説明

空調装置

【課題】簡単な操作で各種設定を可能とした空調装置を提供する。
【解決手段】空調装置1Aは、浴室51に設置される空調ユニット11と、運転モードを選択する操作部41Aと、運転モードに応じて設定された動作設定情報に従って、操作部41Aで選択された運転モードを実行する制御部71とを備える。操作部41Aは、動作設定情報を設定する設定モードへの移行及び動作設定情報の中から設定値を変更する設定項目の選択を行う設定ボタン43aと、動作設定情報の中から設定ボタン43aで選択された設定項目の設定値を変更するアップ・ダウンボタン44と、アップ・ダウンボタン44で変更された設定値を確定する決定ボタン43bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室や脱衣所等の室内の暖房、乾燥、換気等を行う空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室の暖房と乾燥機能等を備えた空調装置が提案されている。このような空調装置では、換気風量の設定や、浴室の換気と連動した例えばトイレ換気の停止を遅延させる時間(トイレ遅延等と称される)の設定等が可能となっている。
【0003】
従来の空調装置では、各種設定値の変更は、操作部を構成するリモートコントロール装置の内部に備えたDIPスイッチで行うように構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
これに対して、リモートコントロール装置に備えられた操作ボタンを利用して、設定値の変更を行えるようにした空調装置もある。
【0005】
【特許文献1】特開平6−16949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
空調装置では、設定可能な換気風量の増加や、他の機能の付加によって、設定値を変更可能な設定項目が増加している。
【0007】
このため、従来のDIPスイッチを利用した設定では、変更可能な設定項目の増加に伴ってDIPスイッチのスイッチ数を増やす必要があり、コストアップにつながると共に、スイッチの大型化に伴ってリモートコントロール装置が大型化するという問題があった。
【0008】
また、従来のリモートコントロール装置の操作ボタンを利用した設定では、操作ボタンの2度押しや長押しが必要であり、操作がわかりにくいという問題があった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、簡単な操作で各種設定を可能とし、設定項目の増加にも対応可能な空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明の空調装置は、運転モードを選択する操作部と、運転モードに応じて設定された動作設定情報に従って、操作部で選択された運転モードを実行する制御部とを備えた空調装置において、操作部は、動作設定情報を設定する設定モードへの移行及び動作設定情報の中から設定値を変更する設定項目の選択を行う設定ボタンと、動作設定情報の中から設定ボタンで選択された設定項目の設定値を変更する設定値変更ボタンと、設定値変更ボタンで変更された設定値を確定する決定ボタンとを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の空調装置では、設定ボタンが操作されると、動作設定情報を設定する設定モードへ移行すると共に、設定モード実行中に設定ボタンが操作されると、設定値を変更可能な設定項目の選択が行われる。
【0012】
設定ボタンで設定値を変更する設定項目を選択した後、設定値変更ボタンが操作されると、該当する設定項目の設定値が変更される。
【0013】
設定値変更ボタンで設定値を変更した後、決定ボタンが押されると、設定値変更ボタンで変更された設定値が確定される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空調装置によれば、運転モードに応じて設定されている換気風量等の動作設定情報を変更する設定モードへ移行する設定ボタンを備えたので、簡単な操作で設定モードへ移行することができる。
【0015】
また、動作設定情報の中から、設定値を変更する設定項目を設定ボタンで選択できるので、操作ボタンの数を増やすことなく、複数の設定項目に対応することができ、操作部の大型化及びコストアップを抑えることができる。
【0016】
更に、設定値の変更を確定する決定ボタンを備えたので、設定値の変更操作を行った利用者に対して、設定値を変更したことを確実に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の空調装置の実施の形態について説明する。
【0018】
<第1の実施の形態の空調装置の構成例>
図1は第1の実施の形態の空調装置の一例を示す構成図である。第1の実施の形態の空調装置1Aは、浴室暖房換気乾燥機等と称され、例えば浴室51の天井に設置される空調ユニット11と、浴室51に隣接した洗面脱衣所52の壁面に取り付けられた操作部41Aを備える。操作部41Aは、空調ユニット11と独立したリモートコントロール装置で、空調ユニット11に備えた空調装置1Aの制御部71とは例えば電気ケーブルで接続される。
【0019】
操作部41Aは、空調装置1Aの運転モードを選択する運転モード選択ボタン42を備える。空調装置1Aは、操作部41Aでの運転モード選択ボタン42の操作に応じて空調ユニット11を制御して、浴室51の暖房を行う暖房運転、浴室51及び他室の換気を行う換気運転、浴室51及び浴室51内に干した衣類の乾燥を行う乾燥運転、浴室51への涼風(送風)の吹き出しを行う涼風運転を実行する。
【0020】
また、操作部41Aは、空調装置1Aにおける換気風量等の設定値の変更を行う設定モードを実行する設定ボタン43a及び決定ボタン43bと、アップ・ダウンボタン44を備える。空調装置1Aは、操作部41Aでの設定ボタン43a及び決定ボタン43bと、アップ・ダウンボタン44の操作に応じて設定モードを実行し、各種設定値の変更を行う。
【0021】
図2及び図3は空調ユニット11の一例を示す構成図で、図2は空調ユニット11の断面図、図3は空調ユニット11を下方から見た分解斜視図である。
【0022】
空調ユニット11は、吸い込んだ空気を循環させる循環ファン部12と、吸い込んだ空気を排気する換気ファン部13とを備える。
【0023】
循環ファン部12は、回転軸の向きを鉛直方向とした多翼の羽根車14と、羽根車14を回転駆動する循環ファンモータ15と、風路を形成する循環ファンケース16を備える。
【0024】
循環ファンケース16は、羽根車14の軸方向に沿った下面が開口して循環ファン吸込口17が形成される。また、循環ファンケース16は、羽根車14の接線方向に沿って吹出風路18が形成され、吹出風路18と連通した下面が開口して循環ファン吹出口19が形成される。
【0025】
循環ファン部12では、循環ファンモータ15によって羽根車14が回転駆動されると、循環ファン吸込口17から空気が吸い込まれ、循環ファン吸込口17から吸い込まれた空気は、吹出風路18を通って循環ファン吹出口19から吹き出される。
【0026】
空調ユニット11は、循環ファン部12にヒータ20hを備える。ヒータ20hは、例えばPTCヒータが用いられ、循環ファン吹出口19の近傍の吹出風路18に取り付けられる。これにより、羽根車14を回転駆動すると共にヒータ20hに通電すると、吹出風路18を通る空気がヒータ20hによって加熱されて、循環ファン吹出口19から温風が吹き出す。
【0027】
また、空調ユニット11は、循環ファン部12にイオン発生器20iを備える。イオン発生器20iは、ヒータ20hより上流側の吹出風路18に、図示しないイオン放出面を露出させて取り付けられ、正イオンと負イオンを発生させる。
【0028】
正イオンと負イオンの発生の原理は、誘電体が介在するように対向させた一対の電極間に家庭用交流電源等から取った交流電圧を昇圧して印加することにより、コロナ放電を起こし、空気中の酸素ないしは水分が電離によりエネルギーを受けてイオン化し、H+(H2O)m(mは任意の自然数)と、O2-(H2O)n(nは任意の自然数)が主体のイオンを放出するものである。
【0029】
これらH+(H2O)m及びO2-(H2O)nは、浮遊菌の表面に付着し、化学反応して活性種であるH22または・OHを生成する。H22または・OHは、極めて強力な活性を示すため、これらにより、空気中の浮遊細菌を取り囲んで除去することができる。ここで、・OHは活性種の1種であり、ラジカルのOHを示している。
【0030】
これにより、羽根車14を回転駆動すると共にイオン発生器20iで略同数の正イオンと負イオンを発生させると、略同数の正イオンと負イオンを含む空気が循環ファン吹出口19から吹き出す。
【0031】
換気ファン部13は、回転軸の向きを鉛直方向とした多翼の羽根車21と、羽根車21を回転駆動する換気ファンモータ22と、風路を形成する換気ファンケース23を備える。
【0032】
換気ファンケース23は、羽根車21の軸方向に沿った下面が開口して換気ファン吸込口24が形成される。また、換気ファンケース23は、羽根車21の接線方向に沿って排気風路25が形成され、排気風路25と連通した一の側面が開口して排気口26が形成される。
【0033】
空調ユニット11は、循環ファン部12と換気ファン部13を収容する本体ケース27を備える。本体ケース27は、鉄等の金属で構成され、循環ファン部12の上側に換気ファン部13が重なる形態で、循環ファン部12と換気ファン部13が取り付けられる。
【0034】
空調ユニット11は、本体ケース27の一の側面に、換気ファン部13の排気口26と連通した排気ダクトジョイント28aが取り付けられる。
【0035】
また、空調ユニット11は、排気口26の形成面以外の本体ケース27の他の側面に1個または2個の副吸込口27aが形成され、副吸込口27aに副吸込ダクトジョイント28bが取り付けられる。
【0036】
更に、空調ユニット11は、本体ケース27内で循環ファン部12の上側に、循環ファン部12の吹出風路18とは独立して、副吸込口27aと換気ファン吸込口24を連通させた副吸込風路29が形成される。
【0037】
空調ユニット11は、換気ファン部13の下側に換気吸込風路形成部材30が取り付けられる。換気吸込風路形成部材30は、本体ケース27の下面側に開口を有して換気吸込口30aを形成すると共に、換気吸込口30aと換気ファン吸込口24を連通させた換気吸込風路30bを形成する。
【0038】
空調ユニット11は、本体ケース27の下面にフロントパネル32を備える。フロントパネル32は、本体ケース27に対して着脱できるように構成され、循環ファン部12の循環ファン吸込口17及び換気ファン部13と連通した換気吸込口30aと対向して吸込口グリル32aが形成される。また、フロントパネル32は、循環ファン部12の循環ファン吹出口19と対向して吹出口グリル32bが形成される。
【0039】
空調ユニット11は、吹出口グリル32bに面して循環ファン吹出口19に電動ルーバ33を備える。
【0040】
図4は電動ルーバ33の一例を示す構成図で、図4(a)は吹出口グリル32bの長手方向から見た電動ルーバ33の正面図、図4(b)は吹出口グリル32bの短手方向から見た電動ルーバ33の側面図である。
【0041】
電動ルーバ33は、吹出口グリル32bの短手方向に沿って延び、吹出口グリル32bの長手方向に沿って並列した複数枚の第1の整流板34aと、第1の整流板34aの向きを変える第1のルーバモータ35aと、各第1の整流板34aに駆動力を伝達する第1のリンク機構36aを備える。
【0042】
また、電動ルーバ33は、第1の整流板34aと直交する向きに配置される複数枚の第2の整流板34bと、第2の整流板34bの向きを変える第2のルーバモータ35bと、各第2の整流板35bに駆動力を伝達する第2のリンク機構36bを備える。
【0043】
各第1の整流板34aは、図示しない枠体等に軸37aを支点に回転自在に支持され、1枚の第1の整流板34aの軸37aに第1のルーバモータ35aの軸が連結されている。第1のルーバモータ35aはステッピングモータで構成され、第1の整流板34aの往復回転動作が可能である。
【0044】
各第1の整流板34aは、第1のリンク機構36aを構成するリンクロッド38aで連結される。
【0045】
これにより、第1のルーバモータ35aが矢印a,b方向に回転駆動されると、複数枚の第1の整流板34aの中で、第1のルーバモータ35aの軸と連結された第1の整流板34aが軸37aを支点にして矢印a,b方向に回転すると共に、各第1の整流板34aがリンクロッド38aで連結されているので、各第1の整流板34aが軸37aを支点にして矢印a,b方向に回転する。
【0046】
第2の整流板34bも、第1の整流板34aと同様の構成で駆動され、各第2の整流板34bは、図示しない枠体等に軸37bを支点に回転自在に支持され、1枚の第2の整流板34bの軸37bに第2のルーバモータ35bの軸が連結されている。第2のルーバモータ35bはステッピングモータで構成され、第2の整流板34bの往復回転動作が可能である。
【0047】
各第2の整流板34bには、第2のリンク機構36bを構成するリンクレバー39bが取り付けられ、各リンクレバー39bがリンクロッド38bで連結される。
【0048】
これにより、第2のルーバモータ35bが矢印c,d方向に回転駆動されると、複数枚の第2の整流板34bの中で、第2のルーバモータ35bの軸と連結された第2の整流板34bが軸37bを支点にして矢印c,d方向に回転すると共に、各第2の整流板34bがリンクレバー39b及びリンクロッド38bで連結されているので、各第2の整流板34bが軸37bを支点にして矢印c,d方向に回転する。
【0049】
このように、電動ルーバ33は、整流板の向きを切り換えられるようにすることで、空気の吹き出し方向が運転モード毎、または利用者の操作によって選択された向きに切り換えられるようになっている。
【0050】
次に、図1を参照にして空調装置1Aの設置例について説明する。空調装置1Aの空調ユニット11は、浴室51の天井に設置される。浴室51の天井パネルには、図2等で説明した空調ユニット11の本体ケース27が入る開口部が形成され、空調ユニット11は、フロントパネル32が露出するようにして、天井裏から吊り下げる形態、あるいは天井パネルに固定する形態等で取り付けられる。
【0051】
浴室51の天井に取り付けられた空調ユニット11は、排気ダクトジョイント28aに排気ダクト3が接続される。排気ダクト3は、図示しない建物の外壁53に取り付けた屋外グリル4に接続され、空調ユニット11で浴室51等から吸い込んだ空気を、排気ダクト3を介して屋外に排気できる構成となっている。
【0052】
また、空調ユニット11は、副吸込口27aに取り付けられた副吸込ダクトジョイント28bに副吸込ダクト5が接続され、副吸込ダクト5は、例えばトイレ54に設置された副吸込口6に接続されて、トイレ54から図示しない建物の他室の空気を吸い込める構成となっている。
【0053】
なお、空調ユニット11に副吸込口27aを2個備える構成では、洗面脱衣所52にも副吸込口6を備えて、空調ユニット11と副吸込ダクト5で接続する構成としても良い。
【0054】
空調装置1Aは、洗濯物等の被乾燥物を乾燥させる機能を備えるので、浴室51には洗濯物等を掛けるランドリパイプ55を備える。ここで、空調ユニット11の吹出口グリル32bから吹き出す空気が、浴槽51aから出て洗い場51bに居る入浴者に直接当たると、体が濡れている場合等に寒さを感じることがある。このため、吹き出し方向がランドリパイプ55側に向くように、図4で説明した電動ルーバ33により風向が初期設定される。
【0055】
浴室51の入口には浴室ドア56を備える。浴室ドア56は空気取入口(ガラリ)56aを備え、浴室51に隣接した洗面所脱衣所52等の空気を浴室51内に取り込めるようになっている。
【0056】
<空調装置の制御機能例>
図5は空調装置1Aの制御系の一例を示す機能ブロック図である。空調装置1Aは、空調ユニット11に備えられ、CPUやEEPROM等の不揮発性のメモリ71a等を有した制御部71に、操作部41Aと、図2〜図4で説明した循環ファンモータ15と、換気ファンモータ22と、ヒータ20hと、イオン発生器20iと、第1のルーバモータ35aと、第2のルーバモータ35b等が接続される。
【0057】
制御部71は制御手段の一例で、メモリ71a等に格納されたプログラムに従って、本例では暖房運転を行う暖房運転モード、換気運転を行う換気運転モード、乾燥運転を行う乾燥運転モード及び涼風運転を行う涼風運転モードを実行する。また、各運転モードに応じて設定された換気風量等の動作設定情報の設定値を変更する設定モードを実行する。
【0058】
これら運転モードは、入浴者等の利用者が操作部41Aの運転モード選択ボタン42等を操作することにより選択される。また、利用者等が操作部41Aの設定ボタン43a及び決定ボタン43bと、アップ・ダウンボタン44を操作することで変更された各種設定値がメモリ71aに格納される。
【0059】
そして、制御部71は、操作部41Aで選択された運転モードを実行するプログラムと、メモリ71aに格納された設定値に従い、循環ファンモータ15、換気ファンモータ22、ヒータ20h、イオン発生器20i、第1のルーバモータ35a及び第2のルーバモータ35b等を制御する。
【0060】
図6は操作部41Aの一例を示す構成図である。図1で説明した設定ボタン43aは、各種設定を行う操作へ誘導するような例えば「設定」との文字が表記され、設定モードへの移行及び設定値を変更する設定項目の選択を行う操作で使用される。
【0061】
ここで、設定ボタン43aの表記については、設定を行おうとする利用者(空調装置の使用者または施工業者)が、設定モードへの移行及び設定項目の選択の操作を行えるような表記であれば他の表記でも良い。
【0062】
アップ・ダウンボタン44は設定値変更ボタンの一例で、設定値を順次変更する操作を誘導するような例えば「矢印」が表記されたアップボタン44aとダウンボタン44bを備え、設定値の変更を行う操作で使用される。
【0063】
決定ボタン43bは、設定値を確定する操作等を誘導するような例えば「決定」との文字が表記され、変更された設定値の確定を行う操作で使用される。ここで、決定ボタン43bの表記についても、操作を行う利用者が選択した設定値等を決定する操作が行えるような表記となっていれば、「決定」との表記でなく、例えば「確定」等の他の表記であっても良い。
【0064】
操作部41Aは、運転モード選択ボタン42として、暖房運転モードを選択する暖房運転選択ボタン42aと、換気運転モードを選択する換気運転選択ボタン42bと、乾燥運転モードを選択する乾燥運転選択ボタン42cと、涼風運転モードを選択する涼風運転選択ボタン42dを備える。
【0065】
また、運転モード選択ボタン42として、運転を停止させる停止ボタン42eと、図1に示す浴室51及び浴室51が設置された図示しない建物全体を、所定の換気風量で常時換気を行う24時間換気運転モードを選択する24時間換気運転選択ボタン42fを備える。
【0066】
更に、操作部41Aは、運転モード選択ボタン42で選択された運転モード及び各運転モードで設定される風量等を視認させるため、各ボタンに対応してステータスランプ45を備える。
【0067】
また、操作部41Aは、現在時刻及び設定モードでは設定項目と設定値が表示される表示部46を備える。
【0068】
<第1の実施の形態の空調装置の動作例>
次に、空調装置1Aの各運転モードの動作例について各図を参照して説明する。
【0069】
(1)暖房運転モード
操作部41Aで暖房運転選択ボタン42aが押されると、制御部71は暖房運転モードが選択されたと判断し、循環ファンモータ15を駆動して、循環ファン部12の羽根車14を回転駆動すると共に、ヒータ20hに通電する。また、換気吸込口30aに備えられた図示しないシャッターを閉位置とする。
【0070】
循環ファン部12の羽根車14が回転すると、フロントパネル32の吸込口グリル32aから、循環ファン部12の循環ファン吸込口17へ浴室51内の空気が吸い込まれる。
【0071】
循環ファン吸込口17から吸い込まれた空気は、吹出風路18によって循環ファン吹出口19へと流れる。そして、ヒータ20hが通電されると、吹出風路18を通る空気が加熱され、フロントパネル32の吹出口グリル32bから、浴室51内へ温風が吹き出す。
【0072】
これにより、暖房運転モードを実行することで、浴室51内の空気を循環させながら浴室51内を暖房して、温度を上げることができる。なお、暖房運転モードでは、換気吸込口30aに備えられた図示しないシャッターを閉位置とすることで、浴室51内の暖められた空気が排気されることを防ぐ。
【0073】
なお、暖房運転モードとして、入浴前に浴室51を暖める予備暖房モードと、入浴中に使用する入浴暖房モードを設けておき、この2種類の暖房運転モードを切り替えて実行できるようにしても良い。ここで、入浴暖房モード時に吹き出す温風の風量は、予備暖房モード時より少ない風量として、体が濡れている入浴者が肌寒さを感じないようにしている。
【0074】
また、予備暖房モードでは、電動ルーバ33により温風の吹き出し方向を浴室51の洗い場51bに切り替えて、床面を温められるようにしても良い。
【0075】
ここで、図6に示す操作部41Aでは、暖房運転選択ボタン42aに対応したステータスランプ45として、風量と関連付けた例えば「強」と表記されたランプと、「弱」と表記されたランプを備え、予備暖房モードでは「強」と表記されたランプを点灯させ、入浴暖房モードでは「弱」と表記されたランプを点灯させることで、実行中の運転モードを確認可能としている。
【0076】
(2)換気運転モード
操作部41Aで換気運転選択ボタン42bが押されると、制御部71は換気運転モードが選択されたと判断し、換気ファンモータ22を駆動する。また、換気吸込口30aに備えられた図示しないシャッターを開位置とする。なお、通常の浴室の換気運転モードでは、循環ファン部12は駆動しない。
【0077】
換気ファンモータ22が駆動されると、換気ファン部13の羽根車21が回転することで、フロントパネル32の吸込口グリル32aから、換気ファン吸込口24へ浴室51内の空気が吸い込まれる。
【0078】
換気ファン吸込口24から吸い込まれた空気は、排気風路25によって排気口26へと流れる。そして、排気ダクトジョイント28aに接続された排気ダクト3から、屋外グリル4を介して屋外へ排気される。
【0079】
また、換気ファンモータ22が駆動されると、副吸込ダクトジョイント28bに接続された副吸込ダクト5を介して、副吸込口6からトイレ54等の空気が吸い込まれ、排気ダクトジョイント28aに接続された排気ダクト3から、屋外グリル4を介して屋外へ排気される。
【0080】
なお、空調ユニット11で浴室51の空気が吸い込まれると、浴室ドア56の空気取入口56aから洗面所脱衣所52の空気が浴室51に取り込まれる。
【0081】
これにより、換気運転モードを実行することで、浴室51内の湯気や湿気を排出して結露等を抑制し、カビの発生を抑えることができる。
【0082】
ここで、換気運転モードでは、イオンを供給する除菌モードを連動させても良い。イオン供給による除菌モードを連動させる換気運転モードでは、循環換気モードとして、上述した換気運転モードの動作に加えて、循環ファンモータ15を駆動して、循環ファン部12の羽根車14を回転駆動すると共に、イオン発生器20iで略同数の正イオンと負イオンを発生させる。なお、イオン供給による除菌モードでは、ヒータ20hに通電しない。
【0083】
循環ファン部12の羽根車14を回転させて、イオン発生器20iで正イオンと負イオンの双方を発生させると、浴室51から吸い込んだ空気に略同数の正イオンと負イオンが供給され、フロントパネル32の吹出口グリル32bから浴室51へと送風される。
【0084】
このように、浴室51内に略同数の正イオンと負イオンを含む空気を送風することで、循環する空気に含まれる浮遊細菌と浴室51の空気中の浮遊細菌の双方を除去して、カビの発生等を抑えることができる。
【0085】
操作部41Aで24時間換気運転選択ボタン42fが押されると、制御部71は24時間換気運転モードが選択されたと判断し、所定の換気風量が得られるように換気ファンモータ22を駆動して、上述した換気運転モードを実行する。なお、24時間換気運転モード中に暖房運転選択ボタン42aが押されると、制御部71は、換気吸込口30aに備えられた図示しないシャッターを閉位置として、上述した暖房運転モードと換気運転モードを実行する。
【0086】
(3)乾燥運転モード
操作部41Aで乾燥運転選択ボタン42cが押されると、制御部71は乾燥運転モードが選択されたと判断し、循環ファンモータ15を駆動して、循環ファン部12の羽根車14を回転駆動すると共に、ヒータ20hに通電する。また、換気ファンモータ22を駆動して、換気ファン部13の羽根車21を回転駆動する。
【0087】
循環ファン部12の羽根車14が回転すると、フロントパネル32の吸込口グリル32aから、循環ファン部12の循環ファン吸込口17へ浴室51内の空気が吸い込まれる。
【0088】
循環ファン吸込口17から吸い込まれた空気は、吹出風路18によって循環ファン吹出口19へと流れる。そして、ヒータ20hが通電されると、吹出風路18を通る空気が加熱され、フロントパネル32の吹出口グリル32bから、浴室51内へ温風が吹き出す。これにより、ランドリパイプ55に掛けられた洗濯物に温風が当てられる。
【0089】
また、換気ファン部13の羽根車21が回転すると、フロントパネル32の吸込口グリル32aから、換気風路形成部材30によって形成された換気吸込風路30bを介して、換気ファン部13の換気ファン吸込口24へ浴室51内の空気が吸い込まれる。
【0090】
換気ファン吸込口24から吸い込まれた空気は、排気風路25によって排気口26へと流れる。そして、排気ダクトジョイント28aに接続された排気ダクト3から、屋外グリル4を介して屋外へ排気される。
【0091】
これにより、乾燥運転モードを実行することで、浴室51内の湯気や湿気を排出しながら、ランドリパイプ55に掛けられた洗濯物に温風が当てて、洗濯物を短時間で乾燥させることができる。
【0092】
ここで、乾燥運転モードには標準モードと静音モードがあり、静音モードが選択されると、循環風量と換気風量が標準モード時より少なくなるように循環ファン部12及び換気ファン部13の羽根車の回転数を制御している。
【0093】
なお、乾燥運転モードでは、イオンの供給による除菌モードを連動させても良い。また、電動ルーバ33を所定の範囲でスイングさせ、広範囲に温風を吹き出すようにしても良い。
【0094】
(4)涼風運転モード
操作部41Aで涼風運転選択ボタン42dが押されると、制御部71は涼風運転モードが選択されたと判断し、循環ファンモータ15と換気ファンモータ22を駆動する。なお、涼風運転モードでは、ヒータ20hには通電しない。
【0095】
循環ファンモータ15が駆動されると、循環ファン部12の羽根車14が回転することで、フロントパネル32の吸込口グリル32aから、循環ファン吸込口17へ浴室51内の空気が吸い込まれる。
【0096】
循環ファン吸込口17から吸い込まれた空気は、吹出風路18によって循環ファン吹出口19へと流れる。涼風運転モードでは、ヒータ20hに通電されていないので、フロントパネル32の吹出口グリル32bから、浴室51内の温度に応じた風(涼風)が吹き出す。
【0097】
また、換気ファンモータ22が駆動されると、換気ファン部13の羽根車21が回転することで、フロントパネル32の吸込口グリル32aから、換気ファン吸込口24へ浴室51内の空気が吸い込まれる。
【0098】
換気ファン吸込口24から吸い込まれた空気は、排気風路25によって排気口26へと流れる。そして、排気ダクトジョイント28aに接続された排気ダクト3から、屋外グリル4を介して屋外へ排気される。
【0099】
これにより、涼風運転モードを実行することで、浴室51内の空気を換気しながら、浴室51内に涼風が吹き出され、空調装置1Aを夏季等に扇風機として使用することができる。
【0100】
(5)設定モード
操作部41Aで設定ボタン43aが押されると、制御部71は設定モードが選択されたと判断する。
【0101】
設定モードでは、換気風量や電動ルーバ33の動作の有無、トイレ遅延と称される換気動作の停止を遅延させる時間等といった動作設定情報の設定が行われる。
【0102】
ここで、動作設定情報の中で、運転モードに応じて設定値を変更できる設定項目(ファクター)が異なり、本例では、設定ボタン43aが押された時に実行中の運転モードに応じて、制御部71は設定値を変更可能な設定項目を判断する。
【0103】
設定モードでは、時間表示を行う表示部46の時間の位Hに、設定値を変更可能な設定項目を示すアルファベット、分の位Mに設定項目の設定値である設定コード、設定項目と設定コードを区切るコロンCが、所定のタイミング、例えば1Hz(1/2Duty)で点滅して、選択されている運転モードにおける動作設定情報の設定モードとなる。
【0104】
以下の表1に各運転モードで設定値を変更可能な設定項目を示し、表2に設定コードとパラメータを示す。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

【0107】
表1及び表2に示すように、例えば乾燥運転モードでは、設定項目Jの除菌モードの連動の有無と、設定項目Pの電動ルーバ33による風向の切り替えが設定可能である。
【0108】
設定項目Jでは、表2に示すようにイオンの発生の有無が選択可能となっている。設定項目Pでは、例えば表2に示すように、電動ルーバ33を固定するかスイングさせるか、固定する場合は、複数の固定位置から運転モード及び使用者の選択した位置に応じて任意の固定位置を設定することが可能である。なお、電動ルーバ33をスイングさせる場合にスイングの範囲を設定可能としても良い。また、空調ユニット11を設置する向きに合わせて、吹き出し方向をランドリパイプ55方向とする初期設定が可能である。
【0109】
涼風運転モードと暖房運転モードでは、設定項目Pの電動ルーバ33による風向の切り替えが設定可能である。
【0110】
換気運転モードでは、設定項目Jの除菌モードによるイオン発生の有無と、設定項目Aの24時間換気の風量と、設定項目dのトイレ換気停止時の遅延時間と、設定項目Fの24時間換気の運転モードが設定可能である。
【0111】
設定項目Aでは、例えば表2に示した複数の風量の中から、住宅の床面積に合わせて風量設定ができるようになっている。設定項目dでは、例えば表2に示した複数の時間の中から、トイレからの退出時に換気を継続させて停止を遅延させる時間が選択可能となっている。
【0112】
更に、設定項目Fでは、24時間換気の運転モードとして、標準の24時間換気風量(例えば、住宅換気対象容積の0.5回/時)とする標準モードと、冬季時に24時間換気風量を減少させる冬季モード(例えば、住宅の換気対象容積の0.4回/時)とが選択可能となっている。
【0113】
なお、表1及び表2に示す設定項目は一例であり、これに限るものではない。
【0114】
設定モードに移行した後、設定ボタン43aが押されると、制御部71は、動作設定情報の中で、設定値を変更可能な設定項目を、表1に示す左側から順に切り替えて、表示部46の時間の位Hに選択された設定項目を特定するアルファベットを表示する。
【0115】
これにより、設定ボタン43aを利用して、設定モードへの移行と、設定値を変更する設定項目の選択が可能となる。
【0116】
設定モードでは、操作部41Aのアップ・ダウンボタン44が押されると、制御部71は、選択されている設定項目に応じて、表2に示す設定コードを順に切り替えて、表示部46の分の位Mに選択された設定コードを表示する。
【0117】
これにより、タイマの設定等で使用されるアップ・ダウンボタン44を利用して、設定値の変更が可能となる。
【0118】
設定モードでは、決定ボタン43bが押されると、制御部71は、設定ボタン43aで選択され、アップ・ダウンボタン44で変更された設定値を確定する。設定値を変更した利用者の確認のため、確定した設定項目のアルファベット及び設定コードを所定時間、例えば10秒間表示部46で表示した後、通常の表示に戻る。
【0119】
これにより、利用者は、変更した設定の内容及び設定を変更したことを確実に認識できる。
【0120】
切り替えられた設定値はメモリ71aに記憶され、制御部71は、メモリ71aから、運転モードに応じてメモリ71aから該当する設定値を読み出し、選択された運転モードを実行する。なお、図示しないリセットボタンの押下や、停電が発生しても、設定値は記憶されるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、浴室に設置され、浴室及び浴室外の他室の換気や、浴室を暖房する機能を有する浴室空調装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】第1の実施の形態の空調装置の一例を示す構成図である。
【図2】空調ユニットの一例を示す構成図である。
【図3】空調ユニットの一例を示す構成図である。
【図4】電動ルーバの一例を示す構成図である。
【図5】空調装置の制御系の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】操作部の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0123】
1A:空調装置、11・・・空調ユニット、12・・・循環ファン部、13・・・換気ファン部、14・・・羽根車、15・・・循環ファンモータ、16・・・循環ファンケース、17・・・循環ファン吸込口、18・・・吹出風路、19・・・循環ファン吹出口、20h・・・ヒータ、20i・・・イオン発生器、21・・・羽根車、22・・・換気ファンモータ、23・・・換気ファンケース、24・・・換気ファン吸込口、25・・・排気風路、26・・・排気口、27・・・本体ケース、27a・・・副吸込口、28a・・・排気ダクトジョイント、28b・・・副吸込ダクトジョイント、29・・・副吸込風路、30・・・換気吸込風路形成部材、30a・・・換気吸込口、30b・・・換気吸込風路、32・・・フロントパネル、32a・・・吸込口グリル、32b・・・吹出口グリル、33・・・電動ルーバ、34a・・・第1の整流板、34b・・・第2の整流板、35a・・・第1のルーバモータ、35b・・・第2のルーバモータ、36a・・・第1のリンク機構、36b・・・第2のリンク機構、37a,37b・・・軸、38a,38b・・・リンクロッド、39b・・・リンクレバー、41A・・・操作部、42・・・運転モード選択ボタン、42a・・・暖房運転選択ボタン、42b・・・換気運転選択ボタン、42c・・・乾燥運転選択ボタン、42d・・・涼風運転選択ボタン、42e・・・停止ボタン、42f・・・24時間換気運転選択ボタン、43a・・・設定ボタン、43b・・・決定ボタン、44・・・アップ・ダウンボタン、44a・・・アップボタン、44b・・・ダウンボタン、45・・・ステータスランプ、46・・・表示部、51・・・浴室、52・・・洗面脱衣所、71・・・制御部、71a・・・メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転モードを選択する操作部と、運転モードに応じて設定された動作設定情報に従って、前記操作部で選択された運転モードを実行する制御部とを備えた空調装置において、
前記操作部は、
前記動作設定情報を設定する設定モードへの移行及び前記動作設定情報の中から設定値を変更する設定項目の選択を行う設定ボタンと、
前記動作設定情報の中から前記設定ボタンで選択された設定項目の設定値を変更する設定値変更ボタンと、
前記設定値変更ボタンで変更された設定値を確定する決定ボタンとを備えた
ことを特徴とする空調装置。
【請求項2】
設定値を変更可能な設定項目及び設定値を特定する情報の表示を行う表示部を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
変更された設定値を記憶する不揮発性のメモリを備え、前記制御部は、前記メモリに記憶された動作設定情報の設定値に従って運転モードを実行する
ことを特徴とする請求項1または2記載の空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−263406(P2007−263406A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−86063(P2006−86063)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】