説明

突起付きラベル、及び包装体

【課題】 本発明は、突起部が脱落しにくい突起付きラベルを提供することである。
【解決手段】 本発明の突起付きラベル1は、基材21と、前記基材21の表面に突設された突起部3と、を有し、前記突起部3が、前記基材21の表面に付着され且つ固化されたホットメルト接着剤から形成されており、少なくとも前記ホットメルト接着剤が付着された前記基材21の表面に、前記ホットメルト接着剤の付着強度を高めるための付着性向上処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突起部が設けられた突起付きラベル及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを用いて表面に凸部を形成したラベルが知られている(特許文献1及び2)。
このような凸部は、点字として機能したり、滑り止めとして機能し得る。
しかしながら、インキを用いると、十分に高い凸部を形成できない。
【0003】
一方、特許文献3には、プロピレンフィルム又はスチレンフィルムからなる基材の表面に、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド又は炭化水素樹脂を含むホットメルト接着剤をスポット的に付着固化させることにより、ラベルに点字(突起部)を形成することが開示されている。
ホットメルト接着剤を用いれば、基材の表面に、比較的高さのある点字を簡単に形成できると考えられる。
【0004】
しかしながら、基材にホットメルト接着剤を単に付着固化させただけでは、流通時や使用時などにおいて、突起部(すなわち、固化後のホットメルト接着剤)が脱落するという問題点がある。一部の突起部が脱落すると、もはや点字として機能しなくなる。
また、基材が熱収縮性を有する場合には、加熱された(溶融した)ホットメルト接着剤の付着によって基材が部分的に収縮し、変形したラベルが得られることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3007557号公報
【特許文献2】特開平2004−205768号公報
【特許文献3】特表平11−509643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、突起部が脱落しにくい突起付きラベルを提供することである。
本発明の第2の目的は、突起部が脱落しにくく、さらに、突起部を設けたことに伴う変形が抑制された突起付きラベルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の突起付きラベルは、基材と、前記基材の表面に突設された突起部と、を有し、前記突起部が、前記基材の表面に付着され且つ固化されたホットメルト接着剤から形成されており、少なくとも前記ホットメルト接着剤が付着された前記基材の表面に、前記ホットメルト接着剤の付着強度を高めるための付着性向上処理が施されている。
【0008】
本発明の好ましい突起付きラベルは、前記付着性向上処理として、前記基材の表面が粗面化されている。
本発明の好ましい突起付きラベルは、前記基材が熱収縮性を有し、前記付着性向上処理として、前記基材の表面に硬化型樹脂を含むオーバーコート層が形成されている。
【0009】
本発明の別の局面によれば、前記突起付きラベルを備えた包装体を提供する。
この包装体は、最外径部と前記最外径部の外面よりも内側に位置する縮径部とを有する被着体と、前記いずれかの突起付きラベルと、を備え、前記突起部が前記被着体の縮径部に対応するように、前記突起付きラベルが前記被着体に装着されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の突起付きラベルは、流通時や使用時に突起部が脱落することを防止できる。
本発明の好ましい突起付きラベルは、上記効果に加えて、皺などの変形を生じず、通常のラベルと同様な美麗な外観を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る突起付きラベルの斜視図。
【図2】図1のII−II線拡大断面図。
【図3】本発明の他の実施形態に係る突起付きラベルの平面図。
【図4】図3のIV−IV線拡大断面図。
【図5】本発明のさらに他の実施形態に係る突起付きラベルの平面図。
【図6】図5のVI−VI線拡大断面図。
【図7】本発明の突起付きラベルを容器に装着した包装体の一実施形態を示す一部断面を含む正面図。
【図8】本発明の突起付きラベルを容器に装着した包装体の他の実施形態を示す一部断面を含む正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の突起付きラベルは、可撓性(柔軟性)を有する基材と、基材の少なくとも表面から突設された突起部と、を有し、その突起部が固化されたホットメルト接着剤から形成されている。
【0013】
一般に、ラベルは、その用途又は基材の性状に応じて分類すると、タックラベル、熱収縮性筒状ラベル、自己伸縮性筒状ラベル、巻付けラベル、及び熱収縮性巻付けラベルなどに大別できる。
【0014】
タックラベルは、基材の裏面に粘着剤(又は接着剤)が設けられ、その粘着剤(又は接着剤)を介して被着体に貼着されるラベルである。
熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮性を有する基材を有し、その基材の一方側端部の表面に他方側端部の裏面を重ね合わせて接着することにより、筒状に成形されたラベルである。熱収縮性筒状ラベルは、被着体に外嵌し、加熱することにより、被着体に装着されるラベルである。熱収縮性筒状ラベルは、筒状シュリンク又はシュリンクラベルとも呼ばれる。
【0015】
自己伸縮性筒状ラベルは、自己伸縮性を有する基材を有し、その基材の一方側端部の表面に他方側端部の裏面を重ね合わせて接着することにより、筒状に成形されたラベルである。自己伸縮性筒状ラベルは、径外方向に力を加えて拡径させた状態で被着体に外嵌し、その後、前記力を解除することにより、被着体に装着されるラベルである。自己伸縮性筒状ラベルは、ストレッチラベルとも呼ばれる。
【0016】
巻付けラベルは、基材の一方側端部の裏面を被着体に接着し、この基材を被着体の周囲に巻き付け、前記一方側端部の表面に基材の他方側端部の裏面を重ねて接着する(又は、他方側端部を一方側端部に重ねず、少し離して接着する)ことにより、筒状に成形されたラベルである。
熱収縮性巻付けラベルは、熱収縮性を有する基材を用いた巻付けラベルであり、上記巻付けラベルと同様に、被着体に巻き付けて筒状にした後、加熱して被着体に密着させるラベルである。
【0017】
上記タックラベル、熱収縮性筒状ラベル、自己伸縮性筒状ラベル、巻付けラベル、及び熱収縮性巻付けラベルの何れも、基材を主たる構成要素としている点で共通しており、本発明は、これら何れのラベルにも適用できる。
ただし、本発明の突起付きラベルは、これら4種のラベルに限定されるわけではなく、例えば、インモールドラベルとして用いることも可能である。
【0018】
図1及び図2は、本発明の突起付きラベルが熱収縮性筒状ラベルに適用された場合を示している。
この突起付き熱収縮性筒状ラベル11(突起付きラベル1)は、熱収縮性を有する基材21と、その基材21の少なくとも表面から突設された突起部3と、を有し、その基材21の表面を外側にして基材21を筒状にし、基材21の両側端部21a,21bを接着することによって構成されている。
【0019】
前記熱収縮性を有する基材21は、所定温度(例えば、60℃〜120℃)に加熱されたときに、所定方向に熱収縮する。なお、基材21は、ホットメルト接着剤の熱で溶融しない、耐熱性を有するものが好ましい。
【0020】
熱収縮性を有する基材21は、特に限定されず、例えば、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリプロピレン、環状オレフィンなどのオレフィン系樹脂;ポリカーボネート;塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種又は2種以上の混合物を含む熱可塑性樹脂フィルムを用いることができる。後述するホットメルト接着剤が付着し易いことから、基材21としては、ポリエステル系フィルム又はポリオレフィン系フィルムを用いることが好ましい。また、熱収縮性の基材21として、2種以上の熱可塑性樹脂フィルムが積層された積層フィルムや、金属蒸着膜が積層された積層フィルムを用いることもできる。これらのフィルムは公知の製法で製膜し延伸処理することにより熱収縮性を付与できる。
前記熱可塑性樹脂フィルム又は積層フィルムの厚みは、例えば、30μm〜120μm程度である。
【0021】
さらに、熱収縮性の基材21として、前記熱可塑性樹脂フィルムに、不織布、発泡樹脂シートなどの断熱層が積層されている積層フィルムを用いることもできる。
なお、基材21が前記積層フィルムである場合、基材の表面側(つまり、ホットメルト接着剤が付着される側)のフィルムは、ポリエステル系フィルム又はポリオレフィン系フィルムであることが好ましく、さらに、これらの一軸又は二軸延伸フィルムがより好ましく、二軸延伸フィルムが特に好ましい。
【0022】
ポリエステル系フィルムとしては、芳香族ポリエステル系フィルム、脂肪族ポリエステル系フィルムなどが挙げられる。
芳香族ポリエステル系フィルムは、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし且つジオール成分としてエチレングリコールを主成分としたポリエチレンテレフタレート系フィルムが好ましく、特に、ジオール成分を1,4−シクロヘキサンジメタノールで変性したポリエチレンテレフタレート系フィルム、ジオール成分をネオペンチルグリコールで変性したポリエチレンテレフタレート系フィルム、又は、ジカルボン酸成分をアジピン酸で変性したポリエチレンテレフタレート系フィルムがより好ましい。
脂肪族ポリエステル系フィルムは、ポリ乳酸を主成分とするポリ乳酸系フィルムが好ましい。
ポリオレフィン系フィルムとしては、環状ポリオレフィンを主成分とする環状ポリオレフィン系フィルム、ポリプロピレンを主成分とするポリプロピレン系フィルムが好ましい。
【0023】
前記熱収縮性の基材21は、熱収縮温度(例えば、60℃〜120℃)において、少なくとも横方向(横方向は、筒状に形成したときの周方向に相当する)に熱収縮し得るフィルムが用いられ、必要に応じて、縦方向にも若干熱収縮し得るフィルムでもよい。
基材21の熱収縮率は、例えば、85℃に加熱した際の横方向における熱収縮率が30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。
熱収縮率(%)=[{(基材21の横方向の元の長さ)−(基材21の横方向の浸漬後の長さ)}/(基材21の横方向の元の長さ)]×100。
【0024】
前記基材21の表面には、ホットメルト接着剤の付着強度を高めるための付着性向上処理が施されている。
前記付着性向上処理は、基材21の表面の略全体に施されていてもよいし、基材21の1つの部分又は複数の部分に施されていてもよい。もっとも、前記付着性向上処理が基材21の1つの部分又は複数の部分に施される場合、その処理は、少なくともホットメルト接着剤が付着される部分に施される。換言すると、付着性向上処理が施された処理面上に、ホットメルト接着剤が付着されて突起部3が形成される。
【0025】
前記付着性向上処理は、その処理面に付着させたホットメルト接着剤が基材21の表面に直接付着させた場合よりも強く付着できるようなものであれば、特に限定されない。
具体的には、付着性向上処理としては、基材21の表面にオーバーコート剤を塗布する処理、基材21の表面を粗面化する処理、基材21の表面を構成するポリマーに極性基を付与する処理などが挙げられる。これらの処理は、1種単独で行ってもよいし、2種以上を併用してもよい(例えば、基材21の表面に極性基を付与した後、その表面にオーバーコート剤を塗布してオーバーコート層を形成するなど)。
これらの中では、ホットメルト接着剤がより強固に付着することから、オーバーコート剤を塗布する処理又は基材21の表面を粗面化することが好ましく、さらに、溶融したホットメルト接着剤を付着させたときに基材21の熱収縮を抑制できることから、オーバーコート剤を塗布する処理がより好ましい。
【0026】
前記オーバーコート剤を塗布する処理を行うことにより、基材21の表面にオーバーコート層が形成される。各図において、オーバーコート層は、図示していない。
少なくともホットメルト接着剤が付着される部分に対応してオーバーコート層が設けられていることにより、ホットメルト接着剤の熱が基材21に伝わることを抑制できる。このため、そのオーバーコート層の表面に溶融したホットメルト接着剤を付着させたときに、熱収縮性の基材21が収縮することを抑制できる。
オーバーコート層の厚みは、特に限定されないが、前記のような熱遮断を十分に奏するために、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜5μmがより好ましい。
【0027】
前記オーバーコート剤としては、溶剤と樹脂成分を含む溶剤揮発型塗工剤、所定の条件で硬化する硬化型樹脂を含む硬化型塗工剤などが挙げられる。熱が加わっても比較的変形し難い層を形成できることから、オーバーコート層は、硬化型樹脂を含む硬化型塗工剤で形成されていることが好ましい。
塗工剤の塗工方法としては、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、凸版輪転印刷法などの各種印刷法が簡便である。
【0028】
前記硬化型樹脂を含む硬化型塗工剤としては、紫外線硬化型樹脂などの電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、二液硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂と熱硬化型樹脂の混合物などを含む塗工剤が挙げられる。
基材21に殆ど熱を加えずにオーバーコート層を形成できることから、電離放射線硬化型樹脂を含む塗工剤が好ましく、さらに、汎用的でもあることから、紫外線硬化型樹脂を含む塗工剤がより好ましい。
【0029】
電離放射線硬化型樹脂は、分子中に重合性不飽和結合又はカチオン重合性官能基などを有するプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを適宜混合したものであって、電離放射線により硬化可能な組成物が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、多官能性アクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、不飽和ポリエステル/スチレン、ポリエン/チオール、ポリスチリルメタクリレート、これらの共重合体、又はこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0030】
熱硬化型樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル、イミド系樹脂、メラミン樹脂、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、ケイ素樹脂、アルキッド樹脂、又はこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0031】
二液硬化型樹脂としては、例えば、ポリオール化合物とイソシアネート化合物、エポキシ化合物とアミン化合物、又はアクリル樹脂とメラミン樹脂などの2液物が挙げられる。
【0032】
前記粗面化処理としては、基材21の表面を、研磨布やサンドブラストなどの研磨材を用いて研削すること、及び、基材21の表面に、コロナ放電処理、プラズマ放電処理又は火炎処理などを施すこと、などが挙げられる。
極性基を付与する処理としては、基材21の表面に、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、紫外線照射処理、又はアルカリ処理などを行うことが挙げられる。
【0033】
基材21の表面を粗面化でき且つその表面に極性基を導入できることから、コロナ放電処理及びプラズマ放電処理の少なくとも何れか一方が好ましく、コロナ放電処理がより好ましい。
コロナ放電処理は、コロナ放電内へ基材21を通過させることによって行われる。プラズマ放電処理は、低温プラズマ内へ、基材21を通過させることによって行われる。
【0034】
前記付着性向上処理の施された基材21の表面に、ホットメルト接着剤を部分的に付着させ且つ固化させることにより、固化されたホットメルト接着剤からなる突起部3が形成されている。
なお、付着性向上処理が基材21の表面に硬化型樹脂を含む塗工剤を塗布する処理である場合、前記ホットメルト接着剤は、基材21の表面上に積層されたオーバーコート層の表面に付着される。
付着性向上処理が基材21の表面を粗面化又はその表面に極性基を付与する処理である場合、前記ホットメルト接着剤は、基材21の表面上に直接付着される。
【0035】
ホットメルト接着剤は、常温で固体であり、加熱溶融によって基材21に付着させることができる接着剤である。ホットメルト接着剤は、例えば、公知のホットメルトガン、上記特許文献3(特表平11−509643)に開示された装置などを用いて、基材21の表面にスポット的に付着させることができる。
【0036】
前記ホットメルト接着剤は、通常公知のホットメルト接着剤を用いることができる。具体的には、例えば、オレフィン系ポリマー;ウレタン系ポリマー;エステル系ポリマー;シリコーン系ポリマー;エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−アクリル酸系共重合体、エチレン−メタクリル酸系共重合体などのエチレン系共重合体;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン−ブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)などのスチレン系ポリマー;エチレン−αオレフィンなどのオレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;などのベースポリマーを主成分として、これらを1種単独で又は2種以上含有するホットメルト接着剤が挙げられる。また、これらホットメルト接着剤は1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。中でも、熱可塑性炭化水素樹脂などのオレフィン系ポリマー及びウレタンプレポリマーなどのウレタン系ポリマーの少なくとも何れか一方をベースポリマーとして含むホットメルト接着剤が好ましい。
【0037】
前記オレフィン系ポリマーをベースポリマーとして含むホットメルト接着剤の具体例としては、例えば、特表2010−501691号公報などに開示されているホットメルト接着剤が挙げられ、前記ウレタン系ポリマーをベースポリマーとして含むホットメルト接着剤の具体例としては、例えば、特開2009−286941号公報、特開2010−275409号公報などに開示されているホットメルト接着剤が挙げられる。
【0038】
前記オレフィン系ポリマーのホットメルト接着剤の軟化点は、特に限定されないが、通常70℃〜140℃、好ましくは80℃〜120℃である。また、その粘度は、特に限定されないが、160℃での粘度が、通常100〜4,000mPa・s、好ましくは150〜3,000mPa・sである。
前記ウレタン系ポリマーのホットメルト接着剤の粘度は、特に限定されないが、120℃での粘度が、通常500〜12,000mPa・s、好ましくは700〜10,000mPa・sである。
【0039】
前記突起部3は、1個だけ設けられていてもよいが、通常、複数設けられる。
突起部3は、例えば、視覚障害者が触覚で読むための点字、立体的なデザイン、或いは、ラベルを手で持ったときに滑り落ちないようにするための引掛かり部などとして機能し得る。
例えば、突起部3を点字として機能させる場合には、ブライユ式などの規定に従って所定の文字を表すように、複数の突起部3が基材21の表面から突設される。図示例の突起付きラベル11は、突起部3を点字として機能させる場合である。
【0040】
突起部3は、熱収縮性筒状ラベル11の何れの箇所に設けていてもよい。
1つの突起部3の平面視形状は、特に限定されず、例えば、平面視略円状(楕円形を含む)、平面視略矩形状、細長い線状(直線又は任意の蛇行線を含む)などが挙げられる。点字として用いられる場合には、突起部3は、通常、平面視略円状とされる。なお、平面視形状とは、基材21の表面に対して、その法線方向から見た形状をいう。
1つの突起部3の大きさは適宜設定されるが、平面視略円状の突起部3である場合を例に採ると、その直径は、0.5mm〜3mm程度である。
【0041】
1つの突起部3の突出高さは、特に限定されないが、突起部3の突出高さが余りに低い場合には、点字機能、立体的デザイン機能、又は引掛かり機能を十分に発揮せず、一方、突起部3の突出高さが余りに高い場合には、突起部3の存在がラベルの使用上却って支障を来す場合もある。このような点から、突起部3の突出高さは、0.2mm〜3mm程度が好ましい。なお、突起部3の突出高さは、基材21の表面からから突起部3の最高点までの高さである。
【0042】
上記突起部3は、基材21を筒状に形成する前、又は、基材21を筒状に形成した後、のいずれの時点で基材21に形成してもよい。
【0043】
本発明の突起付き熱収縮性筒状ラベル11は、従来公知の熱収縮性筒状ラベルと同様に、被着体に外嵌後、加熱することによってそれに装着できる。
本発明の熱収縮性筒状ラベル11(突起付きラベル1)は、流通時や使用時に、基材21が捩れたり或いは異物が接触したりしても、突起部3が脱落し難い。点字として機能する複数の突起部3の集合は、一部の突起部3が脱落しても点字としての機能を十分に発揮できないが、本発明によればこのような事態も生じにくい。
本発明の好ましい熱収縮性筒状ラベル11(突起付きラベル1)は、ホットメルト接着剤を付着させたときに、熱収縮性の基材21の収縮を抑制できるので、皺などの変形を生じることなく美麗な外観を有する。
【0044】
本発明の突起付きラベル1が、自己伸縮性筒状ラベルに適用される場合には、上記突起付き熱収縮性筒状ラベル11で説明した基材21に代えて、自己伸縮性の基材が用いられる。
自己伸縮性の基材は、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレンフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどが好ましい。
【0045】
図3及び図4は、本発明の突起付きラベル1が巻付けラベルに適用された場合を示している。
この突起付き巻付けラベル12(突起付きラベル1)は、基材22と、その基材22の少なくとも表面から突設された突起部3と、を有する。
【0046】
基材22は、熱収縮性又は自己伸縮性を有していてもよいし、それらを有していなくてもよい。
熱収縮性又は自己伸縮性を有する基材22としては、上述のものを用いることができる。
熱収縮性及び自己伸縮性を有しない基材22としては、熱可塑性樹脂フィルム、紙、合成紙などが挙げられる。前記熱可塑性樹脂フィルム(合成紙も同様である)としては、ポリエステル系又はポリオレフィン系が好ましく、さらに、それらの熱固定された一軸又は二軸延伸フィルムがより好ましく、熱固定された二軸延伸フィルムが特に好ましい。
基材22は、例えば、図示したように、平面視略長方形状に形成され、その横方向長さは、被着体の周長よりも少し長い若しくは少し短い又は被着体の周長と同じとされている。
【0047】
基材22の表面には、上述の付着性向上処理が施されており、その処理面上にホットメルト接着剤の固化物である突起部3が形成されている。
基材22の裏面には、突起付き巻付けラベル12を被着体に貼り付けるための、貼着剤層42が設けられている。
【0048】
貼着剤層42は、粘着剤又は接着剤を基材22の裏面に塗布することにより形成できる。なお、図4では、貼着剤層42が基材22の裏面全体にベタ状に設けられている場合を例示しているが、貼着剤層42は、基材22の裏面に部分的(例えば、基材22の両側端部の裏面のみなど)に設けられていてもよい。
貼着剤層42を形成する粘着剤又は接着剤は、従来公知の感圧型粘着剤、感熱性粘着剤、感熱性接着剤、水系接着剤などが挙げられるが、感熱性粘着剤又は感熱性接着剤を用いることが好ましい。
図3に示すように、基材22の横方向全体に複数の突起部3が並設された突起付き巻付けラベル12は、これを被着体の周囲に巻き付けて装着することにより、滑り止めラベルとして機能し得る。
【0049】
上記基材22として、巻付け方向(周方向)に熱収縮性を有するものを使用することにより、突起付き熱収縮性巻付けラベルを構成できる。
熱収縮性を有する基材は、上記突起付き熱収縮性筒状ラベル11で述べたものを用いることができる。
【0050】
図4及び図5は、本発明の突起付きラベル1がタックラベルに適用された場合を示している。
この突起付きタックラベル13(突起付きラベル1)は、基材23と、その基材23の少なくとも表面から突設された突起部3と、を有する。
【0051】
基材23は、熱収縮性又は自己伸縮性を有していてもよいし、それらを有していなくてもよい。
熱収縮性又は自己伸縮性を有する基材23としては、上述のものを用いることができる。
熱収縮性及び自己伸縮性を有しない基材23としては、熱可塑性樹脂フィルム、紙、合成紙などが挙げられる。前記熱可塑性樹脂フィルム(合成紙も同様である)としては、ポリエステル系又はポリオレフィン系が好ましく、さらに、それらの熱固定された一軸又は二軸延伸フィルムがより好ましく、熱固定された二軸延伸フィルムが特に好ましい。
基材23の平面視形状は、適宜設計できる。代表的には、図示したように、平面視略正方形状又は略長方形状に形成される。
【0052】
基材23の表面には、上述の付着性向上処理が施されており、その処理面上にホットメルト接着剤の固化物である突起部3が形成されている。
基材23の裏面には、突起付きタックラベル13を被着体に貼り付けるための、粘着剤層43が設けられている。
【0053】
粘着剤層43は、粘着剤を基材23の裏面に塗布することにより形成できる。
前記粘着剤としては、従来公知の感圧型粘着剤、感熱性粘着剤などが挙げられる。
【0054】
本発明の突起付きラベル1は、飲料用ボトル型容器や点眼容器などの被着体に装着して使用される。
図7は、突起付き熱収縮性筒状ラベル11を容器5に熱収縮装着した包装体9を示している。
この容器5は、胴部51と、胴部51に連続し且つ胴部51から離れるに従って縮径した肩部52と、肩部52に連続し且つ肩部52の端部に開口された注出口53と、注出口53を開閉するためのキャップ部54と、を有する。
肩部52の外面は、胴部51の外面よりも内側に位置し、胴部51の外面の延長面と肩部52の外面の間には、空間がある。
かかる容器5の胴部51の外面は、容器5の外面の中で最も外側にある面であり、最外径部に相当する。肩部52の外面は、胴部51よりも内側に位置する面であり、縮径部に相当する。
【0055】
前記熱収縮された突起付き熱収縮性筒状ラベル11のうち、突起部3が設けられた領域における収縮割合は、5%〜20%であることが好ましい。
前記収縮割合は、下記式に基づいて求められる。
式:収縮割合={(熱収縮前の突起付き熱収縮性筒状ラベル11の周長−熱収縮後の突起付き熱収縮性筒状ラベル11の突起部3が設けられた領域の周長)/熱収縮前の突起付き熱収縮性筒状ラベル11の周長}×100。
【0056】
突起付き熱収縮性筒状ラベル11は、突起部3が肩部52(縮径部)に対応するように装着されている。このため、突起部3は、容器5の空間に位置している。
一般に、最外径部である胴部51を有する容器5は、その搬送時には、隣接する容器の胴部同士が当たったり、胴部が異物と接触するが、上記のように突起付き熱収縮性筒状ラベル11が装着された包装体9は、胴部同士が当たったり或いは胴部が異物に接触しても、突起部3が脱落することを防止できる。
【0057】
なお、図7では、突起部3が肩部52に対応するように突起付き熱収縮性筒状ラベル11が装着されているが、突起部3がキャップ部54に対応するように突起付き熱収縮性筒状ラベル11が装着されていてもよい。キャップ部54も、上記肩部52と同様に、胴部51よりも内側に位置し且つ胴部51の外面との間に空間を生じる、縮径部に相当する。
さらに、図8に示すように、突起部3が容器5の凹み部51aに対応するように突起付き熱収縮性筒状ラベル11が装着された包装体9も本発明に含まれる。かかる包装体9も、突起部3が、容器5の外面の中で最も外側にある面よりも内側に位置している。
この容器5の胴部51は、周方向全体に亘って内側に部分的に凹んだ凹み部51aを有する。この凹み部51aは、縮径部に相当し、胴部51のうち凹み部51a以外の部分51bが、最外径部に相当する。
【0058】
その他、突起付き巻付けラベル12や突起付きタックラベル13などについても同様に、その突起部3が容器5などの被着体の縮径部に位置するように装着することが好ましい。
なお、突起付きラベルに複数の突起部3が形成されている場合において、本発明の包装体9は、全ての突起部3が被着体の縮径部に位置するように突起付きラベルが装着されていてもよいし、或いは、一部の突起部3が被着体の縮径部に位置するように突起付きラベルが装着されていてもよい。
【実施例】
【0059】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0060】
[使用した基材]
(1)基材A
厚み45μmの熱収縮性ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名「LX18S」)。
(2)基材B
厚み50μmの熱収縮性ポリスチレンフィルム(三菱樹脂株式会社製、商品名「35046SE」)。
(3)基材C
市販のタックラベル用原紙(リンテック株式会社製、商品名「PET50(A)PAT1PET38」。
この原紙のポリエチレンテレフタレートフィルムの表面には、アクリル系オーバーコート剤が塗工されている。
(4)基材D
市販のタックラベル用原紙(リンテック株式会社製、商品名「OPP60CP3250PET38」。
この原紙のポリプロピレンフィルムの表面には、アクリル系オーバーコート剤が塗工されている。
【0061】
[使用したホットメルト接着剤]
(1)ホットメルト接着剤A
熱可塑性炭化水素樹脂等を主成分(約80質量%)とするオレフィン系ホットメルト接着剤。軟化点:109℃、粘度:1,300mPa・s(160℃での粘度)。
(2)ホットメルト接着剤B
ウレタンプレポリマー等を主成分(約98質量%)とするウレタン系ホットメルト接着剤。粘度:4,500mPa・s(120℃での粘度)。
【0062】
[表面処理方法]
(1)処理A
基材の表面に、コロナ放電処理を行った。
使用機器:春日電機株式会社製コロナ表面処理装置
処理電圧:51V
処理電流:5.2A
処理速度:50m/min
処理内容:処理面の濡れ指数が40前後になるように処理
(2)処理B
基材の表面に、ウレタン系オーバーコート剤(DICグラフィックス株式会社製、商品名「SFプライマーNo.930」)を塗工した(塗工厚2μm)。
(3)処理C
基材の表面に、紫外線硬化型アクリル系オーバーコート剤(株式会社T&KTOKA製、商品名「AFメジウム」)を塗工した(塗工厚2μm)。
(4)処理D
基材の表面に、紫外線硬化型アクリル系オーバーコート剤(株式会社T&KTOKA製、商品名「CFメジウム」)を塗工した(塗工厚2μm)。
【0063】
[参考例1]
上記基材Bの表面に、処理Cを行った。
処理後の基材Bの表面(処理面)の濡れ指数を、JIS K 6768に準拠して測定した。その結果を表1に示す。
【0064】
処理後の基材Bを2枚のフィルム片とし、一方のフィルム片の表面(処理面)に130℃で溶融させたホットメルト接着剤B(塗工厚20μm)を塗布し、その表面に他方のフィルム片の表面(処理面)を重ね合わせて接着した。この接着した積層フィルムを10cm×3cmに裁断することにより、試験用サンプル片を得た。
得られた試験用サンプル片の両フィルム片の接着強度を確認するため、下記方法に従って剥離強度を測定した。その結果を表1に示す。
なお、表1の強度の結果において、「−」は、接着部分が剥離せず、フィルム片が破断して剥離強度を測定できなかったことを表している。つまり、「−」は、測定できないほどに、重ね代がホットメルト接着剤を介して強く接着していたということである。
【0065】
(剥離強度の測定)
試験用サンプル片を、精密万能試験機「オートグラフAG−I 500N」(株式会社島津製作所製)を用い、JIS Z 0238に準拠して剥離強度試験を行った(引っ張り速度:300mm/min)。
【0066】
また、溶融したホットメルト接着剤を塗布して接着したフィルム片について、歪みなどが生じていないかどうか、試験用サンプル片の外観を目視で観察した。
試験用サンプル片の接着強度と外観を、下記の基準で総合的に評価した。
A1:接着強度も高く、外観も良好であった。
B1:接着強度は良好であるが、外観は不良であった。
C1:接着強度及び外観ともに不良であった。
【0067】
[参考例2〜8及び比較参考例1〜2]
基材、表面処理及びホットメルト接着剤を表1に示すようなものをそれぞれ用いたこと以外は、上記参考例1と同様にして、それぞれ試験用サンプル片を作成し、濡れ指数、接着強度及び総合評価を行った。その結果を表1に示す。
ただし、比較参考例1及び2は、基材の表面処理を行わずに、基材A及びBそのものを用いた。また、参考例7及び8で用いた基材C及びDには、発明者らが表面処理を行っていない。しかし、この基材C及びDは、それぞれの表面にアクリル系オーバーコート剤が塗布された市販品であり、これらの基材C及びDも、参考例1〜6と同様に、表面処理が行われた基材である。
【0068】
【表1】

【0069】
[実施例1]
参考例1と同様に、上記基材Bの表面に、処理Cを行った。
処理後の基材Bの表面(処理面)に、公知のホットメルトガンを用いて、130℃で溶融させたホットメルト接着剤Bを、スポット的に塗布することにより、直径約2mm、高さ約1mmのドット状の突起部を1mm間隔で複数形成した。
この基材Bを90℃の熱水中に浸漬して、10%熱収縮させた。熱収縮後の基材Bを、突起部を外側にし、直径50mmの円筒体に巻付けて装着した。
【0070】
なお、円筒体に巻き付ける前に、熱収縮後の基材を目視で観察し、下記の基準で評価した。その結果を表2に示す。
A2:綺麗に収縮し、外観も良好であった。
B2:一部に皺が生じていたが、外観は概ね良好であった。
C2:皺が目立ち、外観は不良であった。
【0071】
次に、突起部の脱落の有無を確認するため、下記の試験を行った。
前記円筒体に装着された熱収縮性筒状ラベルの表面に、ヘラ先を当て(ヘラの平面が円筒体の接線方向を含むような方向にヘラを当て)、円筒体を回転させた。この際、円筒体の回転により、熱収縮性筒状ラベルの突起部の側方からヘラ先が当たることによって突起部に所定の押圧力が加わるように、円筒体を回転させた。
その結果を表2に示す。
A3:押圧力が3Nで、突起部は脱落しなかった。
B3:押圧力が1N以上3N未満で、突起部が脱落してしまった。
C3:押圧力が1N未満で、突起部が脱落してしまった。
【0072】
[実施例2〜6及び比較例1〜2]
基材、表面処理及びホットメルト接着剤を表2に示すようなものをそれぞれ用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、それぞれ試験用熱収縮性筒状ラベルを作成し、外観評価及び突起部の脱落試験を行った。その結果を表2に示す。
【0073】
【表2】

【符号の説明】
【0074】
1…突起付きラベル、11…突起付き熱収縮性筒状ラベル、12…突起付き巻付けラベル、13…突起付きタックラベル、21,22,23…基材、3…突起部、42…貼着剤層、43…粘着剤層、5…容器、9…包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の表面に突設された突起部と、を有し、
前記突起部が、前記基材の表面に付着され且つ固化されたホットメルト接着剤から形成されており、
少なくとも前記ホットメルト接着剤が付着された前記基材の表面に、前記ホットメルト接着剤の付着強度を高めるための付着性向上処理が施されていることを特徴とする突起付きラベル。
【請求項2】
前記付着性向上処理として、前記基材の表面が粗面化されている、請求項1に記載の突起付きラベル。
【請求項3】
前記基材が熱収縮性を有し、前記付着性向上処理として、前記基材の表面に硬化型樹脂を含むオーバーコート層が形成されている、請求項1に記載の突起付きラベル。
【請求項4】
最外径部と前記最外径部よりも内側に位置する縮径部とを有する被着体と、請求項1〜3のいずれか一項の突起付きラベルと、を備え、
前記突起部が前記被着体の縮径部に対応するように、前記突起付きラベルが前記被着体に装着されていることを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−234064(P2012−234064A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102957(P2011−102957)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】