説明

窒素負荷廃水の処理方法

本発明は、窒素含有化合物負荷廃水を精製するための方法に関し、窒素含有化合物負荷廃水はスメクタイト系層状ケイ酸塩と反応せられて、窒素含有化合物が負荷されたクレイ材料が得られる。そして、窒素含有化合物が負荷されたクレイ材料が分離されて、精製された廃水が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有化合物負荷廃水を精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトはケイ酸塩化合物の結晶であり、その結晶格子は酸素架橋を介して結合されたSiOとAlOの四面体である。空間配置は、互いの形態で同じ大きさを有する窓部又は通路部を通じてアクセス可能な、均一な空洞から構築される。このような結晶格子は、ポアの開口よりも小さい断面を有する分子は格子構造の空洞に取り込み、一方、それより大きな分子は進入できない篩のように振る舞うことができる。このように、ゼオライトはしばしばモレキュラーシーブと称される。ケイ酸アルミニウム骨格中の酸化アルミニウム四面体の負電荷を補償するために必要なカチオンは、四面体格子中で比較的動きやすく、他の金属イオンと容易に交換されうる。このように、ゼオライトはイオン交換体としても振る舞うことができる。
【0003】
ゼオライトは多様な技術的応用において用いられている。典型的な適用としては、洗浄水の軟化、化学反応における触媒、もしくは、例えば石油化学分野における混合ガスの分離流体がある。
【0004】
ゼオライトの製造では、適当なケイ素及びアルミニウム化合物がアルカリ条件下で反応される。反応はほとんどの場合高温度で行われ、付加的に、自己圧下の場合もある。反応時間は2、3時間から数日の範囲である。
【0005】
ゼオライトの合成はほとんどの場合、熱水条件下で行われる。反応性のアルカリ原料、ケイ素原料、アルミニウム原料、また、付加的に、種結晶が反応せられてゲルになる。続いてこのゲルは反応のために自己圧下のオートクレーブ中に置かれる。例えばナトリウム水ガラス又はシリカゲルが反応性の出発原料として用いられ、例えば水酸化アルミニウム又はアルミン酸ナトリウムがアルミニウム原料として用いられる。
【0006】
出発原料から直接に形成されるゼオライトもある。しかしながら、例えばMFIゼオライトのような多くのゼオライトでは、所望の構造の形成を支援するために構造指向材料が反応混合物中に添加される。ゼオライトの結晶化の間、これらのテンプレートが孔の位置を占領し、このように所望の結晶構造の形成を支援する。一般的にはアミンや4級アンモニウム化合物のような有機カチオンがしばしばテンプレートとして使用される。一般的には過剰量のテンプレートが反応混合物に添加される。合成の後、ゼオライトは母液から分離され、ゼオライトの孔からテンプレートを除去するために洗浄、焼成される。
【0007】
ゼオライトの合成中に産生される母液と洗浄液はいずれも強アルカリ性であり、かなりの量のテンプレートを含有している。
【0008】
高い窒素含有量のために、ゼオライト合成中に産生される廃水は、例えば生物学的浄化機構を有する汚水処理プラントに導入される前や、直接地上水の中に導入される前に、最初に処理されねばならない。一方でこの廃水は、強い富栄養化作用を有しているので環境に対して多大なダメージを与える。特にここで、4級窒素化合物の生分解性の低さが問題となる。
【0009】
このような窒素含有廃水の様々な処理方法が既に発達してきている。
【0010】
例えば焼却炉で廃水が焼却されるが、この手段はエネルギー消費が大きく、それに対応したコストも発生する。さらに、廃水に含有される窒素含有化合物を濃縮することも可能である。これは例えば、逆浸透や蒸留、或いは蒸発によって可能である。このような方式には多大な投資が必要であるため、このような廃水が大量に産生される場合にのみ有効な方法である。最終的に、ゼオライト合成中に生成される母液が、製造プロセスに直接的に返送されることもありうる。
【0011】
EP1,230,157B1公報は、前段階のバッチで得られた種結晶の存在下で、母液から分離されることなく出発物質の反応が行われる、MFI構造を有する合成ゼオライトを製造する方法を開示している。すなわちこの方法では、母液は次の合成バッチに再利用される。母液から分離されたゼオライト結晶はその後、洗浄及び焼成される。洗浄の間に産生される廃水が合成プロセスに戻されることはない。しかしながら、依然として相当に大量のテンプレートと塩を含有しているので、この廃水は、例えば、生物学的浄化プロセスを有する汚水処理プラントに直接導入することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許1230157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
すなわち、本発明の目的は、少量の廃水について好ましいコストで使用されうるとともに、廃水から窒素含有化合物を簡潔かつ効果的に除去できる、窒素含有化合負荷廃水を精製する方法を提供することである。この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって達成される。本発明の方法におけるさらなる具体例は、従属請求項に表される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の方法において、スメクタイト系層状ケイ酸塩が吸着剤として用いられる。このスメクタイト系層状ケイ酸塩は廃水から特に4級窒素化合物を効果的に吸着し、結果的に、生物学的浄化プロセスを有する汚水処理プラントに導入できる程度に廃水を精製するためには、少量の吸着剤しか必要でないことが見いだされた。本発明で使用されるスメクタイト系層状ケイ酸塩は、例えばフィルター濾過、遠心分離又は沈殿によって比較的簡単に水相から分離されうる。スメクタイト系層状ケイ酸塩は窒素含有化合物との反応によってフロック化され、特にそれが負荷されている場合には、結果として十分にフィルター濾過可能な懸濁液状となる。本発明の方法は簡潔な方法によって行われ、装置に特別な投資を必要としない。
本質的に、例えば窒素含有化合物負荷廃水とスメクタイト系層状ケイ酸塩とを反応させるために、また、窒素含有化合物が負荷されたクレイ材料を分離するためのフィルター濾過装置として、撹拌槽があれば十分である。本方法は、大量の負荷廃水の処理、少量の廃水の処理の両方に適している。このように本方法は例えば産業規模のゼオライト合成にも用いられ、そのためにはこの方法を実施するための特別の装置、例えば、適当なサイズの定置フィルターや廃水輸送ポンプ等が供されてもよい。しかしながら、本発明の方法は、例えば実験室やセミスケールのプラントでの合成における、僅少量の廃水の処理にも用いられうる。選択した装置についての費用はとても少なく抑えられ、例えば、撹拌子とビーカーと単純な濾紙のみともできる。本発明の方法はこのようにとても柔軟な適用ができる。
【0015】
本発明の目的は、このように、窒素含有化合物負荷廃水を精製する方法であり、かかる方法は、窒素含有化合物負荷廃水がスメクタイト系層状ケイ酸塩と反応せられて窒素含有化合物が負荷されたクレイ材料が得られ、窒素含有化合物が負荷されたクレイ材料が分離されて、精製された廃水が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】廃水の精製に使用されたスメクタイト系層状ケイ酸塩の重量を、COD値に対してプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の方法によれば、まず、窒素含有化合物負荷廃水が供される。廃水の排出源はどこでもよいが、好ましくは、例えば、化学合成の際に産生される廃水が本発明の方法で精製される。このような廃水は、例えば窒素含有化合物のような何らかの混雑物を相当高濃度で含有している可能性がある。しかしながら多くの場合、このような廃水は比較的一定の組成を有している。特に好ましくは、特定の化学反応において産生される廃液が、他の化学反応で産生される廃水と混合されて異なる化学組成を有するようになる前に、本発明の方法が用いられる。好ましくは、本発明の方法は一定の期間にわたって定常的に産生されて、ほぼ一定の組成を有する廃水を精製するために用いられる。特に好ましくは、プロセスエンジニアリング的には、廃水の産生の近くに配置された廃水流の地点において、本発明の方法が既に使われ、すなわち、別の組成を有する廃水と混合される前に本発明の方法が既に使われる。
【0018】
窒素含有化合物負荷廃水はこのようにスメクタイト系層状ケイ酸塩と反応される。このため、スメクタイト系層状ケイ酸塩は窒素含有化合物負荷廃水に添加される。スメクタイト系層状ケイ酸塩が廃水に添加される選択された態様は、当初、所望の形態でありうる。スメクタイト系層状ケイ酸塩は、例えば、フィルター層の形態や廃水流が通過するよう充填された形態のように、固定的に提供されてもよい。この実施態様では、スメクタイト系層状ケイ酸塩の膨潤能力は皆無か僅少であることが好ましく、さもなくばフィルター層や充填物が膨潤して容易に塞閉が生じ、結果として濾液が層状ケイ酸塩で形成された層をほとんど又は全く通過できなくなる。
【0019】
好ましくはスメクタイト系層状ケイ酸塩は窒素含有化合物負荷廃水に懸濁される。この方法の実施形態において、懸濁液は反応の間、例えば撹拌子を用いて動かされていることが好ましい。反応は室温で行われることが好ましい。このようにより迅速に、又は、より効果的な反応をさせるために、スメクタイト系層状ケイ酸塩の懸濁液を加熱する必要はない。好ましくは、反応中の廃水の温度として選択される温度は60℃未満であり、好ましくは50℃未満である。実施例によれば廃水の選択される温度は10℃より高く、好ましくは15℃よりも高い。同様に、反応は常温で行われることが好ましい。
【0020】
付加的に、反応の進行はサンプリングによって追跡されうる。好ましくは、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%の廃水に含まれる窒素含有化合物が、スメクタイト系層状ケイ酸塩に捕捉されるまで、反応を進める。スメクタイト系層状ケイ酸塩の適当量は、付加的に予備実験によって確認されうる。さらに、定量のスメクタイト系層状ケイ酸塩が反応中に添加されるのでもよい。
【0021】
廃水からの窒素含有化合物の除去の指標としてCOD値が用いられることもある。例えば、ゼオライト合成の母液における典型的なCOD値として確認されたのは150,000mg/L Oより高い範囲である。例えばゼオライト合成において産生される洗浄水のCOD値は2,000〜10,000mg/L Oの範囲であるが、洗浄工程の進行や使用される洗浄水の量が考慮されねばならない。窒素含有化合物が混入した廃水を、生物学的浄化プロセスを有する汚水処理プラントに導入できるためには、廃水のCOD値は800mg/L O未満に低減されねばならない。本発明の方法によってこの要求値は満たされうる。実施の形態によれば、廃水のCOD値は発明の方法によって800mg/L O未満に低減される。つまり精製された廃水を、例えば生物学的浄化プロセスを有する汚水処理プラントに導入できる。
【0022】
続いて窒素含有化合物に負荷されたクレイ材料が分離される。通常の方法はこのために行われうる。例えば、クレイ材料は沈殿物と上澄液とにデカンテーションで分離されうる。しかしながらまた、例えば、クレイ材料を遠心分離によって分離し、水相をデカンテーションで分離することもできる。クレイ材料は、濾過によって分離されることが好ましい。分離に使用される装置は、処理される廃水の量によって選択される。例えば、少量の分離にはひだ折り濾紙が用いられ、より大量の場合には加圧フィルターが用いられうる。
【0023】
窒素含有化合物が負荷されたクレイ材料が分離された後、例えば生物学的浄化プロセスを有する汚水処理プラントに導入される精製された廃水が得られ、精製された廃水にさらなる環境負荷物質が含まれていない場合には、直接に地上水として流すこともできる。精製された廃水のpHは10未満であることが好ましい。実施形態によれば精製された廃水のpHは5より高く、さらなる実施形態によれば6より高い。
【0024】
スメクタイト系層状ケイ酸塩は窒素化合物、特に4級窒素化合物に対して非常に高い親和性を有することが見いだされ、そのために窒素含有化合物負荷廃水を効果的に精製することが可能となった。
【0025】
既述のとおり、本発明の方法は特に、例えば、化学反応の間に産生される窒素含有化合物負荷廃水の精製に適している。
【0026】
好ましい実施形態によれば、本発明の方法は廃水から4級アルキルアンモニウム化合物を分離するために使用される。このような4級アルキルアンモニウム化合物は例えば、ゼオライトの合成においてテンプレートとして使用される。4級アルキルアンモニウム化合物の選択された構造は、所望の如くとでき、窒素原子に結合するアルキル基は同一であっても異なっていてもよい。このように、ただ1種類のアルキル基を有し、つまり、NRXという構造式を有する4級アンモニウム塩、及び、2、3、4種類のアルキル基を有してNRXという構造式を有する4級アンモニウム塩とのどちらもが除去されうる。Rの4つの基のうち2又は3つが同一であってもよい。R、R、R、R基は炭素数1〜10の直鎖又は分岐したアルキル基でありうる。4級アンモニウム化合物のアニオンXとしては本質的に制限されず所望のものが選択される。4級アンモニウム化合物のアニオンは好ましくはCl、Br、OHからなる群から選択される。
【0027】
本発明の方法において、特に親水性アルキルアンモニウム化合物が廃水から除去される。そして、好ましい実施形態によれば、4級アンモニウム化合物は炭素数が6未満のアルキル基を有する。スメクタイト系層状ケイ酸塩はアンモニウム化合物と反応されうることが知られており、例えば有機親水性のベントナイトが得られる。しかしながら、これに用いられるアンモニウム化合物は、長鎖のアルキル基を有していてもよい。この対応するアンモニウム化合物は明瞭に疎水性の性質を有する。このような疎水性アンモニウム化合物を液体に移動させるために、水よりも非極性の溶媒、例えば、水とアルコール(例えばエタノール)との混合物が使用される。親水性アンモニウム化合物も本発明の方法によって液相から除去されうる。これはまた、他のイオン、例えば、ゼオライト合成の間に産生される廃水に含まれる典型的なアルカリ金属イオン、アルミン酸塩などが多量に存在する場合でも使用できる。特に好ましくは、本発明の方法によって廃水から除去される4級アンモニウム化合物のアルキル基は炭素数1〜4である。好ましくは、R、R、R、Rのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基からなる群から選択される。ゼオライト合成の間に使用される4級アンモニウム化合物はテトラプロピルアンモニウム化合物であり、例えば、テトラプロピルアンモニウムブロマイドである。
【0028】
実際の本発明の方法の実施時には、過大量のスメクタイト系層状ケイ酸塩は、窒素含有化合物負荷廃水と反応しないかもしれないことは好都合である。さもなければ、添加されたスメクタイト系層状ケイ酸塩が非常に大量、つまり、廃水中に大量の窒素含有化合物がある場合、非常に粘性の高い懸濁液、又は、もはや簡単には加工され得ないスラリーが得られる。所与量の廃水を精製するために非常に大量のスメクタイト系層状ケイ酸塩を使用することは、このように経済的な観点では好都合ではない。
【0029】
実施形態によれば、本方法は、窒素含有化合物が不均衡に負荷されていない廃水を精製するために使用されることが好ましい。このような低負荷の廃水の例は、ゼオライト合成の間に、母液から分離された後のゼオライトを洗浄する時に産出される廃水である。
【0030】
実施形態によれば、本発明は、負荷廃水中の窒素含有化合物量が5000 mg/L Nより少ない、さらなる実施形態によれば800 mg/L Nより少ない、さらなる実施形態によれば100 mg/L Nより少ない、窒素含有化合物負荷廃水の精製に適している。実施形態によれば、廃水中の窒素含有化合物のレベルは10ppmより高く、さらなる実施例によれば20ppmより高い。所与の濃度値は窒素原子についての値である。
【0031】
既述のとおり、本発明の方法によって、他のイオン、特に金属イオンをより大量に含有する廃水から、窒素含有化合物を除去できることが見いだされた。このような廃水は、特に、ゼオライト合成の工程において、ゼオライト結晶の洗浄の間に産出される洗浄水が典型的なものである。
【0032】
実施形態によれば、窒素含有化合物負荷廃水は、特にナトリウムイオン、カリウムイオンであるアルカリ金属イオンの濃度が15000mg/L Xより少なく、好ましくは2000mg/L Xより少なく、特に好ましくは500mg/L Xより少ない。ここでXはナトリウム又はカリウムであり、特にナトリウムイオンである。実施形態によれば、アルカリ金属イオンの窒素含有化合物負荷廃水中のアルカリ金属イオン濃度は10mg/L Xより高く、さらなる実施例によれば100mg/L Xより高い。
【0033】
さらなる実施形態によれば、窒素含有化合物負荷廃液中のアルミニウムイオン濃度は15mg/L Al3+より少なく、さらなる実施形態によれば10mg/L Al3+より少なく、さらなる実施形態によれば1mg/L Al3+より少ない。実施形態によれば窒素含有化合物負荷廃液中のアルミニウムイオン濃度はAl3+として計算された場合、100μg/Lより高く、さらなる実施形態によれば250μg/Lより高い。
【0034】
実施形態によれば、本発明の方法は特に、ゼオライト合成の間に得られる窒素含有化合物負荷廃液を処理するのに好適である。
【0035】
窒素含有化合物負荷廃液は、母液と、例えば合成後のゼオライト精製の間に産生される洗浄水とを含んでおり、例えば、窒素含有テンプレートに負荷されている。特に、本方法は、ゼオライトの合成において、ゼオライト結晶が母液から分離された後に洗浄される場合に産生される洗浄水を精製するために使用される。
【0036】
ゼオライトの合成は、本質的に、所望のどのような方法でも行われ得る。一般的には、ケイ酸原料、アルミニウム原料、また、有機テンプレートが好ましくは熱水条件下で互いに反応させられる。好適なケイ酸原料は例えば沈降性シリカである。好適なアルミニウム原料は例えばアルミン酸ナトリウムである。しかしながら、他のケイ素又はアルミニウム原料もまた使用できる。
【0037】
ゼオライトの合成が熱水条件下で行われる場合、温度は好ましくは100℃〜180℃の範囲である。
【0038】
ゼオライトの合成は、好ましくはアルカリ条件下で行われる。基本的にシリコン原料、アルミニウム原料及びテンプレートから産生される水性ゲルのpHは、好ましくはアルカリ性であり、好ましくはpHが11〜13の範囲である。したがってゼオライト合成における廃水は、アルカリ性のpHを有する。
【0039】
さらに、常用の成分が付加的に前記のゲルに添加されてもよい。すなわち、例えば所望のゼオライト構造の形成を促進する種結晶をゲルに含有していてもよい。
【0040】
シリコン原料とアルミニウム原料の度合いは、合成されるゼオライトの組成によって選択されうる。実施形態によれば、選択されたSi/Al原子の割合は、8よりも大きい。実施形態によれば、選択されたSi/Al原子の割合は10〜100の間であり、さらなる実施形態によれば12〜50の間である。すなわち、合成の間に産生される廃水は、例えばアルミニウム原料及び/又はシリコン原料、或いは水酸化ナトリウムをも、依然としてさらなる度合いで含有しうる。
【0041】
廃水は好ましくは溶媒として水を含むが、例えばアルコール(例えばエタノール)等の他の溶媒も追加されうる。廃水は好ましくは基本的に溶媒である水を含有する。窒素含有化合物負荷廃水中の非水性溶媒のレベルは、好ましくは5wt%より少なく、より好ましくは1wt%より少ない。
【0042】
反応の後、ゼオライトは常用の方法で処理される。第一に、形成されたゼオライト結晶は常用の方法で母液から分離される。本発明の方法において、母液は再利用されてもよく、又は、完全又は部分的に処理されてもよい。好ましくは、母液は合成プロセスに返送され、ゼオライト合成のさらなるバッチに使用される。
【0043】
続いて、依然として付着している母液を遊離させるために、ゼオライト結晶は洗浄される。洗浄ステップは数回繰り返されてもよい。引き続いて、洗浄水は本発明の方法と同様に処理されうる。付加的には、ゼオライト合成における母液と合わされてもよい。ゼオライト結晶の洗浄の間に産生される洗浄水の互いに異なるフラクション同士は、好ましくは混合されて、本発明の方法によって、その窒素含有化合物の濃度が低減される。
【0044】
洗浄の後、ゼオライトは常用の方法でさらに処理され、例えば、乾燥及び焼成される。
【0045】
本発明の方法によれば、スメクタイト系層状ケイ酸塩は、窒素含有化合物の吸着体として使用される。スメクタイト系層状ケイ酸塩は、両側を四面体層に包囲された八面体層から構築される3層鉱物である。交換可能な内部層のカチオンは、これらの負電荷を帯びた層の間に埋め込まれている。本発明の方法に用いられるスメクタイト系層状ケイ酸塩のイオン交換容量は、好ましくは60〜200meq/100gの範囲であり、好ましくは70〜120meq/100gの範囲であり、特に好ましくは75〜100meq/100gの範囲である。
【0046】
中性もしくはアルカリ性に活性化されたスメクタイト系層状ケイ酸塩が本発明の方法において好ましく使用される。中性のスメクタイト系層状ケイ酸塩では、水に対して2g/10mLの懸濁液の状態ではpHが6〜8の範囲を有し、好ましくは6.5〜7.5の範囲である。アルカリ活性化されたスメクタイト系層状ケイ酸塩では、水に対して2g/10mLの懸濁液の状態ではpHは8より大きく、好ましくは9〜12の範囲である。アルカリ活性化されたスメクタイト系層状ケイ酸塩は、スメクタイト系層状ケイ酸塩を塩基、好ましくはアルカリ金属塩基、特に好ましくは炭酸ナトリウムと反応させることによって得られる。このために、スメクタイト系層状ケイ酸塩は、好ましくは水性の、塩基溶液と反応させられる。好ましくは、スメクタイト系層状ケイ酸塩は乾燥状態の塩基、特に、炭酸ナトリウムと混練される。選択される塩基の量は、好ましくはスメクタイト系層状ケイ酸塩のイオン交換容量の少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%に対応する量である。
【0047】
実施形態によれば、好ましくは高い割合で交換可能なアルカリ金属イオン(特に、ナトリウムイオン)を有するスメクタイト系層状ケイ酸塩が本発明の方法において使用される。実施形態によれば、スメクタイト系層状ケイ酸塩のカチオン交換容量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%がアルカリ金属イオンから形成される。
【0048】
好ましくは、わずかに活性化された塩基活性化層状ケイ酸塩が使用される。好ましくは、選択された塩基(特に炭酸ナトリウム)の量は、スメクタイト系層状ケイ酸塩のイオン交換容量の160%より少なく、より好ましくは140%より少ない。好ましくは、本発明の方法によれば、スメクタイト系層状ケイ酸塩のイオン交換容量の80〜140%、好ましくは90〜130%の、アンモニウムイオンで抽出可能なナトリウムイオンを含有するスメクタイト系層状ケイ酸塩が使用される。
【0049】
さらなる実施形態によれば、平均的なイオン交換容量を有するスメクタイト系層状ケイ酸塩が使用される。好ましくは、本発明の方法によれば、イオン交換容量が40〜85meq/100g、より好ましくは50〜75meq/100gであるスメクタイト系層状ケイ酸塩が使用される。
【0050】
さらに、本発明の方法で使用されるスメクタイト系層状ケイ酸塩は、過剰に膨潤しないほうがより有利であることが見いだされた。特に、非常に高い度合いで活性化されたスメクタイト系層状ケイ酸塩は水中においてほとんど完全に剥離される。第一に、このことは廃水の粘度を顕著に上昇させる。第二に、このように著しく剥離したスメクタイト系層状ケイ酸塩を精製された廃水から再度分離することは困難無しではできない。すなわち、好ましくは、本発明の方法において、水における膨潤容量が15〜40mL/2gの範囲、さらに好ましくは20〜35mL/2gの範囲であるスメクタイト系層状ケイ酸塩が使用される。
【0051】
この理論に拘束されることを企図するものではないが、発明者らは、より多くの層を含む凝集体が、上述の好ましい範囲の膨潤容量を有する剥離したスメクタイト系層状ケイ酸塩の懸濁液中にも存在することを認識している。これらの重層された積層体が廃水中の窒素含有化合物と反応する場合、例えば濾過によって簡単に水相から分離される微片(マイクロフレーク)が形成される。
【0052】
本発明の方法において、比表面積が30〜100m/g、好ましくは40〜70m/gであるスメクタイト系層状ケイ酸塩が用いられる。比表面積はDIN66131に従ってBET法を用いて測定される。
【0053】
スメクタイト系層状ケイ酸塩として、ベントナイト、好ましくはモンモリロナイト含有量の高いベントナイトが好適に用いられる。スメクタイト系層状ケイ酸塩におけるモンモリロナイト含有量は60wt%より多く、好ましくは70wt%より多い。これらの値は無水ベントナイトでの値である。モンモリロナイト含有量を決定する方法は実施例で説明される。
【0054】
続いて、スメクタイト系層状ケイ酸塩が窒素含有化合物負荷廃水に添加される。スメクタイト系層状ケイ酸塩の量は、廃水に含有される窒素含有化合物の量による。要求量は、好適な予備試験によって決定されるのでもよい。しかしながら、使用されるスメクタイト系層状ケイ酸塩の量は、本質的に僅少量である。実施形態によれば、スメクタイト系層状ケイ酸塩は窒素含有化合物負荷廃水に対して1g/100mLより多く、好ましくは1.5g/mLより多く、好ましくは2g/mLよりも多い。実施形態によれば、窒素含有化合物負荷廃水に添加されたスメクタイト系層状ケイ酸塩の選択された量は、20g/100mLより少なく、さらなる実施形態によれば10g/100mLよりも少ない。
【0055】
既述のとおり、スメクタイト系層状ケイ酸塩自体は、どのような手段で窒素含有化合物負荷廃水中に接触するようにされるのであってもよい。すなわち、スメクタイト系層状ケイ酸塩は例えば、精製されるべき窒素含有化合物負荷廃液が通過するように、フィルターパッケージの形態で、もしくは、カラムの形態で、固定的に提供されうる。このような実施形態は、例えば、膨潤容量が非常に低いスメクタイト系層状ケイ酸塩に対して有効である。
【0056】
実施形態によれば、スメクタイト系層状ケイ酸塩は粉末状又は顆粒状材料の形態で、窒素含有化合物負荷廃液に添加される。すなわちこの粉末状又は顆粒状材料は乾燥状態で窒素含有化合物負荷廃液に添加され、また、例えば、合一に撹拌される。粉末状又は顆粒状材料は、好ましくは平均粒子径D50が好ましくは1mm未満であり、好ましくは0.5mm未満である。実施形態によれば、粉末又は顆粒状材料の粒子径は、50μmより大きいものから選択され、さらなる実施形態によれば、100μmより大きい。
【0057】
平均粒子径D50は、例えばふるい分析によって確認されうる。
【0058】
実施形態によれば、スメクタイト系層状ケイ酸塩は、水懸濁液の形態で提供され、かかる懸濁液が窒素含有化合物負荷廃水に添加される。窒素含有化合物、特にアンモニウム化合物の除去は、スメクタイト系層状ケイ酸塩が懸濁液の形態で水に添加された場合に、より効果的に進められることが示されている。この理論に拘束されることを企図しないが、発明者らは、スメクタイト系層状ケイ酸塩は第一に水に予備膨潤し、そして、窒素含有化合物、特にアンモニウム化合物、がより簡単にスメクタイト系層状ケイ酸塩に吸収されることを認識している。好ましくは、水が、スメクタイト系層状ケイ酸塩が懸濁される液相として使用される。純水が好ましく使用される。しかしながら、さらなる溶媒が水に添加されてもよい。例えば、水とアルコールとの混合物を使用することもできる。典型的なアルコールは、エタノール及びプロパノールである。さらなる溶媒が水に添加して使用され、実施形態によれば、さらなる溶媒の選択されるレベルは、20wt%より少なく、さらなる実施形態によれば10wt%より少なく、さらなる実施形態によれば5wt%よりも少ない。
【0059】
廃水に添加されるスメクタイト系層状ケイ酸塩の懸濁液は、好ましくは固形分が2.5〜20g/Lであり、さらなる実施形態によれば固形分が5〜15g/Lである。
【0060】
顆粒状材料自体は、いずれかの所望の方法や常用の方法に従って製造されうる。
【0061】
スメクタイト系層状ケイ酸塩と窒素含有化合物との反応は、比較的速く進行し、結果的に、短時間処理が可能である。そして、処理時間は、使用されるスメクタイト系層状ケイ酸塩の量と同じく、廃水に含有される窒素含有化合物の量や濃度に依存する。
【0062】
実施形態によれば、スメクタイト系層状ケイ酸塩と窒素含有化合物負荷廃液との反応のために、30分未満の処理時間、実施形態によれば10分未満の処理時間が選択される。実施形態によれば、選択された処理時間は30秒より長く、さらなる実施形態によれば1分より長い。
【0063】
本発明の方法によれば、負荷廃水からの窒素含有化合物の効果的な除去が可能である。本発明の方法は、好ましくは、精製された廃水中に含有される窒素含有化合物が800ppm未満、好ましくは600ppm未満、さらなる実施形態によれば500ppm未満、さらなる実施形態によれば400ppm未満になるよう実施される。引用された図は、重量に関し、水酸化アンモニウム(NHOH)に基づいて計算されたものである。精製された廃水から分離された、窒素含有化合物が負荷されたクレイ材料は適当な方法で処理されることができ、例えば、焼却されうる。
【0064】
しかしながら、ゼオライトの合成の間に用いられる鋳型は比較的高価であり、結果として、本発明の方法によるさらなる実施形態によれば、窒素含有化合物が負荷されたクレイ材料から、窒素含有化合物が再生される。このためには例えば、窒素含有化合物は、例えば適当なアルカリ金属塩の高濃度溶液によって、クレイ材料から排出されてもよい。実施形態によれば、好ましくは1〜10g/Lの範囲の濃度であるアルカリ金属塩溶液が、これに使用されるのに適している。好適なアルカリ金属塩は、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウムである。しかしながら、スメクタイト系層状ケイ酸塩に結合している窒素含有化合物を、酸の助けによって溶出させることも可能である。好適な酸は、例えば硫酸もしくは塩酸である。酸の好ましい濃度は、例えば、予備試験によって確認されうる。しかしながら、溶出勾配を用いることもまた可能である。本発明の方法は、添付の図面を参照して、実施例を用いてさらに詳細に以下に説明される。すなわち、以下である:
【0065】
図1:廃水の精製に使用されたスメクタイト系層状ケイ酸塩の重量を、COD値に対してプロットしたグラフである。
【実施例】
【0066】
確認方法:
BJH及びBETによる、BET表面積と細孔容積
表面積及び細孔容積は、完全自動のマイクロメリティクス社製ASAP 2010型
窒素細孔測定器(Nitrogen porosimeter)により測定された。
【0067】
試料は、高真空下で液体窒素の温度まで冷却された。続いて窒素が、定量づつ連続的に試料チャンバの中に導入された。圧力の機能としての吸着されたガスの量を確認することによって、一定温度での吸収等温線が計算される。圧力の均一化の後、分析用のガスは徐々に除去され、吸収等温線が記録された。
【0068】
BET法に基づく比表面積と細孔分布を確認するため、データはDIN66131によって評価された。
【0069】
細孔容積はさらに、BJH法(E.P.Barret, L.G.Joiner, P.P.Haienda,J.Am.Chem.Soc. 73 (1951,373)を適用した測定データから計算された。毛管凝縮効果もこの方法に考慮されている。比細孔サイズの範囲における細孔容積は、BJH法による吸収等温線の評価で得られる細孔容積の増分を合計することによって、決定された。BJH法による総細孔容積は、直径が1.7〜300nmの細孔に関する。
【0070】
イオン交換容量:
カチオン交換容量を測定するために、試験されるクレイ材料は105℃で2時間以上乾燥された。乾燥されたクレイ材料は、続いて過剰量の水性2N塩化アンモニウム溶液と、還流下で1時間、反応された。室温で16時間置かれた後、混合物はフィルター濾過され、フィルターケーキは洗浄・乾燥、磨砕されて、クレイ材料のNH含量は、製造者の指示通りの窒素測定(CHN分析器‘Vario EL III’、Elementar社製、ハーナウ)によって確認された。交換された金属イオンの組成とタイプは、濾液のICP測定にて決定された。
【0071】
メチレンブルー吸着によるモンモリロナイト含有量の測定
メチレンブルー値はクレイ材料の内部表面積の測定である。
a)ピロリン酸ナトリウム溶液の調製
5.41gのピロリン酸ナトリウムを0.001gの精度で1000mLのメスフラスコに秤量し、撹拌し、蒸留水で標線までメスアップする。
b)0.5%メチレンブルー溶液の調製
125gのメチレンブルーを2000mLのビーカーで約1500mLの蒸留水に溶解する。溶液をデカンテーションし、蒸留水で25Lにする。
内部表面積が既知である湿潤でテストグレードのベントナイト0.5gを、0.001gの精度で三角フラスコに秤量する。50mLのピロリン酸ナトリウム溶液が添加され、混合物は5分間、沸騰まで加熱される。室温に冷却した後、10mLの0.5M硫酸が添加され、予想消費量の80〜95%のメチレンブルーが添加される。懸濁液を1滴ガラス棒で濾紙上に取る。無色のコロナ(円環)を有するブルーブラックの染みが生じる。1mLのメチレンブルーを追加し、同じスポットテストを繰り返す。コロナ(円環)が薄青色に着色する、つまり、メチレンブルーがそれ以上試料のベントナイトに吸収されなくなるまで溶液を添加し続ける。
c)クレイ材料の試験
クレイ材料の試験方法は、ベントナイトの試験と同様である。クレイ材料の内部表面積は、メチレンブルー溶液の消費量から計算され得る。
本方法によれば、クレイ1gあたり381mgのメチレンブルーが、100%のモンモリロナイト含量に対応する。
【0072】
かさ密度の決定
1000mLの秤量線で切断されたメスシリンダーを秤量する。試験される試料をメスシリンダーに粉末漏斗で注ぎ入れて、メスシリンダーの上端で角を有するバルク材料を形成できるようにする。バルク材料は、メスシリンダーの上端の開口部を定規で擦過して余分を落とし、再度メスシリンダーを秤量する。重量の差がかさ密度に対応する。
【0073】
pHの測定
クレイ材料の10g/100mL懸濁液にキャリブレーションされたガラス電極を入れ、pHが測定された。
【0074】
膨潤体積の測定
100mLの目盛り付きメスシリンダーを、100mLの蒸留水、又は、1%炭酸及び2%ポリリン酸3ナトリウムの水性溶液で満たす。2gの測定物質をゆっくりと、一度に約0.1〜0.2gづつ、スパチュラを用いて水の表面に載置する。添加した部分が沈んだ後、次の部分を添加する。2gの物質が添加され、メスシリンダーの下部に沈んだ後、シリンダーを1時間室温にて放置する。膨潤した物質のレベル(mL/2g)はメスシリンダーの目盛りを利用して読み取られる。
【0075】
テトラプロピルアンモニウムブロマイド含量の測定
濃度範囲が0.5〜50wt%であるテトラフェニルホウ酸ナトリウムを用いた重量測定法で、テトラプロピルアンモニウムブロマイド含量が測定された。
0.1〜10gの分析溶液が、正確にビーカーに秤量され、20mLの二回蒸留水が添加されて、全体が50℃に温められる。テトラフェニルホウ酸ナトリウムの2wt%二回蒸留水溶液の10mLが、撹拌しながらゆっくりと添加される。添加後、試料はさらに15分間放置される。沈殿物は、予め秤量されたG4フィルターるつぼで濾別され、2回濾過洗いされる。濾過ケーキは二回蒸留水で洗浄され、続いて恒量になるまで120℃で乾燥される。るつぼは再度秤量されて、差分が沈殿物の重量として決定される。
【0076】
COD値の測定
測定は、DIN ISO 15705に従って、148℃にて商業的に提供される材料‘NANOCOLOR CSB 1500’試験キット(マッハライ−ナーゲル社製、デューレン、ドイツ)に依った。方法の詳細は、ウェブページ(http://www.mn−net.com)で発行されており、また、以下に説明される。
方法:重クロム酸カリウム/硫酸/硫酸銀による酸化後のクロミウム(III)濃度の光分析による測定
範囲:100〜1500mg/L COD
ファクター:1740
波長(HW=5〜12nm):620nm
反応時間:2時間
反応温度:148℃
短時間COD:30分、160℃
装置:NANOCOLOR(登録商標)サーモブロック、チップを備えるピストンピペット
試験管がテストキットから取られ、開封される。試験管の内容物は、ゆっくりと2.0mLの試料溶液で覆われる。試験管はきっちりとねじ締めされ、安全ベッセルの中に置かれ、撹拌されて、サーモブロックに入れられる。試験管は148℃で2時間加熱される。続いて、試験管はサーモブロックから出されて、再度、約10分間撹拌された後(依然として温かい)、室温まで冷却される。試験管の外側は洗浄され、測定装置に入れられて、620nmの消光が測定される。
【0077】
表1に列挙されたスメクタイト系層状ケイ酸塩が実施例に使用された。
【0078】
【表1】

【0079】
層状ケイ酸塩の性質は表2に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
実施例1:乾燥形態での異なるスメクタイト系層状ケイ酸塩の添加による洗浄水の精製
試験を行うために、産業スケールでのMFIゼオライトの合成の間に産出される洗浄水を、各例で100mL用いた。洗浄水はpHが11、19wt%のテトラプロピルアンモニウムブロマイドを含有し、COD値は4400mgO/Lであった。洗浄水のナトリウム含量は478mg/L Na、アルミニウム含量は1mg/L未満であった。
【0082】
洗浄水は250mL三角フラスコに入れられ、撹拌子を用いて、室温下、約930
rpmで撹拌された。各例において、1分間で試験に供されるスメクタイト系層状ケイ酸塩が添加され、さらに10分間、930rpmで懸濁液が撹拌された。懸濁液は、孔サイズが0.2mmであるメンブレンフィルターで濾過され、濾液のpH、テトラプロピルアンモニウムブロマイド(TPABr)含量、また、COD値が測定された。測定値は表3に示される。
【0083】
廃水におけるテトラプロピルアンモニウムブロマイド濃度の明らかな低下、及び、その結果としてCOD値の明らかな低下が、すべてのスメクタイト系層状ケイ酸塩で観察された。
最良の結果は、平均的なイオン交換能力と、平均的な膨潤能力とを有するクレイ1で得られた。
【0084】
驚くべきことに、明白に不良なクリーニング効果は高活性化されたクレイ2で得られたが、クレイ2は、より高活性度の低いクレイ1と比較して、高いナトリウム含量と高い膨潤容量を有している。
同様に、ナトリウム含量が低く、膨潤容量も低いカルシウムベントナイトであるクレイ3は、クレイ1よりも低い精製効果を有する。
【0085】
【表3】

【0086】
実施例2:水系懸濁液の形態での異なるスメクタイト系層状ケイ酸塩の添加による洗浄水の精製
スメクタイト系層状ケイ酸塩を、水系懸濁液の形態で加えたこと以外は、実施例1を繰り返した。懸濁液は、関連のスメクタイト系層状ケイ酸塩を室温で蒸留水に添加し、20分間撹拌して調製した。そして、懸濁液は精製される洗浄水に添加された。結果は表4に示される。
【0087】
精製される洗浄水に添加された懸濁液中の固形分は、添加されたスメクタイト系層状ケイ酸塩の絶対量と共に、表4に示されている。
【0088】
【表4】

【0089】
精製される洗浄液に添加される前に、予めスメクタイト系層状ケイ酸塩が懸濁された場合、乾燥粉末として添加された場合と比較して良好な精製効果が得られた。
【0090】
実施例3:スメクタイト系層状ケイ酸塩の投入量が精製効果に与える影響
実施例1に倣って、MFIゼオライトの合成中に産生されるような洗浄水が、各例100mL、1分間以内に異なる量のクレイ5(水含量:8.25wt%)に添加された。使用されたスメクタイト系層状ケイ酸塩の量は、濾液で確認されたCOD値と共に、表5に示される。
【0091】
【表5】

【0092】
一連の試験で確認されたCOD値は、図1に曲線の形で示されている。少ない投入量でもCOD値の明確な低下が得られ、スメクタイト系層状ケイ酸塩の増加に伴ってCOD値は低い一定値に達する。
【0093】
実施例4:異なる撹拌時間、投入量による比較
実施例3に倣って、産業スケールのMFIゼオライトの合成からの洗浄水が各例100mL、1分間以内に表6に示す異なる量のクレイ6に撹拌投入された。懸濁液は、表6に示された時間の間、さらに撹拌された。各例で、濾液についてpHとCOD値が測定された。データは表6に示される。
【0094】
【表6】

【0095】
COD値は、短い撹拌時間においても明確に低下しうる。所与のスメクタイト系層状ケイ酸塩において処理時間が増える場合、COD値はさらに減少しうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製された廃水を得るための、窒素含有化合物負荷廃水の精製方法であって、
窒素含有化合物負荷クレイ材料を得るために、窒素含有化合物負荷廃水とスメクタイト系層状ケイ酸塩を反応させること、及び、
前記窒素含有化合物負荷されたクレイ材料を、前記負荷廃水から分離すること
を含む方法。
【請求項2】
前記窒素含有化合物が4級アルキルアンモニウム化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記4級アルキルアンモニウム化合物が炭素数6未満のアルキル基を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
窒素含有化合物負荷廃水中における窒素含有化合物のレベルが、5000mg/L N未満である、請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項5】
窒素含有化合物負荷廃水のアルカリイオン濃度が、15000mg/L X未満(Xはアルカリ金属イオン)である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
窒素含有化合物負荷廃水のアルミニウムイオン濃度が、15mg/L Al3+未満である、請求項1〜5のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項7】
負荷廃水が10より高いpHを有する、請求項1〜6のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項8】
窒素含有化合物負荷廃水がゼオライト合成から得られた廃水である、請求項1〜7のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項9】
スメクタイト系層状ケイ酸塩が中性もしくはアルカリ活性化されたスメクタイト系層状ケイ酸塩である、請求項1〜8のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項10】
スメクタイト系層状ケイ酸塩は、スメクタイト系層状ケイ酸塩のイオン交換能力の80〜140%である、アンモニウムイオンで抽出可能なナトリウムイオンのレベルを有する、請求項1〜9のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項11】
スメクタイト系層状ケイ酸塩のイオン交換能力が、40〜85meq/100gである請求項1〜10のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項12】
スメクタイト系層状ケイ酸塩の膨潤容量が、15〜40mL/2gの範囲である、請求項1〜11のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項13】
スメクタイト系層状ケイ酸塩は、窒素含有化合物負荷廃水に対して1g/100mLを超える量で添加される、請求項1〜12のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項14】
スメクタイト系層状ケイ酸塩は、窒素含有化合物負荷廃水に対して、懸濁液の形態で添加される、請求項1〜13のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記懸濁液の固形分が、2.5〜20wt%である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
精製された廃水が800ppm未満の窒素含有化合物を含有している、請求項1〜15のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項17】
スメクタイト系層状ケイ酸塩と窒素含有化合物負荷廃水との反応時間について、10分未満の処理時間が選択される、請求項1〜16のいずれか1の請求項に記載の方法。
【請求項18】
廃水から窒素含有化合物を再生させる方法であって、
請求項1から17のいずれか1に記載の方法によって、窒素含有化合物負荷クレイ材料を産生すること、
選択的に、アルカリ金属塩溶液で前記クレイ材料からの窒素含有化合物を排出させることによって、酸で溶出させることによって、及び/又は、溶出濃度勾配を用いることによって、前記窒素含有化合物負荷クレイ材料から窒素含有化合物を再生させること
を含む方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−512010(P2012−512010A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540145(P2011−540145)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067189
【国際公開番号】WO2010/076195
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(506271120)ズュート‐ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト (5)
【Fターム(参考)】