説明

空間光変調器

【課題】高速に動作し、十分な変調強度比が得られる空間光変調器を提供する。
【解決手段】入射光を反射或いは透過させて、反射光或いは透過光の空間的な強度を変調する構成であって、垂直磁化膜によって構成された磁性体細線11と、この磁性体細線11の一部分の磁化状態を変化させる磁化機構12と、磁性体細線11内に一方向の電流を供給して、磁化機構12により変化した磁化状態を、磁性体細線11内で伝播させる電流供給機構とを含む、空間光変調器を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間光変調器に係わり、ホログラム表示装置やホログラム光記録装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
立体映像表示装置の一つである、ホログラム表示装置は、特殊な眼鏡等を用いなくとも、自然な立体映像を表示できることが特徴である。
【0003】
ホログラム表示装置では、光の干渉を利用するため、表示画像を自由に操作するには、光の波長と同等もしくはより小さな寸法で光の強度を変調する必要がある。
また、ホログラム表示装置で動画を表示するためには、高速に動作する光変調素子が多数必要である。
【0004】
このような条件を満たすものとして、例えば、微細な磁性体の磁化の向きを高速で反転させることが可能なスピン注入磁化反転を用いた、空間光変調器(例えば、特許文献1を参照)が、提案されている。
また、膜面内方向の磁化を有する、面内磁化膜の磁壁移動を利用した、空間光変調器(例えば、特許文献2を参照)も、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−60668号公報
【特許文献2】特開2010−20114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、空間光変調器を微細な光変調素子を多数配列して構成して、素子一つ一つを操作する方法では、素子面積が小さく、また素子に電流を流すための電極が広い面積を専有するため、十分な光の変調強度比をとるのが難しい、という問題がある。
また、複数の素子に同時に電流を流すと、消費電力が大きくなる欠点がある。
【0007】
上述した問題の解決のために、本発明においては、高速に動作し、十分な変調強度比が得られる空間光変調器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空間光変調器は、入射光を反射或いは透過させて、反射光或いは透過光の空間的な強度を変調する空間光変調器である。
そして、垂直磁化膜によって構成された磁性体細線と、この磁性体細線の一部分の磁化状態を変化させる磁化機構と、磁性体細線内に一方向の電流を供給して、磁化機構により変化した磁化状態を、磁性体細線内を伝播させる電流供給機構とを含む。
【0009】
上述の本発明の空間光変調器の構成によれば、磁性体細線の一部分の磁化状態を変化させる磁化機構と、磁性体細線内に一方向の電流を供給して、磁化機構により変化した磁化状態を、磁性体細線内で伝播させる電流供給機構とを含む。
これにより、磁化機構により変化した磁化状態を、電流供給機構により供給された電流によって、磁性体細線内を伝搬させて、磁性体細線に任意の磁化パターンを形成することができ、磁性体細線の領域毎の磁化状態を利用して光を変調することができる。
そして、磁化機構による磁性体細線の磁化状態を変化させる動作と、電流供給機構による磁化状態を磁性体細線内で伝搬させる動作とは、それぞれ、比較的高速に動作させることができる。
さらに、連続する磁性体細線の領域毎の磁化状態で光を変調することができるので、領域毎に1つ1つ個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器と比較して、領域間の隙間を低減し、電極数を低減して電極が占める面積を低減することができる。これにより、変調に寄与する部分の面積率を向上することができる。
【発明の効果】
【0010】
上述の本発明によれば、光の照射面に対する変調に寄与する部分の面積率を向上することができ、効率的な光強度の変調を行うことができる。
また、個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器と比較して、電極数を低減することができるので、その分空間光変調器の価格を低減することが可能になる。
ことができる。
さらに、個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器と比較して、領域間の隙間を低減することができるので、各領域のサイズを縮小することによって領域数を増やして、解像度を向上することも可能になる。
【0011】
本発明によれば、比較的高速な動作で、磁性体細線内に磁化パターンを形成して、多様な光変調パターンを形成することができる。
従って、本発明の空間光変調器を用いて、高精細な動画を表示可能な立体映像の表示装置や、高密度で高速動作が可能なホログラム光記録装置を、実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の空間光変調器の基本的な構成要素を模式的に示す図(斜視図)である。
【図2】A〜E 本発明の空間光変調器の動作原理の磁化の操作方法を説明する図である。
【図3】本発明の空間光変調器の第1の実施の形態の概略構成図(平面図)である。
【図4】本発明の空間光変調器の第2の実施の形態の概略構成図(平面図)である。
【図5】本発明の空間光変調器の第2の実施の形態の概略構成図(斜視図)である。
【図6】本発明の空間光変調器の第3の実施の形態の概略構成図(平面図)である。
【図7】図6の空間光変調器の磁化機構の一形態の断面図である。
【図8】A〜D 変形例の磁性体細線の形態を示す平面図である。
【図9】A〜C 図8の各変形例の磁性体細線に流す電流波形の形態を示す図である。
【図10】A〜C 本発明の空間光変調器の第4の実施の形態に対する比較対照の構成を示す図である。
【図11】A〜C 本発明の空間光変調器の第4の実施の形態の概略構成図である。
【図12】A〜C 本発明の空間光変調器の第4の実施の形態の概略構成図である。
【図13】A〜C 本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の製造方法を示す製造工程図である。
【図14】A〜C 本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の製造方法を示す製造工程図である。
【図15】A〜C 本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の製造方法を示す製造工程図である。
【図16】A〜C 本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の製造方法を示す製造工程図である。
【図17】A〜C 本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の製造方法を示す製造工程図である。
【図18】A〜C 本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の製造方法を示す製造工程図である。
【図19】A〜D 本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の製造方法を示す製造工程図である。
【図20】本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の製造方法を示す製造工程図である。
【図21】本発明の空間光変調器の第5の実施の形態の構成において、多数の素子群を規則的に配置した構成の一部の平面図である。
【図22】記録動作時の磁化機構の導体線に流す励磁電流と各磁性体細線に流す電流との組み合わせの一形態を示す図である。
【図23】空間光変調器を使用する際の光学系の構成の一形態を示す図である。
【図24】空間光変調器を使用する際の光学系の構成の他の形態を示す図である。
【図25】A、B 本発明の空間光変調器を使用する際の変調方向の一形態を示す図である。
【図26】A、B 本発明の空間光変調器を使用する際の変調方向の他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態とする)について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明の概要
2.第1の実施の形態
3.第2の実施の形態
4.第3の実施の形態
5.変形例
6.第4の実施の形態
7.第5の実施の形態
8.実験例
9.空間光変調器への書き込み方法
10.空間光変調器を使用する際の光学系
11.空間光変調器を使用する際の変調方法
【0014】
<1.本発明の概要>
まず、本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要を説明する。
前述した目的を達成するために、発明者等は、検討を重ねた。
その結果、垂直磁化膜をストライプ状の磁性体細線として平面上に形成し、磁性体細線の一部に電流を流すための電極と、細線の一部の磁化状態を変化させる磁化機構とを設け、磁化機構により生成された磁化状態を磁性体細線内で移動させることを見出した。
これにより、磁性体細線内に任意の磁化状態を形成して、磁性体細線に例えば直線偏光の光を入射させ、その反射光を偏光子に通すと、光磁気効果によって、磁化状態を反映した反射強度の変調を得ることができる。
そして、磁化の変調幅を、照射光の波長と同等、もしくは、十分に小さくとれば、光の干渉を磁化状態によって制御することができ、ホログラム表示等に適した空間光変調素子として機能させることができる。
【0015】
本発明においては、垂直磁化膜によって構成された磁性体細線を配置して、入射光を反射或いは透過させて、反射光或いは透過光の空間的な強度を変調する空間光変調器を構成する。
さらに、磁場、熱、或いは、偏極スピンの注入、の少なくとも一つによって、磁性体細線の一部の磁化状態を変化させる磁化機構を、磁性体細線に対して設ける。
さらにまた、磁性体細線内に一方向の電流を供給して、磁化機構によって変化した磁化状態を磁性体細線内で伝搬させる、電流供給機構を設ける。
【0016】
磁化機構の具体的な構成としては、導体の電流磁場を印加するもの、発熱源によって磁性体の温度を上げて磁気特性を変化させるもの、偏極した電子を磁性体に注入するときに発生するスピントランスファートルクによるものが挙げられる。また、これらの機構を複数組み合わせても良い。
電流供給機構の具体的な構成としては、磁性体細線の端部等に設けた電極や、磁性体細線の一端に電気的に接続され、磁性体細線内を流れる電流のオンオフを制御するトランジスタ等が挙げられる。
【0017】
本発明の空間光変調器において、磁化機構によって磁性体細線内に生成された磁化状態を移動する方法としては、例えば、磁性体を電流が流れる際に発生するスピントルク等の磁壁駆動作用によって行うのが効果的である。
このような方法は、文献(Kab-Jin Kim et al,IEEE Trans.Magn.vol.45,No.10,pp.3773(2009))に開示されている。
即ち、磁性体細線内に一方向の電流を流すことにより、磁性体細線内に生成された磁化状態を、磁性体細線内で伝搬させることができる。
これにより、磁性体細線内に任意の磁気構造を形成することができ、磁性体の磁気光学的作用、或いは、磁性体の生成する磁場による間接的な光学効果によって、反射光或いは透過光の空間的な強度を変調することができる。
【0018】
磁性体細線を構成する磁性体の磁気特性を適切に選定すれば、磁性体細線の磁化状態(磁化の向き;上向きと下向き)が変化した境界に、磁壁が生成する。
そして、磁性体細線内に電流を流した際に発生する電流磁場、温度上昇、スピントランスファートルク等によって、磁壁は電流方向と逆方向に移動する場合が多い。
【0019】
磁性体細線に電流を流す電極は、磁性体細線の両端部に設置しても良いし、磁性体細線の適当な位置に複数個設置しても良い。
【0020】
本発明の空間光変調器を構成する、磁性体細線に用いる磁性体の材料には、適度な垂直磁気異方性を有する垂直磁化膜が適している。そして、特に、磁気光学効果が大きい材料が望ましい。
例えば、Co/Pt,Co/Pd,Co/Ni,Fe/Ni等の交互積層膜や、GdFeCo,TbFeCo,FePt,MnBi,MnGa,PtMnSb等の合金膜を、使用することができる。
また、上述の材料を任意で組み合わせた、複合膜、積層膜、もしくは、合金膜とガドリニウム・ガリウム・ガーネット酸化物等の酸化物磁性体を組み合わせて用いることもできる。
【0021】
磁性体細線に用いる磁性体は、単独の磁性体でも良いし、複数の磁性体をCr,Cu,Ru,Re,Os等の非磁性の金属層を介して積層することによって、磁性体同士の磁化を適当な強度で磁気的に相互作用させても良い。
また、これらの磁性体の上にSiO,Al,MgO等の酸化物、Si,AlN等の窒化物、或いは、樹脂等の有機物を、適当な厚さで成膜して、光磁気光学効果を補強すると、より効果的である。
【0022】
磁性体細線を構成する磁性体の保磁力は、磁化状態をある程度の時間維持するには保磁力が大きい方が良いが、低い電流で動作させるためには保磁力が小さい方が良いので、それらを両立できる適当な値にするのが好ましい。そのために、磁性体細線の材料や寸法を設定する。
また、磁壁を動きやすくするため、磁性体細線に電流を流すと同時に、適当な外部磁場を印加しても良い。
【0023】
本発明の空間光変調器の構成によれば、透明電極のように光の反射率を低下させるような部材を使用することなく、かつ、多数の磁性体細線を配置することによって、光が照射される領域を、磁性体細線によって広い面積率で覆うことが可能になる。
従って、光の変調効率を高めることができる。
【0024】
特に、連続する磁性体細線の領域毎の磁化状態で光を変調することができるので、領域毎に1つ1つ個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器と比較して、以下に挙げる利点を有する。
(1)領域間の隙間を低減することができるので、変調に寄与する部分の面積率を向上することができ、また、各領域のサイズを縮小することによって領域数を増やして、解像度を向上することも可能になる。
(2)空間光変調器の駆動に必要な電極の数を低減して、電極が占める面積を低減することができ、これによっても、変調に寄与する部分の面積率を向上することができる。また、電極数を減らしてその分空間光変調器の価格を低減することが可能になる。
【0025】
そして、磁化機構による磁性体細線の磁化状態を変化させる動作と、電流供給機構による磁化状態を磁性体細線内で伝搬させる動作とは、それぞれ、比較的高速に動作させることができる。
【0026】
従って、本発明の空間光変調器を用いることにより、高精細な動画を表示可能な立体映像の表示装置や、高密度で高速動作が可能なホログラム光記録装置を、実現することが可能になる。そして、高速動作が可能なホログラム光記録装置により、滑らかな動画ホログラムを表示することが可能になる。
【0027】
本発明の空間光変調器は、光を反射させて使用しても良いし、光を透過させて使用しても良いし、またその両方を同時に使用しても良いが、導電性の磁性体は一般的に金属であるので、反射光を利用するのが効率的である。
【0028】
また、磁性体細線の層を複数層重ね合わせた構造として、上層の磁性体細線の隙間から透明絶縁層を介して下層の磁性体細線へ光が透過する構造としても良い。
このような構成とすることにより、磁性体細線の層が1層だけの構成と比較して、磁性体細線の面積率をさらに高めて、より高い光反射率を実現できる。
【0029】
本発明の空間光変調器を用いて、光を変調する方法としては、磁性体細線の磁化による光磁気効果を利用する方法がある。
また、直接的な光磁気効果によらずに、磁性体細線の磁区の周囲に発生する漏洩磁場を利用して、磁性コロイドや磁性流体を凝集させて、光の反射強度、或いは、光の透過強度を変化させる方法もある。
【0030】
なお、磁性体細線の端部や電極等の磁化が動かない部分を、遮光物等のアパーチャで覆うと、不要な光の反射を抑えることができ、光の変調率を高めることができるので、より効果的である。
【0031】
また、磁性体細線の表面にマイクロレンズ群を形成することによっても、磁性体細線以外に照射される光を減少させるのに効果的である。
マイクロレンズ群は、透明の酸化物や有機物の厚さを、フォトリソグラフィー等の手法で変調させても良い。
また、磁性体細線の形成時に生じる段差を利用して、その段差上に、セラミックスや樹脂等の透明絶縁膜を、磁性体細線上で厚く、それ以外で薄くなるように、成膜条件を設定すると、成膜された透明絶縁膜がレンズの機能を果たす。この方法は、より簡便で効果的である。
【0032】
本発明の空間光変調器に用いる磁性体細線の形状は、直線状でも良いし、曲線でも良いし、立体的な構造としても良い。また、滑らかな曲線形状でも良いし、周期的に形状や膜厚や側面の位置を変化させたものでも良い。
滑らかな曲線形状の磁性体細線では、磁性体細線内に電流を流したときの磁壁の動きが滑らかになり、動作電流を低減することができる。
なお、複数本のストライプ状の磁性体細線を並行するように配置しても、連続する1本の磁性体細線を曲げて並行するように配置しても構わない。
【0033】
周期的に形状或いは膜厚を変化させた磁性体細線では、形状或いは膜厚の変化によって、磁壁が動きやすい部分と磁壁が動きにくい部分とが生じる。
磁壁が動きにくい部分を有するために、動作電流は大きくなるが、磁壁が決まった位置で停止するため、長い磁性体細線においても、磁壁の位置制御が容易になる。
【0034】
磁性体細線に電流を流し、かつ、磁性体細線の磁化機構を動作させる、トランジスタを搭載した集積回路を設けて、この集積回路上に、空間光変調器の磁性体細線や磁化機構を形成することが、集積度を上げる上で好ましい。
また、この集積回路に、磁性体細線に形成する磁化パターンを計算及び記憶する論理回路を組み込むのがより好ましい。
【0035】
本発明の空間光変調器の磁性体細線には、前述したように垂直磁化膜から成る磁性体を使用するので、磁性体細線の形状の自由度等が高く好ましい。
ただし、垂直磁化膜を用いることにより、磁性体の保磁力が大きくなりやすく、磁化反転をさせにくくなる。
そこで、磁性体細線の一部、特に磁化機構の近傍に、膜面内方向の面内磁化となる磁性材料を配置して、この部分の磁性体細線の磁化を面内磁化にすると良い。これにより、磁化の向きが動きやすくなり、磁性体細線の磁化反転に必要な電流を下げることができる。
【0036】
磁性体細線に接続する電極は、独立した磁性体細線毎に2つずつ設けても良いが、複数の磁性体細線の一方の終端を電気的に共通に接続して、各磁性体細線の他方の終端に電流印加用のトランジスタを接続しても良い。
この構成において、さらに、空間光変調器を動作させる際に、磁化を移動させたい目的とするn本の磁性体細線のトランジスタを高電位に設定し、それ以外の磁性体細線のうちn+1本以上を低電位に設定すると良い。このように設定すれば、磁化を移動させたい磁性体細線に他の磁性体細線よりも大きな電流が流れるため、高電位に設定した電極を有する磁性体細線のみの磁化状態が駆動できる。そして、低電位に設定する電極の数が多ければ多いほど、目的の磁性体細線以外に流れる電流を低減することができるので、磁性体細線に不必要な電流を流さずに済む。
【0037】
ここで、本発明の空間光変調器の基本的な構成要素を、模式的に図1の斜視図に示す。
ストライプ状の磁性体1の両端部に、磁性体1に電流を流すための電極2が接続されている。図示しないが、磁性体1の両端部の2つの電極2のうち、一方の電極は、電圧供給部(電源等)に接続されており、他方の電極は、集積回路のトランジスタ等に接続されている。
さらに、磁性体1の上方に、磁性体1とは絶縁された導体線3が設けられ、この導体線3の両端部に電極4が接続されている。この導体線3用の電極4も、磁性体1用の電極2と同様に、集積回路のトランジスタ等に接続されている。
図1に示す磁性体1を多数集積することにより、本発明の空間光変調器を構成することができる。
【0038】
次に、磁性体1を垂直磁化膜によって形成した場合を例にとり、本発明の空間光変調器の動作原理の基本となる、磁化の操作方法について、図2A〜図2Eを参照して、説明する。図2A〜図2Eは、図1に示したストライプ状の磁性体1の長手方向の断面を表したもので、左右が磁性体1の長手方向、上下が磁性体1の厚さ方向である。また、磁性体1の磁化5の向きを模式的に示している。
導体線3に流す電流によって、磁場を発生させる。導体線3は、非磁性金属材のみで構成しても良いが、より効率的に磁場を発生させるためには、導体の適当な部分に軟磁性体を付着させるのが良い。
まず、図2Aは、初期状態であり、磁性体1の磁化5が全て上向きである状態である。なお、実際の動作時において、初期状態の磁化は任意の状態で動作させることが可能である。
次に、図2Bに示すように、導体線3に流す電流I1を紙面の手前側から奥側に流れる向きとすると、電流によって発生する磁場Hは右回りになり、この磁場Hによって導体線3の下の磁性体1の磁化5が変化し、導体線3の右側は下向き、左側は上向きになる。そして、磁性体の磁化5向きの境界に、磁壁6が生成される。
さらに、図2Cに示すように、導体線3に同じ向きで電流I1を流し続けると共に、磁性体1内に左向きの電流I2を流すと、磁化5が下向きの領域が右側に拡がっていき、磁壁6が右側に移動する。
ここで、図2Dに示すように、導体線3に流す電流I1の向きを逆に奥側から手前側に流れる向きに変えると、磁場Hも左回りに逆転するので、導体線3の下の磁性体1の磁化5が変化し、導体線3の右側は上向き、左側は下向きになる。これにより、新たな磁壁7が生成する。
さらに、図2Eに示すように、導体線3に同じ向きで電流I1を流し続けると共に、磁性体1内に左向きの電流I2を流すと、磁壁6,7が共に右側に移動する。
【0039】
このように、形成したい磁化5のパターンに対応して、導体線3に流す電流I1の向きを変えながら、磁性体1内に電流I2を流すと、磁性体1の磁化5の安定を損なわない限り、任意のパターンを形成することができる。
以上述べたようにして、本発明の空間光変調器の1本の磁性体細線を動作させることができる。
なお、磁性体1に流す電流I2は、連続的な電流でも良いし、断続的でも良いし、強度を変調したものでも良い。
【0040】
<2.第1の実施の形態>
本発明の空間光変調器の第1の実施の形態の概略構成図(平面図)を、図3に示す。
本実施の形態では、ストライプ状の磁性体細線11を4本設けている。
そして、各磁性体細線11の左端部に、磁化機構となる共通の導体線12が設けられて、空間光変調器が構成されている。
なお、各磁性体細線11の右端部には、図示しないが、磁性体細線11に電流を流すためのトランジスタ等が接続される。
【0041】
磁性体細線11は、垂直磁化膜を用いて形成する。
磁性体細線11の材料としては、前述した、Co/PtやGdFeCo等の、垂直磁化膜の磁性材料を用いる。
【0042】
導体線12に電流を流すことにより、4本の磁性体細線11に同時に磁場を印加することができるが、各磁性体細線11内にそれぞれ独立に電流を流すことにより、各磁性体細線11に独立して磁化パターンを形成することができる。
【0043】
磁性体細線11の磁化パターンの形成は、磁性体細線11の一本ずつに一定電流を流しながら、導体線12に流す電流を変調しても良いし、導体線12に流す電流を周期的に変調させながら、磁性体細線11に流れる電流を独立に変化させても良い。
図3の配置で、磁化を左から右に伝搬させるためには、磁性体細線11に、右から左に電流を流せば良い。
【0044】
また、磁性体細線11は、完全に独立した電流源(トランジスタ)に接続されていなくてもよく、例えば、図3の各磁性体細線11の左端を電気的に接続して、右側のみを電流源に接続しても良い。
このように構成すれば、接続する端子を少なくすることができる。
この構成において、さらに、磁化を動かしたい磁性体細線11の電極を高電位に、それ以外の2つ以上の磁性体細線11の電極を低電位にすると良い。これにより、高電位にした磁性体細線11に、他の磁性体細線11よりも大きな電流が流れて、磁化を移動させることができる。
【0045】
なお、図3では、4本の磁性体細線11に対して、1本の導体線12を設けた構成を示したが、多数の磁性体細線に対して1本の導体線を設けて空間光変調器を構成しても良い。また、磁性体細線と導体線との組み合わせを平面に多数配置して、空間光変調器を構成しても良い。
【0046】
上述の本実施の形態の空間光変調器の構成によれば、4本の磁性体細線11の左端部に、磁化機構として導体線12を設けている。これにより、導体線12に流す電流による電流磁場によって、磁性体細線11に磁場を印加して、この部分の磁性体細線11の磁化の向きを反転することができる。
さらに、磁性体細線11内に電流を流すことにより、磁化状態を磁性体細線11内で伝播させて、各磁性体細線11に所定の磁化パターンを形成することができる。
【0047】
また、本実施の形態の空間光変調器の構成によれば、磁性体細線11によって、光が照射される領域を広い面積率で覆うことが可能になる。
そして、連続する磁性体細線11の領域毎の磁化状態で光を変調することができる。
従って、領域毎に個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器を比較して、変調に寄与する部分の面積率を向上することができ、空間光変調器の駆動に必要な電極の数を減らしてその分空間光変調器の価格を低減することが可能になる。
そして、導体線12の電流磁場によって磁性体細線11の磁化状態を変化させる動作と、磁性体細線11内に電流を流して、磁化状態を磁性体細線11内で伝播させる動作は、比較的高速に動作させることができる。
【0048】
従って、本実施の形態の空間光変調器を用いることにより、高精細な動画を表示可能な立体映像の表示装置や、高密度で高速動作が可能なホログラム光記録装置を、実現することが可能になる。
【0049】
<3.第2の実施の形態>
本発明の空間光変調器の第2の実施の形態の概略構成図を、図4及び図5に示す。図4は平面図を示し、図5は斜視図を示している。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同じ構成を1つの群の磁性体細線として、2つの群の磁性体細線を配置したものである。
【0050】
図4に示すように、それぞれストライプ状の磁性体細線が同一平面に並行して複数個形成されている、第1群の磁性体細線11と、第2群の磁性体細線13とが、それぞれ交互に平行に配置されている。第1群の磁性体細線11の左端部に導体線12が配置され、第2群の磁性体細線13の右端部に導体線14が配置されている。
そして、図5に示すように、第1群の磁性体細線11と、第2群の磁性体細線13とは、異なる平面に形成され、第2群の磁性体細線13は、第1群の磁性体細線11よりも下方に形成されている。
即ち、ストライプ状の磁性体細線が同一平面に並行して複数個形成されている、磁性体細線の層が、異なる平面に2層形成された構成となっている。
【0051】
図4に示すように、平面では、第1群の磁性体細線11と第2群の磁性体細線13とが重なっていないので、第1群の磁性体細線11の隙間から光が透過して、第2群の磁性体細線13に達する。第1群の磁性体細線11と第2群の磁性体細線13との間は、光が充分に透過するように、透明絶縁層で絶縁されていることが好ましい。
【0052】
本実施の形態の空間光変調器において、磁性体細線11,13の磁化のパターンを形成する際には、第1群の磁性体細線11内に、電流を右から左に流すことにより、導体線12の電流磁場によって生成した磁化状態を左から右に伝搬させる。また、第2群の磁性体細線13内に、電流を左から右に流すことにより、導体線14の電流磁場によって生成した磁化状態を右から左に伝搬させる。
【0053】
なお、本実施の形態では、上下の磁性体細線11,13の電流を逆に流す構成としているが、磁場発生機構を左右同じ側に揃えれば、磁性体細線に流す電流方向は同じになる。
【0054】
上述の本実施の形態の空間光変調器の構成によれば、第1群の磁性体細線11の左端部に、磁化機構として導体線12を設けて、第2群の磁性体細線13の右端部に、磁化機構として導体線14を設けている。これにより、導体線12,14に流す電流による電流磁場によって、磁性体細線11,13に磁場を印加して、この部分の磁性体細線11,13の磁化の向きを反転することができる。
さらに、磁性体細線11,13内に電流を流すことにより、磁化状態を磁性体細線11,13内で伝播させて、各磁性体細線11,13に所定の磁化パターンを形成することができる。
【0055】
また、本実施の形態の空間光変調器の構成によれば、平面的には重なっていない、第1群の磁性体細線11及び第2群の磁性体細線13によって、第1の実施の形態の空間光変調器よりも、さらに、光が照射される領域を広い面積率で覆うことが可能になる。
そして、連続する磁性体細線11,13の領域毎の磁化状態で光を変調することができる。
従って、領域毎に個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器を比較して、変調に寄与する部分の面積率を大幅に向上することができ、空間光変調器の駆動に必要な電極の数を減らしてその分空間光変調器の価格を低減することが可能になる。
そして、導体線12,14の電流磁場によって磁性体細線11,13の磁化状態を変化させる動作と、磁性体細線11,13内に電流を流して、磁化状態を磁性体細線11,13内で伝播させる動作は、比較的高速に動作させることができる。
【0056】
従って、本実施の形態の空間光変調器を用いることにより、高精細な動画を表示可能な立体映像の表示装置や、高密度で高速動作が可能なホログラム光記録装置を、実現することが可能になる。
【0057】
<4.第3の実施の形態>
本発明の空間光変調器の第3の実施の形態の概略構成図(平面図)を、図6に示す。
本実施の形態は、先の各実施の形態では磁性体細線を直線形状としていたのに対して、1本の磁性体細線を曲げて蛇行させた長い磁性体細線にまとめた構成である。また、磁性体細線の磁化機構として、スピン注入トルクを用いる。
【0058】
図6に示すように1本の磁性体細線21を曲げて、直線部と曲線部とを交互に連続させた構成としている。
磁性体細線21の左下の端部には、磁化機構22が設けられている。
磁性体細線21の左上端には、電圧が印加させることにより、磁性体細線21の内部に流す電流I2が供給される。
磁性体細線21の左下端は、接地電位(グランド電位)に接続されている。
磁化機構22には、パルス幅の比較的短いパルス電流I3が供給される。
【0059】
磁性体細線21の左上端に印加される電圧が正であれば、磁性体細線21の磁化は、接地電位側から電圧印加側に動く。
ここで、接地側の磁性体細線21の一部に、磁化が固定された磁性体から偏極電子を出し入れすると、磁化機構22付近の磁性体細線21の磁化が変化する。
磁化機構22の一形態の断面図を、図7に示す。磁性体細線21上に、非磁性体23を介して、磁化が固定された磁性体24と、磁性体24の磁化を固定する反強磁性体25とが積層されている。
【0060】
そして、反強磁性体25の側から電流I3を供給することにより、スピン注入トルクの作用で、電流I3の磁性体細線21の磁化機構22の下の部分の磁化の向きが、上向き或いは下向きに設定される。
磁化の向きが固定された磁性体24と、磁性体細線21とのスピン分極の極性が同じならば、電流I3を磁性体細線21から磁性体24に流したときに、磁性体細線21の磁化は磁性体24の磁化と平行になる。電流I3を磁性体24から磁性体細線21に流したときには、磁性体細線21の磁化は磁性体24の磁化と反平行になる。
また、磁性体24と、磁性体細線21とのスピン分極の極性が逆の場合には、電流I3を磁性体細線21から磁性体24に流したときに、磁性体細線21の磁化は磁性体24の磁化と反平行になる。電流I3を磁性体24から磁性体細線21に流したときには、磁性体細線21の磁化は磁性体24の磁化と平行になる。
このように磁化機構22に流す電流I3の向きによって、磁性体細線21の磁化の向きを設定して、磁性体細線21内に電流I2を流すことにより、磁性体細線21に磁化パターンを形成することができる、
【0061】
上述の本実施の形態の空間光変調器の構成によれば、磁性体細線21の端部に、スピン注入トルクを利用する磁化機構22を設けている。これにより、磁化機構22に電流I3を流してスピン注入トルクによって、磁化機構22の部分の磁性体細線21の磁化の向きを反転することができる。
さらに、磁性体細線21内に電流I2を流すことにより、磁化状態を磁性体細線21内で伝播させて、各磁性体細線21に所定の磁化パターンを形成することができる。
【0062】
また、本実施の形態の空間光変調器の構成によれば、磁性体細線21によって、光が照射される領域を広い面積率で覆うことが可能になる。
そして、連続する磁性体細線21の領域毎の磁化状態で光を変調することができる。
従って、領域毎に個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器を比較して、変調に寄与する部分の面積率を向上することができ、空間光変調器の駆動に必要な電極の数を減らしてその分空間光変調器の価格を低減することが可能になる。
そして、磁化機構22に流す電流I3によるスピン注入トルクによって磁性体細線21の磁化状態を変化させる動作と、磁性体細線21内に電流I2を流して、磁化状態を磁性体細線21内で伝播させる動作は、比較的高速に動作させることができる。
【0063】
従って、本実施の形態の空間光変調器を用いることにより、高精細な動画を表示可能な立体映像の表示装置や、高密度で高速動作が可能なホログラム光記録装置を、実現することが可能になる。
【0064】
なお、図6に示した直線部と曲線部とを有する1本の磁性体細線21を、磁性体細線21の直線部が重ならないように直線部の位置をずらして、上下2層に磁性体細線21を配置することにより、第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることも可能である。
【0065】
<5.変形例>
上述した各実施の形態では、磁性体細線11,13,21の幅をほぼ一定としていた。これに対して、本発明では、磁性体細線の幅や側面の位置を周期的に変化させても構わない。
本発明の実施の形態の変形例として、幅や側面の位置を周期的に変化させた形状の磁性体細線の形態の平面図を、図8A〜図8Dに示す。
【0066】
図8Aは、直線状に磁性体細線の幅を変化させた形態を示している。
図8Bは、曲線状に磁性体細線の幅を変化させた形態を示している。
図8Cは、図8Aと同様の変化を、磁性体細線の一方の側面のみとして、他方の側面は直線状とした形態を示している。
図8Dは、磁性体細線の幅を一定として、側面の位置を直線状に変化させた形態を示している。
図8A〜図8Cに示した各形態では、磁性体細線の幅を変化させることにより、磁性体細線に流れる電流密度が変化するので、磁化の動きやすさが部分的に変化する。これにより、磁化の境界である磁壁が止まりやすい場所を設定することができるので、磁化を安定して移動させることができる。
また、図8Dに示した形態においても、側面の位置が変化することにより、磁気的な作用によって、磁化の移動しやすさに変化が生じる。
【0067】
図8A〜図8Dに示した各形態では、磁性体細線の幅や側面の位置を変化させていた。
また、磁性体細線の厚さを変化させたり、磁性体細線に部分的に添加物を加える等して磁化やダンピング定数を変化させたり、磁性体細線に導体を接触させてその導体の厚さや比抵抗を変化させたりすることにより、同様の作用効果を得ることが可能である。
【0068】
磁性体細線に流す電流は一定電流でも良いが、上述のように、磁性体細線の幅や厚さ等を変化させた構成では、図9A〜図9Cに示すような電流波形を用いることが有効である。
図9Aは、電流が途中から小さくなる波形であり、小さい電流の値を磁性体細線の磁壁が動きやすい部分では移動し、磁壁が動きにくい部分では移動しない大きさに設定すると、磁壁が動きにくい部分で磁壁が安定して止まるので、磁化の制御がしやすくなる。
図9Bは、大小2つのパルスの組み合わせとした電流波形である。
図9Cは、減衰していく電流波形である。
また、図9A〜図9Cに示した電流波形を組み合わせても構わない。
図9B及び図9Cの各電流波形においても、小さいパルスや、減衰パルスの後半の大きさを、磁壁が動きやすい部分では移動し、磁壁が動きにくい部分では移動しない大きさに設定すると良い。
【0069】
なお、図8A〜図8Dに示した構成のように、磁性体細線の幅や厚さや側面の位置を周期的に変化させた構成は、前述した第1〜第3の実施の形態の各構成や、後述する実施の形態の各構成と組み合わせることが可能である。
【0070】
<6.第4の実施の形態>
続いて、図10〜図12を参照して、本発明の空間光変調器の第4の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、磁化機構として、磁場を発生する磁気コアを使用すると共に、垂直磁化膜から成る磁性体細線の端部に、膜面内方向の磁化を有する領域を設けた構成である。
【0071】
まず、本実施の形態に対する比較対照として、垂直磁化膜から成る磁性体細線に対して、磁気コアからの磁場で磁化の向きを反転させる場合を、図10A〜図10Cに示す。図10Aは斜視図を示し、図10Bは上面図を示し、図10Cは断面図を示している。なお、方向がわかりやすいように、X軸、Y軸、Z軸を付記している。
垂直磁化膜から成る磁性体細線41の左端部上に、磁気コア42が配置されている。
図10B及び図10Cにおいて、下向きの磁化46を上向きの磁化47に変化させる場合には、磁気コア42の下の磁性体細線41の磁化を、下向きから上向きに反転しなければならず、大きな磁場43が必要になる。
【0072】
これに対して、本実施の形態では、磁性体細線41の左端に、図11A〜図11C及び図12A〜図12Cに示すように、膜面内方向の磁化48を有する部分(領域)を設けた構成としている。
具体的には、この部分(領域)の磁化48が、膜面内方向の奥側(Y軸の+側)に向くようにしている。なお、膜面内方向の磁化を、膜面内方向の手前側(Y軸の−側)にしても構わない。
【0073】
このような膜面内方向の磁化48の部分(領域)を形成するには、この部分を局所的に加熱、或いは、イオンの注入等によって、垂直磁気異方性を低下させる方法がある。また、垂直磁化膜から成る磁性体細線41に対して、他の膜面内方向の磁化を有する面内磁化膜を、直接或いは磁気的相互作用を媒介する非磁性膜を介して配置させる方法もある。
【0074】
図11A〜図11Cは、本実施の形態の構成において、磁気コア42に上向き磁場44をかけた場合のある時点の磁性体細線41の磁化の状態を示している。図11A〜図11Cに示す状態から、磁性体細線41に電流を流すことにより、磁気コア42付近の少し上方向(z方向)を向いた磁化が右に伝搬していき、膜面内方向の磁化48の影響が小さくなっていくので、上向き磁化が強くなる。これにより、図11Cの右側の下向きの磁化が、上向きに反転する。
同様に、図12A〜図12Cは、本実施の形態の構成において、磁気コア42に下向き磁場45をかけた場合のある時点の磁性体細線41の磁化の状態を示している。図12A〜図12Cに示す状態は、磁性体細線41が下向きの磁化となっている状態に、下向き磁場45をかけて、磁性体細線41に電流を流したときの状態である。磁性体細線41の右に行くほど膜面内方向の磁化48の影響が小さくなっていくので、下向き磁化が強くなる。また、磁性体細線41が下向きの磁化となっている状態に、下向き磁場45をかけているので磁性体細線41の下向きの磁化は変化しない。
膜面内方向の磁化48の部分と、垂直方向の磁化を有する垂直磁化膜とが磁気的に連続しているので、磁場等の外部からの作用がなくても磁壁が生成される。
そして、この磁壁周辺に磁気コア42から磁場44,45を作用させるので、図10に示した比較対照の構成の磁場43と比較して、弱い磁場で磁性体細線41の磁化の向きを反転させることができ、動作時の省電力を低減することができる。
【0075】
上述した本実施の形態の構成によれば、前述した各実施の形態と同様の作用効果が得られる。即ち、領域毎に個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器を比較して、変調に寄与する部分の面積率を向上し、空間光変調器の価格を低減することが可能になる。そして、比較的高速に動作させることができる。
従って、本実施の形態の空間光変調器を用いることにより、高精細な動画を表示可能な立体映像の表示装置や、高密度で高速動作が可能なホログラム光記録装置を、実現することが可能になる。
【0076】
また、本実施の形態の構成によれば、磁性体細線41の左端部が、膜面内方向の磁化48となっているため、この部分が垂直磁化である構成よりも小さい磁場で、磁化の向きを変化させることができる。
これにより、磁化機構の動作による消費電力を低減することが可能になる。
また、磁化を変化させる動作に要する時間を短くして、動作を高速化することも可能になる。
【0077】
<7.第5の実施の形態>
続いて、本発明の空間光変調器の第5の実施の形態を、その製造方法と共に説明する。
本実施の形態では、磁化機構を磁性体細線のほぼ中央部に設けた点で、前述した各実施の形態とは異なっている。
【0078】
本実施の形態の空間光変調器は、以下に説明するようにして製造することができる。
【0079】
まず、図示しないが、基板に、空間光変調器の動作をコントロールするための論理回路を形成する。この論理回路は、一般的なCMOS論理回路を用いて作製する。
次に、論理回路が形成された基板上に、論理回路に接続された接点電極と、電極を互いに絶縁する絶縁層を形成する。この状態の斜視図を図13Aに示し、図13AのD−D´における断面図を図13Bに示し、図13AのE−E´における断面図を図13Cに示す。以下、図14〜図19においても、同様とする。
図13A〜図13Cに示すように、論理回路が形成された基板101の表面に、接点電極102及び絶縁層103が形成されている。図13Aの左右に並んでいる接点電極102は磁性体細線用の接点電極となり、図13Aの前後の2つの接点電極102は導体線用の接点電極となる。
【0080】
次に、図14A〜図14Cに示すように、後に導体線を形成する部分の絶縁層103を加工して溝104を形成する。
続いて、磁場を効率的に発生させるための磁気ヨークと、非磁性の良導体を連続して成膜した後、表面の平坦化を行う。磁気ヨークの材料にはCoFe合金を用いることができ、非磁性の良導体の材料にはCu等の前述した非磁性導体材料を用いることができる。
これにより、図15A〜図15Cに示すように、溝の内部に磁気ヨーク105と、非磁性の良導体から成る導体線106が形成される。導体線106は、磁気ヨーク105を通じて接点電極102と電気的に接続される。また、磁気ヨーク105の方が導体線106よりも抵抗が高いため、両端の接点電極102間に電流を流すと、導体線106に多くの電流が流れる。
【0081】
次に、表面を覆って絶縁層を形成した後に、図16A〜図16Cに示すように、磁性体細線用の接点電極102上の絶縁層108を除去して、磁性体細線との接続のための接点を形成する。
【0082】
次に、図17A〜図17Cに示すように、磁性体細線を形成するための下地層(図示せず)及び磁性層109、並びに、磁気ヨーク105の対向ヨークを形成するための軟磁性層110を連続して成膜する。
下地層は、厚さ2nmのTa膜と厚さ3nmのRu膜の積層によって、形成することができる。
磁性層109は、下地層の上に、厚さ0.5nmのCo膜と厚さ0.5nmのNi膜とを10周期繰り返して交互に積層した上に、厚さ1.2nmのRu膜を成膜して、形成することができる。
軟磁性層110は、厚さ5nmのNiFe合金膜によって形成することができる。
【0083】
次に、図18A〜図18Cに示すように、磁場発生用の導体線106及び磁気ヨーク105に対向する部分を残して、他の部分の軟磁性層110を除去する。
このとき、リアクティブ・イオン・エッチング等の材料選択性のあるエッチングで、適当な条件でエッチングを行うと、軟磁性層110のみを除去して、磁性体細線を構成するための磁性層109のみを残すことができる。
【0084】
次に、図19A〜図19C及び図19AのF−F´における断面図である図19Dに示すように、磁性層109をエッチングにより加工して、ストライプ状の磁性体細線111を形成する。このとき、次の工程でレンズを形成するために、図19Dに示すように、磁性体細線111のストライプを形成するときに、下の絶縁層103の一部まで深めにエッチングする。
【0085】
次に、適当な条件で絶縁層を成膜することにより、図20に図19Dと同じ断面での断面図を示すように、磁性体細線111上に半円柱状のレンズに類似した形状の絶縁層112が形成される。この絶縁層112としては、例えば、RFバイアススパッタ法によってAl層を形成すれば良い。
このレンズ形状の絶縁層112により、光を磁性体細線111上に集光する効果が得られる。
【0086】
このようにして、本実施の形態の空間光変調器を製造することができる。
本実施の形態では、特に、導体線106及び磁気ヨーク105,110から成る磁化機構が、磁性体細線111の中央部に設けられているので、磁化機構の両側の磁性体細線111に、それぞれ磁化の向きを設定することができる。
また、前述した各実施の形態では、磁性体細線の上に磁化機構が形成された構成で説明していたが、本実施の形態では、導体線106は磁性体細線111に形成され、磁気ヨーク105,110は、磁性体細線111の下と上にそれぞれ形成されている。
【0087】
上述した製造方法の説明では、磁性体細線111の一つの素子群を抜粋して図示していたが、この素子群を多数規則的に配置して、空間光変調器を構成することができる。
本実施の形態の構成において、このように多数の素子群を規則的に配置した空間光変調器の一部の平面図を、図21に示す。
ストライプ状の磁性体細線111が、1本の軟磁性層(磁気ヨーク)110に対して、平面パターン16本形成されている。
軟磁性層(磁気ヨーク)110とその下の図示しない導体線により磁化機構が構成され、この磁化機構が磁性体細線111の中央部に設けられているので、磁化機構の左右の磁性体細線111にそれぞれ独立して磁化を設定することが可能である。従って、実質的には、一つの素子群で、16×2=32本の磁性体細線が形成されて、一つのユニットが構成されている。
【0088】
なお、軟磁性層110がそのままでは、空間光変調に寄与しない反射光が発生することがある。
また、磁性体細線111の端部の接点電極102と接続された部分は、磁化が変化しないので、空間光変調に寄与しない。
従って、これらの部分を遮光性の材料で覆うか、光軸外へ光を反射するような傾斜を持った金属膜で覆うと良い。これらの構成とすることにより、不要な反射を抑制することができ、空間光変調器の光の変調強度を大きくできる。
【0089】
上述した本実施の形態の構成によれば、前述した各実施の形態と同様の作用効果が得られる。即ち、領域毎に個別の光変調素子を形成した構成の空間光変調器を比較して、変調に寄与する部分の面積率を向上し、空間光変調器の価格を低減することが可能になる。そして、比較的高速に動作させることができる。
従って、本実施の形態の空間光変調器を用いることにより、高精細な動画を表示可能な立体映像の表示装置や、高密度で高速動作が可能なホログラム光記録装置を、実現することが可能になる。
【0090】
<8.実験例>
ここで、図13〜図20により説明した製造方法により、実際に空間光変調器を作成して、特性を調べた。
具体的には、厚さ0.5nmのCo膜と厚さ0.5nmのNi膜とを交互積層させた垂直磁化膜の上に、Ru膜を介して、面内磁化膜である、膜厚5nmのNiFe合金膜を成膜した構成において、Ru膜の厚さを変えて、それぞれ試料を作製した。即ち、Ru膜の膜厚を、それぞれ、0.6nm、1.2nm、2nmとした各試料と、比較対照として、Ru膜を形成せずに垂直磁化膜上にNiFe合金膜を形成した試料(Ru膜0nm)とを、作製した。
【0091】
各試料の異方性磁場と、各試料をストライプ状の磁性体細線111としたときに、磁性体細線11の磁化反転に必要な、導体線に流す電流量を調べた。
各試料のRu膜の厚さと、異方性磁場の大きさと、磁化反転の電流を、表1にまとめて示す。表1において、異方性磁場が正であるときは垂直磁化膜であり、異方性磁場が負であるときは、面内磁化膜となっている。
【0092】
【表1】

【0093】
表1より、Ru膜の厚さが2nmで垂直磁化膜のときには、磁化反転に必要な電流が大きいが、面内磁化膜では垂直磁化膜よりも反転電流が小さくなる。
また、Ru膜を形成していない場合には、Ru膜を形成した場合よりも反転電流が大きくなった。
そして、表1の結果から、異方性磁場の絶対値の大きさと、磁化反転の電流量との間には、相関があると考えられる。
【0094】
<9.空間光変調器への書き込み方法>
次に、本発明の空間光変調器への磁化パターンの書き込み方法について説明する。
例として、導体線の電流磁界を利用する磁化機構によって、4本の磁性体細線に書き込む場合について説明する。
そして、例えば、表2に示すデータを、磁性体細線1〜磁性体細線4のそれぞれに書き込む場合を考える。表2において、0と1のデータは、それぞれ、下向きの磁化と上向きの磁化を示す。
【0095】
【表2】

【0096】
表2で示したデータを書き込むための磁場発生用の導体線に流す励磁電流(図2の電流I1に相当)と、各磁性体細線に流す電流(図2の電流I2に相当)の時間変化の初期部分を、図22に示す。
励磁電流が正の時は、上向き磁化、即ち1のデータが記録される。励磁電流が負の時は、下向き磁化、即ち0のデータが記録される。
電流パルスのパルス幅を変えると、磁化パターンの幅を変えることができる。
【0097】
次に、表2のデータを全て記録するパターンを、表3に示す。表3においては、負の励磁電流を−とし、正の励磁電流を+とし、磁性体細線に電流を流す場合は1とし、磁性体細線に電流を流さない場合は0として示している。
【0098】
【表3】

【0099】
なお、表3に示した例以外の任意のパターンを記録することが可能である。
また、ここでは4本の磁性体細線に記録する例を示したが、図21に示したような、一つのユニットの32本の磁性体細線に記録する場合は、4本ずつ8回記録を行えば、一つのユニット全ての磁性体細線に記録することができる。
そして、他のユニットの記録も同時に行えば、空間光変調器内の磁性体細線に速やかに記録を行うことができる。
【0100】
空間光変調器の磁性体細線に記録を行っている時には、空間光変調器に光が当たらないようにしておく。
そして、記録が完了した後に、空間光変調器にコヒーレントな光を照射すると、空間光変調器の磁性体細線に記録されたパターンに従って光が干渉して、空間的に変調された、反射光或いは透過光を得ることができる。
【0101】
上述した書き込み方法は、ストライプ状の磁性体細線を複数本配置した構成(前述した、第1、第2、第4、第5の実施の形態等)であれば、適用することが可能である。
【0102】
<10.空間光変調器を使用する際の光学系>
磁化状態で光の強度を変化させる方法としては、一般的によく知られている、カー効果やファラデー効果等に光磁気相互作用を利用しても良いし、例えば磁性体細線上に分散した磁性コロイドを配置しても良い。
【0103】
ここで、カー効果を利用する場合の簡単な光学系を、図23及び図24に、それぞれ示す。
【0104】
空間光変調器へ斜めに光を入射させる構成の光学系を、図23に示す。
図23に示す光学系50は、光源51と、レンズ52と、偏光子53とを、空間光変調器54の前段に配置して、偏光子55を空間光変調器54の後段に配置している。
そして、光源51からの光を、空間光変調器54に斜めに入射させている。
この光学系50を利用して、空間光変調器54で反射した光を、直接或いはレンズを通して見れば立体画像が表示される。即ち、この光学系50を用いて、表示装置を構成することができる。
【0105】
空間光変調器に垂直に光を入射させる構成の光学系を、図24に示す。図24において、図23と同じ構成には同一符号を付している。
図24に示す光学系60では、図23に示した光学系50の各光学部品に加えて、さらに、ハーフミラー56を設けている。このハーフミラー56は、空間光変調器54の反射面に対して45度傾斜した方向に配置されている。
光源51からの光は、ハーフミラー56で反射されて、空間光変調器54に垂直に入射する。空間光変調器54で反射された光は、ハーフミラー56を透過して、上方の偏光子55を通過する。
この光学系60を利用して、空間光変調器54で反射した光を、直接或いはレンズを通して見れば立体画像が表示される。即ち、この光学系60を用いて、表示装置を構成することができる。
【0106】
なお、いずれの光学系においても、必要に応じて、図示した各光学部品に加えて、波長板やフィルター等、他の光学部品を設けても良い。
【0107】
また、カラー表示をするために、各原色に対して個別に空間光変調器を用意して、それぞれの空間光変調器からの光を合成して表示しても良いし、一つの空間光変調器を用いて光源の色を時間毎に切り替えて用いても良い。
【0108】
また、図23及び図24に示した光学系では、いずれも、光源51からの光を空間光変調器54で反射させて利用する構成であった。
本発明の空間光変調器に対して、前記特許文献2(図1、図3、図7を参照)に開示されているように、光源からの光を、空間光変調器を透過させて利用する光学系を構成しても構わない。
このような光学系を利用して、空間光変調器を透過した光を、直接或いはレンズを通して見れば立体画像が表示される。即ち、このような光学系を用いて、表示装置を構成することができる。
【0109】
<11.空間光変調器を使用する際の変調方法>
次に、磁性体細線上に、分散した磁性コロイドを配置して、光の変調を行う場合の変調方法を説明する。
磁性コロイドの粒子は磁化境界である磁壁に集まりやすいので、磁壁とそれ以外とで、光の反射率が変化し、光の強度を変調することができる。
磁性コロイドを使用する場合コロイド粒子の動きを補助するために、磁場或いは振動を印加できる機構を付与すると効果的である。
【0110】
磁性コロイドを使用した具体的な構成を、図25A及び図25Bに示す。
図25Aは、磁性コロイドを溶媒中に分散させた状態を示している。
垂直磁化膜から成る磁性体細線71上に、コロイド粒子72を分散させた溶媒を配置する。そして、溶媒の上を保護ガラス73で覆っている。
磁性体細線71には、磁化の向きの境界に磁壁74が形成されている。
【0111】
図25Aの状態から時間が経過すると、コロイド粒子72が磁壁74付近の漏れ磁場75の強いところに集まり、図25Bに示すように、磁性体細線71の磁壁74付近にコロイド粒子72が凝集する。これにより、コロイド粒子72が凝集した部分の光の反射率が変化するので、光の強度を変調することができる。
【0112】
次に、磁性体細線上に、磁性流体を配置して、光の変調を行う場合の変調方法を説明する。
磁性流体も磁化境界である磁壁に集まりやすいので、磁壁とそれ以外とで、光の反射率が変化し、光の強度を変調することができる。
【0113】
磁性流体を使用した具体的な構成を、図26A及び図26Bに示す。
図26Aは、磁性流体が均一に拡がった状態を示している。
垂直磁化膜から成る磁性体細線71上に、磁性流体76が拡がっている。
磁性体細線71には、磁化の向きの境界に磁壁74が形成されている。
【0114】
図26Aの状態から時間が経過すると、磁性流体76が磁壁74付近の漏れ磁場75の強いところに集まり、図26Bに示すように、磁性体細線71の磁壁74付近の磁性流体76が盛り上がって、磁性流体76の表面に凹凸が形成される。これにより、磁性流体76が盛り上がった部分の光の反射率が変化するので、光の強度を変調することができる。
【0115】
上述した、磁性コロイド72や磁性流体76を用いた構成は、前述した第1〜第5の各実施の形態の構成と組み合わせることが可能である。
【0116】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【符号の説明】
【0117】
1 磁性体、2,4 電極、3,12,14,106 導体線、5 磁化、6,7,74 磁壁、11,13,21,41,71,111 磁性体細線、22 磁化機構、23 非磁性体、24 磁性体、25 反強磁性体、42 磁気コア、43,44,45,H 磁場、50,60 光学系、51 光源、52 レンズ、53,55 偏光子、54 空間光変調器、56 ハーフミラー、72 コロイド粒子、73 保護ガラス、75 漏れ磁場、76 磁性流体、101 基板、102 接点電極、103,108,112 絶縁層、104 溝、105 磁気ヨーク、109 磁性層、110 軟磁性層、I1,I2,I3 電流、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を反射或いは透過させて、反射光或いは透過光の空間的な強度を変調する空間光変調器であって、
垂直磁化膜によって構成された磁性体細線と、
前記磁性体細線の一部分の磁化状態を変化させる磁化機構と、
前記磁性体細線内に一方向の電流を供給して、前記磁化機構により変化した前記磁化状態を、前記磁性体細線内で伝播させる電流供給機構とを含む
空間光変調器。
【請求項2】
前記磁化機構は、磁場、熱、偏極スピンの注入のいずれかの作用により、前記磁性体細線の磁化を変化させる構成である、請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項3】
前記磁性体細線の層を複数個含み、上層の前記磁性体細線の隙間から下層の前記磁性体細線へ光が透過する構造である、請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項4】
前記磁性体細線の層は、ストライプ状の前記磁性体細線が同一平面に並行して複数個形成されている、請求項3に記載の空間光変調器。
【請求項5】
前記磁性体細線上に配置された、磁性コロイドを含む溶媒、もしくは、磁性流体を、さらに含む、請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項6】
前記磁性体細線上に、前記磁性体細線上で厚くそれ以外の部分で薄く形成された、透明絶縁膜から成るマイクロレンズをさらに含む、請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項7】
前記磁性体細線は、幅、厚さ、側面の位置のいずれかが周期的に変化するように形成されている、請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項8】
前記磁性体細線の前記磁化機構の近傍の部分に、前記部分の前記磁性体細線の磁化を膜面内方向にするために設けられた、膜面内方向の面内磁化となる磁性材料をさらに含む、請求項1に記載の空間光変調器。
【請求項9】
複数個の前記磁性体細線の一端を共通に電気的に接続する電極と、
複数個の前記磁性体細線の他端にそれぞれ個別に接続されたトランジスタと、
複数個の前記磁性体細線のうちの選択されたn本の前記磁性体細線の磁化状態を変化させる際に、前記選択されたn本の前記磁性体細線に接続された前記トランジスタの電位を高電位に設定し、選択されていないその他の前記磁性体細線のうちのn+1本以上に接続された前記トランジスタを低電位となるように設定する、論理回路をさらに含む、
請求項1に記載の空間光変調器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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