説明

端子金具の接続構造

【課題】微摺動摩耗を抑制することが可能な端子金具の接続構造を提供する。
【解決手段】接続状態における両端子金具10,20の接触面27のうち少なくとも一方には、複数の溝部28が設けられ、前記溝部28は、タブ11の挿入方向に対して交差方向に延びるものであり、前記接触面27に対して略垂直をなす垂直面28Aと、前記接触面27に対して傾斜をなす傾斜とを有し、前記垂直面28Aは、前記溝部28のうち前記タブ11の挿入時に前側端となる位置に形成され、前記傾斜面28Bは、前記垂直面28Aよりも前記タブ11の挿入時に後方となる側に形成されて、前記垂直面28Aから前記後方へ向かって少しずつ前記溝部28の深さ寸法を小さくする傾斜をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タブを有する雄端子金具と、タブを挿入可能な筒状の本体部を有する雌端子金具とを接続する構造が知られている(例えば特許文献1)。雌端子金具の本体部内には、雄端子金具のタブに弾性的に接触する弾性接触片が設けられ、本体部内に挿入されたタブは、本体部と弾性接触片との間に弾性的に挟持され、両端子金具の接続状態が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−294496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような端子金具の接続構造においては、接続状態の端子金具が振動を受けると、両者の接触部分において微摺動摩耗が生じ、接触部分の電気抵抗が大きくなるという問題があり対策が望まれていた。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、微摺動摩耗を抑制することが可能な端子金具の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タブを有する雄端子金具と、前記タブを挿入可能な筒状の本体部を有する雌端子金具とを接続する、端子金具の接続構造であって、前記本体部内には、前記タブに弾性的に接触する弾性接触片が設けられ、前記本体部内に挿入された前記タブが、前記本体部と前記弾性接触片との間に弾性的に挟持され、前記両端子金具の接続状態が保持されるものにおいて、前記接続状態における前記両端子金具の接触面のうち少なくとも一方には、複数の溝部が設けられ、前記溝部は、前記タブの挿入方向に対して交差方向に延びるものであり、前記接触面に対して略垂直をなす垂直面と、前記接触面に対して傾斜をなす傾斜面とを有し、前記垂直面は、前記溝部のうち前記タブの挿入時に前側端となる位置に形成され、前記傾斜面は、前記垂直面よりも前記タブの挿入時に後方となる側に形成されて、前記垂直面から前記後方へ向かって少しずつ前記溝部の深さ寸法を小さくする傾斜をなしている。
【0007】
このような構成によれば、タブを本体部内の正規の位置まで挿入した状態では、垂直面の端縁が相手側の接触面に係止するから、両端子金具の接触面の相対的な移動を規制することができ、もって微摺動摩耗を抑制することができる。また、タブを本体部に挿入する際には、垂直面の端縁が引っ掛かりにくいから、本体部へのタブの挿入をスムーズに行うことができる。
【0008】
また、前記タブの挿入方向に隣り合う前記溝部の間には、この挿入方向に略平行をなす水平面が設けられているものとしてもよい。
このような構成によれば、垂直面の端縁には、水平面と交差してなる角部が形成される。ここで、複数の溝部が、垂直面と傾斜面とが連続するように形成されている場合には、垂直面の端縁には、傾斜面と交差してなる比較的尖った形状の角部が形成される。しかし、本発明の構成によれば、垂直面の端縁に形成される角部の尖り程度が、これよりも小さくなるので、タブを本体部に挿入する際の接触抵抗をより小さくすることができる。
【0009】
また、前記溝部は、前記本体部側の接触面のみに設けられているものとしてもよい。
また、前記溝部は、前記本体部および前記タブの双方の接触面に設けられ、前記本体部のうち前記溝部が形成されてなる凹凸部と、前記タブのうち前記溝部が形成されてなる凹凸部とが、噛み合う形状とされているものとしてもよい。このような構成によれば、両端子金具の接触面のうち一方のみに溝部が設けられ、他方の接触面が平坦な面である場合に比べて係止力を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微摺動摩耗を抑制することが可能な端子金具の接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1にかかる雄コネクタおよび雌コネクタの断面構成を示す断面図
【図2】曲げ加工前の雌端子金具を示す展開図
【図3】曲げ加工後の雌端子金具を示す平面図
【図4】雄コネクタと雌コネクタとの嵌合途中の様子を示す断面図
【図5】雄コネクタと雌コネクタとの正規の嵌合状態を示す断面図
【図6】雄端子金具と雌端子金具との正規の接続状態を示す一部拡大断面図
【図7】溝部の形状を示す一部拡大断面図
【図8】実施形態2にかかる雄端子金具を示す下面図
【図9】雄端子金具と雌端子金具との正規の接続状態を示す一部拡大断面図
【図10】雄端子金具の溝部と雌端子金具の溝部とが噛み合った状態を示す一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1について、図1〜図7を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における端子金具の接続構造は、タブ11を有する雄端子金具10と、タブ11を挿入可能な筒状の本体部21を有する雌端子金具20とを接続する構造である。雄端子金具10は雄コネクタ30に備えられ、雌端子金具20は雌コネクタ40に備えられ、雄コネクタ30と雌コネクタ40とを嵌合することで、両端子金具10,20は接続される。以下、各構成部材において、両コネクタ30,40の嵌合面側をそれぞれ前方とし、また、図1の上側を上方、下側を下方として説明する。
【0013】
雄コネクタ30のハウジング(雄ハウジング31)は、合成樹脂製であって、前方に突出するフード部32を有している。フード部32内には、雄端子金具10のタブ11が収容されている。タブ11は、フード部32の奥壁33から前方に突出している。フード部32の上壁には、雌ハウジング41側と係止する雄ロック部34が設けられている。雄ロック部34は、フード部32の前端に設けられ、内側(下側)に突出している。
【0014】
雌コネクタ40のハウジング(雌ハウジング41)は、合成樹脂製であって、その内部には後方から雌端子金具20を挿抜可能なキャビティ42が形成されている。キャビティ42内には、正規位置に挿入された雌端子金具20を一次係止するためのランス43が形成されている。
【0015】
また、雌ハウジング41には、雌端子金具20を二次係止するためのリテーナ44が装着されている。リテーナ44は、雌ハウジング41の下面から上方に差し込まれて雌端子金具20に係止し、雌端子金具20の抜け止めを図る。
【0016】
雌ハウジング41には、その上面に沿って前後方向に延びるロックアーム45が設けられている。ロックアーム45は、雌ハウジング41の前端から後方に向かって片持ち状に延び、上下方向に弾性変形可能とされている。ロックアーム45の後端寄りの位置には、雄コネクタ30と雌コネクタ40との正規嵌合時に、雄ロック部34に係止する雌ロック部46が設けられている。雌ロック部46は、ロックアーム45から上方に突出している。なお、ロックアーム45の後端部は、雄ロック部34と雌ロック部46との係止状態を解除する際に、押圧操作する操作部47とされている。
【0017】
雌端子金具20は、導電性の金属板材を打ち抜き加工した後、曲げ加工、切り起こし加工、叩き出し加工等をすることにより形成される。雌端子金具20は、電線50の端末に接続されるバレル部22と、雄端子金具10のタブ11が挿入される本体部21とを備え、全体として前後方向に細長い形状をなしている。バレル部22は、電線50の被覆51をかしめつけるインシュレーションバレル22Aと、電線50の芯線52をかしめつけるワイヤバレル22Bとを備えている。
【0018】
バレル部22の前方には本体部21が連なっている。本体部21は、前後方向に細長く延びる角筒状をなし、詳しくは、底板21Aと、底板21Aの幅方向両端縁から上方へ起立した一対の側板21Bと、一対の側板21Bの一方の上端から他方の上端に向けて曲げ形成され、底板21Aに対して略平行に配された天板21Cとを備えている。この本体部21内には、前方から雄端子金具10のタブ11が挿入される。
【0019】
本体部21の底板21Aには、ランス43が係止する一次係止部22が開口して設けられ(図3参照)、また、本体部21の後端縁は、リテーナ44が係止する二次係止部23とされている(図4参照)。
【0020】
本体部21内には、タブ11に弾性的に接触する弾性接触片24が設けられている。弾性接触片24は、天板21Cに沿って前方に延びる片持ち状をなし、上下方向に弾性変形可能となっている。弾性接触片24は、その先端寄りの位置が、後述する接触部26に最も接近する逆山形状に曲げ形成されている。弾性接触片24の先端寄りの部分は、タブ11に接触する接点部24Aとされている。なお、弾性接触片24と天板21Cとの間には、弾性接触片24の弾発力を助勢して、弾性接触片24とタブ11との接触圧を高めるための弾性補強片25が設けられている。
【0021】
底板21Aには、タブ11に接触する接触部26が形成されている。接触部26は、底板21Aを部分的に内側へ叩き出すことによって形成され、前後方向に細長い形状をなしている。接触部26は、底板21Aのうち一次係止部22よりも前側の、略全体に形成されている。接触部26は幅方向に並列して2条が設けられ(図2参照)、2条の接触部26は同じ形状および同じ大きさをなしている。接触部26は、前後両端から中央部に向かって徐々に突出する形態をなし、その略全体は天板21Cと平行をなしている。接触部26の表面(上面)は、雄端子金具10のタブ11に接触する接触面27である。雄端子金具10と雌端子金具20とが正規に接続した状態では、タブ11の先端が接触部26の後端の位置に至り、接触面27の略全体がタブ11に接触する(図5参照)。
【0022】
さて、雌端子金具20の本体部21には、複数の溝部28が設けられている。詳しくは、複数の溝部28は、本体部21に設けられた2条の接触部26の双方の接触面27の略全体に形成されている。各溝部28は、タブ11の挿入方向に対して交差方向に延びるものであり、その延長寸法は、接触面27の幅寸法と同等の寸法とされている。全ての溝部28は、同じ形状および同じ大きさをなし、前後方向(タブ11の挿入方向)に略一定間隔で配されている。
【0023】
溝部28は、接触面27に対して略垂直をなす垂直面28Aと、接触面27に対して傾斜する傾斜面28Bとからなり(図7参照)、その断面形状は、前後方向の長さ寸法が上下方向の高さ寸法よりも大きい逆山形状をなしている。垂直面28Aは、各溝部28のうちタブ11の挿入時に前側端となる位置(雄端子金具10との接続方向の前側端であって図7では左側端)に形成されている。傾斜面28Bは、垂直面28Aよりも後側(タブ11の挿入時に後方となる側)に形成され、垂直面28Aから後方へ向かって少しずつ溝部28の深さ寸法を小さくする傾斜(後方へ向かって少しずつ上方へ上る傾斜)をなしている。
【0024】
また、前後方向に隣り合う溝部28の間には、タブ11の挿入方向に略平行をなす水平面29が設けられている。水平面29は、全ての溝部28の間に設けられており、接触面27のうち溝部28を除く部分と同じ高さに位置している。
【0025】
水平面29の前後方向の長さ寸法は、傾斜面28Bの前後方向の長さ寸法よりも小さく、また、垂直面28Aの上下方向の高さ寸法(溝部28の最大深さ寸法)は、水平面29の前後方向の長さ寸法の半分程度とされている。具体的な寸法の一例として、垂直面28Aの上下方向の高さ寸法は0.01mm、水平面29の前後方向の長さ寸法は0.02mm、傾斜面28Bの前後方向の長さ寸法は0.08mmとされている。
【0026】
次に、雄端子金具10と雌端子金具20との接続動作について説明する。
雄コネクタ30と雌コネクタ40とを嵌合して押し込むと、雄ロック部34と雌ロック部46とが当接することによりロックアーム45が弾性変形する(図4参照)。また、雄端子金具10のタブ11が雌ハウジング41内に進入し、雌端子金具20の本体部21に対して前方から挿入され、その先端が弾性接触片24の前端と接触部26の前端との間に至る。
【0027】
さらに両コネクタ30,40の嵌合動作を進めると、雄端子金具10のタブ11は、2条の接触部26と弾性接触片24との間に割り込み、弾性接触片24が上方へ弾性変形し、弾性接触片24に押された弾性補強片25も上方へ弾性変形する。また、タブ11の下面(接触部26との対向面)は、接触部26の表面のうち溝部28が形成されることで凹凸形状となった凹凸部27Aの上方に到達し、凹凸部27Aに接触しつつ前進する。このとき、溝部28の形成領域内でタブ11の下面と直接接触するのは水平面29のみであり、また、垂直面28Aの上端縁に形成された角部は水平面29と垂直面28Aとからなるものであって、上方に尖り形状をなすものではなく、かつ、垂直面28Aは後方を向いているから、タブ11は溝部28に引っ掛かることなくスムーズに挿入される。
【0028】
やがて、両コネクタ30,40が正規の嵌合状態に至り、ロックアーム45が弾性復帰して雄雌ロック部34,46が係止し、両コネクタ30,40の離脱が規制される。同時に、雄端子金具10と雌端子金具20とが正規の接続状態に至り、タブ11が、接触部26と弾性接触片24との間に弾性的に挟持され、所定の接触圧が確保された状態で保持される。このとき、溝部28の垂直面28Aの端縁がタブ11の下面に係止し、タブ11の後方(本体部21からの引き抜き方向)への移動が規制された状態になる。
【0029】
上記のように構成された実施形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態では、接続状態における雄端子金具10と雌端子金具20との接触面27のうち一方には、複数の溝部28が設けられ、溝部28は、タブ11の挿入方向に対して交差方向に延びるものであり、また、溝部28は、接触面27に対して略垂直をなす垂直面28Aと、接触面27に対して傾斜をなす傾斜とを有し、垂直面28Aは、溝部28のうちタブ11の挿入時に前側端となる位置に形成され、傾斜面28Bは、垂直面28Aよりもタブ11の挿入時に後方となる側に形成されて、垂直面28Aから後方へ向かって少しずつ溝部28の深さ寸法を小さくする傾斜をなしている。
【0030】
これにより、タブ11を本体部21内の正規の位置まで挿入した状態では、垂直面28Aの端縁が相手側の接触面に係止するから、両端子金具10,20の接触面の相対的な移動を規制することができ、もって微摺動摩耗を抑制することができる。また、タブ11を本体部21に挿入する際には、垂直面28Aの端縁が引っ掛かりにくいから、本体部21へのタブ11の挿入作業をスムーズに行うことができる。
【0031】
また、前後方向に隣り合う溝部28の間には、タブ11の挿入方向に略平行をなす水平面29が設けられている。ここで、隣り合う溝部が、垂直面と傾斜面とが連続するように形成されている場合には、垂直面の端縁には、傾斜面と交差してなる比較的尖った形状の角部が形成される。すなわち、溝部と溝部との間に、上方に尖り形状をなす角部が形成されるから、タブ11の挿入時の抵抗が若干増すことになる。しかしながら、本実施形態の構成によれば、垂直面28Aの端縁には、水平面29と交差してなる角部が形成されるから、垂直面28Aの端縁に形成される角部の尖り程度がこれよりも小さくなるので、タブ11を本体部21に挿入する際の接触抵抗を小さくすることができ、よりスムーズなタブ11の挿入を実現できる。
【0032】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2に係る端子金具の接続構造を図8〜図10によって説明する。
本実施形態の端子金具の接続構造は、雌端子金具20の本体部21および雄端子金具60のタブ61の双方に、溝部28,65が設けられている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0033】
本実施形態に係る端子金具の接続構造は、実施形態1と同様に、タブ61を有する雄端子金具60と、タブ61を挿入可能な筒状の本体部21を有する雌端子金具20とを接続する、端子金具の接続構造である。雌端子金具20の本体部21内には、実施形態1と同様、タブ61に弾性的に接触する弾性接触片24が設けられ、本体部21内に挿入されたタブ61が、本体部21と弾性接触片24との間に弾性的に挟持され、両端子金具10,20の接続状態が保持される。そして、雌端子金具20の本体部21には、実施形態1と同様、複数の溝部28が設けられ、各溝部28は、接触面27に対して略垂直をなす垂直面28Aと、接触面27に対して傾斜する傾斜面28Bとからなり、前後方向に隣り合う溝部28の間には、水平面29が設けられている。
【0034】
雄端子金具60は、雌端子金具20と同様、導電性の金属板材を打ち抜き加工した後、曲げ加工等をすることにより形成され、電線50の端末に接続されるバレル部62と、タブ61を有する本体部63とを備え、全体として前後方向に長い形状をなしている。バレル部62は、電線50の被覆51をかしめつけるインシュレーションバレル62Aと、電線50の芯線52をかしめつけるワイヤバレル62Bとを備えている。
【0035】
本体部63の後側部分は角筒状をなし、その前方にタブ61が設けられている。タブ61は、全体として前後方向に長い平板状をなし、幅方向の両端部が一面側に向けて折り返され、2枚の板材が重なって密着したものである。
【0036】
そして、タブ61には、複数の溝部65が設けられている。詳しくは、複数の溝部65は、タブ61の下面(雌端子金具20の接触部26との接触面64)の略全体に形成されている。各溝部65は、タブ61の幅方向に延びるものであり、その延長寸法は、タブ61の幅寸法と同等とされている。全ての溝部65は、同じ形状および同じ大きさをなし、前後方向に連続して形成されている。
【0037】
溝部65は、接触面64に対して略垂直をなす垂直面65Aと、接触面64に対して略平行をなす底平面65Bと、接触面64に対して傾斜する傾斜面65Cとからなる(図10参照)。垂直面65Aは、タブ61の挿入時に前側端となる位置に形成され、底平面65Bは、垂直面65Aよりも後側に形成され、傾斜面65Cは、底平面65Bの後側に形成されている。傾斜面65Cは、底平面65Bから後方へ向かって少しずつ溝部65の深さ寸法を小さくする傾斜(後方へ向かって少しずつ上方へ上る傾斜)をなしている。底平面65Bは、タブ61の下面のうち溝部65を除く部分と同じ高さに位置している。
【0038】
そして、雌端子金具20の溝部28の垂直面28Aと、雄端子金具60の溝部65の垂直面65Aとは、上下方向の高さ寸法が等しく、雌端子金具20の溝部28の傾斜面28Bと、雄端子金具60の溝部65の傾斜面65Cとは、前後方向の長さ寸法および勾配が等しく、雌端子金具20の溝部28の水平面29と、雄端子金具60の溝部65の底平面65Bとは、前後方向の長さ寸法が等しくされている。そして、両端子金具10,20の正規の接続状態においては、雌端子金具20の本体部21のうち溝部28が形成されてなる凹凸部(雌凹凸部27A)と、雄端子金具60のタブ61のうち溝部65が形成されてなる凹凸部(雄凹凸部67と称する)とが噛み合った状態になる。すなわち、雌凹凸部27Aの垂直面28Aと、雄凹凸部67の垂直面65Aとが当接し、雌凹凸部27Aの傾斜面28Bと、雄凹凸部67の傾斜面65Cとが当接し、雌凹凸部27Aの水平面29と、雄凹凸部67の底平面65Bとが当接した状態になる。
【0039】
以上のように本実施形態においては、接続状態における雄端子金具60と雌端子金具20との接触面27,64の両方に複数の溝部28,65が設けられ、溝部28,65は、接触面27,64に対して略垂直をなす垂直面28A,65Aと、接触面27に対して傾斜をなす傾斜面28B,65Cとを有し、垂直面28A,65Aは、溝部28,65のうちタブ61の挿入時に前側端となる位置に形成され、傾斜面28B,65Bは、垂直面28A,65Aよりもタブ61の挿入時に後方となる側に形成されて、垂直面28A,65Aから後方へ向かって少しずつ溝部28,65の深さ寸法を小さくする傾斜をなしているから、実施形態1と同様、微摺動摩耗を抑制することができ、かつ本体部21へのタブ61の挿入作業をスムーズに行うことができる。
【0040】
また、溝部28,65は、雌端子金具20の本体部21および雄端子金具60のタブ61の双方に設けられ、本体部21のうち溝部28が形成されてなる雌凹凸部27Aと、タブ61のうち溝部65が形成されてなる雄凹凸部67とが噛み合う形状とされているから、例えば両端子金具の接触面のうち一方のみに溝部が設けられ、他方が平坦な面である場合に比べて係止力を高めることができる。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0042】
(1)実施形態1では、溝部28が雌端子金具20の本体部21のみに形成されている場合について説明したが、これに限らず、例えば、溝部が雄端子金具のタブのみに形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10,60…雄端子金具
11,61…タブ
20…雌端子金具
21…本体部
24…弾性接触片
27,64…接触面
27A…雌凹凸部(凹凸部)
28,65…溝部
28A,65A…垂直面
28B,65C…傾斜面
29…水平面
67…雄凹凸部(凹凸部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タブを有する雄端子金具と、前記タブを挿入可能な筒状の本体部を有する雌端子金具とを接続する、端子金具の接続構造であって、
前記本体部内には、前記タブに弾性的に接触する弾性接触片が設けられ、
前記本体部内に挿入された前記タブが、前記本体部と前記弾性接触片との間に弾性的に挟持され、前記両端子金具の接続状態が保持されるものにおいて、
前記接続状態における前記両端子金具の接触面のうち少なくとも一方には、複数の溝部が設けられ、
前記溝部は、前記タブの挿入方向に対して交差方向に延びるものであり、前記接触面に対して略垂直をなす垂直面と、前記接触面に対して傾斜をなす傾斜面とを有し、
前記垂直面は、前記溝部のうち前記タブの挿入時に前側端となる位置に形成され、前記傾斜面は、前記垂直面よりも前記タブの挿入時に後方となる側に形成されて、前記垂直面から前記後方へ向かって少しずつ前記溝部の深さ寸法を小さくする傾斜をなしている端子金具の接続構造。
【請求項2】
前記タブの挿入方向に隣り合う前記溝部の間には、この挿入方向に略平行をなす水平面が設けられている請求項1に記載の端子金具の接続構造。
【請求項3】
前記溝部は、前記本体部側の接触面のみに設けられている請求項1または請求項2に記載の端子金具の接続構造。
【請求項4】
前記溝部は、前記本体部および前記タブの双方の接触面に設けられ、
前記本体部のうち前記溝部が形成されてなる凹凸部と、前記タブのうち前記溝部が形成されてなる凹凸部とが、噛み合う形状とされている請求項1または請求項2に記載の端子金具の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−129012(P2012−129012A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278059(P2010−278059)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】