説明

穿孔装置及び穿孔用コアカッター

【課題】簡単な方法でしかも確実にマンホールと接続される下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を穿孔することが可能な穿孔装置及び穿孔用コアカッターを提供する。
【解決手段】穿孔装置のコアカッター2は、チップ21c〜24cが複数個円弧状に配置された4つのカッター部21〜24と、各カッター部を径方向に移動可能に支持する支持部40を有する。各カッター部を径方向に移動させて径を小さくできるので、コアカッターを分解せずにマンホールの入り口から搬入でき、マンホール内での穿孔装置の組み立てが容易になる。また、各カッター部は、各チップが穿孔すべき下水道管の外周縁のマンホール壁に相当する位置となったときに固定できるように支持されているので、下水道管の外周縁の径が大きい場合でも、各カッター部の径方向位置を調節することにより下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を確実に切削し穿孔することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホールと接続される下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を切削し穿孔する穿孔装置及び穿孔用コアカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震の発生によって公共の下水道施設は多大な被害を被っており、生活にも大きな影響を及ぼしてきた。その中でも、マンホールと管渠(下水道管)の接続部分が剛接合であるがゆえに、地震による振動によって、図16(a)に示すように、マンホール10と下水道管11の接合部分がずれてひび割れ11’や破損する被害が多発している。それらの対策として、マンホール10と下水道管11の接続部への耐震化を実施すべく、図16(b)に示すように、その接続部分に柔軟性を持たせた耐震構造11”を付与する工事が行われている。例えば、マンホールの内部から、既設のマンホールと下水道管との接続部の該下水道管の外周縁をコンクリートコアカッターで穿孔し、穿孔したその穿孔部へ弾性材料等を設置し、接続部分に可撓性を付与する方法が提供されている。
【0003】
コンクリートコアカッターでマンホール壁を切削するとき、下水道管の外径が大きいときには、下水道管の径に合わせた径の大きなコンクリートコアカッターは、マンホールの入り口から搬入できない場合が多い。そこで、このような場合には、コンクリートコアカッターを幾つかに分割して、分割したコンクリートコアカッターをマンホール入り口から搬入し、マンホール内部で組み立てて穿孔する方法(特許文献1)が提案されている。
【0004】
また、マンホールの入り口の内径よりも大きな径のマンホール壁面を穿孔する場合には、小さい穴を連続して円周上にあけて壁面を穿孔することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4046457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、小さい穴を連続して形成する方法では、小径の円を連続して円周上に形成するだけなので、一つの流麗な円に穿孔できないという問題がある。また、コンクリートコアカッターを幾つかに分割してマンホール内部で組み立てて穿孔する方法では、コンクリートコアカッターを幾つかに分割してマンホール内に搬入し、マンホール内部で分割した部品を組み上げるため、作業工程が多く狭い箇所では作業効率が悪いという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、簡単な方法でしかも確実にマンホールと接続される下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を切削し穿孔することが可能な穿孔装置及び穿孔用コアカッターを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(請求項1)は、
マンホールと接続される下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を切削し穿孔する穿孔装置であって、
チップが複数個円弧状に配列されたカッター部を円弧方向に複数配置してなるコアカッターと、
前記コアカッターの各カッター部を円弧に沿って回転させる駆動手段と、
前記コアカッターの回転軸が下水道管の管軸線と一致するように、前記コアカッターと駆動手段を支持する支持装置と、を有し、
前記各カッター部は、各チップが穿孔すべき下水道管の外周縁のマンホール壁に相当する位置となったときに固定できるように、径方向に移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明(請求項7)は、
マンホールと接続される下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を切削し穿孔するための穿孔用コアカッターであって、
チップが複数個円弧状に配列された複数のカッター部と、
前記複数のカッター部を円弧方向に所定角度ずらして支持するとともに、各カッター部を径方向に移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記支持部は、前記各カッター部の各チップが穿孔すべき下水道管の外周縁のマンホール壁に相当する位置となったときに固定できるように、各カッター部を支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、マンホール内で穿孔作業を行う場合、コアカッターを構成する各カッター部を径方向に移動させて径を小さくできるので、コアカッターを分解せずにマンホールの入り口から搬入でき、マンホール内での穿孔装置の組み立てが容易になる。また、各カッター部は、各チップが穿孔すべき下水道管の外周縁のマンホール壁面に相当する位置となったときに固定できるように支持されるので、下水道管の外周縁の径が大きい場合でも、各カッター部の径方向位置を調節することにより下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を確実に穿孔することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】マンホール内に設置された穿孔装置の斜視図である。
【図2】カッター部を径方向に内側に移動させたときのコアカッターの正面図である。
【図3】カッター部を径方向に内側に移動させたときのコアカッターの斜視図である。
【図4】カッター部を径方向に外側に最大に移動させたときのコアカッターの正面図である。
【図5】カッター部を径方向に外側に最大に移動させたときのコアカッターの斜視図である。
【図6】カッター部を径方向に外側に最大に移動させたときで一部カッター部を取り外して示したコアカッターの斜視図である。
【図7】コアカッターのカッター部の裏側を示す斜視図である。
【図8】カッター部を径方向に移動可能に支持する支持部の斜視図である。
【図9】カッター部の径方向の移動を示す図4のC−C線に沿った断面図である。
【図10】ゴムリングの一部を示す斜視図である。
【図11】(a)は締付けステンレスバンドの斜視図、(b)は拡張ステンレスバンドの斜視図である。
【図12】(a)マンホールと下水道管との接続部分に耐震部材を設置したときの要部断面図、(b)はその一部拡大図である。
【図13】穿孔装置をマンホール内に設置したときの配置図である。
【図14】マンホール壁を穿孔したときの壁面を示す正面図である。
【図15】マンホールと下水道管との接続部分を穿孔した後に下水道管外周縁を露出させた状態を示す一部破断斜視図である。
【図16】(a)耐震構造にする前のマンホールの概略斜視図、(b)は耐震構造にしたマンホールの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、先端に複数のチップを配列したコアカッターを用いて、コンクリート構造物の切削ないし穿孔を行うもので、以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。以下の説明では、マンホール壁をコンクリート構造物の例にして説明するが、本発明は、マンホール壁だけに限定されるものでなく、トンネルなど他のコンクリート構造物の切削、穿孔にも適用できるものである。
【実施例】
【0013】
図1は、円筒状のコンクリートコアカッター(以下、単にコアカッターという)2を備えた穿孔装置1の概略構成を示しており、穿孔装置1は、後述するように、各部が分解されてマンホール10内に搬入されて組み立てられる。
【0014】
マンホール10は、図1、図13に示すように、円筒状のコンクリート製の躯体10cとこれに一体となったコンクリート製の円錐部10bからなり、円錐部10bの上部は円形の開口部となってマンホール10の入り口10aを形成している。マンホール10の下方部には、コンクリート管、プラスチック管、陶管等からなる下水道管11が接続している。
【0015】
尚、マンホール10の底部には、下水がスムーズに流下するためのインバートが設置されているが、本実施例では、インバートは図示が省略されている。インバートが設けられている場合には、マンホール壁を切削できるように、インバートの一部を取り除き、切削作業を行うようにする。
【0016】
穿孔装置1は、コアカッター2、コアカッター2を円筒軸(コア軸)を中心に回転させる駆動手段としてのモーター3、コアカッター2、モーター3などを支持する支持装置4によって構成されており、コアカッター2、モーター3、支持装置4に分解することができる。また、支持装置4は、下枠4a、下枠4aに固定される4本の支柱4b、支柱4bの上部に固定される上枠4c、中枠4d、コアカッター2、モーター3を支持する支持ブロック4e、支持ブロック4eを前後に移動可能に支持する支持ビーム4f、支持ビーム4fを支持する中枠4dの上下方向の位置を調節する調節部4gなどからなる支持枠組みとして構成される。支持装置4の各構成部材4a〜4gは、それぞれマンホール10の入り口10aからマンホール10内に搬入できる程度に分解可能になっている。
【0017】
穿孔装置1は、各構成部材4a〜4gをマンホール10の入り口10aからマンホール10内に搬入し、以下のようにしてマンホール内で組み立てられる。
【0018】
下枠4aをマンホール10の底部上に設置し、コアカッター2とモーター3を支持ブロック4eで支持し、支持ブロック4eを支持ビーム4fで支持する。続いて、下枠4aに4本の支柱4bを固定し、その上に上枠4cを固定する。中枠4dを調節部4gを介して上枠4cに取り付け、支持ビーム4fを上枠4cに取り付ける。
【0019】
下枠4a、支柱4b、上枠4c、中枠4dは、支持ビーム4fがマンホール10の円中心を通り下水道管11の延びる方向に向くようにマンホール10内で組み立てられ固定される。また、コアカッター2はその回転軸が支持ビーム4fの方向と一致して取り付けられる。従って、コアカッターの回転軸は下水道管11の管軸線Lと左右方向に一致させることができる。また、調節部4gにより支持ビーム4fの上下方向の位置を調節することにより、コアカッター2の回転軸を下水道管11の管軸線Lと上下方向に一致させることができる。従って、コアカッター2とモーター3は、コアカッター2の回転軸が下水道管の管軸線Lと一致するように、支持装置4により支持される。また、コアカッター2とモーター3の前後方向の位置は、コアカッター2とモーター3を支持する支持ブロック4eを支持ビーム4fに沿って前後に移動させることにより調整することができる。
【0020】
コアカッター2は、後述するように、モーター3により駆動されて回転され、またコアカッター2には、不図示の手段により、下水道管の延びる方向(管長方向)に圧力がかかっており、後述するコアカッターのチップはマンホール壁面に圧接し、コアカッターの回転に従ってマンホール壁を切削し、それを穿孔できるように構成される。
【0021】
なお、支持装置4は、マンホール内に搬入できて、モーター3とコアカッター2を、コアカッター2の回転軸と下水道管の管軸線と一致させるように、また下水道管の管軸線に沿って前後方向に移動できるように、支持できる支持装置であれば、上述した構成に限定されるものではない。
【0022】
ここで、コアカッター2についてより詳細に説明する。なお、以下の説明で、径方向とは、コアカッター2を、下水道管の外周縁のマンホール壁を穿孔できる位置に設置したとき、下水道管の円の径方向、つまりコアカッターの円筒の径方向を、また軸方向とは下水道管が延びる方向、つまり円筒軸方向をいう。
【0023】
図2〜図8には、コアカッター2の構成が示されている。コアカッター2は、一方が開口した円筒状をしており、4つの金属製の円弧状カッター部21〜24と、各カッター部21〜24を径方向に移動可能に支持する金属製の円形の支持部40で構成される。図2、図3は各カッター部21〜24を径方向に移動させて最も近づけたときのコアカッターを、また図4〜図7は、最も遠ざけたときのコアカッターを示している。
【0024】
カッター部21は、円弧状に屈曲した屈曲部21aと、屈曲部21aと一体で屈曲部21aの屈曲面と直交する扇状の平坦な底部21bを有し、底部21bの両側端部21f、21gは直線状に延びて90度の角度で交差し(図4)、屈曲部21aの両側部21d、21eと直角に交差する。屈曲部21aの先端部には、ダイヤモンドチップなどで構成された複数のチップ21cが円弧状に等間隔で配置される。また、底部21bには、図7に示すように、両側面31a、31bに段差がついて凹凸面となった矩形のガイド板31がボルト8とネジ穴7によるネジ結合で固定されている。ガイド板31には、後述するように、ガイド板と支持部に設けられたストッパーと当接したとき、ネジ止めされるときのネジ穴31dが径方向端面31cに形成されている。
【0025】
カッター部22〜24はそれぞれカッター部21と同様の形状、構造であり、屈曲部22a〜24a、底部22b〜24b、両側端部22d〜24d、22e〜24e、22f〜24f、22g〜24g、複数のチップ22c〜24cは、それぞれカッター部21の屈曲部21a、底部21b、両側端部21d、21e、21f、21g、チップ21cに対応している。また、底部22b〜24bに固定されるガイド板32〜34も、ガイド板31と同様の形状、構造であり、それぞれ両側面32a〜34a、32b〜34bには段差がついて凹凸面となっていて、他の端面32c〜34cに32d(図7では他の端面33c、34cのネジ穴は不可視)が形成される。
【0026】
支持部40の支持面には、図8に示したように、ガイドレール41〜48が裏側からボルト(不図示)をネジ穴9にネジ込むことにより固定され、ガイドレール41、42;43、44;45、46;47、48はそれぞれ直交してL字状のガイドレールとなっている。
【0027】
ガイドレール41〜48のそれぞれ対向する側面41a〜48aは、対応するガイド板の凹凸面と凹凸嵌合する凹凸面となっている。ガイドレール41、44の側面41a、44aは同じ面S1にあり、ガイドレール45、48の側面45a、48aは同じ面S2にあって、面S1とS2の間隔はSである。また、ガイドレール42、47の側面42a、47aは同じ面S3にあり、ガイドレール43、46の側面43a、46aは同じ面S4にあって、面S3とS4の間隔も同様にSである。また、支持部40の円中心40aから各面S1〜S4に下した垂線の長さは同じ長さdとなっている。
【0028】
また、支持部40の円中心40aからそれぞれ距離d1の位置に、ガイド板31〜34のネジ穴が設けられた端面31c〜34cと面当接するストッパー51〜54が裏側からボルト(不図示)をネジ穴6にネジ込むことにより固定されている。
【0029】
ガイド板31の両側面31a、31bはガイドレール41、48の対向する側面41a、48aとそれぞれ凹凸嵌合し、カッター部21が支持部40の円中心40aから径方向に移動するのをガイドする。このガイド部21の径方向に沿った外周側への移動は、ガイド板31がストッパー51に当接することにより防止される。ガイド板31がストッパー51に当接したとき、ストッパー51に挿通されるボルト51aをガイド板31のネジ穴31dにねじ込むことにより、カッター部21をこの当接位置に固定することができる(図9(b))。
【0030】
同様に、ガイド板32の両側面32a、32bはガイドレール43、42の対向する側面43a、42aとそれぞれ凹凸嵌合し、ガイド板33の両側面33a、33bはガイドレール45、44の対向する側面45a、44aとそれぞれ凹凸嵌合し、またガイド板34の両側面34a、34bはガイドレール47、46の対向する側面47a、47aとそれぞれ凹凸嵌合し、それぞれカッター部22〜24が支持部40の円中心40aから径方向に移動するのをガイドする。ガイド板32〜34が対応するストッパー52〜54に当接したとき、ストッパー52〜54に挿通されるボルト52a〜54aをガイド板32〜34のネジ穴にねじ込むことにより、カッター部22〜24をこの当接位置に固定することができる。
【0031】
チップが複数個円弧状に配列されたカッター部21〜24は円弧方向に90度の角度間隔で配置され、円筒状のコアカッター2が構成される。
【0032】
なお、各カッター部21〜24が当接位置で支持部40に固定されたとき、各カッター部21〜24の屈曲部21a〜24aの円弧の曲率中心はそれぞれ支持部40の円中心40aにあり、各カッター部21〜24のチップ21c〜24cの配列は、図4に示したように円形になり、その径Bは切削すべき下水道管11の外周縁の径に相当するようになっている。
【0033】
また、コアカッター2はその支持部40がその円中心40aを中心にして回転するようにモーター3に取り付けられる。それにより、コアカッター2の各カッター部21〜24は支持部40の円中心40aを通過して支持部40の面に直交する軸(コアカッターの円筒軸)を中心に円弧に沿って回転することができる。
【0034】
このような構成で、マンホール10の入り口10aからコアカッター2を搬入するときは、各カッター部21〜24を、手により径方向に内側に押し込む。各カッター部21〜24は、図2、図3に示したように、各カッター部の湾曲部と底部の両端部が互いに当接する位置まで径方向に移動し、コアカッター2の径が小さくなるので(図2、図4でAで図示)、コアカッター2のマンホール10への搬入が容易になる。
【0035】
コアカッター2をマンホール10内に搬入した後、各カッター部21〜24を、そのガイド板31〜34が対応するストッパー51〜54に当接するまで径方向に外側に移動させる。ガイド板31〜34がストッパー51〜54に当接したとき、各カッター部21〜24を支持部40に固定する。このときコアカッター2は、図4に示した状態となる。ガイド部21の径方向の移動並びにその支持部40への固定が、図9(a)、(b)に図示されている。
【0036】
上述したように、コアカッター2、モーター3を支持装置4に取り付ける。そして、コアカッター2の回転軸(支持部40の円中心40aを通過し支持部40の面に直交する軸)が下水道管の管軸線Lと一致するようにする。
【0037】
コアカッター2の各チップ21c〜24cは、下水道管の外周縁のマンホール壁に相当する位置に配列される状態(図4、図5)となっているので、コアカッター2のチップを該マンホール壁に押し当て、各カッター部21〜24を回転させると、各チップ21c〜24cはマンホール壁を下水道管11の外周縁に沿って切削する。コアカッター2は下水道管11が延びる方向に付勢されているので、各チップ21c〜24cはマンホール壁を貫通するまで、マンホール壁を切削することができる。
【0038】
図14(a)には、コアカッター2によって切削され、貫通した部分10dが図示されている。貫通部分10dは、コアカッター2の各チップ21c〜24cの回転したときの軌跡に相当している。下水道管11の外周には、まだマンホール壁10eが固着しているので、この部分をハンマーなどで打ち砕いて除去すると、図14(b)に示したように、下水道管11の外周にリング状の穴10fが形成される。
【0039】
なお、図14(a)、(b)において、貫通部分10d、下水道管11などは円形として描かれているが、実際にはマンホール壁面は湾曲しているので、いびつな円形となる。
【0040】
このように、マンホール10と下水道管11との接続部分に形成されたリング状の壁穴10fに耐震部材としてのゴムリングをはめ込み、該接続部分を耐震構造にする。
【0041】
図10には、断面を示すために、約半分に切断したゴムリング12が示されている。ゴムリング12は、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)を材料として成形した断面が横U字形状の環状部材であり、ゴムリング12の外周側内面と内周側内面には、全円周にわたって溝12a、12bが形成されている。ゴムリング12の外周側の溝12aには、図11(b)に示した拡張ステンレスバンド13が、また内周側の溝12bには、図11(a)に示した締付けステンレスバンド14が嵌め込まれる。
【0042】
締付けステンレスバンド14は、図11(a)に示すように、調整具14aによりバンド径を調整することができ、また拡張ステンレスバンド13は、図11(b)に示すように、複数(3つ)の部分バンド13aを調整具13bで連結したもので、調整具13bによりバンド径を調整することができる。
【0043】
好ましくは、拡張ステンレスバンド13と締付けステンレスバンド14が溝12a、12b内で滑らかに摺動し均一に拡張するように、各溝12a、12bにガイドバンド(不図示)を嵌め込みシリコンオイルを塗布しておく。
【0044】
図15に示すように、マンホール10の壁穴10fの内周と下水道管11の外周に、ほぼ全体に渡ってエポキシシール材15を厚みにして1〜2mm程度塗布する。
【0045】
次に、図12に示したように、拡張ステンレスバンド13と締付けステンレスバンド14が嵌め込まれたゴムリング12を、U字の開放部分がマンホール内に向くように、壁穴10fに嵌め込む。そして、拡張ステンレスバンド13を拡径し、締付けステンレスバンド14を縮径して、ゴムバンド12をマンホールの壁穴10fの内周と、下水道管11の外周に押し付ける。このとき、エポキシシール材15がにじみ出てゴムリング12が確実に壁穴10fに固着されその部分がシールされる。
【0046】
続いて、モルタル16をゴムリング12の凹部12cに注入し、マンホール10とゴムリング12との表面をモルタルで仕上げる。
【0047】
このようにして、マンホール10と下水道管11との接続部分は、耐震部材(ゴムリング)により柔構造となるため、地震が発生しても、その部分にひび割れや破損が発生することが少なくなり、マンホール10と下水道管11が接続された箇所に土砂や地下水が流入するのを防ぐことができる。
【0048】
上述した実施例では、カッター部は4つで構成されたが、カッター部の数を3つや5つあるいはそれ以上で構成してもよい。いずれにしても、各カッター部には、チップが複数個円弧状に配列されており、各カッター部は円弧方向に互いに重ならないように所定角度ずらして配置されコアカッターを形成する。また、各カッター部は、径方向に移動可能に支持されており、各カッター部の各チップが穿孔すべき下水道管の外周縁のマンホール壁面に相当する位置となったときに固定される。
【0049】
また、コアカッターは全体の形状が円筒状となっているが、各カッター部のチップと反対側部分の径を小さくすることにより円錐形状のコアカッターとすることもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 穿孔装置
2 コアカッター
3 モーター
4 支持装置
10 マンホール
11 下水道管
12 ゴムリング
13 拡張ステンレスバンド
14 締付けステンレスバンド
15 エポキシシール材
16 モルタル
21〜24 カッター部
21c〜24c チップ
31〜34 ガイド板
40 支持部
41〜48 ガイドレール
51〜54 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールと接続される下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を切削し穿孔する穿孔装置であって、
チップが複数個円弧状に配列されたカッター部を円弧方向に複数配置してなるコアカッターと、
前記コアカッターの各カッター部を円弧に沿って回転させる駆動手段と、
前記コアカッターの回転軸が下水道管の管軸線と一致するように、前記コアカッターと駆動手段を支持する支持装置と、を有し、
前記各カッター部は、各チップが穿孔すべき下水道管の外周縁のマンホール壁に相当する位置となったときに固定できるように、径方向に移動可能に支持されていることを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記コアカッターには、各カッター部が径方向に外周側に移動するのを防止するストッパーが設けられ、各カッター部はストッパーに当接したときに固定されることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記各カッター部が固定されたとき、各チップ配列が円形となることを特徴とする請求項1又は2に記載の穿孔装置。
【請求項4】
前記コアカッターには、各カッター部を径方向に移動させるためのガイド部が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の穿孔装置。
【請求項5】
前記カッター部は、マンホール入り口から搬入できるように、径方向に内側に向けて移動されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の穿孔装置。
【請求項6】
前記カッター部が4個設けられ、各カッター部の円弧が4分の1円弧であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の穿孔装置。
【請求項7】
マンホールと接続される下水道管の外周縁に位置するマンホール壁を切削し穿孔するための穿孔用コアカッターであって、
チップが複数個円弧状に配列された複数のカッター部と、
前記複数のカッター部を円弧方向に所定角度ずらして支持するとともに、各カッター部を径方向に移動可能に支持する支持部と、を有し、
前記支持部は、前記各カッター部の各チップが穿孔すべき下水道管の外周縁のマンホール壁に相当する位置となったときに固定できるように、各カッター部を支持することを特徴とする穿孔用コアカッター。
【請求項8】
前記支持部にカッター部が径方向に外周側に移動するのを防止するストッパーが設けられ、各カッター部はストッパーに当接したときに支持部に固定されることを特徴とする請求項7に記載の穿孔用コアカッター。
【請求項9】
前記各カッター部が固定されたとき、各チップ配列が円形となることを特徴とする請求項7又は8に記載の穿孔用コアカッター。
【請求項10】
前記支持部は、各カッター部を径方向に移動させるためのガイド部を有することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の穿孔用コアカッター。
【請求項11】
前記カッター部は、マンホール入り口から搬入できるように、径方向に内側に向けて移動されることを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の穿孔用コアカッター。
【請求項12】
4個のカッター部が設けられ、各カッター部の円弧が4分の1円弧であることを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の穿孔用コアカッター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−168982(P2011−168982A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31911(P2010−31911)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(592057385)株式会社湘南合成樹脂製作所 (61)
【Fターム(参考)】