空気調和機用防音材において、前記挿通口(21)の内径のうち、少なくとも前記筒状部(19)の前記先端部における内径は、前記配管の外径以下であるのが好ましい。
【0010】
この構成では、前記挿通口(21)の内径のうち、少なくとも前記筒状部(19)の前記先端部における内径は、前記配管の外径以下であるので、遮音材(15)の筒状部(19)を少なくとも前記先端部において配管に密着させることができる。これにより、圧縮機の騒音低減効果をさらに向上させることができる。
【0011】
前記空気調和機用防音材において、前記挿通口(21)は、前記先端部側に向かうにつれて内径が小さくなるテーパー形状を有していてもよい。
【0012】
この構成では、筒状部(19)の先端部側の部位において遮音材(15)が配管に密着しやすくなる一方で、板状部(17)につながっているために前記先端部に比べて撓み変形しにくい基端部側の部位において挿通口(21)の内径を大きめにしておくことにより、圧縮機に空気調和機用防音材を装着しやすくなる。
【0013】
前記挿通口(21)が前記テーパー形状を有している場合において、前記挿通口(21)は、前記先端部における内径が前記配管の外径よりも小さく、前記先端部とは前記突出方向の反対側に位置する基端部における内径が前記配管の外径以上であるのが好ましい。
【0014】
この構成では、前記先端部における挿通口(21)の内径を前記配管の外径よりも小さくすることにより、筒状部(19)の先端部側の部位において遮音材(15)が配管に密着しやすくなる。その一方で、前記基端部における挿通口(21)の内径を前記配管の外径以上にすることにより、スリット(23)の隙間を閉じた状態で板状部(17)を圧縮機の配管接続面に配置することができるので、スリット(23)からの騒音の漏れも抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、圧縮機の騒音低減効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる空気調和機用防音材を圧縮機に装着した状態を示す斜視図である。
【図2】(A)は、第1実施形態の前記空気調和機用防音材を示す斜視図であり、(B)は、その分解立体図である。
【図3】(A)は、第1実施形態の前記空気調和機用防音材の変形例を示す斜視図であり、(B)は、その分解立体図である。
【図4】(A)は、本発明の第2実施形態にかかる空気調和機用防音材を示す平面図であり、(B)は、(A)のIVB−IVB線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態にかかる空気調和機用防音材について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態にかかる空気調和機用防音材11は、空気調和機に用いられる圧縮機31の外表面を被覆して圧縮機31からの機械音を吸音及び遮音するためのものである。
【0019】
圧縮機31は、例えば上下方向に延びる円筒状の側面39と水平方向に延びる平板状の下面及び上面37を有するケーシングを備えている。このケーシング内には、冷媒ガスを圧縮するための図略の圧縮機構、この圧縮機構を駆動するための図略のモータなどが配設されている。圧縮機31の上面37には、円筒状の吐出配管33と、この吐出配管33よりも径の大きな吸入配管35とが接続されている。吐出配管33及び吸入配管35は、上面37から上方に延設されている。
【0020】
第1実施形態の空気調和機用防音材11は、圧縮機31のケーシングの外表面のうち、圧縮機31の吐出配管33及び吸入配管35が接続された配管接続面としての上面37を被覆している。ケーシングの側面39には、両端部が重ねられた状態で帯状の防音材41が巻き付けられており、ひも状の固定部材43により両端部が互いに固定されている。防音材41は、ケーシングの側面39のほぼ全面を被覆している。
【0021】
図2(A),(B)に示すように、空気調和機用防音材11は、第1吸音材13と、弾性を有する遮音材15と、第2吸音材14とがこの順に積層された3層構造を有している。遮音材15は、例えば合成ゴムなどの弾性材料により構成されており、圧縮機31で発生した音を遮断する役割を担う。吸音材13,14は、例えばフェルトなどの材料により構成されており、圧縮機31で発生した音を吸音する役割を担う。
【0022】
遮音材15は、板状部17と、第1筒状部19と、第2筒状部20とを備えている。板状部17は、ケーシングの上面37とほぼ同じ大きさ及び形状を有しており、上面37のほぼ全体を被覆している。第1筒状部19及び第2筒状部20は、板状部17と一体である。遮音材15が例えば合成ゴムからなる場合には、板状部17と、第1筒状部19及び第2筒状部20とを一体成形することにより遮音材15が得られる。
【0023】
第1筒状部19は、板状部17から吐出配管33の延びる方向(上方)に突出しており、吐出配管33の根元部分の側面を覆うことができる。第2筒状部20は、板状部17から吸入配管35の延びる方向(上方)に突出しており、吸入配管35の根元部分の側面を覆うことができる。
【0024】
また、遮音材15は、第1挿通口21と、第2挿通口22と、第1スリット23と、第2スリット24とを有している。第1挿通口21は、板状部17を厚み方向に貫通するとともに第1筒状部19をその突出方向に貫通している。この第1挿通口21には、吐出配管33が挿通される。第2挿通口22は、板状部17を厚み方向に貫通するとともに第2筒状部20をその突出方向に貫通している。この第2挿通口22には、吸入配管35が挿通される。
【0025】
第1スリット23は、板状部17の面方向の端部から第1挿通口21まで延び、さらにこの第1挿通口21に沿って第1筒状部19の前記突出方向の先端部まで連続して延びている。第2スリット24は、板状部17の面方向の端部から第2挿通口22まで延び、さらにこの第2挿通口22に沿って第2筒状部20の前記突出方向の先端部まで連続して延びている。
【0026】
第1実施形態では、第1挿通口21及び第2挿通口22の内径は、前記突出方向においてほぼ一定である。第1挿通口21の内径は、吐出配管33の外径とほぼ同じである。第2挿通口22の内径は、吸入配管35の外径とほぼ同じである。これにより、第1筒状部19及び第2筒状部20の内面と吐出配管33及び吸入配管35の外面と隙間をほぼなくすことができ、第1筒状部19を吐出配管33の根元部分に密着させ、第2筒状部20を吸入配管35の根元部分に密着させることができる。ここで、遮音材15の挿通口21,22の内径とは、圧縮機31に装着されていない遮音材15において、スリット23,24を隙間なく閉じた状態で測定される挿通口21,22の径のことをいう。
【0027】
また、第1筒状部19を吐出配管33に巻き付けたときに、第1筒状部19の第1スリット23に生じる隙間が微少間隔に抑えることができる範囲であれば、第1挿通口21の内径を吐出配管33の外径よりも小さくすることもできる。同様に、第2筒状部20を吸入配管35に巻き付けたときに、第2筒状部20の第2スリット24に生じる隙間が微少間隔に抑えることができる範囲であれば、第2挿通口22の内径を吸入配管35の外径よりも小さくすることもできる。この場合、第1筒状部19は、吐出配管33にきつめに巻き付けられる状態となり、第2筒状部20は、吸入配管35にきつめに巻き付けられる状態となるので、互いの密着度合いを高めることができる。これにより、前記微少隙間を除く他の部位において、第1筒状部19及び第2筒状部20の内面と吐出配管33及び吸入配管35の外面と隙間をほぼなくすことができる。
【0028】
第1筒状部19及び第2筒状部20の突出高さは、特に限定されないが、例えば圧縮機31の運転に伴って吐出配管33及び吸入配管35に生じる振動の大きさ、共鳴の振動数などに応じて調整することができる。第1筒状部19及び第2筒状部20の肉厚についても振動の大きさ、共鳴の振動数などに応じて調整することができる。このように突出高さ及び厚みの調整をすることにより、吐出配管33及び吸入配管35の振動を抑制する効果及び共鳴を抑制する効果を得ることができる。
【0029】
また、振動抑制効果及び共鳴抑制効果を得る目的で遮音材15とは別体の筒状体を吐出配管33及び吸入配管35に装着する場合と比較すると、筒状部19,20は、板状部17と一体化されているので、吐出配管33及び吸入配管35に加わる荷重をより大きくすることができる。したがって、筒状部19,20は、別体の筒状体に比べてより大きな振動抑制効果及び共鳴抑制効果が期待できる。
【0030】
第1吸音材13及び第2吸音材14は、ケーシングの上面37とほぼ同じ大きさ及び形状を有している。第1吸音材13及び第2吸音材14は、遮音材15と接着されて一体化されていてもよく、接着せずに別体のまま積層配置されていてもよい。
【0031】
第1吸音材13は、吐出配管33が挿通される挿通口51と、吸入配管35が挿通される挿通口52と、スリット53と、スリット54とを有している。第2吸音材14は、配管33が挿通される挿通口61と、吸入配管35が挿通される挿通口62と、スリット63と、スリット64とを有している。挿通口51には、第1筒状部19が挿通され、挿通口52には、第2筒状部20が挿通される。
【0032】
スリット53は、第1吸音材13の面方向の端部から挿通口51まで延びており、スリット54は、第1吸音材13の面方向の端部から挿通口52まで延びている。同様に、スリット63は、第2吸音材14の面方向の端部から挿通口61まで延びており、スリット64は、第2吸音材14の面方向の端部から挿通口62まで延びている。
【0033】
空気調和機用防音材11は、各スリットの隙間を大きくするように防音材11を撓み変形させ、対応するスリットを通じて吐出配管33及び吸入配管35を各挿通口に挿通させることにより、圧縮機31の上面37に装着される。
【0034】
図3(A)は、第1実施形態の空気調和機用防音材11の変形例を示す斜視図であり、図3(B)は、その分解立体図である。この変形例の空気調和機用防音材11は、遮音材15と、吸音材14とが積層された2層構造を有している。この変形例では、吸音材14が遮音材15の下方に配置されているが、遮音材15の上方に配置されていてもよい。
【0035】
<第2実施形態>
図4(A)は、本発明の第2実施形態にかかる空気調和機用防音材を示す平面図であり、図4(B)は、図4(A)のIVB−IVB線断面図である。この第2実施形態では、遮音材15の第1挿通口21及び第2挿通口22は、先端部側に向かうにつれて内径が小さくなるテーパー形状をそれぞれ有している。
【0036】
第1挿通口21は、少なくとも第1筒状部19の先端部における内径が吐出配管33の外径以下であるのが好ましい。第2挿通口22は、少なくとも第2筒状部20の先端部における内径が吸入配管35の外径以下であるのが好ましい。
【0037】
また、第1挿通口21は、先端部における内径が吐出配管33の外径よりも小さく、先端部とは前記突出方向の反対側に位置する基端部における内径が吐出配管33の外径以上であるのがより好ましい。第2挿通口22は、先端部における内径が吸入配管35の外径よりも小さく、先端部とは前記突出方向の反対側に位置する基端部における内径が吸入配管35の外径以上であるのがより好ましい。
【0038】
ここで、先端部における内径とは、圧縮機31に装着されていない遮音材15において、スリット23,24を隙間なく閉じた状態で測定される挿通口21,22の先端部の径のことをいう。同様に、基端部における内径とは、圧縮機31に装着されていない遮音材15において、スリット23,24を隙間なく閉じた状態で測定される挿通口21,22の基端部の径のことをいう。
【0039】
なお、遮音材15の挿通口21,22の内径を、先端部側に向かうにつれて小さくなるようにする一方で、筒状部19,20の外径は、前記突出方向においてほぼ一定であってもよい。この場合、第1筒状部19及び第2筒状部20の肉厚は、基端部よりも先端部の方が大きくなる。
【0040】
以上説明したように、第1実施形態及び第2実施形態では、遮音材15は、上面37を被覆する板状部17と一体の筒状部19を備えているので、圧縮機31の上面37に接続された吐出配管33の根元部分及び吸入配管35の根元部分は、従来のように板状部だけで覆われるのではなく、筒状部19,20によってその突出方向に沿って筒状に覆われる。このように筒状部19,20によって吐出配管33の根元部分及び吸入配管35の根元部分が覆われることにより、挿通口21と吐出配管33との間、及び挿通口22と吸入配管35との間にたとえ微少な隙間が存在していても、圧縮機31の騒音が漏れにくくなる。したがって、スリット23,24を設けることによる装着しやすさを維持しつつ、圧縮機31の騒音低減効果を向上させることができる。また、筒状部19,20を設けることによって配管の振動を抑制する効果も期待できる。振動が抑制されると、振動に起因する機械音を低減することができる。また、振動源の圧縮機に直接接続されている吐出配管及び吸入配管の振動を抑えることにより、空気調和機のケーシングや他の機器(例えば吸入配管に接続されているアキュームレータなど)への振動の伝播を抑制する効果も期待できる。
【0041】
また、第1実施形態では、挿通口21の内径のうち、少なくとも筒状部19の先端部における内径は、吐出配管33の外径以下であり、挿通口22の内径のうち、少なくとも筒状部20の先端部における内径は、吸入配管35の外径以下であるので、遮音材15の筒状部19,20を少なくとも先端部において吐出配管33及び吸入配管35に密着させることができる(密閉による遮音効果)。これにより、圧縮機31の騒音低減効果をさらに向上させることができる。
【0042】
また、第2実施形態では、挿通口21,22は、先端部側に向かうにつれて内径が小さくなるテーパー形状を有している。すなわち、第2実施形態では、筒状部19,20の先端部側の部位において遮音材15が吐出配管33及び吸入配管35に密着しやすくなる一方で、先端部に比べて剛性が高い(変形しにくい)基端部側の部位において挿通口21,22の内径を大きめにしておくことにより、圧縮機31に空気調和機用防音材11を装着しやすくなる。
【0043】
また、第2実施形態において、筒状部19の先端部における挿通口21の内径を吐出配管33の外径よりも小さくし、筒状部20の先端部における挿通口22の内径を吸入配管35の外径よりも小さくすることにより、筒状部19,20の先端部側の部位において遮音材15が吐出配管33及び吸入配管35に密着しやすくなる。その一方で、筒状部19の基端部における挿通口21の内径を吐出配管33の外径以上にし、筒状部20の基端部における挿通口22の内径を吸入配管35の外径以上にすることにより、スリット23,24の隙間を閉じた状態で板状部17を圧縮機31の上面37に配置することができるので、スリット23,24からの騒音の漏れも抑制することができる。
【0044】
また、前記実施形態において、第1筒状部19及び第2筒状部20の肉厚が基端部よりも先端部の方が大きい場合には、先端部における剛性をより高めることができる。これにより、配管33,35と筒状部19,20の先端部との密着(密閉)度合いをより高めることができる。
【0045】
(他の実施形態)
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0046】
例えば前記実施形態では、空気調和機用防音材が圧縮機の上面を被覆する形態を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、圧縮機の吐出配管及び吸入配管の少なくとも一方の配管が圧縮機の側面に接続されている場合には、前記空気調和機用防音材を用いて圧縮機の側面を被覆してもよい。
【0047】
前記第1実施形態では、挿通口21の内径が前記突出方向においてほぼ一定である場合を例示したが、これに限定されない。例えば、挿通口21の内径のうち、少なくとも筒状部19の先端部における内径を配管(吐出配管33又は吸入配管35)の外径以下とすることにより、遮音材15の筒状部19を少なくとも先端部において配管に密着させる一方で、前記先端部以外の部位においては、筒状部19の内径を配管の外径よりも大きくすることもできる。
【符号の説明】
【0048】
11 空気調和機用防音材
13,14 吸音材
15 遮音材
17 板状部
19 第1筒状部
20 第2筒状部
21 第1挿通口
22 第2挿通口
23 第1スリット
24 第2スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音材(13)と弾性を有する遮音材(15)とが積層された多層構造を有し、圧縮機の外表面のうち、前記圧縮機の吐出配管及び吸入配管の少なくとも一方の配管が接続された配管接続面を被覆する空気調和機用防音材であって、
前記遮音材(15)は、
前記配管接続面を被覆する板状部(17)と、
前記板状部(17)と一体であり、前記板状部(17)から前記配管の延びる方向に突出する筒状部(19)と、を備え、
前記遮音材(15)は、
前記板状部(17)を厚み方向に貫通するとともに前記筒状部(19)をその突出方向に貫通し、前記配管を挿通するための挿通口(21)と、
前記板状部(17)の面方向の端部から前記挿通口(21)まで延び、さらにこの挿通口(21)に沿って前記筒状部(19)の前記突出方向の先端部まで延びるスリット(23)と、を有している空気調和機用防音材。
【請求項2】
前記挿通口(21)の内径のうち、少なくとも前記筒状部(19)の前記先端部における内径は、前記配管の外径以下である、請求項1に記載の空気調和機用防音材。
【請求項3】
前記挿通口(21)は、前記先端部側に向かうにつれて内径が小さくなるテーパー形状を有している、請求項1又は2に記載の空気調和機用防音材。
【請求項4】
前記挿通口(21)は、前記先端部における内径が前記配管の外径よりも小さく、前記先端部とは前記突出方向の反対側に位置する基端部における内径が前記配管の外径以上である、請求項3に記載の空気調和機用防音材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−122700(P2012−122700A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275475(P2010−275475)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】