説明

立面緑化モジュール

【課題】効率良く組み立てることができて強度も大きく、植物の栽培機能にも勝れた立面緑化モジュールを提供する。
【解決手段】ボックス本体20と、該ボックス本体20の内部を複数の栽培箱25に区画するプラグインユニット10と、各栽培箱25内の植物栽培媒質に水を分配する植物成長マット60とを有し、上記プラグインユニット10は、縦仕切板12と、互いに平行しかつ前上がり状に傾斜する複数の横仕切板11とを予め一体に結合することにより形成し、植物成長マット60は、複数の栽培箱25にわたって延在するように上記ボックス本体20の背板18に沿って配設し、上記プラグインユニット10によって該背板18に押し付けさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は緑化を実現する設備に関するものであり、特に、建物等の壁面を緑化するための立面緑化モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、経済力の増強と共に人々の生活レベルが向上したことに伴い、環境への注目度が高まっている。人々は、自分の周りの生活環境の緑化を重視するようになり、花や草、樹木、緑の芝生等を庭に植えることにより平面緑化を行うだけでなく、建物等の垂直な壁面を緑化する垂直緑化(立面緑化)を行う例も少なくない。
【0003】
このような立面緑化を行う場合、一般に、壁面に取り付けるモジュール方式が採用されている。特許文献1には、モジュール化された垂直緑化のための組合せ装置が公開されている。この装置は、壁に掛ける背板、垂直フレーム、上部仕切板、底部仕切板、上部フレームによってボックス本体に組み立てられる。また、横仕切板と縦仕切板でボックス本体の中をいくつかの栽培箱に分割する。ボックス本体の背面には水平掛け溝を設け、この水平掛け溝を利用して上記装置は壁面に取り付けられる。このようなモジュール装置は、使用時に以下のような欠陥を有している。
【0004】
1.複数の横仕切板は、一枚ずつボックス本体の内部に挿入し、別に挿入した縦仕切板と接続する必要があり、しかも、他の横仕切板と相互に関連付けて挿入しなければならないため、作業効率が低い。さらに、個々の横仕切板の剛性がわりに劣っているため、しばらくするとある程度の変形が現れる。その変形は殆ど反り変形であるため、縦仕切板やボックス本体に形成された支持溝内に端部を円滑に挿入することができなくなったり、全く挿入することができなくなることが多く、その結果、モジュール全体が使用不能となって該モジュールの使用寿命を大いに下げる結果となってしまう。
2.栽培箱中の土壌が水流で流されて流失し易く、また、各栽培箱への給水や通気等が円滑に行われないため、植物の根部が土壌中にしっかり根付くことができず、根付いても順調に生育しにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願第101268745号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の従来技術の欠点を克服し、効率良く組み立てることができて強度も大きく、植物の栽培機能にも勝れた立面緑化モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によれば、前面が開放する箱形をなし、上部に取水口を有しかつ下部に排水口を有するボックス本体と、該ボックス本体に収容されて該ボックス本体の内部を複数の栽培箱に区画するプラグインユニットと、上記取水口から供給された水を各栽培箱内の植物栽培媒質に分配する植物成長マットと、上記ボックス本体を壁に取り付けるための取付機構とを有する立面緑化モジュールが提供される。
そして、上記プラグインユニットは、少なくとも一つの縦仕切板と、互いに平行しかつ前上がり状に傾斜する複数の横仕切板とを、予め一体に結合することにより形成され、また、上記植物成長マットは、複数の栽培箱にわたって延在するように上記ボックス本体の背板内面に沿って配設され、上記プラグインユニットの縦仕切板及び横仕切板によって上記背板に押し付けられている。
【0008】
本発明において、上記植物成長マットは、通水性と通気性とを有していて、上記取水口から水が供給されたときはこの水を各栽培箱内の植物栽培媒質に供給し、上記取水口から水が供給されないときは、保水量の減少に伴う通気性の増大によって各栽培箱及び上記植物栽培媒質に対して空気層を提供するように構成されている。
【0009】
本発明において好ましくは、上記プラグインユニットにおける横仕切板の前端部と後端部とに、水を下方へと流すための外ノッチと内ノッチとが形成されていることである。
この場合、各横仕切板の外ノッチと内ノッチとが、上記縦仕切板に近接する側と該縦仕切板から離間する側とに互いの位置をずらして配置されると共に、上下の横仕切板の外ノッチ同士及び内ノッチ同士が互い違いに配置されていることが望ましい。
【0010】
また、本発明においては、上記係止機構が、上記ボックス本体の背面に設けられたブラケット及びクランプと、壁に固定されるペンダントとからなり、上記ブラケット及びクランプは、互いに同じ方向に傾斜するブラケット面及びクランプ面を有し、上記ペンダントは、上記ブラケット面及びクランプ面と同じ方向に傾斜するブラケット係止面とクランプ係止面とを有し、上記ブラケット面をブラケット係止面に係止させると共に上記クランプ面をクランプ係止面に係止させることにより、上記ボックス本体が上記ペンダントを介して壁に取り付けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、縦仕切板と横仕切板とを予め一体に結合することによってプラグインユニットを形成したので、上記縦仕切板及び横仕切板の剛性が高くなり、該プラグインユニットのボックス本体内部への取り付けも簡単である。また、横仕切板を前上がり状に傾斜させて植物栽培媒質が栽培箱の前面側から流出しにくくすると共に、ボックス本体の背板内面に沿って配設した植物成長マットを通じて各栽培箱の植物栽培媒質に水を供給するようにし、流水による植物栽培媒質の流出が生じないようにしたので、植物の栽培を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る立面緑化モジュールの斜視図である。
【図2】プラグインユニットの斜視図である。
【図3(a)】構造が異なるプラグインユニットの斜視図である。
【図3(b)】さらに構造が異なるプラグインユニットの斜視図である。
【図3(c)】上記構造が異なるプラグインユニットを使用して形成した立面緑化モジュールの正面図である。
【図4】図1のM−M線に沿ってボックス本体を切断した断面図である。
【図5】図1のモジュールをN方向から見た背面図である。
【図6】図4におけるA部の拡大図である。
【図7】図4における該当部位のB方向矢視図である。
【図8】ペンダントの正面図である。
【図9】ボックス本体をペンダントに係止させた状態を示す、図5におけるD−D線に沿った位置での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図4に示すように、本発明に係る立面緑化モジュールは、主として、四角い箱形をしたボックス本体20と、このボックス本体20の内部に収容されたプラグインユニット10及び植物成長マット60と、上記ボックス本体20を建物等の壁に係止させるためのペンダント50(図5、図8、図9参照)とにより構成されている。これらのボックス本体20、プラグインユニット10、ペンダント50は、それぞれ、合成樹脂で形成されている。
【0014】
上記ボックス本体20は、前面が開放するやや縦長の箱形をなすもので、その天板29a及び底板29bは、該ボックス本体20の背板18側に向けて高さが次第に低くなるよう前上がり状に傾斜している。該ボックス本体20の上端には、上記天板29aの上面後方寄りの位置に、段状に立ち上がった取水部22が天板29aの横幅全体にわたり延在するように形成され、この取水部22に、ボックス本体20の前面側に向けて開口する取水口22aが設けられている。また、上記ボックス本体20の下端には、上記底板29bの後方寄りの位置に、上向きに窪んだ段状の排水部21が形成され、この排水部21の左右二カ所に排水口21aが形成されている。
【0015】
上記ボックス本体20の左右両側面の互いに対称をなす位置には、前上がり状に傾斜する細長い長方形スロット23が形成され、この長方形スロット23の底に固定孔24が設けられている。そして、壁に固定された上記ペンダント50にボックス本体20を係止させたあと、上記固定孔24に挿通したねじで該ボックス本体20を上記ペンダント50に固定するようになっている。上記長方形スロット23は、ねじの締め付けや取り外しのための作業用空間を形成するものである。
【0016】
上記ボックス本体20の中に、平らな縦仕切板12と横仕切板11とを組み合わせて形成された上記プラグインユニット10が収容され、このプラグインユニット10によって全部で12個の栽培箱25が区画されている。また、上記ボックス本体20の左右の側板19の上部には、上記取水部22の位置に、点滴灌漑装置固定用の台型の差込みスロット27が形成されている。この差込みスロット27は、点滴灌漑装置と点滴口の位置決めの役割を果たし、点滴灌漑装置上の点滴口が取水口22aと合うようにする。
【0017】
図2に示すように、上記プラグインユニット10は、鉛直方向に延びる細長い四角形状をした一つの縦仕切板12の左右両側面に、それぞれ6枚の同じ大きさを有する矩形の上記横仕切板11を、上下に等間隔を保って平行かつ前上がり状に傾斜させて固定したもので、これらの縦仕切板12と横仕切板11とは、合成樹脂で一体に形成されている。
【0018】
上記横仕切板11の傾斜角度は、上記ボックス本体20における天板29a及び底板29bの傾斜角度と等しく、その鉛直面に対する好ましい傾斜角度は、大体45度〜70度程度である。
また、上記縦仕切板12の上端縁12a及び下端縁12bも、上記横仕切板11と同様に前上がり状に傾斜している。なお、上記下端縁12bには、図2に鎖線で示すように、ボックス本体20の下部の上記排水部21に合わせて切欠部12cが形成される。
【0019】
このようにして、従来は別々に形成されてモジュール形成時に接続されていた縦仕切板12と横仕切板11とが、プラグインユニット10として予め一体に形成されている。このため、各仕切板の剛性が増大し、また、従来のように複数の横仕切板を縦仕切板やボックス本体の支持溝に差し込んで係止させる作業を何回も行う必要がなく、プラグインユニット10をボックス本体20に収容する一回の作業だけで済むことになり、ボックス本体20に対する各横仕切板11の接続も一層便利になる。
【0020】
上記横仕切板11には、その前端部と後端部とにそれぞれ外ノッチ11aと内ノッチ11bとが形成されている。このうち外ノッチ11aは、横仕切板11の傾斜の高い側である前端部に形成され、内ノッチ11bは、傾斜の低い側である後端部に形成されている。また、これらの外ノッチ11aと内ノッチ11bとは、互いの位置を上記縦仕切板12に近接する位置と該縦仕切板12から離間する位置とにずらして配置されると共に、上下の横仕切板11の外ノッチ11a同士及び内ノッチ11b同士が互い違いの位置を占めるように配置されている。
【0021】
横仕切板11の傾斜の低い側即ちボックス本体20の背板18側にある上記内ノッチ11bは、通常時に、栽培箱25内に供給される水量が多すぎたときそれを排水し、水が栽培箱25の内部に溜まるのを防ぐ機能を有する。また、横仕切板11の傾斜の高い側即ちボックス本体20の前面側にある上記外ノッチ11aは、降雨時等に栽培箱25内に多量の水が流入したような場合に、外部への排水を促進する機能を有する。これにより、過量の水が栽培箱25内の植物育成用媒質を洗い流すのを防ぐことができる。
また、上記外ノッチ11a及び内ノッチ11bは、その大きさや深さ等にもよるが、根茎植物が隣接する栽培箱25まで根を延ばす場合に、該根の誘導用としても機能するだけでなく、該根がこのノッチに係止することによって植物と緑化モジュールとを一体化させる機能をも有する。
【0022】
本発明において、上記プラグインユニット10は、上述した場合と構成が異なっていても良い。例えば、図3(a)に示したプラグインユニットEは、複数の縦仕切板12を有しており、図3(b)に示したプラグインユニットFは、一部で上下の横仕切板11の間隔が他と異なっており、これらのプラグインユニットEとプラグインユニットFとをボックス本体20の内部に挿入することによって図3(c)に示したようなモジュールを形成することもできる。このように複数のプラグインユニットの組合せにより、容積が相違する栽培箱を形成することが可能である。
【0023】
図4に示すように、上記プラグインユニット10は、ボックス本体20の左右の側板19の内側面に形成された取付溝13内に横仕切板11の端部を挿入することにより、上記ボックス本体20に取り付けられている。上記取付溝13は、棒状部材からなる上溝縁14と下溝縁15との間に、前上がり状に傾斜した状態に形成されている。図6に示すように、上記上溝縁14の先端部14a及び下溝縁15の先端部15aは、取付溝13の入口の位置で上向きに反った円弧形をしている。また、上記上溝縁14の先端部14aは、下溝縁15の先端部15aよりも溝内部側に若干後退した位置を占めている。
【0024】
このような取付溝13の構成により、プラグインユニット10の横仕切板11を該取付溝13に入口から円滑に挿入し、傾斜状態に取り付けることができる。また、横仕切板11が取付溝13内に完全に挿入されたとき、該横仕切板11の前端部は、下溝縁15の円弧形をした先端部15aに取付溝13の内側から係止し、該横仕切板11が取付溝13から抜け出す方向へ移動するのが制限され、これによってプラグインユニット10がボックス本体20に固定されている。
しかし、上記上溝縁14及び下溝縁15の先端部は、湾曲することなく真っ直ぐに形成されていても良い。また、上記取付溝13は、側板19の全幅にわたり形成することができる。
【0025】
上記植物成長マット60は、通水性と通気性とを有するもので、複数の栽培箱25にわたって延在するように、上記ボックス本体20の背板18の内面に沿って縦向きに配設され、上記プラグインユニット10によって該背板18に押し付けられている。このとき、上記下溝縁15の円弧形の先端部15aが横仕切板11に係止することにより、振動などで該横仕切板11即ちプラグインユニット10がボックス本体20から抜け出す方向に移動するのを制限し、バックアップ効果を発揮する。この結果、上記プラグインユニット10は、植物成長マット60をボックス本体20の背板18の内面に押し付けた状態を安定的に維持することができる。図示した例では、上記植物成長マット60が全ての栽培箱25にわたって延在している。
【0026】
図7に示すように、ボックス本体20における天板29aの後端部寄りの位置(すなわち植物成長マット60側寄りの位置)には、上記プラグインユニット10の縦仕切板12の左右両側となる位置に、T形をした取水ノッチ28が設けられている。この取水ノッチ28は、天板29aの後端部を該天板29aの横幅方向に細長く延びる横孔部28aと、該横孔部28aの中央から天板29aの前端側に向けて細長く延びる縦孔部28bとからなるもので、該縦孔部28bは、天板29aの前後方向幅のほぼ中央部近くまで延在しており、取水口22aから流れ込んだ水がこの取水ノッチ28を通じて少量ずつ下の栽培箱25に供給され、上記植物成長マット60に吸収される。この植物成長マット60は、吸収した水分を各栽培箱25内の植物栽培媒質に均等に配分する。このように、取水ノッチ28の形状を利用して合理的に水の供給量を分配することができるため、十分な水を植物成長マットに貯蓄することができる。
【0027】
上記植物栽培媒質としては、土砂、岩綿、スポンジ等のほか、椰子などの植物繊維からなるマット等が使用され、このような植物栽培媒質が、前上がり状に傾斜する上記横仕切板11上に載置され、これに植物が植えられる。
【0028】
上記植物成長マット60の使用は、上記植物栽培媒質への植物の根下ろしと定着とに有効であり、貯水量の変化により、植物の根部に適度の空気層を提供するという役割も果たす。即ち、上記取水口22aから水が供給されたときは、上記植物成長マット60がこの水を各栽培箱25内の植物栽培媒質に供給するが、上記取水口22aから水が供給されないときは、上記植物成長マット60の貯水量が減少し、該植物成長マット60を通じて各栽培箱25の内部や植物栽培媒質に適度の空気層が供給される。
【0029】
本実施例において、上記植物成長マット60は、麻などの天然材料で形成することも、テリレン、ポリプロピレン等の化繊材料で形成することもできる。また、天然材料と化繊材料とを混合して植物成長マットを形成することもできる。要するに、緑化モジュールを設置する場所や設置条件あるいは植える植物の種類等により、上記植物成長マット60の材料を適宜選択すれば良い。
【0030】
図4及び図5に示すように、上記ボックス本体20における背板18の背面の横幅方向の中央位置には、後方に向けて突出するブラケット30とクランプ40とが上下に間隔をおいて設けられている。このうちブラケット30は、主として、ペンダント50に係止して上記ボックス本体20を支持する役目を果たすもので、正面視で頂点が上を向いた三角形状をしており、図9からも分かるように、該三角形の底辺に当たる底壁部分に、外下がり状に傾斜するブラケット面32が形成され、上記頂点の両側の斜辺に当たる逆V形の傾斜壁部分に、外下がり状に傾斜するポジショニング面31が形成されている。
【0031】
また、上記クランプ40は、上記ブラケット30で支持されたボックス本体20を動かないように固定する役目を果たすもので、側面視形状が三角形をなし、その底辺である下向きの底壁部分に、外下がり状に傾斜するクランプ面41が形成されている。従って、このクランプ面41と上記ブラケット面32とは互いに同じ方向に傾斜しており、それらは互いに平行する平面である。また、上記クランプ面41の横方向長さは、ブラケット面32の横方向長さより小さい。
【0032】
図8において、上記ペンダント50は、正面視で略T形をなし、複数の取付孔54に挿通したねじで壁58に固定される。このペンダント50の上端中央位置には、下広がり状をなす燕尾形の切欠55が形成され、この切欠55の底壁部分に、上記ブラケット30のブラケット面32に対応するブラケット係止面52が、該ブラケット面32と同じ方向に傾斜するように形成され、上記切欠55における左右の傾斜壁部分に、上記ポジショニング面31に対応する二つの位置決め係止面51が、該ポジショニング面31と同じ方向に傾斜するように形成されている。
【0033】
また、上記ペンダント50の下端部には、上記クランプ40のクランプ面41に対応するクランプ係止面53が、このクランプ面41と同じ方向に傾斜するように形成されている。従って、このクランプ係止面53と上記ブラケット係止面52とは、互いに同じ方向に傾斜しており、それらは互いに平行する平面である。
【0034】
図9に示すように、ボックス本体20(及び該ボックス本体の中のプラグインユニット10)は、上記ブラケット30のブラケット面32により、ペンダント50のブラケット係止面52に掛けられる。このとき、二つの位置決め係止面51は、上記ポジショニング面31と協同して、ボックス本体20が上下、左右にずれるのを制限する。これによりボックス本体20は、上記ペンダント50に動かないように支えられる。また、上記ボックス本体20とペンダント50とは、上記クランプ40のクランプ面41とペンダント50のクランプ係止面53との係止によってしっかりと結合される。このようにして緑化モジュールは、上記ペンダント50に、正確に位置決めされた状態で簡単かつ安定的に係止させられる。従って、上記ブラケット30とクランプ40とペンダント50とは、上記緑化モジュール(ボックス本体20)を壁58に取り付けるための取付機構を構成するものである。
そして、上述したようにしてペンダント50に係止させられた緑化モジュールが、上記長方形スロット23の固定孔24に挿通したねじで該ペンダント50に固定される。しかし、上記取付機構だけで緑化モジュールを壁に取り付けても良い。
【0035】
また、本発明の緑化モジュールは、強度を増すため、補強用リブ26(図5参照)を備えている。そして、無毒かつ無害で回収可能な環境保護型材料で製作されている。そのような材料の例として、例えば、回収可能な高密度のポリエチレン材料がある。
【0036】
壁面の立面緑化を行う時、好ましくはいくつかの緑化モジュールが上下に並べて配置され、互いの底板29bと天板29aとを当接させることにより、排水口21aと取水口22aとを連通させた状態で壁面に取り付けられる。これにより、相応する水流灌漑システムが形成され、上から下まで滞りなく水が流れる。植物栽培媒質をボックス本体20の各栽培箱25の中に適量収容して、この植物栽培媒質に植物を植えて栽培し、植物に注ぐ水は、上段のボックス本体20に取り付けた点滴灌漑装置の点滴口を通じて取水口22aから供給する。供給された水は、図3に白抜きの矢印で示すように、植物成長マット60やボックス本体20の後壁面あるいは植物栽培媒質に沿って同時に下向きに流れ、排水口21aから流出し、下段のボックス本体20の内部にその取水口22aから流入する。最下段の緑化モジュールにおいては、上記排水口21aから外部に流出する。
【符号の説明】
【0037】
10 プラグインユニット
11 横仕切板
11a 外ノッチ
11b 内ノッチ
12 縦仕切板
18 背板
20 ボックス本体
21a 排水口
22a 取水口
25 栽培箱
30 ブラケット
32 ブラケット面
40 クランプ
41 クランプ面
50 ペンダント
52 ブラケット係止面
53 クランプ係止面
58 壁
60 植物成長マット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開放する箱形をなし、上部に取水口を有しかつ下部に排水口を有するボックス本体と、該ボックス本体に収容されて該ボックス本体の内部を複数の栽培箱に区画するプラグインユニットと、上記取水口から供給された水を各栽培箱内の植物栽培媒質に分配する植物成長マットと、上記ボックス本体を壁に取り付けるための取付機構とを有し、
上記プラグインユニットは、少なくとも一つの縦仕切板と、互いに平行しかつ前上がり状に傾斜する複数の横仕切板とを、予め一体に結合することにより形成され、
上記植物成長マットは、複数の栽培箱にわたって延在するように上記ボックス本体の背板内面に沿って配設され、上記プラグインユニットの縦仕切板及び横仕切板によって上記背板に押し付けられていることを特徴とする立面緑化モジュール。
【請求項2】
上記植物成長マットは、通水性と通気性とを有していて、上記取水口から水が供給されたときはこの水を各栽培箱内の植物栽培媒質に供給し、上記取水口から水が供給されないときは、保水量の減少に伴う通気性の増大によって各栽培箱及び上記植物栽培媒質に対して空気層を提供するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の立面緑化モジュール。
【請求項3】
上記プラグインユニットにおける横仕切板の前端部と後端部とに、水を下方へと流すための外ノッチと内ノッチとが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の立面緑化モジュール。
【請求項4】
各横仕切板の外ノッチと内ノッチとが、上記縦仕切板に近接する側と該縦仕切板から離間する側とに互いの位置をずらして配置されると共に、上下の横仕切板の外ノッチ同士及び内ノッチ同士が互い違いに配置されていることを特徴とする請求項3に記載の立面緑化モジュール。
【請求項5】
上記取付機構が、上記ボックス本体の背面に設けられたブラケット及びクランプと、壁に固定されるペンダントとからなり、上記ブラケット及びクランプは、互いに同じ方向に傾斜するブラケット面及びクランプ面を有し、上記ペンダントは、上記ブラケット面及びクランプ面と同じ方向に傾斜するブラケット係止面とクランプ係止面とを有し、上記ブラケット面をブラケット係止面に係止させると共に上記クランプ面をクランプ係止面に係止させることにより、上記ボックス本体が上記ペンダントを介して壁に取り付けられていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の立面緑化モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−216224(P2010−216224A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220425(P2009−220425)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(509267395)
【Fターム(参考)】