説明

空気調和機

【課題】
本発明の目的は、除塵性能に優れた空気調和機を提供することにある。
【解決手段】
本発明の目的は、樹脂繊維網を有するフィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置を備えた空気調和機において、前記フィルターは、その樹脂繊維網の表面に、ステンレスをスパッタリングによって付着させたものであり、前記空気調和機の本体内部であって、前記フィルターよりも室内空気吸い込み側にイオンを放出するイオン発生装置を備えた空気調和機によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機に係り、特に空気中の塵埃を捕集するフィルターを備えている空気調和機に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、室内空気を熱交換器に通して加熱,冷却,除湿などを行って、これを室内に吹出すことにより室内を空気調和する。熱交換器の吸い込み側に空気中の塵埃を除去するフィルターを備え、熱交換器に塵埃が付着して熱交換性能が低下することのないようにすると共に、室内を清浄な空間にして居住者が快適に過ごせるようにしている。一般的なフィルターは、樹脂繊維網とこれを支えるフィルター枠で構成されている。
【0003】
一般的なフィルターに付着した塵埃は、フィルターの網目に絡まり、除去するのに手間がかかると共に特に油分を含んだ汚れが落とし難いという問題があった。
【0004】
そこで、フィルターの汚れを落とし易くする従来技術として、特許文献1に示されたフィルターが案出されている。特許文献1には、線材間に形成した隙間を介して空気等を流通せしめる網戸やエアコンのフィルターに付着した異臭成分や汚れを分解するために、スパッタリングにて酸化チタンを線材の表面に形成することが記載されている。
【0005】
フィルターには空気調和機の運転中に室内空気が通るので、空気調和機の運転に伴って室内空気中の塵埃が徐々に蓄積されて行く。このため、適宜な時期にフィルターを清掃する必要がある。
【0006】
そこで、フィルターに付着した塵埃を自動的に除去する従来技術として、フィルターを挟み込みながらゴミ取り部を左右に移動させるような特許文献2、或いは、吸引式の特許文献3等の空気調和機が案出されている。
【0007】
【特許文献1】特開平9−75633号公報
【特許文献2】特開2004−301355号公報
【特許文献3】特開2002−340395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のフィルターでは、金属網の表面にスパッタリングにて酸化チタン膜を被着しているため、高価になってしまう。
【0009】
特許文献2の空気調和機では、フィルター表面に付着したゴミを除去するためのゴミ取り部に付属して、除去したゴミを回収するカバーを備えるようにしている。このため、移動するゴミ取り部全体が大きくなり、大きな移動空間と移動のための大きな駆動力とを確保する必要があった。
【0010】
特許文献3の空気調和機では、ごみ吸引部,吸引ファン部及び吸引ダクト部からなる複雑なごみ除去手段であるため、高価になってしまう。
【0011】
本発明の目的は、除塵性能に優れた空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、樹脂繊維網を有するフィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置を備えた空気調和機において、前記フィルターは、その樹脂繊維網の表面に、ステンレスをスパッタリングによって付着させたものであり、前記空気調和機の本体内部であって、前記フィルターよりも室内空気吸い込み側にイオンを放出するイオン発生装置を備えた空気調和機によって達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、除塵性能に優れた空気調和機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の複数の実施形態について図を用いて説明する。各実施形態の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の空気調和機を図1から図20を用いて説明する。
【0015】
まず、空気調和機の全体構成を、図1〜図3を用いて説明する。図1は本発明の第1実施形態の空気調和機の構成図、図2は図1の室内機の内部正面図、図3は図1の室内機の側断面図である。
【0016】
空気調和機1は、室内機2と室外機6とを冷媒配管8で繋ぎ、室内を空気調和する。室内機2は、筐体21の中央部に室内熱交換器33を置き、熱交換器33の下に熱交換器
33の幅と略等しい長さの貫流ファン方式の送風ファン311を配置し、露受皿35等を取り付け、これらを化粧枠23で覆い、化粧枠23の前面に前面パネル25を取り付けている。この化粧枠23には、室内空気を吸い込む空気吸込み口27と、温湿度が調和された空気を吹出す空気吹出し口29とが上下に設けられている。送風ファン311からの吹出し気流を送風ファン311の長さに略等しい幅を持つ吹出し風路290に流し、吹出し風路290途中に配した左右風向板295で気流の左右方向を偏向し、更に、吹出し口
29に配した上下風向板291で気流の上下方向を偏向して室内に吹出すことができるようになっている。
【0017】
室内熱交換器33は、アルミニウム製の複数枚のフィンと、これらフィンに開けられた穴に挿入された銅製の冷媒管により形成されている。フィンとフィンとの間隔は微小隙間となっており、この間を室内の空気流が通風することで、冷媒と空気との間で熱交換が行われる。この室内熱交換器33の空気流下流には送風ファン311が設けられている。送風ファン311が回転すると、室内空気が室内機2に設けられた空気吸込み口27から室内熱交換器33、送風ファン311を通って空気吹出し口29から吹出される。
【0018】
筐体21には、送風ファン311,フィルター231,231′,室内熱交換器33,露受皿35,上下風向板291,左右風向板295等の基本的な内部構造体が取り付けられる。また、前面パネル25の下方には、運転状況を表示する表示部397と、別体のリモコン5からの赤外線等の操作信号を受ける受光部396とが配置されている。
【0019】
化粧枠23の下面に形成される空気吹出し口29は、前面パネル25との分割部に隣接して配置され、奥の吹出し風路290に連通している。2枚の上下風向板291は、閉鎖状態で、吹出し風路290をほぼ隠蔽する。このとき室内機2の底面は、あたかも連続する大きな曲面を有するように構成されている。これらの上下風向板291は、両端部に設けた回動軸を支点にして、リモコン5からの指示に応じて、駆動モータにより空気調和機の運転時に所要の角度回動して空気吹出し口29を開き、その状態に保持される。空気調和機の運転停止時には、これらの上下風向板291は空気吹出し口29を閉じるように制御される。
【0020】
左右風向板295は、下端部に設けた回動軸を支点にして駆動モータにより回動され、リモコン5からの指示に応じて回動されて、その状態に保持される。これによって、吹出し空気が左右の所望の方向に吹出される。なお、リモコン5から指示することにより、空気調和機の運転中に上下風向板291,左右風向板295を周期的に揺動させ、室内の広範囲に周期的に吹出し空気を送ることもできる。
【0021】
可動パネル251は、下部に設けた回動軸を支点として駆動モータにより回動され、空気調和機の運転時に前側空気吸込部230′を開くように構成されている。これによって、室内空気は、運転時に前側空気吸込部230′からも室内機内に吸引される。空気調和機の停止時には、前側空気吸込部230′を閉じるように制御される。
【0022】
室内機2は、停止時に、空気吹出し風路290及び前側空気吸込部230′を上下風向板291及び可動パネル251で隠蔽してインテリアに調和させている。即ち、室内機2は、停止時に、図3に一点鎖線で示すように可動パネル251が閉鎖された状態となると共に、図3に実線で示すように上下風向板291が閉鎖された状態となる。また、室内機2は、運転時に、上下風向板291、左右風向板295をリモコン5からの指示に応じて回動させる。そして、可動パネル251を開いて前側空気吸込部230′及び上側空気吸込部230から室内空気を吸込み、室内熱交換器33で冷風等にして空気吹出口29から吹出す。
【0023】
空気調和機1を運転する時には、本体を電源に接続し、リモコン5を操作し、所望の冷房、除湿、暖房等の運転を行う。冷房等の運転の場合、送風ファン311の前方の部分の室内熱交換器33に室内空気を通すため、図3の如く、前面パネル25の一部を構成する可動パネル251を回動させて開く。上側空気吸込部230及び前側空気吸込部230′を通して室内熱交換器33に室内空気を流通させる。このとき当然可動パネル251は開いている。
【0024】
室内機2には、内部の電装品ボックスに制御基板が備えられ、この制御基板にマイコンが設けられる。このマイコンは、室内温度センサー、室内湿度センサー等の各種のセンサーからの信号を受けると共に、リモコン5からの操作信号を受光部396で受ける。このマイコンは、これらの信号に基づいて、送風ファン311、可動パネル駆動モータ、上下風向板駆動モータ、左右風向板駆動モータ等を制御すると共に、室外機との通信を司り、室内機2を統括して制御する。
【0025】
運転停止状態で、マイコンは、リモコン5からの運転操作信号または自動運転が設定されていれば各種センサーからの情報に基づいて、冷房、暖房、除湿等の運転モードを決定する。この決定に基づいて可動パネル251及び上下風向板291を動作させて、気流の通路を開放状態にする。つまり、マイコンは、駆動モータを動作させ、上下風向板291、左右風向板295を、リモコン5からの指示に対応した吹出し角度まで回動する。また、マイコンは、上下風向板291の動作に連動して、可動パネル251を開く可動パネル駆動モータを動作させる。
【0026】
次に、マイコンは、送風ファン311を回転させ、上側空気吸込部230及び前側空気吸込部230′から室内空気を吸込む。吸込んだ室内空気を室内熱交換器33で冷風等にして、上下風向板291,左右風向板295に沿って空気吹出口29から吹出させるように制御する。一方、運転を停止する際は、送風ファン311を停止した後に、可動パネル251の駆動モータ及び上下風向板291の駆動モータを逆回転させる。このようにして、気流の通路を開放状態から閉鎖状態に戻すように制御する。
【0027】
フィルター231,231′は、吸い込まれた室内空気中に含まれる塵埃を取り除くためのものであり、室内熱交換器33の吸込側を覆うように配置されている。送風ファン
311は横長の貫流ファンで構成され、室内空気を空気吸込み口27から吸い込んで空気吹出し口29から吹出すように室内機2内の中央に配置されている。室内熱交換器33は、送風ファン311の吸込側に配置され、略逆V字状に形成されている。
【0028】
露受皿35は、室内熱交換器33の前後両側の下端部下方に配置され、冷房運転時や除湿運転時に室内熱交換器33に発生する凝縮水を受けるために設けられている。受けて集められた凝縮水は、ドレン配管37を通して室外に排出される。
【0029】
これらによって、空調される室内空気を流す主風路が形成される。即ち、送風ファン
311を運転することで、室内空気は空気吸込み口27から吸い込まれ、フィルター231,231′を介し、室内熱交換器33にて熱交換された後、空気吹出し口29から室内に吹出される。
【0030】
次に、図2から図5を参照しながら清掃装置について説明をする。図4(a)は図1の室内機の清掃装置400の斜視図、図4(b)は清掃装置400の集塵容器と掃除用刷毛の斜視図、図5は図1の室内機の除塵部及びその周辺部を示す縦断面図である。
【0031】
室内熱交換器33の上流側に、上側吸込み部230及び前側吸込み部230′が形成されている。上側吸込み部230は略水平に配置され、前側吸込み部230′は略垂直に配置され、これらは室内機2の略直交する二面を構成している。上側吸込み部230及び前側吸込み部230′に平面状のフィルター231,231′を設けている。フィルター
231,231′は案内枠234に係着されている。案内枠234は、上側後部と前側下部にレール235,235′を備え、フィルター231,231′の交叉部に推進軸243を備えている。
【0032】
なお、同一の機能を有する部分が上側フィルター231用と、前側フィルター231′用にある場合は、前側フィルター231′用の部分に上側フィルター231用の部分の符号に「′」をつけて区別する。
【0033】
推進軸243は、多角形断面を有し、案内枠234の両側に設けた軸受245に軸支されている。この推進軸243は、片側の軸受245を貫通し、一端に取り付けた歯車を介して移動用モータ242に連結されている。移動用モータ242は、案内枠234に固定されている。推進軸243にはスクリュウ244,キャリッジ261が装着されている。スクリュウ244は、案内枠234に設けられたラック237に噛合されている。ラック237は推進軸243と平行に設けられている。
【0034】
キャリッジ261とレール235,235′との間には、刷毛支持枠262,262′が各々フィルター231,231′を跨いで懸架されている。刷毛支持枠262,262′の片側にはフィルター231,231′を掃いて掃除する掃除用刷毛267,267′が取り付けられている。
【0035】
移動用モータ242を回転させることで、推進軸243、スクリュウ244が回転される。スクリュウ244が移動用モータ242によって動作され、移動用モータ242の回転方向に応じてキャリッジ261がラック237に沿って左右方向に移動される。これにより、掃除用刷毛267,267′は、フィルター231,231′に摺接しながら掃くように移動される。フィルター231,231′上の塵埃は、掃除用刷毛267,267′によって掃き取られ、案内枠234の側方に位置された除去ブラシ271,271′に移動される。
【0036】
このように、フィルター231,231′が案内枠で支持されると共に、支持枠262,262′を移動させる動力の伝達機構を案内枠234、つまり上側後部と前側下部にレール235,235′及び推進軸243で支持するように構成されている。これにより、支持枠262,262′に取り付けた掃除用刷毛267,267′とフィルター面との距離が精度よく一定に保たれ、掃除用刷毛267,267′がフィルター面を均一に掃引することができる。このため、フィルター面の塵埃は掃除用刷毛267,267′に掃き取られ、フィルターは均一に清掃され、局部的に塵埃の未清掃部分が生ずることがない。
【0037】
掃除用刷毛267,267′は、例えばJIS S3016に規定する毛の硬さ50以下の柔らかな毛が使用されている。掃除用刷毛267,267′でフィルター231,
231′を掃く時に刷毛の硬さが硬過ぎると、フィルター231,231′を傷付けてしまうので、本実施形態では、柔らかい刷毛で掃いても塵埃を除去するようにしている。この掃除用刷毛267,267′は、フィルター231,231′面に押し付けられて移動されるときに、フィルター231,231′が掃除用刷毛267,267′の押付けで変形した後も、重複代が2mm以上確保できるようにフィルター231,231′の剛性に合わせて選定されている。ここで重複代とは、掃除用刷毛267,267′の毛が変形しないで真直ぐな状態と仮定したときの循環気流フィルター面の位置から、変形した状態の毛先までの長さに対応する循環気流フィルター面の位置までの二点間の長さを言う。
【0038】
このように、掃除用刷毛267,267′に軟毛を使用して、重複代を或る程度設けるので、フィルター231,231′を片側から掃くだけでもフィルター231,231′上の塵埃を掃き取ることができる。従って、フィルター231,231′を変形させる力が小さく、フィルター231,231′を裏側から支えなくても良い。更に、弱い力でフィルター231,231′を掃いてもフィルター231,231′に付いた汚れを剥離させ、汚れを落とすことができるフィルター231,231′を採用すればなお良い。フィルターについては後述する。
【0039】
このため、掃除用刷毛267,267′でフィルター231,231′を掃引する時の駆動機構をフィルター231,231′の片側だけに設ければ良くなるので駆動機構が大幅に簡略化される。
【0040】
一般に、空気調和機に使用されるフィルターは塵埃を効果的に捕集できるように細い線を細かに編んだ網が用いられ、更に、費用を抑制するためプラスチクス製のものが多用されている。また、通風抵抗を少なくするため、網の変形を抑制する枠もできる限り細く、数も最小限にとどめられている。
【0041】
このため、フィルターを掃除しようとしてフィルター面にブラシ等を強く押し付けるとフィルターが変形して、ブラシが強く当たる所と弱く当たる所とができ、フィルター面の掃除が不均一になってしまう。
【0042】
これに対して上記のように、フィルター面を軟毛の刷毛で掃くことで、フィルターの変形がほとんどない状態でフィルターを掃除することができる。フィルター面の塵埃は軟毛の刷毛に掃き取られ、フィルターは均一に清掃される。軟毛の刷毛に掃き取られた塵埃は軟毛の刷毛を除去ブラシに摺接することで除去ブラシに掻き取られる。
【0043】
除去ブラシ271,271′は、筒状のブラシホルダー276,276′に装着されている。このブラシホルダー276,276′は、集塵容器281の開口面281a,
281a′に連通して、集塵容器281に固定されている。集塵容器281はフィルター231,231′の側方に配置されている。除去ブラシ271,271′、ブラシホルダー276,276′及び集塵容器281の組立体は、掃除用刷毛267,267′及びその駆動機構と分離して、室内機2の一方の側面に配置されている。これによって、掃除用刷毛267,267′を小型にすることができ、その移動空間を小さくできると共に集塵容器281の容積を大きく確保することが可能である。これによって、塵埃廃却の必要回数を減らし、ほぼメンテナンスを必要としない、優れた空気調和機を提供することができる。
【0044】
次に、図6を参照しながら説明する。図6は図1の室内機の清掃装置400の全体動作を示す説明図である。
【0045】
フィルター231の側方には、清掃動作が行われていない時に、掃除用刷毛267が待機する待機部238がある。待機部238は、234E部と233E部とを有している。図6のE部に示す如く、フィルター231の面より窪んだ凹所234Eが設けられ、掃除用刷毛267はストレスを受けない状態で待機できる。また、図6のD部に示す如くフィルター231に摺接している時に曲げられた掃除用刷毛267が、233E部を経て図6のE部に示す如く開放されて真直ぐな状態に復元できるように構成されている。
【0046】
これにより、掃除用刷毛267が待機している間、毛先はフィルター面からも他の部材面からも開放され、曲げる力が働かず、掃除用刷毛267に曲げ癖が付かない。このため、掃除用刷毛の弾力により真直ぐになる。従って、同じ強さでフィルター面を掃引する。また、フィルター231部を移動した時にフィルター231の網目で捻られたりして生ずる毛先の変形も復元して整えられる。再度フィルター面を掃引するときも、掃除用刷毛の移動方向が逆転して、掃除用刷毛の曲がり方向がスムーズに反転する。このため、掃除用刷毛の反転時に不要の負荷を駆動機構に与える恐れがない。
【0047】
このため、清掃動作の度に掃除用刷毛267がフィルター231に所定の状態で摺接し、清掃動作が安定し、所期の清掃性能を発揮できる。更に、待機部238では掃除用刷毛267の毛先が開放されるので、凹所234Eを設けないことによって毛先が曲がったままの場合に比べて、掃除用刷毛267が反転移動を開始する時に毛先が乱れて不要な力を掛けることがない。よって掃除用刷毛267の駆動機構に余分な負荷を掛けず駆動機構の信頼性が向上する。また、掃除用刷毛267の反転時に毛先に不要な力を掛けないので、毛先の劣化が生じ難く、掃除用刷毛267を交換する間隔を長くすることができる。ここでも、ほぼメンテナンスを必要としない、優れた効果に寄与することができる。
【0048】
フィルター231と除去ブラシ271の間に凹所234Bが設けられている(図8以降にはないが、勿論、234Bを設けても良い)。凹所234Bの深さは、除去ブラシ面
271aが掃除用刷毛267側に最大露出となる除去ブラシ271の回動位置で、除去ブラシ面271aの頂上部がフィルター231面と略等しくなるようにし、掃除用刷毛267の毛先が凹所B234Bの底部に届く範囲にしている。
【0049】
このようにすることにより、掃除用刷毛267をフィルター231の掃引時以上に変形させることなく、掃除用刷毛267を除去ブラシ271に摺接できる。従って、掃除用刷毛271に過度の変形を与えることがなく、掃除用刷毛271の劣化を抑制できる。また、凹所234Bの深さの分だけ除去ブラシ271を掃除用刷毛267側に露出させることができ、除去ブラシ面271aの面積が大きくなり、安定した塵埃236の除去性能を発揮することができる。
【0050】
また、凹所234Bにより、掃除用刷毛を除去ブラシに摺接させる前に、一旦、掃除用刷毛を開放し、フィルター掃引で生じた毛先の捩れや乱れを整える。そして、除去ブラシのブラシ面を掃除用刷毛の開放凹部より突出させて、掃除用刷毛を除去ブラシに確実に摺接させる。このとき、除去ブラシのブラシ面は、フィルター面より突出させることなく設置できる。このため、掃除用刷毛の毛先の変形を最小限にすると共に、除去ブラシのブラシ面の突出を抑制でき、室内機を小型化できる空気調和機を得ることができる。
【0051】
清掃動作する時には、駆動機構を運転して、掃除用刷毛267がフィルター231を掃引するよう図6のC部に示す如く移動する。それまでは、待機部238に図6のE部に示す如く待機している。清掃動作時、掃除用刷毛267の毛先は凹所234Eの開放状態から傾斜233Eを通って突出しているフィルター231面に徐々に毛先を曲げ変形させながら乗り上げ、フィルター231としっかり摺接する。
【0052】
掃除用刷毛267は、除去ブラシ271の方向に移動しながらフィルター231を掃引して塵埃236を掃き取る。フィルター231の掃引を終了した掃除用刷毛267は、掃き取った塵埃236と共に、図6のB部の位置に達し、凹所B234Bで若干毛先の変形を開放され、除去ブラシ271に至り、除去ブラシ面271aと有効に摺接しながら、塵埃236を除去ブラシ271に移載する。
【0053】
次に、除去ブラシ271,271′、塵埃戻り防止ブラシ273,273′の動作について上側の除去ブラシ271,塵埃戻り防止ブラシ273を例にとって、図7〜図11を用いて説明する。図7(a)は除塵ブラシの斜視図、図7(b)は(a)のA−A断面図である。図8(a)は掃除用刷毛の掃塵動作を示す説明図、図8(b)は掃除用刷毛と除去ブラシとの摺接動作を示す説明図である。図9(a)は掃除用刷毛と除去ブラシの摺接終了後にレバー突起が回動レバーを押す動作を示す説明図、図9(b)はレバー突起が回動レバーを乗り越える動作を示す説明図である。図10(a)はレバー突起が回動レバーを乗り越えた状態を示す説明図、図10(b)は刷毛支持枠が反転して回動レバーを反対側に押す動作を示す説明図である。図11(a)はレバー突起が回動レバーを乗り越える動作を示す説明図、図11(b)は刷毛支持枠がフィルターの清掃に向かう動作を示す説明図である。
【0054】
除去ブラシ271は、フィルター231の側方に設けられ、ブラシホルダー276に回動可能に軸支され、半円筒状をなしている。ブラシホルダー276の半円筒面の一側の約半分の部分は傾斜植毛されたブラシ面271aとなっており、他側の約半分の部分は非ブラシ面271bとなっている。ブラシ面271aの傾斜植毛の方向は、図8に示すように除去ブラシ271を回動させてブラシ面271aを露出させた状態で、フィルター231の方向を向くように傾斜されている。刷毛支持枠262の移動に伴って、フィルター231に摺接して掃除用刷毛267が図8(a)に示すように掃き集めたフィルター231上の塵埃を図8(b)のようにブラシ面271aに擦り付ける。この際に、掃除用刷毛267の移動方向とブラシ面271aの傾斜植毛の方向が逆方向になるので、ブラシ面271aは掃除用刷毛267が運んできた塵埃を確実に掻き取り、ブラシ面271aに保持する。
【0055】
これにより、掃除用刷毛がフィルターから除去ブラシに近づく掃塵方向の移動のときに、その前面を除去ブラシに摺接することで、掃除用刷毛が掃塵方向の移動で近づきながらその前面で掃き取った塵埃を除去ブラシに手際よく掻き取らせることができる。このように、掃除用刷毛によるフィルターの掃塵から、除去ブラシによる塵埃の掻き取りまでが最短の時間で行われ、掃き取った塵埃が周囲に散乱する機会が最小になる。このため、フィルターの塵埃が空気調和機内部で散乱するのが抑制される。
【0056】
刷毛押え268は、掃除用刷毛267の過度の変形を抑制し、掃除用刷毛267のフィルター231を掃除する機能を低下させないためのものであり、掃除用刷毛267の一側に配置されている。
【0057】
刷毛支持枠262が更に左方に移動すると、図9(a)のように刷毛支持枠262のレバー突起269が除去ブラシ271に取り付けられた回動レバー271cを押し、回動レバー271cを左方に押す。回動レバー271cは、除去ブラシ271と同軸に回動するように、回動ばね271dを介して除去ブラシ271に取り付けられている。回動ばね271dは回動レバー271cを、図中、時計回りの方向に付勢している。また、ブラシ面271aに摺接しなかった掃除用刷毛267の根元に近い部分の塵埃を掃き取るために、鰭271eが除去ブラシ271に取り付けられている。
【0058】
このように、フィルターを清掃するときには、掃除用刷毛を、フィルターを挟んで除去ブラシと反対側の待機位置238から除去ブラシに向かってフィルターを掃引するのでフィルターに付着している塵埃は掃除用刷毛に掃き取られて除去ブラシに運ばれ、除去ブラシに掻き取られる。
【0059】
回動レバー271cは、レバー突起269に押されて、図9(b)のように反時計方向に回動され、レバー突起269が回動レバー271cを乗り越える。これによって、回動レバー271cは、図10(a)のように回動ばね271dの付勢力によって時計方向に逆回動してストッパ271fのところまで戻り、図8(a)と同じ位置になる。
【0060】
刷毛支持枠262は、レバー突起269が回動レバー271cを乗り越えたところで反転して、フィルター231方向に移動を始める。反転してフィルター231方向に移動した刷毛支持枠262は、図10(b)のように、レバー突起269で回動レバー271cを右方向に押し、回動レバー271cを時計回り方向に回動させる。回動レバー271cは除去ブラシ271のストッパ271fを介して除去ブラシ271を時計回り方向に押し、除去ブラシ271は戻しばね277による反時計回り方向の付勢力に抗して回動する。
【0061】
このように、ブラシ面と非ブラシ面とを切換えて掃除用刷毛側に露出させるように構成しているので、除去ブラシのブラシ面が掃除用刷毛側に露出しているときに掃除用刷毛を除去ブラシのブラシ面に摺接しながら移動させることで掃除用刷毛が掃き取った塵埃を除去ブラシで掻き取ることができ、除去ブラシの非ブラシ面が掃除用刷毛側に露出しているときに掃除用刷毛を逆方向に移動させることで逆方向移動時にブラシ面に接触することがないので一旦ブラシ面についた塵埃を掃除用刷毛で掃き取ることがない。このため、ブラシ面についた塵埃をフィルター側に逆に持ち帰ってフィルターを汚すことがなくなり、フィルターの清掃に支障の出ることがない空気調和機を得ることができる。
【0062】
次に、除去ブラシ271の回動に伴い、除去ブラシ面271aが塵埃戻り防止ブラシ
273の塵埃戻り防止ブラシ面273aに摺接しながらブラシホルダー276の内部に潜り込む。除去ブラシ面271aに掻き取られた塵埃は、支持枠の逆方向への移動により除去ブラシ回動突起を回動させることで除去ブラシを回動させ、除去ブラシと同方向に傾斜植毛された塵埃戻り防止ブラシ273aに除去ブラシ面271aを摺接させることで、塵埃は除去ブラシに保持されたまま、除去ブラシと塵埃戻り防止ブラシの摺接面に押し込まれる。
【0063】
このとき、塵埃戻り防止ブラシ面273aは、押圧ばね278で除去ブラシ面271aに押圧されているので、除去ブラシ面271aと塵埃戻り防止ブラシ面273aの摺接状態が保たれている。塵埃戻り防止ブラシ273の塵埃戻り防止ブラシ面273aには除去ブラシ面271aと摺接する位置で除去ブラシ面271aの傾斜植毛の傾斜方向と同じ向きに傾斜植毛が施されている。このため、除去ブラシ面271aがブラシホルダー276の内部に潜り込む時に、除去ブラシ面271aに保持された塵埃も、塵埃戻り防止ブラシ面273aの傾斜植毛に妨げられることなくブラシホルダー276の内部に潜り込む。
【0064】
回動レバー271cは、レバー突起269に押されて、図11(a)のように時計方向に回動され、レバー突起269が回動レバー271cを乗り越える。レバー突起269が回動レバー271cを乗り越えると、回動レバー271cは、図11(b)のように、戻しばね277の付勢力によって反時計方向に回動し、鰭271eがブラシホルダー276の開口縁に当たり、この開口縁がストッパ代わりとなって、図7(b)と同じ状態になる。その後、図8(a)に示すように掃除用刷毛267がフィルター231の塵埃を運んでくるのに備えて待機する。
【0065】
除去ブラシ271が反時計方向に回動するときに、塵埃戻り防止ブラシ面273aの傾斜植毛の方向が除去ブラシ271の回動方向と逆になるので、除去ブラシ271に保持されていた塵埃は、図10(b)及び図11(a)に示すように、塵埃戻り防止ブラシ面
273aに掻き取られる。
【0066】
この掻き取られた塵埃236は、塵埃戻り防止ブラシ面273aの傾斜植毛部に大部分が絡み付いて保持される。しかし、掃除用刷毛267が、次に往復すると、除去ブラシ
271と塵埃戻り防止ブラシ273が再度摺接する。この時、新たな塵埃236がブラシホルダー276の内部に潜り込むと共に、塵埃戻り防止ブラシ面273aの傾斜植毛部に絡み付いている塵埃236を除去ブラシ面271aの内方端部が掻き取って、ブラシホルダー276の更に内部に潜り込ませる。
【0067】
この更に潜り込んだ塵埃236は、図11(b)のように除去ブラシ271が元の状態に戻る時に、再度塵埃戻り防止ブラシ面273aに掻き取られる。このように、塵埃戻り防止ブラシ面273aの内方端部に掻き取られた塵埃236は、掃除用刷毛267の往復に伴う除去ブラシ271の回動毎に、集塵容器の集塵開口に達し、次々に押し込まれてくる塵埃に押されてブラシホルダー276の内部、すなわち、集塵容器の中に落下し貯留される。ブラシホルダー276は底部が開口していて、この底部開口は集塵容器281の集塵開口281aに対向している。
【0068】
掃除用刷毛が待機位置から左側へ移動してフィルタを掃除して左端で反転する。このときに毛先が開放され、掃除用刷毛の移動に合わせて掃除用刷毛の曲げ方向がスムーズに逆転してフィルターを逆方向に掃引する。掃除用刷毛267は、清掃時とは逆向きに毛先を変形させてフィルター231に摺接しながら移動し、待機部238に向かう。そして、待機位置まで戻り、毛先が開放された状態で次の清掃まで待機する。このように、掃除用刷毛267は往復で毛先の曲げ方向が逆になるので、片方向でしか摺接させない時に比べて、偏った曲げを受けることがない。つまり、曲げの癖が付き難く、毎回、フィルター231を押す力を一定にすることができる。このため、フィルター231を清掃する能力を長期間維持することができる。また、フィルターは順方向の掃引のときに清掃されているので、反転時にはフィルターにほとんど塵埃はなく、掃除用刷毛にもほとんど塵埃は付着しない。このため、フィルターに付着した塵埃は効率よく除去ブラシに掻き取られ、フィルターを清潔に保つことができる。
【0069】
本実施形態では、除去ブラシ271,271′はフィルター231,231′の各々の側方に設けられている。上側フィルター231及び前側フィルター231′の左方に上側除去ブラシ271及び前側除去ブラシ271′が各々のフィルター面に平行に設けられている。上側除去ブラシ271の下方、前側除去ブラシ271′の後方には、集塵容器281が置かれている。集塵容器281には、上側除去ブラシ271及び前側除去ブラシ271′が回動してブラシホルダー276,276′の内部に潜り込んだ時に、その各々に対向する集塵開口281a,281a′が集塵容器281の上面及び前面に位置して開設されている。
【0070】
このため、塵埃戻り防止ブラシ面273aから離れた(落下した)塵埃は、集塵開口
281a,281a′を通り、集塵容器281に集塵される。集塵容器281の下部前面には塵埃排出口281bが設けられている。塵埃排出口281bには着脱可能な蓋体284が設置され、通常の使用時に集塵容器281内の塵埃が周囲に飛散しないようになっている。このように、塵埃は、塵埃戻り防止ブラシの排出側、つまり、集塵容器の集塵開口に達して、集塵容器の中に落下し貯留される。従って、フィルターを外すことなく、フィルターを掃除して集塵容器に塵埃を貯留することができる。
【0071】
貯留された塵埃が適宜な量に達したときには集塵容器の蓋体を開け、内部の塵埃を取り出し、廃却する。集塵容器281内の塵埃を捨てる場合は、蓋体284を外し、塵埃排出口281bから内部の塵埃を掻き出す。このとき、塵埃排出口281bの形状を電気掃除機の吸口に合う形状にしておくと、電気掃除機での集塵容器281の清掃が容易になる。
【0072】
次に、図12から図16を参照しながらフィルターについて説明する。図12は図1の室内機のフィルターの樹脂繊維網の一部を拡大した断面模式図、図13は図12のフィルターの変形例を示す図、図14は図12のフィルターの樹脂繊維のピッチと線径との好適範囲を説明する図、図15は図12のフィルターの線径と目開きの関係を説明する図、図16は図12のフィルターの樹脂繊維網の抗菌試験結果を示す図である。
【0073】
フィルター231,231′に埃が多く付着すると空気の流れの抵抗となり熱交換器の熱交換性能が低下するため冷凍サイクルの能力が低下してしまう。このため、定期的にフィルター231,231′を清掃する必要がある。フィルター231,231′の清掃は、上述した通りである。
【0074】
従来の一般的なフィルターの網は、PP,PET,ABS等樹脂が露出した表面を有している。このフィルターを構成する網の成型方法は、溶解した樹脂をノズルから射出し、冷却硬化する手法である。このため、樹脂が露出した網表面は、平滑に見えても細孔が沢山存在する。これらの細孔に空気中を浮遊する粉塵やタバコの煙等が付着し、細孔に入り込むため、フィルターを定期的に洗浄しても細孔に入ってしまった粉塵等の汚れは容易に落とすことができない。
【0075】
樹脂繊維網231a,231a′は、縦繊維231bと横繊維231cとで構成され、その表面にステンレスなどの金属皮膜231dを形成している。金属皮膜231dは、真空中でイオン化したアルゴンガスなどの不活性ガスをステンレスに衝突させ、はじき飛ばされた金属粒子を樹脂繊維網231a,231a′に成膜させるスパッタリング加工により、樹脂繊維網231a,231a′表面に形成されている。これにより樹脂繊維網231a,231a′表面の細孔を埋め、表面をナノサイズで平滑化することで、埃,汚れが剥離しやすく、汚れの浸透を防ぐことができる。本実施形態では、樹脂の線材にステンレスをスパッタリングしているので、安価な構成で、フィルターに捕集された塵埃を容易に除去できる。
【0076】
これにより、フィルターに捕集された塵埃を容易に除去できる。即ち、塵埃の付着面がステンレスのスパッタリング面で覆われるので、付着した塵埃は樹脂繊維網の母材には接触せず、樹脂繊維網母材の細孔に入り込むこともない。従って、塵埃は、付着面から剥離し易い状態に保持され、フィルターの掃除が簡単になる。そして、ステンレスの抗菌作用により菌が繁殖することもなく、塵埃が付着してから清掃装置で除去されるまでの間も雑菌の繁殖が抑制され、悪臭を発することもない。安価なフィルターに抗菌機能を有しつつ、塵埃の除去も容易に行うことができる。
【0077】
また、刷毛と接触する樹脂繊維網の摺接部分にステンレスのスパッタリングを施しているので摺接部分を保護することができ、樹脂繊維網の傷付きを防止することができる。更には、フィルター枠を室内空気の吸気気流の下流側に配置すれば、埃が付着する面にフィルター枠による凹凸がなくなり、清掃手段がフィルター前面に一様に摺動接触し、掃除がしやすくなる。
【0078】
ここで、スパッタリング加工を施す面は、室内空気の吸気気流に対し、上流側への加工のみである。つまり、室内に近い方だけであって、例えば前面パネルを開けたときに見える側、或いは掃除する側である。片面にして、低コスト化を図っている。なお、室内空気の吸気気流に対し、上流,下流の両面となる樹脂繊維網231a,231a′表面全体に施すことで、より埃の剥離性向上、汚れの浸透性を抑えることができる。
【0079】
さらに、図13のように、樹脂繊維網231a,231a′に熱をかけながらローラで潰すカレンダーロール加工を施すことにより、縦繊維231bと横繊維231cの交差部分に平面部を形成してもよい。このようにすれば、樹脂繊維網231a,231a′を更に平滑にすることができ、埃の剥離をしやすくできる。
【0080】
ここで、樹脂繊維網231a,231a′の線のピッチを横軸に、線径を縦軸に取った図14に示す網強度A、開口率B、目開きCの特性で囲まれた範囲が許容範囲である。網強度は線径を太くすれば上げることができる。清掃用刷毛267,267′による清掃が適正に行われるためには網強度が8.5N/cm 以上である必要がある。網強度が不足すると、フィルター231の変形が大きくなり、清掃のときに清掃用刷毛267で掃き取り難い部分が生じ、掃き残しができやすい。
【0081】
また、樹脂繊維網231a,231a′の全面積におけるメッシュの開口率Bは、空気調和機の圧力損失を確保するためには、55%以上としなければならない。これは、空気調和機用のフィルター231,231′は、室内熱交換器33を目詰まりさせる比較的大きな埃を取り除くことを主目的としているためである。従って、室内熱交換器33の能力を落とすような開口率には設定することができない。開口率が決まっている場合、線材の線径を太くすると、目開き(樹脂繊維網231a,231a′の糸と糸の距離、網目の大きさ)Cが広くなり、大きな埃が通過してしまうこととなる。開口率60%における線径と目開きの関係を図15に示す。
【0082】
図14及び図15から次のことが分かる。開口率を一定にして線径を太くすれば網の強度は向上するが、目開きが大きくなり、大きな埃が通過してしまう。反対に線径を細くすれば目開きは小さくなるものの、今度は網の強度が低下して網の変形が大きくなる。例えば、線径が230μmを超えるとフィルター231,231′の網の強度は良好であるが、目開きが800μmとなり塵埃の捕集効率が低下する。つまり、フィルター231,
231′の線径を230μmに設定すると、800μm以下の塵埃は、原理的にフィルター231,231′のメッシュを通過してしまう。
【0083】
フィルター231,231′には、800μm以上の長繊維(糸屑)などが付着し、付着した糸屑に微細な塵埃もついて捕集することができるが、800μm以上の塵埃を通過させることは好ましくない。これは、一般的に室内熱交換器33のフィン間の距離は1.2
mm(1200μm)前後であり、800μmはフィン間の隙間の65%よりも大きい約
67%の寸法の塵埃となる。このように大きな埃が同時に2個フィン間を通過することは困難であり、熱交換器の目詰まりの原因となってしまう。そこで、本実施形態では、230μmよりも一段階下の線径220μmで計算した目開き765μmを目開きの上限とした。これはフィン間距離の約64%である。
【0084】
これらのことから、樹脂繊維網としては樹脂繊維網の引張強さが8.5N/cm 以上で且つ開口率が55%以上、目開きが765μm以下であることが望ましい。
【0085】
樹脂繊維網の引張強さが8.5N/cm 未満では、樹脂繊維網の強度が不足し、撓みやすくなり掃除用刷毛での清掃に支障が出る。樹脂繊維網の材質がポリエチレンテレフタレートの場合を例に取り、これを図14に示すと、好適な範囲はAの曲線の上側の範囲となる。なお、Aの曲線は樹脂繊維網の材質によって上下し、概ね、材料の引張強度に応じて変化する。
【0086】
開口率が55%未満では樹脂繊維網を通る気流の速度の増速,減速が大きく、通風抵抗が増加し好ましくない。好適な範囲を図14に示すと、Bの曲線の下側の範囲となる。
【0087】
目開きが765μmを超えると、熱交換器のフィンの間に引っ掛かってしまう塵埃がフィルターを通過してしまい不都合である。また、目開きが大きいと掃除用刷毛で摺接するときに、樹脂繊維1本毎に刷毛がこれを乗り越える如くギクシャクと動き、滑らかに移動できない。これは、騒音や振動の原因となり、フィルター上の塵埃を意図せずに落下させ、周囲を汚してしまう。好適な範囲を図14に示すと、Cの曲線の左側の範囲となる。
【0088】
以上により、好適な樹脂繊維網の範囲は図5の曲線A,B,Cに囲まれた領域となる。このように、網強度を8.5N/cm 以上、目開き765μm以下開口率55%以上とすることで、網強度を適性に保持しつつ、大きな塵埃を通過させない、塵離れ汚れ落ちのよいフィルター231,231′を提供することができる。
【0089】
これにより、フィルターの清掃動作に十分な強度を有し、通風抵抗の低い、熱交換器に引っ掛かる恐れのある塵埃を確実に捕捉できる樹脂繊維網となる。このため、フィルターの清掃装置に好適に対応できるフィルターを得ることができる。
【0090】
なお、スパッタリング加工及びカレンダーロール加工は、樹脂繊維網231a,231a′の一般的な構造であるハニカム織り、平織りの何れに施してもよい。
【0091】
ここで、樹脂繊維網231a,231a′の構造が立体的に織ったハニカム構造である場合には、埃が樹脂繊維にぶつかりやすく埃の捕集効率が高いが、平滑ではないため清掃用刷毛267,267′で汚れを拭き取る際に凹凸部分の凹部分に埃が残る可能性がある。そこで、フィルター231,231′の構造を平織り構造にすることで、フィルター
231,231′の表面をより平滑にすることができ、清掃しやすくなる。
【0092】
また、フィルター枠232,232′に対する樹脂繊維網231a,231a′の取付面は、室内空気の吸気流に対して上流側、下流側のどちら側に取り付けてもよい。ただし、フィルター枠232,232′を室内空気の吸気気流の下流側に配置することにより、埃が付着する面にフィルター枠232,232′による凹凸がなくなり掃除がしやすくなるというメリットがある。
【0093】
図16は、JISZ2801の規定に基づきステンレス材をスパッタリング加工した樹脂繊維網231a,231a′とスパッタリング加工なしの樹脂繊維網231a,231a′の抗菌性能評価の結果である。
【0094】
この評価結果によれば、黄色ブドウ球菌及び大腸菌の抗菌活性値である基準値2.0 以上を満たし、前記菌の繁殖を抑制する効果が得られることが分かった。これにより、樹脂繊維網231a,231a′の表面にステンレス材の金属皮膜231dをスパッタリング加工で形成することで抗菌効果を得ることができる。また、近年の安全健康志向に対する抗菌ニーズに対応し、快適で衛生的な生活環境を実現することができる。
【0095】
次に、イオン発生装置41に関して図17〜図20を用いて説明する。図17は図1の室内機のフィルターの帯電量残存率を示す図、図18は図1の室内機の化粧枠を取外した状態の斜視図、図19は図1の室内機の前面パネルを取外した状態の斜視図、図20は図1の室内機のイオンの流れを模式的に示した説明図である。
【0096】
イオン発生装置41は、高電圧発生器411,吸込み放電電極412,吹出し放電電極413などからなっている。このイオン発生装置41は、高電圧発生器411で発生させた高電圧を高圧電線を介して吸込み放電電極412、吹出し放電電極413に導き、金属製の放電針412aに印加してコロナ放電を行わせるものである。吸込み放電電極412は、網目状のカバーに覆われた放電針412aを備え、フィルター231′の上流側に設置されている。なお、本実施形態では、イオン発生装置41としてマイナスイオン発生装置を採用したが、本発明はこれに限定されるものでなく、プラスイオン発生装置を使用しても同じ効果を得ることができる。
【0097】
イオン発生装置はフィルターに隣接して配置され、放電針を吸込み気流に向けた放電電極である吸込み放電電極412を備えている。これにより、電極の大部分は室内機の吸込み気流の通路の外に置くことができ、吸込み気流の抵抗にならず、気流が乱れないので騒音が増加することもない。また、放出されたイオンは気流に乗ってフィルター全面に速やかに拡散する。イオンは或る程度の広がりを持って降り注ぐので、スパッタリングしたステンレス層の導体断面積がネックになって電荷の拡散が阻害されるということはない。従って、吸込み気流を阻害することなく、速やかに静電フィルターの機能を発揮する。
【0098】
発生したイオンは、室内機2に吸い込まれる気流に乗って、図20のように放電電極
412に近いフィルター231′のステンレススパッタリング面にシャワーのように降り注ぎ、フィルター231′のステンレススパッタリング面を放電電極412とほぼ同じ電位にする。フィルター231′のステンレススパッタリング面は、導体と不導体の中間の抵抗を持ち、若干の導通性を持つため、放電電極412に近いフィルター231′のステンレススパッタリング面の高い電位はその周囲に拡散され、フィルター231′のステンレススパッタリング面全体が放電電極412とほぼ同じ電位になる。このため、フィルター231′のステンレススパッタリング面全体が静電フィルターのように働き、気流に乗って運ばれてくる室内の塵埃で放電電極と反対極性に帯電している塵埃を吸着できる。
【0099】
空気調和機1の運転を停止し、そのときに予め定めたフィルター清掃動作の条件、例えば、送風ファン311の累計運転時間が前回の清掃実行時から30時間を超え、且つ、直前の運転で送風ファン311の運転が10分以上である等の条件を満たしていれば、清掃動作を開始する。清掃動作の開始に先立ち、送風機311を停止し、高電圧発生器411への通電をオフする。これにより、放電電極412からのイオンの発生はなくなり、フィルター231′のステンレススパッタリング面へのイオンの供給が止まるので、フィルター231′のステンレススパッタリング面の電位は自然減衰により、減衰する。
【0100】
この減衰の状態を調べると、図17の如くとなり、フィルター231′にステンレスのスパッタリングを施さなかった時には、長時間を要していた低減時間が、フィルター
231′にステンレスのスパッタリングを施した時には短時間となり、おおよそ10分の1の時間で速やかに減衰することが判った。ステンレスをスパッタリングしていないフィルターの場合は、フィルターに付着した電荷はフィルターが不導体であるため移動しないでその場に留まり、電位の低下がなかなか進まない。これに対して、ステンレスをスパッタリングしたフィルター231′では、ステンレスのスパッタリング面が半導電性を有するため、付着した電荷がフィルター231′の全面に速やかに移動する。そして、図13のような構成のフィルター231′の場合には、ステンレススパッタリング面の約10
μm位の薄い層のエッジ部に電荷が集まる。このエッジ部はフィルター231′の網目の開口内周となる部分であり、その長さはフィルター231′全体で数百メートルになるので、この長くて薄いシャープなエッジから自然放電することで、電荷が速やかに失われ、電位が低下するためと考えられる。
【0101】
これにより、フィルター231′に吸着していた塵埃は、吸着力を受けなくなり、フィルター231′から剥離し易くなるので、掃除用刷毛267に容易に掃き取られ、除去ブラシに運ばれる。
【0102】
また、掃除用刷毛267の中に導電性を有する刷毛を加えてある。導電性刷毛がフィルター231′のステンレスのスパッタリング面に接触することによって清掃動作時に刷毛と塵埃との摩擦で起きた静電気も、容量の大きいフィルター231′のステンレスのスパッタリング面に逃がすことができる。つまり、連続した清掃動作中も掃除用刷毛267に静電気が留まることなく除電し続けることができる。また、掃除用刷毛267がフィルター231′のステンレスのスパッタリング面から外れて、除去ブラシに向かう途中では、導電性刷毛とフィルター231′のステンレスのスパッタリング面との接触はなくなるが、導電性刷毛のコロナ放電による除電効果で掃除用刷毛267から静電気が除去される。これによって、除去ブラシ271′に掃除用刷毛267を摺動接触させた時に、静電気により掃除用刷毛267に留まる塵埃の量が少なくなる。
【0103】
このイオン発生装置41の吸込み放電電極412の設置位置はフィルター231′の端部に臨む位置にし、放電針412aを吸込み気流に向けているのが良い。これは、このイオン発生装置41の吸込み放電電極412から放出されたイオンが、フィルター231′にシャワーのように降り注ぐからである。降り注いだイオンの電荷はステンレスのスパッタリング面を伝わってフィルター231′全体に拡がるので、フィルター231′全体の形状にとらわれずに、フィルター231′のある程度の広がりを持った一部が発生イオンの吸収部になっていれば良いためである。
【0104】
このように、室内機2の吸込み気流の通路の外であるフィルター231′の端部にイオン発生装置41の吸込み放電電極412を設置し、吸込み気流に向かってイオンを放出する。これにより、放出されたイオンは気流に乗ってフィルター231′のステンレスのスパッタリング面の一点に集中せずに、ある程度の広がりを持って到達する。従って、一点に集中した場合のように、ステンレスのスパッタリング層の導体断面積がネックになって電荷の拡散が阻害されることもなく、フィルター231′全面に速やかに拡散し、静電フィルターの機能を発揮するようになる。また、吸込み気流の抵抗にならず、気流が乱れないので騒音が増加することもない。
【0105】
また、室内機2の吹出し気流中にイオンを放出する吹出し放電電極413を吹出し口に設けている。これにより、吹出し気流に乗せてイオンを室内に供給でき、室内に浮遊する塵埃を凝集させて巨大化し、室内機2の吸込み気流で吸込んでフィルター231′に捕集させることができる。これにより、塵埃をフィルターの目に引っ掛る程度に巨大化してフィルターに捕捉されやすくすることができる。つまり、除塵性能に優れた空気調和機を得ることができる。
【0106】
また、室内機2の吹出し口で左右に伸びる上下風向板291にフィルター231′と同様のステンレスのスパッタリングを施したものを使用すると、吹出し放電電極413から放出されたイオンが上下風向板291のステンレスのスパッタリング面に衝突し、これを帯電させる。帯電した上下風向板291のステンレスのスパッタリング面は左右に伸びているので帯電面も左右に伸び、吹出し口のほぼ全幅に広がる。前述したように、ステンレスのスパッタリング層の厚さは10μm程度の極薄い層であるので、このエッジ部から穏やかに自然放電が生じる。このように、吹出し放電電極を吹出し口の左右端に設けても、吹出し口の全幅からイオンを室内に放出し、室内に偏りなくイオンを供給することができる。
【0107】
この時、供給するイオンをマイナスイオンにすれば、マイナスイオンのリラックス効果などのマイナスイオン効果を与えることができる。
【0108】
以上の実施例では、上側吸込み部230は略水平に配置され、前側吸込み部230′は略垂直に配置され、これらは室内機2の略直交する二面を構成していた。つまり、フィルターも同様に配設されていた。
【0109】
フィルターの断面が直線でない場合も、その形状に合わせて除去ブラシを複数設置することで、掃除用ブラシで集めた塵埃を除去ブラシで掻き取り、塵埃戻り防止ブラシ、集塵開口を介して集塵容器に送り込むことができる。このため、断面形状が屈曲したフィルターを使用している場合でもフィルターに捕集された塵埃を、フィルターを外すことなしに掃除して集塵容器まで運搬し、貯留し、廃却することができる。
【0110】
また、熱交換器の断面形状が屈曲していて、フィルターの断面が湾曲している場合も、その形状に合わせて、軸が湾曲した除去ブラシを設置することができる。
【0111】
また、前方部の掃除用刷毛の下端を除去ブラシ方向に曲げて設置することにより、掃除用刷毛でフィルター面を掃引するときに、掃除用刷毛の上部で掃き取れなかった塵埃が落下しても下端の掃除用刷毛で捕獲され、除去ブラシに掻き取られ、集塵容器に貯留される。このため、フィルターの塵埃が掃除用刷毛の周囲に散乱するのを抑制することができる。
【0112】
また、隣合う除去ブラシの間の隣合う端部の、掃除用刷毛の移動方向から見た投影が重なるように構成すると共に、隣合う端部が掃除用刷毛の移動方向に離間するように構成すれば、除去ブラシの継ぎ目に対応する部分にも掃除用刷毛及びフィルターを設けることができる。これによって、フィルターの面積を拡げて通風抵抗を下げることで風量や騒音などの送風性能を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1実施形態の空気調和機の構成図である。
【図2】図1の室内機の内部正面図である。
【図3】図1の室内機の側断面図である。
【図4】図1の室内機の清掃装置の説明図である。
【図5】図1の室内機の除塵部及びその周辺部を示す縦断面図である。
【図6】図1の室内機の清掃装置の全体動作を示す説明図である。
【図7】図1の室内機に用いる除塵ブラシを示す図である。
【図8】図1の室内機の除塵ブラシに係る動作の説明図である。
【図9】図1の室内機の除塵ブラシに係る図8の次の動作の説明図である。
【図10】図1の室内機の除塵ブラシに係る図9の次の動作の説明図である。
【図11】図1の室内機の除塵ブラシに係る図10の次の動作の説明図である。
【図12】図1の室内機のフィルターの樹脂繊維網の一部を拡大した断面模式図である。
【図13】図12のフィルターの変形例を示す図である。
【図14】図12のフィルターの樹脂繊維のピッチと線径との好適範囲を説明する図である。
【図15】図12のフィルターの線径と目開きの関係を説明する図である。
【図16】図12のフィルターの樹脂繊維網の抗菌試験結果を示す図である。
【図17】図1の室内機のフィルターの帯電量残存率を示す図である。
【図18】室内機の化粧枠を取外した状態の斜視図である。
【図19】室内機の前面パネルを取外した状態の斜視図である。
【図20】図1の室内機のイオンの流れを模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1 空気調和機
2 室内機
5 リモコン
6 室外機
8 冷媒配管
10 制御装置
21 筐体
23 化粧枠
25 前面パネル
27 空気吸込み口
29 空気吹出し口
33 室内熱交換器
35 露受皿
37 ドレン配管
230,230′ 空気吸込み部
231,231′ フィルター
231a,231a′ 樹脂繊維網
231b 縦繊維
231c 横繊維
231d 金属皮膜
232,232′ フィルター枠
235,235′ レール
236 塵埃
237 ラック
238 待機部
241 移動手段
242 移動用モータ
243 推進軸
244 スクリュウ
245 軸受
251 可動パネル
261 キャリッジ
262,262′…刷毛支持枠
267,267′ 掃除用刷毛
267a 刷毛曲げ部
268,268′ 刷毛押え
269,269′ レバー突起
271,271′ 除去ブラシ
271a,271a′ 除去ブラシ面
271b,271b′ 非ブラシ面
271c,271c′ 回動レバー
271d,271d′ レバーばね
271e,271e′ 鰭
271f,271f′ ストッパ
273,273′ 塵埃戻り防止ブラシ
273a,273a′ 塵埃戻り防止ブラシ面
276,276′ ブラシホルダー
277,277′ 戻しばね
278,278′ 押圧ばね
280 集塵部
281 集塵容器
281a,281a′ 集塵開口
281b 塵埃排出口
284 蓋体
290 吹出し風路
291 上下風向板
295 左右風向板
311 送風ファン
313 送風モータ
396 受光部
397 表示部
411 高電圧発生器
412 吸込み放電電極
412a 放電針
413 吹出し放電電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂繊維網を有するフィルターに捕集された塵埃を除去する清掃装置を備えた空気調和機において、
前記フィルターは、その樹脂繊維網の表面に、ステンレスをスパッタリングによって付着させたものであり、
前記空気調和機の本体内部であって、前記フィルターよりも室内空気吸い込み側にイオンを放出するイオン発生装置を備えた空気調和機。
【請求項2】
請求項1において、
前記イオン発生装置は、前記フィルターの室内空気吸い込み側にイオンを放出する吸込み放電電極と、室内に空気を吹き出す空気吹出し口に対してイオンを放出する吹出し放電電極とを備えたことを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1において、
前記イオン発生装置は、放電針を吸込み気流に向けた放電電極を備えたことを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項3において、
前記イオン発生装置は、前記フィルターに隣接して配置されたことを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項1において、
前記フィルターは、室内空気吸い込み側のみの表面に、ステンレスをスパッタリングによって付着させたことを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項1において、
前記フィルターは、カレンダーロール加工が施されたことを特徴とする空気調和機。
【請求項7】
請求項1において、
前記フィルターの樹脂繊維網の引張強さが8.5N/cm 以上で、且つ、開口率が55%以上で、且つ、目開きが765μm以下であることを特徴とする空気調和機。
【請求項8】
請求項1において、清掃装置は、
前記フィルターの掃除を行う掃除用刷毛と、
摺接により掃除用刷毛に付着した塵埃を除去する傾斜植毛を施した除去ブラシと、
掃除用刷毛を除去ブラシに摺接可能にする移動手段と、
集塵開口を有し、除去した塵埃を貯留する集塵容器と、
除去ブラシで除去した塵埃を集塵開口に移送する手段と、
排出部が集塵開口に対向し、移送された塵埃の戻りを防止する傾斜植毛を施した塵埃戻り防止ブラシと、
除去ブラシを塵埃戻り防止ブラシに摺接させる機構と
を備えていることを特徴とする空気調和機。
【請求項9】
請求項8において、
集塵容器は、内部が空洞状とされ、上方から前方の範囲に集塵開口を備えるとともに、下方に塵埃排出口を備え、
前記除去ブラシは、回動可能に枢支され、外周の一部に回動方向に傾斜して植毛されたブラシ面を有し、回動の一の位置で集塵開口にブラシ面の一端を露出し、回動の他の位置でブラシ面の他端を掃除用刷毛の掃引部に露出するように構成され、
塵埃戻り防止ブラシは、少なくとも一部が前記除去ブラシの回動時に、前記除去ブラシのブラシ面と摺接可能な、前記除去ブラシの回動方向に凹状で、前記除去ブラシと同方向に傾斜して植毛されたブラシ面を有していることを特徴とする空気調和機。
【請求項10】
請求項1において、
掃除用刷毛を支持する支持枠と、
掃除用刷毛がフィルター吸込み面に摺接すると共に除去ブラシに摺接するように支持枠を移動可能に案内する案内枠と、
塵埃戻り防止ブラシのブラシ面を除去ブラシのブラシ面に押圧する如く付勢するばね体と、
容器の塵埃排出口を覆う蓋体と、除去ブラシと連結された除去ブラシ回動レバーとを備えていることを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−116140(P2008−116140A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300224(P2006−300224)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】