説明

立体編物縫製品

【課題】 立体編物を少なくとも一部に用いた積層物を接合した縫製品であって、圧力分散性に優れ、積層部の一体感がある立体編物縫製品を提供する。
【解決手段】 表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物を少なくとも一部に用いた積層物を接合した縫製品であって、該立体編物が用いられている部分の1平方メートルあたりの接合個数が1以上、100以下であることを特徴とする立体編物縫製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体編物を少なくとも一部に用いた積層物を接合した立体編物縫製品に関する。
【背景技術】
【0002】
立体編物は、優れた通気性、クッション性を有しているため、各種クッション材として使用されており、例えば、ベッドパッドや椅子の座布団等に使用されている。このような用途に用いられる場合、立体的な形を付与すること、立体編物同士を積層してクッション性をアップさせること、立体編物以外の素材と積層すること等の目的より、キルティング縫製される場合がある。
しかしながら、キルティング縫製を行うと、その縫製部分は立体編物の持つクッション機能が低下するため、目的とするクッション性が得られない場合があった。
【0003】
特許文献1には、三層構造立体布と表現されている立体編物を含む積層生地を、一体化するためにキルトしたものが開示されている。
しかしながら、特許文献1では、パッド全体に対しキルト縫製することは記載されているものの、そのクッション機能の低下を防止するための具体的な縫製条件に関しては全く開示されていない。
【0004】
【特許文献1】実公平06−022283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、立体編物を少なくとも一部に用いた積層物を接合した縫製品であって、圧力分散性に優れ、積層部の一体感がある立体編物縫製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために、立体編物を少なくとも一部に用いられた積層品の接合縫製方法について詳細に検討した結果、単位面積あたりの接合個数が大きな要因であることを見出し、さらに鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0007】
(1)表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物を少なくとも一部に用いた積層物を接合した縫製品であって、該立体編物が用いられている部分の1平方メートルあたりの接合個数が1以上、100以下であることを特徴とする立体編物縫製品。
(2)上記(1)に記載のキルティング縫製品からなるクッション材。
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、立体編物は、表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成されている。立体編物を、ダブルラッセル編機、ダブル丸編機、横編機等を用いて編成する場合、表裏の編地を連結する連結糸は、必ずどちらかの方向に湾曲した状態で編み込まれる。その連結糸に、厚み方向から力を加えると、連結糸は、既に湾曲している状態から更に湾曲し、力を取り除くと元の状態に戻る。この際に生じる連結糸の曲げと回復の挙動が立体編物の反発感のあるクッション性に大きく影響するため、連結糸には曲げ剛性の高いモノフィラメントを用いることが好ましい。
【0009】
従って、立体編物の連結糸は、全てモノフィラメントであることが好ましいが、必要に応じて、編成時にモノフィラメント以外の繊維を交編させてもよい。その場合、モノフィラメント以外の繊維は、連結糸における混率が50wt%以下であることが好ましく、より好ましくは40wt%以下である。例えば、連結糸としてマルチフィラメントの仮撚糸を交編すると、圧縮時にモノフィラメント同士が擦れて発生する耳障りな音を低減することができるので好ましい。
【0010】
本発明において、立体編物の連結糸に用いるモノフィラメントは、例えば、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の素材の繊維を用いることができるが、これらの内、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を連結糸に用いると、繰り返し又は長時間圧縮後の回復性が良好となるので好ましい。
【0011】
立体編物の表裏二層の編地に用いる繊維は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエステル系エラストマー繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維、その他、任意の繊維を用いることができる。
【0012】
繊維の断面形状は、丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。繊維の形態も、未加工糸、紡績糸、撚糸、仮撚加工糸、流体噴射加工糸等いずれのものを採用してもよい。
【0013】
本発明において、立体編物は、相対する2列の針床を有するダブルラッセル編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等を用いて編成できるが、寸法安定性のよい立体編物を得るには、ダブルラッセル編機を用いるのが好ましい。編機のゲージは9ゲージから28ゲージまでが好ましく用いられる。
【0014】
本発明において、立体編物の表裏面形状は、特に限定されるものではなく、フラットなものや、畝状に0.5mm以上の凹凸を有するもの、起毛処理等で立毛されたものであってもよい。また、立体編物の表裏の編地は、4角、6角等のメッシュ編地、マーキゼット編地等、複数の開口部を有する編地にすると、軽量性及び通気性を向上させることができる。表面を平坦な組織にして肌触りを良好にすることもでき、また、表面を起毛することにより肌触りの良好なものが得られる。特に、クッション材等で通気性を向上させ、蒸れ感を抑える為には、表裏の編地の何れか一方若しくは両面共に複数の開口部を有する編地とするのが好ましい。
【0015】
本発明において、立体編物の厚み及び目付は、目的に応じて任意に設定できる。厚みは2〜30mmが好ましい。厚みが上記の範囲であると、十分な圧縮量があり、クッション性に優れ、立体編物の仕上げ加工が容易である。目付は、好ましくは100〜3000g/m2、より好ましくは200〜2000g/m2である。
【0016】
立体編物の表裏編地または連結糸に用いる繊維は、未着色でもよく、着色されていてもよい。
着色方法は、未着色の糸をかせやチーズ状で糸染めする方法(先染め)、紡糸前の原液に顔料、染料等を混ぜて着色する方法(原液着色)、立体編物状で染色したりプリントする方法等によって着色することができるが、立体編物状で染色すると立体形状を維持するのが困難であったり加工性が悪いため、先染めや原液着色が好ましい。
【0017】
立体編物の仕上げ加工方法としては、生機を精練、染色、ヒートセット等の工程を通して仕上げることができるが、先染め糸や原液着色糸を使用した立体編物や、意匠性が要求されない用途向けの立体編物の場合は、精練や染色工程を省いて、生機をすぐにヒートセットのみで仕上げることも可能である。
また、仕上げセット時には、本発明の目的を損なわない範囲で、通常、繊維加工に用いられる樹脂加工、吸水加工、制電加工、抗菌加工、撥水加工、難燃加工などの仕上げ加工を適用することができる。
【0018】
本発明の縫製品は、立体編物を少なくとも一部に用いた積層物を接合した縫製品であって、該立体編物が用いられている部分の1平方メートルあたりの接合個数は、1以上、100以下であり、好ましくは5以上、50以下、より好ましくは10以上、30以下である。この範囲内であれば、圧力分散性に優れた縫製品となる。しかし、前記接合個数が100個を超えると圧力分散性に劣るものとなり、1個未満では積層部の一体感が得られない場合がある。
【0019】
なお、1平方メートルあたりの接合個数は下記式にて算出する。
接合個数(個/m2)=(縫製品における全接合個数)/(縫製品の面積[m2])
また、、立体編物が用いられる部分とは、立体編物を複数枚積層した部分の面積、若しくは、立体編物と他素材とを積層した部分の面積を云う。立体編物が縫製品全体の一部のみに使用されている場合は、その部分の面積を云う。
【0020】
本発明において、接合とは、積層品を一体化させる為に部分的に縫製することであり、接合部の縫製長は2cm以下である。縫製方法は、縫製長が2cm以下であれば特に限定されるものではなく、手縫い、本縫い、千鳥縫い、単環縫い、二重環縫い、扁平縫い等の如何なる方法で縫製されてもよい。また、縫製は、直線、曲線、ジグザグ等の如何なる方法であってもよい。接合個所の位置については、特に限定されるものではなく、積層された面積内を均一に接合しても、不均一に接合した状態でもよい。
【0021】
更に、本発明の接合した縫製品は、合成繊維を主とした素材の積層物であって超音波ミシンによる縫製が可能であれば、超音波縫製されたものであってもよい。
【0022】
本発明の縫製品は、立体編物が少なくとも一部に使用されていればよく、立体編物を複数積層してもよい。また、立体編物と他の素材を積層してもよい。他の素材としては、例えば、天然綿、合成繊維綿、またはこれらの繊維を複合した綿、ならびにこれらの繊維綿を適宜圧縮した綿やそれらの綿に合成樹脂を施して圧縮回復性を改良したもの、または、発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン等の発泡体、ならびにこれらの発泡体と綿とを組み合わせたもの、または、熱可塑性樹脂や熱可塑性弾性樹脂からなる繊維が互いに不規則に交絡し、交絡により接触した接点を形成する厚さが5〜50mm程度の立体的構造体などが挙げられる。
【0023】
なお、本発明の立体編物縫製品は、本発明の目的、効果が損なわれない限り、該縫製品を心材とし、他素材でカバーしたり、他素材と部分縫製、接着すること等により一体化してもよい。
【0024】
また、本発明の縫製品は、外周を縁部カバー材で縫製されていてもよい。縁部カバー材は、特に限定されるものではなく、織物、編物、フィルム等であってもよい。縁部カバー材に用いる織編物は、カレンダー処理による目潰し加工、ウレタンやアクリル樹脂等により樹脂加工したものであってもよく、ウレタン、アクリルあるいは塩ビ等のフィルムを片面若しくは両面にラミネートしたものであってもよい。形状は、細幅にスリットしたもの、ストレートカットしたもの、バイアスカットしたもの等の何れであってもよい。更に、パイピング用等に市販されている細幅テープやリボンであってもよい。特に、縁部カバー材が、端部よりほつれない様に予め処理されたものであれば、縁部カバー材の端部を折り返す必要がなく、縫製部分を薄く仕上げることができるので好ましい。
【0025】
立体編物に15dtex以上のモノフィラメントが使用されている場合、モノフィラメント端部が、縁部カバー材を突き抜けて表面に出てくる場合があり、皮膚を刺激し、極端な場合は皮膚も貫通して指し傷の原因となる場合がある。これを防ぐためには、縁部カバー材として、ミシン針の突き刺し強度が2〜20Nのものを使用することが好ましく、2.1N以上、15N以下のものがより好ましく、2.2N以上、10N以下のものが最も好ましい。縁部カバー材のミシン針突き刺し強度が上記の範囲であると、モノフィラメント端部の飛び出しがなく、また、縁部カバー材の曲げ強度が適度で風合が良好であり、縫製時の針貫通抵抗が低いため縫製が容易である。
【0026】
ミシン針の突き刺し強度は、ミシン針(オルガン株式会社製のTV×7#19)を島津オートグラフAG−B型((株)島津製作所製)のチャック部に、動かない様に且つチャック部の上下移動方向に平行に取り付け、縁部カバー材を直径20mmのピンがついた円盤状圧縮治具に固定し後、50mm/minの速度で突き刺し、貫通時の最大応力を表裏それぞれ3回測定し、その平均値で表した。
【0027】
縁部カバー材の縫製は、例えば、JIS−L−0121の付図3クラス3の細分類に記載されている様な方法で行えばよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の立体編物縫製品は、圧力分散性に優れ、一体感があり、クッション材用途として特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに説明するが、これにより本発明は何ら限定されるものではない。なお、測定法、評価法等は下記の通りである。
(1)厚み
JIS−L−1018の厚みの測定方法に準拠した。
【0030】
(2)圧力分散性及び一体感
実施例及び比較例で作成した縫製品及び単なる積層品を用いて臥床試験を行い、圧力分散性、積層品の一体感を官能評価し、下記の判定基準により点数付けを行った。なお、臥床試験は、繊維関係の仕事に従事する10名の人間で行い、その10名の平均点で評価した。
【0031】
イ)圧力分散性
3点:単なる積層品に比べて、殆ど圧力分散性が変わらない
2点:単なる積層品に比べて、やや圧力分散性が低い
1点:単なる積層品に比べて、非常に圧力分散性が低い
【0032】
ロ)一体感
3点:臥床したときにズレ感を殆ど感じない
2点:臥床したときにズレ感をやや感じる
1点:臥床したときにズレ感を非常に感じる
【0033】
(3)縁部カバー材の表面風合
実施例及び比較例で作成したキルティング縫製品の縁部カバー材の表面風合を官能評価し、下記の判定基準により点数付けを行った。なお、評価試験は、繊維関係の仕事に従事する10名の人間で行い、その10名の平均点で評価した。
【0034】
「風合」
3点:縁部カバー材表面にモノフィラメント繊維の飛び出しを殆ど感じない
2点:縁部カバー材表面にモノフィラメント繊維の飛び出しをやや感じる
1点:縁部カバー材表面にモノフィラメント繊維の飛び出しを非常に感じる
【0035】
〔製造例1〕(立体編物の製造)
6枚筬を装備した18ゲージ、釜間5.6mmのダブルラッシェル機を用い、表側の編地を形成する2枚の筬(L1、L2)及び裏側の編地を形成する2枚の筬(L5、L6)に、167デシテックス/48フィラメントのポリエチレテレフタレートマルチフィラメント糸(旭化成せんい社製)を、連結糸を形成する二枚の筬(L3、L4)に200デシテックスのナイロン6繊維モノフィラメント糸(旭化成せんい社製、モノフィラメント)を、L1、L4、L5ガイドに1イン1アウトの配列で供給し、L2、L3、L6ガイドに1アウト1インの配列で供給し、表裏メッシュの立体編物を編成した。打ち込みは20.7コース/2.54cmであり、編組織は以下に示すとおりであった。
【0036】
得られた立体編物の生機を70℃で精練後、180℃で乾熱ヒートセットして、立体編物表面の編地密度が27.0コース/2.54cm、13.0ウェール/2.54cm、厚みが4.0mmとなるように仕上げた。
【0037】
(編組織)
L1:4644/4244/4644/4244/4644/4222/2022/2422/2022/2422/2022/2444/
L2:2022/2422/2022/2422/2022/2444/4644/4244/4644/4244/4644/4222/
L3:6868/6464/6868/2020/6868/6464/4242/4646/4242/810810/4242/4646/
【0038】
L4:4242/4646/4242/810810/4242/4646/6868/6464/6868/2020/6868/6464/
L5:4446/4442/4446/4442/4446/4442/2220/2224/2220/2224/2220/2224/
L6:2220/2224/2220/2224/2220/2224/4446/4442/4446/4442/4446/4442/
【0039】
[実施例1〜7、比較例1及び2]
製造例1で得た立体編物を裁断して、タテ200cm×ヨコ100cmの立体編物を2枚作製した。これら2枚の立体編物を積層し、表1に示す接合個数で積層品の面積内で均等間隔となるように縫製を行い、立体編物縫製品を得た。なお、縫製は、JUKI(株)製の本縫いミシン(DDL−555)を用いて本縫いを行い、縫製長は1cmとした。
縫製条件は次の通りとした。ミシン針14番(オルガン株式会社製)、縫い糸:ポリエステルスパン30番、縫い目長さ:2.0mm
【0040】
得られた立体編物縫製品の評価結果を表1に示す。表1から判るように、実施例1〜7は圧力分散性に優れ、積層部の一体感に優れたものであった。しかし、比較例1は積層部の一体感に劣り、比較例2は圧力分散性に劣るものであった。
【0041】
また、実施例1〜7、比較例1及び2で得た立体編物縫製品の端部を、下記に示すPETタフタaでJIS−L−0120の付図3の3.05になる様にカバーし、2本針扁平縫いミシン(ヤマトミシン製造株式会社製:VEU25000 156M−8;針幅5.6mmで2本針使用に変更)を用いて、JIS−L−0120の表示記号309となる様に縫製し、ベッドパッドを作製した。(縫製条件:ミシン針14番(オルガン株式会社製)、縫い糸:ポリエステルスパン30番、縫い目長さ:2.0mm)
【0042】
なお、使用したPETタフタaは以下の通りである。
経糸:ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント56デシテックス/24フィラメント
緯糸:ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント84デシテックス/24フィラメント
組織:タフタ
製織、ヒートセット仕上げ後の密度:タテ114本/2.54cm、ヨコ82本/2.54cm
ミシン針の突き刺し強度:2.45N
【0043】
得られたベッドパッドを市販の敷布団に敷き、「圧力分散性及一体感」の評価を行った。その結果、実施例1〜7はクッション性が良好で、臥床した時のズレ感がなく、縁部カバー材の表面風合いも良好なベッドパッドであったが、比較例1は積層部の一体感に劣り、寝心地が悪く、比較例2は体力分散性が劣るベッドパッドであった。
【0044】
[実施例8]
実施例4において、縁部カバー材を下記に示すPETタフタbに変更した以外は、実施例4と同様にしてベッドパッドを作製した。
なお、使用したPETタフタbは以下の通りである。
【0045】
経糸:ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント加工糸167デシテックス/48フィラメント
緯糸:ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント加工糸167デシテックス/48フィラメント
組織:タフタ
製織、ヒートセット仕上げ後の密度:タテ75本/2.54cm、ヨコ61本/2.54cm
ミシン針の突き刺し強度:1.74N
【0046】
得られたベッドパッドを市販の敷布団に敷き、「圧力分散性及一体感」の評価を行った。その結果、クッション性が良好で、臥床した時のズレ感のない素晴らしいベッドパッドであった。しかし、縁部カバー材の表面にモノフィラメントの飛び出しが見られ、風合いの点でやや不十分であった。
【0047】
[実施例9]
実施例4において、縁部カバー材を、上記PETタフタaのウレタンコーティング品に変更した以外は、実施例4と同様にしてベッドパッドを作製した。
なお、PETタフタaのウレタンコーティング品は、PETタフタaの片面に、下記の配合樹脂をロールコーターでコーティングし(クリアランス:150ミクロン、塗布量は30g/m)、30℃温水に5分間、70℃温水に15分間浸漬させて脱溶媒を施し、ウレタンを湿式凝固させた。更に、PETタフタaの仕上密度に合わせ、ピンテンターを使用して150℃で2分間熱処理を施した。ミシン針の突き刺し強度は7.5Nであった。
【0048】
<樹脂配合>
ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製の1液型ポリウレタン、商品名:クリスボン8166):40wt部
4,4ジフェニルメタンジイソシアネート:5wt部
ジメチルホルムアミド:55wt部
【0049】
得られたベッドパッドを市販の敷布団に敷き、「圧力分散性及一体感」の評価を行った。その結果、クッション性が良好で、臥床した時のズレ感なく、縁部カバー材の表面風合いも良好なベッドパッドであった。
【0050】
[実施例10]
実施例4において、縁部カバー材を、上記PETタフタaの塩ビシートラミネート品に変更した以外は、実施例4と同様にしてベッドパッドを作製した。
なお、PETタフタaの塩ビシートラミネート品は、PETタフタaに1mm厚の塩ビシートをウレタン系接着剤にて張り合わせたものである。ミシン針の突き刺し強度は20.5Nであった。
【0051】
得られたベッドパッドを市販の敷布団に敷き、「圧力分散性及一体感」の評価を行った。その結果、クッション性が良好で、臥床した時のズレ感ないものであった。しかし、縁部カバー材の縫製時に、糸切れのため縫製にやや支障があった。
【0052】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の立体編物縫製品は、布団、ベッドパッド等の寝装寝具、座布団、肩パット、レガーズのクッション材、サポーターのクッション材、保温衣料等のライニング材、ヘルメットの内張り、人体保護パッド等、人体に接触するクッション材、 緩衝材、保型材等の用途に好適に用いることができる。さらには、自動車、鉄道車両、航空機、チャイルドシート、ベビーカー等の乗り物座席シート用のクッション材、家具、事務用等の座席シート用のクッション材にも用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏二層の編地と該二層の編地を連結する連結糸から構成された立体編物を少なくとも一部に用いた積層物を接合した縫製品であって、該立体編物が用いられている部分の1平方メートルあたりの接合個数が1以上、100以下であることを特徴とする立体編物縫製品。
【請求項2】
請求項1に記載の立体編物縫製品からなるクッション材。

【公開番号】特開2006−219785(P2006−219785A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34279(P2005−34279)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】