説明

穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置、及び画像形成装置

【課題】刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷を低減することができる穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙を穿孔する穿孔ピンであって、用紙に食い込む刃頂部204と用紙を切り抜く刃谷部202とを交互に有する刃先部206が一端に形成された円筒形状の本体部を有し、刃谷部202と刃頂部204とを結ぶ刃先線208は、第1円弧210と第2円弧220とを組み合わせた曲線であり、刃谷部202側の曲線を構成する第1円弧210を有する第1円212の中心214は、刃先線208をはさんで、刃頂部204側の曲線を構成する第2円弧220を有する第2円222の中心224と対向して位置するとともに、第2円222の中心224よりも本体部の他端側に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DCモータなどを駆動源として穿孔ピンのダイ穴に対する往復運動を行って用紙を穿孔する穿孔装置では、用紙が厚い程或いは用紙の枚数が多い程、当該用紙に穴をあける際の負荷が大きくなる。大きな負荷に対応するためには、大きなトルクが得られるDCモータなどを駆動原に用いる必要があるが、動作音、電流値の増大、装置の大型化、及びコストアップなどの問題が生じるため、好ましくない。
【0003】
このため、例えば特許文献1には、パンチの刃先部を2段のシャー角で形成し、外側の小さいシャー角でシート材を鋭利に穿孔することで、穿孔時の負荷を低下させ、モータトルクを下げる技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、パンチピンの刃頂部の高さ方向の位置を互いにずらすことで、刃頂部がシート材に食い込むタイミングをずらし、穿孔時の負荷を低下させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/038291号パンフレット
【特許文献2】特開平10−109299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、用紙を穿孔する際に発生する負荷で駆動源に対する大きな負荷となるのが、穿孔ピンの刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び穿孔ピンの刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷である。しかしながら、上述した従来技術では、いずれも穿孔ピンの刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷の低減しか考慮されておらず、穿孔ピンの刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷の低減については考慮されていない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷を低減することができる穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる穿孔ピンは、用紙を穿孔する穿孔ピンであって、前記用紙に食い込む刃頂部と前記用紙を切り抜く刃谷部とを交互に有する刃先部が一端に形成された円筒形状の本体部を有し、前記刃谷部と前記刃頂部とを結ぶ刃先線は、第1円弧と第2円弧とを組み合わせた曲線であり、前記刃谷部側の曲線を構成する前記第1円弧を有する第1円の中心は、前記刃先線をはさんで、前記刃頂部側の曲線を構成する前記第2円弧を有する第2円の中心と対向して位置するとともに、前記第2円の中心よりも前記本体部の他端側に位置することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の態様にかかる穿孔装置は、上記穿孔ピンを有する穿孔機構と、前記穿孔機構を駆動させる動力を生成する駆動源と、前記動力を前記穿孔機構に伝達して、前記穿孔ピンをダイ穴に対して往復移動させる伝達手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の態様にかかる用紙処理装置は、上記穿孔装置を備える事を特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の態様にかかる画像形成装置は、上記穿孔装置、又は上記用紙処理装置を備える事を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、刃頂部が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び刃谷部が用紙を切り抜く際に発生する負荷を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1実施形態の穿孔装置を含む複写システムの一例を示す模式図である。
【図2】図2は、第1実施形態の穿孔装置が備えるガイド機構の例を示す斜視図である。
【図3】図3は、第1実施形態の穿孔装置が備える穿孔機構及び駆動機構の例を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す穿孔機構の円4の部分の拡大図である。
【図5】図5は、図3に示す穿孔機構の円5の部分を矢印aの方向から見た場合の拡大図である。
【図6】図6は、駆動ギヤの回転前の状態を、図3に示す穿孔機構及び駆動機構の円6の部分を矢印bの方向から見た場合の拡大図である。
【図7】図7は、駆動ギヤの回転中の状態を、図3に示す穿孔機構及び駆動機構の円6の部分を矢印bの方向から見た場合の拡大図である。
【図8】図8は、第1実施形態の穿孔ピンの正面図及び底面図である。
【図9】図9は、図8に示す穿孔ピンの円9の部分の拡大図である。
【図10】図10は、第2実施形態の穿孔ピンの正面図である。
【図11】図11は、図10に示す穿孔ピンの円11の部分の拡大図である。
【図12】図12は、第3実施形態の穿孔ピンの正面図である。
【図13】図13は、第4実施形態の穿孔ピンの正面図である。
【図14】図14は、第5実施形態の穿孔ピンの刃先部の拡大図である。
【図15】図15は、穿孔装置を備える第2用紙処理装置の一例を示す模式図である。
【図16】図16は、穿孔装置を備える複写装置の一例を示す模式図である。
【図17】図17は、穿孔装置を備える第2用紙処理装置を備える複写装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる穿孔ピン、穿孔装置、用紙処理装置、及び画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。なお本実施形態では、画像形成装置として複写装置を例に取り説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、複写機能に加え、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくともいずれかの機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であってもよい。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態の穿孔装置110を備える複写システム100の概要について説明する。
【0015】
図1は、第1の実施形態の穿孔装置110を含む複写システム100の一例を示す模式図である。図1に示すように、複写システム100は、複写装置101と、穿孔装置110を含む第1用紙処理装置102と、第2用紙処理装置103と、を備える。
【0016】
複写装置101は、原稿に印刷されている画像を用紙に複写するものである。具体的には、複写装置101は、原稿から画像データを読み取り、読み取った画像データに所定の画像処理を施し、画像処理を施した画像データが示す画像を用紙に印刷し、画像が印刷された用紙を装置外に排出する。
【0017】
第1用紙処理装置102は、複写装置101の用紙排出側の側面に配置されており、複写装置101から排出された用紙を装置内部の所定の搬送経路(図示省略)で搬送する。当該搬送経路の途中には穿孔装置110が設けられており、第1用紙処理装置102は、穿孔装置110が設けられた位置まで用紙を搬送すると搬送を一時停止し、穿孔装置110による穿孔を行う。そして、第1用紙処理装置102は、用紙の穿孔が完了すると用紙の搬送を再開し、穿孔された用紙は装置外に排出する。
【0018】
第2用紙処理装置103は、第1用紙処理装置102の用紙排出側の側面に配置されており、第1用紙処理装置102から排出された用紙を装置内部に搬送する。そして、第2用紙処理装置103は、装置内部に貯留された用紙の束に対して丁合処理及び綴じ処理(ステープル処理)などを行い、用紙トレイ104に排出する。
【0019】
次に、第1の実施形態の穿孔装置110の構成について説明する。
【0020】
図2は、第1の実施形態の穿孔装置110が備えるガイド機構120の一例を示す斜視図である。図2に示すように、ガイド機構120は、上ガイドフレーム122と、下ガイドフレーム124と、ダイフレーム126と、右側板128と、左側板130とを、備える。
【0021】
上ガイドフレーム122、下ガイドフレーム124、ダイフレーム126は、それぞれダイ穴122A、122B、ダイ穴124A、124B、ダイ穴126A、126Bが同間隔で形成されており、両側面から右側板128及び左側板130で挟み込むように固定されている。また、ダイ穴122A、124A、及び126Aは、鉛直方向に並んで位置しており、穿孔ピン200Aの鉛直方向への往復移動をガイドする。同様に、ダイ穴122B、124B、及び126Bも鉛直方向に並んで位置しており、穿孔ピン200Bの鉛直方向への往復移動をガイドする。なお、ダイ穴122A、124A、及び126Aの径は、いずれも穿孔ピン200Aの径に対応しており、ダイ穴122B、124B、及び126Bの径は、いずれも穿孔ピン200Bの径に対応している。
【0022】
図3は、第1の実施形態の穿孔装置110が備える穿孔機構140及び駆動機構150の一例を示す斜視図であり、図4は、図3に示す穿孔機構140の円4の部分の拡大図であり、図5は、図3に示す穿孔機構140の円5の部分を矢印aの方向から見た場合の拡大図である。
【0023】
穿孔機構140は、図3〜図5に示すように、スライドアーム142と、支持ピン144A、144Bと、リンク146A、146Bと、穿孔ピン200A、200Bとを、備える。
【0024】
リンク146Bは、支持ピン144Bを介して穿孔ピン200Bを保持し、穿孔ピン200Bの保持方向の両端に軸状の支点が設けられている。なお、穿孔ピン200Bに設けられている両支点は、ガイド機構120の右側板128及び左側板130によって回転可能に支持され、更に、支点の一方は、スライドアーム142の連結部に連結されている。同様に、リンク146Aは、支持ピン144Aを介して穿孔ピン200Aを保持し、穿孔ピン200Aの保持方向の両端に軸状の支点が設けられている。なお、穿孔ピン200Aに設けられている両支点は、ガイド機構120の右側板128及び左側板130によって回転可能に支持され、更に、支点の一方は、スライドアーム142の連結部に連結されている。
【0025】
駆動機構150は、図3に示すように、駆動モータ152と、駆動モータギヤ154と、減速ギヤ列156と、駆動ギヤ158A、158Bと、センサーフィラー160と、ホームポジションセンサ162と、パルスカウントセンサ164とを、備える。
【0026】
駆動モータ152は、穿孔機構140を駆動させる動力を生成する駆動源であり、例えば、DCブラシモータなどにより実現できる。そして、駆動モータ152により生成される駆動力(回転駆動力)は、駆動モータギヤ154に結合されている減速ギヤ列156を経て駆動ギヤ158A、158Bに伝達される。なお、駆動ギヤ158Aに一体化された又は一体的に取付けられたセンサーフィラー160と、ホームポジションセンサ162とは、用紙の穿孔に必要とされる駆動ギヤ158Bの回転数(回転量)を検出し、図示せぬ制御部に通知する。また、パルスカウントセンサ164は、駆動モータ152のパルス数を検出し、前述の制御部が、検出されたパルス数に応じて適切な回転速度となるように駆動モータ152を制御する。
【0027】
図6及び図7は、図3に示す穿孔機構140及び駆動機構150の円6の部分を矢印bの方向から見た場合の拡大図であり、駆動機構150を透視した様子を示している。なお、図6は、駆動ギヤ158A及び158Bの回転前の状態(ホームポジション位置の状態)を示しており、図7は、駆動ギヤ158A及び158Bの回転中の状態を示している。
【0028】
図6に示すように、駆動機構150の駆動ギヤ158Bに設けられた凸部159が、穿孔機構140のスライドアーム142に形成されているD字型の溝143に移動自在に連結されている。駆動モータ152の駆動力が駆動ギヤ158Aから158Bに伝達され、駆動ギヤ158Bが反時計周り(図6の矢印c方向)に回転すると、スライドアーム142が長手方向を往復移動する。具体的には、駆動ギヤ158Bの凸部159が、スライドアーム142の溝143の直線部を押すことにより、図7に示すように、スライドアーム142が矢印d方向に移動した後、再び、図6の状態に戻る。そして、スライドアーム142の長手方向への往復移動により、リンク146A、146Bがそれぞれ往復回転し、穿孔ピン200A、200Bをそれぞれ鉛直方向に往復移動させる。これにより、用紙に2穴が穿孔される。
【0029】
上述したように、本実施形態では、2穴穿孔を行う場合を例に取り説明したが、穿孔する穴数はこれに限定されるものではない。例えば、所望する穴数に応じたダイ穴、穿孔ピン、支持ピン、及びリンクを穿孔装置に設けることで、所望する穴数の穿孔が可能となる。
【0030】
次に、第1の実施形態の穿孔ピン200Aの形状について説明する。なお、穿孔ピン200Bの形状は、穿孔ピン200Aの形状と同様であるため説明を省略する。
【0031】
図8は、第1の実施形態の穿孔ピン200Aの正面図及び底面図であり、図9は、図8に示す穿孔ピン200Aの円9の部分の拡大図である。
【0032】
図8及び図9に示すように、穿孔ピン200A(本体部201)は、円筒形状であり、その下端(一端の一例)に刃谷部202と刃頂部204とを略90度の間隔で交互に有する刃先部206が形成されている。なお本実施形態では、穿孔ピン200A(本体部201)の材質にセラミックなどの非金属無機材料を用いており、刃先部206にTiN処理などの皮膜処理が施されている。
【0033】
そして、刃谷部202と刃頂部204とを結ぶ刃先線208は、第1円弧210と第2円弧220とを組み合わせた曲線となっている。また、刃谷部202側の曲線を構成する第1円弧210を有する第1円212の中心214は、刃先線208をはさんで、刃頂部204側の曲線を構成する第2円弧220を有する第2円222の中心224と対向して位置する。また、第1円212の中心214は、第2円222の中心224よりも穿孔ピン200A(本体部201)の上端側(本体部の他端側の一例)に位置する。なお、第2円222の中心224は、穿孔ピン200A(本体部201)の軸線上に位置している。
【0034】
以上のように、第1の実施形態では、刃谷部202と刃頂部204とを結ぶ刃先線208を、第2円222の円弧であって刃頂部204側の曲線を構成する第2円弧220と、第2円222の中心224よりも穿孔ピン200Aの上端側に中心214が位置する第1円212の円弧であって刃谷部202側の曲線を構成する第1円弧210とを、組み合わせた曲線としている。このため第1の実施形態によれば、刃谷部202及び刃頂部204をともに鋭利にすることができ、刃頂部204が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び刃谷部202が用紙を切り抜く際に発生する負荷を低減することができる。これにより、駆動モータ152を小型化(小型の駆動モータを採用)することができ、穿孔装置110の小型化、消費電流の低減、低騒音化、及びコストの削減などを図ることもできる。
【0035】
また第1の実施形態では、穿孔ピン200A(本体部201)の材質に、重量が軽く硬度が高いセラミックなどの非金属無機材料を用いている。このため第1の実施形態によれば、ダイス鋼(SKD11)などの金属を用いた穿孔ピンに比べ穿孔ピン200Aの重量を軽くすることができ、駆動モータ152に対する負荷を更に小さくすることができる。これにより、駆動モータ152の消費電流の更なる低減を図ることもできる。
【0036】
また第1の実施形態では、刃先部206にTiN処理などの皮膜処理を施している。このため第1の実施形態によれば、刃先部206の耐摩耗性及び耐久性を向上させることができ、多様な紙種又は紙厚な紙を穿孔する場合におけるパンチピンの刃先部の劣化に対処することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、刃谷部側の曲線を構成する第1円弧を有する第1円、及び刃頂部側の曲線を構成する第2円弧を有する第2円が、楕円である場合を例に取り説明する。なお、以下では、第1の実施形態との相違点である穿孔ピンの形状についての説明を行い、その他の説明は省略する。
【0038】
図10は、第2の実施形態の穿孔ピン300Aの正面図であり、図11は、図10に示す穿孔ピン300Aの円11の部分の拡大図である。図10及び図11に示すように、刃谷部302と刃頂部304とを結ぶ刃先線308は、第1円弧310と第2円弧320とを組み合わせた曲線となっている。そして、第2の実施形態では、刃谷部302側の曲線を構成する第1円弧310を有する第1円312、及び刃頂部304側の曲線を構成する第2円弧320を有する第2円322が、鉛直方向に長軸を有する楕円(円周の位置に応じて曲率が異なる円の一例)となっている。
【0039】
以上のように、第2の実施形態では、刃谷部302と刃頂部304とを結ぶ刃先線308を、楕円である第2円322の円弧であって刃頂部304側の曲線を構成する第2円弧320と、楕円である第1円312の円弧であって刃谷部302側の曲線を構成する第1円弧310とを、組み合わせた曲線としている。第2の実施形態によれば、第1円弧310及び第2円弧320の曲率が大きくなるため、刃谷部302及び刃頂部304を更に鋭利にすることができ、刃頂部304が用紙に食い込む際に発生する負荷、及び刃谷部302が用紙を切り抜く際に発生する負荷を更に低減することができる。これにより、駆動モータ152を小型化(小型の駆動モータを採用)することができ、穿孔装置110の小型化、消費電流の低減、低騒音化、及びコストの削減などを図ることもできる。なお本実施形態では、第1円312及び第2円322の両方が楕円である場合を例に取り説明したが、第1円312及び第2円322の少なくとも一方が楕円であってもよい。
【0040】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、刃谷部側の曲線を構成する第1円弧の曲率半径を、刃頂部側の曲線を構成する第2円弧の曲率半径よりも小さくした場合を例に取り説明する。なお、以下では、第1の実施形態との相違点である穿孔ピンの形状についての説明を行い、その他の説明は省略する。
【0041】
図12は、第3の実施形態の穿孔ピン400Aの正面図である。図12に示すように、刃谷部402と刃頂部404とを結ぶ刃先線408は、第1円弧410と第2円弧420とを組み合わせた曲線となっている。そして、第1円弧410の曲率半径はR3、第2円弧420の曲率半径はR4であり、第1円弧410の曲率半径は、第2円弧420の曲率半径よりも小さくなっている。
【0042】
以上のように、第3の実施形態では、刃谷部402と刃頂部404とを結ぶ刃先線408を、刃頂部404側の曲線を構成する第2円弧420と、第2円弧420よりも曲率半径を小さくした円弧であって刃谷部402側の曲線を構成する第1円弧410とを、組み合わせた曲線としている。第3の実施形態によれば、第1円弧410の曲率が大きくなるため、刃谷部402を更に鋭利にすることができ、刃谷部402が用紙を切り抜く際に発生する負荷を更に低減することができる。これにより、駆動モータ152を小型化(小型の駆動モータを採用)することができ、穿孔装置110の小型化、消費電流の低減、低騒音化、及びコストの削減などを図ることもできる。
【0043】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、刃頂部側の曲線を構成する第2円弧を有する第2円の中心を本体部の軸線からオフセットした場合を例について説明する。なお、以下では、第1の実施形態との相違点である穿孔ピンの形状についての説明を行い、その他の説明は省略する。
【0044】
図13は、第4の実施形態の穿孔ピン500Aの正面図である。図13に示すように、刃谷部502と刃頂部504とを結ぶ刃先線508は、第1円弧510と第2円弧520とを組み合わせた曲線となっている。そして、刃頂部504側の曲線を構成する第2円弧520を有する第2円の中心524は、穿孔ピン500A(本体部501)の軸線から、刃頂部504側に所定量オフセットした場所に位置している。
【0045】
以上のように、第4の実施形態では、刃頂部504側の曲線を構成する第2円弧520を有する第2円の中心524が、穿孔ピン500Aの軸線からオフセットされている。第4の実施形態によれば、第2円弧520の曲率が大きくなるため、刃頂部502を更に鋭利にすることができ、刃頂部504が用紙に食い込む際に発生する負荷を更に低減することができる。これにより、駆動モータ152を小型化(小型の駆動モータを採用)することができ、穿孔装置110の小型化、消費電流の低減、低騒音化、及びコストの削減などを図ることもできる。
【0046】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、刃谷部及び刃頂部を、せん断角を鈍くする方向に直線的に切り欠いた場合を例について説明する。なお、以下では、第1の実施形態との相違点である穿孔ピンの形状についての説明を行い、その他の説明は省略する。
【0047】
図14は、第5の実施形態の穿孔ピン600Aの刃先部606の拡大図である。図14に示すように、刃谷部602、刃頂部604は、それぞれ、第1円弧610、第2円弧620によって形成されるせん断角を鈍くする方向に直線的に切り欠かかれている。そして、刃谷部602と刃頂部604とを結ぶ刃先線608は、刃谷部602のせん断角を鈍くする方向に切り欠いた直線、第1円弧610、第2円弧620、及び刃頂部604のせん断角を鈍くする方向に切り欠いた直線を組み合わせた曲線となっている。
【0048】
以上のように、第5の実施形態では、刃谷部602及び刃頂部604がせん断角を鈍くする方向に直線的に切り欠かれているため、刃頂部604が用紙に食い込む際及び刃谷部602が用紙を切り抜く際に発生する負荷に対する刃先部606の耐久性を向上させ、刃こぼれを防止することができる。なお本実施形態では、刃谷部602及び刃頂部604の両方を切り欠く場合を例に取り説明したが、刃谷部602及び刃頂部604の少なくとも一方を切り欠くようにしてもよい。
【0049】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、図15に示すように、丁合処理及び綴じ処理などを行う第2用紙処理装置103が上記各実施形態の穿孔装置110を備えるようにしてもよいし、図16に示すように、原稿に印刷されている画像を用紙に複写する複写装置101が上記各実施形態の穿孔装置110を備えるようにしてもよいし、図17に示すように、複写装置101が上記実施形態の穿孔装置110を備えた第2用紙処理装置103を備えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
100 複写システム
101 複写装置
102 第1用紙処理装置
103 第2用紙処理装置
104 用紙トレイ
110 穿孔装置
120 ガイド機構
122 上ガイドフレーム
124 下ガイドフレーム
126 ダイフレーム
122A、122B、124A、124B、126A、126B ダイ穴
128 右側板
130 左側板
140 穿孔機構
142 スライドアーム
143 溝
144A、144B 支持ピン
146A、146B リンク
150 駆動機構
152 駆動モータ
154 駆動モータギヤ
156 減速ギヤ列
158A、158B 駆動ギヤ
159 凸部
160 センサーフィラー
162 ホームポジションセンサ
164 パルスカウントセンサ
200A、200B、300A、400A、500A、600A 穿孔ピン
201、501 本体部
202、302、402、502、602 刃谷部
204、304、404、504、604 刃頂部
206、606 刃先部
208、308、408、508、608 刃先線
210、310、410、510、610 第1円弧
212、312 第1円
220、320、420、520、620 第2円弧
222、322 第2円
214、224、524 中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を穿孔する穿孔ピンであって、
前記用紙に食い込む刃頂部と前記用紙を切り抜く刃谷部とを交互に有する刃先部が一端に形成された円筒形状の本体部を有し、
前記刃谷部と前記刃頂部とを結ぶ刃先線は、第1円弧と第2円弧とを組み合わせた曲線であり、
前記刃谷部側の曲線を構成する前記第1円弧を有する第1円の中心は、前記刃先線をはさんで、前記刃頂部側の曲線を構成する前記第2円弧を有する第2円の中心と対向して位置するとともに、前記第2円の中心よりも前記本体部の他端側に位置することを特徴とする穿孔ピン。
【請求項2】
前記第1円及び前記第2円の少なくとも一方は、円周の位置に応じて曲率が異なる円であることを特徴とする請求項1に記載の穿孔ピン。
【請求項3】
前記第1円弧の曲率半径は、前記第2円弧の曲率半径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の穿孔ピン。
【請求項4】
前記第2円の中心は、前記本体部の軸線から所定量オフセットした場所に位置することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の穿孔ピン。
【請求項5】
前記刃谷部及び前記刃頂部の少なくとも一方は、せん断角を鈍くする方向に直線的に切り欠かれていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の穿孔ピン。
【請求項6】
前記本体部が非金属である事を特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の穿孔ピン。
【請求項7】
前記刃先部に皮膜処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の穿孔ピン。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の穿孔ピンを有する穿孔機構と、
前記穿孔機構を駆動させる動力を生成する駆動源と、
前記動力を前記穿孔機構に伝達して、前記穿孔ピンをダイ穴に対して往復移動させる伝達手段と、
を備えることを特徴とする穿孔装置。
【請求項9】
請求項8に記載の穿孔装置を備える事を特徴とする用紙処理装置。
【請求項10】
請求項8に記載の穿孔装置、又は請求項9に記載の用紙処理装置を備える事を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−148040(P2011−148040A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11416(P2010−11416)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】