立体表示装置
【課題】従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数が少なく、省スペース化を図ることができるようにする。
【解決手段】表示部1に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスを備える。光源デバイスは、光源2と、導光板3とを含む。導光板3は、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bとを有する。第1の内部反射面3Aは、所定の全反射条件を満たす入射角で入射した光線を内部全反射させる全反射エリア32と、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角で入射した光線の少なくとも一部を外部に出射させる散乱エリア31とを有する。散乱エリア31と全反射エリア32とを、第2の内部反射面3Bに設けるようにしても良い。
【解決手段】表示部1に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスを備える。光源デバイスは、光源2と、導光板3とを含む。導光板3は、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bとを有する。第1の内部反射面3Aは、所定の全反射条件を満たす入射角で入射した光線を内部全反射させる全反射エリア32と、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角で入射した光線の少なくとも一部を外部に出射させる散乱エリア31とを有する。散乱エリア31と全反射エリア32とを、第2の内部反射面3Bに設けるようにしても良い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パララックスバリア(視差バリア)方式による立体視を可能にする立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特殊な眼鏡を装着する必要がなく、裸眼で立体視が可能な立体表示方式の一つとして、パララックスバリア方式の立体表示装置が知られている。図14はパララックスバリア方式による立体表示装置の一般的な構成例を示している。この立体表示装置は、2次元表示パネル102の前面に、パララックスバリア101を対向配置したものである。パララックスバリア101の一般的な構造は、2次元表示パネル102からの表示画像光を遮蔽する遮蔽部111と、表示画像光を透過するストライプ状の開口部(スリット部)112とを水平方向に交互に設けたものである。
【0003】
2次元表示パネル102には、3次元画像データに基づく画像を表示する。例えば、互いに視差情報が異なる複数の視差画像を3次元画像データとして用意し、各視差画像から、例えば垂直方向に延在する複数のストライプ状の分割画像を切り出す。そして、その分割画像を、各視差画像ごとに水平方向に交互に配列することにより1画面内にストライプ状の複数の視差画像が含まれる合成画像を生成し、その合成画像を2次元表示パネル102に表示する。パララックスバリア方式の場合、2次元表示パネル102に表示された合成画像がパララックスバリア101を介して観察される。表示する分割画像の幅やパララックスバリア101におけるスリット幅などを適切に設定することで、所定の位置、方向から観察者が立体表示装置を見た場合に、スリット部112を介して観察者の左右の眼10L,10Rに異なる視差画像の光を別々に入射させることができる。このようにして、所定の位置および方向から観察者が立体表示装置を見た場合に、立体像が知覚される。立体視を実現するためには、左眼10Lと右眼10Rとに異なる視差画像を見せる必要があるため、少なくとも右眼用画像と左眼用画像との2つの視差画像が必要となる。3つ以上の視差画像を用いた場合には、多眼視を実現できる。視差画像の数が多いほど、観察者の視点位置の変化に応じた立体視を実現することができる。すなわち、運動視差が得られる。
【0004】
図14の構成例では、2次元表示パネル102の前側にパララックスバリア101が配置されているが、例えば透過型の液晶表示パネルを用いる場合、2次元表示パネル102の後側にパララックスバリア101を配置する構成も可能である(特許文献1の図10、特許文献2の図3参照)。この場合、透過型の液晶表示パネルとバックライトとの間にパララックスバリア101を配置することで、図14の構成例と同様の原理で立体表示を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3565391号公報(図10)
【特許文献2】特開2007−187823号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パララックスバリア方式の立体表示装置では、パララックスバリアという3次元表示用の専用部品を必要とするため、部品点数と配置スペースが通常の2次元表示用の表示装置に比べて多く必要になってしまうという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数が少なく、省スペース化を図ることができる立体表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示による立体表示装置は、画像表示を行う表示部と、表示部に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスとを備え、その光源デバイスが、互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、導光板内部に向けて側面方向から照明光を照射する光源とを有し、第1の内部反射面または第2の内部反射面の少なくとも一方に、光源からの照明光を散乱させて第1の内部反射面側から導光板の外部に出射させる散乱エリアが部分的に設けられ、散乱エリアが設けられた側と同じ内部反射面に、光源からの照明光を内部全反射させる全反射エリアが設けられているものである。
【0009】
本開示による立体表示装置はまた、導光板に対して、第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、第2の内部反射面に向けて外側から照明光を照射する他の光源をさらに備えている。表示部は、3次元画像データに基づく画像と2次元画像データに基づく画像とを選択的に切り替え表示するものであり、光源は、導光板の側面に配置され、表示部に3次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御され、表示部に2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態または点灯状態に制御される。また、他の光源は、表示部に3次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態に制御され、表示部に2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御される。
【0010】
本開示による立体表示装置では、導光板の第1の内部反射面または第2の内部反射面の少なくとも一方において、光源からの照明光が全反射エリアで内部全反射される。これにより、全反射エリアに入射した照明光については、導光板内部において第1の内部反射面と第2の内部反射面との間で全反射される。その一方で、散乱エリアでは光源からの照明光が散乱され、一部またはすべての光が、第1の内部反射面側から導光板の外部に出射される。これにより、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることが可能となる。すなわち、等価的に、散乱エリアを開口部(スリット部)とし、全反射エリアを遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の立体表示装置によれば、導光板の第1の内部反射面または第2の内部反射面の少なくとも一方に全反射エリアと散乱エリアとを設けるようにしたので、等価的に、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。これにより、従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数を少なくし、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る立体表示装置の構成例を光源デバイスからの光線の出射状態と共に示した示す断面図であり、(A)は3次元表示時の光線出射状態を示し、(B)は2次元表示時の光線出射状態を示している。
【図2】(A)は図1に示した立体表示装置における導光板表面の第1の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示す説明図である。
【図3】(A)は図1に示した立体表示装置における導光板表面の第2の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示す説明図である。
【図4】(A)は図1に示した立体表示装置における導光板表面の第3の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示す説明図である。
【図5】図1に示した立体表示装置における3次元表示時と2次元表示時とにおける表示部の表面の輝度分布の実施例を示した特性図である。
【図6】本開示の第2の実施の形態に係る立体表示装置の構成例を光源デバイスからの光線の出射状態と共に示した示す断面図であり、(A)は3次元表示時の光線出射状態を示し、(B)は2次元表示時の光線出射状態を示している。
【図7】本開示の第3の実施の形態に係る立体表示装置の構成例を光源デバイスからの光線の出射状態と共に示した示す断面図であり、(A)は3次元表示時の光線出射状態を示し、(B)は2次元表示時の光線出射状態を示している。
【図8】本開示の第4の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を、第1の光源のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態と共に示す断面図である。
【図9】図8に示した立体表示装置の一構成例を、第2の光源のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態と共に示す断面図である。
【図10】図8に示した立体表示装置の一構成例を、第1の光源および第2の光源の双方をオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態と共に示す断面図である。
【図11】(A)は図8に示した立体表示装置における導光板表面の第1の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図12】(A)は図8に示した立体表示装置における導光板表面の第2の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図13】(A)は図8に示した立体表示装置における導光板表面の第3の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図14】パララックスバリア方式の立体表示装置の一般的な構成例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
[立体表示装置の全体構成]
図1(A),(B)は、本開示の第1の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を示している。この立体表示装置は、画像表示を行う表示部1と、表示部1の背面側に配置され、表示部1に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスとを備えている。光源デバイスは、光源2と、導光板3と、電子ペーパー4とを備えている。
【0015】
この立体表示装置は、全画面での2次元(2D)表示モードと、全画面での3次元(3D)表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図1(A)は3次元表示モードでの構成に対応し、図1(B)は2次元表示モードでの構成に対応している。図1(A),(B)には、各表示モードにおける光源デバイスからの光線の出射状態も模式的に図示している。
【0016】
表示部1は、透過型の2次元表示パネル、例えば透過型の液晶表示パネルを用いて構成され、例えばR(赤色)用画素、G(緑色)用画素、およびB(青色)用画素からなる画素を複数有し、それら複数の画素がマトリクス状に配置されている。表示部1は、光源デバイスからの光を画像データに応じて画素ごとに変調させることで2次元的な画像表示を行うようになっている。表示部1には、3次元画像データに基づく画像と2次元画像データに基づく画像とが任意に選択的に切り替え表示されるようになっている。なお、3次元画像データとは、例えば、3次元表示における複数の視野角方向に対応した複数の視差画像を含むデータである。例えば2眼式の3次元表示を行う場合、右眼表示用と左眼表示用の視差画像のデータである。3次元表示モードでの表示を行う場合には、図14に示した従来のパララックスバリア方式の立体表示装置と同様に、例えば、1画面内にストライプ状の複数の視差画像が含まれる合成画像を生成して表示する。
【0017】
電子ペーパー4は、導光板3に対して、第2の内部反射面3Bが形成された側に対向配置されている。電子ペーパー4は、入射した光線に対する作用を、光吸収状態と散乱反射状態との2つの状態に選択的に切り替え可能な光学デバイスとなっている。電子ペーパー4は、例えば電気泳動(Electrophoresis)方式や電子粉流体方式による粒子移動型ディスプレイで構成されている。粒子移動型ディスプレイでは、対向する一対の基板間に、例えば正に帯電した黒色粒子と例えば負に帯電した白色粒子とを分散させ、基板間に印加する電圧に応じて粒子を移動させることで、黒色表示または白色表示を行う。特に電気泳動方式では溶液中に粒子を分散させ、電子粉流体方式では気体中に粒子を分散させている。上述の光吸収状態とは、図1(A)に示したように電子ペーパー4の表示面41を全面黒表示状態にすることに相当し、散乱反射状態とは、図1(B)に示したように電子ペーパー4の表示面41を全面白色表示状態にすることに相当する。電子ペーパー4は、表示部1に3次元画像データに基づく画像を表示する場合(3次元表示モードにする場合)には、入射した光線に対する作用を光吸収状態にするようになっている。電子ペーパー4はまた、表示部1に2次元画像データに基づく画像を表示する場合(2次元表示モードにする場合)には、入射した光線に対する作用を散乱反射状態にするようになっている。
【0018】
光源2は、例えば、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の蛍光ランプや、LED(Light Emitting Diode)を用いて構成されている。光源2は、導光板3の側面に少なくとも1つ配置され、導光板3内部に向けて側面方向から照明光(光線L1)を照射するようになっている。図1では、導光板3の両側面に光源2を配置した構成例を示している。
【0019】
導光板3は、例えばアクリル樹脂等による透明なプラスチック板により構成されている。導光板3は、表示部1側に対向配置される第1の内部反射面3Aと、電子ペーパー4側に対向配置される第2の内部反射面3Bとを有している。導光板3は、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bとの間で、光源2からの光線を内部全反射により側面方向に導光するものである。
【0020】
第2の内部反射面3Bは、全面に亘って鏡面加工がなされており、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光線L1を内部全反射させるようになっている。第1の内部反射面3Aは、散乱エリア31と全反射エリア32とを有している。第1の内部反射面3Aにおいて、全反射エリア32と散乱エリア31は、パララックスバリアに相当する構造となるように、交互に例えばストライプ状に設けられている。すなわち後述するように、3次元表示モードにしたときに、散乱エリア31がパララックスバリアとしての開口部(スリット部)として機能し、全反射エリア32が遮蔽部として機能するような構造とされている。
【0021】
全反射エリア32は、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光線L1を内部全反射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1で入射した光線L1を内部全反射させる)ようになっている。散乱エリア31は、入射した光線L2のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部を外部に出射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部を外部に出射させる)ようになっている。散乱エリア31ではまた、入射した光線L2のうち、その他の一部の光線L3が内部反射するようになっている。
【0022】
なお、導光板3の屈折率をn1、導光板3の外側の媒質(空気層)の屈折率をn0(<n1)とすると臨界角αは、以下で表される。α,θ1は、導光板表面の法線に対する角度とする。全反射条件を満たす入射角θ1は、θ1>αとなる。
sinα=n0/n1
【0023】
[散乱エリア31の具体的な構成例]
図2(A)は、導光板3の表面の第1の構成例を示している。図2(B)は図2(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第1の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凹形状の散乱エリア31Aにした構成例である。このような凹形状は例えば、導光板3の表面を鏡面加工した後、散乱エリア31Aに対応する部分をレーザ加工することで形成することができる。このような凹形状の散乱エリア31Aにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、凹形状の側面部分33では全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0024】
図3(A)は、導光板3の表面の第2の構成例を示している。図3(B)は図3(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第2の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凸形状の散乱エリア31Bにした構成例である。このような凸形状は例えば、導光板3の表面を金型による成型加工することで形成することができる。この場合、金型の表面により全反射エリア32に対応する部分については鏡面加工を行う。このような凸形状の散乱エリア31Bにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、凸形状の側面部分34では全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0025】
図4(A)は、導光板3の表面の第3の構成例を示している。図4(B)は図4(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。図2(A)および図3(A)の構成例では、導光板3の表面を全反射エリア32とは異なる形状に表面加工することにより散乱エリア31を形成するようにした。これに対して図4(A)の構成例による散乱エリア31Cは、表面加工ではなく、第1の内部反射面3Aに対応する導光板3の表面に光拡散部材35を配置したものである。光拡散部材35としては、導光板3の屈折率以上の屈折率を有する部材、例えば屈折率1.57程度のPET樹脂を用いることができる。例えばPET樹脂を用いた拡散シートをアクリル系接着剤を使用して導光板3の表面に貼り付けることで、散乱エリア31Cを形成する。このような光拡散部材35を配置した散乱エリア31Cにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、光拡散部材35で屈折率が変化することにより全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0026】
上記で挙げた構成例に限らず、散乱エリア31の構成には他の構成例が考えられる。例えば、導光板3の表面において、散乱エリア31に対応する部分をサンドブラスト加工したり、または塗装するなどの方法によって形成することも可能である。
【0027】
[立体表示装置の動作]
この立体表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合(図1(A))、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、電子ペーパー4の表示面41を全面黒表示状態(光吸収状態)にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線L3が内部反射されるが、その光線L3は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して、電子ペーパー4の表示面41に入射する。ここで、電子ペーパー4の表示面41は全面黒表示状態になっているので、その光線L3は表示面41で吸収される。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aからは、散乱エリア31のみから光線が出射される。すなわち、導光板3の表面を等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0028】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合(図1(B))には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、電子ペーパー4の表示面41を全面白色表示状態(散乱反射状態)にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線L3が内部反射されるが、その光線L3は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して、電子ペーパー4の表示面41に入射する。ここで、電子ペーパー4の表示面41は全面白色表示状態になっているので、その光線L3は表示面41で散乱反射される。ここで散乱反射された光線は、第2の内部反射面3Bを介して再び導光板3に入射するが、その光線の入射角度は、全反射エリア32における全反射条件を外れた状態となり、散乱エリア31のみならず、全反射エリア32からも外部に出射される。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aの全面から光線が出射される。すなわち導光板3は、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0029】
図5は、図1に示した立体表示装置における3次元表示時と2次元表示時とにおける表示部1の表面の輝度分布の実施例を示している。3次元表示は電子ペーパー4を黒表示にした状態、2次元表示は電子ペーパー4を白色表示にした状態に対応する。なお、表示部1には全面に亘って一様な画像を表示している。図5の横軸は表示部1の画面上の水平方向の位置(mm)を示し、縦軸は規格化された輝度値(任意単位(a.u.))を示す。図5から分かるように、電子ペーパー4を白色表示にした状態では、全面に亘って一様な輝度が得られている。電子ペーパー4を黒表示にした状態では、位置に応じて輝度が変化し、パララックスバリアを配置した場合と等価な輝度分布が得られている。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態に係る光源デバイスを用いた立体表示装置によれば、導光板3の第1の内部反射面3Aに全反射エリア32と散乱エリア31とを設けるようにしたので、等価的に、導光板3自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。これにより、従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数を少なくし、省スペース化を図ることができる。また、電子ペーパー4の表示状態を切り替えるだけで、2次元表示モードと3次元表示モードとを容易に切り替えることができる。
【0031】
<第2の実施の形態>
次に、本開示の第2の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。なお、上記第1の実施の形態に係る立体表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0032】
図6(A),(B)は、本開示の第2の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を示している。この立体表示装置は、図1(A),(B)の立体表示装置と同様に、2次元表示モードと3次元表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図6(A)は3次元表示モードでの構成に対応し、図6(B)は2次元表示モードでの構成に対応している。図6(A),(B)には、各表示モードにおける光源デバイスからの光線の出射状態も模式的に図示している。
【0033】
この立体表示装置は、光源デバイスが、図1(A),(B)の立体表示装置における電子ペーパー4に代えてポリマー拡散板5を備えている。その他の構成は、図1(A),(B)の立体表示装置と同様である。ポリマー拡散板5は、ポリマー分散型液晶(polymer-dispersed liquid crystal)を用いて構成されている。ポリマー拡散板5は、導光板3に対して、第1の内部反射面3Aが形成された側に対向配置されている。ポリマー拡散板5は、液晶層に印加する電圧に応じて、入射した光線に対する作用を、透明状態と拡散透過状態との2つの状態に選択的に切り替え可能な光学デバイスである。
【0034】
この立体表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合(図6(A))、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、ポリマー拡散板5の状態を全面に亘って透明状態にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31を介して外部に出射された光線はポリマー拡散板5に入射するが、ポリマー拡散板5の状態は全面に亘って透明状態になっているので、散乱エリア31からの出射角度を保った状態で、そのままポリマー拡散板5を透過して表示部1に入射する。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線L3が内部反射されるが、その光線L3は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して外部に出射され、画像の表示に寄与することはない。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aからは、散乱エリア31のみから光線が出射される。すなわち、導光板3の表面を等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0035】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合(図6(B))には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、ポリマー拡散板5の状態を全面に亘って拡散透過状態にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。ここで、散乱エリア31を介して外部に出射された光線はポリマー拡散板5に入射するが、ポリマー拡散板5の状態は全面に亘って拡散透過状態になっているので、表示部1に入射する光線は、ポリマー拡散板5によって全面に亘って拡散された状態となる。結果として、光源デバイス全体としては、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0036】
<第3の実施の形態>
次に、本開示の第3の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。なお、上記第1または第2の実施の形態に係る立体表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0037】
図7(A),(B)は、本開示の第3の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を示している。この立体表示装置は、図1(A),(B)の立体表示装置と同様に、2次元表示モードと3次元表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図7(A)は3次元表示モードでの構成に対応し、図7(B)は2次元表示モードでの構成に対応している。図7(A),(B)には、各表示モードにおける光源デバイスからの光線の出射状態も模式的に図示している。
【0038】
この立体表示装置は、光源デバイスが、図1(A),(B)の立体表示装置における電子ペーパー4に代えて、面状光源からなるバックライト7を備えている。その他の構成は、図1(A),(B)の立体表示装置と同様である。バックライト7は、導光板3の側面に配置された光源2とは別の、他の光源であり、導光板3に対して、第2の内部反射面3Bが形成された側に対向配置されている。バックライト7は、第2の内部反射面3Bに向けて外側から照明光を照射するようになっている。バックライト7は、2次元表示モードと3次元表示モードとの切り替えに応じて、オン(点灯)・オフ(非点灯)制御されるようになっている。
【0039】
この立体表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合(図7(A))、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、バックライト7の状態を全面に亘ってオフ(非点灯)状態にする。導光板3の側面に配置された光源2は、オン(点灯)状態にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線が内部反射されるが、その光線は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して外部に出射され、画像の表示に寄与することはない。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aからは、散乱エリア31のみから光線が出射される。すなわち、導光板3の表面を等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0040】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合(図7(B))には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、バックライト7の状態を全面に亘ってオン(点灯)状態にする。導光板3の側面に配置された光源2は、例えば非点灯にする。この状態では、バックライト7からの光線が第2の内部反射面3Bを介して、ほぼ垂直に近い状態で導光板3に入射する。従って、その光線の入射角度は、全反射エリア32における全反射条件を外れた状態となり、散乱エリア31のみならず、全反射エリア32からも外部に出射される。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aの全面から光線が出射される。すなわち導光板3は、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0041】
なお、2次元表示モードでの表示を行う場合において、導光板3の側面に配置された光源2も、バックライト7と共にオン(点灯)状態に制御するようにしても良い。また、2次元表示モードでの表示を行う場合において、光源2を、必要に応じて非点灯状態と点灯状態とに切り替えるようにしても良い。これにより、例えば、バックライト7のみを点灯しただけでは、散乱エリア31と全反射エリア32とで輝度分布に差が生じるような場合、光源2の点灯状態を適宜調整する(オン・オフ制御、または点灯量の調整をする)ことで全面に亘って輝度分布を最適化することが可能である。
【0042】
<第4の実施の形態>
次に、本開示の第4の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。なお、上記第1ないし第3の実施の形態に係る立体表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0043】
[立体表示装置の全体構成]
上記上記第1ないし第3の実施の形態では、導光板3において、散乱エリア31と全反射エリア32とを第1の内部反射面3A側に設けた構成例について説明したが、第2の内部反射面3B側に設けた構成であっても良い。例えば上記第3の実施の形態の構成(図7)に対して、第2の内部反射面3B側に散乱エリア31と全反射エリア32とを設けた構成であっても良い。
【0044】
図8ないし図10は、そのような構成にした立体表示装置の一構成例を示している。この立体表示装置は、図7の立体表示装置と同様の光源制御により、2次元表示モードと3次元表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図8は、光源2のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を模式的に示しているが、これは3次元表示モードに対応している。図9は、バックライト7のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を模式的に示しているが、これは2次元表示モードに対応している。また、図10は、光源2およびバックライト7の双方をオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を模式的に示しているが、これも2次元表示モードに対応している。
【0045】
本実施の形態では、導光板3の第1の内部反射面3Aは、全面に亘って鏡面加工がなされており、導光板3内部において全反射条件を満たす入射角で入射した光線を内部全反射させると共に、全反射条件から外れた光線を外部に出射するようになっている。
【0046】
第2の内部反射面3Bは、散乱エリア31と全反射エリア32とを有している。散乱エリア31は、後述するように、導光板3の表面にレーザ加工、サンドブラスト加工、塗装加工、またはシート状の光散乱部材を貼り付けるなどすることで形成されている。第2の内部反射面3Bにおいて、散乱エリア31は3次元表示モードにしたときに、光源2からの第1の照明光(光線L1)に対してパララックスバリアとしての開口部(スリット部)として機能し、全反射エリア32は遮蔽部として機能するようになっている。第2の内部反射面3Bにおいて、散乱エリア31と全反射エリア32は、パララックスバリアに相当する構造となるようなパターンで設けられている。すなわち、全反射エリア32はパララックスバリアにおける遮蔽部に相当するパターンで設けられ、散乱エリア31はパララックスバリアにおける開口部に相当するパターンで設けられている。なお、パララックスバリアのバリアパターンとしては例えば、縦長のスリット状の開口部が遮蔽部を介して水平方向に多数、並列配置されたようなストライプ状のパターンが知られている。ただし、バリアパターンは、従来から知られている種々のタイプのものを用いることができ、特定のものには限定されない。
【0047】
第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32は、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光線を内部全反射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1で入射した光線を内部全反射させる)ようになっている。これにより、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光源2からの第1の照明光は、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32との間で、内部全反射により側面方向に導光されるようになっている。全反射エリア32はまた、図9または図10に示したように、バックライト7からの第2の照明光を透過させ、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射するようになっている。
【0048】
散乱エリア31は、図8に示したように、光源2からの第1の照明光(光線L1)を散乱反射させ、第1の照明光の少なくとも一部の光(散乱光L20)を第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射するようになっている。
【0049】
[散乱エリア31の具体的な構成例]
図11(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第1の構成例を示している。図11(B)は図11(A)に示した第1の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第1の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凹形状の散乱エリア31Aにした構成例である。このような凹形状の散乱エリア31Aは例えば、サンドブラスト加工やレーザ加工により形成することができる。例えば、導光板3の表面を鏡面加工した後、散乱エリア31Aに対応する部分をレーザ加工することで形成することができる。この第1の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、凹形状の散乱エリア31Aでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12の光線の一部が凹形状の側面部分33では全反射条件を満たさなくなり、一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線(散乱光L20)の一部またはすべてが、図8に示したように、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0050】
図12(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第2の構成例を示している。図12(B)は図12(A)に示した第2の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第2の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凸形状の散乱エリア31Bにした構成例である。このような凸形状の散乱エリア31Bは例えば、導光板3の表面を金型による成型加工することで形成することができる。この場合、金型の表面により全反射エリア32に対応する部分については鏡面加工を行う。この第2の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、凸形状の散乱エリア31Bでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12の光線の一部が凸形状の側面部分34では全反射条件を満たさなくなり、一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線(散乱光L20)の一部またはすべてが、図8に示したように、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0051】
図13(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第3の構成例を示している。図13(B)は図13(A)に示した第3の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。図11(A)および図12(A)の構成例では、導光板3の表面を全反射エリア32とは異なる形状に表面加工することにより散乱エリア31を形成するようにした。これに対して図13(A)の構成例による散乱エリア31Cは、表面加工ではなく、第2の内部反射面3Bに対応する導光板3の表面に、導光板3の材料とは異なる材料による光散乱部材35を配置したものである。この場合、光散乱部材35として例えば白色塗料(例えば硫酸バリウム)をスクリーン印刷で導光板3の表面にパターニングすることで散乱エリア31Cを形成することができる。この第3の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、光散乱部材35を配置した散乱エリア31Cでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12が光散乱部材35によって一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線の一部またはすべてが、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0052】
[立体表示装置の動作]
この立体表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、光源2とバックライト7とを3次元表示用にオン(点灯)・オフ(非点灯)制御する。具体的には、図8に示したように、光源2をオン(点灯)状態にすると共に、バックライト7をオフ(非点灯)状態に制御する。この状態では、光源2からの第1の照明光(光線L1)は、導光板3において第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bの全反射エリア32との間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、光源2による第1の照明光の一部が、導光板3の散乱エリア31で散乱反射されることで、導光板3の第1の内部反射面3Aを透過し、導光板3の外部に出射される。これにより、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることが可能となる。すなわち、光源2による第1の照明光に対しては、等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0053】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、光源2とバックライト7とを2次元表示用にオン(点灯)・オフ(非点灯)制御する。具体的には、例えば図9に示したように、光源2をオフ(非点灯)状態にすると共に、バックライト7をオン(点灯)状態に制御する。この場合、バックライト7による第2の照明光が、第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32を透過することで、第1の内部反射面3Aのほぼ全面から、全反射条件を外れた光線となって導光板3の外部に出射される。すなわち導光板3は、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0054】
なお、バックライト7のみを点灯させたとしても導光板3のほぼ全面から、第2の照明光が出射されるが、必要に応じて、図10のように光源2を点灯するようにしても良い。これにより、例えば、バックライト7のみを点灯しただけでは、散乱エリア31と全反射エリア32とに対応する部分で輝度分布に差が生じるような場合、光源2の点灯状態を適宜調整する(オン・オフ制御、または点灯量の調整をする)ことで全面に亘って輝度分布を最適化することが可能である。ただし、2次元表示を行う場合において、例えば表示部1側で十分に輝度の補正を行える場合には、バックライト7のみの点灯で構わない。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態に係る光源デバイスを用いた立体表示装置によれば、導光板3の第2の内部反射面3Bに散乱エリア31と全反射エリア32とを設け、光源2による第1の照明光と、バックライト7による第2の照明光とを選択的に導光板3の外部に出射可能にしたので、等価的に、導光板3自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。
【0056】
<その他の実施の形態>
本開示は、上記各実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。
例えば、上記各実施の形態では、導光板3において、散乱エリア31と全反射エリア32とを第1の内部反射面3Aまたは第2の内部反射面3Bのいずれか一方にのみ設けた構成例を挙げたが、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bとの双方に散乱エリア31と全反射エリア32とが設けられた構成であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1…表示部、2…光源、3…導光板、3A…第1の内部反射面、3B…第2の内部反射面、4…電子ペーパー、5…ポリマー拡散板、7…バックライト、31,31A,31B,31C…散乱エリア、32…全反射エリア、33…凹形状の側面部分、34…凸形状の側面部分、35…拡散部材、41…電子ペーパーの表示面、L1,L2,L3…光線、L111,L12…照明光、L20…散乱光線、θ1…入射角。
【技術分野】
【0001】
本開示は、パララックスバリア(視差バリア)方式による立体視を可能にする立体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特殊な眼鏡を装着する必要がなく、裸眼で立体視が可能な立体表示方式の一つとして、パララックスバリア方式の立体表示装置が知られている。図14はパララックスバリア方式による立体表示装置の一般的な構成例を示している。この立体表示装置は、2次元表示パネル102の前面に、パララックスバリア101を対向配置したものである。パララックスバリア101の一般的な構造は、2次元表示パネル102からの表示画像光を遮蔽する遮蔽部111と、表示画像光を透過するストライプ状の開口部(スリット部)112とを水平方向に交互に設けたものである。
【0003】
2次元表示パネル102には、3次元画像データに基づく画像を表示する。例えば、互いに視差情報が異なる複数の視差画像を3次元画像データとして用意し、各視差画像から、例えば垂直方向に延在する複数のストライプ状の分割画像を切り出す。そして、その分割画像を、各視差画像ごとに水平方向に交互に配列することにより1画面内にストライプ状の複数の視差画像が含まれる合成画像を生成し、その合成画像を2次元表示パネル102に表示する。パララックスバリア方式の場合、2次元表示パネル102に表示された合成画像がパララックスバリア101を介して観察される。表示する分割画像の幅やパララックスバリア101におけるスリット幅などを適切に設定することで、所定の位置、方向から観察者が立体表示装置を見た場合に、スリット部112を介して観察者の左右の眼10L,10Rに異なる視差画像の光を別々に入射させることができる。このようにして、所定の位置および方向から観察者が立体表示装置を見た場合に、立体像が知覚される。立体視を実現するためには、左眼10Lと右眼10Rとに異なる視差画像を見せる必要があるため、少なくとも右眼用画像と左眼用画像との2つの視差画像が必要となる。3つ以上の視差画像を用いた場合には、多眼視を実現できる。視差画像の数が多いほど、観察者の視点位置の変化に応じた立体視を実現することができる。すなわち、運動視差が得られる。
【0004】
図14の構成例では、2次元表示パネル102の前側にパララックスバリア101が配置されているが、例えば透過型の液晶表示パネルを用いる場合、2次元表示パネル102の後側にパララックスバリア101を配置する構成も可能である(特許文献1の図10、特許文献2の図3参照)。この場合、透過型の液晶表示パネルとバックライトとの間にパララックスバリア101を配置することで、図14の構成例と同様の原理で立体表示を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3565391号公報(図10)
【特許文献2】特開2007−187823号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、パララックスバリア方式の立体表示装置では、パララックスバリアという3次元表示用の専用部品を必要とするため、部品点数と配置スペースが通常の2次元表示用の表示装置に比べて多く必要になってしまうという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数が少なく、省スペース化を図ることができる立体表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示による立体表示装置は、画像表示を行う表示部と、表示部に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスとを備え、その光源デバイスが、互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、導光板内部に向けて側面方向から照明光を照射する光源とを有し、第1の内部反射面または第2の内部反射面の少なくとも一方に、光源からの照明光を散乱させて第1の内部反射面側から導光板の外部に出射させる散乱エリアが部分的に設けられ、散乱エリアが設けられた側と同じ内部反射面に、光源からの照明光を内部全反射させる全反射エリアが設けられているものである。
【0009】
本開示による立体表示装置はまた、導光板に対して、第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、第2の内部反射面に向けて外側から照明光を照射する他の光源をさらに備えている。表示部は、3次元画像データに基づく画像と2次元画像データに基づく画像とを選択的に切り替え表示するものであり、光源は、導光板の側面に配置され、表示部に3次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御され、表示部に2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態または点灯状態に制御される。また、他の光源は、表示部に3次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態に制御され、表示部に2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御される。
【0010】
本開示による立体表示装置では、導光板の第1の内部反射面または第2の内部反射面の少なくとも一方において、光源からの照明光が全反射エリアで内部全反射される。これにより、全反射エリアに入射した照明光については、導光板内部において第1の内部反射面と第2の内部反射面との間で全反射される。その一方で、散乱エリアでは光源からの照明光が散乱され、一部またはすべての光が、第1の内部反射面側から導光板の外部に出射される。これにより、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることが可能となる。すなわち、等価的に、散乱エリアを開口部(スリット部)とし、全反射エリアを遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の立体表示装置によれば、導光板の第1の内部反射面または第2の内部反射面の少なくとも一方に全反射エリアと散乱エリアとを設けるようにしたので、等価的に、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。これにより、従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数を少なくし、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る立体表示装置の構成例を光源デバイスからの光線の出射状態と共に示した示す断面図であり、(A)は3次元表示時の光線出射状態を示し、(B)は2次元表示時の光線出射状態を示している。
【図2】(A)は図1に示した立体表示装置における導光板表面の第1の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示す説明図である。
【図3】(A)は図1に示した立体表示装置における導光板表面の第2の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示す説明図である。
【図4】(A)は図1に示した立体表示装置における導光板表面の第3の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示す説明図である。
【図5】図1に示した立体表示装置における3次元表示時と2次元表示時とにおける表示部の表面の輝度分布の実施例を示した特性図である。
【図6】本開示の第2の実施の形態に係る立体表示装置の構成例を光源デバイスからの光線の出射状態と共に示した示す断面図であり、(A)は3次元表示時の光線出射状態を示し、(B)は2次元表示時の光線出射状態を示している。
【図7】本開示の第3の実施の形態に係る立体表示装置の構成例を光源デバイスからの光線の出射状態と共に示した示す断面図であり、(A)は3次元表示時の光線出射状態を示し、(B)は2次元表示時の光線出射状態を示している。
【図8】本開示の第4の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を、第1の光源のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態と共に示す断面図である。
【図9】図8に示した立体表示装置の一構成例を、第2の光源のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態と共に示す断面図である。
【図10】図8に示した立体表示装置の一構成例を、第1の光源および第2の光源の双方をオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態と共に示す断面図である。
【図11】(A)は図8に示した立体表示装置における導光板表面の第1の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図12】(A)は図8に示した立体表示装置における導光板表面の第2の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図13】(A)は図8に示した立体表示装置における導光板表面の第3の構成例を示す断面図であり、(B)は(A)に示した導光板表面での光線の散乱反射状態を模式的に示す説明図である。
【図14】パララックスバリア方式の立体表示装置の一般的な構成例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
[立体表示装置の全体構成]
図1(A),(B)は、本開示の第1の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を示している。この立体表示装置は、画像表示を行う表示部1と、表示部1の背面側に配置され、表示部1に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスとを備えている。光源デバイスは、光源2と、導光板3と、電子ペーパー4とを備えている。
【0015】
この立体表示装置は、全画面での2次元(2D)表示モードと、全画面での3次元(3D)表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図1(A)は3次元表示モードでの構成に対応し、図1(B)は2次元表示モードでの構成に対応している。図1(A),(B)には、各表示モードにおける光源デバイスからの光線の出射状態も模式的に図示している。
【0016】
表示部1は、透過型の2次元表示パネル、例えば透過型の液晶表示パネルを用いて構成され、例えばR(赤色)用画素、G(緑色)用画素、およびB(青色)用画素からなる画素を複数有し、それら複数の画素がマトリクス状に配置されている。表示部1は、光源デバイスからの光を画像データに応じて画素ごとに変調させることで2次元的な画像表示を行うようになっている。表示部1には、3次元画像データに基づく画像と2次元画像データに基づく画像とが任意に選択的に切り替え表示されるようになっている。なお、3次元画像データとは、例えば、3次元表示における複数の視野角方向に対応した複数の視差画像を含むデータである。例えば2眼式の3次元表示を行う場合、右眼表示用と左眼表示用の視差画像のデータである。3次元表示モードでの表示を行う場合には、図14に示した従来のパララックスバリア方式の立体表示装置と同様に、例えば、1画面内にストライプ状の複数の視差画像が含まれる合成画像を生成して表示する。
【0017】
電子ペーパー4は、導光板3に対して、第2の内部反射面3Bが形成された側に対向配置されている。電子ペーパー4は、入射した光線に対する作用を、光吸収状態と散乱反射状態との2つの状態に選択的に切り替え可能な光学デバイスとなっている。電子ペーパー4は、例えば電気泳動(Electrophoresis)方式や電子粉流体方式による粒子移動型ディスプレイで構成されている。粒子移動型ディスプレイでは、対向する一対の基板間に、例えば正に帯電した黒色粒子と例えば負に帯電した白色粒子とを分散させ、基板間に印加する電圧に応じて粒子を移動させることで、黒色表示または白色表示を行う。特に電気泳動方式では溶液中に粒子を分散させ、電子粉流体方式では気体中に粒子を分散させている。上述の光吸収状態とは、図1(A)に示したように電子ペーパー4の表示面41を全面黒表示状態にすることに相当し、散乱反射状態とは、図1(B)に示したように電子ペーパー4の表示面41を全面白色表示状態にすることに相当する。電子ペーパー4は、表示部1に3次元画像データに基づく画像を表示する場合(3次元表示モードにする場合)には、入射した光線に対する作用を光吸収状態にするようになっている。電子ペーパー4はまた、表示部1に2次元画像データに基づく画像を表示する場合(2次元表示モードにする場合)には、入射した光線に対する作用を散乱反射状態にするようになっている。
【0018】
光源2は、例えば、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の蛍光ランプや、LED(Light Emitting Diode)を用いて構成されている。光源2は、導光板3の側面に少なくとも1つ配置され、導光板3内部に向けて側面方向から照明光(光線L1)を照射するようになっている。図1では、導光板3の両側面に光源2を配置した構成例を示している。
【0019】
導光板3は、例えばアクリル樹脂等による透明なプラスチック板により構成されている。導光板3は、表示部1側に対向配置される第1の内部反射面3Aと、電子ペーパー4側に対向配置される第2の内部反射面3Bとを有している。導光板3は、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bとの間で、光源2からの光線を内部全反射により側面方向に導光するものである。
【0020】
第2の内部反射面3Bは、全面に亘って鏡面加工がなされており、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光線L1を内部全反射させるようになっている。第1の内部反射面3Aは、散乱エリア31と全反射エリア32とを有している。第1の内部反射面3Aにおいて、全反射エリア32と散乱エリア31は、パララックスバリアに相当する構造となるように、交互に例えばストライプ状に設けられている。すなわち後述するように、3次元表示モードにしたときに、散乱エリア31がパララックスバリアとしての開口部(スリット部)として機能し、全反射エリア32が遮蔽部として機能するような構造とされている。
【0021】
全反射エリア32は、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光線L1を内部全反射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1で入射した光線L1を内部全反射させる)ようになっている。散乱エリア31は、入射した光線L2のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部を外部に出射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部を外部に出射させる)ようになっている。散乱エリア31ではまた、入射した光線L2のうち、その他の一部の光線L3が内部反射するようになっている。
【0022】
なお、導光板3の屈折率をn1、導光板3の外側の媒質(空気層)の屈折率をn0(<n1)とすると臨界角αは、以下で表される。α,θ1は、導光板表面の法線に対する角度とする。全反射条件を満たす入射角θ1は、θ1>αとなる。
sinα=n0/n1
【0023】
[散乱エリア31の具体的な構成例]
図2(A)は、導光板3の表面の第1の構成例を示している。図2(B)は図2(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第1の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凹形状の散乱エリア31Aにした構成例である。このような凹形状は例えば、導光板3の表面を鏡面加工した後、散乱エリア31Aに対応する部分をレーザ加工することで形成することができる。このような凹形状の散乱エリア31Aにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、凹形状の側面部分33では全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0024】
図3(A)は、導光板3の表面の第2の構成例を示している。図3(B)は図3(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第2の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凸形状の散乱エリア31Bにした構成例である。このような凸形状は例えば、導光板3の表面を金型による成型加工することで形成することができる。この場合、金型の表面により全反射エリア32に対応する部分については鏡面加工を行う。このような凸形状の散乱エリア31Bにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、凸形状の側面部分34では全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0025】
図4(A)は、導光板3の表面の第3の構成例を示している。図4(B)は図4(A)に示した導光板3の表面での光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。図2(A)および図3(A)の構成例では、導光板3の表面を全反射エリア32とは異なる形状に表面加工することにより散乱エリア31を形成するようにした。これに対して図4(A)の構成例による散乱エリア31Cは、表面加工ではなく、第1の内部反射面3Aに対応する導光板3の表面に光拡散部材35を配置したものである。光拡散部材35としては、導光板3の屈折率以上の屈折率を有する部材、例えば屈折率1.57程度のPET樹脂を用いることができる。例えばPET樹脂を用いた拡散シートをアクリル系接着剤を使用して導光板3の表面に貼り付けることで、散乱エリア31Cを形成する。このような光拡散部材35を配置した散乱エリア31Cにした場合には、入射した光線のうち、全反射エリア32における所定の全反射条件を満たす入射角θ1に対応する角度で入射した光線の少なくとも一部が、光拡散部材35で屈折率が変化することにより全反射条件を満たさなくなり、外部に出射される。
【0026】
上記で挙げた構成例に限らず、散乱エリア31の構成には他の構成例が考えられる。例えば、導光板3の表面において、散乱エリア31に対応する部分をサンドブラスト加工したり、または塗装するなどの方法によって形成することも可能である。
【0027】
[立体表示装置の動作]
この立体表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合(図1(A))、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、電子ペーパー4の表示面41を全面黒表示状態(光吸収状態)にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線L3が内部反射されるが、その光線L3は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して、電子ペーパー4の表示面41に入射する。ここで、電子ペーパー4の表示面41は全面黒表示状態になっているので、その光線L3は表示面41で吸収される。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aからは、散乱エリア31のみから光線が出射される。すなわち、導光板3の表面を等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0028】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合(図1(B))には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、電子ペーパー4の表示面41を全面白色表示状態(散乱反射状態)にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線L3が内部反射されるが、その光線L3は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して、電子ペーパー4の表示面41に入射する。ここで、電子ペーパー4の表示面41は全面白色表示状態になっているので、その光線L3は表示面41で散乱反射される。ここで散乱反射された光線は、第2の内部反射面3Bを介して再び導光板3に入射するが、その光線の入射角度は、全反射エリア32における全反射条件を外れた状態となり、散乱エリア31のみならず、全反射エリア32からも外部に出射される。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aの全面から光線が出射される。すなわち導光板3は、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0029】
図5は、図1に示した立体表示装置における3次元表示時と2次元表示時とにおける表示部1の表面の輝度分布の実施例を示している。3次元表示は電子ペーパー4を黒表示にした状態、2次元表示は電子ペーパー4を白色表示にした状態に対応する。なお、表示部1には全面に亘って一様な画像を表示している。図5の横軸は表示部1の画面上の水平方向の位置(mm)を示し、縦軸は規格化された輝度値(任意単位(a.u.))を示す。図5から分かるように、電子ペーパー4を白色表示にした状態では、全面に亘って一様な輝度が得られている。電子ペーパー4を黒表示にした状態では、位置に応じて輝度が変化し、パララックスバリアを配置した場合と等価な輝度分布が得られている。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態に係る光源デバイスを用いた立体表示装置によれば、導光板3の第1の内部反射面3Aに全反射エリア32と散乱エリア31とを設けるようにしたので、等価的に、導光板3自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。これにより、従来のパララックスバリア方式の立体表示装置に比べて部品点数を少なくし、省スペース化を図ることができる。また、電子ペーパー4の表示状態を切り替えるだけで、2次元表示モードと3次元表示モードとを容易に切り替えることができる。
【0031】
<第2の実施の形態>
次に、本開示の第2の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。なお、上記第1の実施の形態に係る立体表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0032】
図6(A),(B)は、本開示の第2の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を示している。この立体表示装置は、図1(A),(B)の立体表示装置と同様に、2次元表示モードと3次元表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図6(A)は3次元表示モードでの構成に対応し、図6(B)は2次元表示モードでの構成に対応している。図6(A),(B)には、各表示モードにおける光源デバイスからの光線の出射状態も模式的に図示している。
【0033】
この立体表示装置は、光源デバイスが、図1(A),(B)の立体表示装置における電子ペーパー4に代えてポリマー拡散板5を備えている。その他の構成は、図1(A),(B)の立体表示装置と同様である。ポリマー拡散板5は、ポリマー分散型液晶(polymer-dispersed liquid crystal)を用いて構成されている。ポリマー拡散板5は、導光板3に対して、第1の内部反射面3Aが形成された側に対向配置されている。ポリマー拡散板5は、液晶層に印加する電圧に応じて、入射した光線に対する作用を、透明状態と拡散透過状態との2つの状態に選択的に切り替え可能な光学デバイスである。
【0034】
この立体表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合(図6(A))、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、ポリマー拡散板5の状態を全面に亘って透明状態にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31を介して外部に出射された光線はポリマー拡散板5に入射するが、ポリマー拡散板5の状態は全面に亘って透明状態になっているので、散乱エリア31からの出射角度を保った状態で、そのままポリマー拡散板5を透過して表示部1に入射する。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線L3が内部反射されるが、その光線L3は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して外部に出射され、画像の表示に寄与することはない。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aからは、散乱エリア31のみから光線が出射される。すなわち、導光板3の表面を等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0035】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合(図6(B))には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、ポリマー拡散板5の状態を全面に亘って拡散透過状態にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。ここで、散乱エリア31を介して外部に出射された光線はポリマー拡散板5に入射するが、ポリマー拡散板5の状態は全面に亘って拡散透過状態になっているので、表示部1に入射する光線は、ポリマー拡散板5によって全面に亘って拡散された状態となる。結果として、光源デバイス全体としては、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0036】
<第3の実施の形態>
次に、本開示の第3の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。なお、上記第1または第2の実施の形態に係る立体表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0037】
図7(A),(B)は、本開示の第3の実施の形態に係る立体表示装置の一構成例を示している。この立体表示装置は、図1(A),(B)の立体表示装置と同様に、2次元表示モードと3次元表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図7(A)は3次元表示モードでの構成に対応し、図7(B)は2次元表示モードでの構成に対応している。図7(A),(B)には、各表示モードにおける光源デバイスからの光線の出射状態も模式的に図示している。
【0038】
この立体表示装置は、光源デバイスが、図1(A),(B)の立体表示装置における電子ペーパー4に代えて、面状光源からなるバックライト7を備えている。その他の構成は、図1(A),(B)の立体表示装置と同様である。バックライト7は、導光板3の側面に配置された光源2とは別の、他の光源であり、導光板3に対して、第2の内部反射面3Bが形成された側に対向配置されている。バックライト7は、第2の内部反射面3Bに向けて外側から照明光を照射するようになっている。バックライト7は、2次元表示モードと3次元表示モードとの切り替えに応じて、オン(点灯)・オフ(非点灯)制御されるようになっている。
【0039】
この立体表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合(図7(A))、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、バックライト7の状態を全面に亘ってオフ(非点灯)状態にする。導光板3の側面に配置された光源2は、オン(点灯)状態にする。この状態では、光源2からの光線は、導光板3において第1の内部反射面3Aの全反射エリア32と第2の内部反射面3Bとの間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、導光板3において第1の内部反射面3Aの散乱エリア31に入射した光線L2のうち、全反射条件を外れた一部の光線が散乱エリア31から外部に出射される。散乱エリア31ではまた、その他の一部の光線が内部反射されるが、その光線は、導光板3の第2の内部反射面3Bを介して外部に出射され、画像の表示に寄与することはない。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aからは、散乱エリア31のみから光線が出射される。すなわち、導光板3の表面を等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0040】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合(図7(B))には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、バックライト7の状態を全面に亘ってオン(点灯)状態にする。導光板3の側面に配置された光源2は、例えば非点灯にする。この状態では、バックライト7からの光線が第2の内部反射面3Bを介して、ほぼ垂直に近い状態で導光板3に入射する。従って、その光線の入射角度は、全反射エリア32における全反射条件を外れた状態となり、散乱エリア31のみならず、全反射エリア32からも外部に出射される。結果として、導光板3において第1の内部反射面3Aの全面から光線が出射される。すなわち導光板3は、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0041】
なお、2次元表示モードでの表示を行う場合において、導光板3の側面に配置された光源2も、バックライト7と共にオン(点灯)状態に制御するようにしても良い。また、2次元表示モードでの表示を行う場合において、光源2を、必要に応じて非点灯状態と点灯状態とに切り替えるようにしても良い。これにより、例えば、バックライト7のみを点灯しただけでは、散乱エリア31と全反射エリア32とで輝度分布に差が生じるような場合、光源2の点灯状態を適宜調整する(オン・オフ制御、または点灯量の調整をする)ことで全面に亘って輝度分布を最適化することが可能である。
【0042】
<第4の実施の形態>
次に、本開示の第4の実施の形態に係る立体表示装置について説明する。なお、上記第1ないし第3の実施の形態に係る立体表示装置と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0043】
[立体表示装置の全体構成]
上記上記第1ないし第3の実施の形態では、導光板3において、散乱エリア31と全反射エリア32とを第1の内部反射面3A側に設けた構成例について説明したが、第2の内部反射面3B側に設けた構成であっても良い。例えば上記第3の実施の形態の構成(図7)に対して、第2の内部反射面3B側に散乱エリア31と全反射エリア32とを設けた構成であっても良い。
【0044】
図8ないし図10は、そのような構成にした立体表示装置の一構成例を示している。この立体表示装置は、図7の立体表示装置と同様の光源制御により、2次元表示モードと3次元表示モードとを任意に選択的に切り替えることが可能とされている。図8は、光源2のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を模式的に示しているが、これは3次元表示モードに対応している。図9は、バックライト7のみをオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を模式的に示しているが、これは2次元表示モードに対応している。また、図10は、光源2およびバックライト7の双方をオン(点灯)状態にした場合における光源デバイスからの光線の出射状態を模式的に示しているが、これも2次元表示モードに対応している。
【0045】
本実施の形態では、導光板3の第1の内部反射面3Aは、全面に亘って鏡面加工がなされており、導光板3内部において全反射条件を満たす入射角で入射した光線を内部全反射させると共に、全反射条件から外れた光線を外部に出射するようになっている。
【0046】
第2の内部反射面3Bは、散乱エリア31と全反射エリア32とを有している。散乱エリア31は、後述するように、導光板3の表面にレーザ加工、サンドブラスト加工、塗装加工、またはシート状の光散乱部材を貼り付けるなどすることで形成されている。第2の内部反射面3Bにおいて、散乱エリア31は3次元表示モードにしたときに、光源2からの第1の照明光(光線L1)に対してパララックスバリアとしての開口部(スリット部)として機能し、全反射エリア32は遮蔽部として機能するようになっている。第2の内部反射面3Bにおいて、散乱エリア31と全反射エリア32は、パララックスバリアに相当する構造となるようなパターンで設けられている。すなわち、全反射エリア32はパララックスバリアにおける遮蔽部に相当するパターンで設けられ、散乱エリア31はパララックスバリアにおける開口部に相当するパターンで設けられている。なお、パララックスバリアのバリアパターンとしては例えば、縦長のスリット状の開口部が遮蔽部を介して水平方向に多数、並列配置されたようなストライプ状のパターンが知られている。ただし、バリアパターンは、従来から知られている種々のタイプのものを用いることができ、特定のものには限定されない。
【0047】
第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32は、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光線を内部全反射させる(所定の臨界角αよりも大きい入射角θ1で入射した光線を内部全反射させる)ようになっている。これにより、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光源2からの第1の照明光は、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32との間で、内部全反射により側面方向に導光されるようになっている。全反射エリア32はまた、図9または図10に示したように、バックライト7からの第2の照明光を透過させ、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射するようになっている。
【0048】
散乱エリア31は、図8に示したように、光源2からの第1の照明光(光線L1)を散乱反射させ、第1の照明光の少なくとも一部の光(散乱光L20)を第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射するようになっている。
【0049】
[散乱エリア31の具体的な構成例]
図11(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第1の構成例を示している。図11(B)は図11(A)に示した第1の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第1の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凹形状の散乱エリア31Aにした構成例である。このような凹形状の散乱エリア31Aは例えば、サンドブラスト加工やレーザ加工により形成することができる。例えば、導光板3の表面を鏡面加工した後、散乱エリア31Aに対応する部分をレーザ加工することで形成することができる。この第1の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、凹形状の散乱エリア31Aでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12の光線の一部が凹形状の側面部分33では全反射条件を満たさなくなり、一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線(散乱光L20)の一部またはすべてが、図8に示したように、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0050】
図12(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第2の構成例を示している。図12(B)は図12(A)に示した第2の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。この第2の構成例は、散乱エリア31を、全反射エリア32に対して凸形状の散乱エリア31Bにした構成例である。このような凸形状の散乱エリア31Bは例えば、導光板3の表面を金型による成型加工することで形成することができる。この場合、金型の表面により全反射エリア32に対応する部分については鏡面加工を行う。この第2の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、凸形状の散乱エリア31Bでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12の光線の一部が凸形状の側面部分34では全反射条件を満たさなくなり、一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線(散乱光L20)の一部またはすべてが、図8に示したように、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0051】
図13(A)は、導光板3における第2の内部反射面3Bの第3の構成例を示している。図13(B)は図13(A)に示した第3の構成例における第2の内部反射面3Bでの光線の反射状態および散乱状態を模式的に示している。図11(A)および図12(A)の構成例では、導光板3の表面を全反射エリア32とは異なる形状に表面加工することにより散乱エリア31を形成するようにした。これに対して図13(A)の構成例による散乱エリア31Cは、表面加工ではなく、第2の内部反射面3Bに対応する導光板3の表面に、導光板3の材料とは異なる材料による光散乱部材35を配置したものである。この場合、光散乱部材35として例えば白色塗料(例えば硫酸バリウム)をスクリーン印刷で導光板3の表面にパターニングすることで散乱エリア31Cを形成することができる。この第3の構成例の場合、第2の内部反射面3Bにおいて、全反射条件を満たす入射角θ1で入射した光源2からの第1の照明光L11は、全反射エリア32で内部全反射される。一方、光散乱部材35を配置した散乱エリア31Cでは、全反射エリア32と同じ入射角θ1で入射したとしても、入射した第1の照明光L12が光散乱部材35によって一部が散乱透過し、その他は散乱反射する。この散乱反射した光線の一部またはすべてが、第1の内部反射面3Aに向けて全反射条件を外れた光線として出射される。
【0052】
[立体表示装置の動作]
この立体表示装置において、3次元表示モードでの表示を行う場合、表示部1には3次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、光源2とバックライト7とを3次元表示用にオン(点灯)・オフ(非点灯)制御する。具体的には、図8に示したように、光源2をオン(点灯)状態にすると共に、バックライト7をオフ(非点灯)状態に制御する。この状態では、光源2からの第1の照明光(光線L1)は、導光板3において第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bの全反射エリア32との間で、繰り返し内部全反射されることにより、光源2が配置された側の一方の側面から、対向する他方の側面へと導光され、他方の側面から出射される。その一方で、光源2による第1の照明光の一部が、導光板3の散乱エリア31で散乱反射されることで、導光板3の第1の内部反射面3Aを透過し、導光板3の外部に出射される。これにより、導光板自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることが可能となる。すなわち、光源2による第1の照明光に対しては、等価的に、散乱エリア31を開口部(スリット部)とし、全反射エリア32を遮蔽部とするようなパララックスバリアとして機能させることができる。これにより、等価的に、表示部1の背面側にパララックスバリアを配置したパララックスバリア方式による3次元表示が行われる。
【0053】
一方、2次元表示モードでの表示を行う場合には、表示部1には2次元画像データに基づく画像表示を行うと共に、光源2とバックライト7とを2次元表示用にオン(点灯)・オフ(非点灯)制御する。具体的には、例えば図9に示したように、光源2をオフ(非点灯)状態にすると共に、バックライト7をオン(点灯)状態に制御する。この場合、バックライト7による第2の照明光が、第2の内部反射面3Bにおける全反射エリア32を透過することで、第1の内部反射面3Aのほぼ全面から、全反射条件を外れた光線となって導光板3の外部に出射される。すなわち導光板3は、通常のバックライトと同様の面状光源として機能する。これにより、等価的に、表示部1の背面側に通常のバックライトを配置したバックライト方式による2次元表示が行われる。
【0054】
なお、バックライト7のみを点灯させたとしても導光板3のほぼ全面から、第2の照明光が出射されるが、必要に応じて、図10のように光源2を点灯するようにしても良い。これにより、例えば、バックライト7のみを点灯しただけでは、散乱エリア31と全反射エリア32とに対応する部分で輝度分布に差が生じるような場合、光源2の点灯状態を適宜調整する(オン・オフ制御、または点灯量の調整をする)ことで全面に亘って輝度分布を最適化することが可能である。ただし、2次元表示を行う場合において、例えば表示部1側で十分に輝度の補正を行える場合には、バックライト7のみの点灯で構わない。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態に係る光源デバイスを用いた立体表示装置によれば、導光板3の第2の内部反射面3Bに散乱エリア31と全反射エリア32とを設け、光源2による第1の照明光と、バックライト7による第2の照明光とを選択的に導光板3の外部に出射可能にしたので、等価的に、導光板3自体にパララックスバリアとしての機能を持たせることができる。
【0056】
<その他の実施の形態>
本開示は、上記各実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。
例えば、上記各実施の形態では、導光板3において、散乱エリア31と全反射エリア32とを第1の内部反射面3Aまたは第2の内部反射面3Bのいずれか一方にのみ設けた構成例を挙げたが、第1の内部反射面3Aと第2の内部反射面3Bとの双方に散乱エリア31と全反射エリア32とが設けられた構成であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
1…表示部、2…光源、3…導光板、3A…第1の内部反射面、3B…第2の内部反射面、4…電子ペーパー、5…ポリマー拡散板、7…バックライト、31,31A,31B,31C…散乱エリア、32…全反射エリア、33…凹形状の側面部分、34…凸形状の側面部分、35…拡散部材、41…電子ペーパーの表示面、L1,L2,L3…光線、L111,L12…照明光、L20…散乱光線、θ1…入射角。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示を行う表示部と、
前記表示部に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスと
を備え、
前記光源デバイスは、
互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、
前記導光板内部に向けて側面方向から照明光を照射する光源と
を有し、
前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面の少なくとも一方に、前記光源からの照明光を散乱させて前記第1の内部反射面側から前記導光板の外部に出射させる散乱エリアが部分的に設けられ、
前記散乱エリアが設けられた側と同じ内部反射面に、前記光源からの照明光を内部全反射させる全反射エリアが設けられ、
前記導光板に対して、前記第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、前記第2の内部反射面に向けて外側から照明光を照射する他の光源をさらに備え、
前記表示部は、3次元画像データに基づく画像と2次元画像データに基づく画像とを選択的に切り替え表示するものであり、
前記光源は、前記導光板の側面に配置され、前記表示部に3次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御され、前記表示部に2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態または点灯状態に制御される
立体表示装置。
【請求項2】
前記他の光源は、前記表示部に3次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態に制御され、前記表示部に2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御される
請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面の少なくとも一方において、前記全反射エリアと前記散乱エリアとが交互に設けられている
請求項1または2に記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記散乱エリアは、前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面に対応する前記導光板の表面を、前記全反射エリアとは異なる形状に表面加工することにより形成されたものである
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記散乱エリアは、前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面に対応する前記導光板の表面に、前記導光板の屈折率以上の屈折率を有する光拡散部材を配置することにより形成されたものである
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の立体表示装置。
【請求項1】
画像表示を行う表示部と、
前記表示部に向けて画像表示用の光を出射する光源デバイスと
を備え、
前記光源デバイスは、
互いに対向する第1の内部反射面と第2の内部反射面とを有する導光板と、
前記導光板内部に向けて側面方向から照明光を照射する光源と
を有し、
前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面の少なくとも一方に、前記光源からの照明光を散乱させて前記第1の内部反射面側から前記導光板の外部に出射させる散乱エリアが部分的に設けられ、
前記散乱エリアが設けられた側と同じ内部反射面に、前記光源からの照明光を内部全反射させる全反射エリアが設けられ、
前記導光板に対して、前記第2の内部反射面が形成された側に対向配置され、前記第2の内部反射面に向けて外側から照明光を照射する他の光源をさらに備え、
前記表示部は、3次元画像データに基づく画像と2次元画像データに基づく画像とを選択的に切り替え表示するものであり、
前記光源は、前記導光板の側面に配置され、前記表示部に3次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御され、前記表示部に2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態または点灯状態に制御される
立体表示装置。
【請求項2】
前記他の光源は、前記表示部に3次元画像データに基づく画像を表示する場合には、非点灯状態に制御され、前記表示部に2次元画像データに基づく画像を表示する場合には、点灯状態に制御される
請求項1に記載の立体表示装置。
【請求項3】
前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面の少なくとも一方において、前記全反射エリアと前記散乱エリアとが交互に設けられている
請求項1または2に記載の立体表示装置。
【請求項4】
前記散乱エリアは、前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面に対応する前記導光板の表面を、前記全反射エリアとは異なる形状に表面加工することにより形成されたものである
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の立体表示装置。
【請求項5】
前記散乱エリアは、前記第1の内部反射面または前記第2の内部反射面に対応する前記導光板の表面に、前記導光板の屈折率以上の屈折率を有する光拡散部材を配置することにより形成されたものである
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の立体表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−137761(P2012−137761A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281962(P2011−281962)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2011−19538(P2011−19538)の分割
【原出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2011−19538(P2011−19538)の分割
【原出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]