説明

立軸ポンプ及びポンプシステム並びにポンプ点検方法

【課題】液質に影響されることなくポンプ内部に配置される部品の摩耗具合を作業員が画像取得手段を用いて容易に目視することができる立軸ポンプおよびポンプシステム並びにポンプ点検方法を提供する。
【解決手段】本発明の立軸ポンプは、回転軸6に固定された羽根車10と、回転軸6を回転自在に支持する軸受12,15と、羽根車10を収容するポンプケーシング2と、画像取得手段(ファイバースコープやCCDカメラなど)27をポンプケーシング外部からポンプケーシング内部の所定の点検箇所(例えば、羽根車10)まで案内する導管25と、液体を上記所定の点検箇所まで導く液体導入管29とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川水や排水などの液体を揚水する立軸ポンプ及びポンプシステム並びにポンプ点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、立軸ポンプは、水槽上部のポンプ据付床に設置され、吊下管を介して羽根車を収容するインペラケーシングが吊り下げられる。このような立軸ポンプは、ケーシング、羽根車や水中軸受が水中に没水した状態で運転され、運転時間の経過とともにこれらの部材が徐々に腐食、摩耗する。このため、立軸ポンプの点検作業を定期的に行って羽根車や水中軸受の摩耗具合やケーシングの腐食具合を確認し、必要に応じて補修または交換を行うことが必要となる。
【0003】
しかしながら、部品の摩耗具合を確認するためには、立軸ポンプを解体し、クレーンなどにより立軸ポンプを引き上げる必要があり、高い作業費用と長時間の作業が必要となる。そこで、水中カメラやファイバースコープなどの画像取得手段を用いてポンプ内部の各部材の消耗状況をポンプ外部から視認する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、ファイバースコープなどの画像取得手段を導管を通じてポンプ内部にまで導き、この画像取得手段を介して部品の摩耗具合を確認する構成が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−161790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポンプの取扱液が汚水などの透明度の低い液体である場合は、液中に没している羽根車や水中軸受などの部品の摩耗具合を画像取得手段によって視認することが困難である。さらに、上述した導管が土砂などにより閉塞してしまった場合は、画像取得手段をポンプ内部にまで導くことができない。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、液質に影響されることなくポンプ内部に配置される部品の摩耗具合を作業員が画像取得手段を用いて容易に目視することができる立軸ポンプ及びポンプシステム並びにポンプ点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、回転軸に固定された羽根車と、前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、画像取得手段を前記ポンプケーシング外部から前記ポンプケーシング内部の所定の点検箇所まで案内する導管と、液体を前記所定の点検箇所まで導く液体導入管とを備えたことを特徴とする立軸ポンプである。
【0008】
本発明の好ましい態様は、前記導管は、前記透明な液体が供給される液体供給口を有して前記液体導入管としても機能し、前記導管の先端には、前記ポンプケーシング内部の液体や塵芥が前記導管に流入することを制限する逆流防止機構が設けられていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記液体導入管は前記導管の内部に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様は、上記立軸ポンプの点検方法であって、前記導管内を移動可能な案内部材を前記画像取得手段に取り付け、前記画像取得手段を所定の点検箇所に導いて画像を取得することを特徴とするポンプ点検方法である。
本発明の好ましい態様は、前記案内部材に前記液体導入管を取り付け、前記画像取得手段とともに前記液体導入管を前記所定の点検箇所に導いて画像を取得することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記案内部材に、画像取得時の光量を調節するための光源を取り付け、前記画像取得手段とともに前記光源を前記所定の点検箇所に導いて画像を取得することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記案内部材に、前記液体導入管と画像取得時の光量を調節するための光源とを取り付け、前記画像取得手段とともに前記液体導入管および前記光源を前記所定の点検箇所に導いて画像を取得することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様は、吸込水槽内に設置される立軸ポンプと、前記吸込水槽への液体の流入を防止する堰き止め機構と、前記吸込水槽から液体を排出する排水手段とを備え、前記立軸ポンプは、回転軸に固定された羽根車と、前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、前記羽根車を収容するポンプケーシングと、画像取得手段を前記ポンプケーシング外部から前記ポンプケーシング内部の所定の点検箇所まで案内する導管とを有することを特徴とするポンプシステムである。
本発明の他の態様は、上記立軸ポンプの点検方法であって、前記吸込水槽内の液面位置を前記所定の点検箇所よりも低下させてから、前記画像取得手段より所定の点検箇所の画像を取得することを特徴とするポンプ点検方法である。
本発明の他の態様は、羽根車及びポンプケーシングを有する立軸ポンプと、前記立軸ポンプと吸込水槽とを連通させる吸込配管と、前記吸込配管に設置される弁機構と、前記ポンプケーシングから液体を排出する排水手段とを備え、前記立軸ポンプは、画像取得手段を前記ポンプケーシング外部から前記ポンプケーシング内部の所定の点検箇所まで案内する案内通路を有することを特徴とするポンプシステムである。
本発明の他の態様は、上記立軸ポンプの点検方法であって、前記ポンプケーシング内の液体を排出してから前記画像取得手段より所定の点検箇所の画像を取得することを特徴とするポンプ点検方法である。
【発明の効果】
【0011】
上述した本発明によれば、透明度の低い液体の影響を受けることなく、水中カメラやファイバースコープなどの画像取得手段を用いてポンプ内部の部品の摩耗具合や任意の点検箇所の状態を目視することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る立軸ポンプの全体構成を示す断面図である。
図1に示すように、立軸ポンプは、吸込ベルマウス1a及びポンプボウル1bを有するインペラケーシング1と、インペラケーシング1を水槽内に吊り下げる吊下管3と、吊下管3の上端に接続される吐出曲管4と、インペラケーシング1内に収容される羽根車10と、羽根車10が固定される回転軸6とを備えている。吊下管3は、水槽上部のポンプ据付床22に形成されたポンプ挿通孔24を通して下方に延び、吊下管3の上端に設けられた据付用ベース23を介してポンプ据付床22に固定される。回転軸(立軸)6は、吐出曲管4、吊下管3、及びインペラケーシング1内を通って鉛直方向に延びている。なお、インペラケーシング1及び吊下管3によりポンプケーシング2が構成される。
【0013】
吸込ベルマウス1aは下方を向いて開口し、吸込ベルマウス1aの上端はポンプボウル1bの下端に固定されている。羽根車10は回転軸6の下端に固定されており、羽根車10と回転軸6とは一体的に回転するようになっている。この羽根車10の上方(吐出側)には複数のガイドベーン14が配置されている。これらのガイドベーン14はポンプボウル1bの内周面に固定されている。回転軸6は外軸受11および水中軸受12,15により回転自在に支持されている。水中軸受12はポンプボウル1bに収容されており、水中軸受15は吊下管3に収容されている。水中軸受12を支持する支持部材7はボウルブッシュ13の内面に固定されており、さらに、ボウルブッシュ13はガイドベーン14を介してインペラケーシング1に支持されている。また、水中軸受15を支持する支持部材17は、吊下管3の内周面に固定されている。水中軸受12,15は、回転軸6に滑り接触する、いわゆる滑り軸受である。なお、符号19はハンドホールである。
【0014】
回転軸6は吐出曲管4から上方に突出して、駆動源18に連結されている。駆動源18により回転軸6を介して羽根車10を回転させると、水槽内の水(取扱液)が吸込ベルマウス1aから吸い込まれ、ポンプボウル1b、吊下管3、吐出曲管4を通って図示しない吐出配管に移送される。なお、立軸ポンプ運転時においては、羽根車10や水中軸受12を収容するインペラケーシング1は、液面よりも下に位置している。
【0015】
吐出曲管4、吊下管3、及びインペラケーシング1の側方には、ファイバースコープ(画像取得手段)27をインペラケーシング1の内部に案内するための導管25が設けられている。なお、本実施形態では画像取得手段としてファイバースコープを用いる例について説明するが、画像取得手段はファイバースコープに限られず、水中カメラなどの同等の機能を有する機器を用いることもできる。導管25は所定の消耗部品(点検箇所)近傍のポンプの内部と連通している。例えば、導管25の一方の端部(先端)は羽根車10とガイドベーン14との間に位置しており、他方の端部(挿入口)25aは、ポンプ据付床22の上方に位置している。この導管25は液体供給口25bを有しており、この液体供給口25bには、ファイバースコープや水中カメラなどによる撮像を妨げない程度の透明度を有する液体をインペラケーシング1内に供給する液体供給源30が連結されている。例えば、液体供給源30には、清水、温水(取扱液よりも温度の高い水)、アルコールなどの透明な液体が貯留されている。または液体供給源30は別途貯留設備を接続するための接続口を有している。羽根車10、ガイドベーン14などの部品の摩耗具合を点検する際には、液体供給源30から導管25を介してインペラケーシング1内に透明な液体が注入(導入)される。このように、本実施形態においては、導管25は液体導入管としても機能する。
【0016】
図2(a)は図1に示す導管内に挿入されたファイバースコープの先端を示す拡大側面図であり、図2(b)は図2(a)に示す矢印II方向から見た図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、ファイバースコープ27の先端近傍の部位には、導管25の内周面に緩やかに嵌合するガイド部材31が取り付けられており、このガイド部材31には導管25内でのガイド部材31の移動を補助する棒線材としてのワイヤ32が取り付けられている。このワイヤ32を導管25の内部に繰り出すことにより、ファイバースコープ27の先端をインペラケーシング1の内部にまで移動させ、所定の点検箇所の画像を取得する。その後、ワイヤ32を引き抜くことにより、ファイバースコープ27を引っ張ることなく、取り出しが可能であり、ファイバースコープ27に無理な力が加わらず、機器の故障を防ぐことができる。なお、ファイバースコープに代えて水中カメラを用いる場合も、ワイヤ32を引き抜くことにより、水中カメラや配線に無理な力を加えることなく取り出しが可能である。
【0017】
導管25の内径は、ファイバースコープ27の動きを妨げることがないようにファイバースコープ27の直径よりもある程度大きく設定されている。部品の摩耗具合などを調べるとき(以下、単に点検時という)には、液体供給源30から導管(液体導入管)25を通じてインペラケーシング1内に液体が注入される。挿入口25aには、ファイバースコープ27の動きを許容しつつ液体の流出を防止するための図示しないシール部材が装着されている。なお、図2(b)に示すように、ガイド部材31は、液体の流通を妨げることのないように導管25を閉塞しない形状を有している。
【0018】
図3(a)は図1に示す導管の端部の拡大図であり、ポンプ運転時の状態を示す。図3(b)は図1に示す導管の端部の拡大図であり、点検時の状態を示す。図3(a)及び図3(b)に示すように、導管25の先端(開口部)には逆流防止機構として逆止弁28が設けられている。この逆止弁28は導管25からポンプケーシング2(インペラケーシング1)内に向かう液体の流れのみを許容する。
【0019】
図3(a)に示すように、ポンプ運転時には逆止弁28は閉じており、ポンプケーシング2(インペラケーシング1)内の取扱液(例えば汚水)が導管25へ流入することが制限される。したがって、汚水に含まれる土砂や塵芥などによる導管25の閉塞が防止される。一方、図3(b)に示すように、点検時には、液体供給源30から供給される透明な液体及び/又はファイバースコープ27により逆止弁28が開き、ファイバースコープ27の先端部がインペラケーシングの内部に位置する。
【0020】
ファイバースコープ27を用いてインペラケーシング1内の部品の摩耗具合を調べる作業は次のようにして行われる。点検作業の間は、羽根車10の回転は停止される。導管25を介して透明な液体をインペラケーシング1内に注入し、さらにファイバースコープ27を挿入口25aから導管25に挿入する。液体導入管として機能する導管25の先端から排出される透明な液体は、ファイバースコープ27の先端部周囲の汚水や塵芥を排除し、これにより、インペラケーシング1の内部の液体の透明度が増す。この状態で、ファイバースコープ27を用いて羽根車10などの部品の摩耗具合などの状態を目視する。なお、画像取得手段として水中カメラを用いた場合も同様の動作である。
【0021】
導管(液体導入管)25に導入される透明な液体として温水を用いた場合、温度差により汚水は下へ、温水は上に移動する。このような液体の移動により汚水と透明な液体との置換が行われ、点検対象の部品の周囲に存在する液体の透明度を上げることができる。なお、導管25及び液体導入管の設置位置は羽根車10とガイドベーン14との間に限られず、点検対象の部品に応じて適宜決定される。例えば、水中軸受12,15が点検対象である場合には、これら水中軸受12,15の近傍に導管25及び液体導入管の先端が位置するように設置される。また、導管及び液体導入管を複数箇所に設けてもよい。
【0022】
図4は本発明の第2の実施形態に係る立軸ポンプを示す図であり、図5は図4に示す導管及び液体導入管の先端を示す拡大図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、第1の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0023】
本実施形態では、導管25と液体導入管29は別に設けられている。すなわち、図4に示すように、吐出曲管4、吊下管3、及びインペラケーシング1の側方には、ファイバースコープ27をインペラケーシング1の内部に案内するための導管25と、透明な液体をインペラケーシング1内に注入(導入)するための液体導入管29とが設けられている。この導管25及び液体導入管29は互いに隣接して配置され、いずれもインペラケーシング1の内部と連通している。導管25及び液体導入管29の一方の端部(先端)は羽根車10の近傍に位置しており、他方の端部(挿入口25a及び液体導入口29a)は、ポンプ据付床22の上方に位置している。この液体導入口29aには液体供給源30が連結されている。
【0024】
図5に示すように、導管25及び液体導入管29の先端部は互いに隣接して配置されており、導管25の先端部は液体導入管29の先端部の上方に位置している。本実施形態においても、液体導入管29を通じて透明な液体をインペラケーシング1内に供給することができ、これにより点検対象となる部品(羽根車10やガイドベーン14など)の周囲の液体の透明度を上げることができる。なお、本実施形態においても、導管25及び液体導入管29の先端部の位置は、羽根車10とガイドベーン14との間に限られず、必要に応じて変更することが可能である。
【0025】
図6(a)は本発明の第3の実施形態における導管及び液体導入管の先端を示す側面図であり、図6(b)は図6(a)の矢印VIが示す方向からの図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、上述した第2の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0026】
図6(a)及び図6(b)に示すように、本実施形態においては、液体導入管として、液体導入チューブ35が用いられている。この液体導入チューブ35は導管25の内部に配置されている。ファイバースコープ27及び液体導入チューブ35は略並行に配置され、それらの先端近傍には、導管25内でのファイバースコープ27及び液体導入チューブ35の動きを案内するガイド部材31が取り付けられている。このガイド部材31には、上記第2の実施形態と同様に、ワイヤ32が接続されている。なお、液体導入チューブ35は、導管25内での自身の動きを妨げることがない程度にしなやかに撓むように構成されている。
【0027】
このように構成される本実施形態によれば、導管25の一部がシルトなどにより閉塞した場合であっても、その閉塞部分に液体導入チューブ35から透明な液体を直接当て、局所洗浄することにより、導管25の閉塞を解消することができる。この場合、透明な液体としてやや高圧の液体を用いることが好ましい。また、本実施形態の構成によれば、導管25を複数有するポンプにおいても、液体供給源30は複数設ける必要はなく、また、挿入口25aについては、特別なシール構造を用いる必要がなく、設備の簡素化が可能となる。また、液体導入チューブ35に代えて、または加えて、LEDなどの光源をガイド部材31に取り付けることにより、画像取得に必要な光量を調整してもよい。例えば、図6(c)に示すように、ガイド部材31にファイバースコープ27、液体導入チューブ35、光源36の3つを取り付けてもよい。
【0028】
図7(a)は本発明の第4の実施形態に係るポンプシステムを示す模式図であり、図7(b)は点検時の様子を示す模式図である。
図7(a)に示すように、吸込水槽41内には立軸ポンプ40が設置されている。この立軸ポンプ40の基本的構成は、図1に示す構成と同一である。本実施形態においても、立軸ポンプ40に沿って導管25が設置されている。
【0029】
吸込水槽41内には、立軸ポンプ40に流入する取扱液を堰き止める堰き止め機構42が設けられている。この堰き止め機構42は立軸ポンプ40の上流側に位置している。また、吸込水槽41の底部には、堰き止め機構42と立軸ポンプ40との間に位置して、水抜用の排水手段としての水中ポンプ43が設置されている。なお、堰き止め機構42としては、ゲートまたは弁機構などが用いられる。
【0030】
本実施形態においては、立軸ポンプ40内部の所定の部品(羽根車、ガイドベーン、水中軸受など)の点検作業は次のようにして行われる。まず、立軸ポンプ40の運転を停止し、次いで、図7(a)に示すように、堰き止め機構42を閉じて吸込水槽41への液体の流入を止める。次に、水中ポンプ43を作動させ、吸込水槽41内の液体を汲み上げる。汲み上げた液体は、堰き止め機構42の上流側または吐出水槽(図示せず)に移送される。吸込水槽41内の液面位置が点検対象となる部品よりも下方にまで下がったときに水中ポンプ43を停止させる(図7(b)参照)。そして、導管25にファイバースコープ27を挿入し、ポンプケーシング2内に配置された部品の摩耗具合や任意の点検箇所の状態を目視する。この状態では、点検対象の部品の周囲に液体(汚水)が存在しないので、汚水や塵芥の影響を受けることなく点検作業を行うことができる。また、汚水に含まれる塵芥や錆等により点検箇所の表面が汚れている場合には、上述の液体導水装置(液体導入管29および液体供給源30)を用いて、点検箇所の洗浄を行い、画像を取得するようにしてもよい。
【0031】
図8は本発明の第5の実施形態に係るポンプシステムを示す模式図である。なお、特に説明しない本実施形態の構成及び動作は、上述した第4の実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。なお、本実施形態で使用される立軸ポンプ40は、立軸渦巻斜流ポンプである。
【0032】
図8に示すように、立軸ポンプ40は吸込水槽41の外に設置されており、吸込配管45を介して吸込水槽41に連結されている。この吸込配管45には吸込側弁46が設けられており、この吸込側弁46を閉じると吸込水槽41から立軸ポンプ40への液体の流通が遮断される。また、立軸ポンプ40は吐出配管47を介して図示しない吐出水槽に連結されている。この吐出配管47には吐出側弁48が設けられており、この吐出側弁48を閉じると立軸ポンプ40から吐出水槽への液体の流通が遮断される。
【0033】
吸込配管45には抜水ライン50を介して排出手段としての、例えば抜水ポンプ44が連結されている。この抜水ライン50が吸込配管45に接続される接続点は、吸込側弁46と立軸ポンプ40との間に位置している。ポンプケーシング2には、その内部に配置されている羽根車などの消耗部品にファイバースコープ27を案内する挿入口(案内通路)51が設けられている。立軸ポンプ40の運転時には、この挿入口51は図示しない閉塞具によって閉塞されている。
【0034】
本実施形態においては、立軸ポンプ40内部の所定の部品(羽根車など)の点検作業は次のようにして行われる。まず、立軸ポンプ40の運転を停止し、次いで、吸込側弁46及び吐出側弁48を閉じる。次に、抜水ポンプ44を作動させ、立軸ポンプ40(ポンプケーシング2)から液体を排出する。抜水ポンプ44から排出される液体は、吸込水槽41または吐出水槽に移送される。ポンプケーシング2から液体が除去されたときに抜水ポンプ44を停止させる。そして、挿入口51にファイバースコープ27を挿入し、ポンプケーシング2内に配置された部品の摩耗具合などを目視する。このように、本実施形態においても、点検対象の部品の周囲に液体が存在しないので、汚水や塵芥の影響を受けることなく点検作業を行うことができる。なお、上述した実施形態と同様に、挿入口51に代えて導管を設けてもよい。また、汚水に含まれる塵芥や錆等により点検箇所の表面が汚れている場合には、上述の液体導水装置(液体導入管29および液体供給源30)を用いて、点検箇所の洗浄を行い、画像を取得するようにしてもよい。
【0035】
上記実施形態は適宜組み合わせることが可能である。例えば、第1の実施形態の逆止弁を、第3の実施形態の導管に設けてもよい。また、第3の実施形態の液体導入チューブを第4の実施形態の導管に配置してもよい。なお、上述した第1乃至第5の実施形態では、画像取得手段としてファイバースコープが用いられているが、先端にCCDカメラを具備した内視鏡(マイクロスコープまたはエンドスコープ)や水中カメラなどを用いてもよい。
【0036】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る立軸ポンプを示す断面図である。
【図2】図2(a)は図1に示す導管内に挿入されたファイバースコープの先端を示す拡大側面図であり、図2(b)は図2(a)に示す矢印II方向から見た図である。
【図3】図3(a)は図1に示す導管の端部の拡大図であり、ポンプ運転時の状態を示す。図3(b)は図1に示す導管の端部の拡大図であり、点検時の状態を示す。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る立軸ポンプを示す図である。
【図5】図4に示す導管及び液体導入管の先端を示す拡大図である。
【図6】図6(a)は本発明の第3の実施形態における導管及び液体導入管の先端を示す側面図であり、図6(b)は図6(a)の矢印VIが示す方向からの図であり、図6(c)は本実施形態の他の構成例を示す図である。
【図7】図7(a)は本発明の第4の実施形態に係るポンプシステムを示す模式図であり、図7(b)は点検時の様子を示す模式図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係るポンプシステムを示す模式図である。
【符号の説明】
【0038】
1 インペラケーシング
1a 吸込ベルマウス
1b ポンプボウル
2 ポンプケーシング
3 吊下管
4 吐出曲管
6 回転軸
7,17 支持部材
10 羽根車
11 外軸受
12,15 水中軸受
13 ボウルブッシュ
14 ガイドベーン
16 駆動軸
18 駆動源
19 ハンドホール
22 ポンプ据付床
23 据付用ベース
24 ポンプ挿通孔
25 導管
25a 挿入口
25b 液体供給口
27 ファイバースコープ(画像取得手段)
28 逆止弁
29 液体導入管
30 液体供給源
31 ガイド部材
32 メッセンジャーワイヤ
35 液体導入チューブ
36 光源
40 立軸ポンプ
41 吸込水槽
42 堰き止め機構
43 水中ポンプ
44 抜水ポンプ
45 吸込配管
46 吸込側弁
47 吐出配管
48 吐出側弁
50 抜水ライン
51 挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定された羽根車と、
前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、
前記羽根車を収容するポンプケーシングと、
画像取得手段を前記ポンプケーシング外部から前記ポンプケーシング内部の所定の点検箇所まで案内する導管と、
液体を前記所定の点検箇所まで導く液体導入管とを備えたことを特徴とする立軸ポンプ。
【請求項2】
前記導管は、前記液体が供給される液体供給口を有して前記液体導入管としても機能し、
前記導管の先端には、前記ポンプケーシング内部の液体や塵芥が前記導管に流入することを制限する逆流防止機構が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の立軸ポンプ。
【請求項3】
前記液体導入管は前記導管の内部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の立軸ポンプ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の立軸ポンプの点検方法であって、
前記導管内を移動可能な案内部材を前記画像取得手段に取り付け、
前記画像取得手段を所定の点検箇所に導いて画像を取得することを特徴とするポンプ点検方法。
【請求項5】
前記案内部材に前記液体導入管を取り付け、
前記画像取得手段とともに前記液体導入管を前記所定の点検箇所に導いて画像を取得することを特徴とする請求項4に記載のポンプ点検方法。
【請求項6】
前記案内部材に、画像取得時の光量を調節するための光源を取り付け、
前記画像取得手段とともに前記光源を前記所定の点検箇所に導いて画像を取得することを特徴とする請求項4に記載のポンプ点検方法。
【請求項7】
前記案内部材に、前記液体導入管と画像取得時の光量を調節するための光源とを取り付け、
前記画像取得手段とともに前記液体導入管および前記光源を前記所定の点検箇所に導いて画像を取得することを特徴とする請求項4に記載のポンプ点検方法。
【請求項8】
吸込水槽内に設置される立軸ポンプと、
前記吸込水槽への液体の流入を防止する堰き止め機構と、
前記吸込水槽から液体を排出する排水手段とを備え、
前記立軸ポンプは、
回転軸に固定された羽根車と、
前記回転軸を回転自在に支持する軸受と、
前記羽根車を収容するポンプケーシングと、
画像取得手段を前記ポンプケーシング外部から前記ポンプケーシング内部の所定の点検箇所まで案内する導管とを有することを特徴とするポンプシステム。
【請求項9】
請求項8に記載の立軸ポンプの点検方法であって、
前記吸込水槽内の液面位置を前記所定の点検箇所よりも低下させてから、前記画像取得手段より所定の点検箇所の画像を取得することを特徴とするポンプ点検方法。
【請求項10】
羽根車及びポンプケーシングを有する立軸ポンプと、
前記立軸ポンプと吸込水槽とを連通させる吸込配管と、
前記吸込配管に設置される弁機構と、
前記ポンプケーシングから液体を排出する排水手段とを備え、
前記立軸ポンプは、画像取得手段を前記ポンプケーシング外部から前記ポンプケーシング内部の所定の点検箇所まで案内する案内通路を有することを特徴とするポンプシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の立軸ポンプの点検方法であって、
前記ポンプケーシング内の液体を排出してから前記画像取得手段より所定の点検箇所の画像を取得することを特徴とするポンプ点検方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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