窒素化ニオブ粉末及びニオブ電解キャパシター
【課題】窒素含有ニオブ粉末、このニオブ粉末から製造したキャパシター、及びニオブアノードのDC漏れを減少させる方法を提供する。
【解決手段】窒素含有ニオブ粉末、このニオブ粉末から製造したキャパシター、及びニオブアノードのDC漏れを減少させる方法とする。
【解決手段】窒素含有ニオブ粉末、このニオブ粉末から製造したキャパシター、及びニオブアノードのDC漏れを減少させる方法とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素化ニオブ粉末及び窒素化ニオブ粉末を使用する電解キャパシター、並びにこのような粉末及び電解キャパシターを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたって、ニオブ電解キャパシターの開発が求められてきた。これは、様々な他の金属と比較したときに、ニオブのコストが比較的安く且つその酸化物の誘電率が大きいことによる。初めにこの分野の研究者は、タンタルキャパシターの代わりとしてニオブを使用する可能性を考慮した。従って、多くの研究は、タンタルをニオブで置き換えることの好ましさについて調べている。
【0003】
しかしながら、これらの研究のいくらかでは、ニオブには解決すべき重要な基本的問題があることを結論づけている。この問題により、ニオブはタンタルを許容できるように置き換えない。(非特許文献1を参照)。他の1つの研究では、固体電解キャパシターでのニオブの使用は、電場結晶のような様々な物理的及び機械的問題によって、非常に好ましくないと結論づけている。(非特許文献2を参照)。更に、もう1つの研究では、ニオブ上において陽極酸化で形成される不動態フィルムが達成する電気的性質が、タンタルで達成される電気的性質とは異なること、及びニオブの使用が、タンタルでは存在しない錯体をもたらすことを結論づけている。(非特許文献3を参照)。従って、ニオブがタンタルの好ましい代替物になるという当初の希望とは違って、電解キャパシターの市場において、ニオブはタンタルに取って代われないということが示された。
【0004】
タンタル電解キャパシターと並んで、アルミニウム電解キャパシターの市場も存在する。しかしながら、アルミニウム電解キャパシターの性能特性は、タンタル電解キャパシターの性能特性とはかなり異なっている。
【0005】
最近の電気回路は、比較的小さい等価直列抵抗(ESR)及び等価直列インダクタンス(ESL)を求めるようになってきている。ICの性能はサブミクロンの形状まで達しているので、比較的小さい供給電圧及びノイズ率が必要とされている。同時に、IC速度の向上は比較的多くの電力を必要とする。これらの矛盾が、より良好な電力の取り扱いを必要とする。これは、電力供給源を分配することによって達成することができるが、このようにするとノイズを打ち消すために比較的大きな電流が必要になる。IC速度の向上は、切り替え時間を短くすること及び過渡電流を大きくすることも意味している。従って、電気回路は過渡負荷応答を減少させるように設計しなければならない。これらの多くの要求は、回路が、低ESR及びESLで、十分に大きいキャパシタンスを持つ場合に、達成される。
【0006】
アルミニウムキャパシターは典型的に、全てのタイプのキャパシターの中で、最も大きいキャパシタンスを提供する。ESRは、キャパシタンスが増加すると小さくなる。従って現在では、上述の要求を満たすために、高キャパシタンスアルミニウムキャパシターの大きなバンクを使用している。しかしながら、アルミニウムキャパシターは、ESR及びESLに関する設計者の要求を実際には満たしていない。液体電解質を伴うその機械的な構造は本質的に、高インピーダンスで数百ミリオームのESRを作る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Electrochem.Soc.、p.408C、1977年12月
【非特許文献2】Electrocomponent Science and Technology、Vol.1、p.27〜37(1974年)
【非特許文献3】Elecrochimica Act.、Vol.40、No.16、p.2623〜26(1995年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、窒素化ニオブ粉末を提供することである。
【0009】
本発明の更なる特徴は、窒素化ニオブ粉末を提供することであり、この窒素化ニオブ粉末は好ましくは高表面積で、高キャパシタンスのキャパシターを作ることを可能にする物性を持つ。
【0010】
本発明のもう1つの特徴は、DC漏れ(直流電流漏れ)の少ないキャパシターを作る窒素化ニオブを提供することである。
【0011】
本発明の更なる特徴は、窒素化ニオブ粉末から作ったキャパシターでのDC漏れを減少させる方法を提供することである。
【0012】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下に示す説明でその一部を示し、また一部は説明から明らかになり、又は本発明を実施することによって理解することができる。
【0013】
本発明は、窒素化ニオブ粉末に関する。本発明のもう1つの面は、BET表面積が少なくとも約0.15m2/gの任意の窒素化ニオブ粉末に関する。
【0014】
本発明は、電解キャパシターのアノードにしたときに、アノードが30,000CV/g〜約61,000CV/gのキャパシタンスを示す窒素化ニオブ粉末にも関する。
【0015】
本発明は、窒素化ニオブ粉末から作ったニオブアノードでのDC漏れを減少させる方法にも関する。ここでこの方法は、十分な量の窒素を窒素化ニオブ粉末に導入して、製造するキャパシターのアノードでのDC漏れを減少させる工程を含む。
【0016】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、単なる説明及び例示であり、特許請求の範囲に記載される本発明を更に説明することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、ニオブ粉末のBET表面積と、それらをアノードにして1,750℃で焼結したときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図2】図2は、ニオブ粉末のBET表面積と、それらをアノードにして1,600℃で焼結したときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図3】図3は、ニオブ粉末のBET表面積と、それらをアノードにして1,450℃で焼結したときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図4】図4はニオブ粉末のBET表面積と、それらをアノードにして1,300℃で焼結したときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図5】図5は、ニオブアノードの焼結温度と、計算されたそれらの最大キャパシタンスを示すグラフである。
【図6】図6は、ニオブ粉末の酸素ドープレベルと、それらをアノードにし、50Vの形成電圧を使用して様々な温度で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図7】図7は、ニオブ粉末の様々な酸素ドープレベルと、それらをアノードにし、30Vの形成電圧を使用して様々な温度で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図8】図8は、ニオブ粉末の様々なリンドープレベルと、それらをアノードにしたときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図9】図9は、ニオブ粉末の様々なリンドープレベルと、それらをアノードにしたときのDC漏れを示すグラフである。
【図10】図10は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、50Vの形成電圧を使用して1,300℃又は1,450℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図11】図11は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、35Vの形成電圧を使用して1,300℃又は1,450℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図12】図12は、図10と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図13】図13は、図11と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図14】図14は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、35Vの形成電圧を使用して1,300℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図15】図15は、図14と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図16】図16は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、35Vの形成電圧を使用して1,450℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図17】図17は、図16と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図18】図18は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、50Vの形成電圧を使用して1,300℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図19】図19は、図18と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図20】図20は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、50Vの形成電圧を使用して1,450℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図21】図21は、図20と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、窒素を含有するニオブ粉末に関する。存在する窒素の量は、不純物としてニオブ粉末中に存在する窒素の量よりも一般に多い。この態様のニオブ粉末中に存在する窒素の大部分は、ニオブ粉末中の窒素の含有率を増加させる意図的な条件(すなわち、ニオブの窒素化)によってもたらされたものである。ニオブ中の窒素の存在は、任意の様式で達成することができる。例えば、窒素は、ニオブの処理の任意の段階で、ニオブに導入すること(例えば、ドープすること)ができる。この段階としては、ニオブインゴットの溶融、二酸化段階、ニオブの水素化、ニオブの非潤滑化(delubing)、ニオブの焼結(例えば、ニオブキャパシターアノードの焼結)、ニオブの任意の熱処理、任意の熱処理段階、又はこれらの処理工程又は段階の1又は複数の前又は後の任意のとき、のうちの1又は複数の段階を挙げることができる。
【0019】
任意の手段を使用してニオブ材料を窒素化することができる。この手段としては、限定するわけではないが、窒素含有環境(例えばN2ガス)又は窒素含有材料に露出させて、材料に窒素を拡散させることがあり、好ましくは熱循環をさせながらこれを行う(例えば、直接の物理的接触による拡散、又はガス吸着及び/又は吸収による窒素含有材料の反応によって、窒素固溶体を調製する)。
【0020】
ニオブ中に窒素が存在することの利益の1つは、少なくとも部分的にこのニオブ粉末で作ったキャパシターのDC漏れが減少することである。ニオブ中に存在する窒素の量は任意の量でよく、好ましくはニオブ粉末又はニオブ粉末から作った物品に好ましくない性質をもたらさない量である。窒素の好ましい量は、ニオブ粉末から作ったキャパシターのDC漏れを減少させる量である。いくらかの例は、利益を最小化する点が存在すること、及びある窒素含有率では、DC漏れの減少に関して更なる利益がないことを示している。一般に、存在する窒素の量は、少なくとも約300ppmであり、少なくとも約400ppm又は少なくとも約500ppm又はそれ以上でよい。窒素は、約300ppm〜約5,000ppmでよく、又は約500ppm〜約4,000ppm、約500ppm〜約3,500ppm、1,500ppm〜約5,000ppm、及び/又は約500ppm〜約3,000ppmでよい。
【0021】
窒素化ニオブから作ったキャパシターのDC漏れに関して、DC漏れの様々な減少を観察することができる。一般に、ニオブを窒化すると、実質的に窒素を含有しない(例えば、窒素が100ppm未満の)ニオブ粉末と比較したときに、約50%又はそれ未満、又は25%又はそれ未満の減少が観察された。
【0022】
ニオブ粉末中の窒素の量及び窒素の存在によって達成される利益は、一部がキャパシターの電圧及びニオブ粉末の焼結温度に基づくことがある。好ましくは焼結温度は約1200℃〜約1750℃、より好ましくは約1300℃〜約1600℃である。一般に、焼結温度が高くなると、DC漏れは少なくなる。従って、高い焼結温度が好ましい。また、この態様では、窒素を伴うニオブから作るキャパシターの形成電圧は、一部がニオブでできているキャパシターにふさわしい任意の形成電圧でよく、これは例えば、約50V若しくはそれ未満、又は約30V〜約50Vである。この形成電圧は、約30〜約35V又はそれ未満(25、20、15、10、5V)でよい。これは、比較的低い形成電圧も、比較的少ないDC漏れに貢献できるためである。
【0023】
この態様で使用することができるニオブは、任意のニオブ粉末、例えばフレーク状のもの、角張ったもの、ノジュラー状のもの、及びそれらの混合物又は変形でよい。以下で示す及び/又は説明する態様の任意のものも、上述の窒素量のニオブ粉末をもたらす条件で処理することができる。
【0024】
フレーク状にしたニオブ粉末に関して、この粉末は、平坦、プレート状、及び/又はペレット状にされていることとで特徴付けることができる。また、フレーク状ニオブ粉末のアスペクト比(厚さに対する直径の比)は、約3〜約300、好ましくは約3〜約30でよい。フレーク状のニオブ粉末は、その形状によって表面積を増加させることを可能にする。好ましくは、フレーク状ニオブ粉末のBET表面積は、少なくとも0.15m2/g、より好ましくは少なくとも約1.0m2/g、更により好ましくは少なくとも約2.0m2/gである。フレーク状ニオブ粉末の好ましいBET表面積は、約1.0m2/g〜約5.0m2/g、より好ましくは約2.0m2/g〜約5.0m2/g、又は約2.0m2/g〜約4.0m2/gである。このBET表面積は、塊状化させる前のフレーク状ニオブ粉末に基づいている。
【0025】
フレーク状ニオブ粉末は塊状化することができる。フレーク状ニオブ粉末は、水素化されていても水素化されていなくてもよい。塊状化フレーク状ニオブ粉末は好ましくは、スコット密度が約35g/in3(2.14g/cm3)未満、より好ましくは約10〜約35g/in3(0.61〜2.14g/cm3)である。非塊状化フレーク状ニオブ粉末は好ましくは、スコット密度が約12g/in3(0.73g/cm3)未満、より好ましくは約5g/in3(0.31g/cm3)未満である。好ましくは、塊状化フレーク状ニオブ粉末の流動性は、80mg/s超、より好ましくは約80mg/s〜約500mg/sである。
【0026】
フレーク状ニオブ粉末は、ニオブインゴットを得て、これを水素ガスに露出させて水素化することによって脆性にして調製することができる。その後、水素化したインゴットを破壊して角張った粉末にする。これには例えば、ジョークラッシャーを使用する。その後、減圧化での加熱によって水素を除去し、ガス抜きをした角張っている粉末を微粉砕することができる。これは例えば、撹拌ボールミルで行い、ここでは、粉末を、エタノールのような流体媒体(水性又は非水性)に分散させて、回転棒の作用によって動くステンレス鋼ボールの衝撃でフレーク状粉末を作る。水素脆性化を行い、その後でフレークを衝撃微粉砕することによって、様々な大きさのフレークを製造することができる。これは例えば、流動層ジェットミル、Vortecミル、又は他の適当な微粉砕工程の使用によって行う。
【0027】
フレーク状ニオブ粉末は随意に、酸素含有率が高くてもよい。これは例えば、ドーピング又は他の酸素導入方法によって行う。酸素ドーピング成分の量は、少なくとも約2,000ppmでよい。より好ましくは、フレーク状ニオブ粉末の酸素含有率は、約2,000ppm〜約20,000ppm、より好ましくは約2,750ppm〜約10,000ppm、最も好ましくは約4,000ppm〜約9,000ppmである。酸素によるニオブ粉末のドーピングは、様々な様式で行うことができる。この様式としては、限定するわけではないが、減圧下における900℃の加熱及び空気中での冷却の繰り返しを挙げることができる。あるいは、フレーク状ニオブ又は他のタイプのニオブの酸素含有率は低くてもよく、例えば1,000ppm未満であってもよい。
【0028】
更に、フレーク状ニオブ粉末は、酸素と組み合わせた又は単独のリンでドーピングすることもできる。リンによるニオブ粉末のドーピングも随意である。本発明の1つの態様では、ニオブ粉末にドーピングするリンの量は、約400ppm未満、より好ましくは約100ppm未満、最も好ましくは約25ppm未満である。
【0029】
ここで挙げる例に基づくと、リンドーピングの量は、様々な量のリンをドーパントとして含有するニオブ粉末から作ったアノードのキャパシタンス及びDC漏れに関して重要でないこともある。従って、ニオブ粉末で作ったある種のアノードに関するDC漏れ及びキャパシタンスに、リンが与える利益が少なく又は全くないので、1つの態様では、リンの量は少なく無視できる量であり、又はリンが存在しない。
【0030】
ニオブ粉末の他の例としては、有意の量の酸素が存在するニオブ粉末(例えば、フレーク状、角張ったもの、ノジュラー状、又はそれらの混合)を挙げることができる。酸素含有率は、上述の様式で達成することができる。好ましくは、ニオブ粉末中の酸素の量は、少なくとも約2,000ppm、より好ましくは約2000ppm〜約20,000ppmである。ニオブ粉末中における酸素の他の好ましい範囲は、約2,750ppm〜約10,000ppm、及び約4,000ppm〜約9,000ppmである。これらのニオブ粉末に関して、フレーク状ニオブ粉末のみに関する態様と同様に、ある種の態様では、ニオブ粉末中のリン含有率はかなり低くてよい。好ましくは、そのような態様において、リン含有率(ドーパントとして)は、約400ppm未満、より好ましくは約100ppm未満、最も好ましくは約25ppm未満である。
【0031】
ニオブ粉末のもう1つの例は、BET表面積が少なくとも0.5m2/g、好ましくは少なくとも約1.0m2/g、より好ましくは約1.0〜約5.0m2/g、最も好ましくは約2.0〜約5.0m2/gのニオブ粉末(例えば、フレーク状、角張ったもの、ノジュラー状、及びそれらの混合)である。ここで、BET表面積は、塊状化させる前のニオブ粉末に基づいている。ニオブ粉末は、水素化していても水素化しなくてもよい。また、ニオブ粉末は塊状化することができる。この態様のニオブ粉末は、窒素でドーピングすることができる。また、ある種の用途では、ニオブ粉末の酸素含有率は約2,000ppm未満でよい。
【0032】
前記BET表面積のフレーク状ニオブ粉末又は任意の形状のニオブ粉末の製造に関して、例は、後にフレーク状又は他の形状にすることができるニオブ粉末を製造する好ましい工程を示している。一般に、このプロセスは以下のようなものであり、これらの例は、本発明のニオブ粉末を製造する好ましい態様に関して、特定の詳細な説明を行う。
【0033】
一般に、BET表面積が少なくとも0.5m2/gのニオブ粉末の調製では、減圧下での加熱によってニオブインゴットを水素化して脆性にし、これを粉砕して粉末にする。粉末中の水素は随意に、減圧下で加熱することによって除去することができる。粉末を微粉砕することによって、様々なBET表面積を達成することができる。この微粉砕は例えば、磨砕プロセスによって行う。粉末のBET表面積を比較的大きくするためには一般に、比較的長い微粉砕時間が必要である。例えば、微粉再時間が約60分間である場合、BET表面積は約1.0m2/gになる。比較的大きいBET表面積を得るためには、比較的長い微粉砕時間が必要であり、約4〜約5m2/g又はそれ以上のBET表面積を得るためには、磨砕装置で約24時間又はそれ以上にわたって微粉砕することが、そのようなBET表面積が大きいニオブ粉末を製造する1つの方法である。そのような高表面積をもたらす場合、好ましくは30−SL Union Process磨砕装置で、1,000ポンド(454kg)の3/16インチ(4.8mm)SS媒体及び約80ポンド(約36kg)のニオブ粉末を使用して、磨砕装置の回転速度を約130rpmに設定する。また、磨砕装置は、エタノールのような媒体を、十分な量、例えば13ガロン又はそれ以上保持するようにする。微粉砕処理の後でニオブ粉末に熱処理を行い、また、好ましくはニオブ粉末が、熱処理の間の表面積の減少を最小化するのに役立つ量のリン含有物を含むようにする。熱処理は、好ましくは表面積を減少させずに、一般に塊状化をもたらすのに十分な任意の温度でよい。使用することができる熱処理の温度は、約1,100℃で30分間である。しかしながら、温度及び時間を変更して、大きいBET表面積が減少しないことを確実にすることができる。上述の様々なニオブ粉末は、本発明のニオブ粉末を使用して作るキャパシターの電気的な性質によって更に特徴づけることができる。一般に、本発明のニオブ粉末の電気的性質は、ニオブ粉末を圧縮してアノードにし、この圧縮したニオブ粉末を適当な温度で焼結し、そしてこのアノードを陽極酸化処理して、電気的な性質を試験することができる電解キャパシターのアノードを作ることによって、試験することができる。
【0034】
従って、本発明のもう1つの態様は、本発明の窒素含有ニオブ粉末から作ったキャパシターに関する。本発明のニオブ粉末から作ったいくらかのアノードは、30,000CV/g〜約61,000CV/gのキャパシタンスを持つことができる。本発明のキャパシターアノードの製造では、所望の性質を持つキャパシターの製造を可能にする焼結温度を使用する。好ましくは、この焼結温度は、約1,200℃〜約1,750℃、より好ましくは約1,200℃〜約1,400℃、最も好ましくは約1,250℃〜約1,350℃である。
【0035】
本発明のニオブ粉末から作るアノードは好ましくは、約60V未満、好ましくは約30〜約50V、より好ましくは約40Vの電圧で作る。比較的小さい形成電圧、例えば約30V又はそれ未満も可能である。好ましくは、本発明のニオブ粉末で作ったアノードの使用電圧は、約4〜約16V、より好ましくは約4〜約10Vである。また、本発明のニオブ粉末で作ったアノードのDC漏れは好ましくは、約5.0na/CV未満である。本発明の1つの態様では、本発明のニオブ粉末から作ったアノードのDC漏れは、約5.0na/CV〜約0.50na/CVである。
【0036】
本発明は、表面に酸化ニオブフィルムを有する本発明のキャパシターにも関する。好ましくは、酸化ニオブフィルムは、五酸化ニオブフィルムを有する。
【0037】
本発明のキャパシターは、様々な用途、例えば自動車の電子機器;携帯電話;モニター、マザーボード等のようなコンピューター;TV及びCRTのような消費電気機器;プリンター/コピー;電力源;モデム;ノート型コンピューター;並びにディスクドライブで使用することができる。
【0038】
以下の例によって本発明をより明確にする。これらの例は本発明を例示することを意図している。
【実施例】
【0039】
[試験方法]
アノードの製造:
直径=0.197インチ(5mm)
3.5Dp
粉末重量=341mg
【0040】
アノードの焼結:
1,300℃ 10分
1,450℃ 10分
1,600℃ 10分
1,750℃ 10分
【0041】
30V Ef 陽極酸化処理:
0.1%H3PO4電解質において60℃で30V Ef
20mA/gの一定電流
【0042】
DC漏れ/キャパシタンス−ESR試験:
DC漏れ試験
試験電圧はEfの70%(21VのDC)
充電時間60秒
21℃で10%のH3PO4
キャパシタンス−DF試験
21℃で18%のH2SO4
120Hz
【0043】
50V Ef 再成形陽極酸化処理:
0.1%H3PO4電解質において60℃で50V Ef
20mA/gの一定電流
【0044】
DC漏れ/キャパシタンス−ESR試験:
DC漏れ試験
試験電圧はEfの70%(35VのDC)
充電時間は60秒
21℃で10%のH3PO4
キャパシタンス−DF試験
21℃で18%のH2SO4
120Hz
【0045】
75V Ef 再成形陽極酸化処理:
0.1%H3PO4電解質において60℃で75V Ef
20mA/gの一定電流
【0046】
DC漏れ/キャパシタンス−ESR試験:
DC漏れ試験
試験電圧はEfの70%(52.5VのDC)
充電時間は60秒
21℃で10%のH3PO4
キャパシタンス−DF試験
21℃で18%のH2SO4
120Hz
【0047】
スコット密度、酸素解析、リン解析、及びBET解析は、米国特許第5,011,742号、同第4,960,471号、及び同第4,964,906号明細書で示される方法に従って行った。これらの特許明細書の記載は、ここで参照することによって本発明の記載に含める。
【0048】
《例1》
この例は、角張ったニオブ粉末を使用する本発明の態様を説明する。電子ビームで作ったニオブインゴットを、120分間にわたって10−4Torr(1.3×10−2)まで減圧して850℃に加熱することによって水素化した。この減圧は、十分な時間にわたって21kPaの水素ガスパージで置換して、インゴットを脆性した。その後、−28インチHg(−94.8kPa)まで減圧してアルゴンで−5インチHg(16.9kPa)まで再び満たした。圧力は、作業熱伝対によって測定される温度が安定するまで維持した。空気を徐々に導入して圧力を増加させ、それによって作業温度が上昇しないようにした。脆性化したインゴットを、ジョークラッシャーで粉砕して角張った粉末にし、No.325のふるいを通る粉末(粒度が44μmの粒子と等価)を取り出して分級した。粒子から放出される水素によって圧力が影響を受けなくなるまで、減圧下で粒子を850℃に加熱することによって、大きさが小さくなった水素含有粒子から水素を除去して、金属ニオブの角張った粉末を提供した。この粉末は、フィッシャーサブシーブサイズが10.6μm、スコット密度が2.67g/cm3(43.8g/in3)、塊状化前のBET表面積が0.17m2/g、酸素が1,770ppm、酸素とBET表面積との比が10,400ppm−−O/(m2/g)、及び流動性が19mg/秒である。約0.34gの角張った非塊状化ニオブ粉末の試料を、直径0.6mmのニオブ導線の周りで直径約5mmのアノード型に圧縮して入れて、密度を3.5g/cm3にした。圧縮ニオブ粉末の試料を、10分間にわたって減圧下(10−3Pa未満)において、4つの異なる温度、すなわち1,300、1,450、1,600、及び1,750℃で焼結させ、0.1wt%のリン酸に浸漬したアノードに50Vの電圧を印可して、20mA/gの一定電流で陽極酸化処理して、電解キャパシターアノードを製造した。このアノードは洗浄して乾燥させた。18%の硫酸に浸漬したアノードで測定して評価したキャパシターの性能特性を表1に示す。周波数を120Hzにして測定したキャパシタンスは、1gあたりのマイクロファラッドボルト(CV/g)及びアノード体積1cm3あたりのマイクロファラッドボルト(CV/cm3)で示している。また、35Vで1分間充電した後で測定したDC漏れは、マイクロファラッド−ボルトあたりのナノアンペア(nA/CV)で示している。
【0049】
《例2》
この例は、角張った粉末及びフレーク状の粉末の塊状化混合物を含む本発明の粉末の態様を示している。ガス抜きを行った2.5ポンド(1.13kg)の角張った粉末であって、例1と本質的に同様に調製した粉末を、l−S Union Process磨砕撹拌ボールミルで処理した(285rpmで90分間)。ここでは、2400mlのエタノール媒体及び40ポンド(18.1kg)3/16インチ(4.8mm)440SS媒体中に分散させた粉末を、回転棒の作用によって動くステンレスボールの衝撃によって、フレーク状粉末にする。フレーク状にする所望の変形の後で、ニオブ粉末を取り出して洗浄し、存在するアルコールを除去する。その後、ニオブ粉末を、それぞれニオブに対して500ml/ポンド(1102ml/kg)、4ml/ポンド(9ml/kg)、及び250ml/ポンド(551ml/kg)の脱イオン水、フッ化水素酸、及び塩酸の混合物(22ml/kgのHFを含有する18.6%HCl)で洗浄して、金属汚染物質(例えば、ステンレス鋼ボールとの接触によってもたらされた鉄、ニッケル、クロム等)を除去した。その後、脱イオン水で再びニオブ粉末を洗浄して乾燥した。酸で洗浄したフレーク状粉末は、85°F(30℃)の空気中で乾燥した。この粉末のアスペクト比(顕微鏡写真の観察によって測定)は、50〜70であった。フレーク状粉末を、角張った開始粉末(重量比は30:70)及びリンを60ppmにする量のリン含有粉末、すなわちNH4PF6と混合した。これは、後の塊状化熱処理の間に表面積の減少を最少にする粒子保護剤として作用する。塊状化させる前のBET表面積は、0.31m2/gであった。混合粉末は、減圧下で30分間にわたって1,100℃に加熱して塊状化して、塊状化体を作った。塊状化方法は、材料を減圧して高真空にし、3℃/分の加熱速度で700℃まで加熱し、そして高い圧力が達成されるまで保持して脱ガスするようにして作った。炉において加熱を継続して、高圧下で8℃/分の加熱速度を使用して1,100℃まで加熱して、30分間保持した。その後、材料を炉で放冷し、空気に露出させて不動態化した。その後、ジョークラッシャーによって材料を細かくして、比較的小さい塊状粒子にした。小さくなった粒子は、No.50のふるいを通過し(最大塊状粒子の大きさは300μmに等価)、スコット密度は1.3g/cm3(21.7g/in3)、BET表面積は0.26m2/g、酸素含有率は3,693ppm、及びリン含有率は25ppm、酸素とBET表面積との比は14,000ppm−O/(m2/g)、及び流動性は22mg/sであった。塊状化粉末をアノードにして、例1と同様な様式で電気的性質を試験した。これについては表1に報告する。
【0050】
《例3》
この例は、塊状化したフレーク状粉末を含む本発明の粉末の態様を説明している。アスペクト比が約50〜70の、酸で浸出したフレーク状粉末は、本質的に例2で説明したようにして調製した(サイクル時間は60分)。ただしここでは、ニオブ粉末は、850℃の温度において20.7kPa(3psig)の圧力で水素に露出させて水素化することによって2度目の水素化をし、脆性のフレークをもたらし、これを冷却して、流動層ジェットミル(米国ニュージャージー州サミットのHosokawa Micron Powder Systemから入手)での自己衝突によって小さくし、粒度の中央値が6μm(レーザー粒度走査によって測定)のフレーク状粉末を作った。塊状化前のBET表面積は、0.62m2/gであった。減圧下において10℃/分の加熱速度で1050℃まで炉を加熱して水素雰囲気で加熱し、炉の圧力が100μmHg(13.3Pa)未満に減少するまでこの温度を維持することによって、大きさが小さくなったフレーク状粉末を塊状化させた。タンタルの粗いチップ(10〜20メッシュ)を、Nbが1に対してTaが1〜1.5の重量比で、酸素ゲッターとして使用した。炉に再び水素を満たして、圧力を360mmHg(48.0kPa)にし、炉の温度を1,200℃まで上昇させて、1時間維持した。炉の圧力が1μmHg(0.13Pa)未満になる間で水素を再び抜き出して、炉を室温まで冷却させた。ニオブ粉末は、空気中において30サイクルにわたって不動態化した。ここでは、それぞれのサイクルで操作圧力を20Torr(2.67kPa)増加させて2分間維持し、その後で空気による次の充填を開始した。塊状化ニオブ粉末は、ジョークラッシャーによって大きさを小さくして塊状化粒子にして、大きさが小さくなった塊状化フレークニオブ粉末をNo.50のふるいによるスクリーニングによって分級した(300μmの最大塊状化フレーク粒子に等価)。これは、スコット密度が1.21g/cm3(20.4g/in3)、BET表面積が0.46m2/g、酸素含有率が8,760ppm、及酸素とBET表面積との比が19,000ppm−O/(m2/g)、及び流動性が1mg/s未満であった。この塊状化粉末をアノードにして、例1と同様な様式で電気的性質を試験した。これについては表1に報告する。
【0051】
《例4》
この例は、高表面積で低酸素含有率の塊状化フレーク状ニオブ粉末を含む本発明の粉末のもう1つの態様を説明している。ニオブ粉末は、例3と同様な様式で製造した。ただしここでは、ニオブ粉末を、90分間にわたって摩砕して、30分間にわたって1,150℃で、減圧下において加熱処理した。塊状化前のBET表面積は、0.85m2/gであった。本質的に例3と同様にして調製したフレーク状ニオブ粉末の酸素含有物は、2時間にわたって750℃〜850℃の温度のアルゴン雰囲気において、4〜5wt%のマグネシウム粉末と混合したニオブ粉末を加熱することによって減少させた。マグネシウム含有量は、ニオブ粉末中における酸素の化学量論量の2〜3倍になるようにした。冷却の後で、残留マグネシウム及び酸化物は、硝酸による浸出によって塊状化したフレーク状ニオブから除去した。脱酸素化したフレーク状ニオブは水洗し、乾燥させ、そしてNo.のふるいを通して分級した。ふるいにかけたニオブフレークは、スコット密度が1.47g/cm3(24.1g/in3)、BET表面積が0.96m2/g、酸素含有率が3,130ppm、酸素とBET表面積との比が3,260ppm−O/(m2/g)、及び流動性が76mg/sであった。この塊状化粉末をアノードにして、例1と同様な様式で電気的性質を試験した。これについては表1に報告する。
【0052】
【表1】
【0053】
《例5》
ニオブ粉末は、例4と同様な様式で製造した。ただしここでは、30分間にわたって1,250℃で、減圧下において熱処理を行った。塊状化前のBET表面積は、0.78m2/gであった。この粉末は、例1と同様にしてアノードにした。これは以下のような特性を示す。
【0054】
【表2】
ここで、Vfは形成電圧である。
【0055】
《例6》
ニオブ粉末は、例4と同様な様式で製造した。ただしここでは、ニオブ粉末を150分間にわたって摩砕し、1μmHg(0.13Pa)まで減圧し温度を50℃/分で950℃まで上昇させ、高真空が達成されるまで維持して、減圧炉で熱処理を行った。その後温度を15℃刻みで上昇させて、1,250℃にし、この温度を30分間維持した。その後、減圧下で材料を室温まで冷却し、30サイクルにわたって不動態化した。ここでは、それぞれのサイクルの後で圧力を20Torr(2.67kPa)増加させ、2分間維持し、その後で次の空気充填を開始した。その後、50メッシュショークラッシャーによって粉末を粉砕し、4wt%の金属マグネシウムと混合して脱酸素し、材料をレトルト炉に配置して、100μmHg(13.3Pa)に減圧した。塊状化前のBET表面積は、1.05m2/gであった。アルゴンで炉を再び充填して、800Torr(106.7kPa)の圧力にし、800℃になるまで圧力を上昇させ、2時間維持した。その後材料を室温まで放冷し、例3と同様な様式で空気中において30サイクルにわたって不動態化した。その後材料を、脱イオン水(500ml/ポンド(1102ml/kg))、フッ素化水素酸(4ml/ポンド(9ml/kg))、及び硝酸(250ml/ポンド(551ml/kg))の混合物で洗浄した。その後、粉末を脱イオン水で洗浄して乾燥させた。その後、このニオブ粉末を例1と同様にしてアノードにした。その性能特性については以下に示す。
【0056】
【表3】
ここでVfは形成温度である。
【0057】
《例7》
ニオブ粉末は、例6と同様な様式で製造した。ただしここでは、ニオブ粉末をリンと混合してから熱処理して、リン含有率が56ppmになるようにした。塊状化前のBET表面積は、1.05m2/gであった。材料は、例3と同様な様式で水素化し、例6と同様な様式で粉砕し、加熱処理し、そして脱酸素処理した。その後、このニオブ粉末を例1と同様にしてアノードにした。その性能特性については以下に示す。
【0058】
【表4】
ここでVfは形成温度である。
【0059】
《例8》
ニオブ粉末は、例4と同様な様式で製造した。ただしここでは、1000ポンド(454kg)の3/16インチ(4.8mm)SS媒体、80ポンド(36.3kg)のニオブ粉末、及び13ガロン(42リットル)のエタノールを使用して、8時間にわたって30S摩砕装置(130rpm)で、ニオブ粉末を微粉砕した。微粉砕した粉末を、上述の様式で酸で浸出させて洗浄した。その性能特性については以下に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
例1〜8のニオブ粉末は、Nbインゴットチップの脱気の間に炉に侵入した空気によって、窒素含有率が約1000ppm〜約2000ppm程度であることが観察された。
【0062】
《例9》
図1、2、3及び4は、示している範囲のBET表面積を有する様々なNb粉末の、CV/g対BET表面積を示している。それぞれの図は、特定の焼結温度の粉末に関して、CV/gの測定値を示している。図によれば、焼結温度が高くなると、アノードの表面積の喪失が大きくなり、比較的高い焼結温度の試料を試験すると、任意の特定の粉末飼料でCV/gが一般に減少している(CV/gは、焼結後の残留アノード比表面積に比例している)。
【0063】
図1〜図4によって示されているように、任意の所定の焼結温度で、達成されるCV/gは、試料の開始BET表面積に対して特定の関係を有する。示されているように、BET表面積が小さいと正味のCV/gが小さくなり、BET表面積が大きくなるとCV/gも大きくなる。BET表面積が大きい材料では、焼結の間に表面積が減少する程度が、大きい表面積を打ち消すほどに大きくなり、もともとの大きいBET表面積に対して少ない割合が焼結の後でCV/gとして示される。つまり、BETが最も大きくなると、CV/gは減少する。このために、BETに対するCV/gの値は、焼結の後で最も多くの正味比表面積を残すBET表面積の値で最大となる。一般に、図示されているように、比較的低い焼結温度は、比較的BETが大きい材料で最適なCV/gを達成し、小さくBET表面積が大きい粒子を非常に破壊しやすい比較的高い焼結温度は、比較的BET表面積が小さい粉末で最適なCV/gを達成する。
【0064】
一般に、任意の所定の焼結温度のための最適なBETが存在し、一連の全ての最適なBETが、焼結温度に対応する表面積をもたらす。図に示されているように、CV/gは一般にBETに比例し、CV/gは焼結温度に対して一定の関係を有する。従って、図5は、焼結温度に関してプロットされた図1〜図3のそれぞれの焼結温度でのCV/gを示している。図5は、1,300℃の焼結で達成されるCV/gが約61,000程度であることを示している。
【0065】
図5は、図1〜3のそれぞれの最大CV/gを決定する客観的で数学的に正しい方法に基づいている。図1〜図3のそれぞれのCV/g対BETの対応は、極大値を示すことが観察されるので、それぞれの図のデータに最も適合する関数の最大値を見つけることによって解析する。CV/g対BETの実際の対応は、複数の変数の複雑な関数である。しかしながら、関数のテイラー級数による展開は、限定された範囲の独立関数(この場合にはBET)では、テイラー級数の初めの3つの項によって、全ての関数がほぼ示されることを示している。2次式(F(x)=ax2+bx+c)としての関数の近似値は、任意の選択されたxの値の限られた周囲で有効である。xの値がこの限られた周囲にある限り、この計算は有効である。それぞれの場合の最適なBETは、隣接するBET領域の中央の値として使用している。従って、この値の近くでBETの近似は最も有効である。データの2次近似の極大値は、図1〜3のデータのピークCV/gで最も良好に評価されている。このために、マイクロソフトエクセルv5.0の近似曲線ツールを使用して、データの最も良好な2次近似を図1〜3で行っている。これは、図1〜3で測定されたデータに放物曲線を重ねる。図1〜3の放物線の極大値は、図5のためのデータとして使用している。
【0066】
図5における一連の極大CV/g対焼結温度を、マイクロソフトエクセルV5.0の曲線近似ツールを使用して、指数関数的減衰近似した。極大CV/g対焼結温度の対応の最も良い近似として指数関数的減衰を選択したのは、図で示されているように、CV/gは焼結温度が上昇するにつれて減少するが、CV/gは原理的に0.0よりも小さくはならないためである。これは、比表面積が0よりも小さくなることがないためである(負にはなり得ない)。漸次的に0まで減少する指数関数は、負のCV/gが予想されない図5のデータで使用することができる最も単純な関数である。マイクロソフトエクセルv5.0によってもたらされる最も良好な指数近似を図5に行っている。これは、先に説明した図1〜3の全てのデータに基づいて、1300℃の焼結温度で達成される最大CV/gの計算を可能にする。
【0067】
図4は、1300℃の焼結温度で試験した利用可能なNb試料についての実際のデータを示している。しかしながら、図4のデータはピークを示していない。これは、1300℃での焼結に最適なBETを有する試料が存在しないためである。図1〜3でのようにデータに2次近似を行った。得られた結果を図4に重ねると、図1〜3のピークの範囲内にはピークが存在しないことが示され、またピークがCV/g>55,000及びBET>1.7で示される。図4の場合に、図5のデータをもたらすために使用したのと同じ解析を使用して予想されるピークCV/gは、図5によって評価される独立にもたらした最大値に非常に近い最大CV/gを示している。1,300℃での焼結による最大CV/gの2つの別々の証明は一致しており、1.7を超えるBET表面積(2又はそれよりも大きいBET表面積)のもので作った材料は、1,300℃の焼結条件で試験したときに55,000を超えるCV/gを示すことを明らかにしている。
【0068】
【表6】
【0069】
《例10》
ここでは、ニオブ粉末に対する酸素の影響を調べた。それぞれ1ポンド(0.45kg)のフレーク状ニオブ粉末の5つの試料(例5のように調製)を試験した。試料のうちの1つは対照標準で、残りの4つの試料を、ニオブ粉末中の酸素含有率を増加させるような様式で処理した。特に、4つの試料は、30分間にわたって900℃の炉で熱処理した。これらの粉末はその後、先の例で説明したようにして、空気中で不動態化した。その後、これら4つの試料のうちの1つを取り出し、残りの3つの試料を、再び上述の様式と同様な様式で、熱処理して不動態化した。上述のように、これら3つの試料のうちの1つを取り出して、残りの2つの試料に対して処理を繰り返した。その後で、再び試料のうちの1つを取り出して、最後に残った試料に、上述のように再び熱処理及び不動態化を行った。従って、熱処理をそれぞれ0、1、2、3、又は4回行った5つの調製された試料が存在する。これらの試料のそれぞれについて酸素含有率を調べる前に、試料をそれぞれ40メッシュのふるいにかけた。
【0070】
その後、粉末を塊状化させて、表3に示すような様々な温度で焼結させ且つ3つの異なる形成電圧でアノードした。DC漏れの結果も表3に示している。表3並びに図6及び7の結果から理解されるように、ニオブ中の酸素含有率が増加すると、DC漏れは段々と減少する。DC漏れの減少は特に、形成電圧が比較的低いとき、例えば30及び50Vであるときに明確である。
【0071】
【表7】
【0072】
《例11》
ここでは、リンがニオブ粉末に与える影響を試験した。例5と同様な様式で調製したニオブ粉末の6つの試料を試験した。試料のうちの1つは対照標準として使用し、残りの5つの試料には十分なリン酸を加えて、それぞれリン含有率を5ppm、10ppm、30ppm、100ppm及び500ppmにした。リン酸は、150mlの脱イオン水を伴う希釈溶液として加えた。リン酸溶液と粉末を混合して、減圧炉で試料を乾燥した。乾燥の後で、試料をそれぞれ配合し、リン含有率について試験した。結果は表4に示している。表4並びに図8及び9から理解されるように、リン酸をドーピングすることによって小さい影響があり、DC漏れの性質を改良するためには、比較的多くのリンをドーピングすることは必要ではないことが注目される。
【0073】
【表8】
【0074】
《例12》
ここでは、窒素ドーピングの影響を調べた。
【0075】
窒素ドーピング例の系列
[試料60−、25−、55−、及び46−14XXのロット]
電子ビームによって作った3回溶融させたニオブインゴットを、120分間にわたって850℃で10−4Torr(1.33×10−2Pa)の減圧下において加熱することによって水素化した。インゴットが脆性になるのに十分な時間にわたって、減圧を21kPaの水素ガスでパージすることによって置き換えた。−28インチHg(−94.8kPa)まで減圧を行って、−5インチHg(16.9kPa)までアルゴンを再び満たした。作業熱電対によって測定される温度が安定するまで、減圧を維持した。空気を徐々に導入して、作業温度が上昇しないようにして圧力を上昇させた。
【0076】
Granutec破砕装置によって最大粒子を小さくし、No.20のふるいを通るようにした。最小の95%がNo.325のふいるいを通過するようになるまで(44μmの粒度に等価)、20,000rpmでVortec Productsの衝撃磨砕装置で処理を繰り返して、粒子をさらに小さくした。
【0077】
粒子から放出される水素によって圧力がもはや影響を受けなるなるまで、減圧下で粒子を850℃に加熱することによって水素を除去して、スコット密度が42でBETが0.22m2/gの角張った金属ニオブ粉末を提供した。
【0078】
その後、30S Union Process磨砕装置において、粉末を磨砕した。この磨砕は以下の条件で行った。
媒体:1,000ポンド(454kg)、3/16インチ(4.8mm)SS媒体
80ポンド(36.3kg)ニオブ粉末
期間:4時間、30分
エタノール13ガロン(49.2リットル)
130rpm
【0079】
材料を減圧濾過して、残留エタノールを除去し、エタノール臭がしなくなるまで脱イオン水で洗浄し、減圧濾過して残留水を除去した。その後、しめった粉末を、塩化水素酸(250ml/ポンド(551ml/kg))、フッ素化水素酸(6ml/ポンド(13ml/kg))及び脱イオン水(250ml/ポンド(551ml/kg))のスラリーで洗浄して、金属汚染物質を除去した。その後、粉末を脱イオン水で洗浄して、80℃の空気中で乾燥した。
【0080】
850℃で20.7kPaの水素に露出させることによって、乾燥した粉末に2回目の水素化を行って、脆性のフレークを提供し、これを冷却して、Vortec Procuctsの衝撃粉砕装置によって大きさを小さくして、21.4のスコット密度を達成した。
【0081】
1250℃で60分間にわたって減圧下で加熱することによって、大きさを小さくしたフレーク状粉末を塊状化させて塊状化体を得て、これをジョークラッシャーによって小さくして、最大でNo.50のふるいを通る大きさにする。
【0082】
その後、4wt%の金属マグネシウムと配合することによって、粉末を脱酸素化した。以下の熱処理をレトルト炉で行った。
100μmHg(13.3Pa)への減圧
2時間にわたる800Torr(106.7kPa)及び800℃への充填
室温への冷却
それぞれ2分間で30サイクルにわたって空気含有率を増加させることによる不動態化、ここでは系の圧力を高真空から大気圧にしている
【0083】
その後、脱イオン氷(500g/ポンド(1102g/kg))、フッ素化水素酸(4ml/ポンド(9ml/kg))及び硝酸(250ml/ポンド(551ml/kg))の混合物によって、材料を洗浄した。粉末は、脱イオン水ですすいで、80℃で空気乾燥した。(14B1)
【0084】
試料14XXXのための、窒素ドーピング方法
ニオブ粉末を4%のマグネシウム粉末と混合して、アルゴン中において800℃に加熱し、この温度で60分間維持した。容器を減圧し、70℃に冷却した。130Torr(17.3kPa)のN2ガスを容器に保持させて、温度を500℃に上昇させ、アルゴン雰囲気において60分間維持した。生成物を40℃に冷却して、標準の不動態化技術を使用して、徐々に空気にさらした。
【0085】
試料60−、25−、55−、及び46−39XXのロット
電子ビームによって作った3回溶融させたニオブインゴットを、850℃で120分間にわたって10−4Torr(1.33×10−2Pa)の減圧下で加熱することによって水素化した。インゴットを脆性にするのに十分な時間にわたって、減圧を21kPaの水素ガスパージで置き換えた。−28インチHg(−94.8kPa)まで減圧を行って、−5インチHg(−16.9kPa)までアルゴンを再び満たした。作業熱電対によって測定される温度が安定するまで、減圧を維持した。空気を徐々に導入して、作業温度が上昇しないようにして圧力を上昇させた。
【0086】
Granutec破砕装置によって最大粒子を小さくし、No.20のふるいを通るようにした。材料の最小の95%がNo.325のふいるいを通過するようになるまで(44μmの粒度に等価)、20,000rpmでVortec Productsの衝撃磨砕装置で処理を繰り返して、粒子をさらに小さくした。
【0087】
粒子から放出される水素によって圧力がもはや影響を受けなくなるまで、減圧下で粒子を850℃に加熱することによって水素を除去して、スコット密度が42でBETが0.22m2/gの角張った金属ニオブ粉末を提供した。その後、Vortec分級装置を使用して、+8μmで生成物を分級した。
【0088】
その後、30S Union Process磨砕装置において、粉末を磨砕した。この磨砕は以下の条件で行った。
媒体:1,000ポンド(454kg)、3/16インチ(4.8mm)SS媒体
80ポンド(36.3kg)ニオブ粉末
期間:6時間
エタノール13ガロン(49リットル)
130rpm
【0089】
材料を減圧濾過して、残留エタノールを除去し、エタノール臭がしなくなるまで脱イオン水で洗浄し、減圧濾過して残留水を除去した。その後、しめった粉末を、塩化水素酸(250ml/ポンド(551ml/kg))、フッ素化水素酸(6ml/ポンド(13ml/kg))及び脱イオン水(250ml/ポンド(551ml/kg))のスラリーで洗浄して、金属汚染物質を除去した。その後、粉末を脱イオン水で洗浄して、80℃の空気中で乾燥した。
【0090】
850℃で20.7kPaの水素に露出させることによって、乾燥した粉末に2回目の水素化を行って、脆性のフレークを提供し、これを冷却して、Vortec Procuctsの衝撃粉砕装置によって大きさを小さくして、21.4のスコット密度を達成する。
【0091】
1,200℃で60分間にわたって減圧下で加熱することによって、大きさを小さくしたフレーク状粉末を塊状化させて塊状化体を得て、これをジョークラッシャーによって小さくして、最大でNo.50のふるいを通る大きさにした。60分間にわたって1,225℃で、これに2回目の熱的な塊状化を行った。冷却の後で、炉を目的のレベル(以下の表を参照)にし、減圧下で特定の期間にわたって5SCFHの流量で、窒素を送出した。その後、周囲圧力に回復するまで40分間にわたって、空気で操作圧力を段々と上昇させて、材料を不動態化した。
【0092】
【表9】
【0093】
この材料は、その後2回目の粉砕をして、観察される最大粒子が、No.50のふるいを通るようにした。
【0094】
粉末はその後、4wt%の金属マグネシウムと配合することによって脱酸素し、そして窒素でドープした。その後、以下の熱処理をレトルト炉で行った。
100μmHg(13.3Pa)への減圧
2時間にわたって800Torr(106.7kPa)及び800℃へのアルゴンによる充填
500Torr(66.7kPa)の窒素を加えての70℃への冷却
500℃への加熱及び60分間の維持、そして40℃への冷却
それぞれ2分間の30サイクルにわたる空気含有率の増加による不動態化、ここでは系の圧力を高真空から大気圧に増加させている
【0095】
その後、脱イオン水(500g/ポンド(1102g/kg))、フッ素化水素酸(4ml/ポンド(9ml/kg))及び硝酸(250ml/ポンド(551ml/kg))の混合物によって、材料を洗浄した。粉末は、脱イオン水ですすいで、80℃で空気乾燥した。表5は、この粉末の解析値を示している。
【0096】
【表10】
【0097】
これらの実験の結果は、表6及び7に示す。これらは、図10〜21にもプロットしてある。理解されるように、ニオブ中の窒素含有物は、DC漏れの低下に貢献し、比較的高いアノード焼結温度では、特に低い形成電圧を使用したときに、DC漏れが更に減少する。
【0098】
キャパシターアノードは、上述の例と同様にして調製した。
【0099】
【表11】
【0100】
【表12】
【0101】
本発明の他の例は、本明細書及びここで示された本発明の実施を考慮することによって当業者に明確である。本明細書の説明及び例は単なる例示であり、本発明の実際の範囲及び本質は特許請求の範囲に記載する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素化ニオブ粉末及び窒素化ニオブ粉末を使用する電解キャパシター、並びにこのような粉末及び電解キャパシターを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長年にわたって、ニオブ電解キャパシターの開発が求められてきた。これは、様々な他の金属と比較したときに、ニオブのコストが比較的安く且つその酸化物の誘電率が大きいことによる。初めにこの分野の研究者は、タンタルキャパシターの代わりとしてニオブを使用する可能性を考慮した。従って、多くの研究は、タンタルをニオブで置き換えることの好ましさについて調べている。
【0003】
しかしながら、これらの研究のいくらかでは、ニオブには解決すべき重要な基本的問題があることを結論づけている。この問題により、ニオブはタンタルを許容できるように置き換えない。(非特許文献1を参照)。他の1つの研究では、固体電解キャパシターでのニオブの使用は、電場結晶のような様々な物理的及び機械的問題によって、非常に好ましくないと結論づけている。(非特許文献2を参照)。更に、もう1つの研究では、ニオブ上において陽極酸化で形成される不動態フィルムが達成する電気的性質が、タンタルで達成される電気的性質とは異なること、及びニオブの使用が、タンタルでは存在しない錯体をもたらすことを結論づけている。(非特許文献3を参照)。従って、ニオブがタンタルの好ましい代替物になるという当初の希望とは違って、電解キャパシターの市場において、ニオブはタンタルに取って代われないということが示された。
【0004】
タンタル電解キャパシターと並んで、アルミニウム電解キャパシターの市場も存在する。しかしながら、アルミニウム電解キャパシターの性能特性は、タンタル電解キャパシターの性能特性とはかなり異なっている。
【0005】
最近の電気回路は、比較的小さい等価直列抵抗(ESR)及び等価直列インダクタンス(ESL)を求めるようになってきている。ICの性能はサブミクロンの形状まで達しているので、比較的小さい供給電圧及びノイズ率が必要とされている。同時に、IC速度の向上は比較的多くの電力を必要とする。これらの矛盾が、より良好な電力の取り扱いを必要とする。これは、電力供給源を分配することによって達成することができるが、このようにするとノイズを打ち消すために比較的大きな電流が必要になる。IC速度の向上は、切り替え時間を短くすること及び過渡電流を大きくすることも意味している。従って、電気回路は過渡負荷応答を減少させるように設計しなければならない。これらの多くの要求は、回路が、低ESR及びESLで、十分に大きいキャパシタンスを持つ場合に、達成される。
【0006】
アルミニウムキャパシターは典型的に、全てのタイプのキャパシターの中で、最も大きいキャパシタンスを提供する。ESRは、キャパシタンスが増加すると小さくなる。従って現在では、上述の要求を満たすために、高キャパシタンスアルミニウムキャパシターの大きなバンクを使用している。しかしながら、アルミニウムキャパシターは、ESR及びESLに関する設計者の要求を実際には満たしていない。液体電解質を伴うその機械的な構造は本質的に、高インピーダンスで数百ミリオームのESRを作る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J.Electrochem.Soc.、p.408C、1977年12月
【非特許文献2】Electrocomponent Science and Technology、Vol.1、p.27〜37(1974年)
【非特許文献3】Elecrochimica Act.、Vol.40、No.16、p.2623〜26(1995年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特徴は、窒素化ニオブ粉末を提供することである。
【0009】
本発明の更なる特徴は、窒素化ニオブ粉末を提供することであり、この窒素化ニオブ粉末は好ましくは高表面積で、高キャパシタンスのキャパシターを作ることを可能にする物性を持つ。
【0010】
本発明のもう1つの特徴は、DC漏れ(直流電流漏れ)の少ないキャパシターを作る窒素化ニオブを提供することである。
【0011】
本発明の更なる特徴は、窒素化ニオブ粉末から作ったキャパシターでのDC漏れを減少させる方法を提供することである。
【0012】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下に示す説明でその一部を示し、また一部は説明から明らかになり、又は本発明を実施することによって理解することができる。
【0013】
本発明は、窒素化ニオブ粉末に関する。本発明のもう1つの面は、BET表面積が少なくとも約0.15m2/gの任意の窒素化ニオブ粉末に関する。
【0014】
本発明は、電解キャパシターのアノードにしたときに、アノードが30,000CV/g〜約61,000CV/gのキャパシタンスを示す窒素化ニオブ粉末にも関する。
【0015】
本発明は、窒素化ニオブ粉末から作ったニオブアノードでのDC漏れを減少させる方法にも関する。ここでこの方法は、十分な量の窒素を窒素化ニオブ粉末に導入して、製造するキャパシターのアノードでのDC漏れを減少させる工程を含む。
【0016】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、単なる説明及び例示であり、特許請求の範囲に記載される本発明を更に説明することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、ニオブ粉末のBET表面積と、それらをアノードにして1,750℃で焼結したときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図2】図2は、ニオブ粉末のBET表面積と、それらをアノードにして1,600℃で焼結したときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図3】図3は、ニオブ粉末のBET表面積と、それらをアノードにして1,450℃で焼結したときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図4】図4はニオブ粉末のBET表面積と、それらをアノードにして1,300℃で焼結したときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図5】図5は、ニオブアノードの焼結温度と、計算されたそれらの最大キャパシタンスを示すグラフである。
【図6】図6は、ニオブ粉末の酸素ドープレベルと、それらをアノードにし、50Vの形成電圧を使用して様々な温度で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図7】図7は、ニオブ粉末の様々な酸素ドープレベルと、それらをアノードにし、30Vの形成電圧を使用して様々な温度で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図8】図8は、ニオブ粉末の様々なリンドープレベルと、それらをアノードにしたときのキャパシタンスを示すグラフである。
【図9】図9は、ニオブ粉末の様々なリンドープレベルと、それらをアノードにしたときのDC漏れを示すグラフである。
【図10】図10は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、50Vの形成電圧を使用して1,300℃又は1,450℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図11】図11は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、35Vの形成電圧を使用して1,300℃又は1,450℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図12】図12は、図10と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図13】図13は、図11と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図14】図14は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、35Vの形成電圧を使用して1,300℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図15】図15は、図14と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図16】図16は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、35Vの形成電圧を使用して1,450℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図17】図17は、図16と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図18】図18は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、50Vの形成電圧を使用して1,300℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図19】図19は、図18と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【図20】図20は、様々なニオブ粉末中に存在する窒素の量と、それらをアノードにし、50Vの形成電圧を使用して1,450℃で焼結したときのDC漏れを示すグラフである。
【図21】図21は、図20と同じニオブ試料を、酸素含有率及びDC漏れに関して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、窒素を含有するニオブ粉末に関する。存在する窒素の量は、不純物としてニオブ粉末中に存在する窒素の量よりも一般に多い。この態様のニオブ粉末中に存在する窒素の大部分は、ニオブ粉末中の窒素の含有率を増加させる意図的な条件(すなわち、ニオブの窒素化)によってもたらされたものである。ニオブ中の窒素の存在は、任意の様式で達成することができる。例えば、窒素は、ニオブの処理の任意の段階で、ニオブに導入すること(例えば、ドープすること)ができる。この段階としては、ニオブインゴットの溶融、二酸化段階、ニオブの水素化、ニオブの非潤滑化(delubing)、ニオブの焼結(例えば、ニオブキャパシターアノードの焼結)、ニオブの任意の熱処理、任意の熱処理段階、又はこれらの処理工程又は段階の1又は複数の前又は後の任意のとき、のうちの1又は複数の段階を挙げることができる。
【0019】
任意の手段を使用してニオブ材料を窒素化することができる。この手段としては、限定するわけではないが、窒素含有環境(例えばN2ガス)又は窒素含有材料に露出させて、材料に窒素を拡散させることがあり、好ましくは熱循環をさせながらこれを行う(例えば、直接の物理的接触による拡散、又はガス吸着及び/又は吸収による窒素含有材料の反応によって、窒素固溶体を調製する)。
【0020】
ニオブ中に窒素が存在することの利益の1つは、少なくとも部分的にこのニオブ粉末で作ったキャパシターのDC漏れが減少することである。ニオブ中に存在する窒素の量は任意の量でよく、好ましくはニオブ粉末又はニオブ粉末から作った物品に好ましくない性質をもたらさない量である。窒素の好ましい量は、ニオブ粉末から作ったキャパシターのDC漏れを減少させる量である。いくらかの例は、利益を最小化する点が存在すること、及びある窒素含有率では、DC漏れの減少に関して更なる利益がないことを示している。一般に、存在する窒素の量は、少なくとも約300ppmであり、少なくとも約400ppm又は少なくとも約500ppm又はそれ以上でよい。窒素は、約300ppm〜約5,000ppmでよく、又は約500ppm〜約4,000ppm、約500ppm〜約3,500ppm、1,500ppm〜約5,000ppm、及び/又は約500ppm〜約3,000ppmでよい。
【0021】
窒素化ニオブから作ったキャパシターのDC漏れに関して、DC漏れの様々な減少を観察することができる。一般に、ニオブを窒化すると、実質的に窒素を含有しない(例えば、窒素が100ppm未満の)ニオブ粉末と比較したときに、約50%又はそれ未満、又は25%又はそれ未満の減少が観察された。
【0022】
ニオブ粉末中の窒素の量及び窒素の存在によって達成される利益は、一部がキャパシターの電圧及びニオブ粉末の焼結温度に基づくことがある。好ましくは焼結温度は約1200℃〜約1750℃、より好ましくは約1300℃〜約1600℃である。一般に、焼結温度が高くなると、DC漏れは少なくなる。従って、高い焼結温度が好ましい。また、この態様では、窒素を伴うニオブから作るキャパシターの形成電圧は、一部がニオブでできているキャパシターにふさわしい任意の形成電圧でよく、これは例えば、約50V若しくはそれ未満、又は約30V〜約50Vである。この形成電圧は、約30〜約35V又はそれ未満(25、20、15、10、5V)でよい。これは、比較的低い形成電圧も、比較的少ないDC漏れに貢献できるためである。
【0023】
この態様で使用することができるニオブは、任意のニオブ粉末、例えばフレーク状のもの、角張ったもの、ノジュラー状のもの、及びそれらの混合物又は変形でよい。以下で示す及び/又は説明する態様の任意のものも、上述の窒素量のニオブ粉末をもたらす条件で処理することができる。
【0024】
フレーク状にしたニオブ粉末に関して、この粉末は、平坦、プレート状、及び/又はペレット状にされていることとで特徴付けることができる。また、フレーク状ニオブ粉末のアスペクト比(厚さに対する直径の比)は、約3〜約300、好ましくは約3〜約30でよい。フレーク状のニオブ粉末は、その形状によって表面積を増加させることを可能にする。好ましくは、フレーク状ニオブ粉末のBET表面積は、少なくとも0.15m2/g、より好ましくは少なくとも約1.0m2/g、更により好ましくは少なくとも約2.0m2/gである。フレーク状ニオブ粉末の好ましいBET表面積は、約1.0m2/g〜約5.0m2/g、より好ましくは約2.0m2/g〜約5.0m2/g、又は約2.0m2/g〜約4.0m2/gである。このBET表面積は、塊状化させる前のフレーク状ニオブ粉末に基づいている。
【0025】
フレーク状ニオブ粉末は塊状化することができる。フレーク状ニオブ粉末は、水素化されていても水素化されていなくてもよい。塊状化フレーク状ニオブ粉末は好ましくは、スコット密度が約35g/in3(2.14g/cm3)未満、より好ましくは約10〜約35g/in3(0.61〜2.14g/cm3)である。非塊状化フレーク状ニオブ粉末は好ましくは、スコット密度が約12g/in3(0.73g/cm3)未満、より好ましくは約5g/in3(0.31g/cm3)未満である。好ましくは、塊状化フレーク状ニオブ粉末の流動性は、80mg/s超、より好ましくは約80mg/s〜約500mg/sである。
【0026】
フレーク状ニオブ粉末は、ニオブインゴットを得て、これを水素ガスに露出させて水素化することによって脆性にして調製することができる。その後、水素化したインゴットを破壊して角張った粉末にする。これには例えば、ジョークラッシャーを使用する。その後、減圧化での加熱によって水素を除去し、ガス抜きをした角張っている粉末を微粉砕することができる。これは例えば、撹拌ボールミルで行い、ここでは、粉末を、エタノールのような流体媒体(水性又は非水性)に分散させて、回転棒の作用によって動くステンレス鋼ボールの衝撃でフレーク状粉末を作る。水素脆性化を行い、その後でフレークを衝撃微粉砕することによって、様々な大きさのフレークを製造することができる。これは例えば、流動層ジェットミル、Vortecミル、又は他の適当な微粉砕工程の使用によって行う。
【0027】
フレーク状ニオブ粉末は随意に、酸素含有率が高くてもよい。これは例えば、ドーピング又は他の酸素導入方法によって行う。酸素ドーピング成分の量は、少なくとも約2,000ppmでよい。より好ましくは、フレーク状ニオブ粉末の酸素含有率は、約2,000ppm〜約20,000ppm、より好ましくは約2,750ppm〜約10,000ppm、最も好ましくは約4,000ppm〜約9,000ppmである。酸素によるニオブ粉末のドーピングは、様々な様式で行うことができる。この様式としては、限定するわけではないが、減圧下における900℃の加熱及び空気中での冷却の繰り返しを挙げることができる。あるいは、フレーク状ニオブ又は他のタイプのニオブの酸素含有率は低くてもよく、例えば1,000ppm未満であってもよい。
【0028】
更に、フレーク状ニオブ粉末は、酸素と組み合わせた又は単独のリンでドーピングすることもできる。リンによるニオブ粉末のドーピングも随意である。本発明の1つの態様では、ニオブ粉末にドーピングするリンの量は、約400ppm未満、より好ましくは約100ppm未満、最も好ましくは約25ppm未満である。
【0029】
ここで挙げる例に基づくと、リンドーピングの量は、様々な量のリンをドーパントとして含有するニオブ粉末から作ったアノードのキャパシタンス及びDC漏れに関して重要でないこともある。従って、ニオブ粉末で作ったある種のアノードに関するDC漏れ及びキャパシタンスに、リンが与える利益が少なく又は全くないので、1つの態様では、リンの量は少なく無視できる量であり、又はリンが存在しない。
【0030】
ニオブ粉末の他の例としては、有意の量の酸素が存在するニオブ粉末(例えば、フレーク状、角張ったもの、ノジュラー状、又はそれらの混合)を挙げることができる。酸素含有率は、上述の様式で達成することができる。好ましくは、ニオブ粉末中の酸素の量は、少なくとも約2,000ppm、より好ましくは約2000ppm〜約20,000ppmである。ニオブ粉末中における酸素の他の好ましい範囲は、約2,750ppm〜約10,000ppm、及び約4,000ppm〜約9,000ppmである。これらのニオブ粉末に関して、フレーク状ニオブ粉末のみに関する態様と同様に、ある種の態様では、ニオブ粉末中のリン含有率はかなり低くてよい。好ましくは、そのような態様において、リン含有率(ドーパントとして)は、約400ppm未満、より好ましくは約100ppm未満、最も好ましくは約25ppm未満である。
【0031】
ニオブ粉末のもう1つの例は、BET表面積が少なくとも0.5m2/g、好ましくは少なくとも約1.0m2/g、より好ましくは約1.0〜約5.0m2/g、最も好ましくは約2.0〜約5.0m2/gのニオブ粉末(例えば、フレーク状、角張ったもの、ノジュラー状、及びそれらの混合)である。ここで、BET表面積は、塊状化させる前のニオブ粉末に基づいている。ニオブ粉末は、水素化していても水素化しなくてもよい。また、ニオブ粉末は塊状化することができる。この態様のニオブ粉末は、窒素でドーピングすることができる。また、ある種の用途では、ニオブ粉末の酸素含有率は約2,000ppm未満でよい。
【0032】
前記BET表面積のフレーク状ニオブ粉末又は任意の形状のニオブ粉末の製造に関して、例は、後にフレーク状又は他の形状にすることができるニオブ粉末を製造する好ましい工程を示している。一般に、このプロセスは以下のようなものであり、これらの例は、本発明のニオブ粉末を製造する好ましい態様に関して、特定の詳細な説明を行う。
【0033】
一般に、BET表面積が少なくとも0.5m2/gのニオブ粉末の調製では、減圧下での加熱によってニオブインゴットを水素化して脆性にし、これを粉砕して粉末にする。粉末中の水素は随意に、減圧下で加熱することによって除去することができる。粉末を微粉砕することによって、様々なBET表面積を達成することができる。この微粉砕は例えば、磨砕プロセスによって行う。粉末のBET表面積を比較的大きくするためには一般に、比較的長い微粉砕時間が必要である。例えば、微粉再時間が約60分間である場合、BET表面積は約1.0m2/gになる。比較的大きいBET表面積を得るためには、比較的長い微粉砕時間が必要であり、約4〜約5m2/g又はそれ以上のBET表面積を得るためには、磨砕装置で約24時間又はそれ以上にわたって微粉砕することが、そのようなBET表面積が大きいニオブ粉末を製造する1つの方法である。そのような高表面積をもたらす場合、好ましくは30−SL Union Process磨砕装置で、1,000ポンド(454kg)の3/16インチ(4.8mm)SS媒体及び約80ポンド(約36kg)のニオブ粉末を使用して、磨砕装置の回転速度を約130rpmに設定する。また、磨砕装置は、エタノールのような媒体を、十分な量、例えば13ガロン又はそれ以上保持するようにする。微粉砕処理の後でニオブ粉末に熱処理を行い、また、好ましくはニオブ粉末が、熱処理の間の表面積の減少を最小化するのに役立つ量のリン含有物を含むようにする。熱処理は、好ましくは表面積を減少させずに、一般に塊状化をもたらすのに十分な任意の温度でよい。使用することができる熱処理の温度は、約1,100℃で30分間である。しかしながら、温度及び時間を変更して、大きいBET表面積が減少しないことを確実にすることができる。上述の様々なニオブ粉末は、本発明のニオブ粉末を使用して作るキャパシターの電気的な性質によって更に特徴づけることができる。一般に、本発明のニオブ粉末の電気的性質は、ニオブ粉末を圧縮してアノードにし、この圧縮したニオブ粉末を適当な温度で焼結し、そしてこのアノードを陽極酸化処理して、電気的な性質を試験することができる電解キャパシターのアノードを作ることによって、試験することができる。
【0034】
従って、本発明のもう1つの態様は、本発明の窒素含有ニオブ粉末から作ったキャパシターに関する。本発明のニオブ粉末から作ったいくらかのアノードは、30,000CV/g〜約61,000CV/gのキャパシタンスを持つことができる。本発明のキャパシターアノードの製造では、所望の性質を持つキャパシターの製造を可能にする焼結温度を使用する。好ましくは、この焼結温度は、約1,200℃〜約1,750℃、より好ましくは約1,200℃〜約1,400℃、最も好ましくは約1,250℃〜約1,350℃である。
【0035】
本発明のニオブ粉末から作るアノードは好ましくは、約60V未満、好ましくは約30〜約50V、より好ましくは約40Vの電圧で作る。比較的小さい形成電圧、例えば約30V又はそれ未満も可能である。好ましくは、本発明のニオブ粉末で作ったアノードの使用電圧は、約4〜約16V、より好ましくは約4〜約10Vである。また、本発明のニオブ粉末で作ったアノードのDC漏れは好ましくは、約5.0na/CV未満である。本発明の1つの態様では、本発明のニオブ粉末から作ったアノードのDC漏れは、約5.0na/CV〜約0.50na/CVである。
【0036】
本発明は、表面に酸化ニオブフィルムを有する本発明のキャパシターにも関する。好ましくは、酸化ニオブフィルムは、五酸化ニオブフィルムを有する。
【0037】
本発明のキャパシターは、様々な用途、例えば自動車の電子機器;携帯電話;モニター、マザーボード等のようなコンピューター;TV及びCRTのような消費電気機器;プリンター/コピー;電力源;モデム;ノート型コンピューター;並びにディスクドライブで使用することができる。
【0038】
以下の例によって本発明をより明確にする。これらの例は本発明を例示することを意図している。
【実施例】
【0039】
[試験方法]
アノードの製造:
直径=0.197インチ(5mm)
3.5Dp
粉末重量=341mg
【0040】
アノードの焼結:
1,300℃ 10分
1,450℃ 10分
1,600℃ 10分
1,750℃ 10分
【0041】
30V Ef 陽極酸化処理:
0.1%H3PO4電解質において60℃で30V Ef
20mA/gの一定電流
【0042】
DC漏れ/キャパシタンス−ESR試験:
DC漏れ試験
試験電圧はEfの70%(21VのDC)
充電時間60秒
21℃で10%のH3PO4
キャパシタンス−DF試験
21℃で18%のH2SO4
120Hz
【0043】
50V Ef 再成形陽極酸化処理:
0.1%H3PO4電解質において60℃で50V Ef
20mA/gの一定電流
【0044】
DC漏れ/キャパシタンス−ESR試験:
DC漏れ試験
試験電圧はEfの70%(35VのDC)
充電時間は60秒
21℃で10%のH3PO4
キャパシタンス−DF試験
21℃で18%のH2SO4
120Hz
【0045】
75V Ef 再成形陽極酸化処理:
0.1%H3PO4電解質において60℃で75V Ef
20mA/gの一定電流
【0046】
DC漏れ/キャパシタンス−ESR試験:
DC漏れ試験
試験電圧はEfの70%(52.5VのDC)
充電時間は60秒
21℃で10%のH3PO4
キャパシタンス−DF試験
21℃で18%のH2SO4
120Hz
【0047】
スコット密度、酸素解析、リン解析、及びBET解析は、米国特許第5,011,742号、同第4,960,471号、及び同第4,964,906号明細書で示される方法に従って行った。これらの特許明細書の記載は、ここで参照することによって本発明の記載に含める。
【0048】
《例1》
この例は、角張ったニオブ粉末を使用する本発明の態様を説明する。電子ビームで作ったニオブインゴットを、120分間にわたって10−4Torr(1.3×10−2)まで減圧して850℃に加熱することによって水素化した。この減圧は、十分な時間にわたって21kPaの水素ガスパージで置換して、インゴットを脆性した。その後、−28インチHg(−94.8kPa)まで減圧してアルゴンで−5インチHg(16.9kPa)まで再び満たした。圧力は、作業熱伝対によって測定される温度が安定するまで維持した。空気を徐々に導入して圧力を増加させ、それによって作業温度が上昇しないようにした。脆性化したインゴットを、ジョークラッシャーで粉砕して角張った粉末にし、No.325のふるいを通る粉末(粒度が44μmの粒子と等価)を取り出して分級した。粒子から放出される水素によって圧力が影響を受けなくなるまで、減圧下で粒子を850℃に加熱することによって、大きさが小さくなった水素含有粒子から水素を除去して、金属ニオブの角張った粉末を提供した。この粉末は、フィッシャーサブシーブサイズが10.6μm、スコット密度が2.67g/cm3(43.8g/in3)、塊状化前のBET表面積が0.17m2/g、酸素が1,770ppm、酸素とBET表面積との比が10,400ppm−−O/(m2/g)、及び流動性が19mg/秒である。約0.34gの角張った非塊状化ニオブ粉末の試料を、直径0.6mmのニオブ導線の周りで直径約5mmのアノード型に圧縮して入れて、密度を3.5g/cm3にした。圧縮ニオブ粉末の試料を、10分間にわたって減圧下(10−3Pa未満)において、4つの異なる温度、すなわち1,300、1,450、1,600、及び1,750℃で焼結させ、0.1wt%のリン酸に浸漬したアノードに50Vの電圧を印可して、20mA/gの一定電流で陽極酸化処理して、電解キャパシターアノードを製造した。このアノードは洗浄して乾燥させた。18%の硫酸に浸漬したアノードで測定して評価したキャパシターの性能特性を表1に示す。周波数を120Hzにして測定したキャパシタンスは、1gあたりのマイクロファラッドボルト(CV/g)及びアノード体積1cm3あたりのマイクロファラッドボルト(CV/cm3)で示している。また、35Vで1分間充電した後で測定したDC漏れは、マイクロファラッド−ボルトあたりのナノアンペア(nA/CV)で示している。
【0049】
《例2》
この例は、角張った粉末及びフレーク状の粉末の塊状化混合物を含む本発明の粉末の態様を示している。ガス抜きを行った2.5ポンド(1.13kg)の角張った粉末であって、例1と本質的に同様に調製した粉末を、l−S Union Process磨砕撹拌ボールミルで処理した(285rpmで90分間)。ここでは、2400mlのエタノール媒体及び40ポンド(18.1kg)3/16インチ(4.8mm)440SS媒体中に分散させた粉末を、回転棒の作用によって動くステンレスボールの衝撃によって、フレーク状粉末にする。フレーク状にする所望の変形の後で、ニオブ粉末を取り出して洗浄し、存在するアルコールを除去する。その後、ニオブ粉末を、それぞれニオブに対して500ml/ポンド(1102ml/kg)、4ml/ポンド(9ml/kg)、及び250ml/ポンド(551ml/kg)の脱イオン水、フッ化水素酸、及び塩酸の混合物(22ml/kgのHFを含有する18.6%HCl)で洗浄して、金属汚染物質(例えば、ステンレス鋼ボールとの接触によってもたらされた鉄、ニッケル、クロム等)を除去した。その後、脱イオン水で再びニオブ粉末を洗浄して乾燥した。酸で洗浄したフレーク状粉末は、85°F(30℃)の空気中で乾燥した。この粉末のアスペクト比(顕微鏡写真の観察によって測定)は、50〜70であった。フレーク状粉末を、角張った開始粉末(重量比は30:70)及びリンを60ppmにする量のリン含有粉末、すなわちNH4PF6と混合した。これは、後の塊状化熱処理の間に表面積の減少を最少にする粒子保護剤として作用する。塊状化させる前のBET表面積は、0.31m2/gであった。混合粉末は、減圧下で30分間にわたって1,100℃に加熱して塊状化して、塊状化体を作った。塊状化方法は、材料を減圧して高真空にし、3℃/分の加熱速度で700℃まで加熱し、そして高い圧力が達成されるまで保持して脱ガスするようにして作った。炉において加熱を継続して、高圧下で8℃/分の加熱速度を使用して1,100℃まで加熱して、30分間保持した。その後、材料を炉で放冷し、空気に露出させて不動態化した。その後、ジョークラッシャーによって材料を細かくして、比較的小さい塊状粒子にした。小さくなった粒子は、No.50のふるいを通過し(最大塊状粒子の大きさは300μmに等価)、スコット密度は1.3g/cm3(21.7g/in3)、BET表面積は0.26m2/g、酸素含有率は3,693ppm、及びリン含有率は25ppm、酸素とBET表面積との比は14,000ppm−O/(m2/g)、及び流動性は22mg/sであった。塊状化粉末をアノードにして、例1と同様な様式で電気的性質を試験した。これについては表1に報告する。
【0050】
《例3》
この例は、塊状化したフレーク状粉末を含む本発明の粉末の態様を説明している。アスペクト比が約50〜70の、酸で浸出したフレーク状粉末は、本質的に例2で説明したようにして調製した(サイクル時間は60分)。ただしここでは、ニオブ粉末は、850℃の温度において20.7kPa(3psig)の圧力で水素に露出させて水素化することによって2度目の水素化をし、脆性のフレークをもたらし、これを冷却して、流動層ジェットミル(米国ニュージャージー州サミットのHosokawa Micron Powder Systemから入手)での自己衝突によって小さくし、粒度の中央値が6μm(レーザー粒度走査によって測定)のフレーク状粉末を作った。塊状化前のBET表面積は、0.62m2/gであった。減圧下において10℃/分の加熱速度で1050℃まで炉を加熱して水素雰囲気で加熱し、炉の圧力が100μmHg(13.3Pa)未満に減少するまでこの温度を維持することによって、大きさが小さくなったフレーク状粉末を塊状化させた。タンタルの粗いチップ(10〜20メッシュ)を、Nbが1に対してTaが1〜1.5の重量比で、酸素ゲッターとして使用した。炉に再び水素を満たして、圧力を360mmHg(48.0kPa)にし、炉の温度を1,200℃まで上昇させて、1時間維持した。炉の圧力が1μmHg(0.13Pa)未満になる間で水素を再び抜き出して、炉を室温まで冷却させた。ニオブ粉末は、空気中において30サイクルにわたって不動態化した。ここでは、それぞれのサイクルで操作圧力を20Torr(2.67kPa)増加させて2分間維持し、その後で空気による次の充填を開始した。塊状化ニオブ粉末は、ジョークラッシャーによって大きさを小さくして塊状化粒子にして、大きさが小さくなった塊状化フレークニオブ粉末をNo.50のふるいによるスクリーニングによって分級した(300μmの最大塊状化フレーク粒子に等価)。これは、スコット密度が1.21g/cm3(20.4g/in3)、BET表面積が0.46m2/g、酸素含有率が8,760ppm、及酸素とBET表面積との比が19,000ppm−O/(m2/g)、及び流動性が1mg/s未満であった。この塊状化粉末をアノードにして、例1と同様な様式で電気的性質を試験した。これについては表1に報告する。
【0051】
《例4》
この例は、高表面積で低酸素含有率の塊状化フレーク状ニオブ粉末を含む本発明の粉末のもう1つの態様を説明している。ニオブ粉末は、例3と同様な様式で製造した。ただしここでは、ニオブ粉末を、90分間にわたって摩砕して、30分間にわたって1,150℃で、減圧下において加熱処理した。塊状化前のBET表面積は、0.85m2/gであった。本質的に例3と同様にして調製したフレーク状ニオブ粉末の酸素含有物は、2時間にわたって750℃〜850℃の温度のアルゴン雰囲気において、4〜5wt%のマグネシウム粉末と混合したニオブ粉末を加熱することによって減少させた。マグネシウム含有量は、ニオブ粉末中における酸素の化学量論量の2〜3倍になるようにした。冷却の後で、残留マグネシウム及び酸化物は、硝酸による浸出によって塊状化したフレーク状ニオブから除去した。脱酸素化したフレーク状ニオブは水洗し、乾燥させ、そしてNo.のふるいを通して分級した。ふるいにかけたニオブフレークは、スコット密度が1.47g/cm3(24.1g/in3)、BET表面積が0.96m2/g、酸素含有率が3,130ppm、酸素とBET表面積との比が3,260ppm−O/(m2/g)、及び流動性が76mg/sであった。この塊状化粉末をアノードにして、例1と同様な様式で電気的性質を試験した。これについては表1に報告する。
【0052】
【表1】
【0053】
《例5》
ニオブ粉末は、例4と同様な様式で製造した。ただしここでは、30分間にわたって1,250℃で、減圧下において熱処理を行った。塊状化前のBET表面積は、0.78m2/gであった。この粉末は、例1と同様にしてアノードにした。これは以下のような特性を示す。
【0054】
【表2】
ここで、Vfは形成電圧である。
【0055】
《例6》
ニオブ粉末は、例4と同様な様式で製造した。ただしここでは、ニオブ粉末を150分間にわたって摩砕し、1μmHg(0.13Pa)まで減圧し温度を50℃/分で950℃まで上昇させ、高真空が達成されるまで維持して、減圧炉で熱処理を行った。その後温度を15℃刻みで上昇させて、1,250℃にし、この温度を30分間維持した。その後、減圧下で材料を室温まで冷却し、30サイクルにわたって不動態化した。ここでは、それぞれのサイクルの後で圧力を20Torr(2.67kPa)増加させ、2分間維持し、その後で次の空気充填を開始した。その後、50メッシュショークラッシャーによって粉末を粉砕し、4wt%の金属マグネシウムと混合して脱酸素し、材料をレトルト炉に配置して、100μmHg(13.3Pa)に減圧した。塊状化前のBET表面積は、1.05m2/gであった。アルゴンで炉を再び充填して、800Torr(106.7kPa)の圧力にし、800℃になるまで圧力を上昇させ、2時間維持した。その後材料を室温まで放冷し、例3と同様な様式で空気中において30サイクルにわたって不動態化した。その後材料を、脱イオン水(500ml/ポンド(1102ml/kg))、フッ素化水素酸(4ml/ポンド(9ml/kg))、及び硝酸(250ml/ポンド(551ml/kg))の混合物で洗浄した。その後、粉末を脱イオン水で洗浄して乾燥させた。その後、このニオブ粉末を例1と同様にしてアノードにした。その性能特性については以下に示す。
【0056】
【表3】
ここでVfは形成温度である。
【0057】
《例7》
ニオブ粉末は、例6と同様な様式で製造した。ただしここでは、ニオブ粉末をリンと混合してから熱処理して、リン含有率が56ppmになるようにした。塊状化前のBET表面積は、1.05m2/gであった。材料は、例3と同様な様式で水素化し、例6と同様な様式で粉砕し、加熱処理し、そして脱酸素処理した。その後、このニオブ粉末を例1と同様にしてアノードにした。その性能特性については以下に示す。
【0058】
【表4】
ここでVfは形成温度である。
【0059】
《例8》
ニオブ粉末は、例4と同様な様式で製造した。ただしここでは、1000ポンド(454kg)の3/16インチ(4.8mm)SS媒体、80ポンド(36.3kg)のニオブ粉末、及び13ガロン(42リットル)のエタノールを使用して、8時間にわたって30S摩砕装置(130rpm)で、ニオブ粉末を微粉砕した。微粉砕した粉末を、上述の様式で酸で浸出させて洗浄した。その性能特性については以下に示す。
【0060】
【表5】
【0061】
例1〜8のニオブ粉末は、Nbインゴットチップの脱気の間に炉に侵入した空気によって、窒素含有率が約1000ppm〜約2000ppm程度であることが観察された。
【0062】
《例9》
図1、2、3及び4は、示している範囲のBET表面積を有する様々なNb粉末の、CV/g対BET表面積を示している。それぞれの図は、特定の焼結温度の粉末に関して、CV/gの測定値を示している。図によれば、焼結温度が高くなると、アノードの表面積の喪失が大きくなり、比較的高い焼結温度の試料を試験すると、任意の特定の粉末飼料でCV/gが一般に減少している(CV/gは、焼結後の残留アノード比表面積に比例している)。
【0063】
図1〜図4によって示されているように、任意の所定の焼結温度で、達成されるCV/gは、試料の開始BET表面積に対して特定の関係を有する。示されているように、BET表面積が小さいと正味のCV/gが小さくなり、BET表面積が大きくなるとCV/gも大きくなる。BET表面積が大きい材料では、焼結の間に表面積が減少する程度が、大きい表面積を打ち消すほどに大きくなり、もともとの大きいBET表面積に対して少ない割合が焼結の後でCV/gとして示される。つまり、BETが最も大きくなると、CV/gは減少する。このために、BETに対するCV/gの値は、焼結の後で最も多くの正味比表面積を残すBET表面積の値で最大となる。一般に、図示されているように、比較的低い焼結温度は、比較的BETが大きい材料で最適なCV/gを達成し、小さくBET表面積が大きい粒子を非常に破壊しやすい比較的高い焼結温度は、比較的BET表面積が小さい粉末で最適なCV/gを達成する。
【0064】
一般に、任意の所定の焼結温度のための最適なBETが存在し、一連の全ての最適なBETが、焼結温度に対応する表面積をもたらす。図に示されているように、CV/gは一般にBETに比例し、CV/gは焼結温度に対して一定の関係を有する。従って、図5は、焼結温度に関してプロットされた図1〜図3のそれぞれの焼結温度でのCV/gを示している。図5は、1,300℃の焼結で達成されるCV/gが約61,000程度であることを示している。
【0065】
図5は、図1〜3のそれぞれの最大CV/gを決定する客観的で数学的に正しい方法に基づいている。図1〜図3のそれぞれのCV/g対BETの対応は、極大値を示すことが観察されるので、それぞれの図のデータに最も適合する関数の最大値を見つけることによって解析する。CV/g対BETの実際の対応は、複数の変数の複雑な関数である。しかしながら、関数のテイラー級数による展開は、限定された範囲の独立関数(この場合にはBET)では、テイラー級数の初めの3つの項によって、全ての関数がほぼ示されることを示している。2次式(F(x)=ax2+bx+c)としての関数の近似値は、任意の選択されたxの値の限られた周囲で有効である。xの値がこの限られた周囲にある限り、この計算は有効である。それぞれの場合の最適なBETは、隣接するBET領域の中央の値として使用している。従って、この値の近くでBETの近似は最も有効である。データの2次近似の極大値は、図1〜3のデータのピークCV/gで最も良好に評価されている。このために、マイクロソフトエクセルv5.0の近似曲線ツールを使用して、データの最も良好な2次近似を図1〜3で行っている。これは、図1〜3で測定されたデータに放物曲線を重ねる。図1〜3の放物線の極大値は、図5のためのデータとして使用している。
【0066】
図5における一連の極大CV/g対焼結温度を、マイクロソフトエクセルV5.0の曲線近似ツールを使用して、指数関数的減衰近似した。極大CV/g対焼結温度の対応の最も良い近似として指数関数的減衰を選択したのは、図で示されているように、CV/gは焼結温度が上昇するにつれて減少するが、CV/gは原理的に0.0よりも小さくはならないためである。これは、比表面積が0よりも小さくなることがないためである(負にはなり得ない)。漸次的に0まで減少する指数関数は、負のCV/gが予想されない図5のデータで使用することができる最も単純な関数である。マイクロソフトエクセルv5.0によってもたらされる最も良好な指数近似を図5に行っている。これは、先に説明した図1〜3の全てのデータに基づいて、1300℃の焼結温度で達成される最大CV/gの計算を可能にする。
【0067】
図4は、1300℃の焼結温度で試験した利用可能なNb試料についての実際のデータを示している。しかしながら、図4のデータはピークを示していない。これは、1300℃での焼結に最適なBETを有する試料が存在しないためである。図1〜3でのようにデータに2次近似を行った。得られた結果を図4に重ねると、図1〜3のピークの範囲内にはピークが存在しないことが示され、またピークがCV/g>55,000及びBET>1.7で示される。図4の場合に、図5のデータをもたらすために使用したのと同じ解析を使用して予想されるピークCV/gは、図5によって評価される独立にもたらした最大値に非常に近い最大CV/gを示している。1,300℃での焼結による最大CV/gの2つの別々の証明は一致しており、1.7を超えるBET表面積(2又はそれよりも大きいBET表面積)のもので作った材料は、1,300℃の焼結条件で試験したときに55,000を超えるCV/gを示すことを明らかにしている。
【0068】
【表6】
【0069】
《例10》
ここでは、ニオブ粉末に対する酸素の影響を調べた。それぞれ1ポンド(0.45kg)のフレーク状ニオブ粉末の5つの試料(例5のように調製)を試験した。試料のうちの1つは対照標準で、残りの4つの試料を、ニオブ粉末中の酸素含有率を増加させるような様式で処理した。特に、4つの試料は、30分間にわたって900℃の炉で熱処理した。これらの粉末はその後、先の例で説明したようにして、空気中で不動態化した。その後、これら4つの試料のうちの1つを取り出し、残りの3つの試料を、再び上述の様式と同様な様式で、熱処理して不動態化した。上述のように、これら3つの試料のうちの1つを取り出して、残りの2つの試料に対して処理を繰り返した。その後で、再び試料のうちの1つを取り出して、最後に残った試料に、上述のように再び熱処理及び不動態化を行った。従って、熱処理をそれぞれ0、1、2、3、又は4回行った5つの調製された試料が存在する。これらの試料のそれぞれについて酸素含有率を調べる前に、試料をそれぞれ40メッシュのふるいにかけた。
【0070】
その後、粉末を塊状化させて、表3に示すような様々な温度で焼結させ且つ3つの異なる形成電圧でアノードした。DC漏れの結果も表3に示している。表3並びに図6及び7の結果から理解されるように、ニオブ中の酸素含有率が増加すると、DC漏れは段々と減少する。DC漏れの減少は特に、形成電圧が比較的低いとき、例えば30及び50Vであるときに明確である。
【0071】
【表7】
【0072】
《例11》
ここでは、リンがニオブ粉末に与える影響を試験した。例5と同様な様式で調製したニオブ粉末の6つの試料を試験した。試料のうちの1つは対照標準として使用し、残りの5つの試料には十分なリン酸を加えて、それぞれリン含有率を5ppm、10ppm、30ppm、100ppm及び500ppmにした。リン酸は、150mlの脱イオン水を伴う希釈溶液として加えた。リン酸溶液と粉末を混合して、減圧炉で試料を乾燥した。乾燥の後で、試料をそれぞれ配合し、リン含有率について試験した。結果は表4に示している。表4並びに図8及び9から理解されるように、リン酸をドーピングすることによって小さい影響があり、DC漏れの性質を改良するためには、比較的多くのリンをドーピングすることは必要ではないことが注目される。
【0073】
【表8】
【0074】
《例12》
ここでは、窒素ドーピングの影響を調べた。
【0075】
窒素ドーピング例の系列
[試料60−、25−、55−、及び46−14XXのロット]
電子ビームによって作った3回溶融させたニオブインゴットを、120分間にわたって850℃で10−4Torr(1.33×10−2Pa)の減圧下において加熱することによって水素化した。インゴットが脆性になるのに十分な時間にわたって、減圧を21kPaの水素ガスでパージすることによって置き換えた。−28インチHg(−94.8kPa)まで減圧を行って、−5インチHg(16.9kPa)までアルゴンを再び満たした。作業熱電対によって測定される温度が安定するまで、減圧を維持した。空気を徐々に導入して、作業温度が上昇しないようにして圧力を上昇させた。
【0076】
Granutec破砕装置によって最大粒子を小さくし、No.20のふるいを通るようにした。最小の95%がNo.325のふいるいを通過するようになるまで(44μmの粒度に等価)、20,000rpmでVortec Productsの衝撃磨砕装置で処理を繰り返して、粒子をさらに小さくした。
【0077】
粒子から放出される水素によって圧力がもはや影響を受けなるなるまで、減圧下で粒子を850℃に加熱することによって水素を除去して、スコット密度が42でBETが0.22m2/gの角張った金属ニオブ粉末を提供した。
【0078】
その後、30S Union Process磨砕装置において、粉末を磨砕した。この磨砕は以下の条件で行った。
媒体:1,000ポンド(454kg)、3/16インチ(4.8mm)SS媒体
80ポンド(36.3kg)ニオブ粉末
期間:4時間、30分
エタノール13ガロン(49.2リットル)
130rpm
【0079】
材料を減圧濾過して、残留エタノールを除去し、エタノール臭がしなくなるまで脱イオン水で洗浄し、減圧濾過して残留水を除去した。その後、しめった粉末を、塩化水素酸(250ml/ポンド(551ml/kg))、フッ素化水素酸(6ml/ポンド(13ml/kg))及び脱イオン水(250ml/ポンド(551ml/kg))のスラリーで洗浄して、金属汚染物質を除去した。その後、粉末を脱イオン水で洗浄して、80℃の空気中で乾燥した。
【0080】
850℃で20.7kPaの水素に露出させることによって、乾燥した粉末に2回目の水素化を行って、脆性のフレークを提供し、これを冷却して、Vortec Procuctsの衝撃粉砕装置によって大きさを小さくして、21.4のスコット密度を達成した。
【0081】
1250℃で60分間にわたって減圧下で加熱することによって、大きさを小さくしたフレーク状粉末を塊状化させて塊状化体を得て、これをジョークラッシャーによって小さくして、最大でNo.50のふるいを通る大きさにする。
【0082】
その後、4wt%の金属マグネシウムと配合することによって、粉末を脱酸素化した。以下の熱処理をレトルト炉で行った。
100μmHg(13.3Pa)への減圧
2時間にわたる800Torr(106.7kPa)及び800℃への充填
室温への冷却
それぞれ2分間で30サイクルにわたって空気含有率を増加させることによる不動態化、ここでは系の圧力を高真空から大気圧にしている
【0083】
その後、脱イオン氷(500g/ポンド(1102g/kg))、フッ素化水素酸(4ml/ポンド(9ml/kg))及び硝酸(250ml/ポンド(551ml/kg))の混合物によって、材料を洗浄した。粉末は、脱イオン水ですすいで、80℃で空気乾燥した。(14B1)
【0084】
試料14XXXのための、窒素ドーピング方法
ニオブ粉末を4%のマグネシウム粉末と混合して、アルゴン中において800℃に加熱し、この温度で60分間維持した。容器を減圧し、70℃に冷却した。130Torr(17.3kPa)のN2ガスを容器に保持させて、温度を500℃に上昇させ、アルゴン雰囲気において60分間維持した。生成物を40℃に冷却して、標準の不動態化技術を使用して、徐々に空気にさらした。
【0085】
試料60−、25−、55−、及び46−39XXのロット
電子ビームによって作った3回溶融させたニオブインゴットを、850℃で120分間にわたって10−4Torr(1.33×10−2Pa)の減圧下で加熱することによって水素化した。インゴットを脆性にするのに十分な時間にわたって、減圧を21kPaの水素ガスパージで置き換えた。−28インチHg(−94.8kPa)まで減圧を行って、−5インチHg(−16.9kPa)までアルゴンを再び満たした。作業熱電対によって測定される温度が安定するまで、減圧を維持した。空気を徐々に導入して、作業温度が上昇しないようにして圧力を上昇させた。
【0086】
Granutec破砕装置によって最大粒子を小さくし、No.20のふるいを通るようにした。材料の最小の95%がNo.325のふいるいを通過するようになるまで(44μmの粒度に等価)、20,000rpmでVortec Productsの衝撃磨砕装置で処理を繰り返して、粒子をさらに小さくした。
【0087】
粒子から放出される水素によって圧力がもはや影響を受けなくなるまで、減圧下で粒子を850℃に加熱することによって水素を除去して、スコット密度が42でBETが0.22m2/gの角張った金属ニオブ粉末を提供した。その後、Vortec分級装置を使用して、+8μmで生成物を分級した。
【0088】
その後、30S Union Process磨砕装置において、粉末を磨砕した。この磨砕は以下の条件で行った。
媒体:1,000ポンド(454kg)、3/16インチ(4.8mm)SS媒体
80ポンド(36.3kg)ニオブ粉末
期間:6時間
エタノール13ガロン(49リットル)
130rpm
【0089】
材料を減圧濾過して、残留エタノールを除去し、エタノール臭がしなくなるまで脱イオン水で洗浄し、減圧濾過して残留水を除去した。その後、しめった粉末を、塩化水素酸(250ml/ポンド(551ml/kg))、フッ素化水素酸(6ml/ポンド(13ml/kg))及び脱イオン水(250ml/ポンド(551ml/kg))のスラリーで洗浄して、金属汚染物質を除去した。その後、粉末を脱イオン水で洗浄して、80℃の空気中で乾燥した。
【0090】
850℃で20.7kPaの水素に露出させることによって、乾燥した粉末に2回目の水素化を行って、脆性のフレークを提供し、これを冷却して、Vortec Procuctsの衝撃粉砕装置によって大きさを小さくして、21.4のスコット密度を達成する。
【0091】
1,200℃で60分間にわたって減圧下で加熱することによって、大きさを小さくしたフレーク状粉末を塊状化させて塊状化体を得て、これをジョークラッシャーによって小さくして、最大でNo.50のふるいを通る大きさにした。60分間にわたって1,225℃で、これに2回目の熱的な塊状化を行った。冷却の後で、炉を目的のレベル(以下の表を参照)にし、減圧下で特定の期間にわたって5SCFHの流量で、窒素を送出した。その後、周囲圧力に回復するまで40分間にわたって、空気で操作圧力を段々と上昇させて、材料を不動態化した。
【0092】
【表9】
【0093】
この材料は、その後2回目の粉砕をして、観察される最大粒子が、No.50のふるいを通るようにした。
【0094】
粉末はその後、4wt%の金属マグネシウムと配合することによって脱酸素し、そして窒素でドープした。その後、以下の熱処理をレトルト炉で行った。
100μmHg(13.3Pa)への減圧
2時間にわたって800Torr(106.7kPa)及び800℃へのアルゴンによる充填
500Torr(66.7kPa)の窒素を加えての70℃への冷却
500℃への加熱及び60分間の維持、そして40℃への冷却
それぞれ2分間の30サイクルにわたる空気含有率の増加による不動態化、ここでは系の圧力を高真空から大気圧に増加させている
【0095】
その後、脱イオン水(500g/ポンド(1102g/kg))、フッ素化水素酸(4ml/ポンド(9ml/kg))及び硝酸(250ml/ポンド(551ml/kg))の混合物によって、材料を洗浄した。粉末は、脱イオン水ですすいで、80℃で空気乾燥した。表5は、この粉末の解析値を示している。
【0096】
【表10】
【0097】
これらの実験の結果は、表6及び7に示す。これらは、図10〜21にもプロットしてある。理解されるように、ニオブ中の窒素含有物は、DC漏れの低下に貢献し、比較的高いアノード焼結温度では、特に低い形成電圧を使用したときに、DC漏れが更に減少する。
【0098】
キャパシターアノードは、上述の例と同様にして調製した。
【0099】
【表11】
【0100】
【表12】
【0101】
本発明の他の例は、本明細書及びここで示された本発明の実施を考慮することによって当業者に明確である。本明細書の説明及び例は単なる例示であり、本発明の実際の範囲及び本質は特許請求の範囲に記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素含有率が少なくとも約300ppmである、ニオブ粉末。
【請求項2】
前記窒素含有率が少なくとも約400ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項3】
前記窒素含有率が少なくとも約500ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項4】
前記窒素含有率が約300〜約5,000ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項5】
前記窒素含有率が約500〜約4,000ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項6】
前記窒素含有率が約500〜約3,500ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項7】
前記窒素含有率が約500〜約3,000ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項8】
前記窒素含有率が約1,500〜約5,000ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項9】
電解キャパシターのアノードにしたときに、このアノードのDC漏れが、実質的に窒素を含まないニオブ粉末で作った電解キャパシターアノードのDC漏れよりも少ない、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項10】
実質的に窒素を含まないニオブ粉末で作った電解キャパシターアノードと比較したときに、DC漏れが約50%又はそれ未満減少する、請求項9に記載のニオブ粉末。
【請求項11】
実質的に窒素を含まないニオブ粉末で作った電解キャパシターアノードと比較したときに、DC漏れが約25%又はそれ未満減少する、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項12】
フレーク状ニオブ粉末を含む、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項13】
BET表面積が少なくとも0.15m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項14】
BET表面積が少なくとも約1.0m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項15】
BET表面積が少なくとも約2.0m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項16】
BET表面積が約1.0〜約5.0m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項17】
BET表面積が約2.0〜約5.0m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項18】
スコット密度が約35g/in3(約2.14g/cm3)未満である、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項19】
電解キャパシターのアノードにしたときに、このアノードのキャパシタンスが、約30,000CV/g〜約61,000CV/gである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項20】
請求項12に記載の前記ニオブ粉末で作ったキャパシター。
【請求項21】
ノジュラー状、フレーク状、角張ったニオブ粉末、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項22】
BET表面積が少なくとも約0.50m2/gである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項23】
BET表面積が約2.0〜約5.0m2/gである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項24】
請求項1に記載の前記ニオブ粉末を含有する組成物で作ったキャパシター。
【請求項25】
前記粉末が約1,200℃〜約1,750℃の温度で焼結されている、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項26】
前記粉末が約1,200℃〜約1,450℃の温度で焼結されている、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項27】
前記粉末が約1,250℃〜約1,350℃の温度で焼結されている、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項28】
請求項5に記載の前記ニオブ粉末を含有する組成物で作ったキャパシター。
【請求項29】
請求項8に記載の前記ニオブ粉末を含有する組成物で作ったキャパシター。
【請求項30】
リン含有率が約400ppm未満である、請求項1に記載の前記ニオブ粉末。
【請求項31】
約50V又はそれ未満の電圧で作った、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項32】
DC漏れが約5na/CV未満である、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項33】
DC漏れが約5.0na/CV〜約0.50na/CVである、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項34】
ニオブ粉末を十分な量の窒素でドープしてDC漏れを減少させる工程を含む、ニオブ粉末でできたニオブアノードのDC漏れを減少させる方法。
【請求項35】
前記ニオブ粉末を、少なくとも約100ppmの窒素でドープする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ニオブ粉末を、約100ppm〜約5,000ppmの窒素でドープする、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ニオブ粉末を、約300ppm〜約5,000ppmの窒素でドープする、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記ニオブ粉末を、少なくとも約300ppmの窒素でドープする、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記アノードを約50V又はそれ未満の電圧で作る、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記アノードを約1,200℃〜約1,750℃の温度で焼結する、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記アノードを約1,200℃〜約1,450℃の温度で焼結する、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記アノードを約1,250℃〜約1,350℃の温度で焼結する、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
表面に酸化ニオブの層を更に有する、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項44】
前記フィルムが五酸化ニオブの層を有する、請求項43に記載のキャパシター。
【請求項45】
ニオブインゴットの溶融の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記ニオブの脱酸素段階の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記ニオブの水素化の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項48】
前記ニオブの脱潤滑化の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項49】
前記ニオブの焼結の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
前記ニオブの熱処理の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも約2,000ppmの酸素を更に含有する、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項52】
前記ニオブ粉末を酸素でドープすることを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項53】
前記酸素が少なくとも2,000ppmの量で存在する、請求項52に記載の方法。
【請求項1】
窒素含有率が少なくとも約300ppmである、ニオブ粉末。
【請求項2】
前記窒素含有率が少なくとも約400ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項3】
前記窒素含有率が少なくとも約500ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項4】
前記窒素含有率が約300〜約5,000ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項5】
前記窒素含有率が約500〜約4,000ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項6】
前記窒素含有率が約500〜約3,500ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項7】
前記窒素含有率が約500〜約3,000ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項8】
前記窒素含有率が約1,500〜約5,000ppmである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項9】
電解キャパシターのアノードにしたときに、このアノードのDC漏れが、実質的に窒素を含まないニオブ粉末で作った電解キャパシターアノードのDC漏れよりも少ない、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項10】
実質的に窒素を含まないニオブ粉末で作った電解キャパシターアノードと比較したときに、DC漏れが約50%又はそれ未満減少する、請求項9に記載のニオブ粉末。
【請求項11】
実質的に窒素を含まないニオブ粉末で作った電解キャパシターアノードと比較したときに、DC漏れが約25%又はそれ未満減少する、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項12】
フレーク状ニオブ粉末を含む、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項13】
BET表面積が少なくとも0.15m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項14】
BET表面積が少なくとも約1.0m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項15】
BET表面積が少なくとも約2.0m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項16】
BET表面積が約1.0〜約5.0m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項17】
BET表面積が約2.0〜約5.0m2/gである、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項18】
スコット密度が約35g/in3(約2.14g/cm3)未満である、請求項12に記載のニオブ粉末。
【請求項19】
電解キャパシターのアノードにしたときに、このアノードのキャパシタンスが、約30,000CV/g〜約61,000CV/gである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項20】
請求項12に記載の前記ニオブ粉末で作ったキャパシター。
【請求項21】
ノジュラー状、フレーク状、角張ったニオブ粉末、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項22】
BET表面積が少なくとも約0.50m2/gである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項23】
BET表面積が約2.0〜約5.0m2/gである、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項24】
請求項1に記載の前記ニオブ粉末を含有する組成物で作ったキャパシター。
【請求項25】
前記粉末が約1,200℃〜約1,750℃の温度で焼結されている、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項26】
前記粉末が約1,200℃〜約1,450℃の温度で焼結されている、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項27】
前記粉末が約1,250℃〜約1,350℃の温度で焼結されている、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項28】
請求項5に記載の前記ニオブ粉末を含有する組成物で作ったキャパシター。
【請求項29】
請求項8に記載の前記ニオブ粉末を含有する組成物で作ったキャパシター。
【請求項30】
リン含有率が約400ppm未満である、請求項1に記載の前記ニオブ粉末。
【請求項31】
約50V又はそれ未満の電圧で作った、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項32】
DC漏れが約5na/CV未満である、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項33】
DC漏れが約5.0na/CV〜約0.50na/CVである、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項34】
ニオブ粉末を十分な量の窒素でドープしてDC漏れを減少させる工程を含む、ニオブ粉末でできたニオブアノードのDC漏れを減少させる方法。
【請求項35】
前記ニオブ粉末を、少なくとも約100ppmの窒素でドープする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ニオブ粉末を、約100ppm〜約5,000ppmの窒素でドープする、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記ニオブ粉末を、約300ppm〜約5,000ppmの窒素でドープする、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記ニオブ粉末を、少なくとも約300ppmの窒素でドープする、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記アノードを約50V又はそれ未満の電圧で作る、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記アノードを約1,200℃〜約1,750℃の温度で焼結する、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記アノードを約1,200℃〜約1,450℃の温度で焼結する、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記アノードを約1,250℃〜約1,350℃の温度で焼結する、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
表面に酸化ニオブの層を更に有する、請求項24に記載のキャパシター。
【請求項44】
前記フィルムが五酸化ニオブの層を有する、請求項43に記載のキャパシター。
【請求項45】
ニオブインゴットの溶融の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記ニオブの脱酸素段階の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記ニオブの水素化の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項48】
前記ニオブの脱潤滑化の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項49】
前記ニオブの焼結の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
前記ニオブの熱処理の間に、前記ドーピングを行う、請求項34に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも約2,000ppmの酸素を更に含有する、請求項1に記載のニオブ粉末。
【請求項52】
前記ニオブ粉末を酸素でドープすることを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項53】
前記酸素が少なくとも2,000ppmの量で存在する、請求項52に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−174377(P2010−174377A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−61379(P2010−61379)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2000−547633(P2000−547633)の分割
【原出願日】平成11年5月3日(1999.5.3)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61379(P2010−61379)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【分割の表示】特願2000−547633(P2000−547633)の分割
【原出願日】平成11年5月3日(1999.5.3)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】
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