説明

立体映像鑑賞用メガネおよび立体映像表示システム

【課題】右眼用映像と左眼用映像の視差方向と、右眼と左眼とを結ぶ直線方向との傾きの大きさに関わらず、視聴者が快適に映像を見続けることができるようにする。
【解決手段】立体映像鑑賞用メガネ100は、表示面に時分割に表示される右眼用映像と左眼用映像に同期して、右眼用シャッタと左眼用シャッタが時分割交互にに開閉する。加速度センサ13は、表示面とメガネを結ぶ軸を中心とする表示面に対する前記メガネの回転角を検出する。制御部15は、加速度センサ13の出力信号をもとに回転角を特定し、当該回転角が許容範囲内に存在するか否かを判定する。当該回転角が当該許容範囲を超えたとき、右眼用シャッタおよび左眼用シャッタが同期して同時に開閉するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像を鑑賞するための立体映像鑑賞用メガネ、および立体映像鑑賞用メガネを用いる立体映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の両眼は数cmほど離れているため、右眼と左眼で得られる像には位置ずれがある。人間の脳はこの位置ずれを一つの手がかりとして奥行きを認識している。逆にいえば、この両眼に写すべき像の位置ずれ量を調整することにより、脳に擬似的に奥行きを認識させることができる。この両眼視差を利用して、平面映像(以下適宜、2D映像と表記する)を立体映像(以下適宜、3D映像と表記する)として脳に認識させる手法が実用化されている。
【0003】
近年、3D対応テレビ、3D対応プロジェクタ、3D対応デジタルカメラおよび3D対応ゲーム機など、様々な3D対応機器の一般消費者向けの販売が開始され、3D対応機器の普及期に入っている。
【0004】
両眼視差を利用した3D映像表示システムには、大別するとメガネ方式と裸眼方式があるが、前者のなかではシャッタメガネ方式が普及しつつある。シャッタメガネ方式は、表示装置が視差を持つ右眼用映像と左眼用映像を高速で交互に表示し、シャッタメガネがそれに同期して右眼用シャッタと左眼用シャッタを交互に開閉する方式である。右眼に右眼用映像を見せ、左眼に左眼用映像を見せることにより、右眼と左眼に視差を持つ映像を見せることができ、立体映像を認識させることができる。シャッタメガネ方式のなかでは、低コスト化、高速化が進んできている液晶シャッタメガネ方式が普及しつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−17541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
両眼視差を利用した3D映像表示システムでは、たとえば、視聴者が寝転がりながら映像を見ようと上体を横にしはじめると、右眼用映像と左眼用映像のずれ方向(以下、視差方向という)と、右眼と左眼とを結ぶ直線方向との傾きがずれはじめる。上体の傾きが大きくなるほど、そのずれが大きくなり、映像が立体に見えにくくなる。また、その状態で映像を見ていると、脳が無理に立体映像として認識しようとするため、眼や脳が疲れやすくなる。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、右眼用映像と左眼用映像の視差方向と、右眼と左眼とを結ぶ直線方向との傾きの大きさに関わらず、視聴者が快適に映像を見続けることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様の立体映像鑑賞用メガネは、表示面に時分割に表示される右眼用映像と左眼用映像に同期して、右眼用シャッタと左眼用シャッタが時分割に交互に開閉する立体映像鑑賞用メガネであって、表示面とメガネを結ぶ軸を中心とする表示面に対するメガネの回転角を検出するためのセンサと、センサの出力信号をもとに回転角を特定し、当該回転角が許容範囲内に存在するか否かを判定する制御部と、を備える。制御部は、回転角が許容範囲を超えたとき、右眼用シャッタおよび左眼用シャッタが同期して同時に開閉するよう制御する。
【0009】
本発明の別の態様もまた、立体映像鑑賞用メガネである。この立体映像鑑賞用メガネは、表示面に時分割に表示される右眼用映像と左眼用映像に同期して、右眼用シャッタと左眼用シャッタが時分割に交互に開閉する立体映像鑑賞用メガネであって、表示面とメガネを結ぶ軸を中心とする表示面に対するメガネの回転角を検出するためのセンサと、センサの出力信号をもとに回転角を特定し、当該回転角が許容範囲内に存在するか否かを判定する制御部と、表示面に右眼用映像と左眼用映像を表示している表示装置に所定の情報を送信するための通信部と、を備える。制御部は、回転角が許容範囲内を超えたとき、通信部に、右眼用映像および左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させる指示信号を表示装置に送信するよう制御する。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、立体映像表示システムである。この立体映像表示システムは、表示面に右眼用映像と左眼用映像を時分割に表示する表示装置と、表示面に時分割に表示される右眼用映像と左眼用映像に同期して、右眼用シャッタと左眼用シャッタが時分割に交互に開閉する立体映像鑑賞用メガネと、を備える。立体映像鑑賞用メガネは、表示面とメガネを結ぶ軸を中心とする表示面に対するメガネの回転角を検出するためのセンサと、センサの出力信号をもとに回転角を特定し、当該回転角が許容範囲内を超えたとき、右眼用映像および左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させるための指示信号を生成する第1制御部と、表示装置から、表示装置と立体映像鑑賞用メガネの時分割動作の同期をとるための同期信号を受信し、第1制御部により生成された指示信号を表示装置に送信する第1通信部と、を有する。表示装置は、同期信号を立体映像鑑賞用メガネに送信し、立体映像鑑賞用メガネから指示信号を受信する第2通信部と、指示信号に応じて、表示面に右眼用映像および左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させるよう制御する第2制御部と、を有する。
【0011】
本発明のさらに別の態様もまた、立体映像表示システムである。この立体映像表示システムは、表示面に右眼用映像と左眼用映像を空間分割して表示する表示装置と、表示面に空間分割して表示される右眼用映像を右眼に見せ、左眼用映像を左眼に見せる偏光方式の立体映像鑑賞用メガネと、を備える。立体映像鑑賞用メガネは、表示面とメガネを結ぶ軸を中心とする表示面に対するメガネの回転角を検出するためのセンサと、センサの出力信号をもとに回転角を特定し、当該回転角が許容範囲内を超えたとき、右眼用映像および左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させるための指示信号を生成する第1制御部と、第1制御部により生成された指示信号を表示装置に送信する第1通信部と、を有する。表示装置は、立体映像鑑賞用メガネから指示信号を受信する第2通信部と、指示信号に応じて、表示面に右眼用映像および左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させるよう制御する第2制御部と、を有する。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、右眼用映像と左眼用映像の視差方向と、右眼と左眼とを結ぶ直線方向との傾きの大きさに関わらず、視聴者が快適に映像を見続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フレームシーケンシャル方式の原理を説明するための図である。
【図2】表示面と立体映像鑑賞用メガネとの位置関係を示す斜視図である。
【図3】表示面と立体映像鑑賞用メガネとの正対図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る映像表示システムの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る立体映像鑑賞用メガネの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る映像表示システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る立体映像鑑賞用メガネの動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8(a)は縦横の直線偏光メガネの一例を示す。図8(b)は斜め直線偏光メガネの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、フレームシーケンシャル方式の原理を説明するための図である。表示装置は表示面に、水平方向に視差を持つ右眼用映像と左眼用映像とを時分割に(たとえば、交互に)高速に表示する。以下、本明細書では右眼用映像および左眼用映像のそれぞれが60Hzで表示される例を想定する。したがって、この例では映像全体では120Hzで表示される。このフレームレートで動作するフレームシーケンシャル方式を採用した場合、一般的な60Hzで表示される2D映像と同一の解像度およびフレームレートで鑑賞することができる。
【0016】
立体映像鑑賞用メガネ100は、表示面に時分割に表示される右眼用映像と左眼用映像に同期して、右眼用シャッタと左眼用シャッタが時分割に(たとえば、交互に)開閉する。すなわち、立体映像鑑賞用メガネ100はシャッタメガネ方式を採用する。以下、本実施の形態では液晶シャッタメガネ方式を想定する。上述したように、表示面に右眼用映像が表示されるタイミングでは右眼用シャッタが開き、かつ左眼用シャッタが閉じることにより、視聴者は右眼用映像のみを見る。一方、表示面に左眼用映像が表示されるタイミングでは左眼用シャッタが開き、かつ右眼用シャッタが閉じることにより、視聴者は左眼用映像のみを見る。これにより、視聴者の脳の中で3D映像が認識される。
【0017】
図1にて、第1右眼用フレーム画像IR1および第1左眼用フレーム画像IL1では、視聴者はそれらに写ったオブジェクトを見ようとすると眼が離れるため、結像位置が遠くなり、視聴者はオブジェクトが表示面より遠くに存在するように感じる。第2右眼用フレーム画像IR2および第2左眼用フレーム画像IL2は、同じ画像であるため、視聴者はオブジェクトが表示面に存在するように感じる。第3右眼用フレーム画像IR3および第3左眼用フレーム画像IL3では、視聴者はそれらに写ったオブジェクトを見ようとすると眼が寄るため、結像位置が近くなり、視聴者はオブジェクトが表示面より近くに存在するように感じる。
【0018】
図2は、表示面d1と立体映像鑑賞用メガネ100との位置関係を示す斜視図である。図3は、表示面d1と立体映像鑑賞用メガネ100との正対図である。図2に示すように表示面d1の水平線と立体映像鑑賞用メガネ100の水平線とが平行である状態が理想的な使用状態である。表示面d1とメガネを結ぶ軸axを中心とし、立体映像鑑賞用メガネ100が回転するほど、視聴者は3D映像に見えにくくなる。
【0019】
図3にて、実線で描かれた立体映像鑑賞用メガネ100aは、表示面d1と平行な関係にある状態を示している。点線で描かれた立体映像鑑賞用メガネ100bは、メガネ装着者が頭を左に傾けることにより、表示面d1の水平線と立体映像鑑賞用メガネ100の水平線とのなす角θが発生した様子を示している。
【0020】
(実施の形態1)
図4は、本発明の実施の形態1に係る映像表示システム500の構成を示す図である。映像表示システム500は、表示装置200および立体映像鑑賞用メガネ100を備える。以下、本実施の形態では表示装置200として投写型映像表示装置(以下、プロジェクタと表記する)を用いる例を説明する。プロジェクタを用いる場合、投写映像を表示するための表示面として、スクリーンや壁などの投影面300が必要となる。なお、プロジェクタの代わりに液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどが用いられてもよい。その場合、本体と表示面は一体である。
【0021】
立体映像鑑賞用メガネ100は、通信部11、同期調整部12、加速度センサ13、A/D変換器14、制御部15、右眼用シャッタ駆動部16、左眼用シャッタ駆動部17、右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19を備える。表示装置200は、映像保持部21、投写部22、通信部23および制御部24を備える。
【0022】
まず、表示装置200(本実施の形態ではプロジェクタ)について説明する。映像保持部21は、投影面300に投写すべき動画像データを保持する。本実施の形態では、上述した所定の視差を持つ右眼用映像と左眼用映像を保持する。この右眼用映像と左眼用映像は2つの視点を持つ専用のカメラで撮影されたものであってもよいし、2D映像から所定の画像処理を経て生成されたものであってもよい。
【0023】
投写部22は、映像保持部21から供給される右眼用映像と左眼用映像を、制御部24から供給される同期信号にしたがい、投影面300に投写する。投写部22は、図示しない光源、光変調部およびレンズを含む。
【0024】
当該光源には、フィラメント型の電極構造を有するハロゲンランプ、アーク放電を発生させる電極構造を有するメタルハライドランプ、キセノンショートアークランプ、高圧型の水銀ランプ、LEDランプなどを採用することができる。当該光変調部は、入力される映像データに応じて、当該光源から入射される光を変調する。たとえば、当該光変調部にはDMD(Digital Micromirror Device)を採用することができる。DMDは、画素数に対応した複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーの向きが各画素信号に応じて制御されることにより、所望の映像光を生成する。その映像光は当該レンズにより拡大され、投影面300に投写される。
【0025】
制御部24は表示装置200全体を統括的に制御する。実施の形態1では、映像保持部21、投写部22、通信部23に映像同期信号(たとえば、水平同期信号)を供給する。通信部23は制御部24から供給される映像同期信号を、立体映像鑑賞用メガネ100の通信部11に無線または有線で送信する。たとえば、赤外線通信で送信する。
【0026】
つぎに、立体映像鑑賞用メガネ100について説明する。通信部11は、表示装置200の通信部23から、表示装置200と立体映像鑑賞用メガネ100の時分割動作の同期をとるための映像同期信号を受信し、同期調整部12に供給する。同期調整部12は、遅延回路を含む。当該遅延回路は通信部11から供給される映像同期信号を半周期、遅延させる。同期調整部12は、右眼用映像の映像同期信号が供給された場合、その映像同期信号を右眼用シャッタ駆動部16に供給し、遅延させた映像同期信号を左眼用シャッタ駆動部17に供給する。左眼用映像の映像同期信号が供給された場合、その逆の処理となる。
【0027】
加速度センサ13は、表示面と立体映像鑑賞用メガネ100結ぶ軸を中心とする表示面に対するメガネの回転角を検出するためのセンサである。すなわち、表示面の水平方向に対する立体映像鑑賞用メガネ100の傾斜を検出するためのセンサである。まず、2軸加速度センサを用いる場合について考える。ここで、立体映像鑑賞用メガネ100が表示面と正対している姿勢で、立体映像鑑賞用メガネ100の上下方向をX軸、左右方向をY軸とする。X軸の出力信号が1G、Y軸の出力信号が0Gの場合、立体映像鑑賞用メガネ100は表示面と平行に正対している状態(図3の100aの状態)である。X軸の出力信号が0G、Y軸の出力信号が1Gの場合、立体映像鑑賞用メガネ100は表示面と、直角(上記回転角が90°)に正対している状態である。このように、加速度センサ13には重力加速度が加わるため、それを各軸の成分に分解することにより、傾斜角を検出することができる。
【0028】
なお、3軸加速度センサを用いた場合、立体映像鑑賞用メガネ100の前後方向の成分も検出することができる。したがって、3軸のうち最も大きい値を出力している軸が鉛直方向と判定できるため、立体映像鑑賞用メガネ100がどのような姿勢にあるかを正確に判定することができる。
【0029】
加速度センサ13の各軸の出力信号(アナログ信号)は、図示しない増幅回路により増幅され、A/D変換器14に入力される。A/D変換器14は、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して、制御部15に出力する。
【0030】
制御部15は、立体映像鑑賞用メガネ100全体を統括的に制御する。本実施の形態では、A/D変換器14から入力される加速度センサ13の出力信号をもとに、上記回転角を特定する。たとえば、各軸の出力値からアークサイン演算またはアークコサイン演算により当該回転角を求めてもよいし、予め設定された、各軸の出力値と上記回転角を対応づけたテーブルを参照して、上記回転角を特定してもよい。
【0031】
制御部15は、特定した回転角が許容範囲内に存在するか否かを判定する。たとえば、当該許容範囲として表示面の水平線に対して、±45°の範囲を設定してもよい。この場合、当該水平線に対して±46°以上、立体映像鑑賞用メガネ100が傾くと、当該許容範囲を超えたと判定する。
【0032】
制御部15は、当該回転角が当該許容範囲を超えたとき、右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19が同期して開閉するよう制御する。すなわち、両者が同じタイミングで開閉するよう制御する。より具体的には、同期調整部12に、同じ映像同期信号を右眼用シャッタ駆動部16および左眼用シャッタ駆動部17に供給するよう指示する。なお、制御部15は、右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19の開閉パターンの変更前後で、その開閉速度を維持するよう制御する。本明細書では、120Hzでの開閉を維持する。したがって、上記映像同期信号の周期を変更する必要はない。
【0033】
右眼用シャッタ駆動部16は、同期調整部12から供給される映像同期信号にしたがい、右眼用シャッタ18の液晶層の両端電極に所定の駆動電圧を印加して、液晶シャッタの開閉を制御する。左眼用シャッタ駆動部17も同様に、同期調整部12から供給される映像同期信号にしたがい、左眼用シャッタ19の液晶層の両端電極に所定の電圧を印加して、液晶シャッタの開閉を制御する。なお、ここでは配向膜など、液晶層と電極との間の材料は無視して考える。
【0034】
図5は、本発明の実施の形態1に係る立体映像鑑賞用メガネ100の動作を説明するためのフローチャートである。制御部15は、3D映像の表示を開始する表示装置200からの制御信号または図示しない操作部からの3Dモード選択信号を受信すると、3Dモードをオンする(S10のY)。一方、これらの信号を受信しない場合(S10のN)、2D映像が表示されるため、制御部15は右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19の両方が常時、全開するよう右眼用シャッタ駆動部16および左眼用シャッタ駆動部17に指示する(S11)。
【0035】
3Dモードがオンの場合(S10のY)、制御部15は立体映像鑑賞用メガネ100の回転方向の傾きが許容範囲内にあるか否かを判定する(S12)。許容範囲内にある場合(S12のY)、制御部15は右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19が交互に開閉するよう、右眼用シャッタ駆動部16および左眼用シャッタ駆動部17に指示する(S13)。許容範囲内にない場合(S12のN)、制御部15は右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19が同時に開閉するよう、右眼用シャッタ駆動部16および左眼用シャッタ駆動部17に指示する(S14)。
【0036】
制御部15が、ユーザの停止操作や動画コンテンツの再生終了に伴い表示装置200から通知される映像表示終了指示を受け付けない間(S15のN)、ステップS10〜ステップS14に記述される処理が繰り返し実行される。当該映像表示終了指示は上記映像同期信号の送信終了により表示装置200から通知されてもよい。制御部15が当該映像表示終了指示を受け付けた場合(S15のY)、ステップS10〜ステップS14に記述される処理が終了する。
【0037】
以上説明したように実施の形態1によれば、右眼用映像と左眼用映像の視差方向と、右眼と左眼とを結ぶ直線方向との傾きが大きくなったとき、メガネ装着者に右眼用映像と左眼用映像の一方のみを見せることにより、3D映像として表示されている映像を2D映像として見せることができる。したがって、上記傾きの大きさに関わらず、視聴者が快適に映像を見続けることができる。すなわち、視聴者は表示面に表示される3D映像を無理に、立体映像として認識する必要がなくなり、眼や脳が疲れる事態を回避することができる。
【0038】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2に係る映像表示システム500の構成を示す図である。実施の形態2に係る映像表示システム500の構成および動作は、図4に示した実施の形態1に係る映像表示システム500の構成および動作と基本的に同様である。以下、両者の間で異なる動作について説明する。
【0039】
実施の形態2では、通信部23および通信部11は双方向通信を行う。制御部15は、加速度センサ13の出力信号をもとに上記回転角を特定し、当該回転角が上記許容範囲内を超えたとき、右眼用映像および左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させるための指示信号を生成する。そして、通信部11に当該指示信号を表示装置200に送信するよう制御する。それと共に、制御部15は右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19の両方が常時、全開するよう制御する。通信部11は、制御部15により生成された指示信号を表示装置200の通信部23に送信する。
【0040】
通信部23は、立体映像鑑賞用メガネ100の通信部11から当該指示信号を受信する。制御部24は、当該指示信号に応じて、表示面に右眼用映像および左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させるよう制御する。たとえば、右眼用映像のみを表示するよう制御する。本明細書では右眼用映像および左眼用映像のそれぞれが60Hzで表示されるため、右眼用映像または左眼用映像の一方のみを表示しても、通常のフレームレートでの映像表示となる。
【0041】
図7は、本発明の実施の形態2に係る立体映像鑑賞用メガネ100の動作を説明するためのフローチャートである。図7のフローチャートは、図5に示すフローチャートと比較し、ステップS14のみが異なる。以下、両者の相違点について説明する。
【0042】
3Dモードがオンの場合(S10のY)、制御部15は立体映像鑑賞用メガネ100の回転方向の傾きが許容範囲内にあるか否かを判定する(S12)。許容範囲内にない場合(S12のN)、制御部15は立体映像鑑賞用メガネ100に、右眼用映像または左眼用映像のいずれか一方のみを表示するよう指示する(S14a)。これにより、表示面に2D映像が表示されるようになる。それに伴い、制御部15は右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19の両方が常時、全開するよう右眼用シャッタ駆動部16および左眼用シャッタ駆動部17に指示する(S11)。その他の処理は、図5のフローチャートと同様である。
【0043】
以上説明したように実施の形態2によれば、右眼用映像と左眼用映像の視差方向と、右眼と左眼とを結ぶ直線方向との傾きが大きくなったとき、表示装置が右眼用映像または左眼用映像のいずれか一方のみを表示することにより、表示映像を3D映像から2D映像に切り替えることができる。したがって、上記傾きの大きさに関わらず、視聴者が快適に映像を見続けることができる。また、右眼用シャッタ18および左眼用シャッタ19を常時全開させることにより、映像光の透過率を向上させるとともに、立体映像鑑賞用メガネ100の消費電力を低減できる。
【0044】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
たとえば、実施の形態2に係る映像表示システム500は、偏光方式の立体映像システムにも適用可能である。図8(a)は縦横の直線偏光メガネ100m1の一例を示す。図8(b)は斜め直線偏光メガネ100m2の一例を示す図である。図8(a)では右眼用の偏光フィルタは縦偏光を透過し、左眼用の偏光フィルタは横偏光を透過する。図8(b)では右眼用の偏光フィルタは右下がり斜め偏光を透過し、左眼用の偏光フィルタは左下がり斜め偏光を透過する。
【0046】
表示装置200は、表示面に右眼用映像と左眼用映像を空間分割して表示する。たとえば、走査線を交互に右眼用映像と左眼用映像に割り当て、走査線上に交互に異なる偏光層を設ける。図8(a)の例では、右眼用映像が横偏光で出射され、左眼用映像が縦偏光で出射されるような偏光層が設けられる。また、画面を左右に分割し、左眼用映像および右眼用映像をそれぞれ割り当てる方式や、2台の表示装置を用いる方式もある。これらの場合も、2種類の偏光層を設ける。
【0047】
偏光方式の立体映像鑑賞用メガネ100は、表示面に空間分割して表示される右眼用映像を右眼に見せ、左眼用映像を左眼に見せる。その他の処理は、上述した実施の形態2の説明と同様である。
【符号の説明】
【0048】
100 立体映像鑑賞用メガネ、 11 通信部、 12 同期調整部、 13 加速度センサ、 14 A/D変換器、 15 制御部、 16 右眼用シャッタ駆動部、 17 左眼用シャッタ駆動部、 18 右眼用シャッタ、 19 左眼用シャッタ、 200 表示装置、 21 映像保持部、 22 投写部、 23 通信部、 24 制御部、 300 投影面、 500 映像表示システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面に時分割に表示される右眼用映像と左眼用映像に同期して、右眼用シャッタと左眼用シャッタが時分割に交互に開閉する立体映像鑑賞用メガネであって、
前記表示面と前記メガネを結ぶ軸を中心とする前記表示面に対する前記メガネの回転角を検出するためのセンサと、
前記センサの出力信号をもとに前記回転角を特定し、当該回転角が許容範囲内に存在するか否かを判定する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記回転角が前記許容範囲を超えたとき、前記右眼用シャッタおよび前記左眼用シャッタが同期して同時に開閉するよう制御することを特徴とする立体映像鑑賞用メガネ。
【請求項2】
前記制御部は、前記右眼用シャッタおよび前記左眼用シャッタの開閉パターンの変更前後で、その開閉速度を維持することを特徴とする請求項1に記載の立体映像鑑賞用メガネ。
【請求項3】
表示面に時分割に表示される右眼用映像と左眼用映像に同期して、右眼用シャッタと左眼用シャッタが時分割に交互に開閉する立体映像鑑賞用メガネであって、
前記表示面と前記メガネを結ぶ軸を中心とする前記表示面に対する前記メガネの回転角を検出するためのセンサと、
前記センサの出力信号をもとに前記回転角を特定し、当該回転角が許容範囲内に存在するか否かを判定する制御部と、
前記表示面に前記右眼用映像と前記左眼用映像を表示している表示装置に所定の情報を送信するための通信部と、を備え、
前記制御部は、前記回転角が前記許容範囲内を超えたとき、前記通信部に、前記右眼用映像および前記左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させる指示信号を前記表示装置に送信するよう制御することを特徴とする立体映像鑑賞用メガネ。
【請求項4】
表示面に右眼用映像と左眼用映像を時分割に表示する表示装置と、
前記表示面に時分割に表示される右眼用映像と左眼用映像に同期して、右眼用シャッタと左眼用シャッタが時分割に交互に開閉する立体映像鑑賞用メガネと、を備え、
前記立体映像鑑賞用メガネは、
前記表示面と前記メガネを結ぶ軸を中心とする前記表示面に対する前記メガネの回転角を検出するためのセンサと、
前記センサの出力信号をもとに前記回転角を特定し、当該回転角が許容範囲内を超えたとき、前記右眼用映像および前記左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させるための指示信号を生成する第1制御部と、
前記表示装置から、前記表示装置と前記立体映像鑑賞用メガネの時分割動作の同期をとるための同期信号を受信し、前記第1制御部により生成された指示信号を前記表示装置に送信する第1通信部と、を有し、
前記表示装置は、
前記同期信号を前記立体映像鑑賞用メガネに送信し、前記立体映像鑑賞用メガネから前記指示信号を受信する第2通信部と、
前記指示信号に応じて、前記表示面に前記右眼用映像および前記左眼用映像の一方の表示を継続させ他方の表示を停止させるよう制御する第2制御部と、を有する
ことを特徴とする立体映像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−109679(P2012−109679A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255142(P2010−255142)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】