説明

立体画像表示装置

【課題】 観察者に立体画像を明るくみせることができるようにする。
【解決手段】 中央処理部4は、複数の視差画像を入力され、その視差画像に対する画像処理を画像処理部3に行わせる。画像処理部3は、視差画像のRGBデータをYCデータに変換し、変換後のデータのうち、輝度を表すYのデータに係数k(1.0〜1.4)を乗じる。その後、YCデータをRGBデータに変換し、変換後の視差画像に基づく合成画像を駆動回路2を介して表示パネル部1に表示させる。また、中央処理部4は、オン/オフ制御回路5を介して、遮光パネル部6にパララックスストライプを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的な画像を観察者に観察させることができる立体画像表示装置に関し、特に、明るい立体画像を観察者に観察させることができる立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体画像表示方法の一つとして、パララックスバリア法が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。この方法では、複数の視差画像をそれぞれストライプ画素に分割し、一つの画面上に、左右の視差画像を構成していたストライプ画素を交互に配列してストライプ画像を形成して表示する。そして、このストライプ画像の表示面から所定の距離だけ離れた位置に設けられた所定の開口率の光透過部を有する部材(パララックスバリアと呼ぶ。)を介して、観察者の左右それぞれの眼に、それぞれの眼に対応した視差画像を観察させる。この結果、観察者は特別な眼鏡等を用いなくても立体画像(3次元画像)を観察することができる。なお、複数の視差画像は、複数の観察点から物体を見たときに観察される物体を表した複数の画像である。
【0003】
また、電子的に形成、消失することのできるスリットを用いてパララックスバリア法によって立体画像を表示する画像表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。図20は、特許文献1に記載された画像表示装置を示す概略図である。特許文献1に記載された画像表示装置は、画像表示面10の前方に、厚さDの透明ガラス11を配置し、さらにその前方に透過型液晶表示素子を配置している。そして、この透過型液晶表示素子により電子式パララックスバリア12を形成する。画像表示面10には、二方向または多方向から撮像した複数の視差画像をそれぞれ縦のストライプ画素に分割し、これら複数の視差画像のストライプ画素を交互に所定の順序で配列して構成したストライプ画像を表示させる。また、マイクロコンピュータ13、コントローラ14、Xドライバ15およびYドライバ16からなる制御手段は、透過型液晶表示素子の表示画面におけるXYアドレスを指定して所望の位置に縦長のパララックスストライプを形成する。この結果、電子式パララックスバリアが形成され、パララックスバリア法の原理に従って立体画像の表示を可能としている。
【0004】
また、特許文献1に記載された画像表示装置は平面画像(2次元画像)の表示も可能としている。平面画像を表示する場合には、画像表示面10に平面画像を表示させる。そして、制御手段は、透過型液晶表示素子の表示画面全体を透明状態にする。このように、特許文献1に記載された画像表示装置は立体画像の表示と、平面画像の表示の双方を実現している。
【0005】
また、カラー画像のフォーマットとして、RGB形式と、YC形式とが知られている。この二つの形式は、相互に変換可能である。非特許文献2には、8ビットで表されるRBG形式のデータと、”ITU−R BT.601”規定のYC形式のデータとの相互変換方法が示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平3−119889号公報(第3−5ページ、図1)
【非特許文献1】S.H.Kaplan,「Theory of Parallax Barriers 」,J.SMPTE ,vol.59,No.7,pp.11−21,1952
【非特許文献2】”YUVフォーマットおよびYUV<−>RGB変換”、[online]、[平成16年5月10日検索]、インターネット<URL:http://vision.kuee.kyoto-u.ac.jp/~hiroaki/firewire/yuv.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたような立体画像表示装置では、パララックスバリアの存在によって、観察者の片側の目に観察される画像は、表示部10に表示された画像の半分になってしまう。その結果、観察者に認識される画像の明るさは、表示された画像の明るさの半分に低下してしまうという問題があった。
【0008】
なお、パララックスバリアが存在していても、観察者に画像を明るく見せる方法がある。図21は、この方法を示す説明図である。図21に示す実線は、表示部10に入力される画像における各階調の明るさ(ブライトネスと呼ばれる。)を示している。この入力画像におけるブライトネスを上昇させることにより(図21に示す破線参照。)、表示部10に表示させる画像を明るくし、観察者に画像を明るく見せる。ただし、ブライトネスに上限があるため、ブライトネスを上昇させると、図21に示すように階調のダイナミックレンジが低下してしまうという問題が生じる。
【0009】
本発明は、階調のダイナミックレンジを低下させることなく、観察者に画像を明るくみせることができる立体画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による態様1は、複数の視差画像を入力する画像入力手段と、入力された各視差画像から得られるYCデータのうち、輝度を表すYデータに対して輝度を向上させる計算を行う輝度計算手段と、Yデータに対して輝度計算手段による計算が行われた後の各視差画像から、各視差画像内における列を示すデータを抽出し、列を示すデータを合成することにより複数の視差画像を合成した合成画像を生成する合成手段と、合成手段によって生成された合成画像を表示する画像表示手段と、列を示すデータに応じた光透過部を有するパララックスバリアとを備えたことを特徴とする立体画像表示装置を提供する。
【0011】
本発明による態様2は、態様1において、RGBデータをYCデータに変換するYC変換手段を備え、画像入力手段が、RGBデータによって表される複数の視差画像を入力し、YC変換手段が、複数の視差画像を表すRGBデータをYCデータに変換し、輝度計算手段が、YC変換手段によって変換された後のYCデータのうちのYデータに対して計算を行う立体画像表示装置を提供する。
【0012】
本発明による態様3は、態様1において、画像入力手段が、YCデータによって表される複数の視差画像を入力し、輝度計算手段が、複数の視差画像を表すYCデータのうちのYデータに対して計算を行う立体画像表示装置を提供する。
【0013】
本発明による態様4は、態様1から態様3のいずれかにおいて、輝度計算手段が、各視差画像内における列を示すデータのうち、合成手段による合成対象となる列を示すデータに対応するYデータに対し、所定の係数を乗じることによって新たなYデータを生成する立体画像表示装置を提供する。
【0014】
本発明による態様5は、態様1から態様3のいずれかにおいて、輝度計算手段が、各視差画像内における列を示すデータのうち、合成手段による合成対象となる列を示すデータに対応するYデータと、当該Yデータを含む列の隣の列におけるYデータとの平均値を算出し、平均値に対し所定の係数を乗じることによって新たなYデータを生成する立体画像表示装置を提供する。
【0015】
本発明による態様6は、態様4または態様5において、輝度計算手段が、所定の係数として1.0を超え1.4以下の値を用いて新たなYデータを生成する立体画像表示装置を提供する。
【0016】
本発明による態様7は、態様1から態様6のいずれかにおいて、合成手段が、複数の視差画像から抽出した列を示すデータのうち合成対象となる列を示すデータを順次配列させて視差画像を合成する立体画像表示装置を提供する。
【0017】
本発明による態様8は、態様1から態様7のいずれかにおいて、Yデータに対して輝度計算手段による計算が行われた後のYCデータをRGBデータに変換するRGB変換手段を備え、合成手段が、RGB変換手段によって変換された後のRGBデータによって表される各視差画像から、各視差画像内における列を示すデータを抽出し、列を示すデータを合成することにより各視差画像を合成した合成画像を生成する立体画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入力された各視差画像から得られるYCデータのうち、輝度を表すYデータに対して輝度を向上させる計算を行う輝度計算手段を備えているので、階調のダイナミックレンジを低下させることなく、観察者に明るい立体画像を観察させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明による立体画像表示装置の構成例を示すブロック図である。表示パネル部1は、複数の視差画像におけるストライプ画素を並べた画像を表示する表示パネルである。なお、ストライプ画素については、図4を用いて後述する。図1では図示を省略しているが、立体画像表示装置は、表示パネル部1に光を照射するバックライトも備えている。駆動回路2は、表示パネル部1に画像を表示させる。画像処理部3は、入力された複数の視差画像から、表示パネル部1に表示させる画像を生成する処理を行う。画像処理部3の処理については後述する。
【0020】
遮光パネル部6は、複数の表示状態を呈することが可能な表示パネルである。遮光パネル部6は、縦長の透明領域と縦長の非透明領域とを交互に並べた画像(パララックスストライプと呼ぶ。)を表示する状態と、画面全体を透明状態にする表示状態とを呈する。遮光パネル部6はパララックスストライプを表示することによってパララックスバリアとしての役割を果たす。オン/オフ制御回路5は、中央処理部4の制御に従って、パララックスストライプを表示させたり、あるいは、画面全体を透明状態にさせるように遮光パネル部6を駆動する。
【0021】
中央処理部4には、表示パネル部1に表示させる画像の元となるストライプ画像ソース(複数の視差画像)7が入力される。そして、画像処理部3に、画像処理を実行させ、その結果得られる画像を表示パネル1に表示させる。このとき、中央処理部4は、オン/オフ制御回路5を介して遮光パネル部6にパララックスストライプを表示させる。この場合、観察者に立体画像を観察させることになる。なお、観察者に平面画像を表示させる場合には、中央処理部4は、入力された画像に対し、後述する画像処理部3による画像処理を行わず、入力された画像をそのまま表示パネル部1に表示させる。また、オン/オフ制御回路5を介して遮光パネル部6の画面全体を透明状態にする。
【0022】
また、ここでは、説明を簡単にするために、二つの視差画像のデータが中央処理部4に入力されるものとする。一方の視差画像は、右目に観察される右目用画像である。もう一方の視差画像は、左目に観察される左目用画像である。
【0023】
図2は、表示パネル部1の構成例を示す模式的断面図である。表示パネル部1は、透明基板(例えばガラス基板)24,27の間に液晶層26を挟持する。なお、液晶層26は、シール材によって封止されるが、シール材の図示は省略した。また、カラー表示を行う場合には、透明基板間にカラーフィルタ25も配置される。カラーフィルタ25は、R(赤色)フィルタ31、G(緑色)フィルタ32およびB(青色)フィルタ33が繰り返し並べられることによって形成されている。各透明基板24,27における液晶層26と反対側の面には、それぞれ位相差板23,28が設けられ、さらにその位相差板上に偏光板22,29が設けられる。また、上記の表示パネル部1を中心にして、観察者とは反対側に、バックライト21が設けられる。また、図示していないが、透明基板24,27における液晶層26側の面には透明電極が配置され、透明電極によって電極間の液晶層26に電圧を印加する。この電圧印加によって液晶分子の配列状態を変化させることで、所望の画像を表示する。このような表示パネル部1の構成は、公知の液晶表示装置の構成と同様の構成であってよい。
【0024】
透明電極(図示せず。)は、各透明基板24,27に行電極、列電極として配置され、マトリクス状に画素を形成してもよい。この場合、液晶層26として、例えばSTN(Super-Twisted Nematic )液晶を用い、線順次駆動により画像を表示すればよい。また、一方の透明基板にコモン電極を配置し、他方の透明基板にマトリクス状にTFTおよび画素電極を配置した構成であってもよい。この場合、液晶層26として、例えばTN(Twisted Nematic )液晶を用いればよい。また、カラーフィルタ25を配置せずにモノクロ表示を行う構成であってもよい。
【0025】
また、表示パネル部1は、液晶を用いたものでなくてもよい。例えば、カラー表示を行うPDP(Plasma Display Panel )であってもよい。あるいは、有機ELディスプレイ装置であってもよい。有機ELディスプレイ装置は、カラー表示を行うものであっても、モノクロ表示を行うものであってもよい。また、駆動回路2は、表示パネル部1の種類(液晶表示装置、PDP、有機ELディスプレイ装置等)に応じた公知の駆動装置であればよい。
【0026】
図3は、遮光パネル部6の構成例を示す模式的断面図である。遮光パネル部6は、図3(a)に示すように、透明基板(例えばガラス基板)43,46の間に液晶層45を挟持する。液晶層45は、シール材44によって封止される。各透明基板43,46における液晶層45と反対側の面には、それぞれ位相差板42,47が設けられ、さらにその位相差板上に偏光板41,48が設けられる。また、図示していないが、透明基板43,46における液晶層45側の面には透明電極が配置され、透明電極によって電極間の液晶層45に電圧を印加する。透明電極は、パララックスストライプを表示できるように配置されていればよい。例えば、一方の透明基板上に一枚のコモン電極を配置し、もう一方の透明基板上に、縦長の非透明領域と対応するようにパターニングされたセグメント電極を配置し、コモン電極とセグメント電極間の液晶に電圧を印加したときにその液晶が非透明状態になるように構成すればよい。また、オン/オフ制御回路5は、スタティック駆動により液晶表示装置を駆動する公知の駆動装置であればよい。
【0027】
図3(b)は、遮光パネル部6がパララックスストライプを表示した状態を示す。パララックスストライプ表示時には、光を通過させない遮光部51と光を通過させる透過部52とが表れ、遮光パネル部6は、パララックスバリアとなる。
【0028】
続いて、中央処理部4に入力される視差画像のデータについて説明する。ここでは、RGB形式の画像データが入力されるものとする。図4は、画像データにR、G、Bの各データが割り当てられている状態を示す説明図である。図4に示すように、画像は複数の列に分割され、各列にR、GまたはBのいずれかのデータが割り当てられる。また、列の順序に従って、R、G、B、R、G、B、・・・の順にデータが割り当てられる。なお、各列は、それぞれドットが縦方向に並んだものであり、各列のドット数は同数である。Rの列の各ドットには、Rのデータが割り当てられる。Gの列、Bの列についても同様である。このように、RGBの各データが割り当てられた画像データにおいて、Rのデータ、GのデータおよびBのデータが割り当てられた3列の組み合わせをストライプ画素と呼ぶことにする。右目用画像および左目用画像は、いずれも図4に示すようなストライプ画素が並んだ画像である。
【0029】
また、本例では、R、G、Bの各データは8ビットで表されるものとする。すなわち、R、G、Bの各データがとり得る値は0〜255であるものとする。
【0030】
図5は、画像処理部3による画像処理を示すフローチャートである。画像処理部3には、まず、複数の視差画像(ここでは右目用画像および左目用画像)が、中央処理部4から入力される(ステップS1)。右目用画像および左目用画像は、いずれもストライプ画素が並んだ画像である。画像処理部3は、各画像に含まれている各ストライプ画素内のRGBのドットの組み合わせ毎に、RGBのデータを、YCのデータ(”ITU−R BT.601”規定のYCのデータ)に変換する処理を行う(ステップS2)。この変換は、以下の式1から式3の変換式に従って行えばよい。
【0031】
Y=0.257・R+0.504・G+0.098・B+16 式1
【0032】
=−0.148・R−0.291・G+0.439・B+128 式2
【0033】
=0.439・R−0.368・G−0.071・B+128 式3
【0034】
既に述べたように、R、G、Bの各データのとり得る値は0〜255である。このとき、Yのとり得る範囲は、16〜235となる。また、CおよびCのとり得る範囲は、16〜240である。ステップS2の変換によって得られたYは、輝度を表すデータである。ステップS2の変換の結果、ストライプ画素は、R、G、Bそれぞれの列に分割された状態ではなくなり、Y、C、Cのデータを持つ1列のデータであると考えることができる。
【0035】
ステップS2に続いて、画像処理部3は、表示パネル部1の表示に寄与する列の列データのYに対し、輝度を上昇させるように係数を乗じる計算を行う(ステップS3)。ここでは、右目用画像の奇数列のストライプ画素と左目用画像の偶数列のストライプ画素とを合成して表示パネル部1に表示させる画像を生成するものとする。図6は、右目用画像の表示に寄与する列の列データを示す説明図である。右目用画像に関しては奇数列のストライプ画素が表示に用いられるので、ステップS2で得られた奇数列のYのデータに対し計算を行う。すなわち、図6に示す第1,3,・・・,K−1列のYのデータに対し計算を行う(Kは偶数。)。また、図6には示していないが、左目用データに関しては、第2,4,・・・,K列のYのデータに対し計算を行う。各列のYのデータに対し、以下の式のように係数kを乗じる。
【0036】
’=k・Y 式4
【0037】
ただし、Yに付した添え字は、そのYのデータに対応する列を表しているものとする。すなわち、Yは、第D列のデータであるとする。また、Y’は、ステップS3における計算後のYのデータを表すものとする。また、式4におけるkは、1.0を超え1.4以下の値である。式4の計算により、各列のYの値は、輝度を高くするように計算されることになる。ただし、kとして1.4を超える値をもちいると、画像の白い部分が良好に表示されなくなってしまう。そのため、kとして1.0を超え1.4以下の値を用いる。
【0038】
なお、式4以外の計算式を用いて、輝度を上昇させる計算を行ってもよい。式4以外の計算式を用いた計算方法について説明する。この計算方法では、表示に寄与する列データのYと、その隣の列の列データのYとの平均値を求め、その平均値に係数kを乗じればよい。図7は、この計算方法の具体例を示す説明図である。図7では、第D列のYのデータに関して、輝度を上昇させる計算を行う例を示している。第D列のYのデータは、Yで表している。その隣りの列(ここでは第D−1列とする。)のYのデータは、Y(D−1)で表している。この二つのデータの平均値に係数kを乗じればよいので、第D列における計算後のYのデータY’は、式5によって表される。
【0039】
’=k・(Y+Y(D−1))/2 式5
【0040】
この場合も、係数kは、1.0を超え1.4以下の値である。図7では、k=1.1の場合を示している。なお、式5による計算を行う場合、隣の列が存在しないことがある。例えば、第1列のYのデータ(Y)を計算する場合、式5におけるY(D−1)に相当するデータは存在しない。この場合、隣の列のYのデータが、第1列のYのデータと等しいとみなして計算を行えばよい。
【0041】
式4また式5によって、Yに対する計算を行った後、画像処理部3は、YCのデータを再び、RGBのデータに変換する処理を行う(ステップS4)。この変換は、以下の式6〜式8の変換式に従って行えばよい。
【0042】
R=1.164・(Y−16)+1.596・(C−128) 式6
【0043】
G=1.164・(Y−16)−0.391・(C−128)−0.813・(C−128) 式7
【0044】
B=1.164・(Y−16)+2.018・(C−128) 式8
【0045】
ステップS4の変換処理により、再びR、G、Bそれぞれの列を組み合わせたストライプ画素が得られる。また、このストライプ画素の集合として、輝度計算(具体的にはステップS3の計算)を行った後の画像データが得られる。
【0046】
画像処理部3は、ステップS1で入力された右目用画像および左目用画像それぞれに対しステップS2〜S4までの処理を行ったならば、右目用画像のデータおよび左目用画像のデータを合成する(ステップS5)。図8は、画像データの合成処理の例を示す説明図である。既に述べたように、本例では、右目用画像の奇数列のストライプ画素と左目用画像の偶数列のストライプ画素とを合成して表示パネル部1に表示させる画像を生成するものとする。画像処理部3は、図8に示すように右目用画像から奇数列のストライプ画素のデータを抽出し、左目用画像から偶数列のストライプ画素のデータを抽出する。そして、抽出したストライプ画素のデータを第1列から順番に並ぶように合成する。従って、図8に示すように、右目用画像から抽出した第1列のストライプ画素、左目用画像から抽出した第2列のストライプ画素、右目用画像から抽出した第3列のストライプ画素、・・・と並ぶように、画像データを合成する。
【0047】
右目用画像の偶数列のストライプ画素と左目用画像の奇数列のストライプ画素とを合成してもよい。この場合、右目用画像の偶数列および左目用画像の奇数列に対してステップS3の計算処理を行えばよい。
【0048】
画像処理部3は、合成後の画像データを駆動回路2に出力して、合成後の画像データに基づく画像を表示パネル部1に表示させる(ステップS6)。
【0049】
中央処理部4は、合成後の画像データに基づく画像を表示パネル部1に表示させる場合、パララックスストライプを表示する。このパララックスストライプにおける遮光部51および透過部52(図3(b)参照。)の幅について説明する。図9は、遮光部51と透過部52の幅の例を示す説明図である。
【0050】
二つの視差画像(右目用画像と左目用画像)を合成する場合、パララックスバリアの開口率(パララックスバリアの幅全体に対する透過部の割合)を1/2とする。すなわち、図9に示すように遮光部51と透過部52の幅を等しくする。この幅をdとする。遮光部51および透過部52の幅dは、ストライプ画素の幅(R、G、Bのデータが割り当てられた3列分の幅)と等しく定める。また、遮光部51および透過部52が、例えば、それぞれ表示パネル部1に表示される左目用画像のストライプ画素、右目用画像のストライプ画素と重なるようにパララックスストライプが表示される。
【0051】
表示パネル部1に合成画像を表示するとともに、図9に例示するようにパララックスストライプを表示して遮光パネル部6をパララックスバリアとして用いることによって、観察者に立体画像を認識させることができる。
【0052】
平面画像を表示させる場合には、中央処理部4は、入力された画像のデータに対して画像処理部3による変換処理や輝度計算を行うことなく、表示パネルにその画像を表示すればよい。また、遮光パネル部6は画面全体を透明状態にすればよい。
【0053】
本発明では、立体画像を表示させる場合、表示パネル部1に表示される画像のデータは、RGBデータからYCデータに変換され、輝度データであるYの値が高くなるように計算され、再びRGBデータに変換されたものである。従って、入力された視差画像よりも輝度が高くなるように計算処理が行われているので、パララックスバリアが存在していても、観察者に明るい立体画像を認識させることができる。また、平面画像を表示する状態と、立体画像を表示する場合とを切り替えても、立体画像表示時における輝度の低下がないので観察者に違和感を感じさせないようにすることができる。
【0054】
また、本発明では、RGBデータにおいてブライトネスを上昇させるという処理(図21参照。)は行っていないので、ダイナミックレンジが低下することはない。また、RGBデータのまま、周囲のストライプ画素に基づいてRGBデータに変更を加えると、色味が変わってしまう可能性が生じる。しかし、本発明ではRGBデータをYCに変換し、輝度を示すYのみに対して輝度を高めるための計算を行っている。従って、画像の色味が変化してしまうことも防止できる。
【0055】
また、図9に示す例では、遮光部51および透過部52の幅dをストライプ画素の幅と等しく定める場合を示した。遮光部51および透過部52の幅dは、R、G、Bのいずれかのデータが割り当てられている各列の幅と等しく定めてもよい。図10は、この場合の遮光部51と透過部52の幅の例を示す説明図である。
【0056】
遮光部51および透過部52の幅dを、R、G、Bのいずれかのデータが割り当てられている各列の幅と等しくする場合、Yに対する輝度計算(ステップS3)の処理は、右目用画像および左目用画像の各RGBの3列のデータ(ストライプ画素)に対して行う。
【0057】
また、ステップS5の合成処理は、例えば、以下のように行う。奇数番目のストライプ画素に関しては、右目用画像の奇数番目のストライプ画素からRの列のデータと、Bの列のデータを抽出し、左目用画像の奇数番目のストライプ画素からGの列のデータを抽出する。そして、右目用画像から抽出したRおよびBの列のデータと、左目用画像のGの列のデータを組み合わせて、奇数番目のストライプ画素を生成する。例えば、右目用画像の1番目のストライプ画素から抽出したRおよびBの列のデータと、左目用画像の1番目のストライプ画素から抽出したGの列のデータを組み合わせて、1番目のストライプ画素を生成する。一方、偶数番目のストライプ画素に関しては、右目用画像の偶数番目のデータからGの列のデータを抽出し、左目用画像の偶数番目のデータからRの列のデータと、Bの列のデータを抽出する。そして、右目用画像から抽出したGの列のデータと、左目用画像から抽出したRおよびBの列のデータを組み合わせて、偶数番目のストライプ画素を生成する。例えば、右目用画像の2番目のストライプ画素から抽出したGの列のデータと、左目用画像の2番目のストライプ画素から抽出したRおよびBの列のデータを組み合わせて、2番目のストライプ画素を生成する。このように生成した奇数番目および偶数番目の各ストライプ画素が順番に並ぶように画像データを合成すればよい。この結果、図10に示すような合成データが得られる。なお、奇数列からのデータの抽出の仕方と、偶数列からのデータの抽出の仕方を入れ替えてもよい。
【0058】
そして、図10に示すように、遮光部51および透過部52の幅dを各列の幅と等しくすることにより、観察者に立体画像を認識させることができる。
【0059】
上記の例では、二つの視差画像(右目用画像および左目用画像)を用いる場合を示したが、三つ以上の視差画像に対して画像処理を行い、各視差画像を合成してもよい。図11は、二つ、三つまたは四つの視差画像を用いた場合における立体画像の観察状況を示す説明図である。図11(a)は、二つの視差画像による合成画像を観察する状況を示している。この場合、観察者は、右目で一方の視差画像を観察し、左目で他方の視差画像を観察することによって立体画像を認識する。なお、図11では、観察者の目と、その目によって観察される視差画像とを同じ番号で示している。
【0060】
図11(b)は、三つの視差画像による合成画像を観察する状況を示している。この場合、観察者は、透過部の正面に位置するとき、右目で第1視差画像を観察し、左目で第2視差画像を観察する。この結果、立体画像が認識される。観察者の位置が左にずれた場合、右目で第2視差画像を観察し、左目で第3視差画像を観察することで、立体画像を認識する。観察者の位置が右にずれた場合、立体画像は認識されない。
【0061】
図11(c)は、四つの視差画像による合成画像を観察する状況を示している。この場合、観察者は、透過部の正面に位置するとき、右目で第2視差画像を観察し、左目で第3視差画像を観察する。この結果、立体画像が認識される。観察者の位置が左にずれた場合、右目で第3視差画像を観察し、左目で第4視差画像を観察することで、立体画像を認識する。観察者の位置が右にずれた場合、右目で第1視差画像を観察し、左目で第2視差画像を観察することで、立体画像を認識する。
【0062】
図12は、三つの視差画像を用いる場合における遮光部51と透過部52の幅、および画像処理の例を示す説明図である。三つの視差画像を合成する場合、パララックスバリアの開口率を1/3とする。すなわち、パララックスバリアの幅全体の1/3が透過部になるようにする。図12では、一つのストライプ画素と重なる部分を透過部52とし、そのストライプ画素の両隣のストライプ画素と重なる部分を遮光部51としている場合を示している。透過部52の幅(dとする。)は、ストライプ画素の幅と等しい。
【0063】
また、画像処理部3は、二つの視差画像を用いる場合と同様に、ステップS1〜S6の処理を行う。ステップS3の処理では、表示パネル部1の表示に寄与する列の列データのYに対し、輝度を上昇させるように係数を乗じる計算を行う。第1視差画像の列の中では、第3・m−2列目のYのデータに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。第2視差画像の列の中では、第3・m−1列目のデータに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。第3視差画像の列の中では、第3・m列目のデータに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。ここで、mは、自然数である。続いて、画像処理部3は、上述のステップS4の処理を行う。
【0064】
次に、画像処理部3は、Yに対する計算を行った三つの視差画像を合成する(ステップS5)。具体的には、RGBへの変換が行われた三つの画像データのうち、第1視差画像から第3・m−2列目のストライプ画素のデータを抽出する。同様に、画像処理部3は、第2視差画像から第3・m−1列目のストライプ画素のデータを抽出し、第3視差画像から第3・m列目のストライプ画素のデータを抽出する。そして、抽出したストライプ画素のデータを第1列から順番に並ぶように合成する。この結果、図12に例示するようにストライプ画素が並んだ画像データが得られる。なお、図12中に示した記号「A」、「B」、「C」は、それぞれ第1視差画像、第2視差画像、第3視差画像から抽出されたストライプ画素であることを示している。「A」、「B」または「C」の次に示した数は、何番目の列のストライプ画素であるのかを示している。なお、一つのストライプ画素には、R、G、Bのデータが割り当てられた三つの列が含まれている。例えば、図12に示すストライプ画素「A1」には、Rのデータが割り当てられた列「A1R」と、Gのデータが割り当てられた列「A1G」と、Bのデータが割り当てられた列「A1B」とが含まれている。他のストライプ画素も同様である。画像出力処理(ステップS6)は、既に説明した動作と同様である。
【0065】
図13は、三つの視差画像を用いる場合における遮光部51と透過部52の幅、および画像処理の他の例を示す説明図である。図13では、R、GまたはBのいずれかのデータが割り当てられる列と重なる部分を透過部52とし、その列の両隣の列と重なる部分を遮光部51としている場合を示している。透過部52の幅(dとする。)は、R、GまたはBのいずれかのデータが割り当てられる列の幅と等しい。
【0066】
図13に示すように遮光部51および透過部52を定める場合、画像処理部3は、図5に示すステップS1〜S6の処理を行う。ステップS3の処理では、三つの画像データのRGB3列のデータから計算されたデータYに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。続いて、画像処理部3は、上述のステップS4の処理を行う。
【0067】
次に、画像処理部3は、Yに対する計算を行った三つの視差画像を合成する(ステップS5)。具体的には、第1視差画像の各ストライプ画素からはRの列のデータを抽出する。同様に、画像処理部3は、第2視差画像の各ストライプ画素からはGの列のデータを抽出し、第3視差画像の各ストライプ画素からはBの列のデータを抽出する。各視差画像から抽出したR、GおよびBの列のデータを組み合わせてストライプ画素を生成する。例えば、第1視差画像の1番目のストライプ画素から抽出したRの列のデータと、第2視差画像の1番目のストライプ画素から抽出したGの列のデータと、第3視差画像の1番目のストライプ画素から抽出したBの列のデータとを組み合わせて、合成画像における1番目のストライプ画素を生成する。他のストライプ画素も同様に生成する。そして、ストライプ画素のデータを第1列から順番に並ぶように合成する。
【0068】
この結果、図13に例示するようなデータが並んだ画像データが得られる。なお、図13に示す各列に示した記号(「A1R」等)において、左側の記号(「A」、「B」または「C」)は、三つの視差画像のうちどの視差画像から抽出されたかを示している。中央の数は何列目のストライプ画素に属するのかを示している。右側の記号は、R、G、Bのいずれのデータであるのかを示している。画像出力処理(ステップS6)は、既に説明した動作と同様である。
【0069】
図14は、四つの視差画像を用いる場合における遮光部51と透過部52の幅、および画像処理の例を示す説明図である。四つの視差画像を合成する場合、パララックスバリアの開口率を1/4とする。すなわち、パララックスバリアの幅全体の1/4が透過部になるようにする。図14では、一つのストライプ画素と重なる部分を透過部52とし、そのストライプ画素の右側の二つのストライプ画素と重なる部分および左側の一つのストライプ画素と重なる部分を遮光部51としている場合を示している。透過部52の幅(dとする。)は、ストライプ画素の幅と等しい。
【0070】
また、画像処理部4は、図5に示すステップS1〜S6の処理を行う。ステップS3の処理では、表示パネル部1の表示に寄与する列の列データのYに対し、輝度を上昇させるように係数を乗じる計算を行う。第1視差画像の列の中では、第4・m−3列目のYのデータに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。第2視差画像の列の中では、第4・m−2列目のデータに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。第3視差画像の列の中では、第4・m−1列目のデータに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。第4視差画像の列の中では、第4・m列目のデータに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。ここで、mは自然数である。続いて、画像処理部3は、上述のステップS4の処理を行う。
【0071】
次に、画像処理部3は、Yに対する計算を行った四つの視差画像を合成する(ステップS5)。具体的には、RGBへの変換が行われた四つの画像データのうち、第1視差画像から第4・m−3列目のストライプ画素のデータを抽出する。同様に、画像処理部3は、第2視差画像から第4・m−2列目のストライプ画素のデータを抽出し、第3視差画像から第4・m−1列目のストライプ画素のデータを抽出し、第4視差画像から第4・m列目のストライプ画素のデータを抽出する。そして、抽出したストライプ画素のデータを第1列から順番に並ぶように合成する。この結果、図14に例示するようにストライプ画素が並んだ画像データが得られる。なお、図12中に示した記号「A」、「B」、「C」、「D」は、それぞれ第1視差画像、第2視差画像、第3視差画像、第4視差画像から抽出されたストライプ画素であることを示している。「A」、「B」、「C」または「D」の次に示した数は、何番目の列のストライプ画素であるのかを示している。なお、各ストライプ画素には、R、G、Bのデータが割り当てられた三つの列が含まれている。画像出力処理(ステップS6)は、既に説明した動作と同様である。
【0072】
図15は、四つの視差画像を用いる場合における遮光部51と透過部52の幅、および画像処理の他の例を示す説明図である。図15では、R、GまたはBのいずれかのデータが割り当てられる列と重なる部分を透過部52とし、その列の右側の2列と重なる部分および左側の1列と重なる部分を遮光部51としている場合を示している。透過部52の幅(dとする。)は、R、GまたはBのいずれかのデータが割り当てられる列の幅と等しい。
【0073】
図15に示すように遮光部51および透過部52を定める場合、画像処理部3は、図5に示すステップS1〜S6の処理を行う。ステップS3の処理では、表示パネル部1の表示に寄与するRGB3列のデータ(ストライプ画素)のYに対し、輝度を上昇させるように係数を乗じる計算を行う。第1視差画像の列の中では、第4・m列目以外の列のYに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。第2視差画像の列の中では、第4・m−1列目以外の列のYに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。第3視差画像の列の中では、第4・m−2列目以外の列のYに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。第4視差画像の列の中では、第4・m−3列目以外の列のYに対し、上述の式4(または式5)による計算を行う。ここで、mは自然数である。続いて、画像処理部3は、上述のステップS4の処理を行う。
【0074】
次に、画像処理部3は、Yに対する計算を行った四つの視差画像を合成する(ステップS5)。具体的には、第4・m−3列目のストライプ画素に関しては、第1視差画像からRの列のデータを抽出し、第2視差画像からGの列のデータを抽出し、第3視差画像からBの列のデータを抽出する。そして、抽出したRGBのデータを組み合わせて、合成画像における第4・m−3列目のストライプ画素を生成する。第4・m−2列目のストライプ画素に関しては、第4視差画像からRの列のデータを抽出し、第1視差画像からGの列のデータを抽出し、第2視差画像からBの列のデータを抽出する。そして、抽出したRGBのデータを組み合わせて、合成画像における第4・m−2列目のストライプ画素を生成する。第4・m−1列目のストライプ画素に関しては、第3視差画像からRの列のデータを抽出し、第4視差画像からGの列のデータを抽出し、第1視差画像からBの列のデータを抽出する。そして、抽出したRGBのデータを組み合わせて、合成画像における第4・m−1列目のストライプ画素を生成する。第4・m列目のストライプ画素に関しては、第2視差画像からRの列のデータを抽出し、第3視差画像からGの列のデータを抽出し、第4視差画像からBの列のデータを抽出する。そして、抽出したRGBのデータを組み合わせて、合成画像における第4・m列目のストライプ画素を生成する。そして、画像処理部3は、ストライプ画素のデータを第1列から順番に並ぶように合成する。
【0075】
この結果、図15に例示するようなデータが並んだ画像データが得られる。なお、図15に示す各列に示した記号(「A1R」等)において、左側の記号(「A」、「B」、「C」または「D」)は、四つの視差画像のうちどの視差画像から抽出されたかを示している。中央の数は何列目のストライプ画素に属するのかを示している。右側の記号は、R、G、Bのいずれのデータであるのかを示している。画像出力処理(ステップS6)は、既に説明した動作と同様である。
【0076】
また、以上の説明では、遮光パネル部6にパララックスストライプを表示させることによって、遮光パネル部6をパララックスバリアとして用いる場合を示した。遮光パネル部6の代わりに、透過部52としてスリットを設けたプレートを用いてもよい。図16は、スリットを設けたプレートをパララックスバリアとして用いる場合の、表示パネル部1およびパララックスバリアを示す模式的断面図である。図2に示す表示パネル部1と同一の構成部については、図2と同一の符号を付して説明を省略する。パララックスバリアとなるプレート61は、例えば、観察者側の偏光板29上に設けられる。このような構成の場合、オン/オフ制御回路5(図1参照。)が不要となり、立体画像表示装置を簡素化することができる。
【0077】
また、パターニングされた位相差板を用いてパララックスバリアを実現してもよい。図17(a)は、パターニングされた位相差板を用いてパララックスバリアを実現する場合の、表示パネル部1および遮光パネル部6の構成例を示す模式的断面図である。図3に示す遮光パネル部6と同一の構成部については、図3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
遮光パネル部6は、透明基板(例えばガラス基板)43,46の間に液晶層45を挟持する。液晶層45はシール材44によって封止される。透明基板43(観察者から離れた位置に配置される透明基板)における液晶層45と反対側の面には、パターニングされた位相差板77が設けられる。透明基板46(観察者に近い方の透明基板)における液晶層45と反対側の面には、偏光板72が設けられる。ただし、パターニングされた位相差板を用いる場合、遮光パネル部6が有する各透明基板43,46には、いずれも透明電極を一枚ずつ配置する。この透明電極は、表示パネル部1における画像表示領域を包含できる大きさであればよい。従って、透明電極間に電圧を印加する場合、透明電極に挟持される液晶層45全体に電圧を印加することになる。そして、パターニングされた位相差板77上に表示パネル部1が配置される。この表示パネル部を中心にして、観察者とは反対側に、バックライト71が設けられる。表示パネル部の透明基板24,27上に設けられる透明電極の配置や、液晶層26の種類は、図2に示す表示パネル部の場合と同様である。また、図2に示す場合と同様にカラーフィルタが配置されていてもよい。また、図17(a)に示す位相差板23,28および偏光板22,29は、図2に示す場合と同様に配置される。なお、液晶層26は、シール材44によって封止される。
【0079】
図17(b)は、パターニングされた位相差板77の構成を示す説明図である。パターニングされた位相差板77は、位相差軸が異なる二種類の縦長の位相差板77,77が交互に配置された構成になっている。
【0080】
オン/オフ制御回路5(図1参照。)は、パターニングされた位相差板77が存在しないと仮定した場合に図17に示す遮光パネル部6全体が遮光部となるように遮光パネルを制御する。ただし、このように制御した場合であっても、遮光パネル部6の表示パネル1側には図17(b)に示す位相差板77が配置されているため、位相差板77,77のいずれかを通過した光は、表示パネル部1も通過する。従って、遮光パネル部6と図17(b)に示す構成のパターニングされた位相差板77とによって、パララックスバリアが実現される。
【0081】
また、上記の説明では、表示パネル部1の観察者側にパララックスバリアを配置する場合を説明した。パララックスバリアは、表示パネル部1とバックライトとの間に配置されていてもよい。図18は、表示パネル部1とバックライトとの間にパララックスバリアを配置する場合の構成例を示す模式的断面図である。図2に示す表示パネル部1と同一の構成部については、図2と同一の符号を付して説明を省略する。図18では、表示パネル部1のバックライト21側に、スリットを設けたプレート61を配置した場合を示している。プレート61の代わりに、図3に示すような遮光パネル部6や、図17に示すような遮光パネル部6とパターニングされた位相差板77との組み合わせをバックライト21側に配置してもよい。
【0082】
また、図4では、画像データにおいて1列全体にR,GまたはBのデータが割り当てられている場合を示したが、図19に示すように、1列の中にR、G、Bそれぞれのデータが割り振られていてもよい。その場合、各列のデータをデータ81〜81のように分割し、分割後の列データにR,G,Bのいずれかのみが割り当てられている状態にすればよい。そして、分割後のデータ81〜81毎にそれぞれ、画像処理部3による画像処理を実行し、その後、分割したデータ81〜81を合成すればよい。
【0083】
また、上記の実施の形態では、R、G、Bのデータが割り当てられた視差画像が入力される場合を示した。中央処理部4は、画像の各列に対して、Y、CおよびCのデータが割り当てられた複数の視差画像を入力されてもよい。この場合も、中央処理部4は、画像処理部3に画像処理を行わせる。画像処理部3は、画像入力(ステップS1)の後、ステップS2を行わずにステップS3以降の処理を実行すればよい。
【0084】
なお、上記の実施の形態において、中央処理部4は、特許請求の範囲に記載された画像入力手段に相当する。画像処理部3は、特許請求の範囲に記載された輝度計算手段、合成手段、YC変換手段、RGB変換手段に相当する。駆動回路2および表示パネル部1は、特許請求の範囲に記載された画像表示手段に相当する。
【実施例1】
【0085】
図16に示す構成と同様に、表示パネル部上に、透過部としてスリットを設けたプレートを配置した。ただし、表示パネル部としてTFT液晶表示装置を用いた。この表示パネル部に表示させる合成画像を作成するために、図5に示す画像処理を行い、画像処理によって得られた合成画像を表示パネル部に表示させた。画像処理におけるステップS3では、式4を用いてYに対する演算処理を行った。このとき係数kとして1.0,1.2,1.4および1.6の四種類の係数を用いた。k=1.2の場合とk=1.4の場合で明るい立体画像を認識することができた。また、画像の色味は変化しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、画像を明るく表示することが要求される立体画像表示装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明による立体画像表示装置の構成例を示すブロック図。
【図2】表示パネル部の構成例を示す模式的断面図。
【図3】遮光パネル部の構成例を示す模式的断面図。
【図4】画像データにR、G、Bの各データが割り当てられている状態を示す説明図。
【図5】画像処理部による画像処理を示すフローチャート。
【図6】右目用画像の表示に寄与する列の列データを示す説明図。
【図7】Yに対する計算の一例を示す説明図。
【図8】画像データの合成処理の例を示す説明図。
【図9】遮光部と透過部の幅の例を示す説明図。
【図10】遮光部と透過部の幅の例を示す説明図。
【図11】立体画像の観察状況を示す説明図。
【図12】三つの視差画像を用いる場合における遮光部と透過部の幅、および画像処理の例を示す説明図。
【図13】三つの視差画像を用いる場合における遮光部と透過部の幅、および画像処理の例を示す説明図。
【図14】四つの視差画像を用いる場合における遮光部と透過部の幅、および画像処理の例を示す説明図。
【図15】四つの視差画像を用いる場合における遮光部と透過部の幅、および画像処理の例を示す説明図。
【図16】スリットを設けたプレートをパララックスバリアとして用いる場合の構成を示す模式的断面図。
【図17】パターニングされた位相差板を用いてパララックスバリアを実現する場合の構成を示す説明図。
【図18】パララックスバリアを表示パネル部とバックライトとの間に配置する場合の構成例を示す模式的断面図。
【図19】画像データにR、G、Bの各データが割り当てられている状態を示す説明図。
【図20】従来の立体画像表示装置を示す概略図。
【図21】ブライトネスを上昇させた場合における階調のダイナミックレンジの低下を示す説明図。
【符号の説明】
【0088】
1 表示パネル部
2 駆動回路
3 画像処理部
4 中央処理部
5 オン/オフ制御回路
6 遮光パネル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の視差画像を入力する画像入力手段と、
入力された各視差画像から得られるYCデータのうち、輝度を表すYデータに対して輝度を向上させる計算を行う輝度計算手段と、
Yデータに対して輝度計算手段による計算が行われた後の各視差画像から、各視差画像内における列を示すデータを抽出し、前記列を示すデータを合成することにより前記複数の視差画像を合成した合成画像を生成する合成手段と、
合成手段によって生成された前記合成画像を表示する画像表示手段と、
前記列を示すデータに応じた光透過部を有するパララックスバリアとを備えた
ことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
RGBデータをYCデータに変換するYC変換手段を備え、
画像入力手段は、RGBデータによって表される複数の視差画像を入力し、
YC変換手段は、前記複数の視差画像を表すRGBデータをYCデータに変換し、
輝度計算手段は、YC変換手段によって変換された後のYCデータのうちのYデータに対して計算を行う
請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
画像入力手段は、YCデータによって表される複数の視差画像を入力し、
輝度計算手段は、前記複数の視差画像を表すYCデータのうちのYデータに対して計算を行う
請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
輝度計算手段は、各視差画像内における列を示すデータのうち、合成手段による合成対象となる列を示すデータに対応するYデータに対し、所定の係数を乗じることによって新たなYデータを生成する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
輝度計算手段は、各視差画像内における列を示すデータのうち、合成手段による合成対象となる列を示すデータに対応するYデータと、当該Yデータを含む列の隣の列におけるYデータとの平均値を算出し、前記平均値に対し所定の係数を乗じることによって新たなYデータを生成する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
輝度計算手段は、所定の係数として1.0を超え1.4以下の値を用いて新たなYデータを生成する
請求項4または請求項5に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
合成手段は、複数の視差画像から抽出した列を示すデータのうち合成対象となる列を示すデータを順次配列させて視差画像を合成する
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項に記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
Yデータに対して輝度計算手段による計算が行われた後のYCデータをRGBデータに変換するRGB変換手段を備え、
合成手段は、RGB変換手段によって変換された後のRGBデータによって表される各視差画像から、各視差画像内における列を示すデータを抽出し、前記列を示すデータを合成することにより各視差画像を合成した合成画像を生成する
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項に記載の立体画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−5463(P2006−5463A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177157(P2004−177157)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】