説明

穿孔防錆装置及びその防錆方法

【課題】流体管に形成された穿孔を、確実に防錆することができる穿孔防錆装置及びその防錆方法を提供すること。
【解決手段】流体管1を切削することで流体管1に穿孔Qを形成した後に、穿孔Qに連通し流体管1の外周を密封状に被覆するケース2に水密に接続される弁蓋3内から穿孔Qに向けて挿入され、流体管1の流路を遮断若しくは開放可能な弁体60を挿入し、その後、弁体60を穿孔Qから取り去って穿孔Qを防錆するためのコア82を穿孔Qに嵌設させる穿孔防錆装置及びその防錆方法であって、穿孔Qを形成したことで生じた流体管1の切片1bの外周面に、穿孔Qの内周面を防錆するための防錆部材84を取り付けてコア82を構成し、コア82を穿孔Qに嵌設させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管を切削することで流体管に穿孔を形成した後に、穿孔に連通し流体管の外周を密封状に被覆するケースに水密に接続される弁蓋内から穿孔に向けて挿入され、流体管の流路を遮断若しくは開放可能な弁体を挿入し、その後、弁体を穿孔から取り去って穿孔を防錆するためのコアを穿孔に嵌設させる穿孔防錆装置及びその防錆方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の穿孔防錆装置及びその防錆方法は、穿孔手段により鋳鉄管(流体管)に穿孔した円孔(穿孔)に防食スリーブ(コア)を内嵌させるとともに、防食スリーブ内に嵌入させた押し棒で防食スリーブの先端を押し曲げることで、防食スリーブを円孔内に固定し、円孔の防食(防錆)を維持しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−332583号公報(第4頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の穿孔防錆装置及びその防錆方法にあっては、円孔(穿孔)に内嵌させる防食スリーブ(コア)のサイズを円孔のサイズと合致させるべく予め設計・製作する必要があるばかりか、穿孔手段により実際に穿孔した円孔(穿孔)の孔径に誤差が生じた場合、予め製作した防食スリーブ(コア)が実際の円孔(穿孔)に正確に合致せず確実に防錆できない虞が生じるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、流体管に形成された穿孔を、確実に防錆することができる穿孔防錆装置及びその防錆方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の穿孔防錆方法は、
流体管を切削することで該流体管に穿孔を形成した後に、前記穿孔に連通し前記流体管の外周を密封状に被覆するケースに水密に接続される弁蓋内から前記穿孔に向けて挿入され、前記流体管の流路を遮断若しくは開放可能な弁体を挿入し、その後、該弁体を前記穿孔から取り去って該穿孔を防錆するためのコアを前記穿孔に嵌設させる穿孔防錆方法であって、
該穿孔を形成したことで生じた前記流体管の切片の外周面に、前記穿孔の内周面を防錆するための防錆部材を取り付けて前記コアを構成し、該コアを前記穿孔に嵌設させることを特徴としている。
この特徴によれば、穿孔を形成したことで生じた流体管の切片をコアとして再利用することで、コアの形状を確実に穿孔に嵌設可能な形状に形成して穿孔の防錆を行うことができるとともに、穿孔の防錆にかかるコアの設計・製作コストを低く抑えることができる。また、弁体によって流体管の流路を遮断することで、流体管における弁体よりも下流側で分岐管の取り付け等の施工を行っている間に、施工終了後に穿孔を防錆するためのコアの作成を同時並行して行うことができるので、この施工時間を短縮することができる。
【0007】
本発明の穿孔防錆装置は、
流体管を切削することで該流体管に穿孔を形成する穿孔装置と、前記穿孔に連通し前記流体管の外周を密封状に被覆するケースと、該ケースに水密に接続される弁蓋と、該弁蓋内から前記穿孔に向けて挿入され、前記流体管の流路を遮断若しくは開放可能な弁体と、前記穿孔を防錆するためのコアと、を備える穿孔防錆装置であって、
前記コアは、前記穿孔装置によって該穿孔を形成したことで生じた前記流体管の切片の外周面に、前記穿孔の内周面を防錆するための防錆部材を取り付けて構成されることを特徴としている。
この特徴によれば、穿孔装置が穿孔を形成したことで生じた流体管の切片をコアとして使用することで、コアの形状と穿孔の形状との不一致を防止し、穿孔にコアを嵌設させることで防錆部材による穿孔の防錆を確実に行うことができる。
【0008】
本発明の穿孔防錆装置は、
前記コアは、前記弁体を用いて前記穿孔に嵌設されることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体を穿孔に向けて移動させるのみでコアを穿孔に嵌設させることができるので、容易に穿孔の防錆を行うことができる。
【0009】
本発明の穿孔防錆装置は、
前記コアを保持し、前記ケースの外方から操作することで前記弁体と前記穿孔との間に前記コアを配置するコア配置装置を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、コア配置装置をケースの外方から操作することで、不断水状態でもコアを穿孔に嵌設させ、穿孔の防錆を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例におけるコアを嵌設する流体管を穿設している状態を示す一部断面の正面図である。
【図2】分岐管への弁蓋の取り付けを示す一部断面の正面図である。
【図3】弁蓋を分岐管に配置した状態を示す一部断面の側面図である。
【図4】コアの構成を示す正面断面図である。
【図5】(a)は、コア配置装置を示す平面図であり、(b)は、コア配置装置を示す側面図であり、(c)は、ボルト・ナットを取り付けた状態のコア配置装置を示す側面図である。
【図6】流体管の流路を遮断した状態を示す一部断面の正面図である。
【図7】コアを弁体と流体管との間に配置した状態を示す一部断面の正面図である。
【図8】コアを穿孔に嵌設させた状態を示す一部断面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る穿孔防錆装置及びその防錆方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0012】
実施例に係る穿孔防錆装置及びその防錆方法につき、図1から図8を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施例の流体管1は、断面視略円形状に形成された金属製管から成り、内周面がモルタル層で被覆されている。この流体管1は、例えば、所定箇所に分岐管等を取り付けるために、該分岐管の施工箇所よりも上流側に後述する弁体60を取り付け、弁体60によって流体管1の流路を遮断することで流体管1を断水し、前記分岐管の流体管1への取り付けを行い易くするようになっている。
【0014】
尚、流体管1の内周面はモルタル層に限らず、例えばエポキシ樹脂等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、本実施例では流体管1内の流体は上水であるが、流体管の内部を流れる流体は必ずしも上水に限らず、例えば工業用水であってもよいし、また気体や気液混合状態の流体が流れる流体管であっても構わない。
【0015】
流体管1の外周面に固定に取り付けられるケース2は、いわゆる割T字管であって、流体管1の管軸と略直交する上下方向の内空部を備えた分岐管12及び流体管1の外周の下側を被覆するカバー11と、からなる。
【0016】
分岐管12の上下方向の略中央部には、外側方に向けて延設され、分岐管12内と分岐管12の外方とを連通させる連通部12bが形成されており、この連通部12bの端部は、後述するコア配置装置80のベース蓋81によって水密に閉塞されている。
【0017】
図1に示すように、先ず分岐管12とカバー11とを、流体管1を挟む位置で対向させ、流体管1の長手方向に沿って配置された複数のボルト・ナット13により締結する。ここで、後述する穿設により流体管1内からの溢水が生じないよう、穿孔Qの外周に沿ったゴムリング22が、分岐管12の内面と流体管1の外面との間に介設されている。そして、流体管1にカバー11、分岐管12を取り付けた後に、分岐管12内に水圧を加えることで、流体管1の外面と分岐管12の内面との間隙の水密性を適宜確認してもよい。
【0018】
次に、分岐管12の上フランジ12aに、内部に作業弁36を配設した筐体35を水密に接続し、更に、筐体35の上端部に穿孔装置50の図示しない上端部を水密に接続する。
【0019】
穿孔装置50は、図示しない駆動手段に接続され分岐管12内を流体管1に向け軸方向に伸出するとともに軸周りに回転する軸部材51と、軸部材51の先端に固設され流体管1を穿設する穿孔刃52aを備えたホールソー状のカッタ部材52と、52の回動中心に軸部材51と同一軸心上となるように配置されたドリル53と、から主として構成されている。そして、ドリル53によって流体管1の外面に貫通孔1a(図4参照)を形成することでカッタ部材52の回動中心を固定するとともに、カッタ部材52を流体管1の外面にアプローチして外壁を穿孔し、流体管1の管壁に穿孔Qを穿設する。このとき、カッタ部材52内には、穿孔Qを穿設したことで生じた流体管1の切片1bが、ドリル53によって保持されている。
【0020】
穿孔装置50による穿孔Qの穿設後は、図2に示すように、ドリル53によって切片1bを保持した状態の穿孔装置50を上方に引き上げて筐体35内に配置させた後、作業弁36を操作して分岐管12の止水を行う。そして、穿孔装置50を筐体35の上端部から取り外すとともに、筐体35の上端部に外カバー70を水密に接続する。この外カバー70は、側方に向けて一対の開口71,71を備えており、これら開口71,71は、蓋体72,72及びボルト・ナット73によって水密に閉塞されている。
【0021】
外カバー70の図示しない上端部からは、図示しないアームが上下動可能に取り付けられている。尚、該アームの下端部には、予め穿孔Qを介して流体管1の流路を遮断若しくは開放するための弁体60が内部に配設された弁蓋3が中間部材75を介して接続されており、前記アームを外カバー70の前記上端部に取り付ける際に弁蓋3が外カバー70内に配置される。尚、前記アームと外カバー70の前記上端部との間は、図示しないゴム体によって水密に保持されている。更に尚、中間部材75は筒状に形成されており、内部に後述する回転操作部4aが挿通配置されている。
【0022】
外カバー70を筐体35の上端部に水密に接続した後は、分岐管12と外カバー70とを開閉弁を有する図示しないホースやバイパス管等の連通部材によって接続する。そして、外カバー70の上端部に設けられた図示しない空気弁を開放するとともに、作業弁36を操作して分岐管12を開放することで、外カバー70内及び分岐管12内を流体管1内を流れていた上水で満たす。
【0023】
外カバー70内及び分岐管12内が上水で満たされた後は、前記空気弁を閉塞し、前記開閉弁を開放して分岐管12と外カバー70とを連通させ、弁蓋3を外カバー70に予め取り付けた押圧手段(図示略)により不断水状態で押圧することで、分岐管12の上フランジ12aに弁蓋3を密封状に組付ける。
【0024】
このとき、分岐管12内と外カバー70内とは、流体管1内を流れる上水で満たされて同一の水圧となるので、弁蓋3を上フランジ12aに組み付ける際に流体管1内を流れる上水から弁蓋3が受ける抗力を小さく抑えることができる。
【0025】
弁蓋3を上フランジ12aに組み付けた後は、図3に示すように、前記連通部材の開閉弁を閉塞するとともに、固定ボルト16にて弁蓋3を固定した後、蓋体72,72を取り外し、開口71,71を介して弁蓋3から中間部材75を取り外す。そして、上フランジ12a上から筐体35及び外カバー70を取り外し、回転操作部4aにハンドル76を取り付ける。
【0026】
弁蓋3は、分岐管12の内径より小径の外径を有しており、弁蓋3の下部の外周に沿って設けられたOリング19により、分岐管12の内周面に沿って水密に嵌挿されている。また弁蓋3を定置させるよう、弁蓋3の外周面に形成されたざぐり穴3fに固定ボルト16(図2及び図6参照)を螺挿することで弁蓋3の位置固定を行う。固定ボルト16は、弁蓋3に対して螺挿されることで、弁蓋3を上下方向に規制している。
【0027】
回転ネジ4は、弁蓋3の頂部に穿設された挿通孔32に回転自在に貫通して、上端部を弁蓋3の外部に突出して取り付けられている。押え板33は、弁蓋3の上端面にボルト34で固定され、回転ネジ4の抜出しを阻止する。上記構成により、回転ネジ4はケース2に対し正逆両方向に回転自在であるが上下動はしない。4bは、回転ネジ4の上端部を除いて略全長に亘ってその周面が螺設されたネジ部である。
【0028】
図3に示されるように、ネジこま63は、弁体60の上端部に形成されたガイド溝61に嵌合するとともに、ネジ部4bに螺合しており、回転ネジ4の上端部に形成された回転操作部4aの回転に応じネジ部4bが回転することで、ネジ部4bに沿って螺挿するネジこま63に追随して弁体60が上下動可能となる。
【0029】
図2及び図3に示すように、弁体60には、回転ネジ4のネジ部4bを挿入する挿入孔64が形成されている。また、弁体60における上下流側の外面に、上下方向に沿った張出部62、62が、弁蓋3若しくは分岐管12の内面に設けられた溝部3aに沿って摺接可能に上下方向に延設されている。このように構成された張出部62、62が溝部3aに当接することで、回転ネジ4の回転に伴う弁体60の回転を規制できるようになっている。
【0030】
このように弁体60が取り付けられた弁蓋3を、作業弁36が開放された後に前記外カバーに予め取り付けた前記押圧手段により分岐管12に向けて不断水状態で押圧することで、流体管1内を流れる上水から弁蓋3が受ける抗力を小さく抑えながら弁蓋3を分岐管12の上フランジ12aに密封状に組付け、固定ボルト16を弁蓋3に螺挿する。更に、前記連通部材の開閉弁を閉塞するとともに、上フランジ12a上から筐体35及び外カバー70を取り外す。最後に、リング状のフランジ9を弁蓋3に挿入し、ボルト・ナット14でフランジ9と分岐管12とを締結する。
【0031】
以後、弁体60は、図3に示すように、ハンドル76による回転操作部4aの回転によって下方に移動することで流体管1の内周面に弾性変形しながら水密に当接して流体管1の流路を遮断するとともに、ハンドル76による回転操作部4aの回転によって上方に移動することで流体管1の流路を開放するようになる。
【0032】
このように、流体管1の流路を弁体60で遮断することで流体管1の弁体60よりも下流側を断水させ、流体管1における弁体60よりも下流側で分岐管の取り付け等の施工が行い易くなっている。尚、流体管1の流路を弁体60で遮断した後、前記施工を行っている間に、図5に示すように、連通部12bからベース蓋81を取り外すことでコア配置装置80を取り出すとともに、このコア配置装置80に流体管1の切片1bを加工した、穿孔Qの内周面を防錆するためのコア82を保持させ、再びベース蓋81にて連通部12bを水密に閉塞することでコア82を連通部12b内に配置させる。
【0033】
より詳しくは、図4に示すように、コア82は、前述の切片1bと、この切片1bに嵌合するフレーム部材83から構成されている。フレーム部材83は、穿孔Qの内径と略同一の外径に形成されているとともに、外周面及び底面には、軟質且つ弾性を有する樹脂材によって構成された防錆部材84が全周に亘って接着剤等で取り付けられている。
【0034】
また、フレーム部材83の上部側には、切片1bの形状と略同一形状の嵌合溝83aが形成されている。更に、フレーム部材83の略中央部には、上下方向を向く連通孔83cが形成された円柱状の係止部83bが形成されており、切片1bが嵌合溝83aに嵌合されると同時にこの係止部83bが貫通孔1aに挿入されることで、切片1bのフレーム部材83からの脱落が防止されている。
【0035】
コア配置装置80は、図5(a)、図5(b)及び図5(c)に示すように、前述のベース蓋81と、ベース蓋81にケース2の左右幅方向に向けて水平に移動自在に挿通された前後一対の移動ロッド85,85と、両移動ロッド85,85の一端部が連結された連結板86と、両移動ロッド85,85の他端部に枢軸87,87によって垂直方向に揺動自在に枢支された回転アーム88,88と、から主に構成されている。尚、移動ロッド85,85はケース2の左右幅方向にスライド移動可能であるとともに、移動ロッド85,85とベース蓋81との間は、パッキンによって水密に保持されている。
【0036】
このうち、ベース蓋81の連結板86と対向する側の側面には、ボルト90bを螺挿可能な上下一対の係止片81a,81bが前後一対となって突設されている。また、上方側の係止片81a,81a間には、取付金具89を介してボルト90bがケース2の左右幅方向に向けて取り付け可能となっている。
【0037】
連結板86は、両係止片81a,81b間に配置可能な上下幅寸法及び前後幅寸法に形成されており、前後幅方向の略中央部には、上方に向けて開口するU字溝86aが形成されている。このU字溝86aには、ベース蓋81に取付金具89を介して取り付けられたボルト90bが配置されるようになっている。
【0038】
図2及び図6に示すように、移動ロッド85,85と回転アーム88,88とは、コイルバネ91によって接続されており、このコイルバネ91の付勢力によって回転アーム88,88を上方に向けて付勢している。また、移動ロッド85,85の他端部には、移動ロッド85,85の長手方向に長寸のスライド孔85aが形成されており、このスライド孔85a内に回転アーム88の一端部を枢支する枢軸87が配置されている。
【0039】
両移動ロッド85,85の他端部間には、枢軸92が設けられており、弁体60で流体管1の流路を遮断した後、ベース蓋81を連通部12bから取り外して枢軸92をフレーム部材83の係止部83bに挿通させることで、コア配置装置80でコア82を保持可能となっている。
【0040】
コア配置装置80にコア82を保持させた後は、再びベース蓋81を連通部12bに取り付けることで連通部12bを水密に閉塞するとともに、コア82を連通部12b内に配置する。そして、ベース蓋81に取付金具89を介してナット90aが螺着されているボルト90bを取り付ける。このとき、連結板86は、ナット90aとベース蓋81との間に配置される。
【0041】
この状態から、図7に示すように、ハンドル76による回転操作部4aの回転によって弁体60を上方に移動させることで、流体管1の流路を開放するとともに、ナット90aをベース蓋81に向けて螺挿していき、連結板86をベース蓋81に向けて押圧することでコア82を分岐管12内の弁体60と穿孔Qとの間に配置する。
【0042】
次に、図8に示すように、ハンドル76による回転操作部4aの回転によって弁体60を下方に移動させることで弁体60によってコア82を下方に向けて押圧し、防錆部材84を弾性変形させながらコア82を穿孔Qに嵌設させる。同時に、弾性変形した防錆部材84が穿孔Qの内周面に密着し防錆がなされる。
【0043】
尚、弁体60によるコア82の穿孔Qへの嵌設において、流体管1を流れる上水の水圧コア82にかかるが、上水の一部が連通孔83cからコア82の上方に逃がされることでコア82が受ける水圧が小さく抑えられるようになっている。
【0044】
更に尚、弁体60によるコア82の穿孔Qへの嵌設において、回転アーム88,88は、枢軸87をスライド孔85a内でスライド移動させながら下方に向けて回動するため、コア82の穿孔Qに向けての移動が円弧を描くことなくなされるようになっている。
【0045】
コア82による穿孔Qの防錆がなされた後は、図5(b)及び図8に示すように、各係止片81a,81bにボルト93,93を螺挿し連結板86をベース蓋81とボルト93,93との間に固定する(図5(b)参照)とともに、ボルト90bをベース蓋81から取り外し、一連の穿孔Qの防錆作業を完了する。
【0046】
以上、本実施例における穿孔防錆装置及びその防錆方法にあっては、穿孔Qを形成したことで生じた流体管1の切片1bの外周面に、穿孔Qの内周面を防錆するための防錆部材84を取り付けてコア82を構成し、コア82を穿孔Qに嵌設させることで、穿孔Qを形成したことで生じた流体管1の切片1bをコア82として再利用することで、コア82の形状を確実に穿孔Qに嵌設可能な形状に形成して穿孔Qの防錆を行うことができるとともに、穿孔Qの防錆にかかるコア82の設計・製作コストを低く抑えることができる。また、弁体60によって流体管1の流路を遮断することで、流体管1における弁体60よりも下流側で分岐管の取り付け等の施工を行っている間に、施工終了後に穿孔Qを防錆するためのコア82の作成を同時並行して行うことができるので、この施工時間を短縮することができる。
【0047】
また、コア82は、穿孔装置50によって穿孔Qを形成したことで生じた流体管1の切片1bの外周面に、穿孔Qの内周面を防錆するための防錆部材84を取り付けて構成されることで、穿孔装置50が穿孔Qを形成したことで生じた流体管1の切片1bをコア82として使用することで、コア82の形状と穿孔Qの形状との不一致を防止し、穿孔Qにコア82を嵌設させることで防錆部材84による穿孔Qの防錆を確実に行うことができる。
【0048】
また、コア82は、弁体60を用いて穿孔Qに嵌設されるので、弁体60を穿孔Qに向けて移動させるのみでコア82を穿孔に嵌設させることができるので、容易に穿孔Qの防錆を行うことができる。
【0049】
また、コアQを保持し、ケース2の外方から操作することで弁体60と穿孔Qとの間にコア82を配置するコア配置装置80を備えているので、コア配置装置80をケース2の外方から操作することで、不断水状態でもコア82を穿孔Qに嵌設させ、穿孔Qの防錆を行うことができる。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0051】
例えば、前記実施例では、防錆部材84の材質を樹脂材等としたが、防錆部材84の材質は、例えばゴム材であってもよいし、エラストマー等の他の材料から成るものでも構わない。
【符号の説明】
【0052】
1 流体管
1b 切片
2 ケース
3 弁蓋
12 分岐管
50 穿孔装置
60 弁体
80 コア配置装置
82 コア
84 防錆部材
Q 穿孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管を切削することで該流体管に穿孔を形成した後に、前記穿孔に連通し前記流体管の外周を密封状に被覆するケースに水密に接続される弁蓋内から前記穿孔に向けて挿入され、前記流体管の流路を遮断若しくは開放可能な弁体を挿入し、その後、該弁体を前記穿孔から取り去って該穿孔を防錆するためのコアを前記穿孔に嵌設させる穿孔防錆方法であって、
該穿孔を形成したことで生じた前記流体管の切片の外周面に、前記穿孔の内周面を防錆するための防錆部材を取り付けて前記コアを構成し、該コアを前記穿孔に嵌設させることを特徴とする穿孔防錆方法。
【請求項2】
流体管を切削することで該流体管に穿孔を形成する穿孔装置と、前記穿孔に連通し前記流体管の外周を密封状に被覆するケースと、該ケースに水密に接続される弁蓋と、該弁蓋内から前記穿孔に向けて挿入され、前記流体管の流路を遮断若しくは開放可能な弁体と、前記穿孔を防錆するためのコアと、を備える穿孔防錆装置であって、
前記コアは、前記穿孔装置によって該穿孔を形成したことで生じた前記流体管の切片の外周面に、前記穿孔の内周面を防錆するための防錆部材を取り付けて構成されることを特徴とする穿孔防錆装置。
【請求項3】
前記コアは、前記弁体を用いて前記穿孔に嵌設されることを特徴とする請求項2に記載の穿孔防錆装置。
【請求項4】
前記コアを保持し、前記ケースの外方から操作することで前記弁体と前記穿孔との間に前記コアを配置するコア配置装置を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の穿孔防錆装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−17760(P2012−17760A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153785(P2010−153785)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】