説明

窓開閉装置

【課題】必要な開閉ストローク並びに強度及び剛性を確保して大型の窓に適用することができる窓開閉装置を提供する。
【解決手段】下枠3Lに取り付けられた受部材により垂直軸まわりに回動可能に支持された基体8に対してスライド可能に支持され、第1操作杆11に対して第2操作杆12を相対的にスライド可能として伸縮する操作部材10、操作部材10先端部に取り付けられ、障子側金具6に連結される連結部材14、障子4を開いた状態及び障子4を閉じた状態で操作部材10と基体8とを係合させ、基体8に対する操作部材10のスライド動作を規制するスライド規制手段21、その規制を解除するスライド規制解除手段22、操作部材10を伸ばした状態及び縮めた状態でその状態を保持して伸縮動作を規制する伸縮規制手段23、その規制を解除する伸縮規制解除手段24を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓枠に取り付けられた障子を室外側へ開くことができる窓開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
突出し窓、片開き窓、横すべり出し窓又は縦すべり出し窓等のように、窓枠内に組み込まれた障子を室外側へ開くことができる窓に用いられる窓開閉装置として、室内外方向へ延びる開閉ロッドの一端を窓板の内面下端部に枢着し、開閉ロッドに形成した係止孔に窓枠の下縁に設けた係止ピンを係合させて窓板の開状態を保持するとともに、窓板を閉じた際には開閉ロッドを回動させて窓枠に添わせた状態で係止具により保持するもの(例えば、特許文献1参照。)、窓枠を貫通して一端が障子に連結された可撓性のある操作杆を室外方向へ押圧することにより障子を開けることができ、操作杆を室内方向へ引くことにより障子を閉じることができ、障子を閉じた状態では、操作杆を窓枠に添わせるように垂下させるもの(例えば、特許文献2参照。)、一端が障子の下框に垂直軸まわりに回動可能に取り付けられたアームを、枠側に垂直軸まわりに回動可能に取り付けられたストップ金具又はスライドケース内をスライドさせて障子を開閉し、凹凸嵌合又はねじの締付けにより障子の開状態を保持可能としたもの(例えば、特許文献3参照。)等がある。
【0003】
【特許文献1】実開昭50−37330号公報(第1−4図)
【特許文献2】実開昭60−115372号公報(第1−2図、第4−5図)
【特許文献3】実開平6−85882号公報(図1−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のような従来の窓開閉装置において、特許文献1の構成は、窓枠の係止ピンと開閉ロッドの係止孔との係合が風圧により外れて窓板が不意に閉じたり、ばたつくことがあるため、特に大型の窓への適用が困難である。
その上、窓板を半開にした状態では、開閉ロッドが室内側へ突き出すため、美観が損なわれるとともに邪魔になる場合がある。
【0005】
また、特許文献2の構成は、操作杆に可撓性を持たせる必要があるため、風圧によりばたつくことがあるとともに、大型の窓へ適用すると、必要な開閉ストローク並びに強度及び剛性を確保することが困難である。特に、大型の突出し窓や横すべり出し窓に対しては、大型である障子の大きな重力が操作杆に作用するため、さらに適用が困難である。
その上、障子を閉じた状態では、操作杆全体がその長さのままで窓枠に添って垂下するため、美観が損なわれる。
【0006】
さらに、特許文献3の構成は、障子を開閉する際には、ストップ金具又はスライドケースを回動させ、これらの中をアームが摺動するため、大型の窓へ適用すると、障子の開閉操作を円滑に行うことができない場合がある。特に、大型の突出し窓や横すべり出し窓に対しては、大型の障子の重力がアーム等に作用するため、さらに適用が困難である。
【0007】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、必要な開閉ストローク並びに強度及び剛性を確保して大型の窓に適用することができ、その障子の開閉操作を円滑に行うことができるとともに、障子の半開状態及び閉状態においても操作杆が室内方向に突き出すことがなく、邪魔にならず美観が損なわれない、窓開閉装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る窓開閉装置は、窓枠に取り付けられた障子を室外側へ開くことができる窓において、前記窓枠の室内側に位置し、前記窓枠に取り付けられた受部材により垂直軸又は水平軸まわりに回動可能に支持された基体と、該基体に対してスライド可能に支持され、一方の操作杆に対して他方の操作杆を相対的にスライド可能として伸縮する、その長手方向基端部に操作つまみが設けられた操作部材と、該操作部材の長手方向先端部の枢軸に取り付けられ、前記障子に取り付けられた金具に連結される連結部材と、前記操作部材を室外方向に押し出して前記障子を開いた状態、及び、前記操作部材を室内方向に引き戻して前記障子を閉じた状態で、前記操作部材と前記基体とを係合させ、前記基体に対する前記操作部材のスライド動作を規制するスライド規制手段並びにその規制を解除するスライド規制解除手段と、前記操作部材を伸ばした状態及び縮めた状態でその状態を保持し、伸縮動作を規制する伸縮規制手段並びにその規制を解除する伸縮規制解除手段とを備えてなるものである。
【0009】
ここで、前記スライド規制手段が、前記操作部材に形成した係合孔又は係合凹部に対向するように、前記基体に弾性支持されて突出する係合凸部を前記係合孔又は係合凹部に係合させるものであり、前記スライド規制解除手段が、前記係合を解除するように前記係合凸部を弾性付勢力に抗して移動させる押動片であると好ましい。
【0010】
また、前記操作部材が、前記一方の操作杆に前記他方の操作杆を外嵌したものであり、前記伸縮規制手段が、外側の操作杆の長手方向の前後複数箇所に形成した開口に対向するように、内側の操作杆に弾性支持されて外方へ突出する係合片を前記開口に係合させるものであり、前記伸縮規制解除手段が、前記係合を解除するように弾性付勢力に抗して押動され移動する前記係合片であると好ましい。
【0011】
さらに、前記基体が、下枠に取り付けられた受部材により垂直軸まわりに回動可能に支持されたものであり、前記操作部材が、前記一方の操作杆に前記他方の操作杆を外嵌したものであり、外側の操作杆の下面に開口部を設けて該開口部内に内側の操作杆の下部を突出させ、外側の操作杆の下面と内側の操作杆の下面とを面一としてなると好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る窓開閉装置によれば、窓枠に取り付けられた障子を室外側へ開くことができる窓において、前記窓枠の室内側に位置し、前記窓枠に取り付けられた受部材により垂直軸又は水平軸まわりに回動可能に支持された基体と、該基体に対してスライド可能に支持され、一方の操作杆に対して他方の操作杆を相対的にスライド可能として伸縮する、その長手方向基端部に操作つまみが設けられた操作部材と、該操作部材の長手方向先端部の枢軸に取り付けられ、前記障子に取り付けられた金具に連結される連結部材と、前記操作部材を室外方向に押し出して前記障子を開いた状態、及び、前記操作部材を室内方向に引き戻して前記障子を閉じた状態で、前記操作部材と前記基体とを係合させ、前記基体に対する前記操作部材のスライド動作を規制するスライド規制手段並びにその規制を解除するスライド規制解除手段と、前記操作部材を伸ばした状態及び縮めた状態でその状態を保持し、伸縮動作を規制する伸縮規制手段並びにその規制を解除する伸縮規制解除手段とを備えてなるので、基体及び操作部材を窓枠に添わせた状態から、これらを回動させ、操作部材のスライド方向を室内外方向とし、スライド規制解除手段により操作部材のスライド動作の規制を解除して操作部材を室外方向に押し出して障子を開き、スライド規制手段により基体に対する操作部材のスライド動作を規制して障子を開いた状態とした半開状態、基体及び操作部材を窓枠に添わせた状態から、これらを回動させ、操作部材のスライド方向を室内外方向とし、伸縮規制解除手段により操作部材の伸縮動作の規制を解除して操作部材を伸ばし、伸縮規制手段により操作部材を伸ばした状態を保持し、スライド規制解除手段により操作部材のスライド動作の規制を解除して操作部材を室外方向に押し出して障子を開き、スライド規制手段により基体に対する操作部材のスライド動作を規制して障子を開いた状態とした全開状態、並びに、スライド規制解除手段により操作部材のスライド動作の規制を解除して操作部材を室内側へ引き戻し、スライド規制手段により基体に対する操作部材のスライド動作を規制して、障子を閉じた状態を保持した閉状態とすることができ、この閉状態では、基体及び操作部材を回動させて窓枠に添わせることができる。
したがって、一方の操作杆に対して他方の操作杆を相対的にスライド可能として伸縮する操作部材の室内外方向への直動により障子の開閉を行うため、必要な開閉ストローク並びに強度及び剛性を確保して大型の窓にも適用することができ、その障子の開閉操作を円滑に行うことができる。
その上、障子の半開状態及び閉状態においても操作部材が室内方向に突き出すことがなく、操作部材が邪魔にならないとともに美観が損なわれることがない。
【0013】
また、前記スライド規制手段が、前記操作部材に形成した係合孔又は係合凹部に対向するように、前記基体に弾性支持されて突出する係合凸部を前記係合孔又は係合凹部に係合させるものであり、前記スライド規制解除手段が、前記係合を解除するように前記係合凸部を弾性付勢力に抗して移動させる押動片であると、前記効果に加え、簡素な構成により操作部材と基体とを係合させ、基体に対する操作部材のスライド動作を安定かつ確実に規制することができるため、風圧により障子が不意に閉じたり、ばたつくことがないとともに、押動片を押す操作により、基体に対する操作部材のスライド動作の規制の解除を容易に行って、操作部材により障子の開閉を容易に行うことができる。
【0014】
さらに、前記操作部材が、前記一方の操作杆に前記他方の操作杆を外嵌したものであり、前記伸縮規制手段が、外側の操作杆の長手方向の前後複数箇所に形成した開口に対向するように、内側の操作杆に弾性支持されて外方へ突出する係合片を前記開口に係合させるものであり、前記伸縮規制解除手段が、前記係合を解除するように弾性付勢力に抗して押動され移動する前記係合片であると、前記効果に加え、伸縮する操作部材を一方の操作杆に他方の操作杆を外嵌する簡素な構成とすることにより、その強度及び剛性をより大きくすることが容易であるため、より大型の窓に適用することができるとともに、コストを削減することができる。
その上、内側の操作杆に弾性支持されて外方へ突出する係合片を外側の操作杆の開口に係合させることにより、操作部材を伸ばした状態及び縮めた状態の保持を容易かつ確実に行うことができるとともに、係合片を押しながら一方の操作杆に対して他方の操作杆を相対的にスライドさせることにより、操作部材の伸縮動作の規制を解除して、操作部材の伸縮操作を容易に行うことができる。
【0015】
さらにまた、前記基体が、下枠に取り付けられた受部材により垂直軸まわりに回動可能に支持されたものであり、前記操作部材が、前記一方の操作杆に前記他方の操作杆を外嵌したものであり、外側の操作杆の下面に開口部を設けて該開口部内に内側の操作杆の下部を突出させ、外側の操作杆の下面と内側の操作杆の下面とを面一としてなると、前記効果に加え、下枠に取り付けられた受部材により支持された基体に対してスライド可能に支持された操作部材を、一方の操作杆に他方の操作杆を外嵌する簡素な構成とすることにより、その強度及び剛性をより大きくすることが容易であるとともに、特に大型の突出し窓や横すべり出し窓等において大型である障子の大きな重力が操作部材に作用する場合であっても、その重力が操作部材の長手方向(伸縮方向)に作用するため、特に大型の突出し窓や横すべり出し窓等の窓開閉装置として使用することができる。
その上、外側の操作杆の下面と内側の操作杆の下面とを面一としていることから、操作部材を伸ばした状態と縮めた状態とで、操作部材の下面の高さが変動しないため、操作部材を伸ばした状態又は縮めた状態として基体に対して摺動させて室内外方向へ移動させる動作を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、室内側から室外側へ向かう方向の前側を前、後側を後とし、左右は前方に向かっていうものとする。
【0017】
図1〜図4は、本発明の実施の形態に係る開閉窓の概略説明図であり、図1は障子を閉じた状態を示す縦断側面図、図2は窓開閉装置により障子を半開にした状態を示す縦断側面図、図3は窓開閉装置により障子を全開にした状態を示す縦断側面図、図4は横断平面図である。なお、図4においては障子を省略している。
また、図5〜図8は、本発明の実施の形態に係る窓開閉装置の構成を示す概略説明図であり、図5(a)は半開状態を示す縦断側面図、図5(b)は半開状態から操作部材を引いて障子を閉じた状態を示す縦断側面図、図6(a)は操作部材の斜視図、図6(b)は図6(a)の矢視X−X断面図、図7(a)は操作部材を縮めた状態を示す平面図、図7(b)は操作部材を伸ばした状態を示す平面図、図8は同じく側面図である。
【0018】
図1〜図4に示すように、窓枠3は、上枠3U及び下枠3L並びに左右の縦枠3S,3Sにより構成され、障子4は、左右の縦枠3S,3Sと障子4の左右の縦框との間に取り付けられた左右のステー5,5を介して窓枠3によりにより支持され、横すべり出し窓である開閉窓1は、窓開閉装置2により、窓枠3内に組み込まれた障子4を室外側へ開くことができる(図2及び図3参照。)。
【0019】
図1〜図5に示すように、窓開閉装置2は、窓枠3の室内側に位置し、図5及び図7に示すように、窓枠3に取り付けられた受部材7により回動中心軸である垂直軸Aまわりに回動可能に支持された基体8に対してスライド可能に支持され、第1操作杆11に対して第2操作杆12を相対的にスライド可能として伸縮する、その長手方向基端部に操作つまみ10Aが設けられた操作部材10、操作部材10の長手方向先端部の枢軸15に取り付けられ、障子4に取り付けられた障子側金具6に連結される連結部材14、図5(a)に示す操作部材10を室外方向に押し出して障子4を開いた状態及び図5(b)に示す操作部材10を室内方向に引き戻して障子4を閉じた状態で、操作部材10と基体8とを係合させ、基体8に対する操作部材10のスライド動作を規制するスライド規制手段21並びにその規制を解除するスライド規制解除手段22、図6〜図8に示すように、操作部材10を伸ばした状態及び縮めた状態でその状態を保持し、操作部材10の伸縮動作を規制する伸縮規制手段23並びにその規制を解除する伸縮規制解除手段24を備えている。
【0020】
図1〜図3に示すように、障子4の下框に取り付けられた障子側金具6に連結部材14の先端部に立設された操作ピン16が係合するため、操作部材10の長手方向が前後方向(室内外方向)である状態で、操作つまみ10Aを操作して操作部材10を前後方向に移動させることにより、障子4を開閉することができる。
また、図6に示すように、伸縮する操作部材10は、第2操作杆12を第1操作杆11に外嵌したものであり、このような構成により操作部材10の強度及び剛性を大きくすることが容易であるため、より大型の窓に適用することができるとともに、簡素な構成であるためコストを削減することができる。
【0021】
図5及び図7に示すように、取付ねじ27,27により下枠3Lに固定された受部材7にはピン17が立設され、ピン17と基体8の通孔8Bとが嵌合するため、基体8は垂直軸Aまわりに回動可能に支持される。
また、図5に示すように、操作部材10は基体8のガイド孔8Aに挿通され、操作部材10の長手方向が前後方向である状態では、基体8に対してスライド可能に支持された操作部材10を、下枠3Lの開口3Aを通して前後方向にスライドさせることができ、操作部材10の第2操作杆12の先端部には支持板13が取り付けられ、支持板13には枢軸15を介して連結部材14が取り付けられるため、操作部材10と連結部材14とは回動中心軸である垂直軸Bまわりに相対的に回動可能である。
【0022】
図4の実線及び図5(b)に示す操作部材10を室内側に引き戻して障子4を閉じた状態では、前記垂直軸A及びBが上下方向の一直線上に重なるように同心となっているため、基体8及び操作部材10を同心の垂直軸A及びBまわりに回動させることができる。
したがって、図4に示すように、障子4を閉じた状態では、基体8及び操作部材10を回動させて窓枠3(下枠3L)に添わせることができ、緩衝材29が設けられた操作部材保持ガイド28により操作部材10を保持することができる。
このように障子4を閉じた状態では、基体8及び操作部材10が窓枠3に添っているとともに、受部材7及び基体8の上側及び左側はカバー9で覆われるため、看者にすっきりとした印象を与えることができるとともに、操作部材10が邪魔にならない。
【0023】
また、逆に、図4の矢印Cのように基体8及び操作部材10を回動させて操作部材10を前後方向とすることができ、この状態では図7に示すように受部材7に設けられた回り止め7Aに基体8の左側面が当接するため、操作部材10を前後方向とした状態で、基体8を位置決めすることができる。
【0024】
次に、スライド規制手段21及びスライド規制解除手段22について説明する。
図5に示すように、スライド規制手段21は、操作部材10の第1操作杆11の下面に形成した係合凹部11A及び操作部材10の支持板13に形成した係合孔13Aに対向するように、基体8により圧縮コイルばね19を介して弾性支持されて上方へ突出する係合凸部18を、係合凹部11A又は係合孔13Aに係合させるものであり、係合凸部18と係合凹部11A又は係合孔13Aとが係合した状態では、基体8に対する操作部材10のスライド動作が規制される。
また、スライド規制解除手段22は、基体8から上方へ突出する押動片20であり、押動片20を押し下げると、係合凸部18が圧縮コイルばね19の弾性付勢力に抗して下降し、係合凸部18と係合凹部11A又は係合孔13Aとの係合が解除される。
【0025】
このような簡素な構成であるスライド規制手段21により、操作部材10と基体8とを係合させ、基体8に対する操作部材10のスライド動作を安定かつ確実に規制することができるため、風圧により障子が不意に閉じたり、ばたつくことがない。
また、押動片20からなる簡素な構成のスライド規制解除手段22により、基体8に対する操作部材10のスライド動作の規制の解除を容易に行うことができる。
【0026】
次に、伸縮規制手段23及び伸縮規制解除手段24について説明する。
図7及び図8に示す操作部材10の長手方向が前後方向である状態で、図6に示すように、伸縮規制手段23は、第2操作杆12の左右側面に、長手方向の後部及び前部に形成した開口12A,12Bに対向するように、第1操作杆11により圧縮コイルばね26を介して弾性支持されて左右外方へ突出する係合片25を、開口12A,12Bに係合させるものである。
このような伸縮規制手段23により、左右の係合片25,25と左右の開口12A,12A又は12B,12Bとが係合した状態では、第1操作杆11と第2操作杆12とが相対的にスライドして操作部材10が伸縮する動作が規制される。
【0027】
また、伸縮規制解除手段24は、左右の係合片25,25であり、係合片25の前後には傾斜面25A,25Aが形成されているため、例えば図7(a)のように操作部材10を縮めた状態(第2操作部材12の前側の開口12B,12Bに左右の係合片25,25が係合している状態)で、矢印Fのように左右の係合片25,25を押しながら操作つまみ10Aを後側へ引くと、操作部材10を伸ばすことができ、図7(b)のように操作部材10を伸ばした状態(第2操作部材12の後側の開口12A,12Aに左右の係合片25,25が係合している状態)では、前記伸縮規制手段23により操作部材10が伸縮する動作が規制される。
同様にして、図7(b)のように操作部材10を伸ばした状態で、左右の係合片25,25を押しながら操作つまみ10Aを前側へ押すと、操作部材10を縮めることができ、図7(a)のように操作部材10を縮めた状態では、前記伸縮規制手段23により操作部材10が伸縮する動作が規制される。
【0028】
このような簡素な構成である伸縮規制手段23により、第1操作杆11に弾性支持されて左右外方へ突出する係合片25,25を第2操作杆12の左右の開口12A,12A又は12B,12Bに係合させることにより、操作部材10を伸ばした状態及び縮めた状態の保持を容易かつ確実に行うことができる。
また、係合片25,25からなる簡素な構成の伸縮規制解除手段24により、係合片25,25を押しながら第2操作杆12に対して第1操作杆11を相対的にスライドさせることにより、操作部材10の伸縮動作の規制を解除して、操作部材10の伸縮操作を容易に行うことができる。
【0029】
以上のような窓開閉装置2の構成によれば、図4に示すように基体8及び操作部材10を窓枠3(下枠3L)に添わせた状態から、図4の矢印Cのように基体8及び操作部材10を垂直軸A及びBまわりに回動させ、操作部材10のスライド方向を室内外方向とし、スライド規制解除手段22により操作部材10のスライド動作の規制を解除して、図4の矢印Dのように操作部材10を室外方向に押し出して障子4を開き、スライド規制手段21により基体8に対する操作部材10のスライド動作を規制した状態とした半開状態(図2参照。)に容易にすることができる。
【0030】
また、基体8及び操作部材10を窓枠3(下枠3L)に添わせた状態から、図4の矢印Cのように基体8及び操作部材10を垂直軸A及びBまわりに回動させ、操作部材10のスライド方向を室内外方向とし、図7(a)の状態から図7(b)の状態とするように、伸縮規制解除手段24により操作部材10の伸縮動作の規制を解除して操作部材10を伸ばし、伸縮規制手段23により操作部材10を伸ばした状態を保持し、スライド規制解除手段22により操作部材10のスライド動作の規制を解除して、図4の矢印Eのように操作部材10を室外方向に押し出して障子4を開き、スライド規制手段21により基体8に対する操作部材10のスライド動作を規制した状態とした全開状態(図3参照。)に容易にすることができる。
【0031】
さらに、上記と逆の操作により操作部材10を室内側へ引き戻し、スライド規制手段21により基体8に対する操作部材10のスライド動作を規制して、障子4を閉じた状態を保持した閉状態とすることができ、この閉状態では、基体8及び操作部材10を同心の垂直軸A及びBまわりに回動させて窓枠3(下枠3L)に添わせることができる。
【0032】
したがって、一方の操作杆に対して他方の操作杆を相対的にスライド可能として伸縮する操作部材10の室内外方向への直動により障子4の開閉を行うため、必要な開閉ストローク並びに強度及び剛性を確保して大型の窓にも適用することができ、障子4の開閉操作を円滑に行うことができる。
その上、障子4の前記半開状態及び閉状態においても操作部材10が室内方向に突き出すことがなく、操作部材10が邪魔にならず美観が損なわれることがない。
【0033】
また、図6(b)に示すように、第1操作杆11に外嵌する第2操作杆12の下面には開口部が設けられ、この開口部内に第1操作杆11の下部が突出しており、第2操作杆12の下面12Cと第1操作杆11の下面11Bとは面一となっているため、操作部材10を伸ばした状態と縮めた状態とで操作部材10の下面の高さが変動しないため、操作部材10を伸ばした状態又は縮めた状態として基体8に対して摺動させて室内外方向へ移動させる動作を円滑に行うことができる。
【0034】
以上の説明においては、窓枠3に取り付けられた障子4を室外側へ開くことができる開閉窓1が横すべり出し窓である場合について説明したが、開閉窓1は、縦すべり出し窓、突出し窓又は片開き窓等であってもよい。また、窓開閉装置2の基体8が下枠3Lに取り付けられた受部材7により垂直軸Aまわりに回動可能に支持される場合について説明したが、開閉窓1の構成によっては、基体8を上枠3U又は縦枠3Sに取り付けられた受部材7により回動可能に支持される構成としてもよく、受部材7を縦枠3Sに取り付ける構成では該受部材7により基体8を水平軸まわりに回動可能に支持すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る開閉窓の縦断側面図であり、障子を閉じた状態を示している。
【図2】同じく縦断側面図であり、窓開閉装置により障子を半開にした状態を示している。
【図3】同じく縦断側面図であり、窓開閉装置により障子を全開にした状態を示している。
【図4】同じく横断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る窓開閉装置の構成を示す縦断側面図であり、(a)は半開状態を、(b)は半開状態から操作部材を引いて障子を閉じた状態を示している。
【図6】(a)は操作部材の斜視図、(b)は(a)の矢視X−X断面図である。
【図7】(a)は操作部材を縮めた状態を示す平面図、(b)は操作部材を伸ばした状態を示す平面図である。
【図8】操作部材を伸ばした状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 開閉窓
2 窓開閉装置
3 窓枠
3A 開口
3U 上枠
3L 下枠
3S 縦枠
4 障子
5 ステー
6 障子側金具
7 受部材
7A 回り止め
8 基体(ガイド部材)
8A ガイド孔
8B 通孔
9 ケース
10 操作部材
10A 操作つまみ
11 第1操作杆
11A 係合凹部
11B 下面
12 第2操作杆
12A,12B 開口
12C 下面
13 支持板
13A 係合孔
14 連結部材
15 枢軸
16 操作ピン
17 ピン(回動支軸)
18 係合凸部
19 圧縮コイルばね
20 押動片
21 スライド規制手段
22 スライド規制解除手段
23 伸縮規制手段
24 伸縮規制解除手段
25 係合片
25A 傾斜面
26 圧縮コイルばね
27 取付ねじ
28 操作部材保持ガイド
29 緩衝材
A,B 垂直軸(回動中心軸)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠に取り付けられた障子を室外側へ開くことができる窓において、
前記窓枠の室内側に位置し、前記窓枠に取り付けられた受部材により垂直軸又は水平軸まわりに回動可能に支持された基体と、
該基体に対してスライド可能に支持され、一方の操作杆に対して他方の操作杆を相対的にスライド可能として伸縮する、その長手方向基端部に操作つまみが設けられた操作部材と、
該操作部材の長手方向先端部の枢軸に取り付けられ、前記障子に取り付けられた金具に連結される連結部材と、
前記操作部材を室外方向に押し出して前記障子を開いた状態、及び、前記操作部材を室内方向に引き戻して前記障子を閉じた状態で、前記操作部材と前記基体とを係合させ、前記基体に対する前記操作部材のスライド動作を規制するスライド規制手段並びにその規制を解除するスライド規制解除手段と、
前記操作部材を伸ばした状態及び縮めた状態でその状態を保持し、伸縮動作を規制する伸縮規制手段並びにその規制を解除する伸縮規制解除手段と、
を備えてなることを特徴とする窓開閉装置。
【請求項2】
前記スライド規制手段が、前記操作部材に形成した係合孔又は係合凹部に対向するように、前記基体に弾性支持されて突出する係合凸部を前記係合孔又は係合凹部に係合させるものであり、前記スライド規制解除手段が、前記係合を解除するように前記係合凸部を弾性付勢力に抗して移動させる押動片である請求項1記載の窓開閉装置。
【請求項3】
前記操作部材が、前記一方の操作杆に前記他方の操作杆を外嵌したものであり、前記伸縮規制手段が、外側の操作杆の長手方向の前後複数箇所に形成した開口に対向するように、内側の操作杆に弾性支持されて外方へ突出する係合片を前記開口に係合させるものであり、前記伸縮規制解除手段が、前記係合を解除するように弾性付勢力に抗して押動され移動する前記係合片である請求項1記載の窓開閉装置。
【請求項4】
前記基体が、下枠に取り付けられた受部材により垂直軸まわりに回動可能に支持されたものであり、前記操作部材が、前記一方の操作杆に前記他方の操作杆を外嵌したものであり、外側の操作杆の下面に開口部を設けて該開口部内に内側の操作杆の下部を突出させ、外側の操作杆の下面と内側の操作杆の下面とを面一としてなる請求項1記載の窓開閉装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−121194(P2009−121194A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298820(P2007−298820)
【出願日】平成19年11月19日(2007.11.19)
【出願人】(000211695)中西金属工業株式会社 (222)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】