端子および端子付き電線とその製造方法
【課題】安価で、かつ、接続強度や接続抵抗の信頼性が高い端子及び端子付き電線とその製造方法を提供する。
【解決手段】機器と接続される第1の被接続部5を有すると共に電線1を構成する導体2と接続される第2の被接続部6を有する端子4において、第2の被接続部6は、第1の導体2Aが面接触した状態で接続される第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されており、第2の導体2Bが面接触した状態で接続される第2の被接続面とを有するものである。
【解決手段】機器と接続される第1の被接続部5を有すると共に電線1を構成する導体2と接続される第2の被接続部6を有する端子4において、第2の被接続部6は、第1の導体2Aが面接触した状態で接続される第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されており、第2の導体2Bが面接触した状態で接続される第2の被接続面とを有するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子および端子付き電線とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に適用されている電線と端子との接続方法としては、例えば図9(a),(b)に示すように絶縁体23で被覆された電線21の導体22と端子24とを圧縮して接続する圧縮接続がある。なお、近年のハイブリッド自動車などでは、電線21の導体22にアルミ(Al)が用いられることが多い。Al材質の圧縮接続の場合、強固なAl酸化膜の除去に工夫が必要であり、端子24にSnめっき、Al導体の端末には、はんだ処理(図9(a)のはんだ25の形成)が行われており、工程コスト、材料コストなどの面でデメリットが大きい。
【0003】
このような圧縮接続に替わる接続方法としては、図10に示すような、端子26と導体22を超音波溶接により接続する方法がある。例えば、特許文献1では、端子と導体の接続方法として、図11のような方法で、一つの装置内で超音波接続と圧縮接続を連続して行い、端子27と導体22とを接続する方法が提案されている。この方法によると、圧縮接続を併用することで超音波接続時に印加される超音波エネルギーや圧力の不足分を補うことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−117666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ハイブリッド自動車(HEV自動車)などにおいて、駆動モータとバッテリーとの間に配線される電源用配線材は、大電流化などのために、導体の外径が大きい電線(例えば、断面積20mm2以上の導体を有する電線)を使用することが望まれている。一方、駆動モータ周辺のコンパクト化に伴い、限られた配線スペースに電線を配線しなければならず、電線を接続するための端子については、電線との接続部の幅が制限される(例えば、電線の外径と同等程度の幅に制限される)傾向にある。
【0006】
このような中、図10のような一般的な超音波接続では、例えば撚り線からなるアルミニウム導体(以下、Al導体)を接続した場合、断面積15mm2程度の導体径であれば接続になんら問題ない。しかし、断面積20mm2以上のような太径の導体を接続しようとした場合、接続部の幅が制限されることに伴い、超音波エネルギーの印加点から端子と導体との接続面までの距離が大きくなるため、超音波エネルギーが十分に接続面へ伝わらず、信頼性の高い接続ができない。一方、超音波エネルギーを接続面まで十分に伝えるために印加する超音波エネルギーや加圧力を増やした場合、導体の素線切れの問題が発生するおそれがある。
【0007】
また、図11に示す特許文献1の接続方法では、オープンバレルの圧着端子形状であるため、圧着力が不十分となり、接続後に端子27から導体22が外れるなど、接続強度の信頼性に問題が生じる可能性がある。また、本方式では、導体22を構成する素線間において金属学的接続が十分に行われない場合があり、このような場合、接続抵抗の信頼性に不安がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決し、安価で、かつ、接続強度や接続抵抗の信頼性が高い端子及び端子付き電線とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく請求項1の発明は、機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線を構成する導体と接続される第2の被接続部を有する端子において、前記第2の被接続部は、第1の導体が面接触した状態で接続される第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されており、第2の導体が面接触した状態で接続される第2の被接続面とを有する端子である。
【0010】
請求項2の発明は、前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とは、連続した面からなる請求項1記載の端子である。
【0011】
請求項3の発明は、機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線を構成する導体と接続される第2の被接続部を有する端子が前記電線の導体の端末に接続されている端子付き電線において、前記第2の被接続部は、第1の導体が面接触した状態で接続されている第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されて第2の導体が面接触した状態で接続されている第2の被接続面とを有し、前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とが対向するように前記第2の被接続部の一部が折り曲げられて、前記第1の導体と前記第2の導体とが、前記第1の被接続面と前記第2の被接続面の間に挟まれた状態で、前記第1の導体と前記第2の導体とが互いに面接触して接続されている端子付き電線である。
【0012】
請求項4の発明は、前記第1の導体および前記第2の導体は、それぞれ前記第1の被接続面および前記第2の被接続面に超音波接続によって接続されている請求項3記載の端子付き電線である。
【0013】
請求項5の発明は、前記第1の導体および前記第2の導体は、同一の電線の導体を分割してなる請求項3又は4記載の端子付き電線である。
【0014】
請求項6の発明は、前記第1の導体および前記第2の導体は、異なる電線の導体からなる請求項3又は4記載の端子付き電線である。
【0015】
請求項7の発明は、前記導体の総断面積(A,mm2)と前記導体を構成する素線の外径(B,mm)との比A/B(mm)が、167mm以下である請求項3〜6いずれかに記載の端子付き電線である。
【0016】
請求項8の発明は、機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線と接続される第2の被接続部を有する端子に、電線の導体が接続されて形成された端子付き電線の製造方法において、第1の導体を前記第2の被接続部の第1の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続する工程と、第2の導体を前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように設けられた第2の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続する工程と、前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とが対向するように前記第2の被接続部の一部を折り曲げて前記第1の導体と前記第2の導体とが前記第1の被接続面と前記第2の被接続面との間に挟まれた状態となるように前記第2の被接続部を加工する工程と、前記第1の導体と前記第2の導体とを、互いに対向する面で接触させて接続する工程と、を含む端子付き電線の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、安価で、かつ、接続強度の信頼性が高い端子及び端子と電線の接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、端子と電線を接続する前の外観斜視図である。
【図2】図1の端子と電線を接続した後の外観斜視図である。
【図3】図2の端子を折り曲げ加工した後の端子付き電線の外観斜視図である。
【図4】本発明に係る端子と導体の接続部分の断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示し、端子と電線を接続する前の外観斜視図である。
【図6】図5の電線の導体を2分割した図である。
【図7】図5の端子と電線を接続した後の外観斜視図である。
【図8】図7の端子を折り曲げ加工した後の端子付き電線の外観斜視図である。
【図9】従来の形態を示し、(a)は端子と電線の接続前の外観斜視図、(b)は接続後の接続部分の断面図である。
【図10】従来の形態を示し、端子と電線を接続した後の外観斜視図である。
【図11】従来の端子と電線の接続を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
図1〜3に示すように、電線1は、銅(Cu)或いは銅合金(Cu合金)、またはアルミニウム(Al)或いはアルミニウム合金(Al合金)からなる素線を、複数本撚り合わせなどして形成された導体2と、導体2を覆う絶縁体3とで構成される。なお導体2としては、これに限定するものではない。また、各種めっきを表面に施しためっき線の適用も可能である。なお、電線2の導体の外径が太くなるほど、比重が小さいAl或いはAl合金導体を適用することで、Cu或いはCu合金を使用した場合と比べて軽量化が可能である。
【0021】
また、導体2の総断面積(A,mm2)と導体2を構成する素線の外径(B,mm)との比A/B(mm)は、167mm以下であることが望ましい。これは、A/B(mm)が167mmを超える場合には、素線切れによる接続抵抗および接続強度の信頼性の低下が発生し易くなるからである。
【0022】
絶縁体3には、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素系樹脂などが用いられる。
【0023】
本実施の形態においては、異なる2本の電線1A,1Bを用い、その2本の電線1A,1Bで分割された導体2A,2Bに接続される端子4は、金属の板材を打ち抜くなどして形成される。端子4の一方には電気機器に接続される第1の被接続部である電気被接触部5が形成され、他方には、電線1A,1Bの各導体2A,2Bに接続される第2の被接続部である電線被接続部6が形成される。
【0024】
電線被接続部6は、電気被接触部5から延びた長方形状の第1導体被接続部6aと、第1導体被接続部6aの幅方向の片辺に第1導体被接続部6aから張り出すように延びて設けられた第2導体被接続部6bとで構成される。本実施の形態では、第1導体被接続部6aと第2導体被接続部6bをそれぞれ略長方形状として説明しているが、形状はこれに限るものではなく、例えば切欠部や孔が設けられていても良い。
【0025】
第1導体被接続部6aは第1の導体(電線1Aの導体2A)が面接触した状態で接続される第1の被接続面を有し、また、第2導体被接続部6bは他方の第2の導体(電線1Bの導体2B)が面接触した状態で接続される第2の被接続面を有している。第1の被接続面と第2の被接続面とは並列して設けられており、同一平面上の連続した面からなる。
【0026】
端子4の代表的な材質として、Cu或いはCu合金、Al或いはAl合金が挙げられるが、その他各種金属の適用が可能である。
【0027】
端子4の材質となるCu合金例としては、CuにSi,Fe,Ni,Mn,Mg,Mo,Zn,Ti,Pのうち選ばれた1種以上の元素を含むCu合金、端子材或いは導体材料としてのAl合金例は、AlにSi,Fe,Ni,Mn,Mg,Zn,Tiのうち選ばれた1種以上の元素を含むAl合金などが適用可能である。
【0028】
電線被接続部6と導体2A,2Bとの接続は、超音波溶接により行う。図1,2に示すように、例えばCuで構成される端子の隣り合わせた2ヶ所、すなわち第1導体被接続部6a上の第1の被接続面と第2導体被接続部6b上の第2の被接続面に、Alからなる複数本の素線を撚り合わせた撚り線からなる導体2A,2Bを超音波溶接にて面接触した状態で接続し、接続部を形成する。
【0029】
2ヶ所の導体接続は、1ヶ所ずつ2段階のプロセスでもよいし、更に効率的には、2つの超音波発振装置を用い、2ヶ所同時に接続してもよい。
【0030】
次の工程として、図3のように、その2ヶ所の導体接続部に接続された第1の導体と第2の導体とを、端子4の電線被接続部6の一部を折り曲げ加工することにより接触、一体化させる。
【0031】
このとき、第1導体被接続部6a上の第1の被接続面と第2導体被接続部6b上の第2の被接続面とは対向しており、第1の導体2Aと第2の導体2Bとは、第1の被接続面と第2の被接続面の間に挟まれた状態で(第1の被接続面及び第2の被接続面と接続される面とは反対側の面で)互いに面接触している。
【0032】
図4は、端子4と導体2A,2Bの接続部分の断面図を示したものである。図4(a),(c)のように導体同士は互いに対向する面の全面で接して接続されているのが最も好ましいが、図4(b)のように対向する面の一部で接して接続されていればよい。好ましくは、接続する面の断面積の2/3以上が接しているのがよい。また、図4(c)のように端子4の第1の導体2Aが接続された部分と第2の導体2Bが接続された部分との間に位置する折り曲げ加工部分に隙間があってもよいが、コンパクト化の観点からは図4(a)のように折り曲げ加工部分に隙間がないように加工することが好ましい。
【0033】
次に本実施の形態の作用を説明する。
【0034】
本発明では、電線と端子との接続を超音波溶接により行う。超音波接続の場合、印加する超音波振動により、はんだやめっき、機械的研磨など特殊な前処理をすることなく、端子と電線を接続することが可能である。
【0035】
ここで導体の接続を、2ヶ所に分割して行うことにより、2ヶ所に接続した導体のトータルの導体断面積と等しい導体断面積を有する1本の導体を1ヶ所で接続するよりも、接続面としてのCu/Al界面までの超音波伝達の距離を小さくすることができるため、より少ない超音波エネルギーと加圧力とを印加することで接続が可能である。例えば、本方式によると、断面積15mm2導体の従来接続方法とほぼ同じ超音波エネルギーでトータル30mm2相当の導体の接続が可能である。
【0036】
また、図3のように、2ヶ所の導体接続部に接続された第1の導体と第2の導体とを、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに接触、一体化しているので、2本の導体及び導体接続部をもつ場合でも、同じ導体断面積を持つ1本の導体の接続の場合と同等の省スペース化と導電性能を確保することができる。
【0037】
これにより、端子に導体断面積が20mm2以上である導体を超音波接続する場合にも、接続部の幅を広げずに接続強度や接続抵抗の信頼性の高い接続を行うことができる。接続する導体の断面積が大きくなるほどこの接続方法のメリットは大きくなり、また、撚り線からなる導体の素線切れ防止に効果が大きい。
【0038】
更に、本方式の場合、従来例(図10)のような、片面接続の場合と比較して、導体と端子の接触面積が約2倍確保できるため、高い接続強度と低い接続抵抗を容易に得ることができる。
【0039】
次に、本発明の他の実施の形態を図5〜8により説明する。
【0040】
前記した実施の形態では、異なる2本の電線を用いたが、本実施の形態は、導体2Aと導体2Bの断面積の和に相当する太径の導体を有する1本の電線を用い、この電線の端末で導体を2分割して端子に接続するものである。
【0041】
図5,6に示すように、絶縁体13で被覆された太径の導体12を有する電線11の端末において、導体12を電線11の軸方向に2分割し、第1の導体12a及び第2の導体12bを形成する。次に、図7に示すように、この第1の導体12a及び第2の導体12bを、前述したようにそれぞれ端子4の第1導体被接続部6a上の第1の被接続面及び第2導体被接続部6b上の第2の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続し、接続部を形成する。
【0042】
次に、図8のように、その2ヶ所の導体接続部に接続された第1の導体と第2の導体とを、端子4の電線被接続部6の一部を折り曲げ加工することにより接触、一体化させる。
【0043】
このとき、図1〜4で説明したのと同様に、第1導体被接続部6a上の第1の被接続面と第2導体被接続部6b上の第2の被接続面とは対向しており、第1の導体12aと第2の導体12bとは、第1の被接続面と第2の被接続面の間に挟まれた状態で(第1の被接続面及び第2の被接続面と接続される面とは反対側の面で)互いに面接触している。
【0044】
本実施の形態によれば、太径の導体の端末を2分割することで、前記のように導体を2本の電線で接続したのと同様の優れた効果を得ることができる。
【実施例】
【0045】
次に、本発明の実施例1〜9及び従来例1〜3について説明する。
【0046】
[実施例1]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;10mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0047】
[実施例2]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;20mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0048】
[実施例3]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;25mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0049】
[実施例4]
図5に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と1本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;50mm2)×1本)を用い、図6に示すように導体先端を2つに分割させた後、2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図7に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0050】
[実施例5]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ0.3mm、導体断面積;25mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0051】
[実施例6]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ0.28mm、導体断面積;22.5mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0052】
[実施例7]
図1に示すような端子形状に加工したAl板(厚さ2.0mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;25mm2)×2本)を用い図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0053】
[実施例8]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のCu撚り線導体((素線径φ0.3mm、導体断面積;20mm2)×2本)を用い図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とCu撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のCu撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0054】
[実施例9]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ0.28mm、導体断面積;25mm2)×2本)を用い図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0055】
[従来例1]
オープンバレル形状に加工したCu端子(厚さ1.5mm)の片面にAl撚り線導体(素線径φ1.0mm、導体断面積;40mm2)を配置し、図10で説明したように超音波溶接にて端子と導体を一体化させた。
【0056】
[従来例2]
図9に示すように、表面に厚さ5μmのSnめっきを施した円筒形状のAl端子(厚さ2.0mm)に、先端をSn−Znはんだ処理したAl撚り線導体(素線径φ1.0mm、導体断面積;40mm2)を挿入し、圧縮接続にて端子と導体を一体化させた。
【0057】
[従来例3]
図11に示すように、オープンバレル形状に加工したAl端子(厚さ1.5mm)の片面にAl撚り線導体(素線径φ1.0mm、導体断面積;40mm2)を配置し、超音波溶接にて端子と導体を一体化させた。更に続けて、加工部を同じAl端子により圧着した。
【0058】
実施例1〜9に示す端子の接合幅は、それぞれの導体断面積を持つケーブルの絶縁体を含む直径とほぼ等しい次の値とした。導体断面積20mm2−接続幅8mm、導体断面積40mm2−接続幅12mm、導体断面積45mm2−接続幅13mm、導体断面積50mm2−接続幅15mmである。
【0059】
表1は、本発明の実施例1〜9および従来例1〜3の端子付き電線に対して、端子と導体の接続強度(初期値、塩水噴霧試験後の値)、接続抵抗(初期値、塩水噴霧試験後の値)、接続に関わる材料・工程を含めたコストを比較し、総合評価を行ったものである。
【0060】
端子と導体の接続強度は、端子と導体の両端を掴み、引張り試験機にて電線が破断または接続部から電線が引き抜けるまでの引張り応力を測定した。接続強度の評価は、導体単体での強度の90%以上を○(優秀の意味)、85%〜90%未満を△(合格の意味)、75%〜85%未満を×(不合格の意味)とした。接続抵抗測定は、直流4端子法を用い、接続部に10Aの電流を流す通電条件の下で行った。抵抗値が30μΩ以下を○(優秀の意味)、30〜60μΩ未満を△(合格の意味)、60μΩ以上を×(不合格の意味)とした。また、塩水噴霧試験は、JIS Z 2371に準じて濃度5%の塩水を用いて行った。この結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1によれば、実施例1〜9は、優れた接続強度や接続抵抗の信頼性を有することが判る。特に、実施例1〜8では、初期の接続強度だけでなく、塩水噴霧試験後にも高い接続強度を保っていた。さらに、接続抵抗に関しても、初期及び塩水噴霧試験後で優れた値を示した。実施例1〜9では、2ヶ所の超音波接続部に分けることで、見かけの超音波伝達厚さを小さくできるため、優れた接続強度や接続抵抗の信頼性を有するものと考えられる。また、2ヶ所に分けた導体接続部を、その後圧力を加えながら一体化させることで、導体総断面積が大きくなっても接続部の幅を広げることなく接続信頼性を高めることができるため、限られた配線スペースにコンパクトに配線することができる。2ヶ所の接続点は、1つの超音波振動子にて2工程で行ってもよいし、更に工程スピードを上げるため、2つの超音波振動子をつかって同時に行ってもよい。また、実施例1〜9は、従来例1に示すような片面接続と比較して、端子と導体の接続面積が約2倍得ることができるため、接続信頼性が高い。この2ヶ所接続を行う実施例1〜9は、接続する端子/導体の界面までの距離をより小さく配置できるため、トータルの断面積が同じ導体を接続する場合、1ヶ所で接続する従来例1の方法と比較して低エネルギーで或いは低加圧力で接続が可能である。また、太径導体を片面から、強い超音波出力と加圧力で無理に接続しようとすると、導体の素線切れや、材料疲労による強度低下が問題となるが、本発明の接続方法においては、上記理由により、より小さい超音波エネルギーと加圧力で接続可能なため、特に実施例3,4に示すような太径導体の接続や実施例5,6に示すような細素線導体の接続に極めて効果が高い。ただし、導体総断面積(A)と素線径(B)としA/B(mm)で評価すると、実施例9に示すように、A/Bが167mmを超える場合には、素線切れによる接続抵抗および接続強度の信頼性の低下が発生し易くなるため、A/Bの値は167mm以下とすることが好ましい。
【0063】
端子の材質は、Cu系のものに限らず、実施例7に示すようなAl系の材料でも同様の効果を得ることができる。また、実施例8のようにCu端子/Cu導体の組合せの場合でも本工法の適用が可能である。
【0064】
従来例1の片面から接続する方法は、導体径が太い場合、超音波エネルギーが接続部であるCu/Al界面に十分到達せず、接続強度及び接続抵抗の信頼性が低下しやすい。
【0065】
従来例2に示す圧縮接続は、Al導体とAl端子の組合せを用いるため、接触抵抗を低減させるための端子及び導体表面処理が必須であり、材料及び工程コストが高い製品となる。
【0066】
従来例3に示す超音波と圧縮を併用する接続は、従来方式での超音波接続自体が困難な20mm2を越えるような接続では、十分な接続強度の信頼性を得ることが難しい。
【0067】
以上の結果により、表中の総合評価で示すとおり、接続強度、接続抵抗、コストのすべてに優れた特性を示す端子及び端子と電線との接続方法は本発明で提案した端子及び端子と導体の接続構造に準ずる実施例1〜9と判断できる。
【符号の説明】
【0068】
1 電線
2A 第1の導体
2B 第2の導体
4 端子
5 第1の被接続部(電気被接触部)
6 第2の被接続部(電線被接続部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子および端子付き電線とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に適用されている電線と端子との接続方法としては、例えば図9(a),(b)に示すように絶縁体23で被覆された電線21の導体22と端子24とを圧縮して接続する圧縮接続がある。なお、近年のハイブリッド自動車などでは、電線21の導体22にアルミ(Al)が用いられることが多い。Al材質の圧縮接続の場合、強固なAl酸化膜の除去に工夫が必要であり、端子24にSnめっき、Al導体の端末には、はんだ処理(図9(a)のはんだ25の形成)が行われており、工程コスト、材料コストなどの面でデメリットが大きい。
【0003】
このような圧縮接続に替わる接続方法としては、図10に示すような、端子26と導体22を超音波溶接により接続する方法がある。例えば、特許文献1では、端子と導体の接続方法として、図11のような方法で、一つの装置内で超音波接続と圧縮接続を連続して行い、端子27と導体22とを接続する方法が提案されている。この方法によると、圧縮接続を併用することで超音波接続時に印加される超音波エネルギーや圧力の不足分を補うことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−117666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ハイブリッド自動車(HEV自動車)などにおいて、駆動モータとバッテリーとの間に配線される電源用配線材は、大電流化などのために、導体の外径が大きい電線(例えば、断面積20mm2以上の導体を有する電線)を使用することが望まれている。一方、駆動モータ周辺のコンパクト化に伴い、限られた配線スペースに電線を配線しなければならず、電線を接続するための端子については、電線との接続部の幅が制限される(例えば、電線の外径と同等程度の幅に制限される)傾向にある。
【0006】
このような中、図10のような一般的な超音波接続では、例えば撚り線からなるアルミニウム導体(以下、Al導体)を接続した場合、断面積15mm2程度の導体径であれば接続になんら問題ない。しかし、断面積20mm2以上のような太径の導体を接続しようとした場合、接続部の幅が制限されることに伴い、超音波エネルギーの印加点から端子と導体との接続面までの距離が大きくなるため、超音波エネルギーが十分に接続面へ伝わらず、信頼性の高い接続ができない。一方、超音波エネルギーを接続面まで十分に伝えるために印加する超音波エネルギーや加圧力を増やした場合、導体の素線切れの問題が発生するおそれがある。
【0007】
また、図11に示す特許文献1の接続方法では、オープンバレルの圧着端子形状であるため、圧着力が不十分となり、接続後に端子27から導体22が外れるなど、接続強度の信頼性に問題が生じる可能性がある。また、本方式では、導体22を構成する素線間において金属学的接続が十分に行われない場合があり、このような場合、接続抵抗の信頼性に不安がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決し、安価で、かつ、接続強度や接続抵抗の信頼性が高い端子及び端子付き電線とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく請求項1の発明は、機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線を構成する導体と接続される第2の被接続部を有する端子において、前記第2の被接続部は、第1の導体が面接触した状態で接続される第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されており、第2の導体が面接触した状態で接続される第2の被接続面とを有する端子である。
【0010】
請求項2の発明は、前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とは、連続した面からなる請求項1記載の端子である。
【0011】
請求項3の発明は、機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線を構成する導体と接続される第2の被接続部を有する端子が前記電線の導体の端末に接続されている端子付き電線において、前記第2の被接続部は、第1の導体が面接触した状態で接続されている第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されて第2の導体が面接触した状態で接続されている第2の被接続面とを有し、前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とが対向するように前記第2の被接続部の一部が折り曲げられて、前記第1の導体と前記第2の導体とが、前記第1の被接続面と前記第2の被接続面の間に挟まれた状態で、前記第1の導体と前記第2の導体とが互いに面接触して接続されている端子付き電線である。
【0012】
請求項4の発明は、前記第1の導体および前記第2の導体は、それぞれ前記第1の被接続面および前記第2の被接続面に超音波接続によって接続されている請求項3記載の端子付き電線である。
【0013】
請求項5の発明は、前記第1の導体および前記第2の導体は、同一の電線の導体を分割してなる請求項3又は4記載の端子付き電線である。
【0014】
請求項6の発明は、前記第1の導体および前記第2の導体は、異なる電線の導体からなる請求項3又は4記載の端子付き電線である。
【0015】
請求項7の発明は、前記導体の総断面積(A,mm2)と前記導体を構成する素線の外径(B,mm)との比A/B(mm)が、167mm以下である請求項3〜6いずれかに記載の端子付き電線である。
【0016】
請求項8の発明は、機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線と接続される第2の被接続部を有する端子に、電線の導体が接続されて形成された端子付き電線の製造方法において、第1の導体を前記第2の被接続部の第1の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続する工程と、第2の導体を前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように設けられた第2の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続する工程と、前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とが対向するように前記第2の被接続部の一部を折り曲げて前記第1の導体と前記第2の導体とが前記第1の被接続面と前記第2の被接続面との間に挟まれた状態となるように前記第2の被接続部を加工する工程と、前記第1の導体と前記第2の導体とを、互いに対向する面で接触させて接続する工程と、を含む端子付き電線の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、安価で、かつ、接続強度の信頼性が高い端子及び端子と電線の接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態を示し、端子と電線を接続する前の外観斜視図である。
【図2】図1の端子と電線を接続した後の外観斜視図である。
【図3】図2の端子を折り曲げ加工した後の端子付き電線の外観斜視図である。
【図4】本発明に係る端子と導体の接続部分の断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示し、端子と電線を接続する前の外観斜視図である。
【図6】図5の電線の導体を2分割した図である。
【図7】図5の端子と電線を接続した後の外観斜視図である。
【図8】図7の端子を折り曲げ加工した後の端子付き電線の外観斜視図である。
【図9】従来の形態を示し、(a)は端子と電線の接続前の外観斜視図、(b)は接続後の接続部分の断面図である。
【図10】従来の形態を示し、端子と電線を接続した後の外観斜視図である。
【図11】従来の端子と電線の接続を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
図1〜3に示すように、電線1は、銅(Cu)或いは銅合金(Cu合金)、またはアルミニウム(Al)或いはアルミニウム合金(Al合金)からなる素線を、複数本撚り合わせなどして形成された導体2と、導体2を覆う絶縁体3とで構成される。なお導体2としては、これに限定するものではない。また、各種めっきを表面に施しためっき線の適用も可能である。なお、電線2の導体の外径が太くなるほど、比重が小さいAl或いはAl合金導体を適用することで、Cu或いはCu合金を使用した場合と比べて軽量化が可能である。
【0021】
また、導体2の総断面積(A,mm2)と導体2を構成する素線の外径(B,mm)との比A/B(mm)は、167mm以下であることが望ましい。これは、A/B(mm)が167mmを超える場合には、素線切れによる接続抵抗および接続強度の信頼性の低下が発生し易くなるからである。
【0022】
絶縁体3には、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、フッ素系樹脂などが用いられる。
【0023】
本実施の形態においては、異なる2本の電線1A,1Bを用い、その2本の電線1A,1Bで分割された導体2A,2Bに接続される端子4は、金属の板材を打ち抜くなどして形成される。端子4の一方には電気機器に接続される第1の被接続部である電気被接触部5が形成され、他方には、電線1A,1Bの各導体2A,2Bに接続される第2の被接続部である電線被接続部6が形成される。
【0024】
電線被接続部6は、電気被接触部5から延びた長方形状の第1導体被接続部6aと、第1導体被接続部6aの幅方向の片辺に第1導体被接続部6aから張り出すように延びて設けられた第2導体被接続部6bとで構成される。本実施の形態では、第1導体被接続部6aと第2導体被接続部6bをそれぞれ略長方形状として説明しているが、形状はこれに限るものではなく、例えば切欠部や孔が設けられていても良い。
【0025】
第1導体被接続部6aは第1の導体(電線1Aの導体2A)が面接触した状態で接続される第1の被接続面を有し、また、第2導体被接続部6bは他方の第2の導体(電線1Bの導体2B)が面接触した状態で接続される第2の被接続面を有している。第1の被接続面と第2の被接続面とは並列して設けられており、同一平面上の連続した面からなる。
【0026】
端子4の代表的な材質として、Cu或いはCu合金、Al或いはAl合金が挙げられるが、その他各種金属の適用が可能である。
【0027】
端子4の材質となるCu合金例としては、CuにSi,Fe,Ni,Mn,Mg,Mo,Zn,Ti,Pのうち選ばれた1種以上の元素を含むCu合金、端子材或いは導体材料としてのAl合金例は、AlにSi,Fe,Ni,Mn,Mg,Zn,Tiのうち選ばれた1種以上の元素を含むAl合金などが適用可能である。
【0028】
電線被接続部6と導体2A,2Bとの接続は、超音波溶接により行う。図1,2に示すように、例えばCuで構成される端子の隣り合わせた2ヶ所、すなわち第1導体被接続部6a上の第1の被接続面と第2導体被接続部6b上の第2の被接続面に、Alからなる複数本の素線を撚り合わせた撚り線からなる導体2A,2Bを超音波溶接にて面接触した状態で接続し、接続部を形成する。
【0029】
2ヶ所の導体接続は、1ヶ所ずつ2段階のプロセスでもよいし、更に効率的には、2つの超音波発振装置を用い、2ヶ所同時に接続してもよい。
【0030】
次の工程として、図3のように、その2ヶ所の導体接続部に接続された第1の導体と第2の導体とを、端子4の電線被接続部6の一部を折り曲げ加工することにより接触、一体化させる。
【0031】
このとき、第1導体被接続部6a上の第1の被接続面と第2導体被接続部6b上の第2の被接続面とは対向しており、第1の導体2Aと第2の導体2Bとは、第1の被接続面と第2の被接続面の間に挟まれた状態で(第1の被接続面及び第2の被接続面と接続される面とは反対側の面で)互いに面接触している。
【0032】
図4は、端子4と導体2A,2Bの接続部分の断面図を示したものである。図4(a),(c)のように導体同士は互いに対向する面の全面で接して接続されているのが最も好ましいが、図4(b)のように対向する面の一部で接して接続されていればよい。好ましくは、接続する面の断面積の2/3以上が接しているのがよい。また、図4(c)のように端子4の第1の導体2Aが接続された部分と第2の導体2Bが接続された部分との間に位置する折り曲げ加工部分に隙間があってもよいが、コンパクト化の観点からは図4(a)のように折り曲げ加工部分に隙間がないように加工することが好ましい。
【0033】
次に本実施の形態の作用を説明する。
【0034】
本発明では、電線と端子との接続を超音波溶接により行う。超音波接続の場合、印加する超音波振動により、はんだやめっき、機械的研磨など特殊な前処理をすることなく、端子と電線を接続することが可能である。
【0035】
ここで導体の接続を、2ヶ所に分割して行うことにより、2ヶ所に接続した導体のトータルの導体断面積と等しい導体断面積を有する1本の導体を1ヶ所で接続するよりも、接続面としてのCu/Al界面までの超音波伝達の距離を小さくすることができるため、より少ない超音波エネルギーと加圧力とを印加することで接続が可能である。例えば、本方式によると、断面積15mm2導体の従来接続方法とほぼ同じ超音波エネルギーでトータル30mm2相当の導体の接続が可能である。
【0036】
また、図3のように、2ヶ所の導体接続部に接続された第1の導体と第2の導体とを、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに接触、一体化しているので、2本の導体及び導体接続部をもつ場合でも、同じ導体断面積を持つ1本の導体の接続の場合と同等の省スペース化と導電性能を確保することができる。
【0037】
これにより、端子に導体断面積が20mm2以上である導体を超音波接続する場合にも、接続部の幅を広げずに接続強度や接続抵抗の信頼性の高い接続を行うことができる。接続する導体の断面積が大きくなるほどこの接続方法のメリットは大きくなり、また、撚り線からなる導体の素線切れ防止に効果が大きい。
【0038】
更に、本方式の場合、従来例(図10)のような、片面接続の場合と比較して、導体と端子の接触面積が約2倍確保できるため、高い接続強度と低い接続抵抗を容易に得ることができる。
【0039】
次に、本発明の他の実施の形態を図5〜8により説明する。
【0040】
前記した実施の形態では、異なる2本の電線を用いたが、本実施の形態は、導体2Aと導体2Bの断面積の和に相当する太径の導体を有する1本の電線を用い、この電線の端末で導体を2分割して端子に接続するものである。
【0041】
図5,6に示すように、絶縁体13で被覆された太径の導体12を有する電線11の端末において、導体12を電線11の軸方向に2分割し、第1の導体12a及び第2の導体12bを形成する。次に、図7に示すように、この第1の導体12a及び第2の導体12bを、前述したようにそれぞれ端子4の第1導体被接続部6a上の第1の被接続面及び第2導体被接続部6b上の第2の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続し、接続部を形成する。
【0042】
次に、図8のように、その2ヶ所の導体接続部に接続された第1の導体と第2の導体とを、端子4の電線被接続部6の一部を折り曲げ加工することにより接触、一体化させる。
【0043】
このとき、図1〜4で説明したのと同様に、第1導体被接続部6a上の第1の被接続面と第2導体被接続部6b上の第2の被接続面とは対向しており、第1の導体12aと第2の導体12bとは、第1の被接続面と第2の被接続面の間に挟まれた状態で(第1の被接続面及び第2の被接続面と接続される面とは反対側の面で)互いに面接触している。
【0044】
本実施の形態によれば、太径の導体の端末を2分割することで、前記のように導体を2本の電線で接続したのと同様の優れた効果を得ることができる。
【実施例】
【0045】
次に、本発明の実施例1〜9及び従来例1〜3について説明する。
【0046】
[実施例1]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;10mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0047】
[実施例2]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;20mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0048】
[実施例3]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;25mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0049】
[実施例4]
図5に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と1本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;50mm2)×1本)を用い、図6に示すように導体先端を2つに分割させた後、2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図7に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0050】
[実施例5]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ0.3mm、導体断面積;25mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0051】
[実施例6]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ0.28mm、導体断面積;22.5mm2)×2本)を用い、図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0052】
[実施例7]
図1に示すような端子形状に加工したAl板(厚さ2.0mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ1.0mm、導体断面積;25mm2)×2本)を用い図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0053】
[実施例8]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のCu撚り線導体((素線径φ0.3mm、導体断面積;20mm2)×2本)を用い図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とCu撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のCu撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0054】
[実施例9]
図1に示すような端子形状に加工したCu板(厚さ1.5mm)と、異なる2本の電線の各導体を構成する2本のAl撚り線導体((素線径φ0.28mm、導体断面積;25mm2)×2本)を用い図2に示すように2ヶ所の導体接続部であって同じ面内に位置する第1の被接続面および第2の被接続面とAl撚り線導体とを2ヶ所超音波溶接にて接続し、図3に示すようにその2ヶ所の導体接続部に接続された2本のAl撚り線導体を、端子を折り曲げ加工することにより第1の被接続面と第2の被接続面との間に挟まれた状態で互いに面接触させて接続し一体化させた。
【0055】
[従来例1]
オープンバレル形状に加工したCu端子(厚さ1.5mm)の片面にAl撚り線導体(素線径φ1.0mm、導体断面積;40mm2)を配置し、図10で説明したように超音波溶接にて端子と導体を一体化させた。
【0056】
[従来例2]
図9に示すように、表面に厚さ5μmのSnめっきを施した円筒形状のAl端子(厚さ2.0mm)に、先端をSn−Znはんだ処理したAl撚り線導体(素線径φ1.0mm、導体断面積;40mm2)を挿入し、圧縮接続にて端子と導体を一体化させた。
【0057】
[従来例3]
図11に示すように、オープンバレル形状に加工したAl端子(厚さ1.5mm)の片面にAl撚り線導体(素線径φ1.0mm、導体断面積;40mm2)を配置し、超音波溶接にて端子と導体を一体化させた。更に続けて、加工部を同じAl端子により圧着した。
【0058】
実施例1〜9に示す端子の接合幅は、それぞれの導体断面積を持つケーブルの絶縁体を含む直径とほぼ等しい次の値とした。導体断面積20mm2−接続幅8mm、導体断面積40mm2−接続幅12mm、導体断面積45mm2−接続幅13mm、導体断面積50mm2−接続幅15mmである。
【0059】
表1は、本発明の実施例1〜9および従来例1〜3の端子付き電線に対して、端子と導体の接続強度(初期値、塩水噴霧試験後の値)、接続抵抗(初期値、塩水噴霧試験後の値)、接続に関わる材料・工程を含めたコストを比較し、総合評価を行ったものである。
【0060】
端子と導体の接続強度は、端子と導体の両端を掴み、引張り試験機にて電線が破断または接続部から電線が引き抜けるまでの引張り応力を測定した。接続強度の評価は、導体単体での強度の90%以上を○(優秀の意味)、85%〜90%未満を△(合格の意味)、75%〜85%未満を×(不合格の意味)とした。接続抵抗測定は、直流4端子法を用い、接続部に10Aの電流を流す通電条件の下で行った。抵抗値が30μΩ以下を○(優秀の意味)、30〜60μΩ未満を△(合格の意味)、60μΩ以上を×(不合格の意味)とした。また、塩水噴霧試験は、JIS Z 2371に準じて濃度5%の塩水を用いて行った。この結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
表1によれば、実施例1〜9は、優れた接続強度や接続抵抗の信頼性を有することが判る。特に、実施例1〜8では、初期の接続強度だけでなく、塩水噴霧試験後にも高い接続強度を保っていた。さらに、接続抵抗に関しても、初期及び塩水噴霧試験後で優れた値を示した。実施例1〜9では、2ヶ所の超音波接続部に分けることで、見かけの超音波伝達厚さを小さくできるため、優れた接続強度や接続抵抗の信頼性を有するものと考えられる。また、2ヶ所に分けた導体接続部を、その後圧力を加えながら一体化させることで、導体総断面積が大きくなっても接続部の幅を広げることなく接続信頼性を高めることができるため、限られた配線スペースにコンパクトに配線することができる。2ヶ所の接続点は、1つの超音波振動子にて2工程で行ってもよいし、更に工程スピードを上げるため、2つの超音波振動子をつかって同時に行ってもよい。また、実施例1〜9は、従来例1に示すような片面接続と比較して、端子と導体の接続面積が約2倍得ることができるため、接続信頼性が高い。この2ヶ所接続を行う実施例1〜9は、接続する端子/導体の界面までの距離をより小さく配置できるため、トータルの断面積が同じ導体を接続する場合、1ヶ所で接続する従来例1の方法と比較して低エネルギーで或いは低加圧力で接続が可能である。また、太径導体を片面から、強い超音波出力と加圧力で無理に接続しようとすると、導体の素線切れや、材料疲労による強度低下が問題となるが、本発明の接続方法においては、上記理由により、より小さい超音波エネルギーと加圧力で接続可能なため、特に実施例3,4に示すような太径導体の接続や実施例5,6に示すような細素線導体の接続に極めて効果が高い。ただし、導体総断面積(A)と素線径(B)としA/B(mm)で評価すると、実施例9に示すように、A/Bが167mmを超える場合には、素線切れによる接続抵抗および接続強度の信頼性の低下が発生し易くなるため、A/Bの値は167mm以下とすることが好ましい。
【0063】
端子の材質は、Cu系のものに限らず、実施例7に示すようなAl系の材料でも同様の効果を得ることができる。また、実施例8のようにCu端子/Cu導体の組合せの場合でも本工法の適用が可能である。
【0064】
従来例1の片面から接続する方法は、導体径が太い場合、超音波エネルギーが接続部であるCu/Al界面に十分到達せず、接続強度及び接続抵抗の信頼性が低下しやすい。
【0065】
従来例2に示す圧縮接続は、Al導体とAl端子の組合せを用いるため、接触抵抗を低減させるための端子及び導体表面処理が必須であり、材料及び工程コストが高い製品となる。
【0066】
従来例3に示す超音波と圧縮を併用する接続は、従来方式での超音波接続自体が困難な20mm2を越えるような接続では、十分な接続強度の信頼性を得ることが難しい。
【0067】
以上の結果により、表中の総合評価で示すとおり、接続強度、接続抵抗、コストのすべてに優れた特性を示す端子及び端子と電線との接続方法は本発明で提案した端子及び端子と導体の接続構造に準ずる実施例1〜9と判断できる。
【符号の説明】
【0068】
1 電線
2A 第1の導体
2B 第2の導体
4 端子
5 第1の被接続部(電気被接触部)
6 第2の被接続部(電線被接続部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線を構成する導体と接続される第2の被接続部を有する端子において、
前記第2の被接続部は、第1の導体が面接触した状態で接続される第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されており、第2の導体が面接触した状態で接続される第2の被接続面とを有することを特徴とする端子。
【請求項2】
前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とは、連続した面からなる請求項1記載の端子。
【請求項3】
機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線を構成する導体と接続される第2の被接続部を有する端子が前記電線の導体の端末に接続されている端子付き電線において、
前記第2の被接続部は、第1の導体が面接触した状態で接続されている第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されて第2の導体が面接触した状態で接続されている第2の被接続面とを有し、
前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とが対向するように前記第2の被接続部の一部が折り曲げられて、前記第1の導体と前記第2の導体とが前記第1の被接続面と前記第2の被接続面の間に挟まれた状態で、前記第1の導体と前記第2の導体とが互いに面接触して接続されていることを特徴とする端子付き電線。
【請求項4】
前記第1の導体および前記第2の導体は、それぞれ前記第1の被接続面および前記第2の被接続面に超音波接続によって接続されている請求項3記載の端子付き電線。
【請求項5】
前記第1の導体および前記第2の導体は、同一の電線の導体を分割してなる請求項3又は4記載の端子付き電線。
【請求項6】
前記第1の導体および前記第2の導体は、異なる電線の導体からなる請求項3又は4に記載の端子付き電線。
【請求項7】
前記導体の総断面積(A,mm2)と前記導体を構成する素線の外径(B,mm)との比A/B(mm)が、167mm以下である請求項3〜6いずれかに記載の端子付き電線。
【請求項8】
機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線と接続される第2の被接続部を有する端子に、電線の導体が接続されて形成された端子付き電線の製造方法において、
第1の導体を前記第2の被接続部の第1の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続する工程と、
第2の導体を前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように設けられた第2の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続する工程と、
前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とが対向するように前記第2の被接続部の一部を折り曲げて前記第1の導体と前記第2の導体とが前記第1の被接続面と前記第2の被接続面との間に挟まれた状態となるように前記第2の被接続部を加工する工程と、
前記第1の導体と前記第2の導体とを、互いに対向する面で接触させて接続する工程と、を含むことを特徴とする端子付き電線の製造方法。
【請求項1】
機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線を構成する導体と接続される第2の被接続部を有する端子において、
前記第2の被接続部は、第1の導体が面接触した状態で接続される第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されており、第2の導体が面接触した状態で接続される第2の被接続面とを有することを特徴とする端子。
【請求項2】
前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とは、連続した面からなる請求項1記載の端子。
【請求項3】
機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線を構成する導体と接続される第2の被接続部を有する端子が前記電線の導体の端末に接続されている端子付き電線において、
前記第2の被接続部は、第1の導体が面接触した状態で接続されている第1の被接続面と、前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように延設されて第2の導体が面接触した状態で接続されている第2の被接続面とを有し、
前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とが対向するように前記第2の被接続部の一部が折り曲げられて、前記第1の導体と前記第2の導体とが前記第1の被接続面と前記第2の被接続面の間に挟まれた状態で、前記第1の導体と前記第2の導体とが互いに面接触して接続されていることを特徴とする端子付き電線。
【請求項4】
前記第1の導体および前記第2の導体は、それぞれ前記第1の被接続面および前記第2の被接続面に超音波接続によって接続されている請求項3記載の端子付き電線。
【請求項5】
前記第1の導体および前記第2の導体は、同一の電線の導体を分割してなる請求項3又は4記載の端子付き電線。
【請求項6】
前記第1の導体および前記第2の導体は、異なる電線の導体からなる請求項3又は4に記載の端子付き電線。
【請求項7】
前記導体の総断面積(A,mm2)と前記導体を構成する素線の外径(B,mm)との比A/B(mm)が、167mm以下である請求項3〜6いずれかに記載の端子付き電線。
【請求項8】
機器と接続される第1の被接続部を有すると共に電線と接続される第2の被接続部を有する端子に、電線の導体が接続されて形成された端子付き電線の製造方法において、
第1の導体を前記第2の被接続部の第1の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続する工程と、
第2の導体を前記第1の被接続面の幅方向に前記第1の被接続面から張り出すように設けられた第2の被接続面に超音波溶接にて面接触した状態で接続する工程と、
前記第1の被接続面と前記第2の被接続面とが対向するように前記第2の被接続部の一部を折り曲げて前記第1の導体と前記第2の導体とが前記第1の被接続面と前記第2の被接続面との間に挟まれた状態となるように前記第2の被接続部を加工する工程と、
前記第1の導体と前記第2の導体とを、互いに対向する面で接触させて接続する工程と、を含むことを特徴とする端子付き電線の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−258468(P2011−258468A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133251(P2010−133251)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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