説明

立体映像視聴具及び立体映像表示システム

【課題】複数の視聴者がいる場合であっても、他の視聴者の立体映像の視聴を妨げずに、個々の視聴者毎に疲労を軽減させること。
【解決手段】3Dメガネ20のマイコン25から3Dテレビ10側へ自己の識別情報の通知が行われるようにし、3Dテレビ10のマイコン19が無線通信トランシーバ16を介して疲労を示す情報の通知を受け取り、既に受け取っている自己の識別情報から視聴者が複数であると判別した場合は複数であることを示す情報を通知し、マイコン25は疲労を示す情報の通知を行った後、心拍計21及び瞳センサ22からの検知結果から疲労を回復していない判断すると、2D映像(平面映像)が視聴されるようにし、さらに疲労の回復がなければたとえば視聴者の目に到達する光量を低減させて視聴者の目を休ませるようにするセーフティーモードへの切り替えが行われるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両眼視差を利用し映像を立体化させて表示する立体映像視聴具及び立体映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
立体映像表示装置である3Dテレビは、両眼視差による映像の立体化現象を利用している。この場合、テレビ側で左目用と右目用の映像が用意されており、視聴者が3Dメガネをかけることでそれら映像が左目右目にそれぞれに取り込まれ、立体的な映像を見ることができる。
【0003】
具体的な手法としては、たとえばフルHD画質を保ちつつ3D映像化を可能としたフレームシーケンシャル方式が提案されている。この方式は、左目用の映像と右目用の映像とを画面に交互に表示し、その表示の切り替えに同期させて3Dメガネのアクティブシャッターにより左右の目をオン/オフし、両眼視差を作り出すことにより、立体的な映像が得られるようにしたものである。
【0004】
ところで、人間の目は像の距離により焦点の合わせ方が異なる動きをするが、3Dテレビの映像は平面の映像を見るときと同じテレビ画面に焦点を合わせて立体映像を見ることになるため、調整輻輳矛盾と呼ばれる違和感により疲労を感じてしまうことがある。
【0005】
その影響で、3Dテレビを長時間見ていることにより疲労が蓄積し、体調を崩してしまう可能性がある。テレビは多くの人が家庭での団欒や休暇を楽しむ商品であるが、そのテレビが身体に悪影響を与えてしまってはテレビの持つ本質的な役割を果たせないことから、長時間映像を楽しむための保護対策が必要となっている。
【0006】
このような保護対策を講じるようにしたものとして、特許文献1では、目の疲労度を正確に評価することによって、立体映像の立体度を適確に制御することができるようにした立体映像表示装置を提案している。これは、シャッターメガネにEOG(眼球電位図)波形を検出するために電極を取り付け、その電位差信号を基に輻輳機能の低下を検知し立体度を調整するようにしたものである。
【0007】
また、特許文献2では、感性情報を検出して機器の応答を制御するようにした感性応答制御装置を提案している。これは、額、鼻の皮膚温度の変化から興奮度を、瞬きの変化から疲労度を基に検出できる機構を用い、ここで得られた二つの感性度から立体強調度を0〜3の4段階に切り替えるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−18894号公報
【特許文献2】特開平09−23451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上述した特許文献1では、EOG法により正確に視聴者の目の疲労を検出することで、立体映像の立体度が適確に制御され、視聴者の疲労が軽減されるようになっているものの、立体度の調整がテレビ側で処理されるようになっているため、複数の視聴者がいる状況においては疲労の現れていない視聴者も疲労の現れている視聴者を対象した映像を見せられてしまうという不具合があった。
【0010】
また、上述した特許文献2では、興奮度と疲労度の二つの感性度から立体強調度を0〜3の4段階に切り替えることで、上記同様に、視聴者の疲労が軽減されるようになっているものの、その立体強調度の切り替えがテレビ側で処理されるようになっているため、複数の視聴者がいる状況においてはその感性度が低い視聴者もその感性度が高い視聴者を対象とした映像を見せられてしまうという不具合があった。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数の視聴者がいる場合であっても、他の視聴者の立体映像の視聴を妨げずに、個々の視聴者毎に疲労を軽減させることができるようにした立体映像視聴具及び立体映像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の立体映像視聴具は、左右の目のそれぞれに対応する映像が画面に交互に表示されるフレームシーケンシャル方式の立体映像を視聴する立体映像視聴具であって、前記左右の目のいずれかの映像に対応してオン/オフし前記映像の取り込みを行うアクティブシャッターと、前記映像を視聴する視聴者の疲労状態を検知する疲労状態検知手段と、該疲労状態検知手段の検知結果に基づき、前記アクティブシャッターの動作を制御する視聴側制御手段とを備え、前記視聴側制御手段は、前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を伴っていると判断すると、前記左右の目のいずれか一方に対応する前記映像を取り込むように前記アクティブシャッターのオン/オフを制御し、平面映像が視聴されるようにすることを特徴とする。
また、前記視聴側制御手段による制御によって点灯又は点滅を行う発光体を備え、前記視聴側制御手段は、前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を伴っていると判断すると、前記発光体を点灯又は点滅させるようにすることができる。
また、前記視聴側制御手段は、前記平面映像が視聴されるように前記アクティブシャッターのオン/オフを制御した後、所定時間経過後に前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を回復したと判断すると、前記アクティブシャッターのオン/オフを制御して立体映像が視聴されるようにし、前記所定時間経過後に前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を回復していないと判断すると、前記アクティブシャッターのオン/オフを制御して視聴者の目に到達する光量を低減させるようにすることができる。
本発明の立体映像表示システムは、立体映像を視聴する立体映像視聴具と、左右の目のそれぞれに対応するフレームシーケンシャル方式の前記立体映像を表示する立体映像表示装置とを備え、前記立体映像視聴具は、前記左右の目のいずれかの映像に対応してオン/オフし前記映像の取り込みを行うアクティブシャッターと、前記映像を視聴する視聴者の疲労状態を検知する疲労状態検知手段と、点灯又は点滅を行う発光体と、前記疲労状態検知手段の検知結果に基づいた前記アクティブシャッターの動作の制御と該検知結果に伴う疲労を示す情報の通知とを行うことに加え、自己の識別情報の通知を行う視聴側制御手段とを備え、前記立体映像表示装置は、前記視聴側制御手段と通信を行う通信手段と、該通信手段を介して受け取った各種情報に基づき少なくとも映像表示の制御を行う表示側制御手段とを備え、前記表示側制御手段は、前記通信手段を介して前記疲労を示す情報の通知を受け取り、前記通信手段を介して受け取った前記識別情報から視聴者が複数であると判別した場合は複数であることを示す情報を通知し、前記視聴側制御手段は、前記疲労を示す情報の通知を行った後、前記視聴者が複数であることを示す情報を受け取ると、前記発光体を点灯又は点滅させ、さらに、前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を回復していない判断すると、前記左右の目のいずれか一方に対応する前記映像を取り込むように前記アクティブシャッターのオン/オフを制御し、平面映像が視聴されるようすることを特徴とする。
また、前記視聴側制御手段は、平面映像の視聴から所定時間経過後に、前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を回復していない判断すると、前記アクティブシャッターのオン/オフを制御して視聴者の目に到達する光量を低減させるようにすることができる。
また、前記表示側制御手段は、前記通信手段を介して受け取った前記識別情報から視聴者が1人であると判別した場合は画面に疲労注意を促す表示を行い、該疲労注意を促す表示を行った後、前記通信手段を介して前記視聴側制御手段から疲労未回復を示す情報の通知を受け取ると安らぎ感のある映像への切り替えを行い、所定時間経過後、シャットダウンの処理を行うようにすることができる。
本発明の立体映像視聴具及び立体映像表示システムでは、立体映像視聴具の視聴側制御手段により、疲労状態検知手段による検知結果から疲労を伴っていると判断されると、左右の目のいずれか一方に対応する映像を取り込むようにアクティブシャッターのオン/オフが制御されることで、平面映像が視聴される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の立体映像視聴具及び立体映像表示システムによれば、立体映像視聴具の視聴側制御手段により、疲労状態検知手段による検知結果から疲労を伴っていると判断されると、左右の目のいずれか一方に対応する映像を取り込むようにアクティブシャッターのオン/オフが制御され、平面映像が視聴されるようにしたので、複数の視聴者がいる場合であっても、他の視聴者の立体映像の視聴を妨げずに、個々の視聴者毎に疲労を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の立体映像表示システムの一実施形態を説明するための図である。
【図2】図1の立体映像表示システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1の立体映像表示システムの動作を説明するための図である。
【図4】図1の立体映像表示システムの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の立体映像表示システムの実施形態の詳細について説明する。図1は本発明の立体映像表示システムの一実施形態を示す図である。
【0016】
同図に示すように、立体映像表示システムは、立体映像表示装置である3Dテレビ10と立体映像視聴具である3Dメガネ20とを備えている。3Dテレビ10は、チューナ11、デコーダ12、画像処理部13、液晶制御部14、液晶パネル15、無線通信トランシーバ16、電源制御部17、インバータ18、バックライト18a、マイコン19を有している。
【0017】
チューナ11は、図示しないリモコン等の選局指示に応じた選局を行う。デコーダ12は、チューナ11によって選局された放送信号のパケットデータをフィルタリングし、画像と音声の復号処理を行う。
【0018】
画像処理部13は、デコーダ12によって復号処理された画像の信号に基づく映像信号を液晶制御部14に出力する。ここで、フレームシーケンシャル方式での3D映像を表示させる場合、左目用の映像と右目用の映像とを1フレーム毎に交互に表示させるような映像信号が出力される。
【0019】
液晶制御部14は、画像処理部13からの映像信号に基づき、液晶パネル15の駆動を制御する。液晶パネル15は、液晶制御部14の制御により、3D映像等を表示する。通信手段である無線通信トランシーバ16は、ブルートゥース等によるデータの送受信を行う。
【0020】
電源制御部17は、図示しないリモコン等の操作やマイコン19による制御により、メイン電源のオン/オフを行う。インバータ18は、バックライト18aを駆動させるための駆動電力を出力する。バックライト18aは、液晶パネル15の背面に配置された光源である。
【0021】
表示側制御手段であるマイコン19は、図示しないリモコン等の操作に応じて各部の動作を制御する。また、マイコン19は、無線通信トランシーバ16を介して受け取った3Dメガネ20側からの3Dメガネ20毎に異なる自己の識別情報の通知に基づき視聴者の人数を把握する。また、マイコン19は、無線通信トランシーバ16を介して受け取った3Dメガネ20側からの疲労を示す情報の通知、疲労未回復を示す情報の通知を受け取り、視聴者が1人である場合は疲労注意を促す表示、電源制御部17を制御してのシャットダウン等の処理を行う。
【0022】
3Dメガネ20は、心拍計21、瞳センサ22、アクティブシャッター23、同期信号受信部24、マイコン25を有している。
【0023】
疲労状態検知手段である心拍計21は、3Dメガネ20をかけている視聴者の心拍数を計測する。疲労状態検知手段である瞳センサ22は、目のまばたき回数をカウントする。
【0024】
アクティブシャッター23は、3Dテレビ10の画面に交互に表示される左目用の映像と右目用の映像の表示の切り替えに同期してオン/オフし、左右の目にそれぞれ対応したの映像が見えるようにするものである。これにより、両眼視差が作り出され、立体的な映像が得られる。なお、平面映像である2D映像が見えるようにする場合、左右どちらかの映像に同期させるようにアクティブシャッター23の左右が同時にオン/オフする。
【0025】
同期信号受信部24は、3Dテレビ10の無線通信トランシーバ16からの左目用の映像と右目用の映像の表示の切り替えに伴う同期信号等を受信する。
【0026】
マイコン25は、同期信号受信部24によって受信した同期信号等に基づき、アクティブシャッター23のオン/オフを制御する。また、マイコン25は、心拍計21及び/又は瞳センサ22からの検知結果に基づき、アクティブシャッター23のオン/オフを制御する。また、マイコン25は、疲労を示す情報の通知、疲労未回復を示す情報の通知、自己の識別情報の通知をブルートゥース等により3Dテレビ10の無線通信トランシーバ16に対して行う。
【0027】
次に、図2〜図4を参照し、立体映像表示システムの動作について説明する。
【0028】
まず、図2に示すように、3Dテレビ10によって3D映像が表示されているとき(ステップS30)、視聴者が3Dメガネ20をかけて3Dメガネ20の電源をオンすると、マイコン25から自己の識別情報がブルートゥース等によって3Dテレビ10の無線通信トランシーバ16に通知される(ステップS10)。
【0029】
また、3Dメガネ20の電源のオンにより、3Dメガネ20のマイコン25が動作し、同期信号受信部24によって受信した同期信号等に基づきアクティブシャッター23のオン/オフが制御され、3D映像を視聴することができる(ステップS11)。
【0030】
3D映像を視聴している最中においては、3Dメガネ20の心拍計21により3Dメガネ20をかけている視聴者の心拍数が計測されるとともに、瞳センサ22により目のまばたき回数がカウントされる(ステップS12)。
【0031】
そして、3Dメガネ20のマイコン25により、疲労を検知したかどうかが判断される(ステップS13)。ここで、疲労を検知したかどうかの判断は、たとえばマイコン25が視聴者の平常時の心拍数やまばたき回数を疲労基準データとして3Dメガネ20の図示しないメモリに登録しておき、心拍数とまばたき回数の両方又はどちらか一方がその疲労基準データから所定の量だけ変位したかどうかを確認することで行われるようにすることができる。
【0032】
また、一般の複数の視聴者の平常時の標準的な心拍数とまばたき回数とを疲労基準データとして3Dメガネ20の図示しないメモリに予め登録しておき、心拍数とまばたき回数の両方又はどちらか一方がその疲労基準データから所定の量だけ変位したかどうかを確認することで疲労を検知したかどうかが判断されるようにしてもよい。
【0033】
なお、このような一般の複数の視聴者の平常時の標準的な疲労基準データは、固定化せずに、視聴者によって任意に設定変更できるようにしてもよい。このようにすると、視聴者の体調等に応じて疲労の検知基準を適宜変更することができる。
【0034】
ここで、疲労が検知されなければ(ステップS13:NO)、ステップS11に移行し、3D映像の視聴が継続されるが、疲労を検知したと判断されると(ステップS13:YES)、3Dメガネ20のマイコン25から3Dテレビ10の無線通信トランシーバ16へ疲労を示す情報の通知が行われる(ステップS14)。
【0035】
このとき、3Dテレビ10のマイコン19により、視聴者の数が1人かどうかが判断される(ステップS32)。すなわち、視聴者が複数いれば、それぞれの視聴者が使用する3Dメガネ20のマイコン25からの自己の識別情報が3Dテレビ10の無線通信トランシーバ16に通知されていることになり、3Dテレビ10側ではそれぞれ異なる識別情報から視聴者の数を判別することが可能となる。
【0036】
そして、3Dテレビ10のマイコン19により視聴者の数が1人ではないと判断されると(ステップS32:NO)、それぞれの3Dメガネ20に視聴者が複数であることを示す情報が通知される(ステップS31)。
【0037】
なお、3Dメガネ20側にLED等の発光体を設けておき、ステップS14で疲労を示す情報の通知が行われた後、ステップS31で視聴者が複数であることを示す情報の通知があると、その発光体を点灯又は点滅させるようにしてもよい。これにより、疲労が検知されていない視聴者の3D映像の視聴を妨げることなく、疲労が検知された視聴者に対してのみ疲労注意を促すことができる。
【0038】
また、ステップS32において、視聴者の数が1人であると判断されると(ステップS32:YES)、マイコン19の制御により、たとえば図3に示すように、3Dテレビ10の画面に疲労注意表示10aがポップアップ等で表示される(ステップS33)。このように、3Dテレビ10の画面に疲労注意表示10aがポップアップ等で表示されることにより、3D映像の視聴に熱中している視聴者に対して疲労の認識を促すことができる。
【0039】
なお、疲労注意表示10aのポップアップ等での表示は、所定時間(たとえば30秒や1分程度)経過後、消去されるようにしてもよい。これは、所定時間、疲労注意表示10aのポップアップ等での表示が行われることで、視聴者に対しての疲労の認識の促しが十分であると考えられるためである。
【0040】
次いで、3Dメガネ20のマイコン25により、疲労が回復したかどうかが判断される(ステップS15)。ここで、疲労が回復したかどうかの判断は、上記同様に、たとえば心拍数とまばたき回数の両方又はどちらか一方がその疲労基準データから所定の量だけ変位したかどうかを確認することで行われる。
【0041】
そして、疲労が回復したと判断されれば(ステップS15:YES)、ステップS11に移行し、3D映像の視聴が継続される。このとき、3Dメガネ20のマイコン25から3Dテレビ10の無線通信トランシーバ16へ疲労が回復したことを示す情報の通知が行われるようにしてもよい。これにより、3Dテレビ10の画面に未だ消去されずに表示されている疲労注意表示10aを強制的に消去することができ、3D映像の視聴の妨げをなくすことができる。
【0042】
これに対し、疲労が回復したと判断されなければ(ステップS15:NO)、3D映像から2D映像への切り替えが行われる(ステップS16)。
【0043】
ここで、3D映像から2D映像への切り替えは、図4に示すように、マイコン25の制御によるアクティブシャッター23の動作によって行われる。すなわち、図4(a)に示すように、3D映像を視聴するときは、フレームシーケンシャル方式において交互に表示される左右の映像が左右の目にそれぞれ入るようにアクティブシャッター23が同期している。これにより、両眼視差が生じ、3D映像を得ることができる。
【0044】
これに対し、2D映像を視聴する場合は、図4(b)に示すように、アクティブシャッター23の左右を同時に開閉させ、左右どちらかの映像に同期させる。これにより、両眼視差はなく、2D映像を得ることができる。2D映像においては、調整輻輳矛盾が起きないので3D映像の際に生じる疲労感はなくなり、目を休めることができる。
【0045】
次いで、3Dメガネ20のマイコン25により、所定の時間が経過したかどうかが判断され(ステップS17)、所定の時間が経過すると(ステップS17:YES)、疲労が回復したかどうかが判断される(ステップS18)。ここで、疲労が回復したかどうかの判断は、上記同様に、たとえば心拍数とまばたき回数の両方又はどちらか一方がその疲労基準データから所定の量だけ変位したかどうかを確認することで行われる。
【0046】
また、ここでの疲労が回復したかどうかの判断を行うための所定時間は、個人差にもよるが、平均的な視聴者の回復時間に合わせて行われることが好ましい。つまり、3D映像から2D映像への切り替えの直後に疲労が回復したかどうかの判断が行われるようにすると、この段階では殆どの視聴者の疲労が回復されないことは容易に予測されるため、ステップS17において所定時間(たとえば10分等)経過した後にステップS18で疲労が回復したかどうかの判断が行われるようにすることが好ましい。
【0047】
なお、ステップS17においての時間は、個人差があるため、視聴者によって適宜変更できるようにしてもよい。
【0048】
そして、疲労が回復したと判断されれば(ステップS18:YES)、ステップS11に移行し、3D映像の視聴が継続されるが、疲労が回復したと判断されなければ(ステップS18:NO)、視聴者が複数であることを示す情報の通知があるかどうかが判断される(ステップS19)。
【0049】
ここで、視聴者が複数であることを示す情報の通知がある場合(ステップS19:YES)、マイコン25によりセーフティーモードへの切り替えが行われる(ステップS20)。
【0050】
ここでのセーフティーモードへの切り替えとしては、たとえばマイコン25の制御により、図4(b)に示したアクティブシャッター23の左右を同時に開閉させるタイミングにおいて、たとえばデューティ比を小さくし、オン期間を短くするようなことを行う。このようにすると、視聴者の目に到達する光量が低減するため、疲労が検知された視聴者の目を休ませることができる。また、3D映像の視聴に熱中している視聴者に対して強制的に疲労の認識を促すことができる。
【0051】
また、このようなセーフティーモードへ切り替えは、疲労が検知された視聴者がかけている3Dメガネ20側で行われるため、疲労が検知されない視聴者はそのまま3D映像を視聴することができる。
【0052】
これに対し、ステップS19において、視聴者が複数であることを示す情報の通知がない場合(ステップS19:NO)、3Dメガネ20のマイコン25から3Dテレビ10の無線通信トランシーバ16へ疲労未回復を示す情報の通知が行われる(ステップS21)。
【0053】
このとき、3Dテレビ10側では、マイコン19による画像処理部13の制御により、映像の切り替えが行われる(ステップS34)。この場合、視聴者は1人であるため、3Dテレビ10の画面に、たとえば安らぎ感のある映像が表示されるようにすることができる。
【0054】
そして、3Dテレビ10側では、所定時間経過後、マイコン25による電源制御部17の制御により、シャットダウンの処理が行われる(ステップS35)。これにより、3Dテレビ10からの映像の表示がなくなるため、視聴者が1人である場合、疲労が検知された視聴者の目を強制的に休ませることができる。
【0055】
このように、本実施形態では、立体映像視聴具である3Dメガネ20の基本動作として、視聴側制御手段であるマイコン25により、疲労状態検知手段である心拍計21及び瞳センサ22からの心拍数とまばたき回数の両方又はどちらか一方が疲労基準データから所定の量だけ変位したかどうかを確認することによる検知結果から疲労を伴っていると判断されると、左右の目のいずれか一方に対応する映像を取り込むようにアクティブシャッター23のオン/オフが制御され、2D映像(平面映像)が視聴されるようにしたので、3Dメガネ20側で疲労が検知された視聴者に対する疲労の軽減対策を講じることができる。
【0056】
さらに、2D映像(平面映像)が視聴されるようにした場合であっても、疲労の回復がなければたとえば視聴者の目に到達する光量を低減させて視聴者の目を休ませるようにするセーフティーモードへの切り替えが行われるようにしたので、3D映像の視聴に熱中している視聴者に対して強制的に疲労の認識を促すことができる。
【0057】
また、本実施形態では、3Dメガネ20のマイコン25から3Dテレビ10側へ自己の識別情報の通知が行われるようにし、表示側制御手段であるマイコン19が通信手段である無線通信トランシーバ16を介して疲労を示す情報の通知を受け取り、既に受け取っている自己の識別情報から視聴者が複数であると判別した場合は複数であることを示す情報を通知し、3Dメガネ20のマイコン25は、疲労を示す情報の通知を行った後、視聴者が複数であることを示す情報を受け取ると、図示しない発光体を点灯又は点滅させ、さらに、心拍計21及び瞳センサ22からの検知結果から疲労を回復していない判断すると、疲労が検知された視聴者の3Dメガネ20側において、左右の目のいずれか一方に対応する映像を取り込むようにアクティブシャッター23のオン/オフが制御され、2D映像(平面映像)が視聴されるようにし、さらに疲労の回復がなければたとえば視聴者の目に到達する光量を低減させて視聴者の目を休ませるようにするセーフティーモードへの切り替えが行われるようにした。
【0058】
これにより、複数の視聴者がいる場合であっても、他の視聴者の3D映像(立体映像)の視聴を妨げずに、3D映像の視聴に熱中している視聴者に対して疲労の認識を強制的に促すことができるとともに、個々の視聴者毎に疲労を軽減させることができる。
【0059】
また、3Dメガネ20のマイコン25から3Dテレビ10側へ疲労を示す情報の通知が行われ、3Dテレビ10のマイコン19によって視聴者が1人であると判別された場合は3Dテレビ10の画面に疲労注意表示10aがポップアップ等で表示されるようにしているので、3D映像の視聴に熱中している視聴者に対して疲労の認識を促すことができる。
【0060】
また、疲労注意表示10aのポップアップ等での表示が行われた後、3Dメガネ20のマイコン25から疲労未回復を示す情報の通知を受け取ると安らぎ感のある映像への切り替えを行い、所定時間経過後、シャットダウンの処理を行うようにしたので、視聴者が1人である場合、安らぎ感のある映像によって視聴者の疲労の軽減を促進させることができるとともに、3Dテレビ10からの映像の表示をなくすことで疲労が検知された視聴者の目を強制的に休ませることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
3Dテレビからの3D映像の視聴に限らず、テレビ会議等におけるモニタ映像の視聴を行うシステム等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 3Dテレビ
10a 疲労注意表示
11 チューナ
12 デコーダ
13 画像処理部
14 液晶制御部
15 液晶パネル
16 無線通信トランシーバ
17 電源制御部
18 インバータ
18a バックライト
19 マイコン
20 3Dメガネ
21 心拍計
22 瞳センサ
23 アクティブシャッター
24 同期信号受信部
25 マイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の目のそれぞれに対応する映像が画面に交互に表示されるフレームシーケンシャル方式の立体映像を視聴する立体映像視聴具であって、
前記左右の目のいずれかの映像に対応してオン/オフし前記映像の取り込みを行うアクティブシャッターと、
前記映像を視聴する視聴者の疲労状態を検知する疲労状態検知手段と、
該疲労状態検知手段の検知結果に基づき、前記アクティブシャッターの動作を制御する視聴側制御手段とを備え、
前記視聴側制御手段は、前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を伴っていると判断すると、前記左右の目のいずれか一方に対応する前記映像を取り込むように前記アクティブシャッターのオン/オフを制御し、平面映像が視聴されるようにする
ことを特徴とする立体映像視聴具。
【請求項2】
前記視聴側制御手段による制御によって点灯又は点滅を行う発光体を備え、
前記視聴側制御手段は、前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を伴っていると判断すると、前記発光体を点灯又は点滅させる
ことを特徴とする請求項1に記載の立体映像視聴具。
【請求項3】
前記視聴側制御手段は、
前記平面映像が視聴されるように前記アクティブシャッターのオン/オフを制御した後、所定時間経過後に前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を回復したと判断すると、前記アクティブシャッターのオン/オフを制御して立体映像が視聴されるようにし、
前記所定時間経過後に前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を回復していないと判断すると、前記アクティブシャッターのオン/オフを制御して視聴者の目に到達する光量を低減させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の立体映像視聴具。
【請求項4】
立体映像を視聴する立体映像視聴具と、
左右の目のそれぞれに対応するフレームシーケンシャル方式の前記立体映像を表示する立体映像表示装置とを備え、
前記立体映像視聴具は、
前記左右の目のいずれかの映像に対応してオン/オフし前記映像の取り込みを行うアクティブシャッターと、
前記映像を視聴する視聴者の疲労状態を検知する疲労状態検知手段と、
点灯又は点滅を行う発光体と、
前記疲労状態検知手段の検知結果に基づいた前記アクティブシャッターの動作の制御と該検知結果に伴う疲労を示す情報の通知とを行うことに加え、自己の識別情報の通知を行う視聴側制御手段とを備え、
前記立体映像表示装置は、
前記視聴側制御手段と通信を行う通信手段と、
該通信手段を介して受け取った各種情報に基づき少なくとも映像表示の制御を行う表示側制御手段とを備え、
前記表示側制御手段は、
前記通信手段を介して前記疲労を示す情報の通知を受け取り、前記通信手段を介して受け取った前記識別情報から視聴者が複数であると判別した場合は複数であることを示す情報を通知し、
前記視聴側制御手段は、
前記疲労を示す情報の通知を行った後、前記視聴者が複数であることを示す情報を受け取ると、前記発光体を点灯又は点滅させ、
さらに、前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を回復していない判断すると、前記左右の目のいずれか一方に対応する前記映像を取り込むように前記アクティブシャッターのオン/オフを制御し、平面映像が視聴されるようする
ことを特徴とする立体映像表示システム。
【請求項5】
前記視聴側制御手段は、平面映像の視聴から所定時間経過後に、前記疲労状態検知手段による検知結果から疲労を回復していない判断すると、前記アクティブシャッターのオン/オフを制御して視聴者の目に到達する光量を低減させることを特徴とする請求項4に記載の立体映像表示システム。
【請求項6】
前記表示側制御手段は、
前記通信手段を介して受け取った前記識別情報から視聴者が1人であると判別した場合は画面に疲労注意を促す表示を行い、
該疲労注意を促す表示を行った後、前記通信手段を介して前記視聴側制御手段から疲労未回復を示す情報の通知を受け取ると安らぎ感のある映像への切り替えを行い、
所定時間経過後、シャットダウンの処理を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の立体映像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−205481(P2011−205481A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71869(P2010−71869)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】