説明

立体画像表示装置

【課題】輝度のざらつきを軽減させる立体画像表示装置を提供する。
【解決手段】表示部は、色成分を有する開口部を持つサブ画素が第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とに、マトリクス状に配列される。光線制御部は、表示部に対向して設けられ、第2の方向に延びる直線状の光学的開口が第1の方向に複数配列される。開口部の形状は、第1の方向に隣接するサブ画素における各々の開口部どうしが、第2の方向に重ならない領域である非重なり部を有し、かつ、開口部のサブ画素に対する第2の方向の長さの比率を示す開口率が、前記第1の方向の一のラインにおいて、第1の方向の位置によらず実質的に一定であることから定まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルやプラズマパネル等の表示パネルの前に視差バリアとなる光線制御素子(スリットやレンチキュラーシート等)を設けることにより、観察者が裸眼で立体画像を知覚することができる立体画像表示装置がある。
【0003】
このような立体画像表示装置では、表示パネルの画素の開口部の周期構造と、光線制御素子の開口部の周期構造とが干渉することにより、輝度の明暗のムラ(モアレ)が生じる。
【0004】
このモアレを軽減するために、例えば、特許文献1記載の立体画像表示装置では、行方向に隣接する複数のサブ画素の開口部の列方向の開口長さが、単一の行では変動し、複数行の和で一定となるように、サブ画素の形状と配列とを工夫している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−249887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した立体画像表示装置では、モアレは軽減されるが、輝度のざらつきが生じるという課題がある。例えば、許文献1記載の立体画像表示装置では、列方向の輝度のざらつきが生じる。
【0007】
本発明は、輝度のざらつきを軽減させる立体画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る立体画像表示装置は、色成分を有する開口部を持つサブ画素が第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに、マトリクス状に配列された表示部と、前記表示部に対向して設けられ、前記第2の方向に延びる直線状の光学的開口が前記第1の方向に複数配列された光線制御部とを備え、前記開口部の形状は、前記第1の方向に隣接する前記サブ画素における各々の前記開口部どうしが、前記第2の方向に重ならない領域である非重なり部を有し、かつ、前記開口部の前記サブ画素に対する前記第2の方向の長さの比率を示す開口率が、前記第1の方向の一のラインにおいて、前記第1の方向の位置によらず実質的に一定であることから定まる形状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、輝度のざらつきを軽減させる立体画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態に係る立体画像表示装置の一部分の構成を示す概略図。
【図2】列方向の輝度のざらつきについて説明するための参考図。
【図3】第1の実施の形態に係る立体画像表示装置の表示部の一部の拡大図。
【図4】サブ画素11の開口部12及び列方向の開口率の行方向の変動を表す図。
【図5】一のサブ画素11の開口部12の形状を表す図。
【図6】サブ画素11の詳細を表す模式図。
【図7】一の行と次の行とで配列が行方向に反転している第3の形状例のサブ画素11について表す図。
【図8】第2の実施の形態に係る立体画像表示装置におけるサブ画素11の詳細を表す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る立体画像表示装置の一部分の構成を示す概略図である。図1(a)は立体画像表示装置の一部分の斜視図である。図1(b)サブ画素11を表す図である。図1(c)は立体画像表示装置の一部分を列方向側から見た図である。
【0014】
図1(a)に示すように、液晶パネル等の表示部(図示せず)の前面に備わるカラーフィルタ1と、カラーフィルタ1と所定の距離を隔てて、レンチキュラーシート5が配置されている。カラーフィルタ1は、列方向の長さが3で、行方向の長さが1のサブ画素11が、行方向及び列方向に各々複数配置され、マトリクスを形成している。サブ画素11は、各々3色のうちの1つの色成分をもつ。カラーフィルタ1では、行方向及び列方向に、赤(R)、緑(G)、青(B)の色成分をもつサブ画素11が交互に並ぶようにモザイク配列されている。レンチキュラーシート5は、光学的開口である、列方向に延びるシリンドリカルレンズ6が行方向に複数並べられた構造をしている。
【0015】
図1(b)は、一のサブ画素11である。サブ画素11は、開口部12と遮光部13とを含む。開口部12は、表示部の後方に位置するバックライト(不図示)からの光が色成分を付加されて通過する領域である。遮光部13は、バックライトからの光を遮断する領域である。遮光部13には、後述する電極等の素子や信号線等が設けられる。
【0016】
図1(c)に示すように、カラーフィルタ1を通過した光のうち、集光幅Pの範囲内に含まれる光がレンチキュラーシート5の一のシリンドリカルレンズ6を通過して、特定の位置に存在する観察者の片眼100に到達する。集光幅Pは、シリンドリカルレンズ6が集光する光の幅であり、レンチキュラーシート5からカラーフィルタ1までの距離であるギャップgと、一のシリンドリカルレンズ6のレンズ幅Peとから定まる。
【0017】
このようなレンチキュラーシート5を用いて、観察者の右眼と左眼に異なる光を到達させることにより、観察者は裸眼で立体画像を知覚することができる。
【0018】
列方向の輝度のざらつきについて説明する。図2は、列方向の輝度のざらつきについて説明するための参考図である。図2(a)は、開口部90の開口率の2行の和が、行方向のどの位置においても一定となる場合のサブ画素の形状及び配列を表す。開口率とは、開口部のサブ画素に対する列方向の開口の比率である。サブ画素の配列はモザイク配列としている。簡単のため、図2(a)には、同一の色成分のサブ画素の開口部90のみ示してある。図2では、6行の周期でサブ画素の配列が繰り返される。すなわち、N行目から(N+5)行目のサブ画素の配列が、(N+6)行目から繰り返される。
【0019】
図2(b)のグラフは、集光幅Pに含まれるサブ画素の開口部90を通って観察者の眼に到達する光の輝度の列方向の位置における大きさを表す。縦軸は列方向の位置を表し、横軸は、規格化した輝度を表す。図2(b)のグラフの縦軸のスケールは、図2(a)における列方向のスケールと一致させている。
【0020】
一の視点方向から見た場合、観察者は、集光幅Pの範囲に含まれるサブ画素の開口部90から到達する光を視認する。該光の輝度は、サブ画素の開口部12の面積により定まる。面積が大きいほど輝度も大きい。そのため、列方向の位置によって、観察者が感じる輝度が異なる。図2では、(N+5)行目の輝度のピーク50が、他のピークよりも小さい。よって、図2では、同じ色成分のサブ画素を全て同じ輝度で点灯させた場合であっても、(N+5)行目が他の行よりも暗くなる。この繰り返しが、6行という粗い周期で繰り返されることにより、列方向の輝度のざらつきが生じる。
【0021】
本実施の形態に係る立体画像表示装置は、サブ画素11の開口部の形状に特徴を有することにより、モアレを防止するとともに、列方向の輝度のざらつきを軽減させることを可能とする。
【0022】
図3は、第1の実施の形態に係る立体画像表示装置の表示部の一部の拡大図であり、サブ画素11の開口部12の形状及びカラー配列の一例を示している。図3(a)は、開口部12の第1の形状例を示している。図3(b)は、開口部12の第2の形状例を示している。図3(c)は、開口部12の第3の形状例を示している。開口部12の形状についての説明は後述する。図3では、サブ画素3行5列分の領域が示されており、補助線として、一のサブ画素11の行方向の長さを一辺とする正方形の升目を描いている。網掛け部が開口部12(同一の網掛けは同一の色成分)、無地の部分が遮光部13(ブラックマトリクス)を表している。図3において、太線で囲まれた領域がサブ画素11である。
【0023】
図4は、サブ画素11の開口部12及び列方向の開口率の行方向の変動を表す図である。上段の図は、サブ画素11の開口部12の形状及び配列を表し、下段の図は開口率を行方向に積算したグラフであり、白色部が開口率を表す。図4(a)は第1の形状例を表す図であり、図3(a)と対応する。図4(b)は第2の形状例を表す図であり、図3(b)と対応する。図4(c)は第3の形状例を表す図であり、図3(c)と対応する。各図とも、1行3列分の領域が示されている。
【0024】
本実施の形態では、サブ画素11の開口部12の形状は、以下の2つの条件から定められる。1つ目の条件は、隣接するサブ画素11において、非重なり部を有するという条件である。非重なり部とは、図4における「L」で表わされる領域であり、一のサブ画素11とそれに隣接するサブ画素11の列方向の座標が重ならない領域のことをいう。
【0025】
もう一つの条件は、図4に示したように、一の行において、サブ画素11の開口率が、行方向のどの位置においても一定であるという条件である。
【0026】
これらの条件から、以下に説明するサブ画素11の開口部12の形状が定められる。
【0027】
図5は、一のサブ画素11の開口部12の形状を表す図である。図5(a)は第1の形状例を表す図であり、図3(a)と対応する。図5(b)は第2の形状例を表す図であり、図3(b)と対応する。図5(c)は第3の形状例を表す図であり、図3(c)と対応する。
【0028】
第1の形状例について説明する。図5(a)に示すように、開口部12の第1の形状例は、平行四辺形GHIJと平行四辺形JKLMという、互いに面積が異なり、前記底辺と交わる辺が互いに平行である2つの平行四辺形がL字型に組み合わされた六角形GHIKLMと、該六角形GHIKLMの線対称形であるL字型の六角形GH´I´K´L´Mとからなる。
【0029】
平行四辺形GHIJにおいて、長さが短い方の対角線HJで平行四辺形GHIJを半分に分割してできる三角形GHJは、鈍角三角形である。すなわち、平行四辺形GHIJにおいて、頂点Hから高さ方向(列方向)に下ろした直線は、辺GJとは交わらず、J方向に延ばした辺GJの延長線と交わる。
【0030】
平行四辺形JKLMにおいて、長さが短い方の対角線KMで平行四辺形JKLMを半分に分割してできる三角形JKMは、鈍角三角形である。すなわち、平行四辺形JKLMにおいて、頂点Kから高さ方向に下ろした直線は、辺JMとは交わらず、M方向に延ばした辺JMの延長線と交わる。
【0031】
六角形GHIKLMは、平行四辺形GHIJと平行四辺形JKLMとを、辺IJと辺JKを一致させるように重ね、辺GJと辺JMとが一直線上に存在するように組み合わされる。これにより、六角形GHIKLMは、平行四辺形GXLMから、平行四辺形HXKIを除いた形となる。
【0032】
サブ画素11の開口部12の第1の形状例は、六角形GHIKLMと、該六角形GHIKLMの一の辺GMを対称軸として、該六角形GHIKLMと線対称な六角形GH´I´K´L´Mとを連結させた形状である。
【0033】
この六角形を連結させた形状の図形GHIKLML´K´I´H´は、傾きが同じ辺の組を3組有する。すなわち、「辺GHと辺IKと辺ML」の組、「辺GH´と辺I´K´と辺ML´」の組、「辺KLと辺K´L´」の組を有する。
【0034】
この形状の開口部12を有する複数のサブ画素11を、各々の開口部12の対角線GMが行方向と平行で、かつ各々の開口部12の対角線GMが同一直線状に存在するように配列する。そして、一のサブ画素11の開口部12の頂点Kと頂点K´を結ぶ線分上に、隣接する(図5(a)中、右隣)サブ画素11の開口部12の頂点Gが存在するように配列する。
【0035】
この配列を行方向に繰り返すことにより、上記2つの条件を満たす、一行のサブ画素11の連なりが作られる。そして、この一行のサブ画素11の連なりを列方向に繰り返すことにより、サブ画素11がマトリクス状に配置される。
【0036】
第2の形状例について説明する。図5(b)に示すように、開口部12の第2の形状例は、3組の対辺が各々平行かつ長さが等しい六角形(平行六辺形)ABCDEFと、一の辺AFを対称軸として、該平行六辺形ABCDEFと線対称な平行六辺形AB´C´D´E´Fとを連結させた形状である。また、該平行六辺形ABCDEFで、辺AFと対角線BFは直交する。すなわち、該平行六辺形ABCDEFにおいて、頂点Fを通り、辺AFと直交する直線上に、頂点Fが存在する。
【0037】
辺AFの延長線と対角線CEの延長線は直交する。すなわち、該平行六辺形ABCDEFにおいて、頂点Fを通り、辺AFと直交する直線上に、頂点Fが存在する。辺CDと、対角線CEは直交する。
【0038】
これにより、該平行六辺形ABCDEFは、1つの平行四辺形と2つの直角三角形とを組み合わせた形状となる。
【0039】
この2つの平行六辺形を連結させた形状の図形ABCDEFE´D´C´B´は、傾きが同じ辺の組を5組有する。すなわち、「辺ABと辺ED」の組、「辺AB´と辺E´D´」の組、「辺BCと辺FE」の組、「辺B´C´と辺FE´」の組、「辺CDと辺C´D´」の組を有する。
【0040】
この形状の開口部12を有する複数のサブ画素11を、各々の開口部12の対角線AFが行方向と平行で、かつ各々の開口部12の対角線AFが同一直線状に存在するように配列する。そして、一のサブ画素11の開口部12の頂点Eと頂点E´を結ぶ線分上に、隣接する(図5(b)中、右隣)サブ画素11の開口部12の頂点Aが存在するように配列する。
【0041】
この配列を行方向に繰り返すことにより、上記2つの条件を満たす、一行のサブ画素11の連なりが作られる。そして、この一行のサブ画素11の連なりを列方向に繰り返すことにより、サブ画素11がマトリクス状に配置される。
【0042】
第3の形状例について説明する。図5(c)に示すように、開口部12の第3の形状例は、いわゆる「く」の字状であり、平行四辺形NOPQと、該平行四辺形NOPQの線対称形である平行四辺形NO´P´Qとを連結させた形状である。
【0043】
平行四辺形NOPQにおいて、長さが短い方の対角線OQで平行四辺形NOPQを半分に分割してできる三角形NOQは、鈍角三角形である。すなわち、平行四辺形NOPQにおいて、頂点Oから高さ方向(列方向)に下ろした直線は、辺NQとは交わらず、Q方向に延ばした辺NQの延長線と交わる。
【0044】
サブ画素11の開口部12の第3の形状例は、平行四辺形NOPQと、該平行四辺形NOPQの一の辺NQを対称軸として、該平行四辺形NOPQと線対称な平行四辺形NO´P´Qとを連結させた形状である。
【0045】
この平行四辺形を連結させた形状の図形NOPQP´O´は、傾きが同じ辺の組を3組有する。すなわち、「辺NOと辺QP」の組、「辺NO´と辺QP´」の組、「辺OPと辺O´P´」の組を有する。
【0046】
この形状の開口部12を有する複数のサブ画素11を、各々の開口部12の対角線NQが行方向と平行で、かつ各々の開口部12の対角線NQが同一直線状に存在するように配列する。そして、一のサブ画素11の開口部12の頂点Oと頂点O´を結ぶ線分上に、隣接する(図5(c)中、右隣)サブ画素11の開口部12の頂点Nが存在するように配列する。
【0047】
この配列を行方向に繰り返すことにより、上記2つの条件を満たす、一行のサブ画素11の連なりが作られる。そして、この一行のサブ画素11の連なりを列方向に繰り返すことにより、サブ画素11がマトリクス状に配置される。
【0048】
サブ画素11の開口部12の形状は、行方向に対称軸を持つ線対称形状で、かつ同一の傾きの辺の組を奇数組有する形状であれば、上述した3つの例以外でも構わない。
【0049】
図6は、サブ画素11の詳細を表す模式図である。図6では、2行4列の領域が表されている。図6において、無地の部分は開口部12を表す。開口部12の形状は図3における第2の形状例としている。点線で囲まれた領域が一のサブ画素11を表す。上述したように、サブ画素11は、開口部12と遮光部(図6では不図示)とを含む。
【0050】
信号線14、信号線15、スイッチ素子16、電極17は観察者から視認できないように、遮光部(図6では不図示)により覆われている。スイッチ素子16は、TFT等であり、サブ画素11を駆動させる。信号線14は、一の列にあるスイッチ素子16に動作信号を伝える。信号線15は、一の行にあるスイッチ素子16に動作信号を伝える。電極17はスイッチ素子15に電力を供給する。上述した他の開口部12の形状の場合も同様の構成とすることができる。この構成により、表示部を動作させることができる。
【0051】
以上に述べたとおり、本実施の形態に係る立体画像表示装置は、サブ画素11の開口部12の形状を上記の形状とすることにより、モアレを軽減することができ、列方向の輝度のざらつきを軽減させることができる。
【0052】
また、隣接する2つのサブ画素11に非重なり部を設けることにより、図6に示した列方向に配線される信号線14の折れ曲がりを緩やかにすることができる。このため、信号線14に与えるダメージを軽減させることができ、信号線14の強度を保つことができる。
【0053】
なお、本実施の形態で述べた「平行」や「直交」や「一定」等については、完全な平行や直交や一定のみだけでなく、製造過程で生じる誤差及び、本実施の形態の効果を奏することが可能な範囲についても含まれる。
【0054】
本実施の形態では、サブ画素11の行方向の配列が、一の行と次の行とで、行方向に反転している場合であっても構わない。図7は、一の行と次の行とでサブ画素11の形状が行方向に反転している第3の形状例のサブ画素11について表す図である。同一の網掛けは同一の色成分を表す。サブ画素11がモザイク配列の場合、サブ画素11の列方向の配列は、6列周期で繰り返される。N行目から(N+5)行目までが1周期となる。
【0055】
この場合、集光幅Pの範囲内に含まれる、同一のサブ画素11の開口部12(例えば、図7における波線)の面積が、前半3行と後半3行(N行目から(N+2)行目までが前半、(N+3)行目から(N+5行目)までが後半)の各々で、実質的に等しくなるように、集光幅Pの長さを調節することが望ましい。
【0056】
すなわち、図7におけるM列目に集光幅Pを合わせたときに、同一の色成分について、隣接する(M−1)列目のサブ画素11と(M+1)列目のサブ画素11から、集光幅Pの範囲に含まれる開口部12(図7中、黒で塗りつぶされた部分)の、前半の面積の和と、後半の面積の和とが実質的に等しくなるように、集光幅Pの長さを調節する。
【0057】
第1の形状例、第2の形状例の場合も同様とする。
【0058】
これにより、サブ画素11の行方向の配列が、一の行と次の行とで、行方向に反転している場合であっても、モアレを軽減することができ、輝度のざらつきを軽減させることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、表示部の前面にレンチキュラーシート等の視差バリアを設ける立体画像表示装置について説明したが、これに限られない。例えば、表示部の前面に、複屈折レンズや、GRINレンズといった、レンズ効果が電気的に除去できるレンズを設けて、2Dと3Dの切り替え表示ができる立体画像表示装置であってもよい。
【0060】
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態に係る立体画像表示装置におけるサブ画素11の詳細を表す模式図である。点線で囲まれた領域が一のサブ画素11を表す。サブ画素11は、開口部12と、遮光部(図8では不図示)と、開口調整部20とを含む。信号線14、信号線15、スイッチ素子16、電極17については、第1の実施の形態の場合と同様である。
【0061】
ここで、一のサブ画素11において、信号線15を境界として2つの領域を定義する。すなわち、図8において、信号線15から下の領域を「主領域」とし、上の領域を「副領域」と定義する。開口部12は主領域に存在する。図8において、開口部12の形状は図3における第3の形状例としている。本実施の形態では、サブ画素11の輝度の向上のために、副領域中に、スイッチ素子16や電極17の配置位置以外の部分に、サブ画素11の開口部分である開口調節部20が存在する点が、第1の実施の形態の場合とは異なる。
【0062】
一の行における複数のサブ画素の主領域の開口部12については、第1の実施の形態の場合と同様の特徴を有する。すなわち、隣接するサブ画素11において、非重なり部を有すること、及び、一の行において、サブ画素11の開口率が、行方向のどの位置においても一定であるという条件を満たす。
【0063】
しかし、本実施の形態では、サブ画素11の副領域に関しては、開口調節部20のために、一の行でサブ画素11の開口率が、行方向のどの位置においても一定にならない。
【0064】
そこで、本実施の形態では、副領域のみ、複数の行に渡って、開口率の和が行方向のどの位置においても一定となるように、サブ画素11を配列している。例えば、図8に示したように、N行目のサブ画素11の副領域の開口調節部20と、(N+1)行目のサブ画素11の副領域の開口調節部20とが、列方向で重ならないように、N行目のサブ画素11と(N+1)行目のサブ画素とを配列する。すなわち、N行目のサブ画素11の副領域のスイッチ素子16もしくは電極17の列方向下側には、(N+1)行目のサブ画素11の副領域の開口調節部20が存在するように配列する。N行目のサブ画素11の副領域の開口調節部20の列方向下側には、(N+1)行目のサブ画素11の副領域のスイッチ素子16もしくは電極17が存在するように配列する。
【0065】
そのため、本実施の形態では、スイッチ素子16の行方向の長さu1と、電極17の行方向の長さu3と、開口調節部20の行方向の長さu2は同じとするのが望ましい。また、一のサブ画素11において、行方向に、スイッチ素子16、開口調節部20、電極17、開口調節部20と並ぶような配置構造とするのが望ましい。
【0066】
これにより、本実施の形態に係る立体画像表示装置は、サブ画素11の副領域に開口部分を設けた場合でも、モアレを軽減することができ、輝度のざらつきを軽減させることができる。
【符号の説明】
【0067】
5 レンチキュラーシート
11 サブ画素
12 開口部
13 遮光部
14、15 信号線
16 スイッチ素子
17 電極
20 開口調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色成分を有する開口部を持つサブ画素が第1の方向と、前記第1の方向と直交する第2の方向とに、マトリクス状に配列された表示部と、
前記表示部に対向して設けられ、前記第2の方向に延びる直線状の光学的開口が前記第1の方向に複数配列された光線制御部とを備え、
前記開口部の形状は、前記第1の方向に隣接する前記サブ画素における各々の前記開口部どうしが、前記第2の方向に重ならない領域である非重なり部を有すること、及び、前記開口部の前記サブ画素に対する前記第2の方向の長さの比率を示す開口率が、前記第1の方向の一のラインにおいて、前記第1の方向の位置によらず実質的に一定であることから定まる形状である
ことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
前記開口部の形状は、
前記第2の方向と平行な方向の対称軸を持つ線対称形状、かつ、同一の傾きの辺の組を奇数組有する形状であること
を特徴とする、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記開口部の形状は、
前記第1の方向と平行な底辺を持ち、互いに面積が異なり、前記底辺と交わる辺が互いに平行である第1の平行四辺形及び第2の平行四辺形を、各々の底辺が一直線上に並ぶようにL字型に連結した第1の六角形と、前記底辺を対称軸として、前記第1の六角形と線対称な第2の六角形とを連結させた形状であり、
前記第1の平行四辺形の2つの対角線のうち、長さが短い方の対角線で、前記第1の平行四辺形を半分に分割してできる三角形が、鈍角三角形であり、
前記第2の平行四辺形の2つの対角線のうち、長さが短い方の対角線で、前記第2の平行四辺形を半分に分割してできる三角形も、鈍角三角形であること
を特徴とする、請求項2記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記開口部の形状は、
前記サブ画素の前記第1の方向と平行な第1の辺を含む、3組の対辺が各々平行かつ長さが等しい第1の六角形と、前記第1の辺を対称軸として、前記第1の六角形と線対称な第2の六角形とを連結させた形状であり、
前記第1の六角形は、
前記第1の辺を定める第1の頂点と第2の頂点のうち、いずれか一方の頂点を通り、かつ前記第1の辺に直交する直線上に第3の頂点が存在すること
を特徴とする、請求項2記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記開口部の形状は、
前記第1の方向と平行な辺を底辺とする第1の平行四辺形と、前記底辺を対称軸として、前記第1の平行四辺形と線対称な第2の平行四辺形とを連結させた形状であり、
前記第1の平行四辺形の2つの対角線のうち、長さが短い方の対角線で、前記第1の平行四辺形を半分に分割してできる三角形が、鈍角三角形であること
を特徴とする、請求項2記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記サブ画素は、モザイク配列であること
を特徴とする、請求項1乃至5記載の立体画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−164148(P2011−164148A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23526(P2010−23526)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】