穿刺先端部とカテーテルチューブの改良
本発明は医療分野で使用される穿刺先端部に関する。穿刺先端部Eは、終端が切断用ベベルになっている中空チューブからなり、このベベルは非切断性の状態を記憶し、使用部位で優勢な条件に曝されるか、または外部から制御された刺激の作用下で、形状記憶効果によりこの非切断性状態に復帰して非外傷性となる。本発明は医療分野で使用するのに適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医学分野において、例えばカテーテルまたはプローブを所定位置に導入するために皮膚を特定位置で穿刺するのに使用される針先端部(穿刺先端部)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許FR2809625は、医療用金属穿刺針の丸くなっている遠位端部に、浸漬法によりこの端部に付着させた1滴の不活性材料によって、テーパーつき針先端部を構成することを提案している。この針先端部は、硬化後に、体液中に溶解するように設計された鋭利なポイント(尖先部)を形成し、針先端部の溶解後にこの端部に針の流路が開いて物質の注入が可能となり、かつ医療スタッフが使用後の針を抜き取る時や廃棄する時に自分を刺傷することができないようになっている。
【0003】
この解決策は特に下記の問題を生ずる:
・浸漬による鋭利な尖先部の形成は、正確な穿刺を確保するには不十分となることがある;
・このような針先端部の設計は、チューブと一体に製造される針先端部とは適合性がない;
・体内での針先端部の溶解は、特に静脈の場合、きわめて望ましくないことがある;
・針先端部の溶解が不完全であると、チューブが塞がれたままとなることがある;
・針先端部の溶解は針を引き抜く前にチェックすることが難しい。
【0004】
特開2000−354626号公報にも、形状記憶材料で形成した切断用ベベル(斜端部)を有する穿刺器具用の針の作製が提案されている。この針は、ベベルの流路部分が体温の作用下で変形する。
【特許文献1】仏国特許第2809625号
【特許文献2】特開2000−354626号公報
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、材料の損失がなく、かつ本針先端部を取り付けたチューブの閉塞の危険性なしに、制御された条件下で非外傷性になるまで体内で変形することができる、チューブと一体に製造するのに適した、切断用ベベルつきの針先端部を提供することである。
【0006】
このような針先端部は、特に静脈または動脈内にカテーテルを導入するために、カテーテルチューブの遠位端部を構成するのに向けられる。本発明の別の目的は、かかる針先端部を備えたチューブであって、使用中にその硬さを、その針先端部つきのチューブが穿刺針を構成するのに十分な硬さと、チューブがカテーテルチューブの柔軟性を有するようにより低い硬さとの間で制御可能に変化することが可能なチューブを供給することである。
【0007】
本発明の穿刺先端部(針先端部)は、その遠位端部に皮膚を切断して特定部位に侵入させるのに適した安定した硬い切断用ベベルを有する形状記憶材料の中空チューブの部分からなる。この針先端部は、切断用ベベルが鋭利ではない状態を記憶し、かつ前記特定部位で優勢な条件に曝された時または外部から制御された刺激の作用下でこの非外傷性状態に復帰するように状態を変化させることができることを特徴とする。
【0008】
ベベルは、硬さの低下および/または非外傷性形態をとることにより非外傷性とすることができる。
ベベルの状態の変化は、特定部位内での温度により、または人工的に生起させたより高い温度により発動させることが好ましい。
【0009】
この発動方法は制限されず、形態変化を発動させる別の作用因子として、たとえば、その部位のpH、その部位で血液または他の液体との接触、またはその部位の外部から制御された電気的刺激が挙げられる。
【0010】
医療用の形状記憶チューブの製造については多くの手段が既に提案されており、これに関しては多くの特許公報がある。一部の例として、下記の特許公報を挙げることができ、それらの公報自体が他の公報について言及している。
【0011】
公報US5674242は、熱刺激により作動させる状態移動を含むように処方された形状記憶材料からなる体内人工器官装置用ポリマーチューブを記載している。
公報US5964744は、尿道内で所定形状をとるように設計された尿道内の容易な埋め込み用カテーテルの製造用の形状記憶性医療用ポリマー化合物を記載している。
【0012】
公報WO86/03980は、所定温度で軟化する形状記憶ポリマーのいくつかの例を記載している。
公報WO02/085188は、遠位端部が湾曲形状の記憶を保持し、移植された時にこの形状に復帰することにより、障害物を迂回することができる医療用の金属針を記載している。
【0013】
公報WO99/42172は、体内に移植した後に変形することができる複合チューブを備えた移植可能な構造物を記載している。このチューブは、感熱性形状記憶ポリマー材料の部分を備える。変形はチューブが難しい心筋構造物に適合することができるように設計されている。
【0014】
公報WO95/08296は内視鏡手術用の金属縫合針を記載しており、この針は常温ではまっすぐであるが、湾曲形状の記憶を有し、体温でこの湾曲形状に復帰する。
公報WO96/11721は、剛性(硬質)形態から可撓性(軟質)形態に変化することができる形状記憶カテーテルを記載している。
【0015】
公報US6059815は、その変換が温度により発動されるポリウレタン系形状記憶材料の治療用アクチュエータを記載している。
公報EP0422693は、温度およびそのカテーテルの製造に採用された方法の影響下で形態が変化する形状記憶を有するカテーテルを記載している。
【0016】
公報EP0931559は、その遠位端部がJ形状の記憶を保持している硬膜外カテーテルを記載している。
公報US2002/0142119は、製造に使用する形状記憶材料のいくつかの例を記載している。
【0017】
公報FR2641692は、医療用の傷口を塞ぐために温度の作用下で変形可能な形状記憶ポリマー材料からなる詰め物(プラグ)を記載している。
以上の公報はいずれも、医療分野での形状記憶の具体的使用の一般的な印象を与えるだけであり、当業者であれば、形状記憶の実施に使用することができる材料および方法についてずっと多くの幅広い一般的情報資料を有していよう。
【0018】
例として、特定のエラストマー材料に感熱性形状記憶を付与するための手段を記載している、より古い公報US4053548およびUS4193899を挙げることができよう。
【0019】
特にニッケルまたは銅の合金(Ni−Ti,Cu−Al−Ni,Ni−Al,Mn−Cu,Fe−Ni,Cu−Zn−Al,Ni−Mn−Gaおよび特にNitinollTM)、ポリ塩化ビニル、グラフトコポリマーと組み合わせたブロックコポリマー、スルホン化エラストマー化合物、ポリノルボルネン、ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリウレタン、ウレタンポリエーテル、ポリアミドポリエーテル、ポリカーボネート、セルロースの誘導体などといった多様な材料がこれまでに推奨されてきた。
【0020】
本発明はより具体的には、使用中に望まれる第一の形状に成形され、その後、使用前に応力を付加して第二の形状にされる、複数種類のポリマーからなる形状記憶プラスチック材料の使用を想定している。後者の形状はいずれかのポリマーにより負荷される。ある現象により発動させると、第二の形状を負荷している材料の負荷が解除され、製品はその第一の形状に復帰する。可能な発動因子としては、温度、液体、紫外線などを挙げることができる。
【0021】
感熱性形状記憶を有する本発明の針先端部を製造するには、とりわけ、下記方法を実施することができる:
・選択された相転移温度を有するポリマー材料から針先端部を成形して、それに所望の非外傷性の形状を付与し、
・針先端部を軟化させるようにその相転移温度より高い温度に加熱し、軟化した針先端部を穿刺処置に求められる形状に強制的に賦形し、
・針先端部を常温に冷却する。
【0022】
こうして製造された針先端部は、穿刺先端部として作用することができる形状を保持することができるが、相転移温度がその部位内に存在する限り、静脈または動脈内では非外傷性の形状に復帰し、その後に静脈から体外に取り出されても、その非外傷性形状を保持する。
【0023】
この針先端部はそれが取り付けられるチューブの端部に成形によって形成されるのが好ましい。
針先端部のベベルの非外傷性形状は、デザインおよび用途に応じて変化させることができる。たとえば、ベベルの出口開口部の円形状への丸み付与(切断用形態における長円で尖った形態ではなく)、針先端部のベベルの球状化(切断用形態における鋭利な端部ではなく)、針先端部の開口部に向かったそのベベルの湾曲などとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に従って静脈穿刺に使用することができる針用のチューブ状針先端部の各種の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
静脈および動脈穿刺に使用される針は一般に次の2つのいずれかのタイプの切断用ベベルを有する:
タイプ1:ランセット・ポイント型(図1)。これは、ある一定角度でのフライス削り(ミリング)により作られる単純ベベルである。図1では、17°の角度が使用されているが、この角度は習慣および用途に応じて異なることがある。
【0025】
タイプ2:バックカット型(図3)。これは、ランセットポイントベベルにおいてポイント(尖先部)のすぐ後ろに二つのグラウンドエッジを設けたものである。これは、尖先部をチューブの中心の方に小さく変位させると同時に尖先部を細くする。
【0026】
皮膚を貫いた時に、ランセットポイント型の針は三日月形状の傷跡を作る。バックカット型は穴を作り、これは後でカニューレ(例、短カテーテル)を通すのにより有利である。
【0027】
静脈内に挿入した後に非外傷性にするためのベベル形状の可能な変形としては次が挙げられる:
・切断用ベベルの全エッジを円に近づくよう丸くすることにより鈍くする;
・切断用ベベルの長さを短くする;
・丸くするのに加えて切断用ベベルのエッジを厚くする;
・切断用ベベルの先端を丸める;
・針端部の切断用ベベルの尖先部を球状化して、ベベルのエッジが中心を向いて戻るようにする;
・切断用ベベルの尖先部を部分的に扁平にする;
・切断用ベベルの長辺を中心に向かって湾曲させる(チューヒー型針)。
【0028】
変形は、斜めに切られた針先端部を構成する形状記憶材料の適当な選択により可能となる。
先に列挙した特許公報に説明されているように、チューブの有利かつ制御された変形を得るために形状記憶を利用することは、この変形を発動させる方法ならびに求められる変形の知識とそれに基づく変形を受けるチューブの材料および/もしくは複合構造物の選択を含めて、当業者には以前から知られていた。
【0029】
例として、図2および図4〜8に、斜面状にベベル化された切断性の針先端部を非外傷性にするのに適した変形を示す。
・図2および4:針先端部Eのベベル(1)の壁面をベベルのオリフィス(開口穴)(2)の全周にわたって丸くし(円に近づけ)、ベベルの長さを短くする。これは端部の壁面の肉厚化により達成することができる;
・図5:針先端部Eのベベルがチューブの内部に向かって垂れ下がる;
・図6:針先端部Eのベベルの上端(1a)が内部に向かって湾曲し、かつオリフィス(2)が丸くなる;
・図7:ベベルがチューブの内部に向かって垂れ下がり、チューブのオリフィス(2)が丸くなる;
・図8:針先端部Eのベベル(1)の上端(1a)と下端(1b)とが近づく。
【0030】
本発明は、特に静脈もしくは動脈カテーテルまたは神経叢もしくは硬膜外ブロックにおいていずれも短カテーテル(ショートカテーテル)で使用する針に特に適用される。短カテーテルの場合、これは一般的なように、針+カニューレの組合わせとしてもよいが、好ましい実施態様では、針は軟化により非外傷性カニューレとなる。
【0031】
短カテーテルは通常はステンレス鋼製チューブから構成され、その遠位端部は切断用ベベル(たいていは17°の任意角度に斜面化)となっていて、その近位端部には空気は通すが液体、従って血液は通さない空気抜きプラグ(撥水性多孔質膜フィルター)を備えたオーバーモールド型ベース部(overmolded base)が取り付けられている。このフィルターによって、透明な空気抜きプラグ内に血液還流が見られることで、チューブのベベルが実際に静脈内に到達して、カニューレを押し込むことができることをチェックすることが可能となる。カニューレはこの針に装着され、その直径は先端が円錐形に調整され(皮膚への侵入の力を軽減するために)、その長さも調整される(一般にカニューレの端部は金属チューブのベベルの下端から少なくとも1ミリメートルとしなければならない)。
【0032】
このカニューレは一般にテフロン(登録商標)(PTFE)チューブからなるか、或いは現在は多くがポリウレタン(PUR)製である。後者は感熱性である(静脈内で柔軟になり、静脈内により長い時間許容されうる)。カニューレの一端には、ロック可能な雌型の注射器(シリンジ)コーン(円錐状部材)を備えたベース部が取り付けられている。カニューレは針の外周に押し込み嵌めされ、カニューレ/針のアセンブリ(集成体)はシリコーン処理してもよい(すべり性を改善するため)。
【0033】
ユーザは針先端部を体内に挿入し、血液の還流を待ってから、カニューレを静脈内に押し込み、針を引き抜き、次いでカニューレのベース部を延長部材または潅流ラインに接続して、後者を皮膚にテープ止めする(絆創膏などで)。
【0034】
1例として、図9〜11は合成樹脂製の短カテーテル(3)を示す。このカテーテルの近位ベース部(4)には、ベベル(斜面)形の尖先部(5a)と近位ベース部(6)とを有する金属製の針(5)が挿入されている。この例では、針はそのベース部より上流側に、その空気抜きプラグ(7)を有する、血液潅流を見るためのチャンバーを備える。
【0035】
本発明によれば、針とカテーテルとを一体化できれば、かかる器具を実質的に単純化することができる。そうなると、カテーテルは、チューブとベース部とこのベース部に直接装着された空気抜きプラグとを備えたカニューレのみから構成される。このカニューレチューブは非常にしっかりした形状記憶を有し、かつその遠位端部に17°の(または他の任意角度の)切断用ベベルを有するプラスチック材料製である。このチューブはシリコーン処理されうる。
【0036】
皮膚を穿刺し、ベベルを静脈内に入れた後、発動因子(例えば、血液)によりベベル形状が変形して非外傷性になる(静脈内位置を含めて非切断型になる)。その後、カニューレを押し込み、チューブが挿入されると、チューブは軟化する。
【0037】
空気抜きプラグを取り出し、延長部材または潅流ラインを接続して、ベース部を固定する(絆創膏またはたの手段で)。
その後、柔軟で非外傷性のカニューレを取りだすことができる。
【0038】
かかる短カテーテルでは、針を省略することができる。これはコスト面で非常に重要であり(針それ自体のコストと針上でカニューレを調整するコスト)、操作動作数が低減し(針の取り出しが不要)、針の穿刺事故(院内感染)の危険性も低減する。
【0039】
1例として、図12は形状記憶合成樹脂製のチューブ(8)を示す。このチューブは、ベース部(9)とチューブのベース部に着脱可能に固定された観察チャンバー(10)とを備える。チューブの遠位端部(8a)は斜面状(ベベル)になっていて(このベベルの手前側にゆるい傾斜部を形成してもよい)、変形前はチューブが実質的に剛性(硬質)で、その尖先部を静脈に挿入して穿刺のための針として作用するが、挿入後は、チューブの端部が鈍くなって、慣用のカテーテルと同様の柔軟な可撓性のチューブ部材となるよう、形状記憶材料から作られる。
【0040】
本発明はその管体部分がベベル付き硬質プラスチック材料から作製されうる単純な針にも適用することができる。この場合も、このプラスチック材料は形状記憶を有する。この針を挿入すると、皮膚内または静脈もしくは動脈内で切断用端部(ベベル)は非外傷性になり(発動因子は液体)、この針を静脈もしくは動脈内でカニューレとして使用する(より確実な位置決めのために)ことも可能である。
【0041】
針を引き抜く時に穿刺事故の危険性はなくなる。
このためには、成形により作製されたベベル形状で切断を行うことができる、非常に硬質のプラスチック材料が必要となる。
【0042】
この材料は、非常に精密な成形型内で型の形状全体に充満するように射出成形時には非常に流動性でなければならない。
非常に硬質のプラスチック材料は既存品であり(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド等)、その剛性(硬さ)をさらに増すことができることも考えられる。この種のプラスチック材料は(金属と同様に)フライス削りや旋削加工にも適したものとすることもできる。
【実施例】
【0043】
形状記憶材料(M)は下記の2種類の材料から構成される:
・高温で軟化し、やや軟質なM1;
・低温で軟化し、非常に硬質のM2。
【0044】
チューブMを、選択した非外傷性形状をこれに付与するために高温の成形型内に押し込む。冷却すると、この形状がM1およびM2に付与される。
チューブを、M2を軟化させるが、M1を軟化させないような低温の別の成形型内に押し込む。この時に、最初の成形時の内部形状を修正するために、チューブ内にロッド(丸棒)を挿入してもよい。
【0045】
冷却すると、第2の成形で、非常に硬質のM2がM1の形状を強制的に負荷する。
この形状をより鋭利にするために造形物をフライス削りにかけてもよい。
この穿刺アセンブリを静脈内に押し込むと、37℃の温度がM1を軟化させるのに十分であるが、これではいくらか低く(前殺菌温度(50℃)、加熱を生ずることのあるフライス加工、夏場の保管などの余裕をもたせるため)、あるいは硬質材料が非常に親水性で食塩水と接触すると非常にすばやく軟化し(コンタクトレンズのように)、こうしてM1がその形状を負荷することが可能となるか、あるいは高温もしくは電気加熱可能な心棒をM2を軟化させるために穿刺器具全体を通るように挿入することができる。
【0046】
本発明は上に記載した実施例に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ある角度でのフライス削り(ミリング)により作られた単純なベベルを意味する「ランセットポイント」型の切断用ベベルを持つ針先端部Eを示し、この針先端部は側面図(図1A)および正面図(図1B)で示される。
【図2】変形後の図1の針先端部を示し、この針先端部は側面図(図2A)および正面図(図2B)で示される。
【図3】尖先部のすぐ後ろに二つのグラウンドエッジを有するランセットポイント型ベベルを意味する「バックカット」型の切断用ベベルを持つ針先端部Eを示し、この針先端部は側面図(図3A)および正面図(図3B)で示される。
【図4】変形後の図3の針先端部を示し、この針先端部は側面図(図4A)および正面図(図4B)で示される。
【図5】本発明に係る切断用針先端部E(ランセットポイント型またはバックカット型)の変形の別の例を、側面図(A)および正面図(B)で示す。
【図6】図5と同様の図である。
【図7】図5と同様の図である。
【図8】図5と同様の図である。
【図9】針に装着された既知の短カテーテルの使用前の長手方向図である。
【図10】図9のカテーテルの長手方向図である。
【図11】図9のカテーテルの針の長手方向図である。
【図12】本発明に係る短カテーテルの使用前の長手方向図である。
【図13】図12の短カテーテルの変形後の長手方向図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は医学分野において、例えばカテーテルまたはプローブを所定位置に導入するために皮膚を特定位置で穿刺するのに使用される針先端部(穿刺先端部)に関する。
【背景技術】
【0002】
特許FR2809625は、医療用金属穿刺針の丸くなっている遠位端部に、浸漬法によりこの端部に付着させた1滴の不活性材料によって、テーパーつき針先端部を構成することを提案している。この針先端部は、硬化後に、体液中に溶解するように設計された鋭利なポイント(尖先部)を形成し、針先端部の溶解後にこの端部に針の流路が開いて物質の注入が可能となり、かつ医療スタッフが使用後の針を抜き取る時や廃棄する時に自分を刺傷することができないようになっている。
【0003】
この解決策は特に下記の問題を生ずる:
・浸漬による鋭利な尖先部の形成は、正確な穿刺を確保するには不十分となることがある;
・このような針先端部の設計は、チューブと一体に製造される針先端部とは適合性がない;
・体内での針先端部の溶解は、特に静脈の場合、きわめて望ましくないことがある;
・針先端部の溶解が不完全であると、チューブが塞がれたままとなることがある;
・針先端部の溶解は針を引き抜く前にチェックすることが難しい。
【0004】
特開2000−354626号公報にも、形状記憶材料で形成した切断用ベベル(斜端部)を有する穿刺器具用の針の作製が提案されている。この針は、ベベルの流路部分が体温の作用下で変形する。
【特許文献1】仏国特許第2809625号
【特許文献2】特開2000−354626号公報
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、材料の損失がなく、かつ本針先端部を取り付けたチューブの閉塞の危険性なしに、制御された条件下で非外傷性になるまで体内で変形することができる、チューブと一体に製造するのに適した、切断用ベベルつきの針先端部を提供することである。
【0006】
このような針先端部は、特に静脈または動脈内にカテーテルを導入するために、カテーテルチューブの遠位端部を構成するのに向けられる。本発明の別の目的は、かかる針先端部を備えたチューブであって、使用中にその硬さを、その針先端部つきのチューブが穿刺針を構成するのに十分な硬さと、チューブがカテーテルチューブの柔軟性を有するようにより低い硬さとの間で制御可能に変化することが可能なチューブを供給することである。
【0007】
本発明の穿刺先端部(針先端部)は、その遠位端部に皮膚を切断して特定部位に侵入させるのに適した安定した硬い切断用ベベルを有する形状記憶材料の中空チューブの部分からなる。この針先端部は、切断用ベベルが鋭利ではない状態を記憶し、かつ前記特定部位で優勢な条件に曝された時または外部から制御された刺激の作用下でこの非外傷性状態に復帰するように状態を変化させることができることを特徴とする。
【0008】
ベベルは、硬さの低下および/または非外傷性形態をとることにより非外傷性とすることができる。
ベベルの状態の変化は、特定部位内での温度により、または人工的に生起させたより高い温度により発動させることが好ましい。
【0009】
この発動方法は制限されず、形態変化を発動させる別の作用因子として、たとえば、その部位のpH、その部位で血液または他の液体との接触、またはその部位の外部から制御された電気的刺激が挙げられる。
【0010】
医療用の形状記憶チューブの製造については多くの手段が既に提案されており、これに関しては多くの特許公報がある。一部の例として、下記の特許公報を挙げることができ、それらの公報自体が他の公報について言及している。
【0011】
公報US5674242は、熱刺激により作動させる状態移動を含むように処方された形状記憶材料からなる体内人工器官装置用ポリマーチューブを記載している。
公報US5964744は、尿道内で所定形状をとるように設計された尿道内の容易な埋め込み用カテーテルの製造用の形状記憶性医療用ポリマー化合物を記載している。
【0012】
公報WO86/03980は、所定温度で軟化する形状記憶ポリマーのいくつかの例を記載している。
公報WO02/085188は、遠位端部が湾曲形状の記憶を保持し、移植された時にこの形状に復帰することにより、障害物を迂回することができる医療用の金属針を記載している。
【0013】
公報WO99/42172は、体内に移植した後に変形することができる複合チューブを備えた移植可能な構造物を記載している。このチューブは、感熱性形状記憶ポリマー材料の部分を備える。変形はチューブが難しい心筋構造物に適合することができるように設計されている。
【0014】
公報WO95/08296は内視鏡手術用の金属縫合針を記載しており、この針は常温ではまっすぐであるが、湾曲形状の記憶を有し、体温でこの湾曲形状に復帰する。
公報WO96/11721は、剛性(硬質)形態から可撓性(軟質)形態に変化することができる形状記憶カテーテルを記載している。
【0015】
公報US6059815は、その変換が温度により発動されるポリウレタン系形状記憶材料の治療用アクチュエータを記載している。
公報EP0422693は、温度およびそのカテーテルの製造に採用された方法の影響下で形態が変化する形状記憶を有するカテーテルを記載している。
【0016】
公報EP0931559は、その遠位端部がJ形状の記憶を保持している硬膜外カテーテルを記載している。
公報US2002/0142119は、製造に使用する形状記憶材料のいくつかの例を記載している。
【0017】
公報FR2641692は、医療用の傷口を塞ぐために温度の作用下で変形可能な形状記憶ポリマー材料からなる詰め物(プラグ)を記載している。
以上の公報はいずれも、医療分野での形状記憶の具体的使用の一般的な印象を与えるだけであり、当業者であれば、形状記憶の実施に使用することができる材料および方法についてずっと多くの幅広い一般的情報資料を有していよう。
【0018】
例として、特定のエラストマー材料に感熱性形状記憶を付与するための手段を記載している、より古い公報US4053548およびUS4193899を挙げることができよう。
【0019】
特にニッケルまたは銅の合金(Ni−Ti,Cu−Al−Ni,Ni−Al,Mn−Cu,Fe−Ni,Cu−Zn−Al,Ni−Mn−Gaおよび特にNitinollTM)、ポリ塩化ビニル、グラフトコポリマーと組み合わせたブロックコポリマー、スルホン化エラストマー化合物、ポリノルボルネン、ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリウレタン、ウレタンポリエーテル、ポリアミドポリエーテル、ポリカーボネート、セルロースの誘導体などといった多様な材料がこれまでに推奨されてきた。
【0020】
本発明はより具体的には、使用中に望まれる第一の形状に成形され、その後、使用前に応力を付加して第二の形状にされる、複数種類のポリマーからなる形状記憶プラスチック材料の使用を想定している。後者の形状はいずれかのポリマーにより負荷される。ある現象により発動させると、第二の形状を負荷している材料の負荷が解除され、製品はその第一の形状に復帰する。可能な発動因子としては、温度、液体、紫外線などを挙げることができる。
【0021】
感熱性形状記憶を有する本発明の針先端部を製造するには、とりわけ、下記方法を実施することができる:
・選択された相転移温度を有するポリマー材料から針先端部を成形して、それに所望の非外傷性の形状を付与し、
・針先端部を軟化させるようにその相転移温度より高い温度に加熱し、軟化した針先端部を穿刺処置に求められる形状に強制的に賦形し、
・針先端部を常温に冷却する。
【0022】
こうして製造された針先端部は、穿刺先端部として作用することができる形状を保持することができるが、相転移温度がその部位内に存在する限り、静脈または動脈内では非外傷性の形状に復帰し、その後に静脈から体外に取り出されても、その非外傷性形状を保持する。
【0023】
この針先端部はそれが取り付けられるチューブの端部に成形によって形成されるのが好ましい。
針先端部のベベルの非外傷性形状は、デザインおよび用途に応じて変化させることができる。たとえば、ベベルの出口開口部の円形状への丸み付与(切断用形態における長円で尖った形態ではなく)、針先端部のベベルの球状化(切断用形態における鋭利な端部ではなく)、針先端部の開口部に向かったそのベベルの湾曲などとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に従って静脈穿刺に使用することができる針用のチューブ状針先端部の各種の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
静脈および動脈穿刺に使用される針は一般に次の2つのいずれかのタイプの切断用ベベルを有する:
タイプ1:ランセット・ポイント型(図1)。これは、ある一定角度でのフライス削り(ミリング)により作られる単純ベベルである。図1では、17°の角度が使用されているが、この角度は習慣および用途に応じて異なることがある。
【0025】
タイプ2:バックカット型(図3)。これは、ランセットポイントベベルにおいてポイント(尖先部)のすぐ後ろに二つのグラウンドエッジを設けたものである。これは、尖先部をチューブの中心の方に小さく変位させると同時に尖先部を細くする。
【0026】
皮膚を貫いた時に、ランセットポイント型の針は三日月形状の傷跡を作る。バックカット型は穴を作り、これは後でカニューレ(例、短カテーテル)を通すのにより有利である。
【0027】
静脈内に挿入した後に非外傷性にするためのベベル形状の可能な変形としては次が挙げられる:
・切断用ベベルの全エッジを円に近づくよう丸くすることにより鈍くする;
・切断用ベベルの長さを短くする;
・丸くするのに加えて切断用ベベルのエッジを厚くする;
・切断用ベベルの先端を丸める;
・針端部の切断用ベベルの尖先部を球状化して、ベベルのエッジが中心を向いて戻るようにする;
・切断用ベベルの尖先部を部分的に扁平にする;
・切断用ベベルの長辺を中心に向かって湾曲させる(チューヒー型針)。
【0028】
変形は、斜めに切られた針先端部を構成する形状記憶材料の適当な選択により可能となる。
先に列挙した特許公報に説明されているように、チューブの有利かつ制御された変形を得るために形状記憶を利用することは、この変形を発動させる方法ならびに求められる変形の知識とそれに基づく変形を受けるチューブの材料および/もしくは複合構造物の選択を含めて、当業者には以前から知られていた。
【0029】
例として、図2および図4〜8に、斜面状にベベル化された切断性の針先端部を非外傷性にするのに適した変形を示す。
・図2および4:針先端部Eのベベル(1)の壁面をベベルのオリフィス(開口穴)(2)の全周にわたって丸くし(円に近づけ)、ベベルの長さを短くする。これは端部の壁面の肉厚化により達成することができる;
・図5:針先端部Eのベベルがチューブの内部に向かって垂れ下がる;
・図6:針先端部Eのベベルの上端(1a)が内部に向かって湾曲し、かつオリフィス(2)が丸くなる;
・図7:ベベルがチューブの内部に向かって垂れ下がり、チューブのオリフィス(2)が丸くなる;
・図8:針先端部Eのベベル(1)の上端(1a)と下端(1b)とが近づく。
【0030】
本発明は、特に静脈もしくは動脈カテーテルまたは神経叢もしくは硬膜外ブロックにおいていずれも短カテーテル(ショートカテーテル)で使用する針に特に適用される。短カテーテルの場合、これは一般的なように、針+カニューレの組合わせとしてもよいが、好ましい実施態様では、針は軟化により非外傷性カニューレとなる。
【0031】
短カテーテルは通常はステンレス鋼製チューブから構成され、その遠位端部は切断用ベベル(たいていは17°の任意角度に斜面化)となっていて、その近位端部には空気は通すが液体、従って血液は通さない空気抜きプラグ(撥水性多孔質膜フィルター)を備えたオーバーモールド型ベース部(overmolded base)が取り付けられている。このフィルターによって、透明な空気抜きプラグ内に血液還流が見られることで、チューブのベベルが実際に静脈内に到達して、カニューレを押し込むことができることをチェックすることが可能となる。カニューレはこの針に装着され、その直径は先端が円錐形に調整され(皮膚への侵入の力を軽減するために)、その長さも調整される(一般にカニューレの端部は金属チューブのベベルの下端から少なくとも1ミリメートルとしなければならない)。
【0032】
このカニューレは一般にテフロン(登録商標)(PTFE)チューブからなるか、或いは現在は多くがポリウレタン(PUR)製である。後者は感熱性である(静脈内で柔軟になり、静脈内により長い時間許容されうる)。カニューレの一端には、ロック可能な雌型の注射器(シリンジ)コーン(円錐状部材)を備えたベース部が取り付けられている。カニューレは針の外周に押し込み嵌めされ、カニューレ/針のアセンブリ(集成体)はシリコーン処理してもよい(すべり性を改善するため)。
【0033】
ユーザは針先端部を体内に挿入し、血液の還流を待ってから、カニューレを静脈内に押し込み、針を引き抜き、次いでカニューレのベース部を延長部材または潅流ラインに接続して、後者を皮膚にテープ止めする(絆創膏などで)。
【0034】
1例として、図9〜11は合成樹脂製の短カテーテル(3)を示す。このカテーテルの近位ベース部(4)には、ベベル(斜面)形の尖先部(5a)と近位ベース部(6)とを有する金属製の針(5)が挿入されている。この例では、針はそのベース部より上流側に、その空気抜きプラグ(7)を有する、血液潅流を見るためのチャンバーを備える。
【0035】
本発明によれば、針とカテーテルとを一体化できれば、かかる器具を実質的に単純化することができる。そうなると、カテーテルは、チューブとベース部とこのベース部に直接装着された空気抜きプラグとを備えたカニューレのみから構成される。このカニューレチューブは非常にしっかりした形状記憶を有し、かつその遠位端部に17°の(または他の任意角度の)切断用ベベルを有するプラスチック材料製である。このチューブはシリコーン処理されうる。
【0036】
皮膚を穿刺し、ベベルを静脈内に入れた後、発動因子(例えば、血液)によりベベル形状が変形して非外傷性になる(静脈内位置を含めて非切断型になる)。その後、カニューレを押し込み、チューブが挿入されると、チューブは軟化する。
【0037】
空気抜きプラグを取り出し、延長部材または潅流ラインを接続して、ベース部を固定する(絆創膏またはたの手段で)。
その後、柔軟で非外傷性のカニューレを取りだすことができる。
【0038】
かかる短カテーテルでは、針を省略することができる。これはコスト面で非常に重要であり(針それ自体のコストと針上でカニューレを調整するコスト)、操作動作数が低減し(針の取り出しが不要)、針の穿刺事故(院内感染)の危険性も低減する。
【0039】
1例として、図12は形状記憶合成樹脂製のチューブ(8)を示す。このチューブは、ベース部(9)とチューブのベース部に着脱可能に固定された観察チャンバー(10)とを備える。チューブの遠位端部(8a)は斜面状(ベベル)になっていて(このベベルの手前側にゆるい傾斜部を形成してもよい)、変形前はチューブが実質的に剛性(硬質)で、その尖先部を静脈に挿入して穿刺のための針として作用するが、挿入後は、チューブの端部が鈍くなって、慣用のカテーテルと同様の柔軟な可撓性のチューブ部材となるよう、形状記憶材料から作られる。
【0040】
本発明はその管体部分がベベル付き硬質プラスチック材料から作製されうる単純な針にも適用することができる。この場合も、このプラスチック材料は形状記憶を有する。この針を挿入すると、皮膚内または静脈もしくは動脈内で切断用端部(ベベル)は非外傷性になり(発動因子は液体)、この針を静脈もしくは動脈内でカニューレとして使用する(より確実な位置決めのために)ことも可能である。
【0041】
針を引き抜く時に穿刺事故の危険性はなくなる。
このためには、成形により作製されたベベル形状で切断を行うことができる、非常に硬質のプラスチック材料が必要となる。
【0042】
この材料は、非常に精密な成形型内で型の形状全体に充満するように射出成形時には非常に流動性でなければならない。
非常に硬質のプラスチック材料は既存品であり(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド等)、その剛性(硬さ)をさらに増すことができることも考えられる。この種のプラスチック材料は(金属と同様に)フライス削りや旋削加工にも適したものとすることもできる。
【実施例】
【0043】
形状記憶材料(M)は下記の2種類の材料から構成される:
・高温で軟化し、やや軟質なM1;
・低温で軟化し、非常に硬質のM2。
【0044】
チューブMを、選択した非外傷性形状をこれに付与するために高温の成形型内に押し込む。冷却すると、この形状がM1およびM2に付与される。
チューブを、M2を軟化させるが、M1を軟化させないような低温の別の成形型内に押し込む。この時に、最初の成形時の内部形状を修正するために、チューブ内にロッド(丸棒)を挿入してもよい。
【0045】
冷却すると、第2の成形で、非常に硬質のM2がM1の形状を強制的に負荷する。
この形状をより鋭利にするために造形物をフライス削りにかけてもよい。
この穿刺アセンブリを静脈内に押し込むと、37℃の温度がM1を軟化させるのに十分であるが、これではいくらか低く(前殺菌温度(50℃)、加熱を生ずることのあるフライス加工、夏場の保管などの余裕をもたせるため)、あるいは硬質材料が非常に親水性で食塩水と接触すると非常にすばやく軟化し(コンタクトレンズのように)、こうしてM1がその形状を負荷することが可能となるか、あるいは高温もしくは電気加熱可能な心棒をM2を軟化させるために穿刺器具全体を通るように挿入することができる。
【0046】
本発明は上に記載した実施例に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】ある角度でのフライス削り(ミリング)により作られた単純なベベルを意味する「ランセットポイント」型の切断用ベベルを持つ針先端部Eを示し、この針先端部は側面図(図1A)および正面図(図1B)で示される。
【図2】変形後の図1の針先端部を示し、この針先端部は側面図(図2A)および正面図(図2B)で示される。
【図3】尖先部のすぐ後ろに二つのグラウンドエッジを有するランセットポイント型ベベルを意味する「バックカット」型の切断用ベベルを持つ針先端部Eを示し、この針先端部は側面図(図3A)および正面図(図3B)で示される。
【図4】変形後の図3の針先端部を示し、この針先端部は側面図(図4A)および正面図(図4B)で示される。
【図5】本発明に係る切断用針先端部E(ランセットポイント型またはバックカット型)の変形の別の例を、側面図(A)および正面図(B)で示す。
【図6】図5と同様の図である。
【図7】図5と同様の図である。
【図8】図5と同様の図である。
【図9】針に装着された既知の短カテーテルの使用前の長手方向図である。
【図10】図9のカテーテルの長手方向図である。
【図11】図9のカテーテルの針の長手方向図である。
【図12】本発明に係る短カテーテルの使用前の長手方向図である。
【図13】図12の短カテーテルの変形後の長手方向図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚を穿刺して身体の特定部位に侵入させるために医療分野で使用可能な穿刺先端器具(E)を構成する針先端部であり、皮膚を切断して該特定部位に侵入させるように設計された安定した硬い切断用ベベルをその遠位端部に有する形状記憶材料製の中空チューブ部分から構成される針先端部であって、切断用ベベルが鋭利ではない状態を記憶し、かつ該特定部位で優勢な条件に曝された時または外部から制御された刺激の作用下でこの非外傷性状態に復帰するように状態を変化させることができることを特徴とする針先端部。
【請求項2】
該特定部位内での温度上昇によりベベルの状態の変化が発動されるように形状記憶材料が選択される、請求項1記載の針先端部。
【請求項3】
該特定部位内での液体との接触によりベベルの状態の変化が発動されるように形状記憶材料が選択される、請求項1記載の針先端部。
【請求項4】
該特定部位内の外部から制御された電気的刺激によりベベルの状態の変化が発動されるように形状記憶材料が選択される、請求項1記載の針先端部。
【請求項5】
鋭利ではない状態のベベルの形状が、切断用ベベルの形状から、下記の1または2以上の変化によって異なっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の針先端部:切断用ベベルの全エッジの鈍化、切断用ベベルの長さの短縮、切断用ベベルのエッジの肉厚化、切断用ベベルの尖先の円形状への丸み、切断用ベベルの尖先の球状化、切断用ベベルの尖先の部分的平坦化、または中心部方向への切断用ベベルの長辺の湾曲化。
【請求項6】
加熱によって所望の非外傷性形状への針先端部の成形が可能となるように設計され、かつ応力付与によって針先端部のベベルが切断用形状をとることが可能となるように設計された複数の材料(M1,M2)から構成され、これらの材料の一方(M2)が、前記条件または前記刺激に曝されていない間は、低温の針先端部のベベルを切断用形状に保持するように設計されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項7】
ポリマー材料から作られた請求項1〜6のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項8】
切断用ベベル(1)がランセット・ポイント型のものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項9】
切断用ベベル(1)がバックカット型のものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項10】
切断用ベベル(1)の前により緩やかな傾斜面が形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項11】
チューブ(8)の一端(8a)を構成している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項12】
使用部位に存在する条件の作用下で、チューブが針先端部を前記特定部位まで押し込み可能にするのに必要な剛性を有する状態から、チューブが軟質である状態に移行させることができるように形状記憶材料からチューブと一体に製造された請求項1〜10のいずれか1項に記載の針先端部(8a)を備えたチューブ(8)。
【請求項1】
皮膚を穿刺して身体の特定部位に侵入させるために医療分野で使用可能な穿刺先端器具(E)を構成する針先端部であり、皮膚を切断して該特定部位に侵入させるように設計された安定した硬い切断用ベベルをその遠位端部に有する形状記憶材料製の中空チューブ部分から構成される針先端部であって、切断用ベベルが鋭利ではない状態を記憶し、かつ該特定部位で優勢な条件に曝された時または外部から制御された刺激の作用下でこの非外傷性状態に復帰するように状態を変化させることができることを特徴とする針先端部。
【請求項2】
該特定部位内での温度上昇によりベベルの状態の変化が発動されるように形状記憶材料が選択される、請求項1記載の針先端部。
【請求項3】
該特定部位内での液体との接触によりベベルの状態の変化が発動されるように形状記憶材料が選択される、請求項1記載の針先端部。
【請求項4】
該特定部位内の外部から制御された電気的刺激によりベベルの状態の変化が発動されるように形状記憶材料が選択される、請求項1記載の針先端部。
【請求項5】
鋭利ではない状態のベベルの形状が、切断用ベベルの形状から、下記の1または2以上の変化によって異なっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の針先端部:切断用ベベルの全エッジの鈍化、切断用ベベルの長さの短縮、切断用ベベルのエッジの肉厚化、切断用ベベルの尖先の円形状への丸み、切断用ベベルの尖先の球状化、切断用ベベルの尖先の部分的平坦化、または中心部方向への切断用ベベルの長辺の湾曲化。
【請求項6】
加熱によって所望の非外傷性形状への針先端部の成形が可能となるように設計され、かつ応力付与によって針先端部のベベルが切断用形状をとることが可能となるように設計された複数の材料(M1,M2)から構成され、これらの材料の一方(M2)が、前記条件または前記刺激に曝されていない間は、低温の針先端部のベベルを切断用形状に保持するように設計されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項7】
ポリマー材料から作られた請求項1〜6のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項8】
切断用ベベル(1)がランセット・ポイント型のものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項9】
切断用ベベル(1)がバックカット型のものである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項10】
切断用ベベル(1)の前により緩やかな傾斜面が形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項11】
チューブ(8)の一端(8a)を構成している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の針先端部。
【請求項12】
使用部位に存在する条件の作用下で、チューブが針先端部を前記特定部位まで押し込み可能にするのに必要な剛性を有する状態から、チューブが軟質である状態に移行させることができるように形状記憶材料からチューブと一体に製造された請求項1〜10のいずれか1項に記載の針先端部(8a)を備えたチューブ(8)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−528222(P2008−528222A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553651(P2007−553651)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000231
【国際公開番号】WO2006/082314
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(305043652)
【氏名又は名称原語表記】VYGON
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000231
【国際公開番号】WO2006/082314
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(305043652)
【氏名又は名称原語表記】VYGON
【Fターム(参考)】
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