説明

端子圧着装置

【課題】電線の中心導体と電気部品の端子との双方に正規の状態で圧着端子を確実に加締めることができる端子圧着装置を提供する。
【解決手段】端子圧着装置1はアンビル20とこのアンビル20と相対するクリンパ21と導体位置決め部26と端子位置決め部27とを備えている。導体位置決め部26はアンビル20とクリンパ21との双方に設けられかつ圧着端子6を加締める際に中心導体5を位置決めする。端子位置決め部27はアンビル20とクリンパ21との双方に設けられかつ圧着端子6を加締める際に端子3を位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の中心導体の端末と電気部品の端子との双方に圧着端子を加締める端子圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車のアンテナなどに取り付けられる電線としての同軸ケーブルの中心導体の端末には、電気部品としてのコンデンサが取り付けられてきた(例えば、特許文献1参照)。前述した同軸ケーブルは、中心導体の端末にコンデンサの一方の端子が取り付けられさらに当該コンデンサの他方の端子が前述したアンテナに接続するプラグに取り付けられている。
【0003】
前述した特許文献1には、前記中心導体の端末と前記コンデンサの一方の端子と双方に圧着端子を加締めることで、前記中心導体の端末にコンデンサを取り付ける端子圧着装置が示されている。前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、プラグに取り付けられたコンデンサの一方の端子と前記中心導体の端末と前記圧着端子をアンビルとクリンパとの間に挟みこんで、前記圧着端子を前記一方の端子と前記中心導体との双方に加締めて、前記中心導体の端末にコンデンサを取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008―153056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1に示された端子圧着装置は、コンデンサの一方の端子と前記同軸ケーブルの中心導体とを相対的に位置決めするのが、これらの双方に端子金具を加締めるアンビルとクリンパであるので、圧着端子の圧着前に前記コンデンサの一方の端子と前記同軸ケーブルの中心導体とが相対的に位置ずれしていると、前記圧着端子を正規の状態で加締めることができずに、前記中心導体と前記コンデンサとの間の電気的な抵抗値が増大してしまうおそれがあった。最悪の場合には、前記圧着端子が前記中心導体と前記一方の端子との双方に加締めることができずに、中心導体にコンデンサを取り付けることができないおそれがあった。
【0006】
したがって本発明の目的は、電線の中心導体と電気部品の端子との双方に正規の状態で圧着端子を確実に加締めることができる端子圧着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の端子圧着装置は、第1の型と、この第1の型と相対する第2の型と、を備え、これらの型間に電線の中心導体の端末と電気部品の端子と圧着端子を挟み込んで、前記中心導体の端末と端子との双方に前記圧着端子を加締めて、前記中心導体と前記端子とを接続する端子圧着装置において、前記第1の型と前記第2の型との双方に設けられ、かつ、前記圧着端子を加締める際に前記中心導体を位置決めする導体位置決め部と、前記第1の型と前記第2の型との双方に設けられ、かつ、前記圧着端子を加締める際に前記端子を位置決めする端子位置決め部と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1に記載の端子圧着装置において、前記導体位置決め部が、前記第1の型に取り付けられた第1導体型と、前記第2の型に取り付けられた第2導体型と、前記第1の型と前記第2の型とのうち一方に対して前記第1導体型と前記第2導体型とのうち一方を前記型同士が接離する方向に移動自在に設ける第1移動許容部と、前記第1導体型と前記第2導体型とのうち一方を他方に向かって付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の本発明の端子圧着装置は、請求項1又は請求項2記載の端子圧着装置において、前記端子位置決め部が、前記第1の型に取り付けられた第1端子型と、前記第2の型に取り付けられた第2端子型と、前記第1の型と前記第2の型とのうち一方に対して前記第1端子型と前記第2端子型とのうち一方を前記型同士が接離する方向に移動自在に設ける第2移動許容部と、前記第1端子型と前記第2端子型とのうち一方を他方に向かって付勢する第2付勢手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載した本発明の端子圧着装置によれば、圧着端子を加締める際に中心導体を位置決めする導体位置決め部と、電気部品の端子を位置決めする端子位置決め部とを備えているので、圧着端子を加締める際に、導体位置決め部と端子位置決め部により、電線の中心導体と電気部品の端子とが相対的に位置ずれすることを防止できる。
【0011】
請求項2に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第1移動許容部により第1導体型と第2導体型とのうち一方が型同士が接離する方向に移動自在であり、付勢手段により第1導体型と第2導体型とのうち一方が他方に向かって付勢されている。このために、第1の型と第2の型とが圧着端子を加締める際に、第1導体型と第2導体型とのうち一方が他方から離れる方向に押圧されても、当該付勢手段の付勢力に抗して、一方が移動することができる。
【0012】
請求項3に記載した本発明の端子圧着装置によれば、第2移動許容部により第1端子型と第2端子型とのうち一方が型同士が接離する方向に移動自在であり、第2付勢手段により第1端子型と第2端子型とのうち一方が他方に向かって付勢されている。このために、第1の型と第2の型とが圧着端子を加締める際に、第1端子型と第2端子型とのうち一方が他方から離れる方向に押圧されても、当該第2付勢手段の付勢力に抗して、一方が移動することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、圧着端子を加締める際に、導体位置決め部と端子位置決め部により、電線の中心導体と電気部品の端子とが相対的に位置ずれすることを防止できる。したがって、電線の中心導体と電気部品の端子との双方に正規の状態で圧着端子を確実に加締めることができる。
【0014】
請求項2に記載の本発明によれば、第1の型と第2の型とが圧着端子を加締める際に、第1導体型と第2導体型とのうち一方が他方から離れる方向に押圧されても、当該付勢手段の付勢力に抗して、一方が移動することができる。このために、第1の型と第2の型とが圧着端子を加締める作業を、導体位置決め部が妨げることがない。よって、電線の中心導体と電気部品の端子との双方に正規の状態で圧着端子をより確実に加締めることができる。
【0015】
請求項3に記載の本発明によれば、第1の型と第2の型とが圧着端子を加締める際に、第1端子型と第2端子型とのうち一方が他方から離れる方向に押圧されても、当該第2付勢手段の付勢力に抗して、一方が移動することができる。このために、第1の型と第2の型とが圧着端子を加締める作業を、端子位置決め部が妨げることがない。よって、電線の中心導体と電気部品の端子との双方に正規の状態で圧着端子をより確実に加締めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかる端子圧着装置のアプリケータなどを示す斜視図である。
【図2】図1に示されたアプリケータなどの正面図である。
【図3】図1に示されたアプリケータなどの側面図である。
【図4】図1に示された端子圧着装置により圧着端子に加締められる端子を備えたコンデンサの平面図である。
【図5】図1に示された端子圧着装置により圧着端子に加締められる中心導体を備えた同軸ケーブルの端末の側面図である。
【図6】図1に示された端子圧着装置により加締められる圧着端子を備えた連鎖体の平面図である。
【図7】図6に示された連鎖体の斜視図である。
【図8】図1に示されたアプリケータのクリンパなどを示す分解図である。
【図9】図8に示された電線押さえの正面図である。
【図10】図8に示された電線押さえと第2導体ベース型などの断面図である。
【図11】図1に示されたアプリケータのアンビルなどを示す分解図である。
【図12】図11に示された位置決めブレードと導体ベース型などの断面図である。
【図13】図11に示された端子ガイドの斜視図である。
【図14】図11に示された端子位置決め部の断面図である。
【図15】図1に示されたアプリケータに同軸ケーブル、コンデンサ、圧着端子を正規の位置に設置した状態を示す正面図である。
【図16】図15に示されたアプリケータの要部の断面図である。
【図17】図15に示されたアプリケータのアンビルにクリンパが近づいた状態を示す正面図である。
【図18】図17に示されたアプリケータの要部の断面図である。
【図19】図17に示されたアプリケータのアンビルとクリンパの位置関係を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態にかかる端子圧着装置1を図1ないし図19を参照して説明する。端子圧着装置1は、図4に示す電気部品としてのコンデンサ2の一方の端子3と、電線としての図5に示す同軸ケーブル4の中心導体5の端末との双方に図6および図7に示す圧着端子6を加締めて、前述したコンデンサ2の端子3と同軸ケーブル4の中心導体5とを互いに接続する装置である。
【0018】
コンデンサ2は、図4に示すように、コンデンサ本体7と、このコンデンサ本体7から延在した一対の棒状の端子3とを備えている。
【0019】
同軸ケーブル4は、図5に示すように、中心導体5と、該中心導体5を被覆した絶縁体8と、該絶縁体8を被覆した編組導体9と、該編組導体9を被覆した外皮としての絶縁シース10と、を備えている。
【0020】
中心導体5は、導電性の金属で構成されて、断面円形の線状に形成されている。絶縁体8は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。編組導体9は、導電性の金属で構成された複数の素線が互いに編まれて、網状に形成されている。絶縁シース10は、絶縁性の合成樹脂で構成されている。前述した構成の同軸ケーブル4は、その端末において、絶縁シース10と編組導体9と絶縁体8の各々の一部が除去されて、前述した中心導体5と絶縁体8と編組導体9とが露出している。
【0021】
圧着端子6は、導電性を有する板金などから形成されており、図6及び図7に示すように、底板部11と、この底板部11の享縁から立設した一対の加締め片12とを備えている。加締め片12は、底板部11に向かって曲げられて、同軸ケーブル4の中心導体5の端末とコンデンサ2の端子3をかしめる即ち圧着する。前述した構成によって、加締め片12によって、同軸ケーブル4の中心導体5の端末とコンデンサ2の端子3を圧着することで、これらを互いに電気的及び機械的に接続する。前述した圧着端子6は、等間隔に孔33が設けられた帯状の連鎖34により複数連結されて構成された連鎖体13(図6及び図7に示す)として、端子圧着装置1に供給される。
【0022】
端子圧着装置1は、図1ないし図3に示すように、工場のフロア上などの設置される装置本体14(図2のみに示す)と、駆動源15(図2のみに示す)と、前述したコンデンサ2の一方の端子3と同軸ケーブル4の中心導体5の端末とを互いに圧着する圧着機16(以下アプリケータと呼ぶ)と、図示しない連鎖体供給装置と、を備えている。
【0023】
装置本体14は、図2に示すように、水平方向に沿って略平坦な平坦面が設けられた台部17と、台部17上に設けられた連鎖体位置決め部18とを備えている。連鎖体位置決め部18は、連鎖体13即ち圧着端子6の同軸ケーブル4の長手方向の位置を定める。即ち、連鎖体位置決め部18は、連鎖体供給装置により供給される連鎖体13即ち圧着端子6を同軸ケーブル4の長手方向に位置決めする。
【0024】
駆動源15は、アプリケータ16の後述するクリンパ21をアンビル20に対し接離させるために、後述のラムボルト23とシャンク24とを昇降動作させる。なお、駆動源15として、シャンク24などと接続したカムなどを回転駆動するモータを用いても良く、シャンク24などと接続したピストンロッドなどを備えた油圧シリンダなどを用いても良い。
【0025】
連鎖体供給装置は、圧着端子6が連鎖状に繋がれて形成された連鎖体13を、アプリケータ16に供給する。
【0026】
アプリケータ16は、図1ないし図3に示すように、フレーム19と、第1の型としての下型20(図3のみに示し、以下アンビルと呼ぶ)と、第2の型としての上型21(図2のみに示し、以下クリンパと呼ぶ)と、ラム22と、ラムボルト23と、シャンク24と、端子送り機構25と、導体位置決め部26と、端子位置決め部27とを備えている。
【0027】
フレーム19は、側方からみてコ字状に形成されている。フレーム19は、装置本体14の台部17上に取り付けられる。フレーム19は、アンビルホルダ部28と、上方延在部29と、ラム支持部30と、を備えている。
【0028】
アンビルホルダ部28は、厚手の平板状に形成されかつ台部17上に配される。アンビルホルダ部28は、端子位置決め部27の後述する端子ベース型57と導体位置決め部26の後述する導体ベース型36などを介してアンビル20を保持する。
【0029】
上方延在部29は、アンビルホルダ部28から上方に向かって延在している。ラム支持部30は、上方延在部29の上端部に連結している。ラム支持部30は、ラム22を昇降自在に支持する。
【0030】
アンビル20は、帯板状に形成されている。アンビル20は、端子ベース型57と導体ベース型36などを介して、アンビルホルダ部28に保持されて、フレーム19に取り付けられる。アンビル20には、その上に圧着端子6が載置される。アンビル20には、その上面に底板部11が接した状態で圧着端子6が載置される。アンビル20上に載置された圧着端子6の加締め片12は、アンビル20の上方に向かって延在している。
【0031】
ラム22は、方体状に形成されている。ラム22は、ラム支持部30に鉛直方向に沿って昇降自在に支持されている。ラム22は、その長手方向が前記昇降方向即ち鉛直方向に沿っている。ラム22は、上端面に開口した図示しないねじ孔を備えている。
【0032】
クリンパ21は、帯板状に形成されている。クリンパ21は、ラム22の下端部に取り付けられている。クリンパ21は、アンビル20に相対して設けられている。クリンパ21は、アンビル20上に配される圧着端子6の加締め片12に相対向する。クリンパ21は、ラム22がラム支持部30に昇降自在に支持されることによって、アンビル20に接離自在に支持されている。クリンパ21は、鉛直方向に沿って変位して、アンビル20に対し接離する。クリンパ21がアンビル20に接離するのと連動して、ラム22が昇降する。クリンパ21は、加締め片12に対し接離する。
【0033】
前述した構成によって、アンビル20とクリンパ21は、互いに近づけられて互いの間に同軸ケーブル4の中心導体5の端末とコンデンサ2の端子3と圧着端子6を挟み込んで、中心導体5と端子3との双方に圧着端子6を圧着する。このとき、底板部11上にコンデンサ2の端子3と中心導体5とを順に重ね、クリンパ21が加締め片12を底板部11に向かって曲げて、加締め片12で中心導体5と端子3との双方をかしめる。
【0034】
なお、前記クリンパ21とアンビル20との間の間隔は、圧着端子6に圧着される中心導体5及び端子3の外径に応じて変化する。例えば、比較的大きな外径の中心導体5と端子3を圧着する際には、クリンパ21とアンビル20との間の間隔は比較的大きくなり、比較的小さな外径の中心導体5と端子3を圧着する際には、クリンパ21とアンビル20との間の間隔は比較的小さくなる。
【0035】
ラムボルト23は、ラム22のねじ孔にねじ込まれるボルト状に形成されている。ラムボルト23は、その頭23aに図示しないねじ孔を設けている。このねじ孔は、頭23aの上端面に開口している。ラムボルト23は、ラム22の前記ねじ孔にねじ込まれて、このラム22に取り付けられる。
【0036】
ラムボルト23は、ラム22に取り付けられると、ラム22とともに昇降自在となる。即ち、ラムボルト23は、クリンパ21の昇降動作即ちクリンパ21がアンビル20に対し接離するのに連動して、前記昇降方向即ち接離方向に沿って変位する。
【0037】
シャンク24は、中空の円柱状に形成されている。シャンク24は、一端部が駆動源15に装着される。シャンク24は、他端部の外周面にラムボルト23の前記ねじ孔に螺合するねじ溝を設けている。
【0038】
前述した構成によって、シャンク24は、ラムボルト23のねじ孔に前記他端部をねじ込んでラムボルト23と連結されるとともに、一端部が駆動源15に装着される。シャンク24は、駆動源15の駆動力によってラムボルト23、ラム22及びクリンパ21を昇降動作させる。
【0039】
シャンク24は、ラムボルト23の前記ねじ孔に対するねじ込み量が調整されることによって、ラムボルト23との間の相対位置が変更可能に前記ラムボルト23に取付られる。なお、このラムボルト23とシャンク24との相対位置は、アンビル20とクリンパ21とが互いに接離する方向(以下、接離方向と記し、特許請求の範囲に記載の型同士が接離する方向をなしている)に沿っている。
【0040】
ラムボルト23の前記ねじ孔に対するねじ込み量を調整して、シャンク24のラムボルト23に対する相対位置が変更されると、前記アンビル20とクリンパ21との間の間隔が変更される。
【0041】
また、アプリケータ16は、シャンク24のねじ溝がねじ込まれるナット31を備えている。このナット31は、シャンク24がラムボルト23の前記ねじ孔にねじ込まれた際に、ラムボルト23を下方即ちクリンパ21をアンビル20に近づける方向に付勢する方向にねじ込まれることによって、ラムボルト23とシャンク24とを互いに固定する。
【0042】
端子送り機構25は、駆動源15の駆動力により揺動動作されることで前記駆動源15の駆動力によってラム22などが昇降動作するのに連動して、前記連鎖体13を一つの圧着端子6ずつ間隔的に、アンビル20とクリンパ21との間に送り出す送りアーム32を備えている。送りアーム32は、その先端が連鎖体13の連鎖34に設けられた孔33に係止することで、前記連鎖体13即ち圧着端子6をアンビル20とクリンパ21との間に送り出すとともに、前記連鎖体13即ち圧着端子6を位置決めする爪35が設けられている。このように、端子送り機構25は、中心導体5の端末と端子3と圧着端子6とを挟み込んで互いに圧着する動作に連動して、連鎖体13を一つの圧着端子6ずつ間隔的に、アンビル20とクリンパ21との間に送り出す。
【0043】
導体位置決め部26は、導体ベース型36(図11に示す)と、第1導体型としての位置決めブレード37(図11に示す)と、第1移動許容部としてのブレード移動許容部38(図11に示す)と、付勢手段としてのコイルばね39(図11に示す)と、第2導体ベース型40(図8に示す)と、第2導体型としての電線押さえ41(図8に示す)と、第1移動許容部としての押さえ移動許容部42(図8に示す)と、付勢手段としてのコイルばね43(図8に示す)とを備えている。
【0044】
導体ベース型36は、図12に示すように、アンビルホルダ部28に取り付けられる方体状に形成されている。導体ベース型36は、アンビル20の図15中手前側の表面に取り付けられている。導体ベース型36には、位置決めブレード37をアンビル20とクリンパ21とが互いに接離する方向にスライド自在とするスライド溝44が設けられている。
【0045】
位置決めブレード37は、四角柱状に形成され、前述したスライド溝44内に収容されて、前述した接離方向にスライド自在に導体ベース型36に支持されている。位置決めブレード37は、導体ベース型36を介してアンビル20に取り付けられている。位置決めブレード37の上端面には、図11及び図12に示すように、同軸ケーブル4の端末を内側に位置付けて、当該同軸ケーブル4の端末即ち中心導体5の端末を位置決めする位置決め溝45が設けられている。位置決め溝45は、位置決めブレード37の上端面から凹に形成されている。
【0046】
また、位置決めブレード37の外周面には、内側に連鎖体13の連鎖34を通す連鎖通し切欠き46が設けられている。連鎖通し切欠き46は、位置決めブレード37のアンビル20側の外周面に開口しているとともに、当該位置決めブレード37を貫通して設けられている。さらに、位置決めブレード37の下端には、スライド溝44の内面に設けられた段差に当接して、当該位置決めブレード37が導体ベース型36のクリンパ21側に脱落することを防止するフランジ部47が設けられている。フランジ部47は、位置決めブレード37の下端から凸に形成されている。さらに、位置決めブレード37の下端面には、前述した接離方向に沿って延在した丸穴48が開口している。
【0047】
ブレード移動許容部38は、前述したスライド溝44を備えている。ブレード移動許容部38は、前述したスライド溝44を備えることで、位置決めブレード37を接離方向に移動自在に設ける。コイルばね43は、前記丸穴48内に収容されて、位置決めブレード37を電線押さえ41に向かって付勢している。
【0048】
第2導体ベース型40は、厚手の帯板状に形成されている。第2導体ベース型40は、クリンパ21の図8中手前側の表面に取り付けられている。第2導体ベース型40には、図10に示すように、電線押さえ41を前述した接離方向にスライド自在とするスライド溝49が設けられている。また、第2導体ベース型40のアンビル20と相対する下端面には、接離方向に延在した丸穴50が開口している。
【0049】
電線押さえ41は、図8及び図9に示すように、平面形状が四角形の厚手の平板状の押さえ部51と、この押さえ部51からアンビル20から離れる方向に延在した帯板状の延在部52とを備えている。押さえ部51のアンビル20と相対する下面には、圧着端子6を加締める際に、位置決めブレード37に設けられた位置決め溝45との間に同軸ケーブル4の中心導体5の端末を挟んで、当該中心導体5の端末を位置決め溝45とともに位置決めする位置決め用凸部53が設けられている。また、押さえ部51の上面には、接離方向に延在した丸穴54が開口している。
【0050】
延在部52は、スライド溝49内に収容されて、接離方向にスライド自在に第2導体ベース型40に支持される。延在部52即ち電線押さえ41は、第2導体ベース型40を介してクリンパ21に取り付けられている。また、延在部52には、長手方向が接離方向と平行な長孔55が設けられている。
【0051】
押さえ移動許容部42は、前述したスライド溝49と長孔55と取り付けピン56とを備えている。取り付けピン56は、円柱状に形成され、第2導体ベース型40を貫通して端部が長孔55内に侵入する。取り付けピン56は、長孔55内を移動自在である。取り付けピン56は、長孔55内に侵入することで、第2導体ベース型40から電線押さえ41が脱落することを防止する。押さえ移動許容部42は、前述したスライド溝49と長孔55とこの長孔55内に侵入した取り付けピン56とを備え、ピン56の端部が長孔55内を移動することで、電線押さえ41を接離方向に移動自在に設ける。
【0052】
コイルばね43は、前述した丸穴50,54内に収容されて、電線押さえ41の押さえ部51をアンビル即ち位置決めブレード37に向かって付勢している。
【0053】
端子位置決め部27は、端子ベース型57(図11に示す)と、支持型58(図11に示す)と、第1端子型としての端子ガイド59(図11に示す)と、第2移動許容部としてのガイド移動許容部60(図11に示す)と、第2付勢手段としてのコイルばね61(図11に示す)と、第2端子型62(図8に示す)とを備えている。
【0054】
端子ベース型57は、アンビルホルダ部28に取り付けられる方体状に形成されている。端子ベース型57は、アンビル20の図15中奥前側の表面に取り付けられている。端子ベース型57は、導体ベース型36との間にアンビル20を挟みこんで、当該アンビル20を固定する。端子ベース型57には、図14に示すように、支持型58即ち端子ガイド59を接離方向にスライド自在とするスライド溝63が設けられている。
【0055】
支持型58は、四角柱状に形成され、前述したスライド溝63内に収容されて、前述した接離方向にスライド自在に端子ベース型57に支持されている。支持型58の下端には、当該下端から凸の段部64が設けられている。また、支持型58の下端面には、接離方向に延在した丸穴65が開口している。
【0056】
端子ガイド59は、図13に示すように、支持型58の上端面に取り付けられる厚手の平板状に形成されている。即ち、端子ガイド59は、支持型58、端子ベース型57を介してアンビル20に取り付けられている。端子ガイド59のクリンパ21と相対する上面には、当該上面から凹でかつ内側にコンデンサ2のコンデンサ本体7を収容するコンデンサ位置決め用凹み66と、前述した上面から凹でかつコンデンサ位置決め用凹み66と連通しているとともに内側にコンデンサ2の端子3を収容する端子用溝67とが設けられている。
【0057】
ガイド移動許容部60は、図14に示すように、前述したスライド溝63と、脱落防止板68とを備えている。脱落防止板68は、端子ベース型57に取り付けられる。脱落防止板68は、端子ベース型57に取り付けられると、スライド溝63の内面との間に支持型58を挟みかつ段部64と当接可能となって、当該支持型58が端子ベース型57から脱落することを防止する。ガイド移動許容部60は、前述したスライド溝63を備えることで、支持型58即ち端子ガイド59を接離方向に移動自在に設ける。コイルばね61は、前記丸穴65内に収容されて、支持型58を第2端子型62に向かって付勢している。
【0058】
第2端子型62は、図8に示すように、柱状部69と、平板部70とを備えている。柱状部69は、その一端部がラム22の下端面に取り付けられ、その長手方向が前述した接離方向と平行に配置されている。第2端子型62は、ラム22を介してクリンパ21に取り付けられている。平板部70は、その両表面が接離方向に対して直交する方向と平行に配置されかつ柱状部69の他端部に連なっている。第2端子型62は、圧着端子6を加締める際に、コンデンサ2を端子ガイド59との間に挟んで、当該コンデンサ2即ち当該コンデンサ2の一方の端子3を位置決めする。
【0059】
前述した構成の端子圧着装置1を用いて、端子3と中心導体5と圧着端子6を圧着する際には、まず、準備作業として、圧着端子6の品番などに応じたアプリケータ16を取り付け、このアプリケータ16のアンビル20とクリンパ21との間の間隔を、中心導体5などの外径に応じた最適な間隔となるように調整する。このとき、ナット31をシャンク24のねじ溝にねじ込んで、ラムボルト23とシャンク24とを互いに固定しておく。そして、ボルトをねじ孔にねじ込んだ後、ナット31を用いてボルトとアンビルホルダ部28とを互いに固定する。
【0060】
その後、端子3と中心導体5と圧着端子6を実際に圧着する際には、まず、端子送り機構25が、アンビル20とクリンパ21との間に一つの圧着端子6が位置するように連鎖体13を送り出す。図15及び図16に示すように、端子ガイド59のコンデンサ位置決め用凹み66内にコンデンサ本体7を収容しかつ端子用溝67内にコンデンサ2の端子3を収容する。さらに、位置決めブレード37の位置決め溝45内に同軸ケーブル4の端末を収容する。すると、圧着端子6とコンデンサ2の一方の端子3と同軸ケーブル4の中心導体5とが互いに間隔をあけて重なる。
【0061】
駆動源15が駆動して、シャンク24及びラムボルト23を介してラム22とクリンパ21とを下降させる。すると、電線押さえ41が位置決めブレード37に近づき、クリンパ21がアンビル20に近づくとともに、第2端子型62が端子ガイド59に近づく。そして、図17及び図18に示すように、電線押さえ41が位置決めブレード37に接触して、電線押さえ41がコイルばね39の付勢力に抗して位置決めブレード37を押圧し、第2端子型62が端子ガイド59に接触して、第2端子型62がコイルばね61の付勢力に抗して端子ガイド59を押圧する。この際、勿論、電線押さえ41と位置決めブレード37とにより同軸ケーブル4即ち中心導体5が位置決めされ、第2端子型62と端子ガイド59とによりコンデンサ2即ち一方の端子3が位置決めされる。
【0062】
すると、位置決めブレード37と端子ガイド59とが降下して、図19に示すように、底板部11に一方の端子3が重なり、当該一方の端子3に中心導体5が重なる。そして、アンビル20が加締め片12を底板部11に向かって曲げて、当該加締め片12を加締める。さらに、電線押さえ41が位置決めブレード37に近づく際に、これらが連鎖34から圧着端子6を切り離す。こうして、端子圧着端子6は、連鎖体13から一つの圧着端子6を切り離し、中心導体5とコンデンサ2の端子3と圧着端子6を加締める。即ち、これらを互いに圧着する。
【0063】
本実施形態によれば、圧着端子6を加締める際に中心導体5を位置決めする導体位置決め部26と、コンデンサ2の端子3を位置決めする端子位置決め部27とを備えているので、圧着端子6を加締める際に、導体位置決め部26と端子位置決め部27により、同軸ケーブル4の中心導体5とコンデンサ2の端子3とが相対的に位置ずれすることを防止できる。同軸ケーブル4の中心導体5とコンデンサ2の端子3との双方に正規の状態で圧着端子6を確実に加締めることができる。
【0064】
移動許容部38,42により位置決めブレード37と電線押さえ41の双方が接離方向にスライド移動自在であり、コイルばね39,43により付勢手段により位置決めブレード37と電線押さえ41の双方が互いに近づく方向に付勢されている。このために、位置決めブレード37と電線押さえ41とが圧着端子6を加締める際に、位置決めブレード37と電線押さえ41とが互いに近づく方向に押圧されても、コイルばね39,43の付勢力に抗して、位置決めブレード37と電線押さえ41とが移動することができる。このために、アンビル20とクリンパ21とが圧着端子6を加締める作業を、導体位置決め部26が妨げることがない。よって、同軸ケーブル4の中心導体5とコンデンサ2の端子3との双方に正規の状態で圧着端子6をより確実に加締めることができる。
【0065】
ガイド移動許容部60により端子ガイド59がスライド移動自在であり、コイルばね61により端子ガイド59が第2端子型62に向かって付勢されている。このために、アンビル20とクリンパ21とが圧着端子6を加締める際に、端子ガイド59が第2端子型62を押圧しても、当該コイルばね61の付勢力に抗して、端子ガイド59が移動することができる。このために、アンビル20とクリンパ21とが圧着端子6を加締める作業を、端子位置決め部27が妨げることがない。よって、同軸ケーブル4の中心導体5とコンデンサ2の端子3との双方に正規の状態で圧着端子6をより確実に加締めることができる。
【0066】
また、本実施形態では、同軸ケーブル4の中心導体を示しているが、本発明では、中心導体として被覆電線の芯線を用いてもよい。さらに、本発明では、コンデンサ2に限らず種々の電気部品を用いても良い。また、位置決めブレード37と電線押さえ41の双方をスライド自在に設けかつコイルばね39,43により互いに近づく方向に付勢しているが、本発明では、位置決めブレード37と電線押さえ41の一方のみをスライド自在に設けかつコイルばねにより付勢してもよい。さらに、本発明では、第2端子型62をラム22即ちクリンパ21に対してスライド移動自在としてもよい。
【0067】
なお、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 端子圧着装置
2 コンデンサ
3 端子
4 同軸ケーブル(電線)
5 中心導体
6 圧着端子
20 アンビル(第1の型)
21 クリンパ(第2の型)
26 導体位置決め部
27 端子位置決め部
37 位置決めブレード(第1導体型)
38 ブレード移動許容部(第1移動許容部)
39 コイルばね(付勢手段)
41 電線押さえ(第2導体型)
42 押さえ移動許容部(第1移動許容部)
43 コイルばね(付勢手段)
59 端子ガイド(第1端子型)
60 ガイド移動許容部(第2移動許容部)
61 コイルばね(第2付勢手段)
62 第2端子型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の型と、この第1の型と相対する第2の型と、を備え、これらの型間に電線の中心導体の端末と電気部品の端子と圧着端子を挟み込んで、前記中心導体の端末と端子との双方に前記圧着端子を加締めて、前記中心導体と前記端子とを接続する端子圧着装置において、
前記第1の型と前記第2の型との双方に設けられ、かつ、前記圧着端子を加締める際に前記中心導体を位置決めする導体位置決め部と、
前記第1の型と前記第2の型との双方に設けられ、かつ、前記圧着端子を加締める際に前記端子を位置決めする端子位置決め部と、
を備えたことを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
前記導体位置決め部が、前記第1の型に取り付けられた第1導体型と、前記第2の型に取り付けられた第2導体型と、前記第1の型と前記第2の型とのうち一方に対して前記第1導体型と前記第2導体型とのうち一方を前記型同士が接離する方向に移動自在に設ける第1移動許容部と、前記第1導体型と前記第2導体型とのうち一方を他方に向かって付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の端子圧着装置。
【請求項3】
前記端子位置決め部が、前記第1の型に取り付けられた第1端子型と、前記第2の型に取り付けられた第2端子型と、前記第1の型と前記第2の型とのうち一方に対して前記第1端子型と前記第2端子型とのうち一方を前記型同士が接離する方向に移動自在に設ける第2移動許容部と、前記第1端子型と前記第2端子型とのうち一方を他方に向かって付勢する第2付勢手段と、を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の端子圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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