説明

端子台

【課題】組付けの際に、バスバーにおける筐体の立設方向への動きを確保しつつ、バスバーにおける不要な方向への動きを低減することができる端子台を提供する。
【解決手段】バスバー21の他端には貫通孔が形成されるとともに、貫通孔は縦長円状となっている。バスバー21の一端22は、大幅部22bと、大幅部22bよりも幅が狭い小幅部22cとを有し、大幅部22bと小幅部22cとの間には段差部22dが形成されている。さらに、バスバー21の一端22が挿通される挿通孔15は、バスバー21の一端22が挿通可能な幅広部15aと、幅広部15aよりも幅の狭い幅狭部15bとからなる。そして、幅狭部15b内には小幅部22cが配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器と負荷とを電気的に中継する端子台として、例えば特許文献1に記載のものがある。この種の端子台はバスバーの締結箇所を備え、電子機器のバスバーと負荷のバスバーとを電気的に接続させて、電子機器と負荷とを電気的に接続させている。端子台は、端子台の外郭である筐体が取付面に対して立設されるように固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−327185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、端子台及び電子機器にはそれぞれ寸法公差が生じており、端子台に設けられるバスバーの締結箇所と、電子機器の接続端子における締結箇所とを完全に重なり合うように一致させることは困難である。そして、バスバーの締結箇所と電子機器の接続端子における締結箇所とが完全に重ならずに一致していない状態で固定すると、バスバーに無理な力がかかってバスバーが変形してしまったり、うまく組付けが行えなかったりする等の不具合が生じてしまう。
【0005】
このような不具合を解消するためには、バスバーにおける筐体の立設方向への動きを確保して、端子台及び電子機器に生じる寸法公差を吸収することが考えられる。しかしながら、バスバーにおいて、筐体の立設方向への動き以外の不要な方向への動きも存在してしまうという問題もある。バスバーにおける不要な方向への動きが存在してしまうと、例えば、自動車に搭載される端子台によれば、自動車の走行時において振動音が発生したり、振動することによって応力が発生するとともにバスバーと電子機器との連結部分に歪みが生じたりする虞があった。
【0006】
本発明の目的は、組付けの際に、バスバーにおける筐体の立設方向への動きを確保しつつ、バスバーにおける不要な方向への動きを低減することができる端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、一面に開口部を有する筐体を備えるとともに、前記筐体は第1部材に対して立設されるように固定され、前記筐体内には前記開口部を介して断面長方形状のバスバーが収容されるとともに、前記バスバーの一端を前記開口部と対向する面に形成された挿通孔から露出させて、前記バスバーの一端が第2部材に設けられる接続端子と接続されるとともに前記第2部材に固定される端子台であって、前記バスバーは、前記筐体内において前記筐体の立設方向へ移動可能に設けられるとともに、前記挿通孔から露出された前記バスバーの一端は、前記接続端子と締結される大幅部と、前記大幅部よりも幅が狭い小幅部とを有し、一部は前記バスバーの一端における前記筐体側への移動を規制するストッパ部となっており、前記挿通孔は、前記大幅部が挿通可能な長方形状の幅広部と、前記幅広部の長辺を切り欠いて凹設されるとともに前記幅広部よりも幅の狭い幅狭部とから構成され、前記小幅部は少なくとも前記幅狭部内に配置されることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、バスバーが筐体内において筐体の立設方向へ移動可能に設けられていることから、組付けの際に、端子台及び第2部材に生じる寸法公差を吸収しながら、バスバーの一端と接続端子とを接続させて端子台を第2部材に固定することができる。また、バスバーの一端における大幅部を挿通孔の幅広部を介して挿通孔から露出させるとともに、小幅部を少なくとも幅狭部内に配置させることで、バスバーの一端が筐体側に移動したとしても、ストッパ部が筐体と当接することで、バスバーの一端における筐体側への動きを規制することができる。さらに、幅狭部内に小幅部が配置されていることで、バスバーが挿通孔の幅方向に移動したとしても、小幅部と筐体とが当接することで、バスバーにおける挿通孔の幅方向への動きも規制することができる。よって、組付けの際に、バスバーにおける筐体の立設方向への動きを確保しつつ、バスバーにおける不要な方向への動きを低減することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記バスバーの他端には貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔は前記筐体の立設方向へ延びる縦長円状であることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、貫通孔が筐体の立設方向へ延びる縦長円状であるため、例えば貫通孔にボルトが挿通された状態であったとしても、バスバーが筐体内において筐体の立設方向へ移動することができる。よって、端子台を電子機器に組付ける際に、端子台及び電子機器に生じる寸法公差を吸収しながら、バスバーの一端を接続端子に対して締結することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記幅狭部における前記立設方向の長さは、前記バスバーの前記立設方向の長さよりも長くなっていることを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、幅狭部内に小幅部が配置された状態では、幅狭部の立設方向において、小幅部の一部が幅広部側に露出することなく、小幅部全体が幅狭部内に配置される。よって、幅狭部の立設方向において、小幅部の一部が幅広部側に露出する構成と比較して、ストッパ部と筐体との接触面積が増えることになり、バスバーの一端における筐体側への動きを規制する効果をさらに得ることができる。また、幅狭部の立設方向において、小幅部の一部が幅広部側に露出する構成と比較して、小幅部と筐体との接触面積が増えることになり、バスバーにおける挿通孔の幅方向への動きを規制する効果をさらに得ることができる。したがって、バスバーにおける不要な方向への動きをさらに低減することができる。
【0013】
請求項4に記載のように、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記バスバーは前記筐体内に収容される磁性体を備え、前記バスバーの他端は、前記磁性体を介して前記第2部材と電気的に接続されるとともに、前記筐体内に収容される受動部材を介して前記第1部材に電気的に接続されることを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、磁性体と受動部材とがノイズ用フィルタとして機能するため、ノイズを除去することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、車両に搭載されることを要旨とする。
【0015】
車両に搭載される端子台に適用すれば、自動車の走行時において振動音が発生したり、振動することによって応力が発生するとともにバスバーと電子機器との連結部分に歪みが生じたりすることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、組付けの際に、バスバーにおける筐体の立設方向への動きを確保しつつ、バスバーにおける不要な方向への動きを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態における端子台を上面視した平面図。
【図2】図1におけるA−A線縦断面図。
【図3】端子台の分解斜視図。
【図4】端子台がLCフィルタを構成することを示す回路図。
【図5】(a)はバスバーの一端を拡大した平面図、(b)は(a)におけるB−B線断面図。
【図6】比較のためのバスバーの一端を拡大した平面図。
【図7】比較のための挿通孔を示す平面図。
【図8】別の実施形態における挿通孔を示す平面図。
【図9】別の実施形態におけるバスバーの一端を拡大した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を電気自動車に搭載される端子台に具体化した一実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。図1は本実施形態における端子台10を上面視した平面図を示し、図2は図1におけるA−A線縦断面図を示している。また、図3は端子台10の分解斜視図を示している。
【0019】
図1及び図2に示すように、電気自動車における第1部材としてのボディBDの取付面F上には、第2部材としての電子機器Eが搭載されている。取付面Fは導電性を有するとともに、端子台10は、取付面Fに対して立設するように固定される。本実施形態では、電子機器Eは、DC/DCコンバータであるとともにバッテリと接続されてバッテリ電圧を充電する。なお、以下の説明においては、端子台10の立設方向を上下方向とする。
【0020】
図3に示すように、本実施形態における端子台10は、該端子台10の外郭となる筐体11と、側面視L字状であるとともに端部に一端22と他端23とを有する断面長方形状のバスバー21と、コンデンサユニット31とを備えている。バスバー21には、該バスバー21の長さ方向における一部分を全周に亘って被覆するように磁性体としてのフェライトコア29が設けられている。また、コンデンサユニット31には、バスバー21の他端23に接続されるとともにノイズフィルタ用として機能する受動部材としてのコンデンサ39が設けられている。すなわち、図4に示すように、端子台10は、これらバスバー21及びコンデンサユニット31を筐体11内に収容してLCフィルタを構成している。
【0021】
まず、筐体11について説明する。
図3に示すように、筐体11は、一面に開口部11aを有するとともに、上下方向(図3に示す矢印Zの方向)が長手方向となる長四角箱状となっている。筐体11の底部には、開口部11aから筐体11の外方へ延びるようにフランジ部12が形成されるとともに、フランジ部12には貫通孔12aが形成されている。
【0022】
筐体11内の下部には、コンデンサ39を収容可能な第1の収容部13が形成されるとともに、第1の収容部13とフランジ部12との間には、第1の収容部13とフランジ部12の上面とを繋ぐ切欠13aが形成されている。
【0023】
また、第1の収容部13を形成する上壁13bの上面側であって、筐体11内における略中央部には、フェライトコア29を収容可能な第2の収容部14が形成されている。さらに、図2に示すように、第2の収容部14を形成する側面であって、開口部11aと対向する面には、バスバー21の一端22が挿通可能な挿通孔15が形成されるとともに、バスバー21の一端22は、第2の収容部14から挿通孔15を介して筐体11外部へ露出されるようになっている。
【0024】
また、図3に示すように、第2の収容部14の上壁14aの上面側であって、筐体11内の上部には、ボルト36を収容可能な収容凹部16が形成されている。ボルト36は、収容凹部16内にボルト36の座面側から収容される。さらに、第2の収容部14を形成する上壁14aには、第2の収容部14と収容凹部16とを連通させる切欠14bが形成されている。切欠14bは、バスバー21が開口部11aを介して第2の収容部14内に収容された状態において、バスバー21の他端23側が第2の収容部14から収容凹部16に向かって延在可能となるように形成されている。また、筐体11内には、第2の収容部14を避けるように筐体11内の縁部に沿って収容溝部17が形成されている。収容溝部17は、第2の収容部14の上壁14aの下面側と第1の収容部13の上壁13bの下面側とが連通するように形成されている。
【0025】
次に、バスバー21及び挿通孔15について説明する。
図5(a)はバスバー21の一端22を拡大した平面図、(b)は(a)におけるB−B線断面図を示している。図5(a)に示すように、挿通孔15から露出されるバスバー21の一端22は、大幅部22bと、大幅部22bよりも幅が狭い小幅部22cとを有し、大幅部22bと小幅部22cとの間には段差部22dが形成されている。大幅部22bには貫通孔22aが形成されている。
【0026】
一方、図3に示すように、バスバー21の他端23には貫通孔23aが形成されている。貫通孔23aは上下方向へ延びる縦長円状に形成されるとともに、貫通孔23aにはボルト36が挿通可能となっている。
【0027】
図5(b)に示すように、挿通孔15は、バスバー21の一端22が挿通可能な長方形状の幅広部15aと、幅広部15aの底面である長辺を切り欠いて凹設されるとともに幅広部15aよりも幅の狭い幅狭部15bとからなる。幅広部15aは、大幅部22bの断面形状よりも僅かに大きい長方形状となっている。幅狭部15bは、幅広部15aの幅方向(図5(b)に示す矢印Xの方向)において、中心から対称の長さを有するように形成されている。
【0028】
そして、バスバー21の一端22が挿通孔15に挿通される際には、大幅部22bが幅広部15a内を通過するように挿通されるとともに、大幅部22bが挿通された後に、小幅部22cを幅狭部15b内に配置することで、バスバー21の一端22が挿通孔15を介して筐体11外へ露出するようになっている。なお、図5(b)に示すように、幅狭部15bにおける深さ方向の長さL1は、バスバー21の厚み方向の長さL2よりも長くなっている。
【0029】
次に、コンデンサユニット31について説明する。
図3に示すように、コンデンサユニット31は、第1の金属端子32及び第2の金属端子33を備えており、第1の金属端子32は端部に一端32aと他端32bとを有し、第2の金属端子33は端部に一端33aと他端33bとを有している。また、第1の金属端子32の一端32aには貫通孔34が形成されるとともに、第2の金属端子33の他端33bには貫通孔35が形成されている。さらに、第1の金属端子32の他端32bと第2の金属端子33の一端33aとの間には、コンデンサ39が挟持された状態で配設されている。すなわち、コンデンサユニット31は、第1の金属端子32、第2の金属端子33及びコンデンサ39とから構成されている。
【0030】
第1の金属端子32は、コンデンサユニット31が開口部11aを介して筐体11内に収容された状態においては、一端32aが収容凹部16内に配置されるとともに、一端32aと他端32bとの間は、切欠14bを介して収容溝部17内に収容され、他端32bが第1の収容部13の上壁13bの下面に配置されるようになっている。第1の金属端子32の貫通孔34は、第1の金属端子32の一端32aが収容凹部16内に配置された状態において、貫通孔23aと重合するようになっている。
【0031】
第2の金属端子33は、コンデンサユニット31が開口部11aを介して筐体11内に収容された状態においては、一端33aが第1の収容部13の底面上に配置されるとともに、一端33aと他端33bとの間が切欠13aと嵌合するとともにフランジ部12の上面に他端33bが載置されるようになっている。第2の金属端子33の貫通孔35は、第2の金属端子33の他端33bがフランジ部12の上面に載置された状態において、フランジ部12の貫通孔12aと重合するようになっている。
【0032】
次に、端子台10における筐体11にバスバー21及びコンデンサユニット31を収容する手順を説明する。
まず、図3における収容凹部16内にボルト36を収容するとともに、バスバー21を開口部11aを介して筐体11内に向かって挿入する。このとき、図5(b)において二点鎖線で示すように、大幅部22bが幅広部15aを通過し、且つ貫通孔23a内にボルト36が通過するように、バスバー21の一端22を挿通孔15内に挿入する。そして、大幅部22bが幅広部15aを通過したら小幅部22cが幅狭部15b内に配置されるようにバスバー21を下方に移動させるとともに、第2の収容部14内にフェライトコア29を収容する。このとき、貫通孔23aは縦長円状の孔であるため、貫通孔23a内にボルト36が挿通された状態であっても、バスバー21が下方へ移動可能となっている。このようにして、バスバー21が筐体11内に収容される。
【0033】
次に、上記構成のコンデンサユニット31を開口部11aを介して筐体11内に向かって挿入する。このとき、貫通孔34内にボルト36が通過し、且つコンデンサ39が第1の収容部13内に収容されるようにコンデンサユニット31を筐体11内に挿入する。このようにして、コンデンサユニット31が筐体11内に収容される。
【0034】
バスバー21及びコンデンサユニット31が筐体11内に収容されると、ナット37(図2参照)によってバスバー21の他端23及び第1の金属端子32の一端32aを挟んだ状態で締め付ける。さらに、カバー40によって開口部11aを封鎖することで端子台10が完成される。
【0035】
上記構成の端子台10は、図1に示すように、フランジ部12の貫通孔12a及び第2の金属端子33の貫通孔35に、取付面Fから突設されたボルト41を通過させ、ナットN1によってフランジ部12及び第2の金属端子33の他端33bを挟んだ状態で締め付けることで、取付面Fに対して立設して固定される。また、図1及び図2に示すように、端子台10は、貫通孔22aに電子機器Eに設けられるボルト42を通過させ、ナットN2によって電子機器Eから延設された接続端子43及びバスバー21の一端22を挟んだ状態で締め付けることで、電子機器Eに対して固定される。その結果、端子台10が電子機器Eに対して組付けられる。
【0036】
そして、接続端子43とバスバー21の一端22とが電気的に接続されるとともに、バスバー21の他端23と第1の金属端子32の一端32aとが電気的に接続される。また、バスバー21の他端23と第1の金属端子32の一端32aとの連結部は、図示しない補機バッテリを充電するためのケーブルへ電流を出力する出力端子として機能する。さらに、第2の金属端子33の他端33bはボルト41を介して取付面Fと電気的に接続される。よって、第2の金属端子33の他端33bは取付面Fへアースするための接地端子として機能する。
【0037】
ところで、上記構成の端子台10及び電子機器Eにはそれぞれ寸法公差が生じており、筐体11から露出するバスバー21の締結箇所と、電子機器Eの接続端子43における締結箇所とが、上下方向において完全に重なり合うように一致させることは困難である。しかしながら、本実施形態の端子台10は、貫通孔23aが縦長円状の孔であるため、貫通孔23a内にボルト36が挿通された状態であっても、バスバー21が上方へ移動することができる。よって、端子台10における組付けの際に、端子台10及び電子機器Eに生じる寸法公差を吸収しながら、貫通孔22a内にボルト42を通過させて、接続端子43とバスバー21の一端22とを挟持しながら固定することができる。
【0038】
ここで、図6には、比較のためのバスバー51の一端52を示す。バスバー51の一端52には、大幅部52bと小幅部52cとの間に本実施形態のような段差部22dのような段差が形成されていない。上記構成のバスバー51の一端52が筐体11側(図6に示す矢印Yの方向)に移動すると、段差部22dのような段差が形成されていないため、バスバー51の一端52が筐体11側へ動いてしまう。しかし、本実施形態におけるバスバー21によれば、バスバー21が筐体11内で内側に移動したとしても、段差部22dが幅狭部15bと当接することで、バスバー21における一端22の筐体11側への動きを規制することができる。すなわち、段差部22dは、バスバー21における一端22の筐体11側への移動を規制するストッパ部として機能する。
【0039】
また、図7には、比較のための挿通孔61を示す。挿通孔61は、バスバー21の一端22が挿通可能な正面視長方形状の幅広部61aと、幅広部61aの底面及び上面である長辺をそれぞれ切り欠いて凹設されるとともに幅広部61aよりも幅の狭い一対の幅狭部61bとからなる。幅狭部61bにおける深さ方向の長さL3は、バスバー21の厚み方向の長さL2よりも短くなっている。よって、幅狭部61b内に小幅部22cが配置された状態であったとしても、幅狭部61bにおける深さ方向の長さL3が、バスバー21の厚み方向の長さL2よりも短くなっているため、小幅部22cの一部が幅広部15a側に露出してしまう。
【0040】
しかし、本実施形態における挿通孔15によれば、幅狭部15bの深さ方向において、小幅部22c全体が幅狭部15b内に配置されている。よって、小幅部22cの一部が幅広部15a側に露出する構成と比較して、小幅部22cの側面と幅狭部15bの側面との接触面積が増えることになり、バスバー21における挿通孔15の幅方向への動きを規制する効果をさらに得ることができる。
【0041】
すなわち、本実施形態において、バスバー21における不要な方向への動きとは、バスバー21における一端22の筐体11側への動き、及びバスバー21における挿通孔15の幅方向への動きのことをいう。
【0042】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)貫通孔23aが縦長円状の孔であるため、貫通孔23a内にボルト36が挿通された状態であっても、バスバー21が上方へ移動することができる。よって、端子台10における組付けの際に、端子台10及び電子機器Eに生じる寸法公差を吸収しながら、バスバー21の一端22をボルト42に固定することができる。また、バスバー21の小幅部22cを幅狭部15b内に配置させることで、バスバー21の一端22が筐体11側に移動したとしても、段差部22dが筐体11と当接することで、バスバー21における一端22の筐体11側への動きを規制することができる。さらに、幅狭部15b内に小幅部22cが配置されていることで、バスバー21が挿通孔15の幅方向に移動したとしても、小幅部22cと筐体11とが当接することで、バスバー21における挿通孔15の幅方向への動きも規制することができる。よって、端子台10における組付けの際に、バスバー21における上下方向の動きを確保しつつ、バスバー21における不要な方向への動きを低減することができる。
【0043】
(2)幅狭部15bにおける深さ方向の長さL1は、バスバー21の厚み方向の長さL2よりも長くなっていることで、幅狭部15b内に小幅部22cが配置された状態では、幅狭部15bの深さ方向において、小幅部22cの一部が幅広部15a側に露出することなく、小幅部22c全体が幅狭部15b内に配置される。よって、小幅部22cの一部が幅広部15a側に露出する構成と比較して、段差部22dと幅狭部15bとの接触面積が増えることになり、バスバー21における一端22の筐体11側への動きを規制する効果をさらに得ることができる。また、幅狭部15bの深さ方向において、小幅部22cの一部が幅広部15a側に露出する構成と比較して、小幅部22cの側面と筐体11の側面との接触面積が増えることになり、バスバー21における挿通孔15の幅方向への動きを規制する効果をさらに得ることができる。したがって、バスバー21における不要な方向への動きをさらに低減することができる。
【0044】
(3)バスバー21の他端23には、フェライトコア29の信号出力端子側に接続されるとともにノイズフィルタ用として機能するコンデンサ39が設けられたコンデンサユニット31が接続されている。よって、端子台10自体がLCフィルタとして機能することができる。
【0045】
(4)上記構成の端子台10を車両である電気自動車に搭載することで、電気自動車の走行時において振動音が発生したり、振動することによって応力が発生するとともにバスバー21と電子機器Eとの連結部分に歪みが生じたりすることを抑制することができる。
【0046】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、挿通孔15の幅狭部15bは、幅広部15aの幅方向において、中心から対称の長さを有するように形成されているが、これに限らない。例えば、図8に示すように、幅広部15aの幅方向における一側面151aと同一面となるように幅狭部15bの一側面151bを設けるように、幅広部15aの底面である長辺を切り欠いて形成してもよい。
【0047】
○ 実施形態において、バスバー21における一端22の筐体11側への動きを規制するストッパ部として、大幅部22bと小幅部22cとの間に段差部22dを形成したが、これに限らない。例えば、図9に示すように、大幅部52bと小幅部52cとの間に実施形態のような段差部22dのような段差が形成されていないバスバー51における小幅部52cには、小幅部52cの側面から幅方向に向かって突出する突起部54が形成されている。これによれば、バスバー51が筐体11内で内側に移動したとしても、突起部54が筐体11と当接することで、バスバー51における一端52の筐体11側への動きを規制することができる。すなわち、突起部54は、バスバー51における一端52の筐体11側への移動を規制するストッパ部として機能する。なお、この場合、バスバー51の一端52を挿通孔15に挿通する際に、突起部54が幅広部15a内を通過することができるように突起部54の長さを設定しておく必要がある。
【0048】
○ 実施形態において、幅狭部15bを、幅広部15aの底面である長辺を切り欠いて幅広部15aの底面に凹設したが、これに限らず、幅広部15aの上面である長辺を切り欠いて幅広部15aの上面に凹設してもよい。また、幅狭部15bを、幅広部15aの底面及び上面である長辺をそれぞれ切り欠いて幅広部15aの底面及び上面に形成してもよい。この場合、小幅部22cを幅広部15aに配置しないように調整する必要がある。
【0049】
○ 実施形態において、幅広部15aの長方形状は台形状や平行四辺形状であってもよい。この場合、バスバー21の一端22が幅広部15aを通過することができるように幅広部15aを形成する必要がある。
【0050】
○ 実施形態において、貫通孔23aを縦長円状の孔にすることで、貫通孔23a内にボルト36が挿通された状態であっても、バスバー21が上方へ移動することができる構成としたが、これに限らず、筐体11内においてバスバー21とボルト36とが一体的に上方へ移動することができる構成としてもよい。
【0051】
○ 実施形態において、幅狭部15bにおける深さ方向の長さは、バスバー21の厚み方向の長さL2よりも短くてもよい。
○ 実施形態において、筐体11内にフェライトコア29及びコンデンサ39を配置して、端子台10自体をLCフィルタとして機能させなくてもよい。
【0052】
○ 本発明は、電気自動車に搭載される端子台10に適用したが、これに限らず、例えば、電気自動車以外の車両に搭載される端子台に適用してもよいし、車両以外の他の機械に搭載された他種の電気機器を収容するハウジングに設けられる端子台に適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
BD…第1部材としてのボディ、E…第2部材としての電子機器、10…端子台、11…筐体、11a…開口部、15,61…挿通孔、15a,61a…幅広部、15b,61b…幅狭部、21,51…バスバー、22,52…一端、22b,52b…大幅部、22c,52c…小幅部、22d…ストッパ部として機能する段差部、23…他端、23a…貫通孔、29…磁性体としてのフェライトコア、39…受動部材としてのコンデンサ、43…接続端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に開口部を有する筐体を備えるとともに、前記筐体は第1部材に対して立設されるように固定され、前記筐体内には前記開口部を介して断面長方形状のバスバーが収容されるとともに、前記バスバーの一端を前記開口部と対向する面に形成された挿通孔から露出させて、前記バスバーの一端が第2部材に設けられる接続端子と接続されるとともに前記第2部材に固定される端子台であって、
前記バスバーは、前記筐体内において前記筐体の立設方向へ移動可能に設けられるとともに、
前記挿通孔から露出された前記バスバーの一端は、前記接続端子と締結される大幅部と、前記大幅部よりも幅が狭い小幅部とを有し、一部は前記バスバーの一端における前記筐体側への移動を規制するストッパ部となっており、
前記挿通孔は、前記大幅部が挿通可能な長方形状の幅広部と、前記幅広部の長辺を切り欠いて凹設されるとともに前記幅広部よりも幅の狭い幅狭部とから構成され、前記小幅部は少なくとも前記幅狭部内に配置されることを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記バスバーの他端には貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔は前記筐体の立設方向へ延びる縦長円状であることを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記幅狭部における前記立設方向の長さは、前記バスバーの前記立設方向の長さよりも長くなっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の端子台。
【請求項4】
前記バスバーは前記筐体内に収容される磁性体を備え、前記バスバーの他端は、前記磁性体を介して前記第2部材と電気的に接続されるとともに、前記筐体内に収容される受動部材を介して前記第1部材に電気的に接続されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の端子台。
【請求項5】
車両に搭載されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の端子台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−277934(P2010−277934A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131267(P2009−131267)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】