端子圧着装置
【課題】簡便な構成でありながら電線を端子の所望の位置に位置決めすることができる端子圧着装置を提供する。
【解決手段】端子圧着装置20Aは、電線3の端末に端子10を取り付ける装置である。端子10は、底板7と、底板7から立設し電線3の端末部分の絶縁被覆2が皮剥きされて露出された芯線1に圧着される芯線圧着片5と、底板7から立設し絶縁被覆2の端部に圧着される絶縁被覆圧着片6と、を有している。端子圧着装置20Aは、底板7との間に芯線1を挟むように芯線圧着片5を曲げて芯線圧着片5を芯線1に圧着する第1圧着部材13と、底板7との間に絶縁被覆2を挟むように絶縁被覆圧着片6を曲げて絶縁被覆圧着片6を絶縁被覆2に圧着する第2圧着部材14と、第1圧着部材13と第2圧着部材14との間に配置され、絶縁被覆2の端面2aに当接することで電線3を位置決めする電線位置決め部材15Aと、を備えている。
【解決手段】端子圧着装置20Aは、電線3の端末に端子10を取り付ける装置である。端子10は、底板7と、底板7から立設し電線3の端末部分の絶縁被覆2が皮剥きされて露出された芯線1に圧着される芯線圧着片5と、底板7から立設し絶縁被覆2の端部に圧着される絶縁被覆圧着片6と、を有している。端子圧着装置20Aは、底板7との間に芯線1を挟むように芯線圧着片5を曲げて芯線圧着片5を芯線1に圧着する第1圧着部材13と、底板7との間に絶縁被覆2を挟むように絶縁被覆圧着片6を曲げて絶縁被覆圧着片6を絶縁被覆2に圧着する第2圧着部材14と、第1圧着部材13と第2圧着部材14との間に配置され、絶縁被覆2の端面2aに当接することで電線3を位置決めする電線位置決め部材15Aと、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の端末に端子を圧着する端子圧着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には種々の電子機器が搭載されている。これら電子機器同士を接続する際には従来よりワイヤハーネスが用いられてきた。ワイヤハーネスとは電線とこの電線の端末に取り付けられたコネクタとで構成されるものである。また、コネクタとは前記電線の端末に接続された端子とこの端子を収容するコネクタハウジングとで構成されるものである。そして、このワイヤハーネスのコネクタが電子機器に設けられたコネクタに接続されることで、電子機器同士がワイヤハーネスを介して接続される。また、前記端子は、端子圧着装置によって前記電線の端末に接続される(特許文献1を参照。)。
【0003】
図12は、従来の端子圧着装置を示す斜視図である。図13は、図12に示された端子圧着装置の平面図である。図14は、図13に示された端子圧着装置における問題点を説明する説明図である。
【0004】
図12及び図13に示すように、上記端子圧着装置220は、電線211の端末に端子212を取り付ける装置である。
【0005】
上記電線211は、導電性の芯線213aが絶縁被覆213bで覆われた被覆電線である。この電線211は、端末部分の絶縁被覆213bが皮剥きされて芯線213aが露出されている。また、この電線211には、防水用のゴム栓210が取り付けられている。
【0006】
上記端子212は、四角筒状に形成され相手側の棒状の端子が挿入される端子接続部218と、この端子接続部218に連なり板状に形成され電線211が表面上に位置付けられる底板219と、底板219の幅方向の両端部からそれぞれ立設し互いの間に位置付けられる芯線213aに圧着される一対の芯線圧着片214と、底板219の幅方向の両端部からそれぞれ立設し互いの間に位置付けられるゴム栓210の先端部216に圧着される一対のゴム栓圧着片215と、底板219の幅方向の両端部からそれぞれ立設し端子接続部218の後端部217と各芯線圧着片214の前端部214aとをそれぞれ繋げた一対の側板230と、を有している。
【0007】
上記端子圧着装置220は、端子212の底板219を表面上に位置付けるアンビル221bと、このアンビル221bと対向する位置に昇降自在に設けられ、端子212の一対の芯線圧着片214を曲げてこの一対の芯線圧着片214を芯線213aに圧着するとともに、端子212の一対のゴム栓圧着片215を曲げてこの一対のゴム栓圧着片215をゴム栓210の先端部216に圧着する圧着部材221aと、ゴム栓210の後端面に当接してゴム栓210を位置決めするゴム栓位置決め部材225と、端子212及び電線211を位置決めする位置決め部材222と、を備えている。また、位置決め部材222は、板状に形成されており、下端部が一対の側板230の上端部に当接し、一方の面224が端子212の端子接続部218の後端部217に当接し、他方の面223が芯線213aの端面に当接することで端子212及び電線211を位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−161938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の端子圧着装置220は、以下に示す問題があった。即ち、図14に示すように、端子圧着装置220は、位置決め部材222の他方の面223に芯線213aの端面を当接させることで電線211を位置決めする構成であったことから、芯線213aの端面を一対の芯線圧着片214の前端部214aよりもゴム栓圧着片215側に位置付けることができないという問題があった。即ち、電線211を端子212の所望の位置に位置決めすることができないという問題があった。
【0010】
また、端子圧着装置220は、位置決め部材222と圧着部材221aとの間にクリアランスS1が存在していたことから、図14に示すように、芯線213aの端面が一対の芯線圧着片214の前端部214aよりも端子接続部218側にはみ出してしまうという問題があった。
【0011】
さらに、端子圧着装置220は、位置決め部材222の幅が底板219の幅、即ち一対の側板230間の幅、よりも大きく形成されており、この位置決め部材222の下端部が一対の側板230の上端部に当接する構成であったことから、位置決め部材222と底板219との間にクリアランスS2が生じてしまい、そのために、一対の芯線圧着片214が芯線213aに圧着される際に、図14に示すように、芯線213aが位置決め部材222の他方の面223よりも一方の面224側に伸びてしまうことがあるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、簡便な構成でありながら電線を端子の所望の位置に位置決めすることができる端子圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、導電性の芯線が絶縁被覆で覆われた電線の端末に、前記電線が表面上に位置付けられる底板と、前記底板から立設し、前記電線の端末部分の前記絶縁被覆が皮剥きされて露出された前記芯線に圧着される芯線圧着片と、前記底板から立設し、前記絶縁被覆の端部に圧着される絶縁被覆圧着片と、を有する端子を取り付ける端子圧着装置において、前記底板との間に前記芯線を挟むように前記芯線圧着片を曲げて、該芯線圧着片を前記芯線に圧着する第1圧着部材と、前記底板との間に前記絶縁被覆を挟むように前記絶縁被覆圧着片を曲げて、該絶縁被覆圧着片を前記絶縁被覆に圧着する第2圧着部材と、前記第1圧着部材と前記第2圧着部材との間に配置され、前記絶縁被覆の端面に当接することで前記電線を位置決めする電線位置決め部材と、を備えていることを特徴とする端子圧着装置である。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記芯線圧着片の前記絶縁被覆圧着片から離れた側の端部と隣り合う位置に位置付けられるとともに前記芯線の端面と隣り合う位置に位置付けられて、前記芯線圧着片が前記芯線に圧着される際に、前記芯線が前記芯線圧着片の前記端部よりも前記絶縁被覆圧着片から離れた側に伸びることを規制する芯線ストッパを備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記芯線ストッパが、前記底板に当接する位置に位置付けられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された発明によれば、前記第1圧着部材と前記第2圧着部材との間に配置され、前記絶縁被覆の端面に当接することで前記電線を位置決めする電線位置決め部材を備えているので、絶縁被覆の皮剥き寸法を調整することで、電線を固定する位置、即ち芯線の端面の位置、を所望の位置に調整することができる。よって、簡便な構成でありながら電線を端子の所望の位置に位置決めすることができる端子圧着装置を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載された発明によれば、前記芯線圧着片の前記絶縁被覆圧着片から離れた側の端部と隣り合う位置に位置付けられるとともに前記芯線の端面と隣り合う位置に位置付けられて、前記芯線圧着片が前記芯線に圧着される際に、前記芯線が前記芯線圧着片の前記端部よりも前記絶縁被覆圧着片から離れた側に伸びることを規制する芯線ストッパを備えているので、芯線が伸びて芯線圧着片からはみ出すことを防止できる。
【0018】
請求項3に記載された発明によれば、前記芯線ストッパが、前記底板に当接する位置に位置付けられるので、芯線が伸びて芯線圧着片からはみ出すことを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る端子圧着装置の斜視図である。
【図2】図1に示された端子圧着装置の概略図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る端子圧着装置の概略図である。
【図4】図3中のA−A線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る端子圧着装置の概略図である。
【図6】図5に示された第1圧着部材及び芯線ストッパの斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る端子圧着装置の概略図である。
【図8】図7に示された芯線ストッパの斜視図である。
【図9】図7に示された端子圧着装置が端子を圧着する様子を説明する説明図である。
【図10】図9に示された芯線ストッパ及び端子の位置関係を説明する説明図である。
【図11】本発明の端子圧着装置によって電線の端末に端子が取り付けられた端子付き電線を示す斜視図である。
【図12】従来の端子圧着装置を示す斜視図である。
【図13】図12に示された端子圧着装置の平面図である。
【図14】図13に示された端子圧着装置における問題点を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る端子圧着装置を図1及び図2、並びに図11を参照しながら説明する。
【0021】
上記端子圧着装置20Aは、電線3の端末に端子10を取り付ける装置である。
【0022】
上記電線3は、導電性の複数の素線からなる芯線1が絶縁性の合成樹脂からなる絶縁被覆2で覆われた被覆電線である。また、電線3は、断面が丸形の丸電線である。この電線3は、端末部分の絶縁被覆2が所定の長さ皮剥きされて芯線1が露出されている。また、図1などに示す符号1aは、芯線1の先端部の「端面」を示しており、符号2aは、絶縁被覆2の先端部の「端面」を示している。
【0023】
上記端子10は、金属板にプレス加工等が施されて得られるものであり、端子接続部4と、底板7と、一対の芯線圧着片5と、一対の絶縁被覆圧着片6と、一対の側板8と、一対の第2側板9と、を一体に有している。
【0024】
上記端子接続部4は、四角筒状に形成され相手側の棒状の端子が挿入される筒部41と、筒部41内に挿入された相手側の棒状の端子を筒部41の内面に付勢する付勢バネ42と、を有している。
【0025】
上記底板7は、筒部41の一端部に連なり、長方形の板状に形成されている。この底板7は、その表面上に電線3を位置付ける。
【0026】
上記一対の芯線圧着片5は、底板7の幅方向の両端部からそれぞれ立設しており、端子圧着装置20Aによって、互いの間に位置付けられる芯線1に圧着される。
【0027】
上記一対の絶縁被覆圧着片6は、底板7の幅方向の両端部からそれぞれ立設しており、端子圧着装置20Aによって、互いの間に位置付けられる絶縁被覆2の端部に圧着される。また、一対の芯線圧着片5と一対の絶縁被覆圧着片6とは、底板7の長手方向に沿って間隔をあけて並んでいる。また、一対の絶縁被覆圧着片6は、端子接続部4との間に一対の芯線圧着片5を位置付ける位置に配置されている。
【0028】
上記一対の側板8は、底板7の幅方向の両端部からそれぞれ板状に立設しているとともに、筒部41の一端部と各芯線圧着片5の前端部5aとをそれぞれ繋げている。また、「前端部5a」とは、芯線圧着片5の絶縁被覆圧着片6から離れた側の端部を言う。
【0029】
上記一対の第2側板9は、底板7の幅方向の両端部からそれぞれ板状に立設しているとともに、各芯線圧着片5と各絶縁被覆圧着片6とをそれぞれ繋げている。
【0030】
上記端子圧着装置20Aは、図1に示すように、端子10の底板7を表面上に位置付けるアンビル11と、このアンビル11と対向する位置に矢印Yに沿って昇降自在に設けられたラム部材12と、このラム部材12に固定された第1圧着部材13と、同じくラム部材12に固定された第2圧着部材14と、ラム部材12に固定されかつ第1圧着部材13と前記第2圧着部材14との間に配置された電線位置決め部材15Aと、これら第1圧着部材13、第2圧着部材14、電線位置決め部材15Aが固定された前記ラム部材12をアンビル11に対して昇降移動させる図示しない移動部と、前記アンビル11上に端子10を供給する図示しない端子供給部と、アンビル11上の端子10に向かって皮剥きされた電線3を供給する図示しない電線供給部と、電線3が挿入される溝16aが設けられた電線ガイド16などを備えている。
【0031】
上記第1圧着部材13は、ボルト17によって、第2圧着部材14及び電線位置決め部材15Aとともにラム部材12に固定されている。第1圧着部材13は、金属によりブロック状に形成されており、アンビル11と対向する面から凹の凹部13aが設けられている。第1圧着部材13は、アンビル11に徐々に近付くことにより、一対の芯線圧着片5の先端を凹部13aの内面に当接させて、これら一対の芯線圧着片5を底板7との間に芯線1を挟むように内向きに曲げて芯線1に圧着する。
【0032】
上記第2圧着部材14は、金属によりブロック状に形成されており、アンビル11と対向する面から凹の凹部14aが設けられている。第2圧着部材14は、アンビル11に徐々に近付くことにより、一対の絶縁被覆圧着片6の先端を凹部14aの内面に当接させて、これら一対の絶縁被覆圧着片6を底板7との間に絶縁被覆2の端部を挟むように内向きに曲げて絶縁被覆2の端部に圧着する。
【0033】
上記電線位置決め部材15Aは、板状に形成されており、第1圧着部材13のアンビル11と対向する面及び第2圧着部材14のアンビル11と対向する面よりもアンビル11側に突出して設けられている。この電線位置決め部材15Aは、図2に示すように、絶縁被覆2の端面2aに当接することで、矢印X方向に沿って電線3を位置決めする。また、「矢印X」は、端子10の長手方向及び電線3の軸方向と平行な方向を示している。
【0034】
上記端子圧着装置20Aを用いて上記電線3の端末に上記端子10を取り付ける手順を説明する。
【0035】
まず、第1圧着部材13、第2圧着部材14、電線位置決め部材15Aが固定されたラム部材12を上昇させて、アンビル11から離しておく。そして、前記端子供給部によりアンビル11上に端子10を供給する。
【0036】
そして、前記電線供給部により、アンビル11上の端子10に向かって皮剥きされた電線3を供給する。この際、まず、絶縁被覆2の端面2aが電線位置決め部材15Aに当接する高さで電線3を矢印X方向に沿って端子10側に移動させ、絶縁被覆2の端面2aを電線位置決め部材15Aに当接させて矢印X方向に沿って電線3を位置決めする。また、絶縁被覆2の端面2aが電線位置決め部材15Aに当接すると、電線3の矢印X方向に沿った移動を停止させて、次にこの電線3を矢印Yに沿って下方に移動させる。そして、電線3が端子10の底板7に当接すると、電線3の矢印Y方向に沿った移動を停止させて電線3を端子10の所定の位置に位置付ける。こうして電線3を供給する。
【0037】
また、電線位置決め部材15Aによって位置決めされて端子10の所定の位置に位置付けられた電線3は、図1に示すように、芯線1の端面1aが一対の芯線圧着片5間に位置し、絶縁被覆2の端面2aが一対の第2側板9間に位置している。
【0038】
その後、第1圧着部材13、第2圧着部材14、電線位置決め部材15Aが固定されたラム部材12をアンビル11側に下降させて、第1圧着部材13により一対の芯線圧着片5を芯線1に圧着するとともに第2圧着部材14により一対の絶縁被覆圧着片6を絶縁被覆2の端部に圧着する。
【0039】
最後に、ラム部材12を上昇させてアンビル11から離し、端子付き電線3を取り出して、電線3への端子10の取り付けを終了する。こうして、図11に示す、電線3の端末に端子10が取り付けられた端子付き電線3が得られる。
【0040】
このように、本発明では、端子圧着装置20Aが、絶縁被覆2の端面2aに当接することで電線3を位置決めする電線位置決め部材15Aを備えているので、絶縁被覆2の皮剥き寸法を調整することで、電線3を固定する位置、即ち芯線1の端面1aの位置、を所望の位置に調整することができる。例えば、芯線1の端面1aの位置を上述した位置よりも絶縁被覆圧着片6側に調整する場合は、絶縁被覆2の皮剥き量を上述した電線3よりも少なくして、露出された芯線1の寸法を短くすれば良い。このように、本発明では、簡便な構成でありながら電線3を端子10の所望の位置に位置決めすることができる端子圧着装置20Aを提供することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る端子圧着装置を図3及び図4を参照しながら説明する。また、図3及び図4において、前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態の端子圧着装置20Bは、前述した電線位置決め部材15Aの代わりに電線位置決め部材15Bを備えている。電線位置決め部材15Bは、図3及び図4に示すように、コ字形に形成され、両端部がラム部材12に取り付けられた取付部18と、取付部18の中央部からアンビル11側に板状に延びた作用部19と、を備えている。この作用部19は、第1圧着部材13のアンビル11と対向する面及び第2圧着部材14のアンビル11と対向する面よりもアンビル11側に突出して設けられている。この電線位置決め部材15Bは、前述した電線位置決め部材15Aと同様に、絶縁被覆2の端面2aに当接することで、矢印X方向に沿って電線3を位置決めする。
【0043】
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態に係る端子圧着装置を図5及び図6を参照しながら説明する。また、図5及び図6において、前述した第1,2の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施形態の端子圧着装置20Cは、第1の実施形態に示した端子圧着装置20Aの構成に加えて、さらに、芯線ストッパ23を備えている。この芯線ストッパ23は、図5及び図6に示すように、第1圧着部材13の電線位置決め部材15Aから離れた側面から突出した突出部21と、突出部21の先端部からアンビル11側に板状に延設された延設部22と、を有するL字形に形成されている。また、延設部22の幅は、一対の側板8間の幅よりも小さく形成されている。
【0045】
このような延設部22は、ラム部材12がアンビル11側に下降することで、一対の側板8間の、芯線圧着片5の絶縁被覆圧着片6から離れた側の端部5aと隣り合う位置に位置付けられるとともに芯線1の端面1aと隣り合う位置に位置付けられて、一対の芯線圧着片5が芯線1に圧着される際に、芯線1が芯線圧着片5の端部5aよりも絶縁被覆圧着片6から離れた側に伸びることを規制する。
【0046】
このように、本発明では、端子圧着装置20Cが、芯線ストッパ23を備えているので、一対の芯線圧着片5が芯線1に圧着される際に、芯線1が伸びて一対の芯線圧着片5間から端子接続部4側にはみ出すことを防止できる。
【0047】
(第4の実施形態)
続いて、本発明の第4の実施形態に係る端子圧着装置を図7ないし図10を参照しながら説明する。また、図7ないし図10において、前述した第1〜3の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態の端子圧着装置20Dは、第1の実施形態に示した端子圧着装置20Aの構成に加えて、さらに、芯線ストッパ26と、この芯線ストッパ26をアンビル11に対して昇降移動させる図示しない芯線ストッパ移動部と、を備えている。この芯線ストッパ26は、図7及び図8に示すように、第1圧着部材13の電線位置決め部材15Aから離れた側に配置されており、前記芯線ストッパ移動部に取り付けられた基部24と、基部24の下端部に設けられた狭小部25と、を有している。また、狭小部25の幅mは、基部24の幅よりも小さく、また、一対の側板8間の幅よりも小さく形成されている。
【0049】
このような芯線ストッパ26は、前記芯線ストッパ移動部によりアンビル側11に下降されることで、図9及び図10に示すように、一対の側板8間の、芯線圧着片5の絶縁被覆圧着片6から離れた側の端部5aと隣り合う位置に位置付けられるとともに芯線1の端面1aと隣り合う位置に位置付けられる。また、芯線ストッパ26は、狭小部25の下端部が底板7に当接する位置に位置付けられる。そして、芯線ストッパ26は、一対の芯線圧着片5が芯線1に圧着される際に、芯線1が芯線圧着片5の端部5aよりも絶縁被覆圧着片6から離れた側に伸びることを規制する。
【0050】
このように、本発明では、端子圧着装置20Dが、底板7に当接する位置に位置付けられる芯線ストッパ26を備えているので、一対の芯線圧着片5が芯線1に圧着される際に、芯線1が伸びて一対の芯線圧着片5間から端子接続部4側にはみ出すことを確実に防止できる。
【0051】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 芯線
2 絶縁被覆
3 電線
5 芯線圧着片
6 絶縁被覆圧着片
7 底板
10 端子
13 第1圧着部材
14 第2圧着部材
15A,15B 電線位置決め部材
20A,20B,20C,20D 端子圧着装置
23,26 芯線ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の端末に端子を圧着する端子圧着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には種々の電子機器が搭載されている。これら電子機器同士を接続する際には従来よりワイヤハーネスが用いられてきた。ワイヤハーネスとは電線とこの電線の端末に取り付けられたコネクタとで構成されるものである。また、コネクタとは前記電線の端末に接続された端子とこの端子を収容するコネクタハウジングとで構成されるものである。そして、このワイヤハーネスのコネクタが電子機器に設けられたコネクタに接続されることで、電子機器同士がワイヤハーネスを介して接続される。また、前記端子は、端子圧着装置によって前記電線の端末に接続される(特許文献1を参照。)。
【0003】
図12は、従来の端子圧着装置を示す斜視図である。図13は、図12に示された端子圧着装置の平面図である。図14は、図13に示された端子圧着装置における問題点を説明する説明図である。
【0004】
図12及び図13に示すように、上記端子圧着装置220は、電線211の端末に端子212を取り付ける装置である。
【0005】
上記電線211は、導電性の芯線213aが絶縁被覆213bで覆われた被覆電線である。この電線211は、端末部分の絶縁被覆213bが皮剥きされて芯線213aが露出されている。また、この電線211には、防水用のゴム栓210が取り付けられている。
【0006】
上記端子212は、四角筒状に形成され相手側の棒状の端子が挿入される端子接続部218と、この端子接続部218に連なり板状に形成され電線211が表面上に位置付けられる底板219と、底板219の幅方向の両端部からそれぞれ立設し互いの間に位置付けられる芯線213aに圧着される一対の芯線圧着片214と、底板219の幅方向の両端部からそれぞれ立設し互いの間に位置付けられるゴム栓210の先端部216に圧着される一対のゴム栓圧着片215と、底板219の幅方向の両端部からそれぞれ立設し端子接続部218の後端部217と各芯線圧着片214の前端部214aとをそれぞれ繋げた一対の側板230と、を有している。
【0007】
上記端子圧着装置220は、端子212の底板219を表面上に位置付けるアンビル221bと、このアンビル221bと対向する位置に昇降自在に設けられ、端子212の一対の芯線圧着片214を曲げてこの一対の芯線圧着片214を芯線213aに圧着するとともに、端子212の一対のゴム栓圧着片215を曲げてこの一対のゴム栓圧着片215をゴム栓210の先端部216に圧着する圧着部材221aと、ゴム栓210の後端面に当接してゴム栓210を位置決めするゴム栓位置決め部材225と、端子212及び電線211を位置決めする位置決め部材222と、を備えている。また、位置決め部材222は、板状に形成されており、下端部が一対の側板230の上端部に当接し、一方の面224が端子212の端子接続部218の後端部217に当接し、他方の面223が芯線213aの端面に当接することで端子212及び電線211を位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−161938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来の端子圧着装置220は、以下に示す問題があった。即ち、図14に示すように、端子圧着装置220は、位置決め部材222の他方の面223に芯線213aの端面を当接させることで電線211を位置決めする構成であったことから、芯線213aの端面を一対の芯線圧着片214の前端部214aよりもゴム栓圧着片215側に位置付けることができないという問題があった。即ち、電線211を端子212の所望の位置に位置決めすることができないという問題があった。
【0010】
また、端子圧着装置220は、位置決め部材222と圧着部材221aとの間にクリアランスS1が存在していたことから、図14に示すように、芯線213aの端面が一対の芯線圧着片214の前端部214aよりも端子接続部218側にはみ出してしまうという問題があった。
【0011】
さらに、端子圧着装置220は、位置決め部材222の幅が底板219の幅、即ち一対の側板230間の幅、よりも大きく形成されており、この位置決め部材222の下端部が一対の側板230の上端部に当接する構成であったことから、位置決め部材222と底板219との間にクリアランスS2が生じてしまい、そのために、一対の芯線圧着片214が芯線213aに圧着される際に、図14に示すように、芯線213aが位置決め部材222の他方の面223よりも一方の面224側に伸びてしまうことがあるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、簡便な構成でありながら電線を端子の所望の位置に位置決めすることができる端子圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、導電性の芯線が絶縁被覆で覆われた電線の端末に、前記電線が表面上に位置付けられる底板と、前記底板から立設し、前記電線の端末部分の前記絶縁被覆が皮剥きされて露出された前記芯線に圧着される芯線圧着片と、前記底板から立設し、前記絶縁被覆の端部に圧着される絶縁被覆圧着片と、を有する端子を取り付ける端子圧着装置において、前記底板との間に前記芯線を挟むように前記芯線圧着片を曲げて、該芯線圧着片を前記芯線に圧着する第1圧着部材と、前記底板との間に前記絶縁被覆を挟むように前記絶縁被覆圧着片を曲げて、該絶縁被覆圧着片を前記絶縁被覆に圧着する第2圧着部材と、前記第1圧着部材と前記第2圧着部材との間に配置され、前記絶縁被覆の端面に当接することで前記電線を位置決めする電線位置決め部材と、を備えていることを特徴とする端子圧着装置である。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記芯線圧着片の前記絶縁被覆圧着片から離れた側の端部と隣り合う位置に位置付けられるとともに前記芯線の端面と隣り合う位置に位置付けられて、前記芯線圧着片が前記芯線に圧着される際に、前記芯線が前記芯線圧着片の前記端部よりも前記絶縁被覆圧着片から離れた側に伸びることを規制する芯線ストッパを備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記芯線ストッパが、前記底板に当接する位置に位置付けられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載された発明によれば、前記第1圧着部材と前記第2圧着部材との間に配置され、前記絶縁被覆の端面に当接することで前記電線を位置決めする電線位置決め部材を備えているので、絶縁被覆の皮剥き寸法を調整することで、電線を固定する位置、即ち芯線の端面の位置、を所望の位置に調整することができる。よって、簡便な構成でありながら電線を端子の所望の位置に位置決めすることができる端子圧着装置を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載された発明によれば、前記芯線圧着片の前記絶縁被覆圧着片から離れた側の端部と隣り合う位置に位置付けられるとともに前記芯線の端面と隣り合う位置に位置付けられて、前記芯線圧着片が前記芯線に圧着される際に、前記芯線が前記芯線圧着片の前記端部よりも前記絶縁被覆圧着片から離れた側に伸びることを規制する芯線ストッパを備えているので、芯線が伸びて芯線圧着片からはみ出すことを防止できる。
【0018】
請求項3に記載された発明によれば、前記芯線ストッパが、前記底板に当接する位置に位置付けられるので、芯線が伸びて芯線圧着片からはみ出すことを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る端子圧着装置の斜視図である。
【図2】図1に示された端子圧着装置の概略図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る端子圧着装置の概略図である。
【図4】図3中のA−A線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る端子圧着装置の概略図である。
【図6】図5に示された第1圧着部材及び芯線ストッパの斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る端子圧着装置の概略図である。
【図8】図7に示された芯線ストッパの斜視図である。
【図9】図7に示された端子圧着装置が端子を圧着する様子を説明する説明図である。
【図10】図9に示された芯線ストッパ及び端子の位置関係を説明する説明図である。
【図11】本発明の端子圧着装置によって電線の端末に端子が取り付けられた端子付き電線を示す斜視図である。
【図12】従来の端子圧着装置を示す斜視図である。
【図13】図12に示された端子圧着装置の平面図である。
【図14】図13に示された端子圧着装置における問題点を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る端子圧着装置を図1及び図2、並びに図11を参照しながら説明する。
【0021】
上記端子圧着装置20Aは、電線3の端末に端子10を取り付ける装置である。
【0022】
上記電線3は、導電性の複数の素線からなる芯線1が絶縁性の合成樹脂からなる絶縁被覆2で覆われた被覆電線である。また、電線3は、断面が丸形の丸電線である。この電線3は、端末部分の絶縁被覆2が所定の長さ皮剥きされて芯線1が露出されている。また、図1などに示す符号1aは、芯線1の先端部の「端面」を示しており、符号2aは、絶縁被覆2の先端部の「端面」を示している。
【0023】
上記端子10は、金属板にプレス加工等が施されて得られるものであり、端子接続部4と、底板7と、一対の芯線圧着片5と、一対の絶縁被覆圧着片6と、一対の側板8と、一対の第2側板9と、を一体に有している。
【0024】
上記端子接続部4は、四角筒状に形成され相手側の棒状の端子が挿入される筒部41と、筒部41内に挿入された相手側の棒状の端子を筒部41の内面に付勢する付勢バネ42と、を有している。
【0025】
上記底板7は、筒部41の一端部に連なり、長方形の板状に形成されている。この底板7は、その表面上に電線3を位置付ける。
【0026】
上記一対の芯線圧着片5は、底板7の幅方向の両端部からそれぞれ立設しており、端子圧着装置20Aによって、互いの間に位置付けられる芯線1に圧着される。
【0027】
上記一対の絶縁被覆圧着片6は、底板7の幅方向の両端部からそれぞれ立設しており、端子圧着装置20Aによって、互いの間に位置付けられる絶縁被覆2の端部に圧着される。また、一対の芯線圧着片5と一対の絶縁被覆圧着片6とは、底板7の長手方向に沿って間隔をあけて並んでいる。また、一対の絶縁被覆圧着片6は、端子接続部4との間に一対の芯線圧着片5を位置付ける位置に配置されている。
【0028】
上記一対の側板8は、底板7の幅方向の両端部からそれぞれ板状に立設しているとともに、筒部41の一端部と各芯線圧着片5の前端部5aとをそれぞれ繋げている。また、「前端部5a」とは、芯線圧着片5の絶縁被覆圧着片6から離れた側の端部を言う。
【0029】
上記一対の第2側板9は、底板7の幅方向の両端部からそれぞれ板状に立設しているとともに、各芯線圧着片5と各絶縁被覆圧着片6とをそれぞれ繋げている。
【0030】
上記端子圧着装置20Aは、図1に示すように、端子10の底板7を表面上に位置付けるアンビル11と、このアンビル11と対向する位置に矢印Yに沿って昇降自在に設けられたラム部材12と、このラム部材12に固定された第1圧着部材13と、同じくラム部材12に固定された第2圧着部材14と、ラム部材12に固定されかつ第1圧着部材13と前記第2圧着部材14との間に配置された電線位置決め部材15Aと、これら第1圧着部材13、第2圧着部材14、電線位置決め部材15Aが固定された前記ラム部材12をアンビル11に対して昇降移動させる図示しない移動部と、前記アンビル11上に端子10を供給する図示しない端子供給部と、アンビル11上の端子10に向かって皮剥きされた電線3を供給する図示しない電線供給部と、電線3が挿入される溝16aが設けられた電線ガイド16などを備えている。
【0031】
上記第1圧着部材13は、ボルト17によって、第2圧着部材14及び電線位置決め部材15Aとともにラム部材12に固定されている。第1圧着部材13は、金属によりブロック状に形成されており、アンビル11と対向する面から凹の凹部13aが設けられている。第1圧着部材13は、アンビル11に徐々に近付くことにより、一対の芯線圧着片5の先端を凹部13aの内面に当接させて、これら一対の芯線圧着片5を底板7との間に芯線1を挟むように内向きに曲げて芯線1に圧着する。
【0032】
上記第2圧着部材14は、金属によりブロック状に形成されており、アンビル11と対向する面から凹の凹部14aが設けられている。第2圧着部材14は、アンビル11に徐々に近付くことにより、一対の絶縁被覆圧着片6の先端を凹部14aの内面に当接させて、これら一対の絶縁被覆圧着片6を底板7との間に絶縁被覆2の端部を挟むように内向きに曲げて絶縁被覆2の端部に圧着する。
【0033】
上記電線位置決め部材15Aは、板状に形成されており、第1圧着部材13のアンビル11と対向する面及び第2圧着部材14のアンビル11と対向する面よりもアンビル11側に突出して設けられている。この電線位置決め部材15Aは、図2に示すように、絶縁被覆2の端面2aに当接することで、矢印X方向に沿って電線3を位置決めする。また、「矢印X」は、端子10の長手方向及び電線3の軸方向と平行な方向を示している。
【0034】
上記端子圧着装置20Aを用いて上記電線3の端末に上記端子10を取り付ける手順を説明する。
【0035】
まず、第1圧着部材13、第2圧着部材14、電線位置決め部材15Aが固定されたラム部材12を上昇させて、アンビル11から離しておく。そして、前記端子供給部によりアンビル11上に端子10を供給する。
【0036】
そして、前記電線供給部により、アンビル11上の端子10に向かって皮剥きされた電線3を供給する。この際、まず、絶縁被覆2の端面2aが電線位置決め部材15Aに当接する高さで電線3を矢印X方向に沿って端子10側に移動させ、絶縁被覆2の端面2aを電線位置決め部材15Aに当接させて矢印X方向に沿って電線3を位置決めする。また、絶縁被覆2の端面2aが電線位置決め部材15Aに当接すると、電線3の矢印X方向に沿った移動を停止させて、次にこの電線3を矢印Yに沿って下方に移動させる。そして、電線3が端子10の底板7に当接すると、電線3の矢印Y方向に沿った移動を停止させて電線3を端子10の所定の位置に位置付ける。こうして電線3を供給する。
【0037】
また、電線位置決め部材15Aによって位置決めされて端子10の所定の位置に位置付けられた電線3は、図1に示すように、芯線1の端面1aが一対の芯線圧着片5間に位置し、絶縁被覆2の端面2aが一対の第2側板9間に位置している。
【0038】
その後、第1圧着部材13、第2圧着部材14、電線位置決め部材15Aが固定されたラム部材12をアンビル11側に下降させて、第1圧着部材13により一対の芯線圧着片5を芯線1に圧着するとともに第2圧着部材14により一対の絶縁被覆圧着片6を絶縁被覆2の端部に圧着する。
【0039】
最後に、ラム部材12を上昇させてアンビル11から離し、端子付き電線3を取り出して、電線3への端子10の取り付けを終了する。こうして、図11に示す、電線3の端末に端子10が取り付けられた端子付き電線3が得られる。
【0040】
このように、本発明では、端子圧着装置20Aが、絶縁被覆2の端面2aに当接することで電線3を位置決めする電線位置決め部材15Aを備えているので、絶縁被覆2の皮剥き寸法を調整することで、電線3を固定する位置、即ち芯線1の端面1aの位置、を所望の位置に調整することができる。例えば、芯線1の端面1aの位置を上述した位置よりも絶縁被覆圧着片6側に調整する場合は、絶縁被覆2の皮剥き量を上述した電線3よりも少なくして、露出された芯線1の寸法を短くすれば良い。このように、本発明では、簡便な構成でありながら電線3を端子10の所望の位置に位置決めすることができる端子圧着装置20Aを提供することができる。
【0041】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態に係る端子圧着装置を図3及び図4を参照しながら説明する。また、図3及び図4において、前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施形態の端子圧着装置20Bは、前述した電線位置決め部材15Aの代わりに電線位置決め部材15Bを備えている。電線位置決め部材15Bは、図3及び図4に示すように、コ字形に形成され、両端部がラム部材12に取り付けられた取付部18と、取付部18の中央部からアンビル11側に板状に延びた作用部19と、を備えている。この作用部19は、第1圧着部材13のアンビル11と対向する面及び第2圧着部材14のアンビル11と対向する面よりもアンビル11側に突出して設けられている。この電線位置決め部材15Bは、前述した電線位置決め部材15Aと同様に、絶縁被覆2の端面2aに当接することで、矢印X方向に沿って電線3を位置決めする。
【0043】
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態に係る端子圧着装置を図5及び図6を参照しながら説明する。また、図5及び図6において、前述した第1,2の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
本実施形態の端子圧着装置20Cは、第1の実施形態に示した端子圧着装置20Aの構成に加えて、さらに、芯線ストッパ23を備えている。この芯線ストッパ23は、図5及び図6に示すように、第1圧着部材13の電線位置決め部材15Aから離れた側面から突出した突出部21と、突出部21の先端部からアンビル11側に板状に延設された延設部22と、を有するL字形に形成されている。また、延設部22の幅は、一対の側板8間の幅よりも小さく形成されている。
【0045】
このような延設部22は、ラム部材12がアンビル11側に下降することで、一対の側板8間の、芯線圧着片5の絶縁被覆圧着片6から離れた側の端部5aと隣り合う位置に位置付けられるとともに芯線1の端面1aと隣り合う位置に位置付けられて、一対の芯線圧着片5が芯線1に圧着される際に、芯線1が芯線圧着片5の端部5aよりも絶縁被覆圧着片6から離れた側に伸びることを規制する。
【0046】
このように、本発明では、端子圧着装置20Cが、芯線ストッパ23を備えているので、一対の芯線圧着片5が芯線1に圧着される際に、芯線1が伸びて一対の芯線圧着片5間から端子接続部4側にはみ出すことを防止できる。
【0047】
(第4の実施形態)
続いて、本発明の第4の実施形態に係る端子圧着装置を図7ないし図10を参照しながら説明する。また、図7ないし図10において、前述した第1〜3の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態の端子圧着装置20Dは、第1の実施形態に示した端子圧着装置20Aの構成に加えて、さらに、芯線ストッパ26と、この芯線ストッパ26をアンビル11に対して昇降移動させる図示しない芯線ストッパ移動部と、を備えている。この芯線ストッパ26は、図7及び図8に示すように、第1圧着部材13の電線位置決め部材15Aから離れた側に配置されており、前記芯線ストッパ移動部に取り付けられた基部24と、基部24の下端部に設けられた狭小部25と、を有している。また、狭小部25の幅mは、基部24の幅よりも小さく、また、一対の側板8間の幅よりも小さく形成されている。
【0049】
このような芯線ストッパ26は、前記芯線ストッパ移動部によりアンビル側11に下降されることで、図9及び図10に示すように、一対の側板8間の、芯線圧着片5の絶縁被覆圧着片6から離れた側の端部5aと隣り合う位置に位置付けられるとともに芯線1の端面1aと隣り合う位置に位置付けられる。また、芯線ストッパ26は、狭小部25の下端部が底板7に当接する位置に位置付けられる。そして、芯線ストッパ26は、一対の芯線圧着片5が芯線1に圧着される際に、芯線1が芯線圧着片5の端部5aよりも絶縁被覆圧着片6から離れた側に伸びることを規制する。
【0050】
このように、本発明では、端子圧着装置20Dが、底板7に当接する位置に位置付けられる芯線ストッパ26を備えているので、一対の芯線圧着片5が芯線1に圧着される際に、芯線1が伸びて一対の芯線圧着片5間から端子接続部4側にはみ出すことを確実に防止できる。
【0051】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 芯線
2 絶縁被覆
3 電線
5 芯線圧着片
6 絶縁被覆圧着片
7 底板
10 端子
13 第1圧着部材
14 第2圧着部材
15A,15B 電線位置決め部材
20A,20B,20C,20D 端子圧着装置
23,26 芯線ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の芯線が絶縁被覆で覆われた電線の端末に、前記電線が表面上に位置付けられる底板と、前記底板から立設し、前記電線の端末部分の前記絶縁被覆が皮剥きされて露出された前記芯線に圧着される芯線圧着片と、前記底板から立設し、前記絶縁被覆の端部に圧着される絶縁被覆圧着片と、を有する端子を取り付ける端子圧着装置において、
前記底板との間に前記芯線を挟むように前記芯線圧着片を曲げて、該芯線圧着片を前記芯線に圧着する第1圧着部材と、
前記底板との間に前記絶縁被覆を挟むように前記絶縁被覆圧着片を曲げて、該絶縁被覆圧着片を前記絶縁被覆に圧着する第2圧着部材と、
前記第1圧着部材と前記第2圧着部材との間に配置され、前記絶縁被覆の端面に当接することで前記電線を位置決めする電線位置決め部材と、
を備えていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
前記芯線圧着片の前記絶縁被覆圧着片から離れた側の端部と隣り合う位置に位置付けられるとともに前記芯線の端面と隣り合う位置に位置付けられて、前記芯線圧着片が前記芯線に圧着される際に、前記芯線が前記芯線圧着片の前記端部よりも前記絶縁被覆圧着片から離れた側に伸びることを規制する芯線ストッパを備えていることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着装置。
【請求項3】
前記芯線ストッパが、前記底板に当接する位置に位置付けられることを特徴とする請求項2に記載の端子圧着装置。
【請求項1】
導電性の芯線が絶縁被覆で覆われた電線の端末に、前記電線が表面上に位置付けられる底板と、前記底板から立設し、前記電線の端末部分の前記絶縁被覆が皮剥きされて露出された前記芯線に圧着される芯線圧着片と、前記底板から立設し、前記絶縁被覆の端部に圧着される絶縁被覆圧着片と、を有する端子を取り付ける端子圧着装置において、
前記底板との間に前記芯線を挟むように前記芯線圧着片を曲げて、該芯線圧着片を前記芯線に圧着する第1圧着部材と、
前記底板との間に前記絶縁被覆を挟むように前記絶縁被覆圧着片を曲げて、該絶縁被覆圧着片を前記絶縁被覆に圧着する第2圧着部材と、
前記第1圧着部材と前記第2圧着部材との間に配置され、前記絶縁被覆の端面に当接することで前記電線を位置決めする電線位置決め部材と、
を備えていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
前記芯線圧着片の前記絶縁被覆圧着片から離れた側の端部と隣り合う位置に位置付けられるとともに前記芯線の端面と隣り合う位置に位置付けられて、前記芯線圧着片が前記芯線に圧着される際に、前記芯線が前記芯線圧着片の前記端部よりも前記絶縁被覆圧着片から離れた側に伸びることを規制する芯線ストッパを備えていることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着装置。
【請求項3】
前記芯線ストッパが、前記底板に当接する位置に位置付けられることを特徴とする請求項2に記載の端子圧着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−40199(P2011−40199A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184551(P2009−184551)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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