説明

立体映像提示システム、観測装置、立体映像供給装置、遅延時間算出方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】観測者に綺麗な立体映像を観測させることができる立体映像提示システムを提供する。
【解決手段】立体映像提示システム100は、立体映像供給装置200と観測装置300とを備えている。観測装置300は、検査モードの場合には、立体映像供給装置200から供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを検査用画像の供給時間よりも短い間隔で開閉させるシャッター切替制御部310と、センサ部340により検出される明るさが所定の閾値を超える時点でのシャッターの開放タイミングに基づいて、立体映像供給装置200から表示装置500に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出部350を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、右目用画像と左目用画像とを交互に表示装置に供給する立体映像供給装置と、立体映像供給装置からの画像の切り替えに同期して右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する観測装置とを備えた立体映像提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、3次元映像(3D映像)コンテンツを楽しむためには、映画館などの限られた視聴環境において、その視聴環境が対応している3D映像コンテンツを視聴する必要があった。近年、Blu−ray Disc(BD)において3D映像コンテンツ対応の規格化が進められるなどしており、ユーザーが比較的簡単に3D映像コンテンツを視聴することができる環境が整いつつある。
【0003】
立体視は、ユーザーの左右の目に対して視差を有した画像を提示することにより実現することができる。これまで、ユーザーの左右の目に対して視差を有した画像を提示するための手法については、数多く提唱されている。このうちの1つに、時分割伝送方式(フレームシーケンシャル方式)により表示する画像を、シャッター機能を備えたメガネで観察することによりユーザーに3D映像を見せるという手法がある。
【0004】
フレームシーケンシャル方式を採用しているシステムにおいて、表示装置は、時間軸に沿って、左目用フレーム画像、右目用フレーム画像、左目用フレーム画像、右目用フレーム画像、・・・とフレーム画像を交互に表示する。観測用のメガネは、表示装置に表示される画像の切り替えに同期してメガネの2つの窓に設けられているシャッターを開閉することにより、ユーザーの左右の目に別々の画像を提示する。
【0005】
特許文献1には、左方映像と右方映像とを交互に表示させつつ、左方映像が表示されている間は左方のシャッターを開き、右方映像が表示されている間は右方のシャッターを開くことにより立体映像を視聴者に提示する立体表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−214096号公報(昭和63年9月6日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユーザーに3D映像を見せるための画像を表示装置に供給する立体映像供給装置は、表示装置に対する右目用画像と左目用画像の切り替えに同期させて、観測用メガネにおける右目シャッターと左目シャッターとの切り替えを制御する必要がある。
【0008】
しかし、立体映像供給装置が表示装置に対して右目用画像あるいは左目用画像を供給してから表示装置に画像が綺麗に表示されるまでにはタイムラグが生じる。また、同様に、立体映像供給装置が右目シャッターあるいは左目シャッターの切り替えを観測用メガネに指示してから実際にシャッターの開閉が実行されるまでにもタイムラグが生じる。
【0009】
そのため、例えば、立体映像供給装置が右目用画像の表示を表示装置に指示したと同時に右目用シャッターの開放を観測用メガネに指示した場合、右目用画像が表示装置に表示されると同時に右目用シャッターが開放されるとは限らない。これは、左目用画像と左目用シャッターとの場合も同様である。
【0010】
このように、右目用画像の表示と、右目用シャッターの開放とが同期していない場合、ユーザーが右目で映像を観測している間に左目用画像が観測されてしまうため、クロストークが生じることになる。クロストークが生じると、ユーザーは綺麗な立体映像を観測することができなくなってしまうという問題を有している。
【0011】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、観測者に綺麗な立体映像を観測させることができる立体映像提示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る立体映像提示システムでは、上記課題を解決するために、
観測者の右目により観測されるべき右目用画像と観測者の左目により観測されるべき左目用画像とを交互に表示装置に供給する立体映像供給装置と、上記表示装置を観測する観測装置であって、上記立体映像供給装置から供給される画像の切り替えに同期して、右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する観測装置と、を備えた立体映像提示システムにおいて、
上記立体映像供給装置は、当該立体映像提示システムを検査モードとして動作させる場合に、検査用画像を表示装置に供給する画像供給手段を備えており、
上記観測装置は、当該立体映像提示システムの動作モードを検査モードとして動作させる場合に、上記画像供給手段から供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔で開閉させるシャッター開閉制御手段を備えており、
上記立体映像供給装置および上記観測装置のいずれかが、上記検査モード時に、上記シャッターを開く各タイミングにおいて検出される上記表示装置の明るさに基づいて、上記立体映像供給装置から上記表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出手段を備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る立体映像提示システムを構成する立体映像供給装置は、動作モードが検査モードである場合に、検査用立体映像コンテンツを構成する検査用画像を表示装置に供給する。立体映像提示システムを構成する観測装置は、動作モードが検査モードである場合に、立体映像供給装置から供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔で開閉させる。そして立体体映像供給装置および観測装置のいずれかは、検査モード時に、シャッターを開く各タイミングにおいて検出される表示装置の明るさに基づいて、立体映像供給装置から表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する。
【0014】
したがって、本発明に係る立体映像提示システムにおいて、立体映像供給装置から表示装置に対して画像が供給されてからシャッターを開くまでの時間を遅延させることにより、観測者に対して立体視を得るために好適な状態の画像を観測させることができる。すなわち、表示装置に対する画像と、その画像に対応して開かれるシャッターの開放とを精度良く同期させることができる。
【0015】
これによって、本発明に係る立体映像提示システムでは、クロストークが生じることにより綺麗な立体視が妨げられることを防ぐことができるため、観測者は綺麗な立体映像を観測することができる効果を奏する。
【0016】
本発明に係る立体映像提示システムでは、さらに、上記立体映像供給装置は、上記立体映像提示システムの動作モードが検査モードである場合に、画像の一部に検査用パターン画像を重畳することにより検査用立体映像コンテンツを作成するコンテンツ作成手段をさらに備えており、上記光検知器は、上記表示装置において上記検査用パターン画像の表示されている領域の明るさを検出することが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、光検知器において明るさを検出する領域を検査パターン画像の表示されている領域のみとすることができる。
【0018】
これによって、光検知器において明るさを検出する領域を小さくすることができるため、表示装置が大型であったとしても、外光などの影響を受けにくくし、明るさを精度良く検出することができる効果を奏する。
【0019】
本発明に係る立体映像提示システムでは、さらに、上記遅延時間算出手段は、センサにより測定される明るさが閾値を下回る時点での頻度情報に基づいて、シャッターを開いてから閉じるまでのシャッター開口時間を算出することが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、観測者に対して立体視するために好適な状態でなくなった画像が観測されることを防ぐことができる。
【0021】
これによって、ユーザーはより一層綺麗な立体映像を観測することができる。
【0022】
なお、本発明に係る立体映像提示システムにおいては、上記立体映像供給装置および上記観測装置のいずれかが、上記検査モード時に上記遅延時間算出手段により算出された遅延時間に基づいて、鑑賞モード時に上記シャッターを開くタイミングを制御するシャッター制御手段を備えてもよい。あるいは、上記立体映像供給装置が、上記検査モード時に上記遅延時間算出手段により算出された遅延時間に基づいて、上記右目用画像と上記左目用画像とを上記表示装置に供給するタイミングを制御するものであってもよい。
【0023】
本発明に係る観測装置は、上記課題を解決するために、
観測者の右目により観測されるべき右目用画像と観測者の左目により観測されるべき左目用画像とを交互に表示する表示装置を観測する観測装置であって、上記表示装置に供給される画像の切り替えに同期して、右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する観測装置において、
当該観測装置の動作モードが検査モードである場合に、上記表示装置に供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔で開閉させるシャッター開閉手段と、
上記シャッターを開く各タイミングにおいて検出される上記表示装置の明るさに基づいて、上記表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0024】
上記の構成によれば、本発明に係る立体映像提示システムと同様の作用効果を奏する。
【0025】
本発明に係る立体映像供給装置は、上記課題を解決するために、
観測者の右目により観測されるべき右目用画像と観測者の左目により観測されるべき左目用画像とを交互に表示装置に供給する立体映像供給装置であって、
当該立体映像供給装置の動作モードが検査モードである場合に、検査用画像を表示装置に供給する画像供給手段と、
当該立体映像供給装置から供給される画像の切り替えに同期して、右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する上記表示装置の観測装置であって、当該観測装置が検査モードである場合に、1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔でシャッターを開閉可能な観測装置から、シャッターを開くタイミングを取得するタイミング取得手段と、
上記タイミング取得手段において取得した各タイミングにおいて検出される上記表示装置の明るさに基づいて、上記表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0026】
上記の構成によれば、本発明に係る立体映像提示システムと同様の作用効果を奏する。
【0027】
本発明に係る遅延時間算出方法は、上記課題を解決するために、
観測者の右目により観測されるべき右目用画像と観測者の左目により観測されるべき左目用画像とを交互に表示装置に供給する立体映像供給装置と、上記表示装置を観測する観測装置であって、上記立体映像供給装置から供給される画像の切り替えに同期して、右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する観測装置と、を備えた立体映像提示システムにおける遅延時間算出方法であって、
上記立体映像供給装置は、当該立体映像提示システムの動作モードが検査モードである場合に、検査用画像を表示装置に供給する画像供給ステップと、
上記画像供給ステップにおいて供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔で開閉させるシャッター開閉制御ステップと、
上記シャッターを開く各タイミングにおいて検出される上記表示装置の明るさに基づいて、上記立体映像供給装置から上記表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出ステップと、
を含むことを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、本発明に係る立体映像提示システムと同様の作用効果を奏する。
【0029】
また、本発明に係る観測装置または立体映像供給装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させることを特徴とするプログラム、および、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る立体映像提示システムを構成する立体映像供給装置は、動作モードが検査モードである場合に、検査用立体映像コンテンツを構成する検査用画像を表示装置に供給する。立体映像提示システムを構成する観測装置は、動作モードが検査モードである場合に、立体映像供給装置から供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔で開閉させる。そして立体体映像供給装置および観測装置のいずれかは、検査モード時に、シャッターを開く各タイミングにおいて検出される表示装置の明るさに基づいて、立体映像供給装置から表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する。
【0031】
これによって、表示装置に対する画像と、その画像に対応して開かれるシャッターの開放とを精度良く同期させることができる。
【0032】
そのため、本発明に係る立体映像提示システムでは、クロストークが生じることにより綺麗な立体視が妨げられることを防ぐことができるため、観測者は綺麗な立体映像を観測することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る立体映像提示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る立体映像提示システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る立体映像提示システムを構成する立体映像供給装置における検査モード時の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る立体映像提示システムを構成する観測装置における検査モード時の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る立体映像提示システムにおける遅延時間の算出方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る立体映像提示システムの一実施形態について、フレームシーケンシャル方式による3D映像コンテンツを例に挙げて、図1〜図4を参照しつつ以下に説明する。
【0035】
(3D映像提示システム100の構成)
まず、本発明に係る3D映像提示システム(立体映像提示システム)の要部構成について、図1を参照しつつ以下に説明する。図1は、3D映像提示システム100の要部構成を示すブロック図である。
【0036】
3D映像提示システム100は、図1に示すように、立体映像供給装置200および観測装置300を備えている。ここで、図1に示されている表示装置500は、3D映像提示システム100を構成する部材ではないが、本発明の理解を容易にするために、便宜上図1に示している。
【0037】
3D映像提示システム100は、コンテンツ観賞モードと検査モードの少なくとも2つのモードを動作モードとして有している。各動作モードについての詳細は下記で説明するため、ここではその説明を省略する。立体映像供給装置200および観測装置300について以下に詳述する。
【0038】
(立体映像供給装置200)
立体映像供給装置200は、3D映像コンテンツを表示装置500に対して供給する。立体映像供給装置200は、フレームシーケンシャル方式により3D映像コンテンツを表示装置500に供給する。すなわち、立体映像供給装置200は、3D映像コンテンツを構成するフレーム画像のうち、ユーザーが右目で観測すべきフレーム画像(右目用フレーム画像)とユーザーが左目で観測すべきフレーム画像(左目用フレーム画像)とを交互に表示装置500に供給する。
【0039】
立体映像供給装置200は、自装置に接続されている記録媒体(例えば、ハードディスクまたはフラッシュメモリなど)、光ディスク(例えば、BDなど)またはネットワーク(例えば、インターネット)を介して、表示装置500に対して供給する3D映像コンテンツを取得する。
【0040】
立体映像供給装置200は、図1に示すように、検査コンテンツ作成部210、画像供給部220、シャッター切替指示部230および記憶部240を備えている。これらの各部材について以下に説明する。
【0041】
(検査コンテンツ作成部210)
検査コンテンツ作成部210は、立体映像供給装置200の動作モードが検査モードである場合に、検査用3D映像コンテンツを作成する。
【0042】
例えば、検査コンテンツ作成部210は、予め記録されている3D映像コンテンツに対して、検査用パターン画像を重畳することにより、検査用3D映像コンテンツを作成する。
【0043】
(画像供給部220)
画像供給部220は、表示装置500に対してフレーム画像を供給する。
【0044】
例えば、3D映像提示システム100がコンテンツ観賞モードである場合には、取得した3D映像コンテンツにおける右目用フレーム画像と左目用フレーム画像とを交互に表示装置500に対して供給する。3D映像提示システム100が検査モードである場合には、検査コンテンツ作成部210において作成した検査用3D映像コンテンツにおける検査用フレーム画像を表示装置500に対して供給する。
【0045】
(シャッター切替指示部230)
シャッター切替指示部230は、画像供給部220におけるフレーム画像の供給に同期して、観測装置300におけるシャッターの開閉を指示する。
【0046】
より具体的には、画像供給部220が右目用フレーム画像を表示装置500に供給するとき、シャッター切替指示部230は、観測装置300に対して右目シャッターを開放し、左目シャッターを閉じるように指示する。逆に、画像供給部220が左目用フレーム画像を表示装置500に供給するとき、シャッター切替指示部230は、観測装置300に対して左目シャッターを開放し、右目シャッターを閉じるように指示する。
【0047】
(記憶部240)
記憶部240は、観測装置300において算出されたシャッター開放の遅延時間を記憶する。
【0048】
(観測装置300)
観測装置300は、表示装置500を観測するための装置であり、3D映像コンテンツを観測するユーザーが頭部に装着する。
【0049】
観測装置300は、3Dメガネであってもよいし、観測装置300に対して表示装置500が一体化されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)としてもよい。
【0050】
観測装置300は、図1に示すように、シャッター切替制御部310、右目シャッター320、左目シャッター330、センサ部340および遅延時間算出部350を備えている。これらの各部材について、以下に説明する。
【0051】
(シャッター切替制御部310)
シャッター切替制御部310は、シャッター切替指示部230からの指示に応じて、観測装置300に備えられている右目シャッター320および左目シャッター330の開閉を制御する。
【0052】
また、3D映像提示システム100が検査モードである場合、シャッター切替制御部310は、右目シャッター320あるいは左目シャッター330におけるシャッターをソースのフレームレートよりも早く開閉する。すなわち、画像供給部220から供給される検査用フレーム画像が右目用である場合、1フレームの検査フレーム画像を供給している間に、右目シャッター320を複数回切り替える。左目用の検査フレーム画像が供給される場合も同様である。
【0053】
(右目シャッター320、左目シャッター330)
右目シャッター320は、観測装置300を装着するユーザーの右目を被覆する右目用観測部に設けられている。右目用シャッター320が閉じているときはユーザーは右目により表示装置500に表示されている映像を観測することができず、開放されているときはユーザーが右目により表示装置500に表示されている映像を観測することができる。
【0054】
同様に、左目用シャッター330は、観測装置300を装着するユーザーの左目を被覆する左目用観測部に設けられている。左目用シャッター330が閉じているときはユーザーは左目により表示装置500に表示されている映像を観測することができず、開放されているときはユーザーが左目により表示装置500に表示されている映像を観測することができる。
【0055】
右目シャッター320および左目シャッター330としては、例えば液晶シャッターを挙げることができる。もちろん、液晶シャッター以外にも、ブラインドなどの機械的なシャッターであってもよい。
【0056】
(センサ部340)
センサ部340は、表示装置500において表示されている映像の明るさ(照度)を検出するセンサである。すなわち、センサ部340は、検査フレーム画像が表示されているときに表示装置500の表示パネルから発せられる光量を検出する。
【0057】
なお、本実施形態では、センサ部340が観測装置300に備えられている場合を例に挙げて説明しているが、もちろんこれに限定されるものではない。センサ部340は、観測装置300とは別体の装置であってもよいし、立体映像供給装置200に備えられていてもよい。
【0058】
ただし、センサ部340がいずれの装置に備えられている場合であっても、センサ部340において検出された照度に関する情報は、遅延時間算出部350に出力される。
【0059】
(遅延時間算出部350)
遅延時間算出部350は、シャッター切替制御部310においてシャッターを開放した開放タイミング、および、センサ部340において検出された照度に基づいて、画像供給部220からフレーム画像が供給されてからシャッターの開閉を実行するまでの遅延時間を算出する。
【0060】
遅延時間算出部350における遅延時間の詳細な算出手法については、下記に詳述するため、ここではその説明を省略する。
【0061】
(表示装置500)
表示装置500は、3D映像コンテンツを表示可能なディスプレイ装置である。表示装置500は、液晶ディスプレイ装置であってもよいし、有機ELディスプレイ装置であってもよい。
【0062】
(3D映像提示システム100の検査モード時の動作)
続いて、3D映像提示システム100の動作モードが検査モードである場合の動作について以下に説明する。
【0063】
本明細書等において「検査モード」とは、3D映像提示システム100において、画像供給部22から表示装置500に対するフレーム画像の供給が右目用から左目用、あるいは、左目用から右目用に切り替わった時点から、切り替わったフレーム画像に対応して開放されるシャッターが実際に開放されるまでの時間(遅延時間)を算出するためのモードである。
【0064】
3D映像提示システム100は、例えば、立体映像供給装置200に設けられたスイッチにより検査モードとコンテンツ観賞モードとを切り替えることができる。このとき、観測装置300には、立体映像供給装置200からいずれのモードで動作するのかが伝送されるようにすればよい。
【0065】
3D映像提示システム100が検査モードで動作する場合、立体映像供給装置200における検査コンテンツ作成部210は、検査用コンテンツを作成する。
【0066】
画像供給部220は、検査コンテンツ作成部210において作成された検査用コンテンツを構成する検査フレーム画像を表示装置500に供給する。
【0067】
このとき、検査用コンテンツは、3D映像コンテンツと同様に右目用フレーム画像と左目用フレーム画像とが交互に供給されるように構成されていてもよいし、一方のフレーム画像だけが供給されるように構成されていてもよい。一方のフレーム画像だけが供給される場合、他方のフレーム画像が供給されるタイミングで黒画像が供給されるようにすればよい。
【0068】
画像供給部220から右目用のある検査フレーム画像が供給される場合、シャッター切替制御部230は右目シャッター320を開放するように観測装置300に対して指示する。
【0069】
指示を受けた観測装置300におけるシャッター切替制御部310は、観測装置300が検査モードで動作している場合、開放するように指示を受けたシャッターを複数回開閉する。例えば、シャッター切替制御部310が右目シャッター320の開放指示を受けた場合、画像供給部220から右目用のある検査フレーム画像が供給されている間、右目シャッターを複数回(好ましくは、10〜100回程度)開閉する。すなわち、シャッター切替制御部310は、ソースとなる映像コンテンツのフレームレートよりも早い速度でシャッターを開閉する。
【0070】
遅延時間算出部350は、シャッター切替制御部310においてシャッターを開放(あるいは閉じた)回数を示す開放タイミング情報を取得する。そして、遅延時間算出部350は、センサ部340において表示装置500から発せられる光の照度が所定の閾値を超えたときの開放タイミング情報に基づいて、遅延時間を算出する。
【0071】
ここで、センサ部340において表示装置500から発せられる光の照度が所定の閾値を超える場合とは、表示装置500に表示されるフレーム画像(画像供給部220において表示装置500に供給されているフレーム画像)がユーザーにとって観測し易い状態で表示されていることを示している。すなわち、このときのフレーム画像が観測時に綺麗に立体視が得られる状態の映像である。
【0072】
遅延時間算出部350は、算出された遅延時間を立体映像供給装置200における記憶部240に記録する。このとき、遅延時間算出部350は、算出した遅延時間と、観測装置300を他の観測装置と識別可能な識別情報とを関連付けて記憶部240に記録するようにしてもよい。これによって、立体映像供給装置200に装着する観測装置を変えたとしても装着した観測装置に応じた遅延時間を用いることができる。
【0073】
(遅延時間の算出手法の詳細)
遅延時間算出部350における遅延時間の算出手法について、図5を参照して説明する。図5は、検査用コンテンツのフレームレートが60fps(1秒あたり60枚のフレーム画像が表示される)であり、シャッターが1フレームあたり10回開放される(10回閉じられる)場合の、遅延時間の算出方法を示す説明図である。
【0074】
図5(a)に示すように、4回目のシャッター開放において、センサ部340にて測定される照度が所定の閾値を超えたとする(表示装置500に対するフレーム画像の供給を右目用から左目用、あるいは、左目用から右目用に切り替えた直後のシャッター開放を1回目のシャッター開放とカウントする)。すなわち、開放タイミング情報が「4」であるとする。この場合、表示装置に対するフレーム画像の供給を右目用から左目用、あるいは、左目用から右目用に切り替えた時点から3/600秒(=1/200秒)後にシャッターを解放する設定とすれば良いことになる。したがって、上記の例では、遅延時間算出部350は、遅延時間を1/200秒に設定する。
【0075】
なお、本実施形態では、シャッター切替指示部230からの指示を受けてから実際にシャッターが開放されるまで、あるいは閉じられるまでの時間(図5(b)おけるΔ秒)については考慮していないが、もちろんこの時間を考慮するようにしてもよい。この場合、遅延時間算出部350は、実際にシャッターが開放されるまで、あるいは閉じられるまでの時間(図5(b)におけるΔ)を、算出した遅延時間(図5(b)における3/600+Δ秒)から減算した値(図5(b)における3/600秒)を遅延時間として算出するようにすればよい。ただし、シャッター開放周期(上記の例では1/600秒)以下の誤差を許容して遅延時間を算出するのであれば、この補正は省略しても構わない。
【0076】
また、本実施形態では、表示装置500の明るさが所定の閾値を超えるタイミングに基づいて遅延時間を算出する場合を例に挙げて説明しているが、もちろんこれに限定されるものではない。例えば、表示装置500の明るさが最大になるタイミングに基づいて遅延時間を算出するようにしてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、1カ所の明るさに基づいて遅延時間を算出する場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されるものではない。すなわち、複数箇所の明るさの各々に基づいて遅延時間を算出したうえで、これらの平均をとって遅延時間としてもよい。このような統計処理を施すことにより、光学的ノイズの影響を低減することができる。なお、光学的ノイズの発生するケースとしては、照明や外光など、表示装置外からの光が検出されてしまうケースや、検査パターンが表示されている箇所以外の箇所からの光が回り込んで検出されてしまうケースなどが挙げられる。
【0078】
なお、本実施形態においては、以下に説明するように、遅延時間算出部350により算出された遅延時間に基づいて、コンテンツ鑑賞モードにおけるシャッターの開放タイミングを制御することによって遅延補償する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、遅延時間算出部350により算出された遅延時間に基づいて、画像供給部220が、表示装置500に対して右目用フレーム画像と左目用フレーム画像とを供給するタイミングを制御することによって遅延補償する構成を採用してもよい。
【0079】
(3D映像提示システム100のコンテンツ観賞モード時の動作)
次に、3D映像提示システム100がコンテンツ観賞モードである場合の動作について以下に簡単に説明する。
【0080】
本明細書等における「コンテンツ観賞モード」とは、ユーザーが3D映像コンテンツを観賞するためのモードである。なお、動作モードの切り替えについては、先に説明したとおりである。
【0081】
立体映像供給装置200に対して観測装置300を装着すると、立体映像供給装置200は装着された観測装置300における遅延時間が記憶部240に記録されているか否かを判定する。遅延時間が記録されている場合には、立体映像供給装置200は記録されている遅延時間を考慮してシャッターの切り替え指示を出力する。遅延時間が記録されていない場合には、遅延時間については考慮しない。
【0082】
立体映像供給装置200が3D映像コンテンツを取得すると、画像供給部220は3D映像コンテンツを構成する右目用フレーム画像および左目用フレーム画像を交互に表示装置500に供給する。なお、3D映像コンテンツは、予め時間軸に沿って左目用フレーム画像と右目用フレーム画像とが交互に供給されるように作成されている。
【0083】
画像供給部220はフレーム画像の供給と同時に、シャッター切替指示部230に対してシャッターの開閉を指示する。画像供給部220は、例えば、右目用フレーム画像を供給する際には、シャッター切替指示部230に対して右目シャッターを開放する指示を観測部300に対して出力するように指示する。
【0084】
指示を受けたシャッター切替制御部230は、画像供給部220から指示を受けてから観測装置300に対して指示を送るまでの時間を、記憶部240に記録されている遅延時間分だけ遅延させる。記憶部240に記録されている遅延時間が経過すると、シャッター切替指示部230は、シャッターの開閉指示を観測装置300に対して出力する。
【0085】
シャッターの開閉指示を受けた観測装置300におけるシャッター切替制御部310は、受けた指示に基づいて右目シャッター320および左目シャッター330を開閉する。例えば、右目シャッター320を開放する指示を受けた場合には、シャッター切替制御部310は右目シャッター320を開放し、左目シャッター330を閉じるようにシャッターを制御する。逆に、左目シャッター330を開放する指示を受けた場合には、シャッター切替制御部310は左目シャッター330を開放し、右目シャッター330を閉じるようにシャッターを制御する。
【0086】
上記の説明では、シャッター切替指示部230から右目シャッターまたは左目シャッターを開放する指示が観測装置300に伝送される場合を例に挙げて説明しているが、もちろん右目シャッターまたは左目シャッターを閉じる指示であっても同様である。
【0087】
(作用効果)
以上説明したように、3D映像提示システム100では、シャッター切り替え指示部230が観測装置300におけるシャッターの切り替え指示を受けてから、観測装置300に対してシャッターの切り替え指示を出力するまでの時間を遅延させる。このとき、遅延される時間(遅延時間)は、画像供給部220から供給されるフレーム画像が表示装置500において立体視が得られる好適な状態になるまでの時間に等しい。
【0088】
したがって、シャッターの切り替え指示を出力する時間を遅延させることにより、ユーザーは、表示装置500において立体視が得られる好適な状態で表示されているフレーム画像を観測することができる。すなわち、3D映像提示システム100は、フレーム画像の表示と、シャッターの切り替えの同期を高精度に行っている。
【0089】
これによって、3D映像提示システム100では、クロストークが少なく綺麗な立体映像をユーザーに観測させることができる。
【0090】
(検査フレーム画像)
本実施形態における検査フレーム画像は、センサ部340において照度が検出可能なフレーム画像であれば特に限定されるものではない。画像全体を検査フレーム画像としてもよいし、通常のフレーム画像の一部に検査用パターンを重畳することにより検査フレーム画像としてもよい。
【0091】
検査用パターンをフレーム画像の一部に重畳することにより、センサ部340において検出すべき領域を小さくすることができる。例えば、大型の表示装置500では、その全体の照度を精度良く検出することは、外光などの影響から極めて困難である。したがって、フレーム画像の一部に重畳されて表示される検査用パターンの領域の照度を検出することにより、センサ部340の検出精度を高めることができる。
【0092】
なお、検査用パターンの形状は、矩形であってもよいし、円形であってもよいし、その他の多角形であってもよい。また、検査用パターンの模様は、縞状(縦縞、横縞、斜め縞)であってもよいし、格子状であってもよいし、無地であってもよい。
【0093】
(シャッター開放時間の設定)
遅延時間算出部350は、さらに、シャッター切替制御部310から取得するシャッターを開放した開放タイミング情報、および、センサ部340において検出された照度に基づいて、画像供給部220からフレーム画像が供給されてからシャッターの開放を終了するまでの遅延時間を算出するようにしてもよい。
【0094】
より具体的には、遅延時間算出部350は、センサ部340において表示装置500から発せられる光の照度が所定の閾値を下回ったときの開放タイミング情報に基づいて、シャッターの開放の実行を終了するまでの時間を算出する。
【0095】
例えば、先と同様に、検査用コンテンツのフレームレートが60fps(1秒あたり60枚のフレーム画像が表示される)であり、シャッターが1フレームあたり10回開放される(10回閉じられる)とする。このとき、閾値を下回った際の開放タイミング情報が「8」である場合、検査フレーム画像が表示装置500に表示されてから、8/600秒(=1/75秒)後にはユーザーが好適に立体視することができる映像ではなくなっているということになる。
【0096】
そこで、遅延時間算出部350は、シャッターが開放されている時間を、フレーム画像が供給され始めてから1/75秒後までとする。これによって、ユーザーはより一層綺麗な立体視を観測することができる。
【0097】
なお、これは、シャッターの閉じる時間を2/600秒(=1/300秒)早めていると換言することもできる。
【0098】
なお、上述した3D映像提示システムでは、フレームシーケンシャル方式による3D映像コンテンツを対象とした場合を例に挙げて説明しているが、もちろんこれに限定するものではない。
【0099】
例えば、3D映像コンテンツが、ライン毎に右目、左目用画像を切り替えるライン・バイ・ライン方式である場合には、上述のフレームの箇所をラインに置き換える事で、本発明に係る立体映像提示システムは実施可能である。
【0100】
(変形例1)
本実施形態では、遅延時間算出部350において算出した遅延時間を立体映像供給装置200における記憶部240に記録する場合を例に挙げて説明しているが、もちろんこれに限定されるものではない。
【0101】
遅延時間算出部350において算出した遅延時間を、観測装置300に備えられた記憶部(図示しない)に記録するようにしてもよい。
【0102】
この場合、立体映像供給装置200におけるシャッター切替指示部230は、画像供給部220において供給されるフレーム画像が右目用から左目用、あるいは、左目用から右目用に切り替わる同時に、シャッターの切り替え指示を観測装置300に出力する。
【0103】
観測装置300におけるシャッター切替部310は、遅延時間算出部350において算出された時間分だけ遅延させて右目シャッター320および左目シャッター330を開閉させる。
【0104】
(変形例2)
上述した3D映像提示システム100は、観測装置300において遅延時間を算出する場合を例に挙げて説明しているが、もちろんこれに限定されるものではない。例えば、図2に示すように、立体映像供給装置200bに備えられていてもよい。図2は、本実施形態に係る3D映像提示システム100bの要部構成を示すブロック図である。
【0105】
図2に示すように、立体映像供給装置200bは、立体映像供給装置200とは異なり、遅延時間算出部250を備えている。遅延時間算出部250は、図1に示す遅延時間算出部350と同一のものであるため、詳細な説明については省略する。
【0106】
遅延時間算出部250は、シャッター切替制御部310から開放タイミング情報を取得し、センサ部340から照度の情報を取得する。そして、照度が所定の閾値を超えた時点での開閉頻度情報に基づいて遅延時間を算出する。
【0107】
(3D映像システム100における処理)
最後に、3D映像システム100を構成する立体映像供給装置200および観測装置300における検査モード時の処理の一例について、図3(a)および(b)および図4を参照しつつ以下に説明する。図3(a)および(b)は、立体映像供給装置200における検査モード時の処理を示すフローチャートである。図4は、観測装置300における検査モード時の処理を示すフローチャートである。
【0108】
図3(a)に示すように、立体映像供給装置200が検査モードである場合(ステップS10においてYes)、立体映像供給装置200は、検査用パターンとしてユーザーの設定したユーザーマーカーを使用するか否かを決定する(ステップS11)。
【0109】
ユーザーマーカーを使用する場合(ステップS11においてYes)、検査コンテンツ作成部210は、メモリからユーザーの設定したユーザーマーカーを読み出す(ステップS12)。そして一方、ユーザーマーカーを使用する場合(ステップS11においてNo)、検査コンテンツ作成部210は、メモリから予め記録されているデフォルトマーカーを読み出す(ステップS13)。
【0110】
検査コンテンツ作成部210は、読み出したユーザーマーカーまたはデフォルトマーカーアをフレーム画像に重畳して検査コンテンツを生成する(ステップS14)。画像供給部220は、作成された検査コンテンツを表示装置500に供給する(ステップS15)。同時に、シャッター切替制御部230は、観測装置300におけるシャッターの開閉を制御する(ステップS16)。
【0111】
なお、立体映像供給装置200がコンテンツ観賞モードである場合には(ステップS10においてNo)、これらの処理は実行されることなく終了する。
【0112】
次に、図4に示すように、観測装置300は自装置が検査モードである場合(ステップS20においてYes)、手動制御モードであるか否かを判定する(ステップS21)。ここで、手動制御モードとは、シャッターの開閉タイミング速度およびシャッターの開閉角度をユーザー操作により設定できるモードである。また、ユーザー操作により開放タイミング情報を設定することができるモードでもある。
【0113】
観測装置300が手動制御モードである場合(ステップS21においてYes)、シャッター切替制御部310は、ユーザー操作に基づいて開放タイミング情報を設定する(ステップS22)。例えば、ユーザーが所定のボタンを押下した時点でのシャッターの開閉回数を開放タイミング情報として設定する。なお、ユーザーは表示されるマーカーが最も綺麗に見える状態の時にボタンを押下するようにすることが好ましい。
【0114】
一方、観測装置300が手動制御モードでない場合(ステップS21においてNo)、シャッター切替制御部310は、センサ部340においてマーカーの照度が所定の閾値を超えた時点での開放タイミング情報を取得する(ステップS23)。
【0115】
遅延時間算出部350は、開放タイミング情報に基づいて遅延時間を算出する(ステップS24)。そして、遅延時間算出部350は、立体映像供給装置200に対して算出した遅延時間を送信する(ステップS25)。
【0116】
図3(b)に示すように、立体映像供給装置200は、観測装置300から遅延時間を取得すると、それを記憶部240に記録する(ステップS30)。
【0117】
続いて、ユーザー操作により動作モードが検査モードからコンテンツ観賞モードに切り替えられると(ステップS31)、シャッター切替指示部230は、記録部240に記録されている遅延時間を参照して、観測装置300のシャッター切替指示を遅延させる(ステップS32)。これにより、観測装置300を装着しているユーザーは、綺麗な立体映像を観賞することができる。
【0118】
なお、上述の処理では、遅延時間を観測装置300において算出する場合を例に挙げて説明しているが、もちろん立体映像供給装置200において算出するようにしてもよい。
【0119】
(プログラムおよび記録媒体)
3D映像提示システム100に含まれている遅延時間算出部350(遅延時間算出部250)は、ハードウェアロジックによって構成すればよい。または、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0120】
すなわち、遅延時間算出部350(遅延時間算出部250)は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するMPUなどのCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。
【0121】
そして、本発明の目的は、遅延時間算出部350(遅延時間算出部250)のプログラムメモリに固定的に担持されている場合に限らず、上記プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、または、ソースプログラム)を記録した記録媒体を観測装置300(立体映像供給装置200b)に供給し、観測装置300(立体映像供給装置200b)が上記記録媒体に記録されている上記プログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
【0122】
上記記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0123】
また、遅延時間算出部350(遅延時間算出部250)を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して遅延時間算出部350(遅延時間算出部250)に供給する。この通信ネットワークは遅延時間算出部350(遅延時間算出部250)にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網、あるいは技術者が独自に作成したプロトコルをサポートする簡易通信システム等であればよい。
【0124】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0125】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明に係る立体映像提示システムは、観測者が立体視を得ることが可能なテレビジョン受像機、いわゆる3Dテレビにおいて好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0127】
100 3D映像提示システム(立体映像提示システム)
100b 3D映像提示システム(立体映像提示システム)
200 立体映像供給装置
200b 立体映像供給装置
210 検査コンテンツ作成部(コンテンツ作成手段)
220 画像供給部
230 シャッター切替指示部
240 記憶部
250 遅延時間算出部(タイミング取得手段、遅延時間算出手段)
300 観測装置
300b 観測装置
310 シャッター切替制御部(シャッター開閉制御手段)
320 右目シャッター
330 左目シャッター
340 センサ部
350 遅延時間算出部
500 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測者の右目により観測されるべき右目用画像と観測者の左目により観測されるべき左目用画像とを交互に表示装置に供給する立体映像供給装置と、上記表示装置を観測する観測装置であって、上記立体映像供給装置から供給される画像の切り替えに同期して、右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する観測装置と、を備えた立体映像提示システムにおいて、
上記立体映像供給装置は、当該立体映像提示システムを検査モードとして動作させる場合に、検査用画像を表示装置に供給する画像供給手段を備えており、
上記観測装置は、当該立体映像提示システムの動作モードを検査モードとして動作させる場合に、上記画像供給手段から供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔で開閉させるシャッター開閉制御手段を備えており、
上記立体映像供給装置および上記観測装置のいずれかが、上記検査モード時に、上記シャッターを開く各タイミングにおいて検出される上記表示装置の明るさに基づいて、上記立体映像供給装置から上記表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出手段を備えていることを特徴とする立体映像提示システム。
【請求項2】
上記立体映像供給装置は、上記立体映像提示システムの動作モードが検査モードである場合に、画像の一部に検査用パターン画像を重畳することにより検査用立体映像コンテンツを作成するコンテンツ作成手段をさらに備えており、
上記光検知器は、上記表示装置において上記検査用パターン画像の表示されている領域の明るさを検出することを特徴とする請求項1に記載の立体映像提示システム。
【請求項3】
上記遅延時間算出手段は、センサにより測定される明るさが閾値を下回る時点での頻度情報に基づいて、シャッターを開いてから閉じるまでのシャッター開口時間を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の立体映像提示システム。
【請求項4】
上記立体映像供給装置および上記観測装置のいずれかが、上記検査モード時に上記遅延時間算出手段により算出された遅延時間に基づいて、鑑賞モード時に上記シャッターを開くタイミングを制御するシャッター制御手段を備えているか、
又は、上記立体映像供給装置が、上記検査モード時に上記遅延時間算出手段により算出された遅延時間に基づいて、上記右目用画像と上記左目用画像とを上記表示装置に供給するタイミングを制御する、ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の立体映像提示システム。
【請求項5】
観測者の右目により観測されるべき右目用画像と観測者の左目により観測されるべき左目用画像とを交互に表示する表示装置を観測する観測装置であって、上記表示装置に供給される画像の切り替えに同期して、右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する観測装置において、
当該観測装置の動作モードが検査モードである場合に、上記表示装置に供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔で開閉させるシャッター開閉手段と、
上記シャッターを開く各タイミングにおいて検出される上記表示装置の明るさに基づいて、上記表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
を備えていることを特徴とする観測装置。
【請求項6】
観測者の右目により観測されるべき右目用画像と観測者の左目により観測されるべき左目用画像とを交互に表示装置に供給する立体映像供給装置であって、
当該立体映像供給装置の動作モードが検査モードである場合に、検査用画像を表示装置に供給する画像供給手段と、
当該立体映像供給装置から供給される画像の切り替えに同期して、右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する上記表示装置の観測装置であって、当該観測装置が検査モードである場合に、1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔でシャッターを開閉可能な観測装置から、シャッターを開くタイミングを取得するタイミング取得手段と、
上記タイミング取得手段において取得した各タイミングにおいて検出される上記表示装置の明るさに基づいて、上記表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出手段と、
を備えていることを特徴とする立体映像供給装置。
【請求項7】
観測者の右目により観測されるべき右目用画像と観測者の左目により観測されるべき左目用画像とを交互に表示装置に供給する立体映像供給装置と、上記表示装置を観測する観測装置であって、上記立体映像供給装置から供給される画像の切り替えに同期して、右目用シャッターおよび左目用シャッターを交互に開閉する観測装置と、を備えた立体映像提示システムにおける遅延時間算出方法であって、
上記立体映像供給装置は、当該立体映像提示システムの動作モードが検査モードである場合に、検査用画像を表示装置に供給する画像供給ステップと、
上記画像供給ステップにおいて供給されている方の検査用画像に対応して開かれるシャッターを1枚の検査用画像が供給されている時間よりも短い間隔で開閉させるシャッター開閉制御ステップと、
上記シャッターを開く各タイミングにおいて検出される上記表示装置の明るさに基づいて、上記立体映像供給装置から上記表示装置に検査用画像が供給されてからシャッターを開くまでの遅延時間を算出する遅延時間算出ステップと、
を含むことを特徴とする遅延時間算出方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項5に記載の観測装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記観測装置が備えている上記各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータを請求項6に記載の立体映像供給装置をとして動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記立体映像供給装置が備えている上記各手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項8または9に記載のプログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−248005(P2011−248005A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119605(P2010−119605)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】